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パーソナリティおよび社会スキルがダブルスゲームのペア関係に及ぼす影響 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)パーソナリティおよび社会スキルがダブルスゲームのペア関係に及ぼす影響 キーワード:パーソナリティ,社会スキル,コミュニケーション,コンビネーション,ダブルス 人間環境学府 行動システム専攻 健康行動学コース 2HE10034Y 崔 洋 主指導教員:杉山 佳生, 副指導教員:橋本 公雄. 1.背景 近年、社会環境の変化により、人間関係の希薄化や、. のモデルが妥当であるのかを、検証していく必要がある と思われる。. 仲間の減少といった問題が生じているが、その原因と して、人との接触機会の不足や、周りの環境あるいは. 以上のことを踏まえて、本研究では、バドミントンと. 人間への無関心があると思われる。この問題を解決す. いうスポーツを実施する場面において、パーソナリティ. る方法のひとつとして、運動、スポーツなどの体育活. および社会スキルが、競技中のコミュニケーションやコ. 動、体験活動がある。これらの活動は、対人関係を改. ンビネーション、あるいはパートナーに対する信頼感と. 善すると考えられ、また、継続的に実施しやすいもの. どのように関係しているのかを明らかにすることを目. でもある。. 的とした。. 一方で、卓球やヨットという競技を対象とした研究 からは、高い競技レベルの選手において、パーソナリ. 本研究で仮定した心理・行動プロセスは、以下の図1 に示すとおりである。. ティや相互理解が、パートナー間のコミュニケーショ. ペア関係. ンの良し悪しや信頼関係に影響していることが指摘さ れている(岡沢, 1994; 岡沢ら, 1991; 米川ら, 1990)。 このように、スポーツによる対人関係の改善には、個. パーソナ リティ. 社会スキル. 人個人のパーソナリティや互いを理解する力もまた、 重要な役割を担っていると考えられる。. コミュニケー ション. コンビネー. しかしながら、上記のように、競技選手における対. ション. 人関係、特にペア関係や長い時間ペアとして組んだペ ア間のコミュニケーションに対して、パーソナリティ. 信頼感. が重要な役割を果たしていることは示されているが、 普通の人々や一般学生がレクリエーショナルにスポー ツを行う場面における、パーソナリティと対人関係あ. 図1 仮定された心理・行動プロセス. るいはコミュニケーションとの関係については、これ まであまり検討されていない。 ところで、水野(2007)は、個人特性としてのパー. 2.第1章:パーソナリティと社会スキルの関係 1)目的. ソナリティおよび社会スキルと、対人関係の良好さと. 本章では、水野(2007)が提示したモデルに基づい. の関係を検討した上で、外向性、協調性、社会スキル. て、パーソナリティと社会スキルの関係について検討を. と対人関係に関するモデルを作成した。このモデルで. 行った。. は、社会スキルは直接的に、パーソナリティは主とし て社会スキルを媒介して、良好な対人関係に影響を及. 2)方法. ぼしていることが示されており、対人関係の改善に、. (1) 調査対象者. パーソナリティや社会スキルが重要な役割を果たして. 体育授業を受講していた大学生 187 名を対象とした。. いることを示唆している。. 記入もれや記入ミスのあったものを除き、有効回答者. ただし、水野(2007)の研究では、日常場面が対象. 144 名を分析の対象とした。. となっており、またすでに友人関係にある者が調査対. (2) 実施時期. 象者となっていた。このことから、スポーツ実践とい. 2011 年 6 月. う場面において、あまり面識のない学生同士でも、こ. (3) 調査項目.

(2) ① 主要5因子性格検査(村上・村上, 1997). 続いて、パーソナリティと社会スキルとの関連を調. 本尺度は、ビッグファイブ・モデルに基づいて作成. べるために、主要5因子性格検査の5下位尺度得点と成. されているパーソナリティ測定尺度であり、外向性. 人用ソーシャルスキル自己評価尺度の得点で単相関分. (Extraversion)、協調性(Agreeableness)、勤勉性. 析を行い、Pearson の積率相関係数を算出した(表 1)。. (Conscientiousness)、情緒安定性(Neuroticism)、 知性(Openness/Intelligence)の5下位尺度 70 項目で. 表1 パーソナリティと社会スキルの単相関. 構成されている。各下位尺度の得点は、標準得点で算. 外向性. 協調性. 出される。 ② 成人用ソーシャルスキル自己評定尺度. 情緒. 知性. 勤勉性. 安定性. 関係開始. .516**. .212**. .110. .369**. .368**. 本尺度は、対人スキルにかかる3下位尺度とコミュ. 関係維持. .075. .294**. .068. .310**. .371**. ニケーションスキルにかかる3下位尺度で構成されて. 主張性. .343**. .054. .161. .354**. .253**. (相川・藤田, 2005). いるが、本研究では、対人スキルにかかる「関係開始 スキル」、「関係維持スキル」、「主張性スキル」の3つ の下位尺度を用いた。合計 19 項目から成り、回答方法 は 1 点から4点までの4段階評定法であった。この尺 度では、良好な対人関係を作るあるいは保つ際に必要 とされるスキルの獲得の程度を測定することができる。 (4) 手続き パーソナリティと社会スキルの測定は,授業時に行 った。回答者の負担を軽減するため、パーソナリティ と社会スキルとの測定は、異なる授業で行った。調査 では、授業開始時に質問紙を配布・回収したが、記入 に時間を要していた者については、授業終了時に回収 した。 (5) 分析方法. まず、パーソナリティと社会スキルについて、基本 的な属性を確認するために、記述統計分析を行った。 また、対象者の社会スキルの男女差を検討するために、 一要因分散分析を行った。さらに、パーソナリティと 社会スキルの関係を調べるために、相関分析を行った。 最後に、水野(2007)のモデルに基づいて、パーソナ リティと社会的スキルとの因果関係を調べるために、 重回帰分析を行った。. **p<.01 その結果、知性と勤勉性については、すべての社会ス キル下位尺度と有意な正の相関関係がみられた。一方、 情緒安定性は、どの社会スキルとも、有意な関係はみら れなかった。また、外向性は関係開始スキルおよび主張 性スキルと、協調性は関係開始スキルおよび、関係維持 スキルと、それぞれ有意な正の相関関係がみられた。 最後に、パーソナリティと社会スキルの因果関係を調 べるために、社会スキルの3つの下位尺度を目的変数、 パーソナリティの5つの下位尺度を説明変数として重 回帰分析を行った。その結果(図2、図3、図4)、 「外 向性」と「勤勉性」は関係開始スキルを有意に規定して おり、分散の 35.1%を説明していた。 「関係維持スキル」 については、協調性、知性、勤勉性が有意に規定してお り、分散の 20.1%を説明した。主張性スキルについて は、外向性と知性が有意に規定しており、また有意傾向 ではあったが協調性と勤勉性も一定の規定力を有して おり、それらの4つのパーソナリティで分散の 23.1% を説明していた。 .493**. 外向性. 関係開始スキル. 分析には SPSS for Windows 19.0J を用いた。 勤勉性 3)結果 まず、対象者のパーソナリティの基本的な特徴につ いて見ると、外向性の得点が 47.4 点と最も低く、勤勉 性の得点が 55.1 点と最も高かった。. .234**. 図2 パーソナリティと関係開始スキルの関係 **p<.01. 社会スキルの基本的な特徴については、関係維持ス キルの得点(1 項目あたり 2.83 点)が3つの社会スキ. .207*. 協調性 知性. 関係維持スキル. .193*. ルの中で一番高かった。関係開始スキルは 2.47 点、主 張性スキルは 2.45 点であった。 次に、社会スキル得点の男女差を、一要因分散分析 により調べた。その結果、いずれの下位尺度得点にお いても、有意な差はみられなかった。. 勤勉性. .241**. 図3 パーソナリティと関係維持スキルの関係 **p<.01; *p<.05 外向性 協調性. .277**. -.156+. 主張性スキル.

(3) パーソナリティについては、どの下位尺度も、競技に おけるペア間のコミュニケーションあるいはコンビネ ーションとは、有意な関係を示さなかった。 社会スキルについては、関係開始スキルとコミュニケ ーション、コンビネーションとの有意な関係はみられな かったが、「コミュニケーションへの評価」は、関係維 持スキルと主張性スキルによって有意または有意傾向 図4 パーソナリティと主張性スキルの関係 **p<.01; *p<.05; +p<.10. に規定されており、分散の 24.3%が説明された。 「自己 意思の伝達」については、関係維持スキルと主張性スキ ルが有意また有意傾向に規定しており、分散の 27.8%. 3.第2章:パーソナリティおよび社会スキルとペ. を説明した。「パートナーへの理解」は、関係維持スキ. ア間のコミュニケーションおよびコンビネー. ルが有意に規定しており、分散の 20.2%が説明された。. ションの関係. 「コンビネーション」については、関係維持スキルと主. 1)目的. 張性スキルが有意また有意傾向に規定しており、分散の. 本章では、パーソナリティあるいは社会スキルが、. 22.4%を説明した(図5)。. バドミントンの試合中のペア間のコミュニケーション およびコンビネーションにどのように影響しているの. コミュニケーションへ. .207**. かについて検討した。 関係維持 2)方法. .182*. すきる. パートナーへの理解. (1) 調査対象者. .113**. 第1章と同じであった。. *. (2) 実施時期. -.227+. 評価. コンビネーション -.227 -.277+. ② 成人用ソーシャルスキル自己評定尺度 ③競技中のコミュニケーション、コンビネーションの. 自己意思の伝達. 主張性. ① 主要5因子性格検査(村上・村上, 1997) (相川・藤田, 2005). .242** -.232+. 2011 年 6 月 (3) 調査項目. の評価. ++. 図 5 社 会 ス キ ル と ペ ア 間 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン およびコンビネーションの関係 **p<.01; *p<.05; +p<.10. これらについては、授業終了時に、独自に作成した 項目に回答させた。コミュニケーションについては3. 4.第3章:ペア間のコミュニケーションおよびコ. 項目(コミュニケーションへの評価、パートナーへの. ンビネーションと信頼感の関係. 理解、自己意思の伝達)、コンビネーションについては. 1)目的. 1項目、合計4項目を作成した。回答方法は 0 点から. 本章では、試合でのコミュニケーションあるいはコン. 10 点までの 11 段階評定法であった。. ビネーションが、信頼関係を改善するという仮説モデル. (4) 手続き. (図6)について検討することを目的とした。. パーソナリティと社会スキルの測定は第1章と同じ ペア関係. 方法で行った。また、バドミントンのダブルスのペア は、試合開始時にランダムに作り、授業中は、その同 一ペアで、試合を行わせた。 (5) 分析方法. コミュニケーション コンビネーション. 信頼感. コミュニケーション/コンビネーションとパーソナ リティおよび社会スキルの関係は、重回帰分析を用い て検討した。. 図6 コミュニケーション/コンビネーションと 信頼感の関係. 分析には SPSS for Windows 19.0J を用いた。 3)結果. 2)方法.

