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感染性胃腸炎集団発生におけるノロウイルス検出状況

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Academic year: 2021

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平成 28 年度厚生労働科学研究費補助金(食品の安全確保推進研究事業)

「ウイルスを原因とする食品媒介性疾患の制御に関する研究」

研究協力報告

感染性胃腸炎集団発生におけるノロウイルス検出状況

研究協力者 研究分担者 研究協力者 研究協力者

佐藤 直人 野田 衛 高橋 雅輝 梶田 弘子

岩手県環境保健研究センター 国立医薬品食品衛生研究所 岩手県環境保健研究センター 岩手県環境保健研究センター

研究要旨

ノロウイルスによる食中毒予防の基礎資料とすることを目的として、2015/16 シーズンに当センターに依頼のあった集団発生事例等を対象に、ノロウイル ス の検 出およ び解 析を試 みた 。38 事例 につい て検 査を実 施し た結果 、 GII.4_Sydney2012 が 12 事例(33.3%)と最も多く、次いで GII.17 が 11 事例

(30.6%)、GII.3 が9事例(25.0%)と、この3つの遺伝子型の合計が全体 の9割近くを占めた。施設別では、保育所が 17 事例(47.2%)と最も多く、

次いで高齢者施設5事例(13.9%)、飲食店4事例(11.1%)であった。施設 別の遺伝子型の検出状況では、保育所において GII.3 が多く検出された。食 中毒事例からは GII.17 が多く検出され、同株の系統樹解析を行った結果、

GII.P17-GII.17/ Kawasaki308 株と近縁であることが確認された。

A. 研究目的

ノロウイルス(NoV)は冬季の食中毒お よび感染性胃腸炎の主な起因ウイルスの 1 つである。毎年、ノロウイルスによる食 中毒やヒト-ヒト感染(疑い)による感 染性胃腸炎の集団発生が多発し、その発 生を防止するための対策が求められてい る。有効な対策を講じるためには、食中 毒や集団発生の状況を詳しく把握するこ とが不可欠である。ノロウイルスによる 食中毒および感染性胃腸炎集団発生の予 防に資することを目的に、ノロウイルス の検出状況を調査したので報告する。

B. 研究方法 1. 材料

2015/16 シーズン(2015 年 9 月~2016 年 8 月)に当センターに検査依頼のあっ た食中毒4事例、有症苦情3事例、感染 性胃腸炎集団発生 31 事例の計 38 事例か ら得られた糞便検体を対象とした。

2. 検査方法

NoV の検出は、平成 19 年 5 月 14 日付け 食安監発第 0514004 号厚生労働省通知に 準じて実施した。糞便に滅菌した PBS(-)

を加え 10%乳剤にした後、12000rpm20 分

(2)

間遠心後、上清から QIAamp Viral RNA Mini Kit (QIAGEN)を用いて RNA を抽出し た 。 RNA 抽 出 後 、 High Capacity cDNA Reverse Transcription kit を用いて cDNA を合成し、リアルタイム RT-PCR 法により NoV の検出を行った。NoV が検出された検 体について、COG2F/G2SKR プライマーセッ トを用いた PCR 法により Capsid 領域を増 幅した。増幅産物(276bp)はダイレクト シークエンス法により塩基配列を決定し、

Norovirus genotyping tool

( http://www.rivm.nl/mpf/norovirus/t ypingtool#/) を用いて遺伝子型を同定 し、MEGA ver6.0 を用いて最尤法による系 統樹解析を行った。また、NoV GII.17 が 検出された検体について、Yuri22F/G2SKR プライマーセットを用いた PCR 法により Polymerase 領域を増幅し、上記と同様に 遺伝子型別を行った。

(倫理面への配慮)

