平成16年度 日本自転車振興会補助事業 高 度 資 源 循 環 技 術 の 開 発 状 況 調 査
バイオマスの高度リサイクル技術の開発状況調査 報 告 書
平成 17 年 3 月
財団法人 クリーン・ジャパン・センター
この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。
は じ め に
新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法(新エネ法)の制定以来バイオマスは、
廃棄物エネルギーの一つとされてきたが、2002 年に新エネ法の政令改正により新エネルギ ーとしてバイオマスが定義づけられその利用の促進が取り上げられている。2003 年には、
電気事業者に対して新エネルギー等起源の電気の利用を義務付けるRPS法(電気事業者に よる新エネルギー等の利用に関する特別措置法)が施行され、電気事業者に数値目標を掲 げてその利用を義務付るようになった。
また、2010年度にはバイオマス発電、バイオマス熱利用の導入目標を設定し、「バイオマ スニッポン総合戦略」の策定等バイオマスのエネルギー利用に対する期待が高まっている。
枯渇資源に依存しない、太陽エネルギーが光合成によって変換されて生成される有機物 としてバイオマスは循環型社会の構築のなかで注目される資源であるが、有効に利用され ているのはごく一部で、多くは農業や林業などの第一次産業や、それらの生産物を加工す る第二次産業における有機性廃棄物として厄介物の存在にある。
従来からこれら廃棄物系のバイオマスの有効利用として堆肥化や飼料化、再生木材の開 発と言った利用に取り組んできているが利用出来ているのはごく一部に過ぎない。
現在マテリアル利用されていない廃棄物系バイオマスをより有効に活用する手段として、
そのエネルギー利用の技術の現状を調査することとした。
バイオマス資源の現状やその利用技術の概要を整理するとともに、エネルギー利用技術 の代表技術として、直接燃焼発電、ガス化発電、メタン発酵技術に注目して調査した。
これら施設における施設導入による効果や課題等の実態の詳細な調査を行った。
特に直接燃焼発電、メタン発酵に関しては、廃棄物処理との経済性の比較を検討する際の 参考となる情報提供が出来ないかについて留意しながら調査事例を整理した。
本調査が今後バイオマスエネルギー利用を実施しようとしている事業者各位の参考資料 として活用されること願っている。
平成17年3月
(財)クリーン・ジャパン・センター
「バイオマスの高度リサイクル技術の開発状況調査」検討委員会委員名簿
委員長 牛久保 明邦 東京農業大学 国際食糧情報学部
国際農業開発学科 農業環境科学研究室 教授
委員 大谷 繁 (株)荏原製作所 営業本部
総合・ソリューション事業統括 事業開発センター 部長 北河 敏之 (社)日本産業機械工業会
環境装置部 調査課 課長代理
澤山 茂樹 (独)産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門
バイオマスグループ 主任研究員
藤井 重雄 (株)タクマ 技術企画部 担当部長 横山 伸也 東京大学大学院 農学生命科学研究科
生物・環境工学専攻 教授
(アイウエオ順、敬称略)
オブザーバー 大川 龍郎 経済産業省 産業技術環境局 リサイクル推進課 課長代理 小屋敷 政和 農林水産省 大臣官房 環境政策課 資源循環室
バイオマス企画班担当 課長補佐
松田 和浩 経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー対策課 係長
事務局 正木 剛大郎 (財)クリーン・ジャパン・センター 参与 名木 稔 (財)クリーン・ジャパン・センター 企画調査部長 河本 桂一 みずほ情報総研(株) 環境・資源エネルギー研究部 主事研究員 羽田 謙一郎 みずほ情報総研(株) 環境・資源エネルギー研究部 主事研究員 大谷 智一 みずほ情報総研(株) 環境・資源エネルギー研究部 研究員
バイオマスの高度リサイクル技術の開発状況調査 報告書
《 目 次 》
第1章 廃棄物系バイオマス資源とその利用技術の現状... 1
1.1 日本のバイオマス資源について... 1
1.2 廃棄物系バイオマス資源... 3
1.2.1 林業系バイオマス...3
(1) 未利用樹...3
(2) 間伐材...4
(3) 林地残材...5
1.2.2 農業系バイオマス...6
(1) 米残さ、麦残さ...6
(2) トウモロコシ残さ...9
(3) サトウキビ残さ・バガス...9
1.2.3 畜産系バイオマス... 10
(1) 家畜ふん尿... 10
(2) 畜産加工残さ... 11
1.2.4 産業系バイオマス... 12
(1) 製材残材... 12
(2) 建設発生木材... 14
(3) 黒液... 15
(4) 食品加工廃棄物... 16
1.2.5 都市系バイオマス... 18
(1) 古紙... 18
(2) 厨芥... 20
(3) 廃食用油... 20
(4) 下水汚泥... 20
1.3 バイオマス利用技術... 22
1.4 マテリアルリサイクル技術の整理... 22
1.4.1 堆肥化... 22
(1) 堆肥化の現状... 22
(2) 堆肥化工程... 24
(3) 堆肥化関連装置... 25
1.4.2 飼料化... 26
(1) 飼料化の現状... 26
(2) 飼料化技術... 26
1.4.3 木質ボード等木質バイオマスの再資源化... 27
(1) 建設発生木材のリサイクル量と用途... 28
(2) 建設発生木材のリサイクル... 28
(3) 木質ボード等... 29
1.4.4 バイオプラスチック... 30
1.5 バイオマスのエネルギー利用技術... 31
1.5.1 生物化学的転換... 33
(1) メタン発酵... 33
(2) エタノール発酵... 34
(3) 水素発酵... 35
1.5.2 熱化学的転換... 36
(1) 直接燃焼... 36
(2) 固形燃料化... 37
(3) 熱分解油化... 38
(4) 熱分解ガス化... 39
(5) 炭化... 40
(6) エステル化... 41
(7) 熱水・超臨界流体の利用... 42
1.6 まとめ... 43
第2章 廃棄物系バイオマスのエネルギー利用技術の導入事例調査... 47
2.1 調査対象の抽出の視点... 47
2.2 メタン発酵... 50
2.2.1 富山グリーンフードリサイクル株式会社... 50
(1) 施設概要... 50
