中国における専利権司法保護の新たな進展
中国最高法院審判(裁判)委員会委員 民事第三法廷裁判長、法学博士 蒋 志培
小谷 悦司
1(監修)
江草 裕子
2(訳)
WTO加盟後の中国専利権司法保護発展の状況について、紹介する機会を得、光栄に思う。
(注:専利とは、特許、実用新案、意匠をまとめて称する語である。)
一 WTO加盟後、中国においては、専利等知的財産権の司法保護が大きく進んだ
中国の専利保護は1958年に始まり、19年が経過した。WTO加盟後3年になる。この間、法院(裁判 所)の専利保護もかなりの進展があった。中国は、WTO加盟前から、TRIPs協定の精神に基づいて、
専利法、著作権法、商標法等知的財産権関連法を改正してきた。TRIPs協定は、今、これら中国の法 律を通じ、法的効力を発生するに至っている。TRIPs協定は、法院に提訴する際の素因にはなり得ず、
判決にTRIPs協定が引用されることもないが、中国の法律はTRIPs協定の精神を反映しているので、
司法実務上、TRIPs協定が執行されているといえる。
中国の専利法は、日本の特許法に比し、条文が少なく簡単である。中国最高人民法院は、専利法 の執行のため、多くの司法解釈を示している。中国の最高人民法院と日本の最高裁判所には違いが あり、中国最高法院には、法を解釈するという特殊な権限がある。この司法解釈とは、実際の裁判 において、どのように法を適用するかを示すものである。最高法院の司法解釈は、全国の下級人民 法院に対し効力を有し、下級の法院はこれを遵守しなければならない。最高法院の司法解釈は、専 利司法保護体系において、実際に適用されているが、まだ不足の点も多い。裁判官は専利事件の経 験がまだ少なく、新しい問題が多いが、積極的にかつ創造力を持って取り組んでいるので、安心し ていただきたい。
中国にとって、WTO加盟と知的財産権保護は不可分のものである。加盟に際しては、中国の法律と 法執行状況が審査された。WTO加盟後、中国は市場経済を推進してきた。市場経済と知的財産権保護 も不可分である。
中国の改革開放政策の目的は、国民が安心して暮らし、他の民族と平和共存する、「小康(ややゆ とりある)社会を創ることである。このような社会や国家は、法制と知的財産権の保護を必要とす る。近年、中国の法院は、「公正と効率」及び知的財産権の保護に力を注ぎ、専利を含む知的財産権 の民事、刑事、行政事件を大量に審理してきた。2003年の統計によると、全国の法院が新たに受理 した知的財産権関連の一審、二審、再審の民事事件は9271件に上り、前年同期比で18.86%の増加と
1 弁理士 三協国際特許事務所 代表パートナー所長
2(有)科技中文翻訳社 E-mail;[email protected]
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なっている。結審は8978件と、これも25.36%の増加であった。これらの内、侵害事件が70~80%であ る。各種知的財産権事件の件数と増加率は、下表の通り。
2003年知的財産権紛争受理状況
専利 著作権 商標権 植物新品種 その他 計 受理件数 2110 2493 1093 100 3475 9271
前年比増加率% 1.39 36.68 30.98 194.11 70.51 18.86
1990年代以降、専利紛争事件が多かったが、ここ2年は著作権関連の事件(文字の作品、映画、
コンピュータソフト、ネットワーク上の著作権等)が最多となった。過去、商標権事件については、
国家工商行政部門による処理が多かった。その理由は、市場で侵害が発見されたとき、速やかに解 決するためであり、裁判で解決するものは少なかった。しかし、最近では裁判に訴えるケースが増 えており、例えば、商標権に係わる事件は、前年比30.98%増であった。
2003年、法院が結審した日本を含む外国関連事件は94件、香港関連事件58件、台湾関連事件42件 であるが、合計しても全事件の3%に過ぎない。中国国内で、知的財産権保護は外国企業のみ保護し ているとの声もあるが、私は外国関連事件が3%に過ぎないことを紹介している。外国企業は、侵 害に遭ったら是非提訴してほしい。
2003年、中国の法院は、知的財産権侵害罪として、551人に対し刑事処罰を与えた。そのうち、5 年以上の懲役が12人、5年以下の懲役が253人、拘留、監察処分等軽い刑罰が325人、合わせて罰金 刑を受けたものが419人であった。罰金刑のみは57人である。
中国は今、市場経済へと転換中であるが、国内一部地域において偽物、模倣品が横行している。
法院は、551人に対し知的財産権侵害として刑事処罰を与えたが、それ以外にも、非合法経営、模倣 品製造に対し、別の罰を与えている。これらの罪は知的財産権侵害と関連がある場合が多いが、刑 法の規定では、重い方の罪で処罰される。非合法経営等重い罪での処罰件数を加えるならば、前述 の500件をはるかに超える。米国人は、中国が刑法による知的財産権保護を行っていないと非難する が、中国では実際に毎年、400~500人が知的財産権侵害罪で投獄されている。
2004年末、最高法院と最高検察院は、連名で知的財産権の刑法保護に関する新たな司法解釈を発 表する予定である。その内容は、刑事罰に処する基準の引き下げである。発表後、知的財産権の刑 法による保護が、さらに進むだろう。中国はこのような規定を策定する場合、懲役刑が何人になる かということと、大衆が新技術、新情報を獲得する権利とのバランスを考慮する。
二 中国の法院の専利訴訟の管轄
中国には、約3000の地方法院と404の中級人民法院がある。法院の管轄とは、どのレベルの法院に 提訴すれば良いか、ということである。法律と司法解釈に関する規定によると、知的財産権事件は、
中級以上のレベルの法院で審理することとなっている。すなわち、それより下の法院、例えば、県
(日本の都道府県の下の行政階層)の法院に提訴はできない。理由は、①知的財産権関連事件が少な い。②知的財産権事件は、高い専門性が要求される。よって、裁判官の質が高い中級法院に集中し て、審理を行っている。
専利事件、植物新品種事件、IC回路配置事件は専門性がさらに高い。404の中級法院の内、最高法 院に指定された各地の48の中級法院が、専利事件等技術性の高い事件を審理している。
中国民事訴訟法の規定では、専利侵害行為による訴訟は、侵害行為地または被告居住地の人民法
院の管轄となっている。最高法院の解釈では、侵害行為地とは、侵害行為実施地及び侵害結果の発 生地であり、行為実施地とは、発明特許、実用新案権の侵害製品にあっては、その製造、使用、販 売の申し出、販売、輸入等行為の実施地、専利方法使用行為についてはその実施地、すなわち当該 専利方法によって直接獲得した製品の使用、販売の申し出、販売、輸入等行為の実施地、意匠製品 についてはその製造、販売、輸入等行為の実施地、さらに、他人の専利を模倣盗用する行為の実施 地である、となっている。権利者は、侵害行為に対し、48の法院の中から、行為実施地にある法院 を選び提訴する。訴訟前差し止め請求及び証拠保全請求も、この原則に従う。
三 中国の専利訴訟における訴訟前仮処分(訴訟前臨時措置)
改正専利法には、専利訴訟に係わる訴訟前差し止め等の仮処分が設けられた。仮処分は、提訴前、
提訴時、開廷前、訴訟審理中においても請求できる。中国最高法院は、訴訟前差し止めに関し、特 に司法解釈を設けている。以下、その大要について述べる。
