西松建設抜報VOL.11 U.D.C. 624.191.64
加泥型土庄式シールドにおける掘削管理,土庄制御システム ControISystemofEarth−PreSSureBalancedShieldanditsApplication
平於 清和**
KiyokazuHiramatsu 七浦 浩*
Hiroshi Nanaura
要
第2次味銑雨水幹線下水道工事において,加泥型土庄式シールド掘進機の掘削管理・土 庄制御システムにPIパラメータ調整技法を織り込んだファジィ理論を応用し,従来自動 運転が困難.とさていた巨礫を有する滞水礫層の掘削に良好な結果を得た.
このシステムは,シールド掘進機の掘削運事云状況の監視,掘削データの編集,解析及び 切羽制御を可能としたものであり,将来の全自動化シールド掘進機開発のワンステップと
なるものである.
各要素についてモードを設定し,この流れの中でフィー ドバックをかけながらPI制御(比例,積分制御)を行う 方式が虫充である.
しかしながらこのシステムの問題点は,地質・地山性 状の変化及び掘削土の噴発現象など,外乱要因によって 正常運転の継続が困難になった場合,システムの基本と なっているモードの変更に,非常に困難さを伴うことで ある.特に礫層の掘削管理,土庄制御にその傾向が強い.
現実の問題として,現時点でのシールドの掘削管理に おいては,熟練オペレータの運転操作に勝るものはない
と言っても過言ではない.従って,今回開発のシステム は基本的にはスクリューコンベヤ回車云数,つまり排土量 を操作量とするPIフィードバック制御であるが,オペ レータが最適と判断した掘削状態を基本に考え,その状 態での前回掘削リングの収集運転データをもとに,PIパ
ラメータ技法を織り込んだファジィ理論により最適制御 パラメータを算出することによって土質の変化に柔軟な 対応を行なえるようにしたものである.
以下に,システムの概要,解析結果並びに問題点につ いて報告を行う.
目 次
§1.まえがき
§2.全体工事概要
§3.掘削管理,土庄制御システム
§4.あとがき
§1.まえがき
帥年代は,情報化 ロボット化の時代と言われている が,シールド掘進機の分野における技術開発も,ゼネコ ン,メーカーが−J降となって努力を重ねた結果,ハード
の部分はほぼ完成の城に近づいていると言っても過言で
はない.一方,ソフト面での運転管理及び制御をどのよ うにシステム化し,施工管理の確立を図るかが今後の課 題であり,その動向が注目されている.
近年マイクロエレクトロニクスの急速な発展に伴な い,多くの産業がコンピュータ等の活用によって生敵性 の向上を図っていることは衆知の事実である.
当現場においても施工管理の確立化を進めるため,パ ソコンを利用した新たな技法に基づく運転管理,土庄制 御システムの開発によって,巨礫を含む滞水礫層の自動 掘削に実用化の目処をつけた.
現在市場に供されている掘削管理,土庄制御のシステ
ム概念は,−一般的にFig.1に示すように,制御に必要な
§2.全体工事概要
2−1工事概要
工事件名 第2次味純雨水幹線下水道築造工事
工 期 自昭和61年8月22日〜至昭和62年10月6日
*中部(支)味純(出)
=中部(支)味鈍(出)所長
加泥型土庄式シールドにおける堀割管理、土庄制御システム 西松建設才支報∨OL.11
現在の自軌化範囲 Fig.1切羽制御システム
約300mまでは,N値10以下の洪積層相性土(D。)と洪 積層砂質土(Dg)を主体とした地層であり,玉石の混入 率も高く,最大径は200−400mmの硬質礫が混入してい
る.
全線に亙って地下水が豊富で,地下水位はGL−1
−3mと浅く,庄内川に隣接した地域であるため,流動 地下水の存在も考えられた.
Fig.2に地質概要を示す.
掘削延長1237m
曲率半径 斤=100m(最小半径)
土破 り 平均5.Om 仕上り内径 280伽m セグメント外径 355伽1m
立 坑 2ケ所(発進立坑,中間立坑)
2−2 地質概要
地形的には,木曾川によって形成された起伏の少ない 沖積低平地上に位置し,施工場所の南側には庄内川及び 天田川が西流している.施工場所の周辺は,後背湿地性 の低平地と自然堤防帯と思われる徴高地の組合せで構成
されている.
シールドが通過する地層は,発進立坑(T2)から西へ
27
§3.掘削管理,土庄制御システム
3−1 システムの構成 3−1−1 システムの概要
加泥型土庄式シールドにおける掘削管理、土庄制御システム 西松建設抜報VOL.11
Fig.2 地質概要
本システムは,掘進運転中における土庄制御・運転状 況監視とリング組立中における土庄制御用パラメータの 変更処理,掘削時の各種データのトレンド表示・掘削リ
ング報・掘削日報などのレポーティング処理並びに各種
統計処理・解析を行うものである.
土庄制御に対する各種設定値(管理土庄,スクリュー コンペヤ/ロータリデイスチャージャ回転数比等)の変 更は,坑内シールド運転室及び坑外中央管理室にて行い,
計算機制御と手動制御の切換は坑内シールド運転室にて 行う.ハードウェアの構成をFig.3に,ソフトウェアの 構成をFig.4に示す.
3−1−2 機能
本システムは,大別して下記に示す3機能を備えてお り,運転監視用,土庄制御用,運転管理用の3台のパソ コンを連動させることにより機能させる.
① 自動運転機能
② 運転監視機能
③ 掘削データ処理機能
運転監視用及び土庄制御用パソコンは坑内シールド運 転室に,運転監視パソコンは坑外中央管理室に設置し,
オペレータ及びシステム管理者により捜作する.