(2) 導入設備... 52
2.2.2 ジャパン・リサイクル株式会社... 55
(1) 施設概要... 55
(2) 導入設備... 57
2.2.3 カンポリサイクルプラザ株式会社... 61
(1) 施設概要... 61
(1) 施設概要... 65
(2) 導入設備... 67
2.2.5 井村屋製菓株式会社... 70
(1) 施設概要... 70
(2) 導入設備... 72
2.3 直接燃焼... 74
2.3.1 銘建工業株式会社... 74
(1) 施設概要... 74
(2) 導入設備... 76
2.3.2 能代森林資源利用協同組合... 79
(1) 施設概要... 79
(2) 導入設備... 81
2.3.3 東濃ひのき製品流通協同組合... 85
(1) 施設概要... 85
(2) 導入設備... 87
2.4 ガス化... 91
2.4.1 中外炉工業株式会社... 91
(1) 施設概要... 91
(2) 導入設備... 92
2.4.2 一宮町実証プラント... 95
(1) 施設概要... 95
(2) 導入設備... 96
2.5 技術別事例一覧... 101
2.6 まとめ(調査事例の特徴の整理)... 108
2.6.1 事例の分類...108
2.6.2 導入事例調査の整理... 110
(1) メタン発酵... 110
(2) 直接燃焼発電... 111
(3) ガス化... 112
2.6.3 導入による効果... 113
第3章 廃棄物系バイオマスエネルギー利用施設導入に関する考察... 115
3.1 本章のねらい... 115
3.2 施設導入にあたっての留意事項... 115
3.3.1 メタン発酵... 117
(1) 調査事例の収支構造の解析... 117
(2) 設備規模の経済性への影響... 124
3.3.2 直接燃焼発電... 133
(1) 調査事例の収支構造の解析... 133
(2) 設備規模の経済性への影響... 139
3.4 バイオマス関連施設導入による社会的効果... 149
3.5 まとめ... 150
第1章 廃棄物系バイオマス資源とその利用技術の現状
第 1 章 廃棄物系バイオマス資源とその利用技術の現状
1.1 日本のバイオマス資源について
バイオマスは元来、生物(生態)学分野での生物(体)量、生物の現存量を表す言葉であ るが、近年では、エネルギーとしての利用の可能性がある「光合成によって太陽エネルギー が変換されて生成される全ての有機物」と考えられるようになってきている。
地球上には膨大な量のバイオマスがストックとして存在し、光合成によって常に新たなバ イオマスがフローとして生産されている。光合成により生産されたバイオマスは、人間をは じめ様々な生物にとっての食料、あるいは人間が営む社会活動において、既に様々な形で利 用されている。エネルギー源としてのバイオマスの資源量を評価する場合、その対象は大き く二つに分けられる。一つは現時点において既に生産されながらも十分に利用されていない 廃棄物系バイオマス、もう一つが現時点では十分な生産を行っていない未利用地・低利用地 をエネルギーのために使用し生産するエネルギープランテーションである。
ここでは、我が国におけるバイオマスのほとんどが廃棄物を起源としている現状を踏まえ、
廃棄物系バイオマスについて着目し、資源としての存在量、その利用技術について整理する。
廃棄物系バイオマスについて、表 1.1-1に示すような分類を行った。
廃棄物系バイオマスは、農業や林業などの第一次産業や、それらの生産物を加工する第二 次産業における有機性廃棄物として大量に発生している資源である。現在でも種々の方法に よる再利用がなされているが、エネルギー回収によって有効な処理方法が提案できればその 導入も大いに期待できる。人類生活の営みが維持され続ける限り、相当量の廃棄物が定常的 に発生するため、そのポテンシャル自体は比較的安定的と言える。
大分類として、林業系、農業系、畜産系、産業系、都市系に分け、それぞれ小分類に示さ れる廃棄物等について整理した。
林業系バイオマスでは、林業生産の過程から副生するバイオマスとして広義の意味で廃棄 物をとらえ、現状では必ずしも廃棄物ではないものも含めて表現している。農業系バイオマ スは、国内における主要な農産物である米に関連して発生する稲わら、もみ殼等の米残さを 始めとし、農業生産の場に密接して発生するバイオマスを対象とした。畜産系バイオマスは、
家畜から発生するふん尿に加え、と畜の過程から発生する残さを畜産加工残さとして、畜産 系バイオマスの対象とした。産業系バイオマスでは、産業活動において発生するバイオマス を対象としている。製材業や木材加工業から発生する製材残材、建築業から発生する建築発 生木材、パルプ製造から発生する黒液、食品加工の過程から発生する食品加工廃棄物を対象 とした。生鮮魚介卸売業から発生するバイオマス等、水産物と関連して発生するバイオマス はここに含まれる。都市系バイオマスは、都市地域などの居住地区を発生源とするバイオマ スのことで、ここでは古紙、厨芥、下水汚泥を対象とした。次頁以降では、これらのバイオ マスを対象として、その量や利用状況に焦点を絞り廃棄物系バイオマスの全体像の整理を行 っている。
表 1.1-1 廃棄物系バイオマス
大分類 小分類
林業系バイオマス 未利用樹 間伐材 林地残材 農業系バイオマス 米残さ、麦残さ
トウモロコシ残さ サトウキビ残さ、バガス 畜産系バイオマス 家畜ふん尿
畜産加工残さ 産業系バイオマス 製材残材
建設発生木材 黒液
食品加工廃棄物(水産系を含む)
都市系バイオマス 古紙 厨芥 廃食用油 下水汚泥
1.2 廃棄物系バイオマス資源 1.2.1 林業系バイオマス
林業系バイオマス(森林がら発生するバイオマス)には未利用樹、間伐材、林地残材があ り、これらは現状の林業においては、販売収益よりも搬出経費が高いなどの採算性の問題で 森林に放置されているケースが多い。
また、製材業や木材加工業において発生する製材残材、家屋などの建築物の建築時、解体 時に発生するバイオマスである建設発生木材などは産業系バイオマスとして1.2.4にて詳述す る。
図 1.2-1に林業を起点とする木質資源のフロー、ならびに木質系バイオマスの発生過程を図示 する。
立木 伐採 素材 木材
間伐材 林地残材
製材残材
林業系バイオマス 未利用樹
解体 建築物
建築
製材・加工
建設発生木材 建設発生木材
図 1.2-1 木質系バイオマスの発生フロー
(1)未利用樹
