報告番号|守第メ(\)号|氏名
論 文 審 査 の 要 旨
遠 藤 由 美 子
)JI)紙
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学 学 物 科 学 生 歯 病 微 者 周 腔 害 歯 口 障 査 査 査 主 副
論 文 審 査 担 当 者 副 山 本 松 男 教 授 桑 田 啓 貴 教 授 船 津 敬 弘 准 教 授
(論文審査の要旨)
学位申請論文 roralpathogens in children with respiratory disease. (小児における呼 吸器疾患患者の口腔内病原微生物の検討)」について,上記の主査
1
名,副査2
名が個別に審査 を行ニった.[目的]小児において呼吸器疾患は比較的多く発症し,その感染経路は主として鼻腔や気管 が考えられている.また,口腔も鼻腔と同様に重要な感染経路をして考えられているが,口 腔と鼻腔での病原微生物の比較はほとんどされていない.本研究では,呼吸器疾思患者の口 腔内病原微生物の種類ならびに多寡と,鼻咽腔の菌叢との関連について検討を行った.
[方法]昭和大学病院小児科病棟に呼吸器疾息で入院した児32名を対象とした(呼吸器疾患 群).呼吸器疾患群の年齢は0歳1ヵ月〜6歳1ヵ月,平均年齢は1歳10ヵ月であった.32名を Hellman I A期(無歯期) 8名, I C期(乳歯萌出期) 16名, IIA期(手L歯列完成期) 8名に分類 した.また,昭和大学歯科病院に定期検診で来院した定型発達児32名を対照とした(対照群).
検体採取の方法は,口蓋最深部より専用滅菌スワブを用い,約10秒間擦過しこれを検体と した.採取後の検体は附SRLにて培養を行い,コロニーが検出されたものを陽性とし,検出さ れなかったものを陰性とした.検体採取の時期は,入院時と退院時の合計2回行った.またこ れと同時期に小児科医が行った鼻咽腔後壁での培養検査結果を診療録より取り出し,口蓋と の比較を行った.なお,対照群の検体採取は,昭和大学歯科病院小児歯科に来院した際,口 蓋最深部より I回のみ行った.
統計学的検討に関しては,が検定, Fisherの直接確率検定を行った.
[結果]呼吸器疾患群の口蓋で検出された菌種は25菌種,対照群の口蓋では25菌種,呼吸器 疾患群の鼻咽腔では14菌種であり,口蓋と鼻咽腔で共通して検出された菌種は6種類であっ た.これらにおいて,口蓋での検出率,鼻咽腔での検出率,口蓋と鼻咽腔での増減について 検討した.
この6菌種において,口蓋では呼吸器疾患群入院時,退院時および対照群聞での有意差は認 められなかったが, Neisseriasp.の呼吸器疾j息群入院時ではHellmanI A期と IC期間, IA 期と IIA期間,対照群ではIA期と IC期間, IA期とIIA期間で有意差を認めた.鼻咽腔では呼
吸器疾患群および退院時間での有意差は認められなかったが, MRSAの呼吸器疾患群入院時で はHellmanI A期と IC期間,およびIA期とIIA期間で有意差を認めた 口蓋と鼻咽腔での増減
の比較では, a: ‑streptococcus sp.のIA期, Neisseriasp.のIC期およびIIA期に有意差が 認められた.
[結論]検討した6菌種において,呼吸器疾患群に特有の病原微生物は口蓋からは認められな かった.しかし,口蓋ではHellmanの歯齢を追うごとに増加する特異的な菌が認められた.ま た,歯が未萌出である
IA
期においても口腔では菌が増加することより,口腔衛生管理の必要 性が示唆された.本論文の審査にあたり副査から多くの質問があり,その一部と回答を以下に示す.
桑田啓貴委員の質問とそれに対する回答:
1.抗菌薬投与の有無についての検討.
(入院病棟において,抗菌薬が投与される症例とそうでないものがあった.今回入院中の抗 菌薬投与の有無についても検討を試みたが,抗菌薬の使用開始時期や薬剤の種類にばらつき があること,入院前の投与の有無に差異があったため,同等の条件下にての比較・検討は困 難であった.抗菌薬が鼻咽腔の菌叢に影響すること,抗菌薬の全身投与が歯科疾患に関連す る口腔内の感染症を軽減させることは報告されているが,小児における影響,特に口腔内へ の影響についての検討はほとんどされていない.どの抗菌薬をいつからどのように投与した か,等の条件をより正確に把握していくことは,今後の検討課題のひとつとして考えられる.)
船津敬弘委員の質問とそれに対する回答:
1. Hellmanの歯齢IA期(無歯期)の呼吸器疾患群に対する口腔ケアの指導について.
(無歯期における代表的な口腔ケアは,口腔内をガーゼで拭うことが挙げられている.また,
いくつかの先行研究で行われていたものには,新生児集中治療室での口腔ケアの方法として,
滅菌耳鼻科用綿棒(綿球径4.8凹)、滅菌蒸留水を使用して行うとの報告がある.これに準じ て口腔ケアを行うことは効果的であると考える.)
両委員共通の質問とそれに対する回答:
1. Hellmanの歯齢を分類に用いた理由について.
(口腔内の常在菌叢の形成には歯の萌出状況が影響すると考えられる.そのため,暦齢や全 身的な発達年齢における区分はこの状況を反映しにくいと考えた.さらに,臨床的に理解し やすい区分による検討が望ましいと考えられたため,口腔内の病原微生物を検討するにあた り,小児歯科領域における代表的な歯の萌出状況の指標であるHellmanの歯齢を用いた.この 指標の有用な点は,歯が萌出していない児 (IA期)と歯が萌出している児 (IC期およびIIA 期)を区分できること,手L歯列が未完成の時期 (IC期)と完成時期(IIA期)を区分できる
ことであり,本研究の目的である歯の萌出状況と微生物叢の関連をみるための分類として適 切と考えられる.)
これらの試問に対する回答は,適切かつ明解であった.また,山本松男委員は主査の立場か ら,両副査の質問に対する回答の妥当性を確認した.
以上の審査結果から,本論文を博士(歯学)の学位授与に値するものと判定した.