平成20年度 財団法人JKA補助事業
高度資源循環技術の開発状況の調査報告書
(高付加価値リサイクル技術の開発状況調査)
「再生資源の品質確保に係る技術開発状況調査」
平成21年3月
財団法人 クリーン・ジャパン・センター
この調査は、競輪の補助金を受けて実施したものです
。
http://ringring-keirin.jp
は し が き
本調査研究は、(財)JKAによる平成20年度補助事業「高度資源循環技術の開発状況の 調査」として実施したものである。
リサイクル技術は、循環型社会の構築を目指し、具体的な3Rを推進していく上で重要な 役割を担っている。天然資源の消費の抑制、環境負荷の最小化を基調とする3Rの取組みが 着実に進められる一方、近年国際資源循環が大きく進展する中で、枯渇性資源の使用の抑制 や再生資源の高度化、希少な資源の循環、有害物質の管理などの取組みがさらに求められて いるところである。このような状況にかんがみ、リサイクル材料の機能評価、含有する貴金 属・レアメタルや化学物質に焦点を当てて、3R技術にアプローチすることは、これまで材 料の高度利用が困難であった要因を解決したり、また貴金属等の効率的な分離・回収を実現 するなど、3R技術の高度化や他の分野への普及に貢献するものと期待されるところである。
今回の調査においては、このような視点から、リサイクル材の質に焦点を当てて、3R技 術の高度化を図ろうとするものである。このため、先進的な取組事例として家電製品、携帯 電話、鉄スクラップ及び複写機を取り上げて、その高度化の要因としてシステム、技術及び 情報から検討を行った。
その中で、リサイクル材の付加価値を高めるために、その種類や物性などの特性、含有す る貴金属等・化学物質に関する情報などを把握することが有効であること、またそれらを関 係事業者間で情報を共有することにより、高度なリサイクル技術の開発や活用につながるこ とが示唆された。さらに、広く製造事業者において参考となるよう、先進事例からリサイク ル材の質を確保することや事業者による環境配慮設計などの取組の重要性について知見とし て取りまとめてみました。
なお、本事業の実施にあたり、ご多忙の中にもかかわらずご指導・ご協力をいただきまし た平尾委員長を始め委員の方々、また本調査の実施に当たりヒアリングにご協力いただきま した関係事業者の各位に心から御礼を申し上げます。
平成21年3月
財 団 法 人 クリーン・ジャパン・センター
理 事 長 小 島 襄
平成20年度財団法人 JKA 補助事業
「高付加価値リサイクル技術の開発状況調査委員会」
委員名簿
(50音順)委員長
平尾 雅彦 東京大学工学系研究科化学システム工学専攻 教授
委員
安城 泰雄 MFCA研究所 代表
小野田 弘士 早稲田大学環境総合研究センター 准教授
栗山 祥伸 キヤノン(株)環境企画センター 環境標準部 環境法規課 課長 瀬山 康昭 (財)家電製品協会環境部 次長
田崎 智宏 (独)国立環境研究所循環型社会・廃棄物研究センター 主任研究員 林 誠一 (株)鉄リサイクリング・リサーチ 代表取締役
堀田 武彦 (社)電気通信事業者協会業務部 部長
事務局
須藤 欣一 (財)クリーン・ジャパン・センター 研究業務部長
塩田 恭 (財)クリーン・ジャパン・センター 研究業務部 主席部員
(調査協力)
栗原 和夫 (株)杉山・栗原環境事務所
目 次
1.背景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2.調査目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 3.調査概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
4.先進事例実態調査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 4―1 家電プラスチック ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 4-1-1 3Rの高度化を巡る諸状況・・・・・・・・・・・・・・ 3 4-1-2 3R高度化の把握・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 4-1-3 3Rの高度化の分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
4―2 携帯電話 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 4-2-1 3Rの高度化を巡る諸状況 ・・・・・・・・・・・・ 19 4-2-2 3R高度化の把握 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 20 4-2-3 3Rの高度化の分析 ・・・・・・・・・・・・・・・ 22
4―3 鉄(主として特殊鋼) ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37 4-3-1 3Rの高度化を巡る諸状況 ・・・・・・・・・・・・ 37 4-3-2 3R高度化の把握 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 40 4-3-3 3Rの高度化の分析 ・・・・・・・・・・・・・・・ 43
4―4 複写機 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49 4-4-1 3Rの高度化を巡る諸状況 ・・・・・・・・・・・・ 49 4-4-2 3R高度化の把握 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 50 4-4-3 3Rの高度化の分析 ・・・・・・・・・・・・・・・ 51
5.先進事例の整理と他の分野への課題 ・・・・・・・・・・・・・・ 61
5―1 リサイクル材を活用する要因 ・・・・・・・・・・・・・・ 61
5―2 先進事例による参考事例 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 64
5―2―1 リサイクル材の質の確保 ・・・・・・・・・・・・・ 64
5―2―2 リサイクル技術 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 66
5―2―3 環境経営の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 68
5―2―4 効率的な回収方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 71
5―2―5 調達 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 72
5-3 4つの分野から参考となる事例 ・・・・・・・・・・・・・ 73 5-3-1 家電製品プラスチック ・・・・・・・・・・・・・・ 73
(1)廃プラスチックの品質管理 ・・・・・・・・・・・・・・・ 73