未利用樹とは、木材や薪などとして利用することを目的として植林、造林された樹木のう ち、利用の見込みがなく放置されている樹木のことを指す。未利用樹には、放置された人工 林内にある針葉樹や薪炭林1にある広葉樹などがある。木材需要が増加した1960年代に大量 に植林した樹木が40年経過し伐期に入っているが、輸入材の増加や林業者の高齢化により伐 採や利用が進んでおらず未利用樹の蓄積は年々増加している。樹齢40~44年の樹木では400 百万m3の蓄積量があり、図 1.2-2のように樹齢によって偏っており、これらは、木材としての 用途のみではなく、バイオマスとしての活用も期待されている。
0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500
0~4 5~9
15~19 20~24
25~29 30~34
35~39 40~44
45~49 50~54
55~59 60~64
65~69 70~74
75~79 80~84
85~89 90~94
95~ 樹齢(年)
蓄積(百万m3 )
図 1.2-2 樹齢別人工林蓄積
(出所):林野庁,「森林資源の現況」,2002をもとに作成
(2)間伐材
間伐材とは、育成過程の林分で林間がうっ閉した場合に林分密度を調節するために伐採し た樹木のことを指す。間伐材は、樹木を育成する上で必ず発生するため、従来は建築用の足 場などとして安価に供給されていたが、現在は間伐材の需要は少ないため、間伐の後、林内 に放置されている。林業系バイオマスの中では、最も利用が進んでいると考えられるが、そ の利用率は 42%と低く(表 1.2-1)、多くの間伐材は林地に放置されているのが現状であり、
利用は進んでいない。間伐材は、今後の利用拡大が期待されている主要なバイオマス資源で あり、全国の自治体で利用に向けた検討や事業が進められるようになってきている。
表 1.2-1 間伐材積、間伐材の利用に関わる全国データ(1998年度)
間伐材積
利用材積 未利用材積
材積率(千m3) 6,890 2,923 3,967
比率(%) 100 42 58
(3)林地残材
林地残材とは、主伐、間伐、除伐に伴い発生する用材以外の枝葉、端材、根株などの末木 枝条のことを指す。枝葉、根株は林内で切り落とされるため放置されており、端材は、林内 に放置される場合と土場2で放置される場合がある。現在、樹木を森林から運び出す作業であ る集材は、素材としての価値がない部位は切り落とし軽量化した後に搬出する全幹集材もし くは短幹集材を行う場合が多い。そのため、林地残材を運び出し、バイオマスとして利用す るためには、新たなコスト負担が発生ためコスト面で現状では利用は困難である。しかし、
列状間伐や高性能林業機械を導入するなど効率化を図ることによりコストを削減することは 可能であり、バイオマスとして利用する場合はこれらの取り組みが必要になると考えられる。
枝葉
根株
末木枝条
素材 端材
図 1.2-3 林地残材の名称
1.2.2 農業系バイオマス
農業系バイオマスとは、農作物の収穫時に田畑などで発生する残余物である農業残さや精 米や製糖など、原料生産の場とその加工に係る工程が密接していると考えられる加工残さの ことを示す。ここでは、農業バイオマスとして種類は、米残さ、麦残さ、トウモロコシ等根 茎作物残さ、サトウキビ残さ等について整理している。
(1)米残さ、麦残さ
米残さ、麦残さとは、主にわらともみ殼のことを指す。稲わらや籾がらの発生量は、米の 収穫量から推計することが可能で、米の年間収穫量に対して稲わらの発生割合は約105%(外 数)、籾がらは約20%(内数)、麦わらでは収穫量の100%(外数)発生すると言われており、
稲わらと籾がらを含む米残さは、両者で約 974 万トン、麦残さの場合、籾がらは生産地でほ とんど発生しないため麦わらのみが対象となり、その発生量は約 105 万トンと推計されてい る。
これらバイオマスの利用率は非常に高く、稲わらの利用率(図 1.2-5)は95.4%とほとんど が再利用されており、焼却処分はわずか4.6%である。最も多い利用方法はすき込みであるが、
これは、コンバイン等の農業機械で稲を刈り取るために、刈り取りと同時に裁断されすき込 まれることが原因であると考えられる。現状としては、作業負担を軽減するため利用されて いないが、農家に何らかのメリットが発生すれば、これらを他の用途として有効活用するこ とは可能である。
籾がらは、精米時に発生し、形状、重さがほぼ均一であるため、加工、運搬に適しており、
カントリーエレベーター等からある特定のサイトから大量に発生するため、比較的利用しや すいバイオマスである。
818
156
105
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900
稲わら もみ殼(稲) 麦わら
バイオマス発生量(万トン)
わら工芸 1%
その他 マルチ 0%
4%
焼却 5%
畜舎敷料 7%
堆肥 10%
飼料
12% すき込み
61%
図 1.2-5 稲わらのリサイクルの現状
(出所):生物系廃棄物リサイクル研究会,「生物系廃棄物のリサイクルの現状と課題」,1999をもとに作成
マルチ 6%
くん炭 5%
床土代替資材 2%
燃料 1%
暗渠資材 11%
加工
0% 廃棄
28%
畜舎敷料 23%
堆肥 24%
図 1.2-6 もみ殼のリサイクルの現状
(出所):生物系廃棄物リサイクル研究会,「生物系廃棄物のリサイクルの現状と課題」,1999をもとに作成
すき込み 37%
畜舎敷料 35%
焼却等 28%
図 1.2-7 麦わらのリサイクルの現状
(出所):生物系廃棄物リサイクル研究会,「生物系廃棄物のリサイクルの現状と課題」,1999をもとに作成
表 1.2-2 米・麦残さのリサイクル方法に関する語句の意味
用語 意味
すき込み 農地への有機栽培施用等土壌物理性の改善のため、農地に混ぜて用い られるもの
飼料 家畜飼料として用いられるもの
堆肥 畜舎において敷料として用いられるもの 畜舎敷料 畜舎において敷料として用いられるもの
マルチ 土壌乾燥防止、地温調整、雑草防除等のため、土壌表面の被覆に用い られるもの
わら工芸 むしろ、なわ、畳床等わら工芸の材料として用いられるもの 暗渠資材 暗渠管の被覆材として用いられるもの
くん炭 炭化させ、土壌改良資材として用いられるもの 床土代替資材 育苗用の床土、特用林産物の苗床等に用いられるもの 加工 加工して建設資材等として用いられるもの
その他 上記以外の用途に用いられるもの 焼却 焼却処理されるもの
