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ソーシャルデザインによる企業価値の創出に関する研究

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Academic year: 2021

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ソーシャルデザインによる企業価値の創出に関する研究

­企業価値の創出の手法とその有効性について­

A Research on Creation of Corporate Value by Social Design

-Method of Creation of Corporate Value and This Effectiveness-

1W120190-2 工藤恭介   指導教員 長幾朗 教授  KUDO Kyosuke      Prof. CHOH Ikuro

概要: 時代の移り変わりとともに、企業の果たすべき役割は常に変化し続けてきた。しかし企業はこれから「商品」や

「サービス」の提供のみならず、社会貢献や社会問題の解決を目指すソーシャル・デザインに積極的に取り組み、それ によって企業価値を高めていく必要がある。また消費者はそういった企業価値を、商品を選ぶ基準の一つにするべきで ある。そのためには消費者の意識改革と、企業価値を消費者に認知させるための手段が必要である。企業の社会活動を 伝播することは、社会に貢献するとともに、企業価値を創出することにも連接する。本研究では、社会活動情報の標準 化、公共化を図ることを目的として、「ソーシャル・デザイン認定機構」という第三者機関の公認とすること、そして これらの公認を顕在化するため、「ソーシャル・デザイン公認マーク」を提案した。第三者機関の認定により客観的な 企業価値の評価や査定を可能とした。

キーワード:企業価値、ソーシャル・デザイン、社会貢献、広告

keywords: corporate value, social design, social contribution, advertisement

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っており、世界中で様々な取り組みが行われている。 

例えば、Volvicの”1L  for  10L”プログラムは、汚れた水 を飲まざるを得ない状況にある子どもたちの命や健康を 守ることを目的として毎年実施されている。ボルヴィッ クブランド全商品が対象で、商品の購入1リットルごと にアフリカ・マリ共和国に清潔で安全な水が10リットル 生まれるというもので、期間中の出荷量に対して、売上 の一部が日本ユニセフ協会を通じてユニセフマリ事務所 に寄付され、井戸作りや壊れた井戸の修復、その後の10 年間のメンテナンス、水と衛生に関する事業の支援活動 に役立てられている。KIRIN公式HPの発表によると、

2007年から2015年で合計4,737,322,606Lの分の支援を 行ってきた。このプログラムは、企業が直接支援金を寄 付するのとは異なり、アフリカの水と衛生に関する問題 に対する関心と理解を高めることを目的の一つとしてい る。実際、2011年に行った消費者アンケートによる と、プログラムの認知者の75%がアフリカの水問題への 関心が高まったと答えた。

1. 企業価値と日本の課題

  本論文では、企業の資産や収益、株価などの金銭的な 評価ではなく、企業が社会にどれだけ貢献しているか、

社会においてどういった役割を果たしているか、といっ た企業の社会的な役割や貢献度を「企業価値」として定 義した。

  また、日本企業のブランド価値やグローバルな認知が 成されない理由のひとつとして、企業が社会的活動や事 業に積極的でないことが言われている。例えば、世界の 中でも豊かな国の一つであるはずの日本は、先進国と呼 ばれる国の中で最も他人に対して冷たい国であるという ことが2014年版の「世界寄付指数」”World  Giving  Index”によるデータから明らかになった。[1]

2. ソーシャル・デザイン

  まずソーシャル・デザインとは、社会が抱える課題の 本質を捉え、その解決策を練り、その実現に向けて形に していくことと定義した。この考え方は世界各国で広ま

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ージをわかりやすく、そして印象的に視覚化したもので ある。臓器提供により人命を救うという、日常生活では 馴染みのないものに具体的なイメージを与えた一枚だ。

図1 臓器ドナーの公共広告(出典:Adgang)

4. 提案

  企業の社会事業や公共サービスの域を拡げ普及するた めには、標準化された情報の共有が重要である。そのた め「ソーシャル・デザイン公認マーク」及び「ソーシャ ル・デザイン認定機構(第三者機関)の設立」を提案し た。企業の社会活動を伝播することは、社会に貢献する とともに、企業価値を創出することにも連接する。そこ で本提案では、第三者機関の認定により客観的な企業価 値の評価や査定を可能とした。現在の広告にこれらの概 念を加えたものを、社会に作用するソーシャルメディア と呼びたい。今後の展望としてはマークの認定基準の厳 格化を行い信頼度を高める施策をとること、適正表示の 取り組みを強化し適正表示及び罰則の規定について企業 の理解を得ること、マークデザインのコンペティション などを開催し、消費者に親しみやすいマークを選定する ことに考察を進めていく。これらの基底には、企業の社 会的認知を促す社会活動や公共的サービスへの参画が求 められている。

参考文献

[1]CAF(Charities Aid Foundation)「世界寄付指数」

(https://www.cafonline.org/)2015/11/10 [2]電通「2012年 日本の広告費」(http://

www.dentsu.co.jp/knowledge/ad̲cost/2012/)

2013/6/6

[3]広告の機能と役割研究委員会「成熟した消費者の広 告観」 社団法人 日本広告業界 1994/7

[4]Adgang(http://adgang.jp/wp-content/uploads/

2014/07/140701̲01̲organ-1.jpg)2014/7

3. 広告

 企業の社会活動を伝播することは、社会に貢献すると ともに、企業価値を創出することにも連接する。一方、

企業情報においては、広告がその役割を担っている。し たがって、現在企業はどのような企業価値や商品価値の 創出を目指しているのか、また消費者が企業や商品をど のように捉えているのかを考察するには、現在の広告に ついて調査することが必要不可欠である。

  広告の現状としては以下のように示されている。

「2012年(平成24年1−12月)の日本の総広告費は5兆 8,913億円、前年比103.2%であった。総広告費は、

2008年の米国金融危機に端を発した世界同時不況を背 景に減少に転じ、2008年(前年比95.3%)、2009年

(同88.5%)、  2010年(同98.7%)、2011年(同 97.7%)と4年連続して前年実績を下回ったが、2012年 は東日本大震災の反動増もあり、5年ぶりに前年  実績を 上回った。」(電通、2013)[2] 

  また日本広告業界が行った調査によると、「『広告が なくなると、その分商品、サ−ビスの価格がさがるか ら、広告は不要である。』という意見に賛成する消費者 は約13%、反対する消費者は約46%であった。一方、

『広告があるので、新聞、雑誌の価格が安くなり、民放 テレビ、ラジオを無料で視聴することができる』という 意見には賛成が約80%、反対が約4%であった。」[3]

  このように広告は、製品や企業情報の流通に留まら ず、企業の社会的認知を培い、公共性を促す機能を果た している。また広告料を削減することは、製品製造や流 通経費の削減にも繋がるが、その一方で企業情報を適正 に伝え、企業価値を形成しているメディアのひとつもま た広告である。

3. 広告とソーシャル・デザイン

 近年、社会事業と広告は密接な関係を持っている。社 会問題の解決を考えるソーシャルデザインに近いものと して公共広告がある。公共広告とは、広告の持つ強力な 訴求力や説得力を公共的・社会的問題の解決に役立てる 目的で、公的機関や民間組織が展開している広告コミュ ニケーション活動である。例えば図1[4]は臓器ドナーの 重要性を訴える公共広告である。臓器ドナーになれば、

それによって7人の命を救うことができるというメッセ

参照

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