(2)他の分野への適用と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 77
5-3-2 携帯電話 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 94
(1)基板の実態 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 94
(2)他の分野への適用と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・ 104
5-3-3 鉄(主として特殊鋼) ・・・・・・・・・・・・・・ 106
(1)鉄(主として特殊鋼)のリサイクルの状況 ・・・・・・・ 106
(2)他の分野への適用と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・ 115
5-3-4 複写機 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 119
(1)環境負荷等の把握 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 119
(2)他の分野への適用と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・ 126
6.まとめ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・130
1.背景
先般、取りまとめられた『世界最高水準の省資源社会の実現に向けて ~グリーン化を 基軸とする次世代ものづくりの促進~ (産業構造審議会基本政策ワーキング・グループ 報告書)』の中で、国際的な資源制約の高まりを背景として、今後の3Rの取組の方向と して、投入資源の有効利用を通じた資源生産性の向上、製品ライフサイクル全体での最適 化、温暖化・省エネルギー対策の連携強化などが唱われている。
具体的には、製品製造段階において川下事業者からのサプライチェーンを通して川上事 業者等との摺り合わせを再強化して、無駄の抑制を進めること、また、家電製品における プラスチックの自己循環や複写機における部品リユース・製品再生などに代表されるよう に、リサイクルにおけるカスケード利用から高度なリサイクルに向けた取組みを進めるこ となどが示されている。
また、資源循環のグローバル化が進展する一方、国際的な資源制約を背景として、近年 レアメタルへの関心が高まる状況の中、携帯電話に代表されるように、リサイクルの観点 から廃製品中に含まれる貴金属・レアメタルに着目した取組が進展しつつある状況となっ ている。
以上のとおり、3Rの取組に当たり、これまで以上にリサイクル材の特性、その中に含 まれる貴金属等や含有する物質に着目し、それらを活かして付加価値を高めるための取組 が重要となっている。また、これらの質的な情報については、実際のリサイクルの段階に おいて、提供する側と利用する側との間で共有されることにより、リサイクル技術の開 発・適用につながっている。リサイクル材の物性の評価、その要因を解明の上、高度資源 循環技術、また含有する貴金属等に着目して分離・回収するための効果的なリサイクル技 術の開発が積極的に進められている。
先進事例においては、これらの質的な情報については、製造事業者が主体となって取り 組み、調達を通して川上事業者との連携を図ることにより、またリサイクル工程において は環境配慮設計に基づき、リサイクル事業者へ提供されることにより、共有化が図られて いる。製品の製造からリサイクルの段階に至るまで、物の動脈・静脈のサプライチェーン を通じて、情報が共有され、活用されることが重要である。このような取組を通して関係 事業者との間で摺り合わせを強化することにより、製品造りにおける投入資源等の無駄の 削減や製造工程の改善などにつながっていくことも期待される。
実際の先進事例を参考として、製品中の質的な情報を活かしながら、リサイクル材とし ての特性を明らかにすること、その特性を活かして付加価値を高めるための取組を進める ことにより、高度な資源循環への道も開かれることが期待される。
本調査においては、先進事例における取組のシステム、技術及び情報の面から要因を把 握することにより、他の分野においても参考となるよう、知見として取りまとめようとす るものである。
2.調査目的
3Rの高度化に向けて技術開発が推進されている中、例えば使用済み家電製品における プラスチックの自己循環にみられるように素材自体の再生・活用技術に進展が見られるこ と、また社会的にレアメタルが脚光を浴びる中、携帯電話に係る取組みなど、使用済み製 品に含まれるレアメタルの回収に関心が寄せられていることなど、さらに高度資源循環や 貴重な資源の回収の確保の観点から、その発展が期待されているところである。さらに、
これらの取組みに際しては、EUにおける化学物質への取組みが強化されている状況にも かんがみ、使用済み製品中に含有する微量物質にも留意することが重要である。
本調査においては、これらの動向を踏まえ、3Rの高度化について主として素材、資源、
微量物質といった質的な視点から先進的な事例を収集整理し、その要因として技術、シス テム、情報の点から分析を行うとともに、これらの知見を踏まえて他の分野に適用する際 の課題や対応について検討することにより、再生材の活用促進に資することを目的とする。
3.調査概要
本調査事業では、下記の内容について調査を行った。
(1)先進事例実態調査
3Rの高度化の代表事例として、素材の高度資源循環、使用済み製品に含まれる物 質(資源、微量物質)に焦点を当てた取組みを対象に、そのリサイクルシステムや、そ れを支える技術、情報について、その実態把握を行った。
【対象】・家電製品(回収4品目) ・携帯電話 ・鉄(主として特殊鋼) ・複写機
(2)先進事例の分析調査
先進事例実態調査結果を踏まえて、素材の高度資源循環や含有する資源の回収など、
より付加価値を高めるために重要となる項目について、知見を得た。
【主な知見】
・システム: 全体の構成、関係者間の役割・連携、環境経営への取組みなど
・技術 : 材料の付加価値を高めるための技術(種類・材料等の特定、回 収・分離方法、機能評価、再生方法など)
・情報 : 種類・材料等に関する情報、付加価値を高めるための情報など
(3)他の分野への適用に向けての課題と対応
上記の成果を踏まえて、他の分野における高度化に参考となる事例について、知見 としてとりまとめを行った。また類似する分野での製品や廃棄物の特性等について、
知見の収集を行うとともに、高度化に向けての課題等について検討を行った。
4.先進事例実態調査 4.1 家電プラスチック
4.1.1 3Rの高度化を巡る諸状況
(1)家電製品のリサイクルシステムの概要
循環型社会を構築する上で、家電リサイクル法は大きな役割を果たしている。この法律 は、家庭や事業所から排出される特定家庭用機器のリサイクルシステムを確立し、効率的 なリサイクルと廃棄物の減量を図ることを目的としている。現在、エアコン、テレビ、冷 蔵庫・冷凍庫及び洗濯機の4品目を対象として実施されており、平成21年4月からは液 晶テレビ及びプラズマテレビ並びに衣類乾燥機が追加施行の予定である。