ユー1−3 自動運転機能
システムの自動運転は切羽の安定を目的としており,
その操作対象はスクリューコンベヤ回転数(以下S.C.回 転数と称す)・ロータリディスチャージャ回転数(以下R.
D.回転数と称す)・シールドジャッキ速度(以下S.J.速度 と称す)及び力雨尼材注入量であり,それぞれ独立して手 動及び自助運転の切り替えが可能である.以下に各操作 対象の機能について示す.
(1)S.C.回転数の設定
S.C.の回転数を操作することによりPI制御にてバル クヘッド土庄(以下B.H.土庄と称す)を管理設定値内に 保つように運転する.
(2)R.D.回転数の設定
R.D.の自動運転は,地山の土質に応じた良好な塑一階充 垂加ヒ状態を保つことを目的としており,運転状況の判断
加泥型土庄式シールド(こおける掘削管王里、土庄制御システム 西松建設枝報∨OL.11
運手工北1兄監視・粘削データ編集・解析
*3 運転管理刷パソコン カラーディスプレイ
ヒJI三制御・最適制御パラメータ斉川
シールド操作室
Fig.4 ソフトウェアの構成 R.D.自動運転及び後述する加泥材注入自動運転時の 操作出力値の算出に用いるR.DノS.C.上ヒカ雨尼注入比は,
下記のように定義される.
Fig.3 ハードウェアの構成 はオペレータにゆだねられる.
設定には連続運転と間欠運転の2つのモードがあり,
坑内シールド運転室の運転監視用パソコンでその切り替 えを行う.
連続運転モードではR.Dが自動運転に切り替えられ 1:時のR.D.とS.C.の回転数此の状態を保持しながら運 転を行う.すなわち,オペレータが最適な排土状態と判 断した時点で自動運転モードに切り替えると,その時点 の排土状態を保ちながら運転が継続される.
ま!=,R.D./S.C.B]転数比をあらかじめ設定して運転 を行うことも可能である.
R.D.の自動運車云時の操作出力は,下記に示すように設 定される.
△斤β=R.D./S.J此×△即
△斤β:R.D.回転数操作出力の前回値との偏
差
△即:S.J申達度操作出力の前回値との偏差
29
月良一1 R.D./S.C.比=
SG−1
R.D.とS.C.の回転数比は次に示す式で表される.
R.D.回転数 吼
×R.D./S.C此
S.C.回転数 SG
Rll(SG):R.D.(S.C.)の回転数設定出力 RD,(SCh):操作出力5V時のR.D.(S.C.)回
転数
(3)力再尼材注入量の設定
前述のR.D.回転数設定(連続モード)と同様に,加泥 ポンプが自動運転に切り替えられた時の加泥材注入量を 保つよりにS.J.速度の比を保ちながら運転が行われる.
すなわち,自動運転に切り替えられた時の加泥榔主人率 で運転される.
加泥型土庄式シールドにおける掘削管理、土庄制御システム 西松建設枝報〉0」.11
カッタ圧の異常処理時に,S.J.速度の減速操作にもか かわらず,カッタ圧力が回復しない場合は加泥注入率を 上げる.
また,設定注入率をあらかじめ決めておくことも可能 である.
力雨尼材注入の自動運転時の操作出力は,下記のように 設定される.
△力扁尼=(加泥比)×△SC
△加泥:加泥材注入量操作出力の前回値との偏差
△即:S.J.速度操作出力の前回値との偏差 力鵬尼比は,下記のように定義される.
0 ∧U O O ︵U ∧U ︵8 6 J− 2 5 A︼ 4 .A. ■4−
.一 −・■ ̄ 、 、
、 一■■ ■一一■
0 40 80 120 160 200
[SEC]
PI ′でラメ一夕
初期値 KP=0.5 TI=3 修正値 KP=2.56711TI=12.3221 グラフのスケールを変更しますか?(Y。r N)N「
PIパラメータを変更しますか? (Y or N)
Fig.5 PIパラメータ変更画面 瑚−1
加泥比=
基−1 との偏差が許容範囲を越えた回数)が設定回数を超えた
場合に,そのリングの掘削完了直後に自動的に行われる.
PIパラメータの算出処理は,2秒周期でサンプリング されたB.H土庄とS.C.回転数の時系列データを用い て,プロセスを下記に示す自己回帰モデルにより同定し た後,モデル上でシミュレーションを行い最適値を求め る.
K( )=窒〔。1(∽)y(乃一椚) 刀甘−−1
+a2(m)U(n−m)〕+古(n)+Const y(乃):時刻乃における土庄
U(乃):時刻乃におけるS.C.土庄 吉(乃):時刻乃におけるノイズ Const:定数
解析されたリングのB.H.土庄とS.C.回転数につい て,自己相関係数・寺跡目開関数クうフ及びパワースペ クトルグラフの表示を行う.
3−1−3 運転監視機能
掘削中の各種データをサンプリングし,グラフィック 画面上に監視画面とリアルタイムトレンド画面の2画面 を表示する.
(1)監視画面
Fig.6に示す画面について8秒毎にグラフィック表 示する.
(2)リアルタイムトレンド画面
掘削中の各リングデータを1cm毎に表示する14項 目のメニュー方式である.
3−1−4 掘削データ処理機能
既に掘削済みリングのサンプリングデータに基づい て,Fig.4の運転管理システムフローに示すような各種 グラフ表示・レポーテンダ及び統計解析処理を行う.
(1)クうフ表示
① ヒストリカルトレンド
リング内における各サンブリンクデータの変化につ
また,力扁尼材注入率は下記の式で表される.
