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義 経 記

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Academic year: 2021

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軍記物語の女性たち(4)

軍記物語の女性たち(4)

軍記物語の女性たち(4)

―『 義 経 記義 経 記 』― より

―『 義 経 記 』― より

岡崎 嘉彦

しずか しずか ぜんぜん しずか ぜん

静御前 静御前

 静御前は平安時代末期から、鎌倉時代初期に 生きた女性で、白拍子として名を馳せ源義経の 愛した女性として知られている。際立った美貌 と絶妙な舞で当代随一の白拍子と評されていた。

源氏の若き武将義経とやがて静は出会い、恋に 落ちていく。義経が平家征討で活躍して都での 評判が高まるにつれ、弟の勢力拡大を危惧する 兄源頼朝との関係が不和になっていく。ついに、

鎌倉で義経追討が決せられると、都にいた義経 は鎌倉方の勢力に堀川の館を攻められる。しかし、

静の機転によりこの危機を脱し、義経は静を伴 って西国へと逃れていく。その後、静は奥州へ 向かう義経に同行して畿内へ戻り、雪深い吉野 山で義経と生き別れてしまう。そして、静は鎌 倉方によって囚われの身となり、詮議を受ける ため母の磯禅師と共に頼朝の元へ送られる。

 文治二年( 1186 )年四月、静は頼朝に鶴岡八 幡宮社で白拍子として舞うことを命じられる。

それに従って静は、

  「吉野山 峰の白雪 ふみわけて    入りにし人の 跡ぞ恋しき」

  「しづやしづ しづのをだまき くり返し    昔を今に なすよしもがな」

と義経を慕う歌を唄い頼朝を激怒させるが、頼 朝の妻の政子が 「夫を慕う本心を形にして幽玄で ある」 と趣き深く味わいがある静を取り成し、命 を助けた。この時、静は義経の子を身籠もって おり、そのことを知った頼朝は女子なら助ける が男子なら殺すと命じた。やがて、静は男子を 産み懸命にその子を守ろうとしたが、赤子は由 比ヶ浜に沈められてしまう。京に帰され、傷心 に浸る静のその後の消息は杳として知れない。

 静は、義経との出会いを境に波乱で悲運な運 命へと誘われていく。彼女の華やかで雅なイメ ージとは裏腹に、彼女の人生は謎に包まれている。

出生から義経との出会い、そして最期について も明確に記したものはなく、静終焉の地も諸説 が残る。 

 一説では、北海道の姫川に身を投げたとも、

由比ヶ浜に入水したともいわれている。また、

中世を代表する軍記『平家物語』にも静につい ては僅かに記述されているのみで、彼女のその 後について書かれた箇所を見出すことはできない。

 だが、静は中世の女性として有名な人物で前 述のようにその伝承も全国各地に存在しており、

人気の高さを伺い知ることが出来る。では、な ぜ静が時代を超えて民衆から愛され続け、現代 でも語り継がれているのだろうか。その理由は、

義経の戦における英雄的な活躍と共に、義経の 愛情を受けた彼女の生き方にあったのではない だろうか。義経と出会い、波乱の生涯を歩みな がら義経を一途に想い続けたにもかかわらず、

添いとげることが出来ずに、恥を忍びながらも 鎌倉へ送られてしまう。そして、義経との愛息 も将来の禍根を残す事を理由に頼朝によって殺 され、悲劇的な運命を背負わされた静は、多く の民衆や人々からの強い同情を得ることとなる。

特に、頼朝の御台所である政子は静に対し、寛 容的で鶴岡八幡宮での頼朝から命じられた歌舞 へ憐れみの情を示し、男子が生まれたときには 頼朝に赤子の助命嘆願をしている。冷徹な性格 の政子だが、静を擁護する振る舞いが目立つ。

このように、静は政子にとっても同情心を駆り たてる女性であったといえる。

 平家を滅亡させた最大の功労者である義経が、

平家追討の為に共に戦った兄頼朝に殺されてし まうという悲運の英雄として後世に語り継がれ る上で、静はなくてはならないほど重要な存在 であった。混沌とした時代背景の中、それまで の人生全てを義経に捧げた静の一途さは、当時 の女性ならではの美しさがあったのではないだ ろうか。

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■主な参考文献、そして、今回おすすめする図書

○村上學編『義経記・曾我物語』国書刊行会  日本文学研究大成刊行会監修 平成五年。

おかざき よしひこ(司書・情報サービス課)

29 図書館員文献紹介

けいけいけい

き   ぐ

とら せん ぎ

いそのぜん じ

ゆう げん

ゆ 

い  が はま

よう

いざな みやび

か こん

参照

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