製造事業者等は廃家電製品の引取、再商品化等の実施を果たすべく、環境配慮設計に先進 的に取り組むとともに、リサイクル技術の開発や、再商品化施設といった核となるリサイク ル施設の整備を推進してきた。
また、再商品化率の向上のため、課題とされてきたプラスチックに係るリサイクル技術の 開発にも精力的に取組み、プラスチックの自己循環という高度な資源循環技術を実用化して きた。
同法が平成13年4月に本格施行されて以来、これまで家電のリサイクル台数およびリ サイクル率は順調に増加している。
図 4-1 家電リサイクル法のフロー
(2)家電製品の環境配慮設計
(財)家電製品協会においては、3Rの高度化を図るため環境配慮設計に取組み、他の 業界に先駆けて製品アセスメントマニュアル(1991年10月 初版発行)を整備し、
各メーカーにおける取組を支援してきた。また、時代の要請に応えるべく、改定を重ねて きており、今日、次の主な要素を対象として、取り組まれている。
・資源の有効利用
・省エネルギーへの取組
・製品に含まれる化学物質の管理
(3)プラスチックの自己循環
製造事業者等は廃家電から回収したプラスチックについて、高度なリサイクルを目指し マテリアルリサイクルに積極的に取り組んでいる。このため、環境配慮設計に基づく素材 の統一化や手解体・分別処理の容易化の取組、またそれらの表示などを推進するとともに、
リサイクル技術の開発を進め、家電の部品の材料として再活用する「自己循環」について 積極的に推進しているところである。
この自己循環については、経済産業省産業構造審議会基本政策ワーキング・グループ報告 においても、「再生資源の高度化」の代表的な事例として取り上げられているところである。
4.1.2 3Rの高度化の把握
(1)素材別の情報
家電リサイクル法における回収品目別及び素材別の再商品化量は、表に示すとおりであ る。再商品化量は順調に実績を上げており、法に基づく再商品化基準を大幅に上回ってい る。
(2)プラスチックリサイクルの推進
この中で、特にプラスチックに着目すると、法律の施行以降、その量・割合ともに大幅に 増加している。プラスチックに係るリサイクル技術の開発・実用化が大きく貢献している ものと考えられる。
(3)プラスチックの特性
家電製品に使用される主なプラスチックは、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)、
ABS(アクリロニトリルーブタジエンースチレン)である。
PPは、最も比重が小さく、耐熱性が比較的高い、機械的強度が優れているといった特性 を有している。冷蔵庫の透明棚や洗濯機の水槽などに使用されている。
PSは、透明で剛性が高い、着色が容易、電気絶縁性が良いなどの特性を有している。TV, エアコンなどの筐体に使用されている。
また、ABS は光沢、概観、耐衝撃性に優れているなどの特性を有している。エアコン室
内機や室外機の筐体、冷蔵庫の内箱などに使用されている。
その他には、エポキシ樹脂やフェノール樹脂、ガラス繊維強化樹脂などが使われている。
表 4-1 再商品化重量 (単位:千t)
(注)(1)冷蔵庫・冷凍庫のH13~H15年度は冷蔵庫のみの値。(2)四捨五入の関係上、合計が一致しないことが ある。 (「家電リサイクル年次報告書平成19年度版」(財)家電製品協会)
表 4-2 4品目合計の素材別再商品化量 (単位:t)
年度 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 7年間合計
鉄 110,555 127,171 134,769 143,321 145,034 142,429 146,800 950,079
銅 5,423 7,901 8,791 10,028 11,883 12,259 13,261 69,546
アルミニウム 965 1,845 1,875 2,298 3,324 2,920 9,644 22,871 非 鉄 ・ 鉄 等
混合物 41,406 56,035 55,671 61,790 69,334 65,497 58,755 408,488
ブ ラ ウ ン 管
ガラス 45,153 55,075 55,975 60,818 53,727 52,394 68,269 391,411
その他有価物 7,462 14,785 25,400 32,799 50,761 69,344 81,609 282,160
計 210,964 262,812 282,481 311,054 334,063 344,843 378,338 2,124,555
(「家電リサイクル年次報告書平成19年度版」(財)家電製品協会)
表 4-3 各品目のプラスチックの再商品化状況 (単位:t)
H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19
エアコン その他 有価物
434 (1%)
1,487 (2%)
2,439 (3%)
3,185 (4%)
4,742 (6%)
5,552 (7%)
6,969 (9%) ブラウン
管テレビ
その他 有価物
4,291 (5%)
5,756 (6%)
7,481 (8%)
9,823 (10%)
15,820 (15%)
21,645 (18%)
27,190 (20%) 冷 蔵 庫 ・
冷凍庫
その他 有価物
1,909 (1%)
4,890 (3%)
9,115 (6%)
10,888 (7%)
14,999 (9%)
22,762 (14%)
25,741 (16%) 洗濯機 その他
有価物
828 (2%)
2,652 (4%)
6,365 (8%)
8,903 (10%)
15,190 (16%)
19,385 (20%)
21,709 (23%) (注)括弧内は、全処理重量に対する割合。
(「特定家庭用機器の品目追加・再商品化等基準に関する報告書(H20 年9月)産業構造 審議会検討会及び中央環境審議会専門委員会」)
年度 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 7年間合計
エアコン 45 57 57 65 73 67 69 433
テレビ 59 72 76 84 84 91 115 581
冷蔵庫・冷凍庫 76 91 97 104 108 112 117 705
洗濯機 31 43 52 59 70 75 77 407
計 211 263 282 311 334 345 378 2,124
4.1.3 3Rの高度化の分析
(1) 高度利用をするための要因の検討
製品の流れとともに、リサイクルを支援するための技術及び情報について、概要をまと めると次のとおりである。
プラス
チック
回収協力 技術のフィードバック 技術のフィー ドバック
情報 ハード 技術 技術と仕様
図 4-2 廃家電製品3R のシステム・情報・技術 製造事業者
製造 環境経営
(素材の表示・易解体など)
小売店・消費者
再商品化施設
再商品化 施設整備 の推進
技 術 開 発
環境配慮設計
情報・ハード・技術 の一体的運営
解 体 ・ 選 別 ・ フレーク化
再生プラスチック事業者
・再生・調整技術
・成形技術 ・品質管理
再生プラ スチック
(財)家電製品協会