‥雪4−−、川、
加泥材注入率=加泥比×
餓
跳:S.J.速度設定出力値 職:力雨尼注入量設定出力値ご弘:操作出力5V時のS.J.速度 打払:操作出力5V時の加泥材注入量 耽:シールド断面隕
(4)S.J.速度の設定
基本的には,S.J.自軌運串封二切り替えられた時点の速 度を保ちながら運転を行うが,下記の状態が生じた場合 に加減速操作をとる.
(a)加速操作
① s.c.回転数が設定値より小さい場合
(b)減速操作
① カッタ圧力が設定値を越えた場合(カッタ圧力
異常)
② s.c.回転数が設定値より大きい場合.(S.D.過負
荷)
減速操作後,カッタ圧力及びS.D.回転数が回復する と,S.J.速度を元の速度まで序々に戻す操作をとる.
(5)最適制御パラメータの算出
掘削地山の土質の変化により制御精度が悪化すること も考えられる.この場合,掘削中にサンプリングされた 時系列データを用いて最適PIパラメータ値をPIパラ メータ調整技法を織り込んだファジィ理論(あいまい理 論)により算出し,現在パラメータと最適パラメータの それぞれを使用した場合の外乱応答などをシステム管理 者若しくはオペレータに示し,パラメータの変更をうな がす.Fig.5にその変更画面を示す.
この処理は「制御不良」と判断された場合,つまりS.
C.自動運転中の制御エラー回数(制御土庄と土庄設定値
西松建設枝報〉OL・11 加泥型土庄式シールドにおける掘削管理、土庄制御システム
リングN(164 即/03/1817:45
)○:○
JC速度 0.00Ⅲm/min
土庄(左) 0.00k8/血
SC土庄 0.00k9/Ⅷ,
シールド結推力 0.00ton
I
0・0%1
カッタートルク 0.00Tェm
SC回転数 0.00r.p.m
し+】
泥土注入量 0.00且/min
排土量0,00m■
土庄(k8/m−)
左:Omm
右:0皿皿 3.0
2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 12
10
8
6
4
2
/
/
/
/・ /
/
/
/
/
泥土注入圧 0.00k詳/ml 0 10 20 30 40 50 60 70 別)90
ストローク(cm)11
Fig.6 監視画面
いて折れ線グラフで表したものであり,1段表示と2 段表示の2種類が可能である.
②リング間変化グラフ
リング間におけるデータの推移を示す.
③ シールドジャッキ穣紛実績グラフ
リング毎の稼動ジャッキの記録をストローク表示し たものである.
(2)レポーテング
①リング出力
リング毎の掘削データをプリンタに出力する.
② 日報出力
シフト毎の掘削データをプリンタ出力する.
(3)統計解析
① ズー斤管理図
管理の良否をデータのバラツキ度合で判断すること
により,各データの管理状態を把握する.
ズー屈管理図は,群管理を行うため本システムにお
いては,1シフトを1つの群,各リングのデータの平
Tablel
均を群に含まれる1つのデータとして扱っている.
② ヒストグラム
各8秒周期のサンプリングデータの度数分布をリン グ毎に表示するものと,各リングのデータの中朝直分 布の2種類を表示する.
③ 散布図
2つの変数の関係を平面上にプロットし,相関関係 を表示する.8秒周期のサンプリングデータについて プロットするものと,各リングのデータの平均値をプ
ロットする2種類がある.メニューはアトランダムに 選択が可能である.
④ 一変数線形回帰分析
最小自乗法を用いて,2つの変数の関係を直線で示 したものである.8秒周期のサンプリングデータ,各 リングのデータの平均値の2種類がある.
⑤ 多変数線形回帰分析
最小自乗法を用いて,複数変数の関係を y=α+∂考+c量+d竃+e先+戊+gズ去
自動運転機能
N(1 制御の目的 操作量 検出/測定量 制 御 方 法
口 土庄を設定値に保つ S.C.回転数 B.H.土庄 PIフィードバック制御 2 最適な排土状態を保つ R.D.回転数 S.C.回転数 比例制御
土庄制御が可能な範囲 S.J.速度 S.C.回転数 S.C.回転数が「能力を超える」/「能力に余裕があ
3 で最大掘進速度を得る る」場合にS.J.速度をステップ状に減速/増速
操作を行なう
カッタの保護 S.J.速度 カッタ庄 カッタ圧が設定値を越える場合S.J.速度を減速
4
する
S.J.速度に応じた加泥 上U列制御
5 注入を行なう
31
加泥型土庄式シールドにおける掘削管理、土庄制御システム 西松建設技報VOL.11
トJl k甘吋 一・− L厄 t.圧軒Ⅷ −l二l土
2 5 2.0 1 5 LO O 5 0()
D 10 20 30 40 51) 80 70 80 90 100
ストローーク(でm)
シ十ノ主動怪・町旬 一 存 −−−−
0 0 80 6
O 10 20 30 40 5(I 60 70 80 90 100
ストロークト叩)
SC RDl叶k葛〔r々.m−SC
︵U ■‖れY U A﹁ 2
10
8
6
4
2 0
150
】20 90 60‑
30
0
10 20 30 40 50 6(1 70 80 90 100
ストローク(畑I
泥上汁人材+lカ
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 1(IO
ストローク(印−)
泥l.】人陰 亀 分 100
紬
60 40 20
0
10 20 30 10 50 60 70 80 90 100
ストローク(亡¶)
/−ルト桔推JJ 亡
10 20 30 40 50 60 70 80 ⊆ID 100
ストローク(mい
Fig.7リンク刊0.391での動作状況 仏 ∂,C,d,g,′,g:定数 の式で表わしたものである.