(一)請求者及び請求が受理される条件
専利法第61条第1項の規定によると、権利者のみならず利害関係者も、請求を行うことができる。
利害関係者とは、専利実施許諾契約における被許諾者、専利財産権の合法的承継者等である。専用 実施許諾契約の被許諾者は、単独で請求を行うことができる。排他的実施許諾契約の被許諾者は、
権利者が請求しない場合において、請求を行うことができる。通常実施権の被許諾者も、権利者の 授権により差止め請求できるが、法院側としては、権利者と共に請求することを望む。なぜなら、
被許諾者が複数の場合、判決や手続き上、めんどうが多いからである。
請求の形式要件は、次の通り。請求者は申請書に差止め請求の範囲、理由等所定事項を記載し、
必要な証拠を添付する。実用新案権であれば、この外に専利行政部門が発行する調査報告書等(実 体審査がないので、これにより新規性を証明)を提出する。
(二)担保、追加担保、逆担保について
差止め請求者は、差止請求により相手方が損害を蒙る可能性があるとき、担保を差し出さねばな らない。もし、担保が不足の場合、担保を追加することもある。相手方からの逆担保によって、差 止め決定が解除されることはない。担保金には、差し止め対象製品の販売收入、合理的倉庫保管料、
及び被請求者がこの処分によって蒙るであろう損失額、及び所用人員の給与等であるが、これは訴 訟上の金額ではない。
(三)訴訟前仮処分の具体的実施方法
最高法院の司法解釈では、法院が請求を受け付けたら、48時間以内に書面にて裁定を行い、直ち に執行を開始しなければならない、と定めている。これは専利法の、財産保全は民事訴訟法に従う という規定によるもので、民事訴訟法は48時間以内に開始すると定めている。よって、裁判官はこ れに従わねばならないが、専利関係の48時間以内の差止めには、実務上多くの困難がある。よって、
最高法院司法解釈は、一方または双方の当事者を召喚して審訊の後、速やかに裁定を下すとの規定 を設け、裁判官と当事者にある程度の時間的余裕を与えている。商標権及び著作権の侵害ははっき りしているので、差止め判断がしやすいが、専利関連の差し止めは、その技術が設備の内部に存在 することがあるので、判断が非常に難しい。
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司法解釈によると、仮処分は一方的に行うことができる。すなわち、侵害者に通知も訊問もせず に、先に差止めを執行し、事後に訊問することができる。これは情報漏れを防ぐためである。同時 に、被請求者には、不服審判請求権が与えられているので、不服審判請求があったら、裁判官はこ れを審理し、もとの裁定を取り消すか否かの決定を行う。
権利者が仮処分を請求するに当たり注意すべきは、15日内に提訴等のアクションを取らない場合、
処分の裁定が取り消されることである。また、誤った請求により被請求者に損害を与えた場合、被 請求者は同一案件内で、または別件として提訴することにより、請求者に対し賠償を請求すること ができる。専利に係わる司法解釈より後の、版権法と商標法に関する司法解釈は、訴訟前の証拠保 全のみの請求が可能であると定めている。しかし、専利に係わる司法解釈はそれ以前であるので、
訴訟前証拠保全のみの請求ができない。よって、今の司法解釈では、仮処分請求と同時の証拠保全 請求しかできない。証拠保全は、時により仮処分請求よりも重要であり、リスクは仮処分請求より 小さい。中国の裁判官としては、証拠が十分でない場合は、のちの影響が大きいので、軽々に仮処 分請求しないようお勧めする。
どのような場合に差止め裁定を行うかと、聞かれることがある。原則は、司法解釈に則ることで あるが、経験上、30%の証拠を把握し、担保が十分なら、差止めや証拠保全の裁定になるといえる。
①権利者は、請求前に、事実と明確にし十分な証拠を集めておく必要がある。②裁判官に対し、も し仮処分が行われない場合、回復不能の甚大な損害を蒙ることを十分に訴える。このようにすれば、
裁判官の信頼を得ることができる。
四 中国の裁判官の専利権侵害行為に対する判断
中国専利法等の知的財産権法は、知的財産権を侵害する各種の行為に対し、列挙式の規定を作り、
知的財産権侵害行為認定の法定基準としている。中国著作権法第46条、47条は侵害行為に関する規 定である。著作権侵害の認定は、この二条に拠る。裁判官は、これらの法的基準に従い、認定フロ ーに基づき、侵害行為を認定する。中国の裁判において、弁護士や当事者同士で、ある問題につい て論争が続くことがある。しかし、裁判官はそうした論争に興味はない。というのは、こうした論 議は、事件の決定的キーポイントではないからである。
ここで、専利を含む各種知的財産権侵害の認定フローを紹介する。これは、裁判官の自由心証を 処理可能な思考経路として体系づけたものである。このフローにより、裁判官の内心の確信が、客 観的事実により良く合致することになり、また、裁判官と当事者が訴訟の流れを把握するのに便利 である。
基本的な認定フローは、以下7ステップから構成される。
第一ステップ:権利及び保護範囲を確定;
裁判官が最も関心を持つ点である。当事者と弁護士は、自らの権利がしっかりしたものであるこ とを裁判官に信じさせなければならない。
第二ステップ:その保護範囲における構成要素を分析;
権利が確定したら、その範囲を見極める。裁判官は通常、権利をいくつかの要素――いくつかの 独立請求項に分ける。これにより、範囲を確定する。
第三ステップ:被疑侵害物に対し、その権利実現範囲を確定;
権利実現範囲の確定とは、例えば、偽物の腕時計があった場合、直接「権利請求の範囲」と比較 はできないので、その侵害物が実現する範囲を「権利請求の範囲」の形式で書き出すことである(監 修者註:文章で侵害態様(イ号)を特定することを指しているものと思われる。)。これにより比較 が可能となる。
第四ステップ:被疑侵害物の権利実現範囲の構成要素を分析;
第五ステップ:両者の確定された範囲及び具体的構成要素を比較する;
比較の時、各構成要素毎に判断する原則(監修者註:エレメント・バイ・エレメント)を正確に 適用する。
第六ステップ:同一または類似の判断(監修者註:文言上の侵害、均等論上の侵害を指しているも のと思われる。)
第七ステップ:侵害と認定するか、非侵害と認定とするかを決定。
新任の裁判官が、または弁護士が資料提供時に、この認定フローを用いるならば、大きな誤りを 犯すことはない。
中国は、新たな専利の司法解釈において、専利侵害判断に対し均等論を用いることを規定した。
在席の皆様には、私が裁判長として関わった、均等論による侵害に関する判決文(最高人民法院民 事判決書(2001)民三提字第1号)をご覧いただきたい。これは、地方法院が最終判決を行ったのち に、最高法院がその誤りを発見し、当事者が最高法院に再審を申したてたものである。最高法院は、
この事件を最高法院にて審理すべき旨決定し、審理の結果、1、2審の判決を覆した。これは、中 国独特の「裁判監督」制度によるものである。
昨日、日本の最高裁を訪ねて話を伺ったが、羨ましい点があった。中国の最高法院では、事実に 対する判断を行わねばならないことがあり、当事者のこのような要求を受け入れなければならない からである。我われは、米国の裁判官のように、事件を選択することはできない。
五 中国専利訴訟の証拠