○技術の集約・提供と標準化 ○リサイクル技術の普及 ○家電リサイクル法事務の
・家電製品アセスメントマニュアル 執行 ・家電製品のプラスチック自己循環リサイクル事例集 等
(2)システム
①家電製品の環境配慮設計
z 家電製品 製品アセスメントマニュアルの制定(文献調査)
(財)家電製品協会では、環境配慮設計の重要性を認識し、1991 年 10 月に他業界に先駆
けて「家電製品 製品アセスメントマニュアル」を発行した。その後、家電リサイクル法や
欧州RoHS 指令など環境に係る法規制や制度が進む中で改定を重ね、2006 年5 月に第4
版を発行した。この中で、具体的に実施すべき取組内容を示すものとして製品アセスメン トガイドラインが定められている。
製品アセスメントガイドライン(チェックリスト)では、評価項目をチェックするため の評価基準と評価方法が具体的に示されている。また、リサイクル事業者などに製品に関 する情報を適切な表現で理解しやすく、かつ適切な表示方法(表示場所など)で提供する ために、設計時に配慮・留意すべき「製品や包装材等への表示」の内容について設計ガイ ドラインとして取りまとめられている。
製造事業者は製品のライフサイクルを通じた環境負荷低減を目的に、3Rの推進を含め た環境配慮設計を行っている。(財)家電製品協会では「家電製品 製品アセスメントマニュ アル」を制定するとともに、製造事業者の製品アセスメント実施状況を公表している。
z 家電製品 製品アセスメントマニュアルの制定 z 製品アセスメント実施状況の公表
表 4-4 製品アセスメントガイドラインの評価項目とその目的
(資料)家電製品 製品アセスメントマニュアル
z 製品アセスメント実施状況の公表(文献調査)
(財)家電製品協会では、製造事業者から製品アセスメントの事例を収集し、製品アセスメ ント事例集としてホームページに掲載している。
②製品事業者が主体となったシステムの構築
家電製品のリサイクルにおいては、製造事業者が主体となって技術開発や再商品化施 設の整備を進めるなど、大きな推進力となっている。また、プラスチックの自己循環に おいては、開発した技術をもとに、再生プラスチック事業者とも連携を図り、その再生・
調整から品質管理に至るまで一貫した取組を支援している。
z 手解体によるポリプロピレンのクローズドリサイクル z 混合プラスチックからのポリプロピレンリサイクル
z 手解体によるポリプロピレンのクローズドリサイクル(文献調査・ヒアリング調査)
(財)家電製品協会による「家電製品のプラスチック自己循環リサイクル事例集」から、
PPのリサイクル技術に見てみる。三菱電機(株)の技術開発事例では、手解体などにより取 り出した冷蔵庫の野菜ケースや洗濯機水槽を対象に、PPのクローズドリサイクルを行っ ている。手解体などにより大きな部品を取り出し、食品残渣などの異物を除去し、乾式粉 砕工程でフレーク化する。次に、外部再生業者により更に水洗・異物の除去を行い、改質 剤の添加を経てペレット化し、家電製品の部品に再利用する。冷蔵庫の野菜ケースはエア コンの室外機部品やクリーナー部品に、洗濯機水槽は洗濯機底枠に再利用する。
これらの製品製造事業者による技術開発や環境配慮設計に基づく情報の提供を受けて、
家電再商品化施設やプラスチック再生事業者等において、リサイクルが行われている。家 電再商品化施設である(株)ハイパーサイクルシステムズでは、上記のプラスチックを対 象に、環境配慮設計に基づく分別容易性や解体容易性や、それらの情報を活かしながらフ レーク化までを行っている。その後は、プラスチック再生事業者において、調整・再生の上、
ペレット化され、成形加工が行われている。ペレット化工程では、製造事業者からのリサ イクル技術の提供や物性に係る仕様を通して、再生プラスチックの調整・再生が行われてい る。
【製品製造事業者からの技術・情報の提供】
図 4-3 手解体 PP のクローズドリサイクル
(「家電製品のプラスチック自己循環リサイクル事例集」より三菱電機(株)の技術開発 事例について作成)
z 混合プラスチックからのポリプロピレンクローズドリサイクル(文献調査・ヒアリン グ調査)
同様に、混合プラスチックからPPのクローズドリサイクル事例を見てみる。三菱電機
(株)の事例では、手解体した後の廃製品を混合破砕工程、微破砕工程を経てプラスチッ ク残渣を8mm以下程度まで微破砕する。その後、破砕物を乾式選別工程、静電選別工程で
回収からフレーク化工程 再生・調整から部品製造工程
手解体・機械化工程
・野菜ケースの取出し
・洗濯水槽の自動切出
・残渣の除去
乾式粉砕工程
・フレーク化
ペレット化工程
・水洗・異物除去
・酸化防止剤等の添加
・ペレット化
成形加工工程
・エアコン室外機、
洗濯機底枠等の部 品
解体容易性(部品数の削減など)
分別容易性(素材統一化、材質表示など)
調整(酸化防止剤、改質剤等)
再生材の仕様(基本物性、色など)
金属を除去し、さらに湿式比重選別工程で比重1未満のPPを取り出す。PPは99%以上 の純度を持つが、ペレット化工程で溶融後にスクリーンを通しさらに異物を除去する。こ れに、酸化防止剤と金属不活性剤を添加し、物性等の調整を行い、ペレット化する。家電 製品の部品として食洗機下部カバー、洗濯機ポンプホルダー、冷蔵庫ドレンパンなどに再 生利用される。
これらの技術開発の提供やプラスチック再生材の物性等に係る仕様を受けて、(株)ハイ パーサイクルシステムズやプラスチック再生事業者において、混合プラスチックからのP Pの高度なリサイクルシステムへの取組が進められている。
【製品製造事業者からの技術・情報の提供】
図 4-4 混合プラスチックからの PP 選別
(「家電製品のプラスチック自己循環リサイクル事例集」より三菱電機(株)の技術開発 事例について作成)
PPの選別工程 コンパウンド工程・成形加工
破砕工程
・破砕機
・微破砕(8mm以 下の破砕物)
選別工程
・乾式比重選別・静電 選別(金属の除去)
・湿式比重選別(PP の選別)
ペレット化
・溶融後、スクリーン で極微量の異物除去
・酸化防止剤等による 調整 ・ペレット化
成形加工
・洗濯機ポンプホル ダー、冷蔵庫ドレン パンなど
調整(酸化防止剤、改質剤などの添加)
再生材の仕様(基本物性・色など)
高度選別技術の提供
(3)情報
①リサイクルを容易にする情報
z 製造事業者による表示(文献調査)
家電製品は、多くの部品から構成されており、その材質も多岐にわたる。それゆえに、
家電製品の再商品化工程においては、環境配慮設計に基づく材質表示や易解体性に係る情 報が重要となっている。また、再商品化工程において実際の解体性などに係る意見を集約 し、実際の製品設計の改善に活かす取組も重要である。
図 4-5 家電リサイクルの製品と情報の流れ
((財)家電製品協会資料より抜粋)
家電プラスチックのリサイクルには手解体・分別処理が不可欠であり、その容易化を 進めるため、製造事業者はプラスチック部品の識別表示や解体性向上のためのリサイク ルマーク、新材質の表示や資源再利用指標の策定、運用に取り組んでいる。
z 製造事業者による表示
z 表示およびリサイクルマークのガイドラインの策定
z 表示およびリサイクルマークのガイドラインの策定(文献調査)
