京都産業大学コンピュータ理工学部

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(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

離散戸田方程式を用いた要素および固有値が指定さ れた逆固有値問題の解法

赤岩, 香苗

京都産業大学コンピュータ理工学部

谷口, 雄大

同志社大学理工学部

近藤, 弘一

同志社大学大学院理工学研究科

https://doi.org/10.15017/1957516

出版情報:応用力学研究所研究集会報告. 29AO-S7 (1), pp.101-106, 2018-03. 九州大学応用力学研究所 バージョン:

権利関係:

(2)

応用力学研究所研究集会報告 No.29AO-S7

「非線形波動研究の新潮流―理論とその応用―」 (研究代表者 辻本 諭)

Reports of RIAM Symposium No.29AO-S7

New trends in nonlinear waves - theory and applications -

Proceedings of a symposium held at Chikushi Campus, Kyushu University, Kasuga, Fukuoka, Japan, November 9 - November 11, 2017

Research Institute for Applied Mechanics Kyushu University

March, 2018 Article No. 15 (pp. 101 - 106)

離散戸田方程式を用いた要素および固 有値が指定された逆固有値問題の解法

赤岩 香苗( AKAIWA Kanae ),谷口 雄大( TANIGUCHI Yudai ),近藤 弘一( KONDO Koichi

( Received 15 January 2018; Accepted 4 March 2018 )

(3)

離散戸田方程式を用いた

要素および固有値が指定された逆固有値問題の解法

京都産業大学コンピュータ理工学部 赤岩 香苗(AKAIWA Kanae) 同志社大学理工学部   谷口 雄大(TANIGUCHI Yudai) 同志社大学大学院理工学研究科   近藤 弘一(KONDO Koichi)

概要 逆固有値問題の1つとして,指定した要素と固有値をもつ行列を構成する問題が知られている.本稿では,特に 3重対角行列に対して,全固有値と,左上から順に一部の要素を指定する逆固有値問題の解法を離散戸田方程式を用い て提案する.指定する固有値が重複固有値の場合についても示す.

1 はじめに

与えられた行列に対して,固有値および固有ベクトルを求める固有値問題は,理学・工学において非常に重要な話題 であり,盛んに研究されている.逆固有値問題とは,固有値問題の逆問題であり,行列の固有値や構造といった性質に より種々の小問題に分類される.特に,指定された固有値をもつ3重対角行列を構成する問題は, 逆スツルム・リウ ヴィル問題,極の配置問題,マス-バネモデルの構成など幅広い分野に現れる[4].最近では,直交多項式理論に基づき 特殊な構造をもつ3重対角行列の逆固有値問題が議論されている[5].

逆固有値問題の1つとして,行列の固有値だけではなく要素の一部も指定する問題がある[4].この問題はある種の 補完問題であり,例えば,m次の対称な3重対角行列の場合,非零である2m1個の要素のうちm−1個の要素を指 定するので,m−1個の要素を補完する問題となる.

本稿では以下の問題を考える.

問題 1(3重対角行列の要素の一部と固有値を指定する逆固有値問題). 2つの2重対角行列の積で表せる3重対角行列

T =



 1 e1 1

. .. . .. em−1 1









q1 1

q2 . .. . .. 1

qm





=





q1 1

q1e1 q2+e1 . ..

. .. . .. 1

qm1em1 qm+em1





を考える.m個の固有値,および(2重対角行列の)要素をq1, e1, q2, e2, . . . の順にm−1個指定する.そのような固 有値と要素をもつT を求めよ.

例えば,m= 5のとき,固有値を5,4,3,2,1,要素をq1=e1=q2=e2= 2と指定する.このとき,次の3重対角 行列Tは問題の条件を満たす.

T =







1 0 0 0 0

2 1 0 0 0

0 2 1 0 0

0 0 334 1 0 0 0 0 2851 1













2 1 0 0 0

0 2 1 0 0

0 0 54 1 0 0 0 0 343 1 0 0 0 0 3617







=







2 1 0 0 0

4 4 1 0 0

0 4 134 1 0 0 0 16516

37 12 1 0 0 0 569 83





 .