証拠は、訴訟の中心的問題である。専利事件における証拠は、往々にして数や種類が多く、技術 的専門性が高い。よって、一般の民事訴訟より、はるかに複雑である。権利者と弁護士は、最高法 院が定めた証拠に関する規定、並びに専利を含む知的財産権関連法及び司法解釈の知的財産権訴訟 に関わる特殊な規定にも注意していただきたい。
(一)新製品、方法に係わる発明特許侵害における挙証責任転換の問題
例えば、専利法第57条第2項には、新製品の製造方法専利に関し、挙証責任の転換についての規 定がある。すなわち、専利侵害事件においては、被告側が、その製品の製造方法が特許方法と異な ることを証明しなければならない。
例として、米国の製薬会社LILYが,江蘇省の製薬会社を訴えた専利侵害事件を紹介する。方法特 許を有するこの米国権利者の提訴に対し、被告は自社の医薬品の製造方法は侵害ではないが、これ は営業秘密であり、開示すると自らが不利な立場になると主張し、公開しなかった。1審は、被告 の秘密保持を認め、被告の方法の必要部分を開示させず、かつ証拠調べなしで、侵害を構成しない との判決を下した。これに対し、この米国企業は、証拠調べの手続きが法定手続きに違反している
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として、最高法院に訴えた。最高法院がまず行ったことは、裁判の非公開であり、当事者、代理人、
専門家証人以外は、すべて出廷させなかった。次に、当事者、弁護士が法廷で得た情報を漏らさぬ 旨の保証書を書かせた。これに反するとさらに重い罰が科せられる。また、被告に対しては、被告 の方法と原告の方法が異なることのみを証明させた。すなわち被告の製造方法すべての開示を、要 求しなかった。最高法院は審理の結果、以下のように判断した。1審が侵害を構成しないと認定す る事実が明らかにされない上、法廷では全ての証拠を調べなければならないという手続き規定にも 違反している。
この事件は、その後江蘇省高級人民法院に差し戻され、現在も再審理中である。本件は、侵害か どうかの結果にかかわらず、全ての証拠は証拠調べを行わなければ、判決の根拠にはなり得ないこ とを社会に示したものであるといえよう。
(二)挙証の期限と証拠交換
証拠については、証拠交換の手続きがある。中国も米国のdiscovery手続きを学んだが、その運用 は開廷前に当事者双方が証拠を交換し、裁判官にも証拠一式を提供するという形をとっている。裁 判官は、これにより双方の争点がどこにあるかを知ることができる。
次に挙証の期限について。法院は、当事者に対し事件受理通知書または応訴通知書を送達する時、
同時に挙証期限を指定する。この期限には留意すべきである。
裁判における技術問題を解決するためには、①専門家証人に事件の技術問題の解釈を行ってもら う。②コンサルタントを招請し、その分野における意見を述べてもらう。
六 中国専利訴訟における法的救済措置
第1番目の措置は永久的な差し止め、即ち侵害行為の禁止であり、判決文の第一項に、ある専利 権または商標権の侵害行為を停止せよ等と、書かれることが多い。
2番目としてさらに重要なのは損害賠償である。中国専利法第60条には、3種の損害算定方法が 規定されている。まず、権利者の損失または侵害者が獲得した利益を証拠に基づいて計算するが、
どちらも確定しにくい場合は、専利実施許諾料の倍数により合理的賠償金額を算定する。司法解釈 では、この倍数を1~3倍としている。
上述の計算方法によっても確定しにくい時、司法解釈によると、裁判官が事件の状況を勘案して、
5000元以上30万元以下、状況によっては最高50万元以下の賠償額を決定する、となっている。
また、権利者が調査、侵害差し止めのため支払った合理的費用は、賠償額に含めることができる。
このほか、状況によっては、合理的な弁護士費用を賠償額に算入することもできる。合理的な弁護 士費用の算定に当たっては、参照すべき規定がある。中国司法部は弁護士報酬の指導的基準を設け ている。この基準によれば、双方は約定によって弁護士費用を決めて良い。裁判官はこの基準と双 方の約定に基づき金額を決定するが、すべての事件において弁護士費用を賠償させるとは限らない。
七 専利不侵害訴訟の性質と管轄
過去、中国民事訴訟において、専利不侵害紛争(監修者註:わが国でいう差止請求権不存在確認
請求訴訟に相当するもの)はなかったが、WTO加盟後、発生するようになった。これは、権利者から の警告によって、経営活動に影響が発生したため、逆に不侵害確認を法院に請求するものである。
現在、中国で活動している米国や日本企業、さらには中国の企業も、このような訴訟に直面してい る。中国最高法院の通達文書は、専利訴訟における専利不侵害の訴えは、以下いくつかの法律問題 を包含していることを指摘している。
(一)不侵害確認訴訟において提起された訴因または条件
この種の訴訟も民事訴訟法の一般的民事提訴条件を満たすのはもちろんのこと、その他、原告は 被告が送付した侵害警告書、ファックス、e-メール等を受け取っていること、被告は合理的な期限 内にいかなる法的措置をも採らなかった、侵害警告により原告の経営に影響を及ぼし不安感を与え た、という条件を有していなければならない。もし、このような事実がなければ、法院は不侵害確 認の請求を受け付けない。
(二)専利不侵害訴訟の性質と管轄
最高法院は、不侵害訴訟も侵害訴訟の一種であると考えるので、侵害訴訟の法院地域管轄規定を 適用する。即ち、侵害行為地または被告住所地の法院の管轄となる。
もし、権利者が別の法院で侵害訴訟をすでに起こしていたならば、この2件は併合審理される。
これは、同一事実の事件が異なる法院において重複審理されることを避けるためである。最高法院 の通達は、併合審理に際し、事件は先に提訴があった法院に移送されると規定している。例えば、
日本企業が自動車の意匠に関し、侵害と不侵害の訴訟に関与しており、管轄法院が北京と河北省に 分かれていた場合、この時も先に提訴があった法院に移送するという原則が適用されるので、もし 北京が先であれば、北京高級法院で併合審理が行われる。
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専利権侵害から見た無効審判制度
中華人民共和国国家知識産権局 副局長 田 力普
小谷 悦司
1(監修)
江草 裕子
2(訳)
(注:専利とは、特許、実用新案、意匠をまとめて称する語、法院とは裁判所である。
国家知識産権局専利復審委員会は、日本特許庁の審判部にほぼ相当。)
本日、専利権侵害と無効審判手続きについてご紹介できることを喜んでいる。
5つに分けて紹介する。
一 専利権侵害と無効審判の関係 二 専利紛争の種類と受理の現状
(無効審判も紛争の一種であるので、専利紛争について触れ、関連統計データも紹介する。) 三 無効審判から見た専利権侵害を構成する要件
四 専利権侵害の抗弁
(無効申し立てに対し、被告はどのように抗弁するか。)
五 無効審判手続き
主催者と相談した結果、この5項の説明を短くし、残った時間で、中国政府の知的財産権保護と 法執行について、最新状況を紹介する。
一 専利権侵害と無効審判の関係
他人が専利権を侵害したと訴えることは、専利権者が専利権を行使する時によく見られる手段の 一つである。権利行使に当たって前提となるのは、専利権が合法的に有効であることである。中国、