家電製品を解体、分別、材料の回収を効率的に行うためには、部品にリサイクルをする めの情報を明示することが重要である。(財)家電製品協会では、これまでの取組を集約する とともに、新たな知見も加えて、2008年3月に「家電製品のプラスチック等部品の表示お よびリサイクルガイドライン」を策定している。
表 4-5 主な表示及びマーク
【プラスチック部品・金属部品の材質表示】
表示の内容 表示およびマーク例
JISK6999 に基づく材
質表示
>PC+ABS―CF FR(40)<
(内容)PCとABSのブレンド剤をカーボン繊維により強化し、さらに「ハロ ゲンを含まない有機りん化合物」の難燃剤(コード番号40)を含有する場合
「難燃剤含有なし」の 材質表示
>ABS<FR0
(内容)難燃剤(FR)の後に含有していない意味の「0」をつける。
「プラスチック再生材 含有」の表示
>PP<CR30
(内容)材質がPPで、(含有率±10)%以内で確定できる再生材を含有し ており、含有率を表示する場合。CR30の意味としては、クローズドリサイ クル材だけのプラスチック再生材の含有率20~40%を示す。
プ ラ ラ チ ス ク チ 部 品 の 表 示
「ラベルおよびシール 類」の材質表示
>PET< / >PS<
(内容)ラベルの中にラベルの材質表示(左側)に加え、被ちょう(貼)付物の 材質表示をする。
金属部品の材料表示 ―Fe―、―Cu―、―SUS304―など
【リサイクルマークの種類】
表示の内容 目 的
「取り外しねじ」を示すマーク リサイクル処理時の解体作業で、工具を用いて取り外さなければな らないねじの位置を表示する。
該当するねじを矢印が指す方向により示す。
プラスチック部品に「金属がインサ ートされている」ことを示すマーク
プラスチック部品をリサイクルするために分別する際の「金属イン サート」の情報提供
「穴あけ位置」を示すマーク 洗濯機回転層のバランサーの「塩水抜きの穴あけ位置」の情報提供
冷蔵庫の「コンプレッサの冷媒封入 パイプの向き」を示すマーク
「どの方向に冷蔵庫を倒せばコンプレッサの冷媒封入パイプから 効率的に冷媒・オイルを回収できるかについて情報提供
「嵌合箇所」を示すマーク 解体作業の効率向上のため、取り外しが必要なプラスチックまたは 金属部品の嵌合箇所の位置について情報提供
J-Mossグリーンマーク 資源有効利用促進法に基づき、指定製品を対象に、特定の化学物質
(6物質)の管理と、含有率基準値を超えて含有する場合の「含有 マーク」と「情報提供」の義務づけ。6物質が全て全て基準地位化 の場合に「グリーンマーク」の任意表示が可能。
(「家電製品のプラスチック等部品の表示およびリサイクルガイドライン」より作成)
②素材、有用資源、微量物質に関する情報
z 素材、有用資源、微量物質に関する情報
プラスチック素材に加えて、金属についても材料表示の提供が勧められている。回収し た金属部品の分別作業において、正確かつ効率的な分別を実施するために、「家電製品の プラスチック等部品の表示およびリサイクルマークのガイドライン」では、金属部品にお いて材料表示が望ましいものとして示されている。
また化学物質については、生産工程におけるグリーン調達等を通して、適切な管理が なされている。
表 4-6 金属部品において材料表示が望ましいもの
(「家電製品のプラスチック等部品の表示およびリサイクルガイドライン」より抜粋)
素材や有用資源、微量物質に関する情報は、家電リサイクル拠点において有効に活用さ れている。
z 素材、有用資源、化学物質に関する情報
(4)技術
①リサイクル技術の取りまとめ
z 家電製品のプラスチック自己循環リサイクル事例集(文献調査)
「家電製品のプラスチック自己循環リサイクル事例集」に基づく知見を踏まえて、技術 の概要を把握してみる。また、個々の内容については、次の②で取りまとめている。
表 4-7 技術課題と解決策
技術分野 課題 解決策
解体 作業の標準化、プロセスの機械化
(洗濯槽等の取り外し装置などの開発)
材質識別装置の開発・導入 解体によるプラスチ
ック部品の回収
識別・分別
打音による識別 比重選別技術の高度化 選別工程の多段化 機械選別
金属除去
洗浄技術の高度化 素材ごとの選別、異物
の除去
異物除去
異物除去を兼ねた洗浄技術の開発
調整 添加剤やバージン材料とのブレンドの最適化 ペレット加工時の異物除去のためのスクリーン メッシュの最適化
再生工程
異物混入
相溶化技術の開発(顔料の高分散化、異材質の粒 子系の微細化、均一分散化など)
成形加工 バージン材料との混合等によるノズル詰まりの 低減、部材ごとの色調調整技術の開発による色ム ラの改善
規制対応 プラスチック再生材量の使用を前提とした化学 物質管理、品質管理
プラスチック再生材量の基本物性の把握 設計・製造
再生材の特性
プラスチック再生材量の品質管理のための指標 の設定(破断面の異物占有面積比など)
(「家電製品のプラスチック自己循環リサイクル事例集」より作成)
(財)家電製品協会では、製造事業者の技術者が情報の共有を図り、プラスチックの自 己循環リサイクルを拡大するため、家電プラスチックの自己循環事例に関する知見を収 集・整理を行い、「家電製品のプラスチック自己循環リサイクル事例集」として取りまと め、リサイクル技術の高度化・普及を推進している。
z 家電製品のプラスチック自己循環リサイクル事例集
表 4-8 プラスチックの自己循環リサイクル事例
②リサイクル技術
z 解体によるプラスチック部品の回収
高度化を推進する上で、解体・分離を容易にし、作業の効率化を図ること、また材質につ いて、汚れや表面塗装、難燃剤の有無などの特性にも留意し、種類を特定し分別すること が重要となっている。
このため、解体を容易にするため、作業の標準化やプロセスの機械化が推進されている。
また、表面塗装や難燃剤の種類などを特定するための判別技術も開発されている。
z 素材ごとの選別、異物の除去
プラスチックの自己循環利用を進める上で、機械的物性の確保は重要であり、この ため、プラスチックの選別とともに、異物や汚れの除去は重要となっている。
各製造事業者において、洗浄技術の高度化や異物除去をかねた洗浄技術の開発が行 われている。
家電プラスチックをリサイクルするため、解体技術、選別・異物除去技術、再生技術な どさまざまな技術が開発され、利用されている。
z 解体によるプラスチック部品の回収 z 素材ごとの選別、異物の除去 z 再生技術
(事例1)中赤外分析材質判別技術(テレビ・黒系材料/材質の特定、特定臭素系難 燃剤の判別)
(事例2)FT-IR分光材質判別技術(テレビ・樹脂部品/材質、難燃剤の種類、塗装
の種類、汚れの度合いを識別)
(事例1)家電製品PP ⇒ 洗濯機水槽ほかに再利用
・ 洗濯機水槽の異物(水のスケール、金属錆、洗剤、汚垢) ⇒手作業+翼式 水洗浄脱水機) ⇒ 異物を0.1%未満まで除去
(事例2)
・「バブル+攪拌」 + 「スクリュー洗浄」(破砕片同士の摩擦力)
⇒ 洗浄率の向上、基本物性の向上
(事例3)冷蔵庫の庫内部品 ⇒ 冷蔵庫の庫内部品に再利用
・回転式乾式洗浄(樹脂表面の異物除去)→風力選別(粉等の異物除去) → 色彩選別機(色の違うPP片の分別) →金属探知機
z 再生技術