(出所):生物系廃棄物リサイクル研究会,「生物系廃棄物のリサイクルの現状と課題」,1999をもとに作成
(2)トウモロコシ残さ
トウモロコシ残さは、先ず、収穫時に、耕作地で排出される葉、茎などの部位が排出され る。さらに、実の部分を取り出すためその加工工程では、芯が残さとして排出される。トウ モロコシの実には糖分が多く含まれているため、米国やブラジルでは食用や飼料用以外にエ タノールの生産やバイオプラスチック等の素材原料としても活用されている。こららのトウ モロコシ残さは、従来、飼料として利用される以外は廃棄されてきたが、アメリカの再生可 能エネルギーに関する研究機関であるNationa Renewable Energy Laboratory(NREL)では、こ れら残さからエタノールを生産する技術の研究開発が実施されている。
(3)サトウキビ残さ・バガス
サトウキビは畑地での茎や根などの残さ分が排出され、製糖時には絞り粕としてバガスが 排出される。
バガスとは、サトウキビを製糖する際に発生する残さのことである。サトウキビは、製糖 工場に搬入された後、まずシュレッダー等で破砕され圧搾機にかけられる。圧搾により絞ら れた生汁は加熱濃縮され結晶化したものが砂糖となる。絞り粕の部分がバガスであり、これ らのバガスは従来、生汁の加熱用の燃料として利用されてきた。中国やインドでは、製紙用 原料であるバガスパルプとして利用されている。
また、ブラジルではサトウキビそのものを発酵することによりアルコールの生産が行われ ているが、その蒸留工程の燃料としてバガスを利用している。
1.2.3 畜産系バイオマス
畜産系バイオマスには、牛、豚、鶏等が排出する家畜ふん尿と、と畜場や食鶏解体工場で の解体処理の過程で排出される不可食部等の畜産加工残さがある。これらのバイオマスは、
現在、堆肥化や飼料化等の再資源化が行われている。
(1)家畜ふん尿
家畜ふん尿は、乳牛、肉牛、豚、鶏等から排出されるふん尿のことで、一匹あたりの発生 量は、家畜種、家畜年齢、飼養形態等で大きくことなる。2003 年のふん尿排出量は、全体で
87,175千トンと推計され、その内訳は牛ふん尿が最も多く61%、次いで豚ふん尿が24%、鶏
ふん尿が15%となった。
排出された家畜ふん尿のうち約 90%が堆肥化等が行われ経営農地内で再利用されていると いわれている。しかし、この中には、野積みや素堀だめされているものも含まれているため、
適正な利用が行われているとはいえない。野積みや素堀だめは、家畜排せつ物法により、平 成16年 11 月から禁止となり、これらに代わる処理が求められている。さらに、生産された 堆肥の利用は、化学肥料に比べてハンドリングが悪い為、農家の利用が進まないなどの課題 がある。
表 1.2-3 家畜別ふん尿排出(2003年)
頭羽数※1 ふん尿排出※2 ふん尿排出量
(千頭・羽) 原単位 (千t/yr)
家畜種類
[kg/day/頭羽]
乳牛 搾乳牛 964 58.9 20,725
乾乳牛 156 35.8 2,038
2歳未満 509 24.6 4,570 肉牛 2歳未満 881 24.3 7,814 2歳以上 824 26.7 8,030 乳用種 1,100 25.2 10,118 豚 飼育豚 8,057 5.9 17,351
繁殖豚 995 10.3 3,741
採卵鶏 雛 38,437 0.059 828
成鶏 141,789 0.136 7,038
ブロイラー 103,729 0.13 4,922
合計 87,175
(出所):(※1)農林水産省統計部、「ポケット農林水産統計(平成16年度版)」,2004を もとに頭羽数を改定し、再推計を行った。
(※2)生物系廃棄物リサイクル研究会,「生物系廃棄物のリサイクルの現状と課 題」,1999をもとに作成
(2)畜産加工残さ
畜産加工残さは、と畜場、食鶏処理場より発生する枝肉以外の畜産副産物のうち、不可食 内臓、骨、脂肪、血液、皮、羽毛などの不可食残さのことである。ここでは、と畜から発生 する畜産加工残さは畜産業の流通に近く、日本標準産業分類においても製造業ではなく、専 門サービス業に分類されているため、畜産系バイオマスとして分類した。
図 1.2-8では、これらの処理、再利用の流れを示している。畜産加工残さは、レンダリング3 が行われた後に、油脂として、もしくは飼料、肥料として再利用されているが、平成16年よ り、牛海綿状脳症(BSE)へのリスク管理として牛のせき柱(背骨)の食品、飼料用動物性油 脂、肥料原料としての使用が禁止され廃棄物として焼却処理することになった。
これらの発生量は、年間 150 万トンと推計されており、このうち牛のせき柱を除いた部位 が再利用されていると考えられる。
また、カナダでは動物性油脂を原料として軽油代替燃料であるバイオディーゼル燃料
(BDF)の製造が行われている。カナダでは、BSE 問題発生後、レンダリング会社が飼料用 原料としての販売先を失い、畜産加工残さが余るという問題が発生している。BIOX社(カナ ダ)では、畜産加工残さに含まれる動物性油脂等を低コストでBDF化する技術を確立し、こ れらの動物性油脂や廃食用油等を原料とする6 万 kL/年規模の BDF製造プラントを建設、
2005年春の稼動を目指している。
生体 と畜 加工
残渣
レンダ リング
油脂原料 堆肥・飼 料用原料
焼却
図 1.2-8 畜産物残さの利用・処理方法
1.2.4 産業系バイオマス
産業系バイオマスは、製材工場から排出される製材廃材、建築時や建築物の解体時に排出 される建設発生木材、製紙工場から排出される黒液、食品加工工場等から排出される食品加 工廃棄物などがあり、これらは工場等の生産活動に伴って排出されるバイオマスである。
(1)製材残材
製材残材は、製材業や木材加工業における加工時に発生するバイオマスのことで、背板、
端材、おが粉、バーク、チップの五つに大別される。それぞれ性状や組成など特性が異なる ため、様々な用途に用いられる。
表 1.2-4は、製材所から発生する製材残財の処理および利用状況を示したものである。主な製 材残材は樹皮、おが屑、背板であり、製材所で集中的に発生することから経済性にも優れて いるため約94%が既に利用されているが、樹皮のみでみると25%が再利用されていない。利 用率をさらに高めるためには樹皮の再利用を進めることが必要であるが、表 1.2-5に示すよう に、樹皮は含水率が 60%と非常に高く、灰分含有量も 3%と高いため、燃料や堆肥への利用 が他の残材に比較して難しい。