日本とも同様であるが、侵害訴訟の被告が、対抗手段として無効審判請求を行い、権利の有効性に 疑義を申し立てることは、良く用いられる有効な抗弁手段である。よって、専利権侵害と無効審判 の関係は、非常に密接である。下表のように、ここ10年間に国家知識産権局専利復審委員会(日本 特許庁の審判部にほぼ相当)が受理した無効審判請求案件の多くは、侵害紛争と関係がある。
1 弁理士 三協国際特許事務所 代表パートナー所長
2(有)科技中文翻訳社 E-mail;[email protected]
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年度 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 無効審判件数 312 452 549 550 636 783 1194 1316 1752 1813 侵害と関係する件数 110 122 202 219 279 317 421 523 624 541 比率% 35 27 38.5 39.8 43.8 40.5 35.3 39.7 35.6 29.8
表が示すように、無効審判件数の約1/3から1/2が、並行して侵害訴訟が進行している。残りの2/3
~1/2も、潜在的に侵害を伴っている可能性がある。例えば、無効申立人は、実はそれ以前に権利者 からの警告状を受け取っており、相手が侵害で提訴する前に、先に無効審判請求したという場合も ある。また、個人あるいは企業が新製品を製造するため、文献検索を行う過程で、ある専利権が自 製品を脅かすと考えた場合、権利者が提訴する前に無効審判を請求する場合もある。この二つの潜 在的可能性を考慮した場合、両者は双子のように密接な関係にあるといえよう。
二 専利紛争の種類と受理の現状 1 特許紛争の5種の形態
上記の内の侵害紛争と行政紛争をテーマに説明する。行政紛争には、①復審委員会の無効審決に 不服、②強制実施許諾決定に不服、③行政復議(不服審判)決定に不服、の3種があり、いずれも 専利復審委員会または国家知識産権局を被告として、北京中級人民法院に訴えることができる。し かし、この3種の実際の件数には、大きな隔たりがあり、例えば、②強制実施許諾決定に不服の行 政訴訟はまだ1件もない。③の不服審判請求は年間十数件である。最多は①復審委員会の無効審決 に不服の申し立てであり、これは知的財産権侵害と密接な関係があるからである。
権利帰属紛争 契約紛争 行政紛争
出願権紛争 専利実施許諾 契約紛争 専利権譲渡
契約紛争
復審委員会の 無効審決に不服
行政復議(不服審 判)決定に不服 強制実施許諾 決定に不服 専利権
帰属紛争
真の発明者 確認紛争
その他の紛争 専利侵害紛争
専利紛争
2 専利紛争受理の現状
2000年 925件 2001年 977件 2002年 1442件 2003年 1514件
これは2000年から2003年の受理件数である。受理する件数は年々増加しており、受理した全ての 紛争の中、侵害紛争が大半を占める。
三 専利権侵害を構成する五つの要件
これは専利法第11条の規定によるものである。
1 特許権または実用新案権が付与されている。すなわち、権利付与前に他人の侵害を訴えること はできない。
2 権利者の許可を得ずに専利を実施した。
3 業としての生産を目的としている。科学研究、教育目的での実施は侵害とならない。
4 製造、使用、販売の申し出、販売、輸入を行った。うち、製造、使用、販売は1984年の専利法 で規定され、輸入は1992年改正法、販売の申し出は2000年改正法で規定された。
5 専利製品、またはその専利方法を使用し、及びその専利方法で直接得られた製品を使用、販売 の申し出、販売、輸入を行った。
以上の五つの項目は、専利権侵害を構成する必要十分条件であり、いずれの項目を欠いても侵害 を構成しない。
四 専利権侵害の抗弁
侵害を訴えられた被告は、法に従い、さまざまな手段によって抗弁を行うことができる。
1 実体法上の抗弁
原告は合法的権利者であるか。
専利は存続期間内であるか。
被疑侵害品(方法)は専利の保護範囲に属すか。
原告は立証責任を果たしたか。
- 12 - 2 その他の抗弁事由
専利の有効性に影響する事由として、最も重要な専利権の無効、専利権の効力が及ばない範囲で ある、均等侵害の抗弁、訴訟時効または懈怠等がある。
五 無効審判制度と手続き
6項に分けて説明する。
1 無効審判制度が設けられた目的と審判機構
2 専利復審委員会(日本特許庁審判部にほぼ相当)について 3 無効審判の審判原則
4 無効審判の審判方式 5 無効審決の類型
6 無効審決に対する司法救済
1 無効審判制度が設けられた目的と審判機構
⑴ 立法時における目的:マクロ的な立法の精神としては、公衆または利害関係者に権利の有効性 に疑義を提出する機会を与え、特許されるべきでない権利を無効にし、公衆の利益と権利者の利 益のバランスを図る。実務としては、無効請求によって侵害抗弁を行い、無効にならなくても相 手権利の範囲を減縮させる、または明確化することができる。
⑵ 審判機構:国家知識産権局専利復審委員会が無効審判請求の審判を担当する。
2 専利復審委員会について
最近、専利復審委員会の地位が変化した。2003年末まで、同委員会は知識産権局専利局の下部機 関であり、独立していなかったので、その機関が上部機関である専利局の査定を審判するという状 態は公正を欠き、イメージも良くなかった。これに対し、最高法院や北京市法院等の司法機関は、
専利復審委員会独立の提案を行った。政府はこの提案を受け、2004年初より専利復審委員会を専利 局から独立させ、国家知識産権局直属機関かつ独立法人とした。
専利復審委員会の主な職責は以下6項であるが、特に②が重要である。
①国家知識産権局の専利出願及び集積回路配置設計登録出願に対する拒絶査定に対する不服審判請 求の審判;
②専利権無効審判請求の審判;
③被告として審決取消訴訟の起訴に応訴;
④専利、集積回路配置設計の権利確認及び侵害技術判定に関する研究に参加;
⑤人民法院と専利管理部門の委託を受け、専利権確認及び専利権侵害案件の処理について諮問意見 を提供;
⑥集積回路配置設計専有権の取消案件の審判。
専利復審委員会の組織構造は、下図の通り。トップである主任は知識産権局局長が兼任。
各審判課は、査定に対する審判と無効審判を行う。
行政訴訟課は、専利復審委員会の決定に不服として提起された訴訟の行政被告として、北京市中 級人民法院に出廷、応訴する。
専利復審委員会の組織
次に専利法実施細則第64条2項に規定されている、無効審判請求における11の無効事由を列挙す る。
発明、実用新案及び意匠の定義に合致するか(細則第2条)
国家の法律、社会の公徳に違反するか(専利法第5条)
専利権を付与しない発明創造であるか(専利法第25条)
発明、実用新案の専利要件を満たすか(専利法第22条) 意匠の要件を満たすか(専利法第23条)
ダブルパテントに属すか(細則第13条1項)
明細書の公開は十分か(専利法第26条第3項)
権利要求書(クレーム)は明細書の記載にサポートされているか(専利法第26条4項)
補正は原明細書及び権利要求書に記載された範囲を超えていないか(専利法第33条)
先願主義(専利法第9条)
権利要求書は明瞭、簡潔に記載されているか(細則第20条1項)
必須の技術的特徴(必須構成要件)を欠いているか(細則第21条2項)
これらの内、最も多いのは、4番目の権利付与要件―新規性、進歩性、実用性を欠くという理由 である。次に多いのは、26条規定の、明細書の公開は十分か、クレームは明細書にサポートされて いるか、という事由である。今年7月、専利復審委員会は重要かつ影響の大きい無効審決を行った。