リサイクル材の劣化等に対応するため、それを補い、物性等の機能を回復させるため、
リサイクル材の特性に応じて、酸化防止剤などの添加剤や改質材による調整・再生を行うこ とが重要となっている。
また、添加剤や改質材の添加により調整を行った後、リサイクル材として活用するため に、機械的物性等の把握が行われている。
東芝家電製造(株)の事例は、冷蔵庫野菜ケースから冷蔵庫のエバカバー(コンプレッサで 高圧に圧縮したガスを送り込んで急激な気化熱で冷やす部分のカバー)や機械室側板など に再生している。機械室側板にはネジ締めトルクが、エバカバーには外観と帯電防止等が 要求される。
エバカバーの外観を確保するために冷蔵庫野菜ケースの白のみを回収し、調色せずに帯 電防止剤を添加した。機械室側板のネジトルク確保のため、滞留時の熱劣化を防止する酸
(事例1) 冷蔵庫の庫内ケース ⇒ 洗濯機の台枠などに再利用
・ バージン材料混合
(事例2)家電製品(PP) ⇒ 洗濯機水槽ほかに再利用
・ 酸化防止剤の添加 ・基本物性の確認
(事例3)家電製品(PP) ⇒ 家電製品の部品に再利用
・非融解型結晶化核剤の添加により、PP の結晶を微細化・均質化し、剛性を向上
(再生材料の高配合化。)
(事例4)洗濯機水槽 ⇒ 洗濯機台板に再利用
・ 洗浄技術などと併せて、MFR調整剤などの添加により、再生剤100%での リサイクルが可能
(事例5)混合PP ⇒ 洗濯機ドレンパンなどに再利用
・洗浄技術などと併せて、改質剤(酸化防止剤、金属不活剤)の添加
(事例1)洗濯機槽 ⇒ 洗濯機台板に再利用
(MFR、アイゾット衝撃強さ、シャルピー衝撃強さ、引張降伏点強さ、引張破 断点伸び、曲げ強さ、曲げ弾性率、比重) :各要求仕様・評価結果添付 (事例2)冷蔵庫野菜ケース ⇒ 冷蔵庫エバカバーなど再利用
(MFR、シャルピー衝撃強さ、引張降伏点強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率、ボスネ ジトルク) :リサイクル材とバージン材との比較
(事例3) 野菜ケース、洗濯機のふた ⇒ 洗濯機台枠に再利用
(引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げ弾性率、Izod衝撃値、MFR、HD T) 機械的特性のばらつき(バージン材、リサイクル材、改質材)
(事例4)混合プラスチック(PP) ⇒ 冷蔵庫ドレンパンなどに再利用 (熱酸化劣化試験(物性保持率(衝撃強度)))
化防止剤と成形サイクル確保のためのMFR調整剤を添加した。これによって、バージン材 料とほぼ同等の物性値を維持することが可能となった。
表 4-9 東芝家電製造(株)冷蔵庫エバカバー他部品の物性値
(「家電製品のプラスチック自己循環リサイクル事例集」より抜粋)
③プラスチック再生材料の品質管理
z 品質管理
シャープ(株)では、洗濯機水槽から再生したプラスチック材料の加工工程管理・ロット管 理の管理項目の概要は表に示すとおりである。
表 4-10 プラスチック再生材料の加工工程の管理項目
(「家電製品のプラスチック自己循環リサイクル事例集」より抜粋)
一般的に廃製品から回収したプラスチックは、微量成分の混入や劣化によりバージン 原料と比べて機械的性質が劣っていることから、再利用先の要求特性を考慮した品質管 理は重要である。
z 品質管理
4.2 携帯電話
4.2.1 3Rの高度化を巡る諸状況
(1)販売台数
情報通信技術の進歩は目覚しいものがあり、携帯電話についても高機能化とともに利便 性が増し、日常生活の中で欠かせないものとなっている。経済産業省機械統計によると、
2003年から2007年の携帯電話の販売台数は、5,000万台を超えており、2007年は5,322 万台である。
表 4-11 携帯電話・PHS の販売台数の推移
(経済産業省機械統計より作成)
(2)資源有効利用促進法
携帯電話は小型二次電池を使用していることから、資源有効利用促進法において、再生 資源または再生部品の利用促進に取り組むことが求められる指定再利用促進製品、自主回 収及び再商品化に取り組むことが求められる指定再資源化製品に指定されている。
(3)企業の社会的責任
通信事業者各社は、携帯電話リサイクルの取組を企業の社会的責任(CSR)の一貫とし てCSR報告書等に位置づけている。
(株)NTTドコモでは、携帯電話リサイクル事業の取組を、「お客さまとともに進める環境
活動」として「ケータイリサイクル」を明記している。
KDDI(株)では、環境保全活動の中の「廃棄物削減・リサイクルの推進」として「携帯電 話リサイクルの推進」を明記している。
(株)NTTドコモグループ CSR報告書2007
平成18年度の使用済み携帯電話の回収台数は、前年度実績から55万台減少し、359万台となり、
減少傾向が続いています。端末の高機能化、多機能化により、電話として使わなくなった携帯電話を 手元に保管し続ける利用者が増えたことが原因として考えられ、こうした動きに合わせて回収数が 減少しています。
携帯電話には貴重な金属が含まれています。使用済み携帯電話の回収機会を拡大するため、2006 年度にさまざまな取り組みを実施しました。
¾ 各種イベントでの回収:環境イベントやサッカーJ リーグとのタイアップによるサッカー教室 などでの回収。
¾ 行政と連携した回収:清掃工場と協力し、ゴミとして捨てられた携帯電話を分別して回収。
¾ 警察と連携した回収:県警や警察署に拾得物として届けられ、保存期間が過ぎても引き取りのな い携帯電話の回収。
¾ 回収BOXの導入による回収拠点の拡大:大手家電量販店と協力し、都内を中心に使用済み携帯 電話の回収BOXを設置。
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年
携帯電話販売台数(万台) 6,147 5,281 5,061 5,297 5,322
4.3.2 3R 高度化の把握
(1)携帯電話の有用金属の含有量
携帯電話・PHSには金、銀、パラジウムなどの貴金属やレアメタルが含まれている。金、
銀、銅の含有率は鉱石の平均値と比べて大変高く、廃携帯電話に代表されるように都市鉱 山と言われるゆえんである。平成20年度環境・循環型社会白書によると、金は携帯電話1 tあたり400g含まれており、回収、リサイクルされることにより確実に貴金属等の有望な 供給源となり得る。
表 4-12 携帯電話・PHS の有用金属含有率
(平成20年度環境・循環型社会白書より抜粋)
(2)モバイル・リサイクル・ネットワークの概要
(社)電気通信事業者協会と情報通信ネットワーク産業協会は、それぞれの関係事業者 の参画を得て共同してモバイル・リサイクル・ネットワーク(MRN)を構築し、平成 13 年4月から消費者から使用済みの携帯電話・PHSの回収を行い、リサイクルに取り組んで いる。
モバイル・リサイクル・ネットワークは、次のような枠組みを設定しており、各通信事 業者は、この枠組みの中でそれぞれの実情に即した自主的な回収を行っている。
・消費者からは無料で回収する。
KDDI(株) CSR報告書2008 携帯電話リサイクルヘの取り組み
携帯電話にはプラスチックや金、銀、銅などのほかに、パラジウムなどの希少性の高い金属も 使用されています。これらの希少金属は、さまざまな先端技術やハイテク製品の製造に不可欠で あり、世界的に需要が高まるなか、資源の循環利用が求められています。