以下では,離散戸田方程式を用いた問題1の解法を提案する(cf. [1]).この手法は,指定する固有値が重複する場合 や複素数の場合でも適用可能である.

1

(4)

2 離散戸田方程式と固有値問題

離散可積分系の代表的な方程式の1つに(有限)離散戸田方程式[12, 7]

q(n+1)k +e(n+1)k1 =qk(n)+e(n)k , qk(n+1)e(n+1)k1 =qk+1(n)e(n)k , (1) e(0)0 0, e(n)m 0, k= 1,2, . . . , m1, n= 0,1, . . .

がある.ここで,kは空間変数,nは離散時間変数である.離散戸田方程式(1)は,m次3重対角行列

T(n)=L(n)R(n), (2)

L(n)=



 1 e(n)1 1

. .. . .. e(n)m1 1



, R(n)=







q(n)1 1 q(n)2 . ..

. .. 1 q(n)m







(3)

の固有値問題と関連づくことが知られている.離散戸田方程式(1)は3重対角行列T =T(0)の固有値計算法である quotient-difference (qd)法[9, 10, 6]の漸化式と等価である.(1)の解qk(n), e(n)k

q(n)k =τk(n+1)τk−1(n) τk(n)τk−1(n+1)

, e(n)k =τk−1(n+1)τk+1(n) τk(n)τk(n+1)

, τk(n)=

fn fn+1 · · · fn+k−1 fn+1 fn+2 · · · fn+k

... ... . .. ... fn+k1 fn+k · · · fn+2k2

(4)

と表される.ただし、fnは任意関数である.

非零の定数λ1, λ2, . . . , λmCを根にもつモニックな多項式 p(z) = (z−λ1)(z−λ2)· · ·(z−λm)

=zm+a1zm1+a2zm2+· · ·+am−1z+am (5) を導入しよう.多項式(5)に現れるa1, a2, . . . , amを係数にもつ線形方程式

fn+m+a1fn+m1+am1fn+m2+· · ·+am1fn+1+amfn= 0 (6) を定義する.線形方程式(6)を満たすfnを要素にもつ行列式τk(n)について,τm+1(n) = 0となることは,行列式の多重 線形性からただちに示せる.

ここで,k次の多項式

ϕ(n)k (z) :=τk(n)(z) τk(n)

, τk(n)(z) :=

fn fn+1 · · · fn+k−1 1 fn+1 fn+2 · · · fn+k z

... ... . .. ... ...

fn+k1 fn+k · · · fn+2k2 zk1 fn+k fn+k+1 · · · fn+2k1 zk

を導入する.このとき,クリストフェル変換

(n+1)k1 (z) =ϕ(n)k (z) +q(n)k ϕ(n)k1(z), k= 1,2, . . . , m, n= 0,1, . . .

とジェロニマス変換

ϕ(n)k (z) =ϕ(n+1)k (z) +e(n)k ϕ(n+1)k−1 (z), k= 1,2, . . . , m, n= 0,1, . . .

から以下の関係式が導かれる[11, 8].

R(n)Φ(n)i =λiΦ(n+1)i , i= 1,2, . . . , m, n= 0,1, . . . , (7) L(n)Φ(n+1)i = Φ(n)i , i= 1,2, . . . , m, n= 0,1, . . . . (8)

ただし,Φ(n)i := (ϕ(n)0i), ϕ(n)1i), . . . , ϕ(n)m−1i))Tである.式(7)および(8)から,以下が成り立つ.

(5)

定理 1(3重対角行列の固有値問題[6, 8]). 列{fn}n=0,1,...から得られるqk(n), e(n)k がwell-definedであるとき,(2)お よび(3)で定まる3重対角行列T(n)とベクトルΦ(n)i は以下を満たす:

T(n)Φ(n)i =λiΦ(n)i , i= 1,2, . . . , m, n= 0,1, . . . .

定理1は以下のことを意味している;固有値λ1, λ2, . . . , λmから決まるモニック多項式(5)と同じ係数をもつ線形関 係式(6)を満たす,fnを初期値f0, f1, . . . , fm1から与える.このとき,qk(n)e(n)k を離散戸田方程式(1)を用いて 計算すれば,T(n)は固有値λ1, λ2, . . . , λmをもつ.