弁公室(秘書室)
意匠審判課
電気審判課
化学審判課
物理審判課
「立案」及びプロセス管 理課(立案:審判に付す るかどうかを決定、審判)
研究課
行政訴訟課 機械審判課
専利復審委員会
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これは、米国ファイザー社が出願したバイアグラ特許に対する、明細書の開示が十分でないことを 理由とする無効宣告である。同社はこれに対し不服を申し立て、今、一審で係争中である。現段階 において、無効審判請求は当事者が最も多く採用する抗弁の手段である。無効審判請求の案件は年々 増加する傾向にあり、最近10年間の無効審判請求案件の受理状況に関するデータを下表に示す。
最近10年間の無効審判請求案件の受理状況
年度 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 受理件数 312 452 549 550 636 783 1194 1316 1752 1813 増加率% 8.3 44.9 21.5 0.1 15.6 23.1 52.5 10.2 33.1 3.4
このように2003年は約1800件と、1994年の約6倍となっている。毎年の平均増加率は25%以上で ある。1999年以前の増加率は緩やかであるが、2000年以降は受理件数、結審数ともに大きく増加し た。2001年のWTO加盟に伴い、専利紛争が大きく増大している。この傾向を下図に示す。個人的には、
紛争の増加は悪いことではないと考えている。これは、中国の市場経済移行に伴い、日本等外国企 業と中国企業が法的手段により自らの権利を行使し、その利益を守ろうとしていることの表れであ る。経済活動が活発であるほど、知的財産権紛争が増えるのは当然であろう。
2 专 利 复 审 委 员 会 受 理 与 结 案 统 计 图
0 46 78
1232 1752
1935
0 4 30 142
2136 2187
113 163 292 346
502 503 503 622 750 840
968
2713 3626
1132
221 329 326 347 373 422 522
633
62 88
2852
2358
0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000
件
受理受 0 46 78 113 163 292 346 502 503 503 622 750 840 968 1232 1752 1935 2713 3626 案受
结 0 4 30 62 88 142 221 329 326 347 373 422 522 633 1132 2358 2136 2187 2852
1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003
受理件数
結審数 復審委員会の受理件数と結審した件数
最近10年間の無効審判請求における渉外案件に関するデータ
年度 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 受 理 件 数
312 452 549 550 636 783 1194 1316 1752 1813
渉 外 案 件
受 理 件 数 58 71 82 18 32 193 107 160 292 314 比 率 %
18.6 15.7 14.9 3.3 5.0 26.6 9.0 12.2 16.7 17.3
上表は、最近10年間の無効審判請求における外国に関係する事件のデータである。平均すると、
全受理件数の約15%が、外国関連事件である。このように、無効案件や侵害事件のほとんどは、中 国企業間で発生している。この外、中国での外資系企業同士の紛争も増える傾向にある。
下図は、無効審判請求のフローチャートである。
無効審判のフローチャート
無効審判を 請求
受領通知を発送 及び書類の転送
復審委員会
当事者に送達
審決が下される
口頭審理 審決維持
答弁意見 被請求人
請求人
合議体に
審決が確定
当事者不起訴
書面審理
審決に対する裁判の 確定判決
審決取消
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上のフローは概要であり、日本特許庁審判部の流れにほぼ相当するので、詳述しないが、一点だ け説明する。書面審理と口頭審理があるが、多いのは口頭審理である。それは、口頭審理では、当 事者とそれぞれの弁理士が、実際に復審委員会の合議庭において自らの意見を陳述し、理由を説明 できるからである。
3 無効審判請求の審理原則
(1)請求の原則――最も基本的な原則
①無効審判は、請求人の請求によって開始され、復審委員会またはその他行政機関が職権で開始す ることはできない。
②通常の場合、専利復審委員会は請求された理由についてのみ審理し、専利全体の有効性を審理す る義務はない。
③請求人が新たな無効理由または新たな証拠を補充したい場合、無効審判請求した日から1ヶ月以 内にそれらを提出しなければならない。1ヶ月後に提出された新たな証拠によって証明される新 たな無効理由、または新たな事実を証明するための証拠については、合議体はそれらを考慮しな い。これは、時間節約のためである。かつて次々と新たな理由や証拠を追加し、故意に手続きを 遅延させた当事者がいた。
④意匠権が他人が先に取得した合法的な権利と抵触するという理由で、意匠の無効審判が請求され た場合、この抵触問題が解決されない限り、専利復審委員会は裁定を行わない。
(2)職権調査の原則
①必要と認めた場合、合議体は職権によって当事者に指定期限内に主張した事実に対し、証拠の補 充を求めることができる。
②必要と認めた場合、合議体は、技術辞書、技術マニュアル、教科書等の所属技術分野における公 知常識の証拠を用いることができる。
③必要と認めた場合、特に、専利権に請求人が言及していない欠陥が存在し、請求人が請求した無 効理由だけでは有意な審理結論が得られない場合、合議体は職権によって請求人が言及していな い理由についても審理することができる。
但し、職権による調査はごくまれである。上記3項共に、「必要な場合」と限定している。
(3)一事不再理の原則
一件の専利権について、すでに無効審判の審決、または法院の判決が既に確定された場合、他人 が同一の理由及び証拠で新たに無効審判を請求した場合、専利復審委員会は当該請求を受理しない。
つまり、復審委員会がすでに審判し、法院が確認した結果、例えば、権利の維持、あるいは一部維 持という結果を、他人は必ず認めなければならない。
(4)当事者による処置の原則
①請求人は無効審判請求を、自ら取り下げることができる。
②請求人は無効理由と証拠を、自ら取り下げることができる。
③当事者は相手と和解することができる。
請求人が無効審判請求を取り下げるとき、同時に発生している侵害訴訟があるなら、専利権者は
この訴訟を取り下げることが多い。
④無効審判の審理において、専利権者は自発的にクレームを修正し、保護範囲を減縮することが認 められている。
(5)併合審理の原則
一件の重要かつ経済的利益に大きく関係する専利権に関し、複数の無効審判が請求された場合が ある。かつて一件の権利に対し、13件の無効審判請求が出された例もある。このような場合できる だけ併合審理を行うべきであり、全ての請求人が当事者となる。