図 1.2-9に製材工場における廃材の発生量の推定を示す。この値は、製材工場における素材の 入荷量と製品の出荷量の差を示したもので、製材所におけるストックと製材の過程で排出さ れた廃材を示しており、ストックの変動を無視すればほぼ廃材の発生量を示すと考えられる。、
素材の入荷量、製品の出荷量ともに減少傾向にあり、製材廃材発生量も減少傾向にある。
表 1.2-4 1996年製材所からの廃材の処理及び利用状況(千m3)
木材チップ 堆肥/家畜敷 量
燃料/オガラ
イト 小物製材 茸栽培・その
他 焼却 排出量計 割合
樹皮 659 845 42 515 2,059 18%
おが屑 1,709 950 507 0 3,165 28%
背板 4,103 193 483 0 48 4,827 43%
端材 498 107 71 14 21 711 6%
その他 225 99 7 58 88 477 4%
合計 4,601 2,593 2,192 561 621 672 11,237 100%
割合 41% 23% 20% 5% 6% 6% 100%
(出所):(社)日本エネルギー学会,平成13年度新エネルギー等導入促進基礎調査報告書(バイオマスエネルギ ーの利用・普及政策に関する調査),2002年5月をもとに作成
9,284 9,295
8,393
7,919 7,928
7,000 7,500 8,000 8,500 9,000 9,500
H11 H12 H13 H14 H15
差引量〔千m3〕
図 1.2-9 製材工場における廃材の発生量
注) 廃材発生量=素材入荷量-製品出荷量とした
表 1.2-5 製材残材の成分例
チップ
(木くず)
樹皮
(針葉樹) おがくず
C含有量 [wt%-DM] - - -
H含有量 [wt%-DM] 5.90 6.50 6.30
O含有量 [wt%-DM] - - -
N含有量 [wt%-DM] 0.30 0.65 0.30
S含有量 [wt%-DM] 0.05 0.05 0.05
Cl含有量 [wt%-DM] - - -
灰分含有量 [wt%-DM] 0.70 3.00 0.45
高位発熱量 [MJ/kg-DM] 19.30 19.30 19.10
含水率 [wt%] 30.00 60.00 50.00
低位発熱量 [MJ/kg-DM] 12.83 6.36 8.42
(出所):(社)日本エネルギー学会,平成13年度新エネルギー等導入促進基礎調査報告書(バイオマスエネルギ ー高効率転換技術に関する調査),2001年8月をもとに作成
(2)建設発生木材
建設発生木材とは、建設時に発生する建築時廃材と解体時に発生する解体時廃材に分けら れる。建設廃棄物排出量は、平成7年度の9,900万トンから、建設リサイクル法が公布された
平成12年度には8,500万トン、平成14年度には8,300万トン減少している。建設発生木材も、
600万トンから500万トン、500万トンと約17%と減少傾向にある。
建設発生木材の縮減と再資源化を合わせた再資源化等率は平成14年度に 89%になってい るが、平成13年度に公示された建設リサイクル法に基づく基本方針で定めた目標値95%(平 成22年度目標)には更に努力が必要である。
図 1.2-10 建築廃棄物種類別排出量
(出所):国土交通省,平成12年度建設副産物実態調査結果,2004
(3)黒液
黒液とは、パルプ製造過程で発生する有機性廃液のことで、ヘミセルロースとリグニンを 主な成分としている。紙の原料となる木材は、セルロースとヘミセルロース、リグニンを主 な成分としており、パルプはこのうちセルロースを取り出して作られたものである。黒液は、
クラフトパルプ法という化学パルプの製造方法を用いたときに発生する。木材中の有機物の 約半分はパルプになり、残りの半分が黒液となっている。
黒液は多重効用缶により、エネルギー効率良く濃縮されて、ボイラー燃料として製紙工場 で有効利用されている。また、木材を蒸解するのに使われるNaOH、Na2S、Na2CO3等を成分と する白液と呼ばれる蒸解薬液は黒液濃縮時にNa2CO3、Na2SO4の形で回収され、苛性化工程を 経て白液に戻されパルプ製造に循環利用されている。
石油等消費構造調査によると、黒液回収消費量は、平成13年には、全国で1,400万トン(絶 乾)となっている。黒液からの濃縮燃料によるエネルギーは、太陽電池、風力発電、廃棄物 発電、バイオマス発電等とならんで新エネルギー法で定める10種類の新エネルギーに指定さ れており1999年度の日本の新エネルギー導入実績の70%近くを占めている。
木材チップ 蒸解・洗浄
紙
漂白
黒液
未さらし クラフトパルプ
さらし 紙製造 クラフトパルプ
図 1.2-12 クラフトパルプの製造フロー
(4)食品加工廃棄物
食品加工廃棄物は、食品製造業、食品卸売業、食品小売業、外食産業の 4 つの食品産業か ら発生する食品廃棄物等を示している。
農林水産省4の調べによると、平成15年度の食品廃棄物等の年間発生量は1,134万8千ト ンであった。そのうち、食品製造業から487万トン(43%)と最も多く、次いで外食産業312 万2千トン(28%)、食品小売業261万6千トン(23%)、食品卸売業74万トン(7%)とな っている。
表 1.2-6 食品廃棄物等の発生量、再生利用量(平成15年度 単位:千トン)
食品廃棄物等の 年間発生量
再生利用へ の仕向量 食品製造業 4 870 3 789
食品卸売業 740 355
食品小売業 2 616 812
外食産業 3 122 593
食品産業計 11 348 5 549
(出所):農林水産省,「平成16年食品循環資源の再利用等実態調査結果」,2004
表 1.2-8では、食品廃棄物等の発生量の推移を示している。近年、その発生量は微増している。
その内訳を見てみると、平成12年を100%として平成15年の増加率は、食品製造業で113%、
食品卸売業で101%、食品小売業で113%とそれぞれ増加傾向にあるが、外食産業では92%と 減少傾向にある。
これらの廃棄物を資源として再生利用の状況は、平成 15 年度には 49%となっている。図 1.2-13は、業種別の再生利用率の推移を示したものである。食品製造業における再生利用率は、
最も高く78%となっている。一方、外食産業においては年間の発生量が、3,00万トンと食品
製造業に次いで多いにも係らず利用率は19%となっている。これは、外食産業においては、
発生源が小規模のものが多く、1箇所あたりの発生量が少ないため、事業系一般廃棄物として 処理されているため再生利用が進んでいないためと考えられる。再生利用の用途については 図 1.2-14 食品廃棄物等の再生利用用途別仕向け割合に示している。