(4) (1) 調査対象者. 係の構築にどのように影響しているのかを明らかにす. 調査対象者は、第1、2章と同じであった。. ることであった。この目的を達成するため、水野(2007). (2) 実施時期. のモデルに基づき、まず、主要5因子性格検査尺度と成. 2011 年 6 月. 人用ソーシャルスキル自己評定尺度を用いてパーソナ. (3) 調査項目. リティと社会スキルとの関係を検討し、それを踏まえて、. ①ペア間のコミュニケーション、コンビネーション. 社会スキルとダブルスゲームにおけるペア間のコミュ. 第2章と同じである。. ニケーションとコンビーションとの関連についての検. ②信頼感. 討行い、さらに、コミュニケーション、コンビネーショ. 信頼感は、「試合中、パートナーと接していて、『こ. ンと信頼感との関係を分析した。結果としては、パーソ. の人は、本当に私のことを思ってくれている』と思う」、. ナリティは、特定の社会スキルを規定し、社会的スキル. 「パートナーに自分の話を十分に聞いてもらったと思. は、ペア間のコミュニケーションあるいはコンビネーシ. う」の2項目で調べた。回答方法は 0 点から 10 点まで. ョンを規定し、さらに、良好なコミュニケーションやコ. の 11 段階評定法であった。. ンビネーションは、信頼感を生み出すことが示唆された。. (4) 手続き ダブルスのペアは、ランダムに作った。調査は、す. 6.今後の課題 . べての試合を終えた、授業終了時に行った。. . (5) 分析方法. ントンを行った大学1年生に限定されており、また、調. コミュニケーション/コンビネーションが信頼感に. 査対象者数も、必ずしも多くない。本研究で得られた知. どのように影響を及ぼしているかを調べるために、重. 見を、より多くのサンプルを用いて検証すること、ある. 回帰分析を行った。. いは、他の大学、地域の学生に対して、検証を重ねるこ. 分析には SPSS for Windows 19.0J を用い、有意水準 は5%とした。. 本研究における調査対象は、体育授業の中でバドミ. とが必要であると考えられた。 また、水野(2007)のモデルでは、パーソナリティ の勤勉性と社会スキルとの関連はみられていないが、本. 3)結果. 研究では、有意傾向の規定力が認められた。勤勉性が社. 試合中のパートナーとのコミュニケーションおよび. 会スキルに関与するかどうかについては、今後、慎重に. ペア間のコンビネーションに対する評価は、信頼感を有. 検討する必要があると考えられる。. 意に規定していた(図7)。 7.文献 パートナーへの理解. Frisina, P.G., Borod, J.C., & Lepore, S.J. (2004). A. .264*. meta-analysis of the effects of written emotional disclosure on the health outcomes of clinical. 自己意思の伝達. .403**. 信頼感. populations. The Journal of Nervous and Mental Disease, 192, 629–634.. コンビネーション. 水野邦夫 (2004) 良好な対人関係に及ぼす社会スキ. .255**. ル・性格特性の効果について―自己評定データをもとに **p<.01; *p<.05 . ―.日本心理学会第 68 回大会発表論文集,205.. . 水野邦夫 (2007) 良好な対人関係に関するパーソナリ. 図7 コミュニケーション/コンビネーションと . ティ特性の検討.聖泉論叢, 14: 53-59.. 信頼感の関係 . 岡沢祥訓 (1994) 優れたスポーツ集団をつくるための コミュニケーションスキル.日本体育学会第 45 回大会. 5.考察 . 号, 89.. 本研究の目的は、バドミントンのダブルスゲームと. 米川直樹他 (1992) 競技種目別メンタルマネジメント. いう場面において、パーソナリティ→社会スキル→良. に関する研究, 4-1 ヨット.スポーツチームのメンタル. 好なコミュニケーションとコンビネーション→信頼感. マネジメントに関する研究―第2 報―, 39-47.. という心理・行動プロセスを検討し、個人的な特性と してのパーソナリティと社会スキルが、コミュニケー ションやコンビネーションの促進および良好な対人関.

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