変数Yに対して,どの変数あが大きな変化を与 えるかが判定される.ズ変数は最大6個まで選択さ れ,8秒周期のサンプリングデータ,各リングの平 均値の2種類について分析される.
3−2 システムによる稼動実績
昭和62年2月末から掘削を開始したが,180リングま では粘着性に富んだシルト層がシールド全断面に出現し た.当初の計画ではこの区間を含めて自動運串云を行う予 定であったが,粘着性が予想以上に大きく,R.D.のバケ ット内の付着現象によって排土不良の状態となり,B.H.
土庄とS.C.回転数及びR.D.回転数相互の制御が不安定 となった.従って,この区間はS.C.への注水を行ない,
大半をスコップにより閉塞を解除しながらの手動運転を 余儀なくされた.
0 10 20 つ 40 50 60 70 80 90 100
ストローク(cm)
Fig.8リング仙470での操作状況
180リング以降は,通過断面に砂礫が一部混入し始め
たので,注水の併用によって掘削土の塑性流動化を図り ながら自軌運転に入った.その後砂・砂礫の比率が増 加し,200リング地点では砂礫力巧0%,400リング以降は 全断面が最大礫径400mm程度を含む砂礫層となり,R.
D.への付着が無くなったため掘削は安定した.
180リング以降430リング付近までは,上述のごとく地
山土質が砂礫層へ変化したことで安定した掘削であった が,430リング以降シールドの推力が徐々に増加する傾 向を示した.その原因として,礫層の掘削によるカッタ ビットの摩耗・欠損,力雨尼材注入量の異常,チャンバー 内閉塞,障害物の出現等が考えられた.データの解析か
らカッタビットの欠損・摩耗の影響が大であると判断し,
605リングで欠損した面板の一部がS.C.から排出された こともあり,カッタビットの交換に踏み切った.
その後840リング付近までは,シールド推力がカッタ
32
西松建設枝報VOL.11 加泥型土圧式シールドにおける硯別管理、土庄制御システム
シールド工事全般のデータ解析は膨大な量となるた め,その一部について報告する.
システムの稼動実績の項で記したように,605リング,
902リング及びシールド回転立坑の計3箇所でビットの 交換を含む面板などの修理を行っているが,605リング での交換時までを代表例として,350リング〜450リング の安定した掘削領域と450〜550リングの不安定掘削領 域を比較し,解析の結果を以下に記す.
(1)シールド総推力のリング間変化
Fig.10,11に示すように435リングまでは総推力は 300〜350tfと一定した値で推移しているが435リング以 降,急激に600〜700tfまで増加している.これはカッタ
ビットの欠損・摩耗の影響がこの付近から表れ,カッタ ヘッドの切削性能が悪化し,その結果掘削土のチャンバ ー内への取込みが少なくなったことを示すものである.
(2)B.H.土庄のリング間変化及びチャンバー内土圧の
ヒストグラム
Fig.12,13に示すように350〜400リング付近まで はB.H.土庄がほぼ一定の0.8kgf/cm2付近で安定し!:値 トルクと共に上蛸軸勺順調に推移したが,その後,カッタ
ビットを交換した605リング以前と同様な傾向を示した ため,902リングでカッタビットの欠損・摩耗と判断し,
再度交換に踏み切った.以後,到達までは順調に掘削で き無事貫通することができた.本システムにより収集し
た掘削データのグラフ表示及び統計解析結果が異常検知 とその原因解明に役立ったと言える.
本システムの操作対象はS.C.回転数,R.D.回転数,S.
J.速度,プ捕尼注入量であり,操作量と検出/測定量及び制 御方法はTablelに示すとおりである.例として安定し
た掘削状態での391リング及び不安定掘削状態での470 リングにおける各操作対象量の自軌運転機能の動作状況 をFig.7およびFig.8に示す.
図から解るように掘削状態が安定或いは不安定にかか わらず各振作対象は,プログラムどおりの動作をし,自 動掘削が計画どおり行なわれていることを示している.
391リングと470リングを比較してみるとトルク値は不 安定状態の470リングが大きく,これに比例して泥土注 入量も20E/minから40E/minに増加し,トルクの減 少方向にコントロールされている.
S.C.回転数とB.H.土庄の関係においても,B.H.土庄 を管理限界内に保持するためにS.C.回転が追従し有効 に作勤していることがうかがえる.
一方,シールド推力はカッタビットの欠損・摩耗によ って250tfから650tfに大幅な増加を示しているが,S.J.
速度はB.H.土庄を管理限界内に収めるように制御され
ている.
B.H」二庄を一定に保つためのS.C.回転数・BH土庄 のPIフィードバック制御は,PIパラメータの初期値が 適切な場合はB.H.土庄は安定した状態で運転され,オ ペレータ側よりS.C.の運転状態が不安定と連結があっ た場合にのみKP・PI値の変更を行なった.
なお,自動運転の各操作対象の運転率は,加泥注入:
36%,S.J適度:51%,R.D.:19%,S.J.:71%であっ
た.
R.D.の自動運転率が低いのは,礫層での掘削が主であ ったためR.D.への石の噛み込みが多く,手軌運転で正逆 転を行った結果に起因するものである.加泥注入操作に ついては,自動運転に入った時点の設定量が大き過ぎる と,Fig.9に示したようにチャンバー内の土砂が流動化 し,S.C.の回転を止めてもR.D.から噴発するという現象 が見られたため,注入量の設定について手跡封乍が主と
なった.掘削全断面が礫層の区間においては,30〜35%
の加泥注入率をとっても噴発現象は起こらなかった.