水産関連から発生するバイオマスは、一般に食品加工の過程から発生するため、食品加工 廃棄物の1つとして分類している。表 1.2-7は、食品加工廃棄物のうち、関連の食品廃棄物で ある水産食品製造業と生鮮魚介卸売業における再生利用率を示している。これらの廃棄物は、
ミールや油脂として再利用されているため、水産食品製造業で62%、生鮮魚介卸売業で95%
と高い再生利用率となっている。
表 1.2-7 水産関連食品産業における食品廃棄物等の再生利用率
区分 再生利用率
水産食品製造業 62〔%〕
生鮮魚介卸売業 95〔%〕
表 1.2-8 食品廃棄物等の発生量の推移
H12 H13 H14 H15
食品製造業 4,323 4,638 4,834 4,870 食品卸売業 733 724 746 740 食品小売業 2,322 2,355 2,602 2,616 外食産業 3,390 3,203 3,132 3,122
合計 10,768 10,920 11,314 11,348
(出所):農林水産省,「平成16年食品循環資源の再利用等実態調査結果」,2004
0%
20%
40%
60%
80%
100%
H12 H13 H14 H15
再生利用率
食品製造業
食品卸売業
食品小売業
外食産業
図 1.2-13 食品産業別再生利用率
(出所):農林水産省,「平成16年食品循環資源の再利用等実態調査結果」,2004
肥料 41%
飼料 34%
メタン 0%
油脂及び油脂製品 3%
食品 3%
工業資材 2%
その他 4%
不明 13%
図 1.2-14 食品廃棄物等の再生利用用途別仕向け割合
(出所):農林水産省,「平成16年食品循環資源の再利用等実態調査結果」,2004
1.2.5 都市系バイオマス
都市系バイオマスとは、都市地域などの居住地区を発生源とするバイオマスのことで、こ こでは「古紙」、「厨芥」、「下水汚泥」を対象とした。古紙や下水汚泥は、現在、マテリアル としてもエネルギーとしてもある程度の再利用が進んでいる一方で、厨芥の利用は進んでい おらず、その再利用は重要な課題である。
(1)古紙
古紙の種類は、段ボールとその栽落、雑誌とその返本分、新聞、製紙工場・製袋工場・紙 器工場・製本工場・印刷工場で発生した栽落や損紙などがある。これらの古紙の回収・流通 経路は、図 1.2-15のように、家庭、繁華街、商店街、駅、紙関連工場、出版社、新聞社、デ パート、スーパーなどから発生し、回収業者等を経て製紙メーカーで原料として使用されて いる。
表 1.2-9は、2003年の紙・板紙生産量を示す。その生産量は約3,046万トンであった。これら が利用され古紙として回収される割合は、表 1.2-10に示すように2003年には2,044万トンで 国内の紙・板紙消費量の66.1%を占めており増加傾向にある
表 1.2-11は、2003年度における紙・板紙生産における古紙利用率を整理したものである。古 紙等を含む繊維原料は3,056万トン利用されているが、そのうち古紙由来の原料が1,841万ト ンを占めており、古紙の利用率は60.2%となっている。
古紙の利用方法は、様々あるが主なものとして紙、板紙としての再利用が主な用途である が、その他の用途として、表 1.2-12に示すような、古紙ボードや家畜敷料などの原料として 利用されている。古紙が利用されている紙、板紙以外の製品の生産量は33万トンであり、そ の原料として古紙が20万トン利用されており、古紙配合率は60.6%となっている。
図 1.2-15 古紙の回収・流通経路
(出所):(財)古紙再生促進センター,「古紙リサイクルハンドブック」,http://www.prpc.or.jp/
表 1.2-9 2003年紙・板紙生産量(単位:千トン)
紙生産量 板紙生産量 合計
18,396 12,061 30,457
(出所):(財)古紙再生促進センター資料をもとに作成
表 1.2-10 2003年古紙回収量・率(単位:千トン)
紙・板紙国内消費 D=A+B=C 古紙回収量 I=E-F+G+H 紙・板紙
払出
紙・板紙 輸入
紙・板紙 輸出
古紙入荷 古紙輸入 古紙輸出 古紙 パルプ
古紙 回収率
A B C E F G H J=I/D
30,462 1,830 1,326 30,930 18,387 118 1,971 202 20,443 66.1%
(出所):(財)古紙再生促進センター資料をもとに作成
表 1.2-11 2003年度紙・板紙生産量における古紙利用量・率(単位:千トン)
パルプ 古紙パルプ 古紙
その他繊維原
料 繊維原料 古紙利用率
a b c d e=a+b+c+d f=(b+c)/e
12,118 165 18,242 35 30,560 60.2%
(出所):(財)古紙再生促進センター資料をもとに作成
表 1.2-12 2003年紙以外の用途における古紙利用状況
項 目 生産量(トン)
建材用フィラー 42,000 古紙ボード 33,921
内 古紙ボード 1,205
熱圧成形材 8,716 訳 内外壁装材 24,000 敷料 5,895 セルロースファイバー 11,010 パルプモールド 47,814 緩衝材 255 固形燃料 184,824
脱臭剤 0
吸油材 30 汚泥脱水助材、覆土代替材 3,594 その他 4,321 生産量(商品)計 333,664 古紙利用量計 202,303 古紙配合率(%)(古紙利用量計/生産量(商品)計) 60.6
(出所):(財)古紙再生促進センター資料をもとに作成
(2)厨芥
表 1.2-13では、家庭での厨芥発生量を示している。この値は、一般廃棄物排出量に厨芥類の 平均組成比率を乗じて推計を行った結果であり、2,028万トン/年と推計されている。厨芥の 発生量は文献により様々な推計に基づく値があり、1,000 万トン/年~6,000 万トン/年と推 計されている。
表 1.2-13 食品産業廃棄物の資源量の推計例(一部再掲)
食品産業廃棄物 (H7~8年度ベース) 厨芥ゴミ(家庭) 2,028万 t/年
厨芥ゴミ(ホテル、流通業) 食品小売業 481万 t/年
(出所):生物系廃棄物リサイクル研究会,「生物系廃棄物のリサイクルの現状と課題」,1999をもとに作成
(3)廃食用油
てんぷら等食品の調理用に使用された後の油のことを廃食用油という。近年これらの廃食 用油や菜種や大豆を利用した食用油をメチルエステル化し軽油代替燃料(Bio Diesel Fuel:
BDF)として再利用する活動が活発になっている。欧州や米国においてもBDFは利用されて