3 固有値および要素が指定された逆固有値問題

ここでは,指定されたm個の固有値とm−1個の要素をもつm次3重対角行列を構成する逆固有値問題(問題1) を考える.定理1を踏まえると,問題1の解は次の手順で求められる.

m次の3重対角行列のm個の固有値λ1, λ2, . . . , λmと要素をqk(0), e(0)kq(0)1 , e(0)1 , q(0)2 , e(0)2 , . . . の順にm−1個指 定する.具体的には,m個の固有値λ1, λ2, . . . , λmと以下を指定する:

{q1(0), e(0)1 , q(0)2 , e(0)2 , . . . , q(m−2)/2(0) , e(0)(m−2)/2, q(0)m/2, (m: 偶数),

q1(0), e(0)1 , q(0)2 , e(0)2 , . . . , q(m(0)1)/2, e(0)(m1)/2, (m:奇数).

ただし,指定するqk(0)e(0)k は非零とする.このとき,離散戸田方程式(1)をn→n+ 1の時間方向の発展を与える形

q(n+1)k =qk(n)+e(n)k −e(n+1)k1 , e(n+1)k = q(n)k+1

qk(n+1)e(n)k , e(n)0 0 (9)

で用いて,以下を求める.

























q(1)1 , q1(2), . . . , q(m1 2) e(1)1 , e(2)1 , . . . , e(m1 3) q(1)2 , q2(2), . . . , q(m2 4) e(1)2 , e(2)2 , . . . , e(m−5)2

· · ·

q(1)(m2)/2, q(2)(m2)/2 e(1)(m2)/2

(m: 偶数),

























q1(1), q(2)1 , . . . , q1(m2) e(1)1 , e(2)1 , . . . , e(m1 3) q2(1), q(2)2 , . . . , q2(m4) e(1)2 , e(2)2 , . . . , e(m−5)2

· · ·

e(1)(m3)/2, e(2)(m1)/2 q(m(1)1)/2

(m: 奇数).

式(4)から得られるq1(n)=fn+1/fnに基づき,f1,f2,. . .,fm1を漸化式 fn+1=fnq1(n)

により求める.ここで,初期値のf0は非零であればなんでもよいが,ここではf0 = 1とする.こうして得られたf0, f1,. . .,fm1を初期値として,線形関係式(6)を用いて,fm,fm+1,. . .,f2m1を求める.

続いて,(4)から得られる

q1(n)=fn+1

fn

, n=m−1, m, . . . ,2m2 (10)

を用いて,q1(m−1),q1(m),. . .,q1(2m−2)を求める.離散戸田方程式(1)をk→k+ 1の空間方向の発展を与える形

e(n)k =qk(n+1)+e(n+1)k1 −qk(n), qk+1(n) = e(n)k q(n+1)k

q(n+1)k (11)

で用いて,残りの

{q(0)(m+2)/2, e(0)(m+2)/2, q(0)(m+4)/2, e(0)(m+4)/2, . . . , q(0)m1, e(0)m1, qm(0), (m:偶数),

e(0)(m+1)/2, q(0)(m+3)/2, e(0)(m+3)/2, . . . , q(0)m−1, e(0)m−1, qm(0), (m:奇数)

3

(6)

e(1)0

e(2)0

e(3)0

e(4)0 0 =

0 =

0 =

0 =

q1(0)

q1(1)

q1(2)

q1(3)

q1(4) e(0)1

e(1)1

e(2)1

e(3)1 q2(0)

q2(1)

q2(2) e(0)2

e(1)2

q(0)3 T =T(0)=



q1(0) 1 0

q(0)1 e(0)1 q(0)2 +e(0)1 1 0 q2(0)e(0)2 q3(0)+e(0)2



図1 m= 3の場合の行列T =T(0)を構成する手順.実線の丸で囲まれたq(0)k , e(0)k は指定する要素,点線の四角 で囲まれたqk(n), e(n)k は式(9)によって求められる変数,実線の四角で囲まれたq1(n)は式(10)で求められる変数,

囲いのないq(n)k , e(n)k は式(11)によって求められる変数である.灰色の丸でマークされているqk(0), e(0)k から行列 T =T(0)を構成する.