無効審判において、専利権者は権利要求書(クレーム)を訂正することができるが、以下の原則 を守らなければならない。
①権利要求(クレーム)の主題名称を変更してはならない。例:元の保護対象が製品であるならば、
これを方法に訂正してはならない。
②権利要求書(クレーム)の保護範囲を拡大してはならない。すなわち、クレームの減縮か不明瞭 な記載の明確化しか許されない。
③元の明細書と権利要求書の開示範囲を超えてはならない。
④原則的に、権利が付与された権利要求書に含まれていない技術的特徴(構成要件)を、加えては ならない。
このように、訂正は厳格に制限されている。
5 無効審判請求の審決の類型は、以下の通り。
①専利権の全部を無効にする審決
②専利権の一部を無効にする審決(減縮訂正等)
③専利権の有効を維持する審決
6 無効審決に対する司法救済
復審委員会が下した審決に不服がある場合、どの当事者も北京中級人民法院に提訴することがで きる。被告は専利復審委員会である。この行政訴訟は2審制であり、1審は北京市第一中級人民法 院、2審は北京市高級人民法院となる。
以下、北京市のこの2法院が受理した専利行政事件の状況を紹介する。
2001年専利法が改正され、実用新案と意匠の行政決定を最終決定とする制度が廃止された。すな わち、発明特許を含むこれら3種の権利すべてについて、司法救済が行われることとなった。その 後、行政訴訟件数が大幅に増加した。
2001年より以前の約10年間、専利行政訴訟件数は全部で184件しかなかったが、2001年から2004 年前半まで、このような案件は計954件に達し、特に2004年は半年だけで約300件に達した。2002年 は232件、2003年は348件であった。
専利行政訴訟の提訴と判決の状況について。
- 18 -
無効審決を不服とする提訴率は約20%で、他国の提訴率とほぼ同様である。法院に提訴された案 件の中で,復審委員会の審決が取消されたものは約20%であるので、計算すると復審委員会の審決 が最終的に有効とされたものは、審決総数の95%以上であることがわかる。
補足。2001年以降、専利行政訴訟が急増した原因の一つは、専利法の2次改正により、元あった 取消し制度が廃止されたことである。すなわち、無効審判請求に一本化された。日本においても、
2004年1月1日施行の改正法において、元あった異議制度が廃止されたと承知している。この二者 は類似している。
以上予定のテーマについての説明を終えるが、最後の質疑応答の部分で、ぜひ質問していただき たい。喜んで、お答えする。
ここに、国家知識産権局HPのURLを、お知らせする。このサイトでより多くの情報をえることがで きる。www.sipo.gov.cn
最後に、中国の知的財産権保護と法執行の最新状況をご紹介する。
中国の知的財産権制度は、改革開放後序々に整備されてきた。最も早い商標法は1983年、専利法 は1984年、著作権法は1990年に制定された。今まで、約20年しか経っておらず、他国に比し、若い 制度だといえよう。日本の知的財産権制度はすでに100年以上の歴史があり、ドイツ、米国は200年、
イギリスは300年を越えている。
中国は知的財産権制度を実施して日は浅いが、急成長しつつある。2001年のWTO加盟以前に、その 法体系は国際ルールに合致するようになった。上記主要3法以外にも、不正競争防止法、植物品種 保護、コンピュータソフトウェアの保護、集積回路配置設計の保護、地理的表示等に関する法律・
法規が整備されてきた。
その他、知的財産権に関わる業務制度と機構も整備された。例えば、専利は国家知識産権局の所 管、商標は国家工商行政管理総局商標局の所管、著作権は国家版権局の所管となっており、林業局 や農業部もそれぞれ関連の知的財産権業務を所掌している。
中国の司法体系も、知的財産権の保護と法執行に大きな役割を果たしている。午前中に蒋裁判長 が、紹介した通りである。しかし、市場経済の発展と経済のグローバル化につれ、知的財産権保護 と法執行において、依然として大きな問題がある。
中国の企業、研究者、大衆の知財意識はまだ薄く、知的財産権侵害が頻繁に起こっている。中国 には、小谷先生も指摘されたように、独特の地方保護主義があるが、政府は知的財産権保護と法執 行の良い環境を作るべく、また発明者、権利者、外国の投資者の利益を守るべく、一連の措置を打 ち出した。
本年、国務院に、呉儀副総理をトップとする知的財産権保護指導グループが設置され、9月、呉 副総理は、知的財産権保護のみをテーマとする全国TV電話会議を開催し、今後1年間、特に知的財 産権保護に的を絞った活動を展開することを決めた。活動内容は以下の3項である。
①中国の企業、研究機関、大学の知的財産権の創造、管理、実施、保護の能力を向上させる。
②知的財産権保護の強化と、行政・司法の法執行の強化を図る。知的財産権侵害である。模倣品の
製造販売といった重要事件を取り締まる。
③訓練、教育、メディアの宣伝により、国民全体の知的財産権保護意識を向上させ、自らと他人の 知的財産権を尊重し、外国投資者の利益を守るという、社会の良好な雰囲気を醸成する。実は、
この点が最も重要である。
このため。国務院は本年10月、全国に6つの監査グループを派遣し、地方の知的財産権保護状況 を調査し、地方政府が知的財産権保護を強化するよう促した。外国側のこれらの活動に対する反響 は良好である。外国企業のトップも、中国政府の知的財産権保護に対する決意と確かな措置を知り、
中国への投資に対する自信が深まったと述べている。
しかし、知的財産権の尊重と保護は、長期にわたる任務であり、一年間のキャンペーンでは、一 部の問題しか解決できないので、さまざまな措置を引き続き実施していかねばならない。知的財産 権の保護は、大衆の意識と深く関わっている。中国は20年かけて、制度、法、機構を整備してきた が、国民、企業が知的財産権の重要性を認識し、社会の雰囲気を醸成するためには、20年では全く 足りない。しかし、中国は先進国レベルに達するために、100年、200年、300年は必要とせず、政府、
司法、各界の努力により、この期間は大幅に短縮されるであろうと信じている。そこに到達するま でには、多くの問題や紛争に直面するだろうが、互いの対話とコミュニケーション、そして今回の ようなセミナーや交流会により、相互理解が深まり、法の枠組みの中で問題が解決されていくだろ う。
最後に、国家知識産権局を代表して、一言申し上げる。皆様は企業人あるいは弁理士であり、中 国企業と関係があったり、中国との合弁企業を経営されている。多くの外国企業が、中国に大量の 特許出願をしているが、特に日本企業からの出願が最も多い。昨年の外国企業出願件数トップテン の内、7社が日本企業であった。中国市場は、今ますます外国からの注目を集めつつあり、出願件 数にそれが如実に表れている。よって、皆様の会社は、我が局の「お客様」であり、政府機関とし て出願を受理し審査するのも、皆様にサービスを提供しているのだと言える。出願件数が増加し続 ける中、審査期間を合理的な日数内に収めるよう、措置を採っている。お客様に満足頂けるよう、
さらに良質、迅速なサービスを提供しようとしている。一例を挙げると、今の特許証書は20年前に デザインされた折り畳み式の紙製であるが、来年は見栄えの良いデザインに一新する。
私どものサービスにご意見、批判があれば、いつでもご連絡いただき、改善に努めたい。
ご静聴に感謝する。
中国の弁護士から見た
中国知的財産権侵害訴訟の動向と注意すべき点