KDDI(株)では、これらの資源を大切に使うため、携帯電話とその周辺機器のリサイクルに積 極的に取り組んでいます。全国に約2、500あるauショップで、事業者やメーカーを問わず回収 し、素材ごとに解体・分別して、焼却処理をできるだけ行わずに元の素材へ再生する「マテリアル リサイクル」を推進しています。現在では携帯電話本体は、再資源化率(マテリアルリサイク ル)98%を達成しています。
鉱 種 携帯電話・PHSに含 まれる有用金属
参考:鉱石の平 均値
金(g/t) 400 0.92
銀(g/t) 2,300 93
銅(%) 17.2 1.2
パラジウム(g/t) 100 181
・どの製造事業者や通信事業者のものでも回収する。
・回収したものはすべて、再資源化事業者で適正な処理・リサイクルを行う。
・回収量・再資源化量の把握と公表を行う
・広報・啓発キャンペーン等を実施する
・専用ロゴマークの店頭貼付、製品カタログ、取扱説明書等への統一掲載を行う
図 4-6 モバイル・リサイクル・ネットワークの概要図
(「モバイル・リサイクル・ネットワークホームページ」より抜粋)
平成19年度のモバイル・リサイクル・ネットワークによる回収量は、携帯電話本体が644 万台(544t)、電池が720万個(145t)、充電器が371万台(250t)である。携帯電話本体 の回収台数は減少が続いており、平成12年度の1,362万台から半減している。
表 4-13 モバイル・リサイクル・ネットワークによる携帯電話の回収量の推移
(「モバイル・リサイクル・ネットワークホームページ」より作成)
12 13 14 15 16 17 18 19
回収台数 (千台) 13,615 13,107 11,369 11,717 8,528 7,444 6,622 6,443 回収重量 (t) 819 799 746 821 677 622 558 544 回収台数 (千個) 11,847 11,788 9,727 10,247 7,312 6,575 6,133 7,198 回収重量 (t) 304 264 193 187 159 132 125 145 回収重量 (千台) 3,128 4,231 3,355 4,387 3,181 3,587 3,475 3,706 回収台数 (t) 328 361 251 319 288 259 234 250 本体
平成年度
電池 充電器
4.3.3 3R高度化の分析
(1) 高度利用をするための要因の検討
製品の流れとともに、リサイクルを支援するための技術及び情報について、概要をまと めると次のとおりである。
携帯
実績 報告 協力依頼
携帯
回収依頼 回収依頼
携帯 携帯
連 携 アンケート
貴金属等の 効果的な啓発 活動
回収実績 協力依頼
図 4-7 携帯電話3R のシステム・情報・技術
業界団体
・モバイル・リサイクル・ネットワークの構築 ・効果的な回収方策の検討 ・製品環境アセスメントガイドラインの制定
製造事業者
環境経営 環境配慮設計
通信事業者
環境経営 携帯電話の回収 啓発活動等の充実
専売ショップ等
顧 客 へ の 説 明 、 回収
関係機関との連携
自治体・コンビニエンスストア・量販店等
リサイクル事業者
効率的な輸送 リサイクル
消費者
回収への理解協力
(2)システム
①モバイル・リサイクル・ネットワークの構築
通信事業者と端末製造事業者による連携の下、モバイル・リサイクル・ネットワークが 形成され、携帯電話の回収・リサイクルに大きな推進役となっている。端末製造事業者にお いては、情報通信ネットワーク産業協会による「携帯電話・PHS の製品環境アセスメント ガイドライン」に基づき環境配慮設計の取組を推進している。また通信事業者においては、
(社)電気通信事業者協会と一体となって消費者に対する回収協力のための啓発活動や情 報発信を行うとともに、専売ショップ等を通じて消費者から廃携帯電話を回収し、さらに リサイクル事業者を通して貴重な金属のリサイクルを推進している。
また、各通信事業者における専門店では、他のメーカーの携帯の回収も行っており、消 費者の利便性にも配慮され、共同利用が可能なシステムとなっている。
②環境経営上の位置づけ
z (株)NTT ドコモ(文献調査)
(株)NTT ドコモでは、グループ全体で環境負荷の削減を進めるため、3つの専門委員会
を設けて環境目標を設定・管理している。ECOお客さまチャネル専門委員会では、環境 課題に対する取組を推進し、使用済み携帯電話回収については、中期目標、年度目標、目 標達成のための主なアクションを定めている。
携帯電話の3Rを推進していくためには、まず、関係各社が3Rに取り組む姿勢が重 要である。各社とも携帯電話の3Rを環境マネジメントシステムの中に位置づけ、会社 経営の中での重要性を明確にし、目標や実績をCSR・環境報告書で公表している。
z (株)NTTドコモ
z KDDI(株)
通信事業者と端末製造事業者とが連携し、『製品中に貴重な金属を含有。リサイクルに よって回収を推進』といった共通の認識を得て、リサイクル事業者の協力の下、携帯電話 の回収・リサイクルシステムを構築する。
表 4-14 (株)NTT ドコモ 携帯電話回収の環境目標と目標達成のための主なアクション
((株)NTTドコモグループCSR報告書2008より抜粋)
z KDDI(株) (文献調査)
KDDI(株)では、第2期中期環境保全計画の廃棄物削減・リサイクル推進の中で、「携帯電
話・撤去通信設備などの再資源化率を 99%以上とする」としており、これを達成するため に、2007年度の目標の達成状況と2008年度の目標を定めている。
表 4-15 KDDI(株) 携帯電話回収・リサイクルの目標と実績
(KDDI(株) CSR報告書2008より抜粋)
2010年度中期目標 2008年度目標 目標達成のための主なアクション 不要になった携帯電話の廃棄方法 についてお客さまへ適切な説明を 行う
使用済み携帯電話回収の認知度を 80%以上に向上させる
プレミアアンケートによる回収認知 度を把握する(1回/半期)
使用済み携帯電話の回収数を把握 する
ドコモショップなどでの回収拠点 の拡大
ドコモショップ、量販店以外でも回 収拠点の拡大を図る
使用済み携帯電話・電池な どの回収を推進する
回収拠点の拡大を図る 使用済み携帯電話回収の認
知度を向上させる
使用済み携帯電話回収の認 知度を前年度(77%)以上に 向上させる
2007年度目標
第2期中期環境保全計画に基づく廃棄物削減・リサイクル推進 ●携帯電話の再資源化率(マテリアルリサイクル率)99%以上
■携帯電話リサイクルの推進
・お客さまへのリサイクルに関する意識醸成を目的とした各種施策の実施 ・請求書、カタログ、ホームページヘの掲載
・ショップ店頭へのツール配置(絵本・ポスター・回収ボックスなど) ・携帯電話の再資源化率(マテリアルリサイクル率)を98%以上とする ※第2期中期環境保全計画達成に向けての2007年度トレンド目標
2007年度実績
■回収数 ・本体 232.7万台(2006年度比8.6万台減少) ・電池 173.3万個(2006年度比21.0万個減少) ・充電器 127.6万台(2006年度比7.9万台増加)