おり、BDF に関する規格も整備されている。米国における、植物性油脂や動物性油脂を原料 とする BDF について、その燃焼特性について研究では、軽油に比べ SOx等の排出量が少な いなど環境への負荷が低く、軽油に比べ燃料の粘性等の特徴が異なるものの燃料として十分 な性能を有することが確認されている。その他、東南アジアでは、パーム油を原料としたBDF の生産も行われている。日本では、京都における取り組みが最も有名で、住民等から廃食用 油を回収するシステムを構築しており、年間12万Lの回収を実現している。2004年6月から は京都市南部クリーンセンターにおいて、5,000L/日の生産量を可能なプラントが稼動してい る。
(4)下水汚泥
汚泥は産業廃棄物の一種である。全産業廃棄物の発生量は1997年実績で約4億1,500万ト ンであり、そのうち汚泥の占める割合は全体の約47%である。これは、産業廃棄物の種類別 では最も大きな割合を示している。
業種別の汚泥発生量は、下水道が最も多く約 7,700 万トンで約 40%を占めており、次いで 紙パルプが2,500万トンで13%、食料品・飲料が1,600万トンで8%となっている。
ここでは、下水汚泥について整理する。
表 1.2-14、表 1.2-15に下水汚泥の発生状況とその有効利用の状況を示す。現在、下水汚泥の
約57%が有効利用されており、有効利用されたもののうち約74%が、骨材、タイル等の建築
資材として再利用されている。図 1.2-16には、下水汚泥の処理性状別の利用用途を示す。
表 1.2-14 下水汚泥の発生状況(汚泥発生時乾燥重量ベース,1998年度)
(単位:千dry-t)
処理形態 埋立処分 有効利用 その他 合 計 処理性状 構成比〔%〕 構成比〔%〕 構成比〔%〕 構成比〔%〕
脱水ケーキ 138 18.6 76 7.2 5 7.2 219 11.8 焼却灰 588 79.2 758 72.0 61 88.4 1,406 75.4
乾燥汚泥 16 2.2 219 20.8 1 1.5 236 12.7
消化・濃縮汚泥 0 0 0 0 3 4.4 3 0.2
合 計 742 1,053 69 1,864
構成比〔%〕 39.8 56.5 3.7 100.0
(出所):日本下水道協会,「日本の下水道」,2000をもとに作成
表 1.2-15 下水汚泥の有効利用実施状況(汚泥発生時乾燥重量ベース,1998度)
(単位:千dry-t)
処理性状 合 計
区分
脱水
ケーキ 焼却灰 乾燥汚泥 コン ポスト
溶融
スラグ 構成比〔%〕
自治体で実施 19 0 7 33 0 60 5.7
民間に引渡し 12 19 13 166 0 210 19.9 緑農地
利用
小計 32 19 20 199 0 270 25.6
建築資材利用 44 650 0 0 88 783 74.4
合 計 76 669 20 199 88 1053
構成比〔%〕 7.2 63.5 1.9 18.9 8.4 100.0 100.0
(出所):日本下水道協会,「日本の下水道」,2000
図 1.2-16 下水汚泥の利用用途
(出所):(社)日本下水道協会,
1.3 バイオマス利用技術
木屑や家畜糞尿などのバイオマス資源は、そのままの状態では利用することは難しく、何 らかの転換や加工が必要となる。ここでは、バイオマス資源を何らかの形で利用するために 利用する技術のことをバイオマス利用技術とした。このバイオマス利用技術には、堆肥や飼 料、ボード等のマテリアル(材料、原料)として利用する「マテリアル利用技術」とバイオ マスを電気や熱等のエネルギーとして利用する「エネルギー利用技術」の2種類がある。
これらの技術の利用は、バイオマス資源の種類により利用可能な技術、生成物が異なる。
また、これらの技術は、研究室での試験レベルの技術から実用化されている技術まで、その レベルが異なる。これらの技術を導入する場合、生成物の需要、最新の技術動向を把握する ことが重要となる。ここでは、主要なバイオマス利用技術の概要について整理を行った。
1.4 マテリアルリサイクル技術の整理
ここでは、主要なマテリアルリサイクル技術である、堆肥化、飼料化、再生木材について その技術概要について説明する。これらの技術は、すべて実用化されており多くの導入事例 がある。
1.4.1 堆肥化
堆肥化は、ふん尿やわらなどの有機性の廃棄物を原料とし、空気の存在下で分解する好気 性分解により炭水化物、脂肪、タンパク質などを分解させる方法のことである。堆肥は、保 水性、養分の保持力の高い団粒構造の良質の土壌を作るために用いられる。
(1)堆肥化の現状
図 1.4-1は、肥料取締法に基づいて把握されている堆肥の生産量について示している。全体の 生産量では、1980年に65万トンであった生産量が、1998年には300万トンと4倍以上の生 産増となっている。原料では、樹皮と牛ふんが多く、全体に占める割合は樹皮が 34%、牛ふ
んが26%となっており、ふんを原料とする堆肥が全体に占める割合は41%である。樹皮と牛
ふんは、1985 年以降、増加傾向をたどっている。これは、堆肥生産者の増加や堆肥化処理施 設の増加に起因していると考えられる。
0 500,000 1,000,000 1,500,000 2,000,000 2,500,000 3,000,000 3,500,000
1980 1985 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996
トン
牛ふん 豚ふん 鶏ふん 都市ゴミ 汚泥 オガクズ 樹皮 その他
図 1.4-1 コンポストの生産量の推移(トン)
(出所):生物系リサイクル研究会,第4回関係資料,1998をもとに作成
(2)堆肥化工程
堆肥化は、まず前調整で、原料に籾がらなどの調整素材を混合し水分調整(最適含水率 40
~60%)を行い発酵しやすい堆肥化原料を作る。次に、堆積され、一次発酵が行われるが、
この過程では好気性分解を促すために強制的な通気や切り返しによる酸素供給が行われる。
目安として、堆肥原料の温度が65℃を超えなくなった段階で二次発酵に移行し、強制的な通 気や切り返しを行わず分解を進め、土壌に還元可能な堆肥を作る。堆肥は、通常の用途の他 に返送堆肥として前調整段階での調整素材として利用されることもある。保存性や利便性を 高めるため、造粒などの加工も必要に応じて実施されている。
発酵工程 前処理工程
ふん尿 前調整 二次発酵 堆肥
調整素材
一部調整素材として返送堆肥
造粒 袋詰 袋詰製品
バラ製品 一次発酵