華誠法律事務所 シニアパートナー 中国弁護士・弁理士 徐 申民
小谷 悦司
1(監修)
江草 裕子
2(訳)
主催者からは、日本語でと要請されたが、講演には自分の日本語が不十分なので、中国語でお話 しする。内容は中国の弁護士から見た、中国の知的財産権訴訟の現状と、権利行使に当たって注意 すべき点である。前のお二人は、裁判官と知識産権局―行政からの講演だったが、私は弁護士の立 場から権利行使について述べ、補足とする。
一 中国知的財産権侵害訴訟の動向
1 中国の専利(特許、実用新案、意匠をまとめて専利と称する)と商標出願における変化。
これに関しては、蒋裁判長と田副局長から、出願件数の説明があったが、興味深い点がいくつか ある。
① 中国の職務発明の特許出願が、2002年から非職務発明の出願件数を超えた。これは、中国にと って非常に重要な変化である。1985年の専利制度発足以降ずっと、非職務発明の専利出願件数の 方が圧倒的に多かった。これが逆転したことは、少なくとも中国企業の専利重視度が高まったこ と、権利取得を強く希望するようになったことを示している。
② 1985年以降、発明特許の出願件数は、中国国内企業よりも外国企業の方が多かった。しかし、
2003年以降は国内企業からの出願の方が多くなった。
中国国内職務発明と非職務発明の出願件数
外国からの特許出願と中国国内の特許出願(件数)
2001年 2002年 2003年 外国からの出願 37,800 40,426 48,549 国内の出願 30,038 39,806 56,769
1 弁理士 三協国際特許事務所 代表パートナー所長
2(有)科技中文翻訳社 E-mail;[email protected]
2001年 2002年 2003年 職務発明 14,815 22,668 34,731 非職務発明 15,223 17,138 22,038
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これらの変化は、2002年から2003年にかけて起こった。この事実が物語るものは、中国企業全体 の技術水準が向上したこと、今後中国市場において中国企業と外国企業の技術面、製品面での競争 が激化するだろうということである。
2 外国企業が中国において権利を行使するケースが増えた。
①商標:私の知るところでは、また、クライアントの外国企業もいうように、一目でわかるよう な商標侵害が、かなり減った。その代わり、隠れた侵害が増えた。例えば、中国で生産し輸出する 等。このような輸出、外国での販売は、中南米や東南アジアに集中しているが、これらの国では法 制度が整備されていないことがある。よって、わがクライアントは、中国からこれら侵害行為を阻 止するように申し出てくる。しかし、中国での販売でないため、証拠収集が困難である。これは国 際的侵害であり、取り締まりも国際的になってくる。
商標に関するもう一つの変化は、文字や図案を少し変え、類似商標の形で販売がなされているこ とである。蒋裁判長が、今後の司法解釈により知的財産権の侵害基準―敷居を低くする、との話を されたが、中国において類似商標による侵害には刑法を適用しないので、刑法の敷居を低くしても、
類似商標による侵害の阻止には役立たない。
次の変化は、他社の有名商標を、その商標が未指定の商品に付したケースが増えたことである。
2~3カ月前、日本の有名企業の依頼により、浙江省嘉興にて模倣品調査を行った。そこでは、多 くの中国企業がその日本商標が指定登録していない種類の製品に、その商標を付けて販売していた。
このような侵害に対し、刑法を適用して差し止めることはできない。商標法は適用できるが、指定 登録していないので、商標法の保護は受けられない。よって、著名商標に関する規定によって阻止 するしかない。
②専利:外国企業は、ここ数年、中国企業による外国企業の専利侵害事件が増えていると考えて いるようだが、これは錯覚で、商標の侵害が減ったので、専利侵害が目立っているに過ぎない。そ れ以前にも専利侵害はあったが、商標侵害が多いので、そちらに注意力を奪われていたのであろう。
専利侵害にも最近変化があった。2~3年前までの侵害は全く同じものを作ることであったが、
最近の専利侵害事件から見ると、被告の技術が向上し、改良型の製品を製造している。よって、裁 判の過程で均等論の判断が必要なケースが出てきている。
中国の専利戦略が深化発展している。専利法施行十数年を経て、中国企業の専利に対する意識が 高まっている。すなわち、一つには中国企業の専利出願が増えた。二つ目は、ある程度の中国企業 は自社の知的財産権に関する規定制度を構築している。内容は、どのように発明を奨励し、実施し、
報奨を行うか等である。日本のそれと比べればまだ原始的であるが、すでに生命力を発揮しつつあ る。
今回は上海から中国CA便で大阪に来たが、機内雑誌で「華為」公司の「毎日6件の専利を生み 出し、すべて本物を作っている。」という広告を読んだ。また、2カ月前、上海近くの寧波のクライ アントを訪ねたが、そこは台所用品のメーカだが、知的財産権管理体系がすでにあり、年間100件の 専利を出願し、来年以降は200件以上になるだろうとのことであった。さらに、別の農業用噴霧器の メーカは、噴霧器だけで100件以上の専利が含まれている。
また、別の変化としては、中国企業は製品の開発と生産の過程において、他人の権利との抵触を 考慮するようになった。今年、当事務所の弁護士がクライアントの日本企業にお供して、広州交易 会に行った時のことである。そこである中国企業がエンジンを展示していた。実は、今年年初、同 社製品がこの日本企業の製品の権利保護範囲に入っているということで、警告書送り、交渉の結果、
このような製品は二度と作らないという念書を取り付けた。しかし、交易会でなお同様の製品を展 示しているのを見て、われわれは交易会の管理事務所に訴えたところ、事務官が現場に行き、「この 行為は中国の法律に違反している。作らないと約束したのになぜまだ作っているのか。」と指摘して くれた。しかし、相手方は「この製品はもう、日本側製品の権利保護範囲にはない。全面的に変え たのだ。自社の実用新案も2~3件入っている。」、そこで分解してみたところ、確かに権利保護範 囲外であった。
また別の変化としては、外国企業の中国における特許戦略が変化してきたことがある。専利出願 と権利行使のケースが増えたこと以外に、外資系企業同士の権利衝突が増加している。例えば、顧 客のある日本企業が中国において製品を製造しようと、まず情報をサーチしたところ、欧州企業が すでに出願しており(権利未付与)、その請求の範囲が日本企業の製品をすべてカバーしていること が判明した。よって、我われとこの日本企業は、特許請求範囲をどのように避けるかを相談した。
中国政府は知的財産権保護を強化しているが、これは国内企業と外国企業の知的財産権保護強化 の要求に応えたものである。専利紛争事件は年間2000件程度あるが、外国と関連する事件は3%以下 であり、中国国内の侵害事件が1600件以上である。このように多数の国内事件において専利権者が 権利行使をしているので、国内企業の知的財産権保護の要求も強いのである。昨年、中国商標出願 件数は48万件と世界最多であるので、この面からも保護の要求が高まっており、政府も努力を続け ている。
2002年の日本知的財産基本法制定に対し、中国の政府、企業、学術界は大きな衝撃を受けた。上 海市政府は2002年から、日本の知的財産基本法を研究した。これには上海市政府のみならず、上海 や他地域の学者、司法界、企業界も加わり、