を求める.こうして求まったq1(0), q(0)2 , . . . , qm(0)e(0)1 , e(0)2 , . . . , e(0)m1を(2)に代入すれば,所望のm次3重対角行列 T =T(0)が得られる.

以上の手順をAlgorithm 1にまとめる.図1は,行列サイズm= 3の場合の行列T =T(0)を構成する手順を示し Algorithm 1指定した固有値および要素をもつ3重対角行列の構成法

Input: 行列サイズm,非零の固有値λ1, λ2, . . . , λm,2重対角行列L(0)R(0)の非零要素

qk(0)fork= 1,2, . . . , m/2,e(0)k fork= 1,2, . . . ,(m2)/2(m: 偶数)

qk(0), e(0)k fork= 1,2, . . . ,(m1)/2(m: 奇数)

Output: 指定された固有値λ1, λ2, . . . , λmと要素をもつ3重対角行列T =T(0)

1: n= 0,1, . . . ,2m2に対して,e(n)0 = 0とする.

2: n= 1,2, . . . , m2に対して,以下を繰り返す:

k=+ 1 mod 2,= 1,2, . . . , m−n−1に対して,以下を繰り返す:

+ 1 mod 2 = 0のとき,q(n+1)k =e(n)k +qk(n)−e(n+1)k−1

+ 1 mod 2 = 1のとき,e(n+1)k =qk+1(n)e(n)k /q(n+1)k

3: f0= 1とし,n= 0,1, . . . , m1に対して,fn+1=fnq1(n)を計算する.

4: p(x) = (x−λ1)(x−λ2)· · ·(x−λm) =xm+a1xm−1+· · ·+am−1x+amの係数a1, a2, . . . , amを求める.

5: n=m, m+ 1, . . . ,2m1に対して,fn=m

i=1aifniを計算する.

6: n=m, m+ 1, . . . ,2m2に対して,q1(n)=fn+1/fnを計算する.

7: 残りのq(0)k , e(0)k を求めるために,以下を繰り返し計算する:

e(n)k =e(n+1)k1 +q(n+1)k −q(n)k

qk(n)=e(n+1)k1 qk(n+1)1 /e(n)k1

8: 式(2), (3)からT=T(0)を生成する.

ている.

注意. [1, 2, 3]では,指定された固有値をもつm次行列を求める逆固有値問題を考えている.特に,固有値がすべて相

(7)

異なる3重対角行列の場合には,線形方程式(6)を満たすfnを一般解

fn=c1λn1+c2λn2+· · ·+cmλnm=

m i=1

ciλni

の形で与えている.ただし,c1, c2, . . . , cmは非零の任意定数である.本稿では,fnを決めるために,c1, c2, . . . , cmを 与える代わりに,m−1個のq(0)1 , e(0)1 , q2(0), e(0)2 , . . . を与えて,そこからf0, f1, . . . , fm−1を決めている.c1, c2, . . . , cm

f0, f1, . . . , fm1の間には



 f0

f1

... fm−1



=





1 1 · · · 1

λ1 λ2 · · · λm

... ... . .. ... λm−11 λm−12 · · · λm−1m







 c1

c2

... cm





という関係があるので,c1, c2, . . . , cmを与えることとf0, f1, . . . , fm−1を与えることは等価である.

固有値が重複する場合は,相異なる固有値をλˆ1ˆ2, . . . ,ˆλN,それぞれの代数的重複度をm1, m2, . . . , mN (m1+ m2+· · ·+mN =m)とおくと,線形方程式(6)の一般解は

fn=

N i=1

mi1 j=0

ˆ c(j)i

(n j )

λˆn−ji

と表すことができる.ただし,ˆc(j)i は非零の任意定数である.この場合も同様に,ˆc(j)i を与えることとf0, f1, . . . , fm1

を与えることは等価である.