3−3 解析結果
33
Sc RDl・・け⊥n rPm−Sし 一___ Rl)
√−、、川J〜\♪直
90 】0()
1トロ7ぐnl
Fig.9 S.C./R.D.回転数
シールド捻推JJ ton 1000、
80い 600,
40小 200■
441 45】
381 371 381 391 401 411 42ユ 431
Fig.10 シールド総推力(350〜450R)
リンクNn
100¢
800 600 100 ヱ00
461 471 4鋸 拍1 501 511 52ユ 531 541 551
リ/クN」1
Fig.11シールド総推力(450〜550R)
=l(8日)L9ノ〔 一
1 5 ユ 0 0.5 0 0
36ユ 371 ユ81 391 ヰ01 411 421 431 441 451
リングNn
Fig.12B・H.土庄(350〜450R)
加泥型土庄式シールドにおける掘削管モ哩、土庄制御システム 西松建設接種〉0」.11
ユ00「 ノヤ ′キ速度 ¶mlナ
帥・
60→ 4。付−/、■\./、へ..、.′…、ノ、
201
…rBHI b血・
2 5「
201
15・
……ト一皿
. ′\・ノ\ノー▲.′−′−、」 』二=n
二⊥J
461 471 481 491 501 511 521 531 541 5≡ll
ナング\〔1
Fig.19 ジャッキ速度(450〜550R)
151 461 171 481 491 501 511 521 531 541 551
リングヽ(1
Fig.13 B.H.土庄(450〜550R)
BH土庄 S Ct‖】lム数 rp−m
23 川1
17
12
6
恥)へノ、巾ノへ叫ノ1′、′・1仙ノ・−しノ・−、∧′∨
37ユ 3別 J91 401 411 421 431 441 451
りノブヽ(L
Fig.20 S.C.恒J転数(350〜450R)
351 361
データ一致二51
S Cl・・1lム貌「.pm
〔*10∧0〕材Ⅷ− 】0−
8,
700.730.760.790.820.850.880.910.940.971・00 0.720.750.780.810.840.870.900.930.960.99
Fig.14 B.H.土庄ヒストグラム(350〜400R)
61
三虹ら ■ ヽ−■、
451 461 471 4別 491 501 511 521 531 541 551
.、ヽ.
Fig.21S.C.回転数(450〜550R)
8
6
4
2
.1己i。lへ:tl t 1500→
1200一
ノ、ハ
\′∴八軒」し、′、ノノ、㍑・∴ノ)\ノ・・−…ノ′−、廿一ノ、一、・′
データ一枚=36
361 371 3別 391 40ユ 411 421 431 441 451
リンクへII
Fig.22 泥土注入量(350〜450R)
〔*10′0〕L9mつ 033,604.204.805.406.006.607.207.別)8.409.00
3.303.904.505.105.706.306.907.508.108.70
Fig.15 B.H.土庄ヒストグラム(450〜485R)
Iこl.1八tlL l
/、\ノ、、/一 ユJ 451 461 471 月は1 191 501 511 521 531 541 551
リンク\l
Fig.23 泥土注入量(450〜550R)
カノタ㌧−トルク t・m
Ⅰ50T
l…:J
60十
30∴ ̄へ・一仙人一一−・一叫一・†■→ ̄、 −・−ノ ̄■−■叫叫一「/←− 【■■■  ̄、 ̄L ̄− ̄1 ̄ ̄− ̄■−一〆・一 ̄■
0: を保っているが,450リング以降リング間の土庄が不安
定な状態となっている.
また,Fig.14,15のヒストグラムに示すように,安 定掘削領域ではB.H土庄は精度良く一定管理畑の中に 保たれているが,不安定掘削領域ではバラツキが目立っ ている状態がうかがえる.この原因はカッタビットの欠 損・摩耗により掘削土の取込みが少なく,バルクヘッド 内の土庄保持が困難となったことを示すものである.
3)カッタトルクのリング間変化
Fig.16,17に示すように,カッタトルクの値は435 リングまでは45tf・m付近で推移しているが,それ以降 増加傾向にある.この原因は前述の理由によるものであ
351 361 371 3呂1 391 401 411 421 431 441 451
リング\【1
Fig.16 カッタトルク(350〜450R)
ウ ノウuトルク いm 150,
120一 90→
;∑ト・・・付、一・、ノ1・■ノ ̄ノ1
0」−−・−−一丁 . −
451 461 ヰ71 481 55】
ノン グ\【1 521 531 541
Fig.17 カッタートルク(450〜550R)
/ヤ ノキ捜一生 mⅧ1J
l(和「
80 i 60‑
40†・L./「=一・・、ハ.ノー、」−、ノ・
20」
、.ハー←−、′\−′一〆\一尺しノー■一,「ノり、′
0∵∵−一一−1▼「 「 V
351 361 37】 381 391 401 411 ヰ21 る 4 ● ヽ′
431 441 451 1Jノク\Ll
その他のリング間変化 Fig.18 ジャッキ速度(350〜450R)
Fig.18,19のジャッキ速度,Fig.20,21のS.C.
加泥型土圧式シールドにおける掘削管理、土庄制御システム 西松建設枝報〉OL.11
〔*10人1〕 Y:カッタートルク 〔*10人1〕 Y:SJ速度(平均)
5.80
5.14
4.48
3.82
3.16
5.38 4.64
革・90
3.16 2.42
[
0
(〉
○(〉○
e ..
