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「化学工学年鑑2018」の発刊にあたって

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Academic year: 2021

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 私が学生だった頃,化学工学の情報源はもっぱら「化学 工学誌(化工誌)」や化学工業社の「月刊ケミカルエンジニヤ リング」でした(日本語しか理解できなかったことが原因)。その ため,紙媒体を端から端まで懸命に読むのですが,著名な 先生の記事は言葉も内容も難解で,頭の中で化学工学はい つも霧に包まれていました。現在のように最新情報がネッ ト上で容易に得られ,かつその記事も平易に書かれてお り,今の学生を羨ましく思うのですが…,いざ学生に研究 に関連した論文を探してもらうと,とんでもない論文を選 んできます。これは能力の問題もあるかも知れませんが,

多量の情報の中から有用な論文を選び出すことは,一人前 の研究者でも容易なことではありません。化工誌が唯一の 情報源でなくなった今,化工誌の役割は,多くの情報の中 から信頼できる情報をきちんと整理して学会員に伝えるこ とであり,そういう意味で化学工学を俯瞰する年鑑はその 代表的な記事と言えます。

 年鑑は例年と同様に第1章に化学工学一般,第2から7 章は単位操作をベースとした基盤技術分野(6部会),第8か ら15章は基盤技術を特定分野へ応用する展開技術分野(8部 会)で構成しています。第2から15章は部会から「年鑑取り まとめ委員」を選出していただき,部会長と相談していた だきながら各セクションの取りまとめをおこなってもらい ました。第1章化学工学一般の「1.1 化学産業界の動向」に つきましては,化学産業全体を俯瞰しながら今後の動向を 展望するという大変に難しい内容であり,2014年まで三 菱化学(当時),三井化学,住友化学の大手総合化学メーカー 様に持ち回りで執筆していただいていましたが,作業負担 が大きいため,2015年からは化学工業に関する生産,流通,

消費などの調査研究をおこなっている日本化学工業協会様 にお願いしていました。本年度は少し視点を変え,化学工 業に関する日刊の業界紙である化学工業日報様に執筆して いただきました。「1.2 教育動向」と「1.3 学会動向」につ きましては例年通り人材育成センターと戦略企画センター にお願いしました。各部会担当の第2から15章の内容につ きましても,例年と一貫性を保つため,過去一年を振り返っ ての「国内外の動き」,「研究・技術動向」,「今後の展開」を 中心に紹介してもらいました。さらに,読者に対して,「是 非とも読んでほしいと考える最新の論文」を選定していた だき,各章末の引用文献の欄で該当論文を太字でハイライ トすることで,最近のホットな話題を読者が容易にフォ ローできるように工夫しました。是非とも専門分野外につ いても興味を持っていただければ幸いです。

 私は学部時代から化学工学会にお世話になってきました が,真面目に学会活動をおこなってこなかったため,昨年 の4月より罪滅ぼしとして編集副委員長を引き受けまし

た。しかし,毎月発刊され る本誌の編集業務に追わ れ,小林正樹編集委員長が 掲げられた編集方針(81 10号の巻頭言)をなかなか実 施できていないのが現状で す。1年半が経過しようや く少し余裕(?)が出てき て,本年度は学会運営の透 明性を確保するために「学 会の窓」を新設,しばらく 休んでいた「小特集」の復活

などをおこないました。「学会の窓」は平成29年に理事会 直下に設置された戦略企画会議からの情報記事を掲載する もので,学会全体の戦略企画の詳細をなるべく多く学会員 に知っていただくことを目的としています。また,化学工 学関連で注目される新しい技術や研究開発に関する最新動 向,若い年代層に向けた基盤学問体系としての化学工学の 解説など,大特集では取り組み難いテーマについては小特 集として計画を進めています。来年度からは「ダイバーシ ティー」を男女共同参画委員会からの記事だけでなく,よ り広く編集委員より募り,文字通りのダイバーシティーを 目指します。また大学の学科名から判断できなくなった化 学工学系の研究室を毎号紹介することで,研究や人材の交 流を促進したいと考えています。

 前宣伝ではありますが,平成31年新春号では大特集「輝 ける近未来社会の実現を担う化学工学会を目指して」と小 特集「社会実装学とこれからの化学工学」の大型連動企画を 上ノ山周委員と前田治彦委員が中心に取りまとめていま す。大特集では阿尻雅文新会長と前一廣元会長の特別対談 とVISION2023の話題を中心に「新たな化学工学像」と題し た座談会を予定しています。また化学工学を修め各界の トップに立った方々に寄稿をお願いし,多角的に化学工学 会の未来を議論します。是非とも新春号をご期待ください。

 来年度は化工誌のWEB化が大きな課題であり,それ以 外にも細かな課題は山積みになっています。今になって重 責をひしひしと感じ,引き受けたことを後悔しております が,少しでも化工誌が読者に愛される学会誌になるよう努 力していきたいと思います。会員の皆さまには,化工誌が 読者の研究発展につながるための情報発信源として機能し ますように,特集や連載などについてもご意見やご希望を お寄せいただければ幸いです。

 最後に年鑑の執筆や編集作業には大変多くの方々にご協 力いただきました。本紙面をお借りし御礼申し上げます。

**平成 30 年度年鑑編集 WG

長田光正(信州大学),髙井 努(アズビル),中澤 光(東北大学),原 伸生(産総研),牧 泰輔(京都大学)

*群馬大学大学院理工学府環境創生部門准教授,平成2930年度化工誌編集副委員長

「化学工学年鑑2018」の発刊にあたって

原 野 安 土

第 82 巻 第 10 号 (2018) (1) 531

公益社団法人 化学工学会 http://www.scej.org/

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参照

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