Algorithm 1は,指定された固有値が重複固有値の場合も適用可能である.ただし,構成される行列Tは,固有多項

p(x)が最小多項式と一致するような3重対角行列となる.言い換えると,相異なる固有値ˆλ1,ˆλ2, . . . ,λˆNの幾何的 重複度はすべて1になる,すなわち,代数的重複度がm1, m2, . . . , mNであるとき,T のジョルダン標準形Jは以下 で与えられる:

J= diag(J1, J2, . . . , JN), Ji=





 ˆλi 1

λˆi . .. . .. 1

ˆλi





Cmi×mi.

詳しい証明は[1]を参照されたい.

4 数値例

本節では,いくつかの数値例を挙げる.実行環境はMac OS X 10.11.6,使用したソフトウェアはMathematica11.2 である.

最初の例は,共役な複素固有値をもち要素がすべて実数の場合である.行列サイズはm = 4,固有値はλ1 = 1 +i, λ2 = 1−i, λ3= 2i, λ4=2i,指定する要素はq1(0)=e(0)1 =q(0)2 = 1とする.このとき,Algorithm 1によっ て構成される3重対角行列T1=T1(0)は,以下である:

T1=



1 0 0 0

1 1 0 0

0 15 1 0 0 0 135 1





1 1 0 0

0 1 1 0

0 0 13 1 0 0 0 138



=



1 1 0 0

1 2 1 0

0 15 2 1

0 0 5 1



.

次の例は,複素固有値をもち,さらに要素に複素数が現れる場合である.行列サイズはm = 4,固有値はλ1 = 2 +i, λ2= 2i, λ3= 1−i, λ4=−i,指定する要素はq1(0)=e(0)1 =q2(0)= 1とする.このとき,Algorithm 1によって

5

(8)

構成される3重対角行列T2=T2(0)は,以下である:

T2=



1 0 0 0

1 1 0 0

0 7 + 6i 1 0

0 0 202425111425i 1





1 1 0 0

0 1 1 0

0 0 98178617i 1 0 0 0 1925+8i25



=



1 1 0 0

1 2 1 0

0 7 + 6i 2117+1617i 1 0 0 4102891130289i 2117+171i



.

最後の例は,重複固有値をもつ場合である.行列サイズはm= 5,固有値はλ1=λ2=λ3= 2, λ4=λ5=1,指定 する要素はq1(0)=e(0)1 =q(0)2 =e(0)2 = 1とする.このとき,Algorithm 1によって構成される3重対角行列T3=T3(0) は,以下である:

T3=





1 0 0 0 0

1 1 0 0 0

0 1 1 0 0

0 0 9 1 0 0 0 0 65 1









1 1 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 2 1 0 0 0 0 5 1 0 0 0 0 45





=





1 1 0 0 0

1 2 1 0 0

0 1 3 1 0

0 0 18 4 1

0 0 0 6 2





.

5 おわりに

本稿では,指定されたm個の固有値と,左上から順に指定されたm−1個の要素をもつようなm次3重対角行列 を,離散戸田方程式を用いて構成する方法を示した.提案手法は,固有値が重複する場合や複素固有値をもつ場合も適 用可能である.今後は[2, 3]を基に,3重対角行列だけではなく,ヘッセンベルグ行列や帯行列などより一般の構造を もつ行列に対しても,固有値と一部の要素を指定した逆固有値問題の解法を離散可積分系を用いて開発していく.

謝辞

本研究の一部はJSPS科研費JP17K18229の助成を受けたものです.

参考文献

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[2] Akaiwa, K., Nakamura, Y., Iwasaki, M., Tsutsumi, H. and Kondo, K., An finite-step construction of totally nonnegative matrices with specified eigenvalues,Numer. Algor.,70(2015), 469–484.

[3] Akaiwa, K., Nakamura, Y., Iwasaki, M., Yoshida, A. and Kondo, K., An arbitrary band structure construc- tion of totally nonnegative matrices with prescribed eigenvalues,Numer. Algor.,75(2017), 1079–1101.

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[8] 中村佳正,可積分系の機能数理,共立出版,2006.

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Math. Gen.,30(1997), 8727–8737.

[12] Toda, M.,Theory of Nonlinear Lattices. Second Edition, Springer-Verlag, Berlin, 1989.

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参照

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