本研究では、特定の研究対象者は存在 せず、倫理面への配慮は不要である。

C. 研究結果

38 事例について検査を実施した結果、

36 事例(94.7%)から NoV が検出された。

NoV が検出された 36 事例のうち GI が1事 例(2.7%)、GII が 35 事例(97.2%)と GII が大半を占めた。

遺伝子型別では、GII.4_Sydney2012 が 12 事例(33.3%)と最も多く、次いで GII.17 が 11 事例(30.6%)、GII.3 が9 事例(25.0%)と、この3つの遺伝子型 の合計が全体の9割近くを占めた(図1)。

遺伝子型の月別の発生状況では、シー

ズン前半の 11 月~12 月は GII.3 が主流で あ っ た が 、 年 明 け 以 降 GII.17 お よ び GII.4 が多く検出された。

施設別では、保育所が 17 事例(47.2%)

と最も多く、次いで高齢者施設5事例

(13.9%)、飲食店4事例(11.1%)であ った。

施設別遺伝子型別の発生状況では、保 育所においては GII.3、高齢者施設では GII.4 Sydney_2012 がそれぞれ最も多く 検出された。また、食中毒4事例中3事 例 か ら GII.17 、 1 事 例 か ら GII.4 Sydney_2012 がそれぞれ検出された。

GII.17 が検出された 11 事例について、

Capsid 領域の系統樹解析を行った結果、

10 株 が Kawasaki308 株 、 1 株 が Kawasaki323 株と同じクラスターに分類 された。また、上記 11 事例からコピー数 の多い数株を選定し Polymerase 領域の遺 伝子型別を行った結果、遺伝子型は全て GII.P17 であった。

D. 考察

岩手県において、2015/16 シーズンに検 査依頼のあった食中毒および感染性胃腸 炎集団発生事例から、GII.4_Sydney2012、

GII.17、GII.3 が多く検出された。全国に おける検出状況においても同様の傾向が みられることから、同シーズンは上記の 3つの遺伝子型が広範に流行したことが 推察された。

施設別の検出状況では、保育所におい て GII.3 が多く検出された。過去3シー ズンにおける全国での GII.3 の検出状況 はやや低い報告数で推移しており、GII.3 に対する低年齢層の感受性者の増加が今

(3)

回の流行の要因と考えられた。

GII.17 に つ い て 解 析 し た 結 果 、 GII.P17-GII.17/ Kawasaki308 株に近縁 の株であることから、2014/15 シーズンに 全国で流行が認められた株が今シーズン も流行していることが明らかになった。

本株は食中毒事例から多く検出される傾 向があることから、今後の流行状況を注 意深く監視する必要があると考えられる。

E. 結論

岩手県において、2015/16 シーズンは GII.4_Sydney2012、GII.17、GII.3 が多く 検 出 さ れ た 。 検 出 さ れ た GII.17 は 、 GII.P17-GII.17/ Kawasaki308 株と近縁

であった。

F. 研究発表 1. 論文発表 なし 2. 学会発表 なし

G. 知的財産権の出願・登録状況 1. 特許取得:なし

2. 実用新案登録:なし 3. その他:なし

図1 遺伝子型別ノロウイルス集団事例数(カッコ内は事例数)

(4)

図2 月別遺伝子型別ノロウイルス集団事例の発生状況

図3 施設別ノロウイルス集団事例の発生状況(カッコ内は事例数)

(5)

表1.施設別遺伝子型別の発生状況

遺伝子型

施設 GII.4 Sydney_2012 GII.17 GII.3 GI.3 GII.6 GI.6、GII.17 GI.3、GI.6、GII.6

保育所 4 2 8 1 1 1 17

老人福祉施設 4 1 5

飲食店 2(1) 2(2) 4

障がい者福祉施設 2 3

小学校 1 1 2

家族 1 1

専門学校 1 1

病院 1 1

旅館 1 1

不明 2(1) 1

計 12(1) 11(3) 9 1 1 1 1 36

( ):食中毒事例再掲

図4 ノロウイルス GII.17 の Capsid 領域の分子系統樹

●:本県における検出株

参照

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