○
0 ○
T・m mI町√mln
2.24 3.55 4.86 6.17 7.48 8.8010.11(*10▲2〕
Ⅹ:泥土注入量
回帰式 Y=十5・00957E+01−1.52497E−02*Ⅹ 垂相関係数=
0.4984 Yの平均=
4.1296E+01
Ⅹの平均=
6.2953E+02 データ【数=51
Fig.24 カッタトルクー泥土注入量(350〜400R)
1.73 2.35 2.96 3.57 4,18 4.79 5.40〔*10∧0〕
r・p・m
Ⅹ:SCl坤転数
Y=+1.93375E十01十5.78001E十00*Ⅹ 車相関係数=
0.7657 Yの平均=
3.8258E+01
Ⅹの平均=
3.2735E+00 データー数=51
Fig.26 S.T.速度−S.C.棚云数(350〜400R)
〔*10〈1〕 Y:カッタートルク 〔*1D{1) Y:SJ速度(平均)
6.73
5.44
4.14
2.84
1.55 8.01
6.73
5.49
4.18
 ̄ ̄
○ ○
○ 00
0 0 ○ 0 0 00
○ ○
r lO 10
○ 0 0 ○
q l000
(l 0
○ 0 ○
0
T・m 爪m mln
二d.07 0.18 0.43 0.68 0.931.181.43〔*10−3〕
Ⅹ:泥土注入量
回帰式 Y=十5.16792E+01+6.64636E−03*Ⅹ 墓相関係数=
0.1775 Yの平均=
5.0015E十01
Ⅹの平均=
6.5231E+02 データ一致=36
Fig.25 カッタトルク≠泥土注入量(450〜485R)
−0.07 0.661.39 2.12 2.85 3.58 4.31〔*10人0〕
r・p・m
Ⅹ:SC回転数
回帰式 Y=+3.46178E+01十1.40040E+00*X 乳用関係数=
0.1555 Yの−Iく均=
3.7645E+01
Ⅹの平均=
2.1616E+00 データー数=36
Fig.27 S.T.速度什S.C.回車云数(450〜480R)
回転数,Fig.22,23の泥土注入量について,不安定領 域でのデータの乱れが見られる.
5)1次変数線形回帰分析
(ヨ カッタトルクと泥土注入量
カッタ圧力が設定値を超えた場合,S.J.速度が減速 すると共にS.J.速度に応じた泥土注入を行う比例制 御方式を採用しているが,Fig.24,25に示すように 安定掘削領域での重相関係数は0.4984であるが,不安 定掘削領域では0.1775と低い値を示し,相互の相関が 無くコントロールの困難さを表している.
② s.J.速度とS.C.回転数
S.C.回転数が「能力を超える/能力に余裕がある」と いう場合にS.J.速度をスチッフ笥犬に減速/増速を行う ステッフ制御を採用しているが,Fig.26,27に示す
35
ように,安定掘削領域での相関度は0.7657と高いが,
不安定掘削領域では0.155と低く,両者の間に相関が 見られない.
次に,自動運転が行われた391リング(安定掘削),470 リング(不安定掘削)について,自動に関与する各操作 対象量について一変数線形回帰分析の解析結果について 以下に記す.
① B.H.土庄とS.C.回転数
B.H.土庄を設定値に保つように,S.C.回転数を操作 量としてPIフィードバック制御を行っているため,
制御が良好な状態であれば相互の重相関係数は,低い 値いを示すのが理想である.
Fig.28,29に示すように,安定,不安定掘削領域 にかかわらず墓相関係数の値は低い.このことは制御
加泥型土庄式シールドにおける掘削管理、土庄制御システム 西松建設技報〉OL.11
Y:BH土庄19/′ノⅧ− 〔*10人0〕 Y:RD回転数
10.40
9.20
8.00
6.80
5.60
1、 ■−、  ̄
・
8
○ 0
〔*1か匂〕
r・p・m
2.40 2.66 2.91 3.17 3.42 3.67 3.93
Ⅹ:SC回転数
2・40 2.66 2.913.17 3.42 3.67 3.93〔*10〈0〕
Ⅹ:SC回転数 r・P・m
回帰式 Y=十3.71629E+00−3.46200E−03*Ⅹ 垂相関係数=
0.0027 Yの平均=
3.7052E+00
Ⅹの平均=
3.2115E+00 データー数=199
Fig.30 R.D.回転数LS.C.回転数(391R)
回帰式 Y=+5.舶873E−01+6.94217E−02*Ⅹ 重相関係数=
0.2912 Yの平均=
8.1182E−01
Ⅹの平均=
3.2115E+00 データ一致=199
Fig.28 B.H.土庄−S.C.回転数(391R)
〔*10人1〕 Y:BH土庄 k9/m】 〔*10{0〕 Y:RD回転数 6.41
r・p・m
4.58
2.75
0.92
−0.92
○
00
○
q⊃○
oq 0 0
−0.32 0.32 0.971.62 2.27 2.92 3.56 〔*10人0〕
Ⅹ:SC回章云数 r・p・m
回帰式 Y=+3.19166E+00−6.02283E−02*Ⅹ 墓相関係数=
0.0537 Yの平均=
3.0502E+00 Xの平均=
2.3492E+00 データ一致=180
Fig.31R.D.回転数−S.C.回串云数(470R)
れるものである.
Fig.32,33に示すように,重相関係数は上圃勺高 い値を示している.安定掘削領域ではS.C.の回転数範 囲は2.9〜3.5rpm付近に集中しているが,不安定領 域では,1.6−2.9rpmと回転数抱囲は低いところに
あり,掘削状況の違いを示している.
④ S.J.速度とカッタトルク
カッタビット及び面板の保護のため,カッタ圧力が
設定値を超えた場合にS.J.速度を減速する制御方式
を採用しているが,安定掘削領域ではトルクは設定値 内で管理されるためS.J.速度の減速操作回数は少な
くなる.従って重相関係数も低い値を示す.一方,不
安定掘削領域ではトルクが設定値を超える回数が増加 するため,S,J.速度とカッタトルクの間に相関を生じ
ることになる.