2004年前半に「科学技術立“市”」戦略を打ち出した。
二 中国の知的財産権侵害訴訟において注意すべき点
注意すべき点は多いが、1.訴訟準備において注意すべき点 2.訴訟中に注意すべき点
3.司法ルートと行政ルートの比較 の3項にまとめた。
日本企業は、中国でどのように権利行使すべきかについて関心が高い。先日もある日本企業から、
権利行使したいがどうすれば良いか、敗訴の場合はどうするか等、100項目以上にわたる質問状を受 け取ったばかりである。
1 訴訟準備において注意すべき点
(1) 証拠の準備 (2) 警告書の活用
(3) 損害賠償 (4) 裁判の管轄 の順に説明する。
(1)証拠の準備
権利行使は訴訟が多いが、訴訟準備に注意すべき点は何か。
この段階で重要なのは、証拠の準備である。
①必要な証拠と不必要な証拠を区別する。
②必要な証拠をどのように収集するか。
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①の必要な証拠の一つは、権利が有効に存在することを示す証拠であり、専利証書、年金納付証 明、権利要求書(特許請求の範囲)、明細書等が挙げられる。その他、提訴するには、権利者である 法人が存在していることの証明が必要であり、日本では謄本である。その二は、侵害製品、どのよ うに侵害されたかを証明するもの、例えば、侵害製品の広告、侵害製品を購入した際の領収書等で ある。もし、損害賠償を請求するなら、中国の法規により損害を証明しなくてはならないので、損 害の程度、数量を示す証拠が必要となる。
②の証拠収集手段は次の通り。証拠収集は、侵害訴訟の核心の問題であり、ミスのないよう完璧 に収集しなくてはならない。侵害製品の取得手段は、通常、市場での購入である。販売されていれ ば購入できるが、先の例のように外国での販売であれば、購入が難しいし、大きな生産設備等は市 場で買えたとしても、高いので却って損である。これらの場合、市場での購入は現実的でない。
このような時は、訴訟証拠の保全という手続きを利用することができる。すなわち、法院(裁判 所)に対し提訴すると同時に、証拠保全を請求すると、法院が被告の所在地に出向き差し押さえを 行う。この方法によって、証拠を取得することができる。しかし、このような提訴と同時の証拠保 全はリスクを伴う。なぜなら、提訴時に証拠がまだ十分でなく、保全しても十分に証拠を得られな かった場合、後の審理時に不利となり敗訴する可能性がある。
最近の証拠保全成功例を紹介する。保全対象は、プラスチック排水管製造設備である。これは、
カナダ企業の訴訟依頼を受けて行ったものである。この企業がかつて中国に輸出したプラスチック 排水管製造設備は、1台二百数十万ドルであった。この証拠保全は提訴と同時に行った。中国では、
提訴前の証拠保全は認められていない。提訴時には、少なくとも、法院側に侵害を疑わせるに十分 な基本的証拠を揃えておかねばならない。
また、市場で購入した被疑侵害品に対し、一般に被告はこれを否定し、「これは自分の製品ではな い。他人が我が社の名を偽ったものだ。自分も非侵害者だ。」と、言うことが多い。これに対しては、
公証人制度を利用することができる。公証人を伴って市場で製品を購入し、公証してもらい証拠と して固めるのである。日本の皆さんは、公証人がいるとわかって製品を販売するか、と疑問を持た れるかもしれないが、中国の法律では、身分を明かさない匿名での証拠収集が許されている。損害 額を証明する証拠の収集手段としても、やはり証拠保全が適切である。
(2)警告書の活用
日本企業も欧米企業も、中国で権利行使する場合、まず警告書を送ることを好む。しかし、中国 の企業、個人は、宣戦布告なし、が多い。
警告書には、3つの大きな働きがある。
① 無意識の侵害行為に対し、警告書により権利者を明らかにし、相手方の侵害行為により発生す るであろう責任を指摘すれば、侵害行為をやめる可能性がある。その確率は50%程度である。警 告書を受けて、侵害を停止した場合、損害賠償を求めないことが多い。
② 訴訟時効を中断させることができる。これについては、小谷先生が説明されたので、省略する。
③ 警告書によって、侵害製品の範囲を明確にし、侵害が故意であることを確定することができる。
中国では、侵害製品と知らず販売した場合、責任を負わなくて良いが、販売者が警告書を受け取 ってなお販売を続けたならば、賠償責任を負わせることができる。
次に警告書の例を示し、2点だけ注意点を説明する。
① 警告書には、侵害者名、侵害製品の名称、型番、侵害された専利または商標の登録番号を明記 すること。登録証書、明細書のコピーを付する。もし、これらがなければ、どの権利、どの製品 が誰に侵害されているかわからず、法院も警告を認めない。
② 最近、警告書送付後、相手方が不侵害確認の訴えを起こすケースが出てきた。日本企業に注意 していただきたいのは、非常に重要な事件であり、被告所在地で裁判をしたくない場合は、警告 書を送らない方が良いことである。これは、蒋裁判長が説明した裁判管轄権に関係しており、不 侵害訴訟により自分の有利な場所で裁判ができなくなることがあるからである。
警 告 書
○○○有限公司
私共は、上海市華誠法律事務所の弁護士で、○○株式会社の委任を受け、以下の事項を貴社にご通知申し上 げます。
1. ○○株式会社は、中国特許第○○号「○○装置」の特許権者です。
2. ○○株式会社は、上記中国特許第○○号に対応する欧州特許第○○号及び米国特許第○○号を所有してい ます。貴社の参考のため、その資料を添付します。
3. 最近、貴社が生産、販売している○○装置は、○○株式会社の上記中国特許第○○号「○○装置」の権利 範囲内に入ることが判明しました。従って、貴社が上記特許侵害製品を生産、販売することは、中国特許法の 規定に違反します。
貴社の上記行為は、○○株式会社の特許権を侵害するだけでなく、中国の社会主義経済秩序を混乱させます。
従って、貴社が以下の方式で特許侵害行為を停止することを強く要求します。
(1)直ちに○○株式会社が所有する第○○号特許を侵害する○○装置及びそのほか当該特許権を侵害する製品 の製造、販売及び販売の許諾を停止すること。
(2)貴社が現在まで製造した上記製品の数量を、我々に通知すること。
(3)貴社が現在まで販売した上記製品の数量、及び販売先の名称と住所を、我々に通知すること。
(4)上記製品を製造するための金型を廃棄すること。
(5)在庫の権利侵害製品及び権利侵害製品の写真を掲載している製品サンプルを、すべて廃棄すること。
(6)書面によって、今後○○株式会社が所有する上記特許を侵害する製品を販売、製造しないことを保証する こと。
(7)インターネット上の権利侵害製品の広告を削除すること。
(8)貴社の権利侵害行為によって○○株式会社に生じた損失を賠償すること。
この書簡の発送後2週間以内に、書面によって当方に必ず回答し、上記要求の執行状況を報告することを守ら なければならない。これを怠った場合、○○株式会社が法的手段を行使し自己の特許権を保護し、貴社の権利 侵害責任を追及します。
徐申民 弁護士 上海市華誠法律事務所 二〇〇四年○月○日 添付資料:
1. 中国特許第○○号「○○装置」の特許証及び特許公報の写し 2. 欧州特許第○○号の特許証及び特許公報の写し
3. 米国特許第○○号の特許証及び特許公報の写し 4. 貴社「○○装置」の写真