製品化工程
図 1.4-2 標準的な堆肥化フロー例
(3)堆肥化関連装置
堆肥化には、前処理工程、発酵工程、製品化工程等において様々な設備を必要とする。
表 1.4-1では、各種堆肥化関連装置について処理工程別に整理を行ったものである。これらの 施設は、原料となるバイオマスの種類や副原料ごとに適切な機器を用いる必要がある。
表 1.4-1 各種堆肥化関連装置
工程 設備名 機器名
置場 受入供給 貯槽
リフター ショベルローダ 混合
混合機 脱水 脱水機 破砕 破砕機 破袋機 分別機 磁選機 破砕・分別
破砕分別機 天日乾燥機 乾燥
機械乾燥機
貯留 倉庫
ショベルローダ
前処理工程
搬送
コンベヤ 堆積式 機械切返し式 一次発酵
通気ブロア 堆積式
機械式切返し式 二次発酵
通気ブロア ショベルローダ
発酵工程
搬送
コンベヤ
ふるい分け 振動ふるい、トロンメル 半自動式袋詰機
袋詰
全自動式袋詰機 造粒 造粒機
ショベルローダ
製品化工程
搬送
コンベヤ
(出所):(社)日本有機資源協会,コンポスト化マニュアル,
2003
1.4.2 飼料化
飼料化の原料としては主に食品加工の過程から排出される食品加工残さが利用される。従 来は、と畜の過程で発生する不可食部も飼料用原料として利用されていたが、BSE 問題の発 生後、牛等の飼料として反すう動物由来の動物性油脂の利用が禁止され、家畜(牛等を除く)
用飼料については、牛せき柱及び死亡牛由来の動物性油脂の利用が禁止となり、焼却処分さ れている。
(1)飼料化の現状
表 1.4-2は、食品製造の過程で発生する副産物の飼料化量を示している。対象とする副産物の 種類により、利用割合は大きく異なる。この中でも最も発生量が多かったのは酒類副産物で
約3,000千トン、次いで精糖副産物で約1,900千トンである。酒類副産物の飼料化の割合は高
く約90%、精糖副産物は約70%であった。最も飼料化の割合が低いのは水産物加工副産物で
約40%であった。全体では、8割近い食品製造副産物が飼料化されている。
表 1.4-2 食品製造副産物の飼料化量
副産物名 発生量(千トン) 利用量(千トン) 利用割合(%)
果汁加工副産物 116 98 84.8
農産物缶詰副産物 80 72 89.9
酒類副産物 3,030 2,707 89.3
でん粉製造副産物 1,162 80 69.6
大豆加工副産物 795 411 51.7
精糖副産物 1,858 1,350 72.6
水産物加工副産物 58 24 41.5
パン・麺副産物 29 16 53.4
計 7,128 5,487 77.0
(出所):(社)中央畜産会,平成7年度未利用資源飼料化推進事業報告書
(2)飼料化技術
表 1.4-3は、食品の飼料化技術を示している。「乾熱乾燥法」は、熱によって水分を蒸発させ 乾燥させる方式で,山形県鶴岡市では、小学校の給食の残飯と魚腸骨を用いて飼料を作ってい る。「油温減圧脱水方式」は、札幌市リサイクルセンターで導入されており、日量 50 トンの 食品廃棄物から10トンの乾燥製品を生産している。
表 1.4-3 食品リサイクル技術(飼料化)
技術名 概要
乾熱乾燥方式 加熱した空気により、対象物を乾燥する方式。熱効率や熱源の選択により、
ランニングコストに差が出る。
間接加熱接触乾燥方式 蒸気による間接加熱方式。接触面積を広くとり、短時間で乾燥させるノウハ ウが鍵。
油温減圧脱水方式 加熱した油により、対象物の水分を除去する方式。油分の除去と酸化度が飼 料の質を左右する。
発酵乾燥方式 好気性発酵により、対象物を分解・乾燥する方式。微生物の状態を適切に管 理することがポイント。
真空乾燥方式 真空状態で乾燥を行う方式。比較的低温処理で酸素との接触もないため、対 象物の変質が少ない。
マイクロ波 マグネトロンを用いて電子レンジの原理で対象物の水分を除去する方式。
(出所):群馬県,食品リサイクル技術の概要,http://www.pref.gunma.jp/
1.4.3 木質ボード等木質バイオマスの再資源化
木質系廃棄物には、表 1.4-4で示すように、製材残材や建設発生木材などの原料ごとに家畜 敷料、堆肥、木質ボード、製紙原料など様々な用途がある。これらの中でも、主に建設発生 木材に関するリサイクルの現状と木質ボード等への再資源化について説明する。
表 1.4-4 木質系廃棄物のリサイクル用途 廃材 削り直し再利用
集成材 木箱仕組材 小物製品
チップ化(パルプ原料、チップボード、パーティクルボ ード、ファイバーボード等)
きのこ栽培 木炭 おがくず 家畜敷料
清掃・つやだし・研磨材・ろ過助剤・廃水処理基材 成形まき(オガライト)
おがくず炭(活性炭・豆炭)
きのこ培養基 ボード類・繊維壁材
木粉(合成樹脂・肥料固化防止・合成樹脂・成形物)
くん煙材料 樹皮 家畜敷料
樹皮炭(堆肥)
樹皮粉(殺虫剤・肥料固化防止・合成樹脂・成形物)
ボード類・複合材料 コルク・和紙原料 タンニン抽出 ロウ抽出
建築発生木材 チップ化(パルプ原料、ボード原料)
燃料
(1)建設発生木材のリサイクル量と用途
図 1.4-3は、全国の建設発生木材の排出量とその用途を示している。2002 年の排出量は 464 万トンで、そのうち59%の274万トンがチップ化され再利用されている。
①
場外搬出量 464
③チップ 化施設へ
274 59%
8% ⑤最終処分 36
チップ化 施設
⑦チップ化施設 減量化量 0
最終処分 50 59%
再資源化率 ②+③ ① =61%
(①のうち、再資源化された量と工事間利用さ れた量の合計の割合)
建設発生木材の再資源化量とは、チップ化施 設への排出量のこと
単位:万トン
2% ②工事間利用 9
⑥チップ化施設後 再利用 274
⑨焼却施設後 最終処分
14
④焼却施設へ 145
31% 焼却
施設 ⑧焼却施設
減量化量 131 3%
全国における建設発生木材(伐木材・除根材を含む)のリサイクルフロー
注)数値は平成14年度実績
資料:平成14年度建設副産物実態調査
28% 0%
再資源化等率 ②+③+⑧ ① =89%
図 1.4-3 建設発生木材排出量及び再資源化の状況(2002年度)
(出所):建設副産物対策(平成15年版 :建設リサイクル広報推進会議)
(2)建設発生木材のリサイクル
建設発生木材の主な利用技術としてチップ化の後に、製紙、ボード、燃料として利用され る。建設発生木材をチップ化する工場では、異物混入を避けやすい上質なチップを得るため、
表 1.4-5に示すように、廃木材の由来や形状により製造したチップを5段階に区分し、用途に よって使い分けている。