Fig.34,35に示すように,安定掘削領域では墓相
3d
ー0.32 0.32 0.971.62 2.27 2.92 3.56〔*10〈0〕
r・p・m
Ⅹ:SC匝」転数
回帰式 Y=十8.27214E−01−5,25819E−03*Ⅹ 重相関係数=
0.0681 Yの平均二
8.1486E−01
Ⅹの平均=
2.3492E+00 データ一致=180
Fig.29 B.H.土庄LS.C.回転数(470R)
が理論通り良好におこ なわれていることを示してい
る.一方,S.C.回転数について見ると,安定掘削領域で
は2,9−3.4rpmの回転範囲にあるが,不安定領域で は掘削土の取込みが不足のため,1.6〜2.9rpmと低 い回転範囲にあり掘削状況の違いを反映している.② R.D.回転数とS.C.回転数
最適な排土状態を保つように,S.C.回転数とR.D.回 転数を比例制御としている.制御が良好であれば垂相 関係数は,高い値を示すことになるがFig.30,31で
はR.D.回章云数の制御を手動操作としているため,重相
関係数は0に近い値となっている.③ S.J.速度とS.C.回転数
B.H」二圧制御が可能な範囲内で最大掘進速度が得 られるようにステップ制御方式で減速,増速操作が行 われ,掘削状態の変化にかかわらず重相関係数が高い
値を示すほど良好なコントロール状態にあると判断さ
加泥型土庄式シールドにおける掘削管理、土庄制御システム 西松建設技報〉0」.11
〔*10〈1〕 Y:SJ速度(平均) 3.99 〔*10▲1〕 Y:SJ速度(平均)
3.68
3.36
3.05
2,73 3.9t)
3.68
3.36
3.05
2.73
0 ○
0 ○
○く)○
0
mmノノmln
mm mln
2.40 2.66 2.91 3.17 3.42 3.67 3.93〔*10(0〕 3・39 3・63 3・87 4・114・34 4・58 4・82〔*虹1〕
Ⅹ=カッタートルク T−m
回帰式 Y=+3.38497E十01+LO4338E02*Ⅹ 垂相関係数二
0.0133 Yの平均=
3.4267E+01
Ⅹの平均=
3.9976E+01 データー数=199 Fig.34 S.J.速度−カッタトルク(391R)
r・P・m
Ⅹ:SC回章云数
l叶憧式 Y=十2.58833E十01十2.61046E十00*Ⅹ 直相関係数=
0.4786 Yの平均=
3.4267E+01 Xの平均=
3.2115E十00 データー数=199
Fjg.32 S.T.速度−S.C.「自I転数(391R)
9
2
○ ○ ○(⊃
8
0
Y:SJ速度(平巧J)
4.89
4.22
3.55
2.88
2.20 4.8
4.2
3.55
2.8
2.2
I O ○ 0(〕 00
○ 0 ○ 0{〉
○
mTn mln mm mln
2.88 3.32 3.75 4.19 4.63 5.07 5.51〔*10(1〕
0.32 0.32 0.971.62 2.27 2.92 3.56〔*10人0〕
T・m r・p・m
Ⅹ:SCL口l転数
1叶届式 Y=+3.33589E+01十2.49290E+00*Ⅹ 婁相関係数=
0.3886 Yの平均=
3.9215E+01
Ⅹの平均ニ 2.3492E+00 データ一敗=180
Fig.33 S.T.速度−S.C.回転数(470R)
Ⅹ:カッタートルク
桓j帰式 Y=+3.40485E+01+1.15226E−01*Ⅹ 蚕棚関係数=
0.1690 Yの平均=
3.9215E+01
Ⅹの平均=
4.4840E+01 データ一致=180
Fig.35 S.T.速度Lカッタトルク(470R)
B.H」土庄に対し各自垂腑り御操作対象量,つまりS.C.
回転数,カッタトルク,S.J.速度,泥土注入量のどの操作 量がどの程度の影響を与えているかを分析する.
Fig.38に示すように,安定掘削領域ではB.且土庄 に対して影響を与えている操作量の順位は,S.C.回転数,
泥土注入量,カッタトルク,S.J.速度となっている.
一方,不安定掘削領域での操作量順位は,カッタトル ク,S.C.回車云数,泥土注入量,S.J.速度となっている.不 安定な掘削状態では450−550リングのトルクヒストリ
カルトレンドに見られるようにトルク値がカッタビット
の欠損,摩耗によって急激な増加を示している.このト ルク値の増加が直接B.H.土庄に影響を与えるものでは ないが,制御フローの中で間接的に関与している.
3−4 システムの問題点 関係数は0に近く,トルク値も36〜43tmで運転され
ているが,不安定掘削領域での垂相関係数は0.169と 少し高い値を示すと共に,トルク値は37.5〜50.7tm
と高くなっていることが判る.
⑤ S.J.速度と抽尼注入量
S,J.速度に応じた加泥注入を行う比例制御方式を採 用している.S.J.速度はS.C.回転数,カッタ圧力に関 係するステップ制御が基本であり,S.J適度とカッタ
トルク間の考え方と同じである.従って,安定掘削領 域ではS.J.速度を減速する操作回数が少ないため,垂 相関係数は低い値を示し,不安定掘削領域では高い値
を示すことになる.Fig.36,37はその傾向を示して
いる.
(6)多変数線形回帰分析
37
●加泥型土庄式シールドにおける掘削管玉里、土庄制御システム 西松建設接種 〉OLll
〔*i針1〕 Y:泥上汁人昼▲ 想定した.