■携帯電話リサイクルの推進
・ホームページでリサイクルの取り組み過程を紹介し、周知活動を実施 ・リサイクルの意識向上のツールとしで絵本をショップ店頭に配備 ・携帯電話の再資源化率(マテリアルリサイクル率)98%
2008年度目標
第2期中期環境保全計画に基づく廃棄物削減・リサイクル推進 ●携帯電話の再資源化率(マテリアルリサイクル率)99%以上
■携帯電話リサイクルの推進 ・回収数値の維持
・リサイクル告知活動の展開
・携帯電話の再資源化率(マテリアルリサイクル率)を99%とする ※第2期中期環境保全計画達成に向けての2008年度トレンド目標
③製品の環境配慮設計
z 製品環境アセスメントガイドラインの制定(文献調査)
情報通信ネットワーク産業協会は、端末製造事業者による製品の環境配慮設計を促進す るため、「携帯電話・PHS の製品環境アセスメントガイドライン」を制定している。平成 13年3月に第1版を制定し、平成16年2月に第2版に改定した。
ガイドラインには、携帯電話・PHS 端末の環境配慮設計を行うための評価項目と評価方 法が例示されており、各社はガイドラインを基準として、製品環境アセスメントを実施し ている。主な評価項目と評価基準は次のとおりである。
リデュースの評価項目(評価基準:18項目)
・製品等の省資源化(小型化、軽量化)
・製品の省電力化
・貴金属、化学物質の管理および削減
・製品の長寿命化
・LCA(ライフサイクルアセスメント)
リユースの評価項目(評価基準:7項目)
・共用化設計
・分離分解しやすい設計
リサイクルの評価項目(評価基準:31項目)
・リサイクル時の環境影響が小さくなる材料、部品の選択
・解体、分解が容易な構造
・分別の容易性
製造事業者は環境配慮型製品を提供するため、携帯電話・PHS端末の製品アセスメント を実施し、リデュース、リユース、リサイクルがしやすいような製品作りを行っている。
z 製品環境アセスメントガイドラインの制定
④回収拠点の拡大
z (株)NTT ドコモによるコンビニエンスストア・量販店での回収
(文献調査・ヒアリング調査)
(株)NTTドコモでは、携帯電話回収ボックスの増設を推進し、2007年度には量販店6店
舗とコンビニエンスストア(AM・PM)50 店舗に回収ボックスを設置し、3,104 台を回 収した。回収ボックスは、投函口から携帯電話を取り出せない仕組み、二重構造の外箱と 内箱には二重施錠式、専用車による回収など、機密保持のための対策が施されている。
z 量販店における回収(文献調査)
通信事業者以外にも回収の動きが広がっている。ヨドバシカメラでは2008年6月から全 19店舗で、ビックカメラでは2008年8月から全26店舗で携帯電話の回収を行っている。
z イベント会場での回収(文献調査)
(株)NTTドコモでは、2007年6月、Jリーグ大宮アルディージャと共同でケータイリサ
イクルキャンペーンを実施した。サッカーの試合会場にケータイリサイクルブースを設置 し、携帯電話を持ち込んだ顧客には、サイン入りユニフォームなどのグッズを抽選で提供 している。
z 自治体との連携(文献調査)
(社)電気通信事業者協会と情報通信ネットワーク産業協会では、東京都の自治体、小 型充電式電池リサイクルを行っている有限責任中間法人JBRCなどとともに、「希少金属等 含有製品回収促進協議会」に参加し、携帯電話の回収施策や広報活動等を進めるための検 討を行っている。
(情報通信ネットワーク産業協会ホームページより抜粋)
モバイル・リサイクル・ネットワークは専売ショップを基本とした回収システムで あるが、コンビニエンスストア、量販店、イベント会場での回収、自治体と連携して の回収など回収拠点の拡大が試みられている。
z (株)NTTドコモによるコンビニエンスストア・量販店での回収
z 量販店における回収 z イベント会場での回収 z 自治体との連携
東京都の「希少金属等含有製品回収促進協議会」に参加し、具体的検討を開始 この協議会は、東京都の 23 区代表および市町村代表、MRN(CIAJ,TCA)、有限責任中 間法人 JBRC(小型充電式電池リサイクル)の各関係者から構成されており、携帯電 話等の回収促進の施策や広報活動等を進めるための検討を行なってまいります。
MRN では、従来から、地方自治体に対して、個別に回収促進のための協力要請を行っ てきましたが、都道府県で協議会が設置され、かつ参加するのは初めてのケースであ ります。そのために CIAJ では、携帯電話リサイクルに関する東京都との協議会をモ デルケースとして捉え、実際の資源回収事業の実態を踏まえて、施策の有効性や課題 の対策の検討をおこない、回収量の増加に結びつけたいと考えています。
⑤顧客の協力を得るための取組
z ツールを使用した販売スタッフによる説明(ヒアリング調査)
(株)NTTドコモでは、平成20年7月から携帯電話回収のためのツールとして、販売カウ
ンターにリサイクルご案内シート(A4版裏表の下敷き)顧客の目に見えやすいところに ステッカーを掲出している。記載内容は次のとおりである。
・金、銀、銅、パラジウムなどの貴重な金属が含まれていること
・個人情報保護のため目の前で破砕処理をすること
・リサイクル収益の一部で植林活動を行うこと
・廃携帯電話は100%リサイクルできること
図 4-8 (株)NTT ドコモ 店頭掲出ステッカー
携帯電話回収に協力を得るため、携帯電話には貴重な金属が含まれていること、貴重 な金属をリサイクルしていくためには回収への協力が必要なことを顧客に周知するため の、さまざまな取組がなされている。
z ツールを使用した販売スタッフによる説明 z 携帯パンチによる機密保護
z ケータイパンチによる機密保護(文献調査)
(株)NTT ドコモでは、専売店のカウンターに「ケータイパンチ」という携帯電話の破砕
機が置いてあり、解約後の携帯電話をその場で破壊している。顧客の目の前で携帯電話を 破壊することで、機密保護を確実にするとともに、顧客に安心感を与えることができる。
ず
図 4-9 ケータイパンチ
((株)NTTドコモホームページより抜粋)
z データバックアップ(文献調査)
顧客が携帯電話の回収に応じない理由のひとつに、携帯電話に入っているデータ移行の 問題がある。各社では、データ移行やバックアップツールを整備し、対応機種は各社内で はほぼ移行可能になっている。また、フロッピーディスクや CD-R にデータをコピーする 取組も行われている。今後は、他社の機種へのデータ移行等を可能とする方法を検討予定 である。なお、有料でダウンロードした音楽やゲームは著作権法の対象となるなどの問題 点があり、取扱を検討中である。
⑥効率的な運搬システム
z WEBを活用した運搬システム(ヒアリング調査)
(株)NTT ドコモでは、回収した携帯電話をリサイクル業者まで効率的に運搬するため、
WEBを使った連絡・運搬システムを構築している。携帯電話が一定量集まった専売ショ ップはWEBでリサイクル業者に回収依頼をする。依頼を受けたリサイクル業者は、毎週 各店舗で回収した携帯電話のリサイクルは、通信事業者ごとに委託したリサイクル事業 者が行っている。リサイクル事業者まで効率よく運搬できるシステムを構築している。
z WEBを活用した運搬システム