従って,システムとしてS.J.速度との上田声り制御,ある
いはカッタトルクとのステップ制御で対応することには
限界があり,B.H土庄制御と同様な制御システムで,泥 土注入量数リング分のサンプリングされた時系列データ
を用いて最適PIパラメー タ値を求めるコントロール系 の開発と共に,機械的な対応としてS.C.逆転操作でチャ ンバー 内充填による噴発防止の自動機構を合わせて考え る必要がある.
(2)掘削土の土量管理
加泥型シールドにおける地山圧力と切羽土庄との圧力 差と取込み量の関係を,森りは詳細な実験により明らか
にしている.それによると切羽崩壊を発生させない取込 み量の許容変化量は,理論体積の2,8%程度であり,取込 み土量の変化で切羽制御を行う場合は,掘削体積を少な
くとも1%以内の精度で計測しなければならない.しか し,実際の計測精度では少なくとも数%の誤差があり,
取込み土量で切羽を制御するのは困難であるとしてい る.
一方,施工管理の側から考えると,制御の問題は別と しても,地山崩壊の判断管理基準として,芙排土量を把 握する必要がある.今回のシステムでは,スクリューの 断面積・回転数及び充堤率から排土量を理論計算する従 来の方式でグラフィック表示しているが,今回の施工の 結果では,スランプ14〜18cmの排土状態で,ズリトロ台 数換算土量と比較Lて誤差率5%程度であった
従って,今後はリアルタイムで応答する土量計測シス テムの開発が早急に望まれる.
(3)その他
制御システムとの直接的な関連はないが,礫層の掘削 ではR.D.への礫の噛み込みが多く,R.D.停止の事例が
多発しじ そのため大半のリングを手重力で裸作せざるを 得なかった経緯がある.今後,礫層の掘削に際しては,
R.D.の自動逆転あるいはインチング操作を機械的に織 り込んだものを考える必要がある.
次にデータ解析について,角抑摘吉果を実際の施工管理 にどのようにフィードバックしていくかがこれからの問 題であり,単なるデータの収録にならないように留意す
べきである.
3−5 将来展望について
従来困難祝されていた滞水卜礫層のシールド掘削に,
PIパラメータ調整技法を織り込んだ掘削管理,L圧制御 システムを採用し,実際の施工を行ったが,カッタビッ
トの異常摩耗・欠損という状況にもかかわらず,一応実 刑化の方向付けがなされた.
2.46
1.94
1.41
0.88
0.36 鈷 min
2.80 298 3・17 3・36 3・55 3.74 3.93〔*圧rl〕
X:SJ速度=」畑 mm m】n
l‖卜J山て Y=十2.55340E十01−1,36273E01*Ⅹ
垂椰1町係数=
0.1558
Yレ〕ヤガ」=
2.0864E+01
Xの十里」=
3.4267E⊥01 データー数=199 Fig.36 S.J.速度一泥圭i人旨t(391R)
〔*10{1〕 Y:泥仁汗人量 4.82
3.84
2.86
1.88
0.90 上 mIn
2.34 2.74 3.14 3,55 3.95 435 4.76〔*10−1〕
ml¶]m】n X:SJ速lい半均)
ll小帰式 Y= ⊥213436E十01→4.33512E01*X 重相聞係数二
0.4751 Yの、1そ#」一二
3.8344E−01
ⅩのIlり勾=
3.9215E+01 データー数二柑O
Fig.37 S.」.速度.泥=L入二…li二(470R)
今回,新たな技法に基づく掘削管理,土庄制御システ ムを採用Lたが,システムの稼動結果から見て以下に記 す問題点があり,今後これらに対する対応が必要である.
(1)加泥注入量のコントロールシステム
今回の工事において,加泥注入量が原因と見られる噴 発現象の事例があった.噴発憤困は一概に加泥量だけの 単純な要因ではなく,地l_1Jの粒度構成,自立性,地下水 などの複合要因によって起こるものであるが,当現場で は,主な要因が過大な加泥量によるものと判断した.加
泥注入量は自重力運転に切り替えられた時点の注入量と
S.J適度の比を保持しながら制御する以外に,カッ久住 力が異常な場合に注入率を増すシステムとなっている.
従って,不安定掘削領域では,カッタ圧力が設定値を 超える頻度が多いため,注入率が自動的に増加する.そ の結果としてチャンバー内の掘削土砂が流垂加ヒを生じ,
S.Cが回転しないのにかかわらず噴発を誘発したものと
西松建設枝報〉OL.11 加泥型土圧式シールドにおける掘削管理、土庄制御システム
今後,改良あるいは新たな対応を必要とする点もある が,システムの根源にかかわる問題点は見当らず,今後
このシステムでの実績を積む中で,ソフト及びハードの 改良を加えれば,システムとしての完成度は高くなるも のと考える.
今回報告したものは制御の一部にファジィ理論を応用 した土庄制御システムであるが,将来的にはジャイロコ ンパス,レーザーなどを利用した位置計測システムとフ ァジィ理論を基本とした姿勢制御システムの組合せによ
って,シールドの全自動化システムヘと展開されるもの であろう.
§4.あとがき
当工事は,1237mの掘削を終えて2次巻を施工中であ る.今回採用したシステムは,今後一部の改良を加えて 広く土庄式シールド現場に採用されるものと思われる.
最後に,当システムの採用に当ってご協力をいただい た本社艶材部に感謝します.
参考文献
1)シールド工法自重肘ヒシステム編集幹事会:シールド 工法の自動化システム(3),トンネルと地下,Vot17,
No・7,pp.61−71,1986
39