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40×40:2014VAS運用時における独立記入方式と非独立記入方式の比較:嶋田琢磨Ver.1.0

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OSAKA COLLEGE OF MEDICAL TECHNOLOGY

Instrutor, Teacher-Training Course For Oriental Medicine Progtam

Jounal of OCMT of Acupuncture and Moxibustion

Research

Volume.2 Number.2 2014

Visual Analogue Scale (VAS) 運用時における

独立記入方式と非独立記入方式の比較

Comparison of Two Types of Entry Methods of VAS

嶋 田 琢 磨

1 )

七 堂 利 幸

2 ) 1) 東 京 メディカル・スポーツ専 門 学 校 鍼 灸 師 科 2) 大 阪 医 療 技 術 学 園 専 門 学 校 東 洋 医 療 技 術 教 員 養 成 学 科

2014 年 9 月 12 日

大 阪 医 療 技 術 学 園 専 門 学 校

東 洋 医 療 技 術 教 員 養 成 学 科

鍼 灸 研 究 Jounal

OSAKA COLLEGE OF MEDICAL TECHNOLOGY

Instrutor, Teacher-Training Course For Oriental Medicine Progtam

Jounal of OCMT of Acupuncture and Moxibustion

Research

(2)

1

Visual Analogue Scale (VAS) 運用時における

独立記入方式と非独立記入方式の比較

Comparison of Two Types of Entry Methods of VAS

嶋 田 琢 磨

1 )

七 堂 利 幸

2 ) 1) 東 京 メディカル・スポーツ専 門 学 校 鍼 灸 師 科 2) 大 阪 医 療 技 術 学 園 専 門 学 校 東 洋 医 療 技 術 教 員 養 成 学 科 【抄 録 】 目 的 ) VAS を記 入 する場 合 、前 回 の記 録 を見 ないでその都 度 独 立 して記 入 するのが一 般 的 である。し かし、鍼 灸 研 究 では前 の記 録 をみて記 入 していく方 法 (非 独 立 記 入 )を行 っていることがある。これらがどの 程 度 違 うのか調 べた。 方 法 ) 24 名 の教 員 養 成 学 科 学 生 に対 し、VAS の独 立 記 入 方 式 と非 独 立 記 入 方 式 の比 較 を行 った。 1 週 間 毎 日 2 つ方 式 の記 入 を行 い、この自 己 相 関 係 数 の平 均 値 を求 め、自 己 相 関 係 数 にどれだけ差 があるかを計 算 した。 結 果 ) 2 つの方 式 には平 均 の自 己 相 関 係 数 で 0.08 の差 があり、非 独 立 記 入 方 式 で大 きな値 となった。 なお、VAS データの正 規 性 は問 題 なかった(p=0.39)。 結 論 ) やはり、非 独 立 記 入 方 式 では独 立 記 入 に比 べ、より前 の影 響 を受 けていることが定 量 化 できた。 それが自 己 相 関 係 数 で 0.08 という差 であるが、これは決 して小 さな値 ではなく、場 合 によっては結 果 に影 響 を及 ぼす恐 れがあり、VAS を使 用 した研 究 は本 来 の独 立 方 式 の VAS 記 入 法 を使 うべきである。 【はじめに】 VASは鍼 灸 の臨 床 研 究 で多 く使 用 されている。VASは主 観 的 な症 状 を評 価 するのには適 切 方 法 であ る。それは信 頼 性 (再 現 性 )・妥 当 性 (測 りたいものを本 当 に測 っているか)がすでに検 証 されており、実 用 に値 する十 分 な係 数 が得 られているからである1 )。しかしながら、国 内 での使 用 法 には本 来 の使 用 法 でなく、 自 己 流 の使 用 法 が目 立 つ。自 己 流 とは最 初 を100として次 々記 入 する方 法 で絶 対 やってはいけないと言 われている2 )。もう一 つは前 の記 録 を見 て今 回 を記 入 する方 法 である。ある評 価 法 を使 った研 究 は、その 使 い方 に妥 当 性 があってこそ意 味 を持 つものであり、使 用 法 を間 違 っていては誤 った評 価 をしかねない。こ の様 に、さまざまな問 題 点 があるが今 回 、問 題 の一 つである「前 の記 録 を見 て順 次 VASを付 けていく」とい うものに妥 当 性 があるかどうかを検 証 した。

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2 【VASに関 する説 明 】 1. VASとは VAS とは患 者 の症 状 の測 定 法 として用 いられる。 使 用 法 は図 1.に示 す様 に、100 ㎜の横 線 で目 盛 りを 打 たず、両 端 に最 小 と最 大 の症 状 を示 し、現 在 の症 状 の程 度 がチェックされた点 が最 小 点 から何 ㎜の位 置 かを測 定 し、その値 で計 算 する。VAS の信 頼 性 ・妥 当 性 はすでに多 くの研 究 があり1 )、妥 当 性 では基 準 連 関 妥 当 性 がある。よって VAS を基 準 にして、新 作 の評 価 法 との関 連 を比 べて検 証 することも可 能 である。 2. VASでないもの

現 在 、VAS変 法 が使 用 されることがある。図 2.に示 すのは、Face Scale(顔 表 情 スケール)とNumerical Rating Scale(NRS:数 的 順 序 つけスケール)を混 合 した評 価 用 紙 である。但 し、図 2.はVAS ではない。 安 易 な発 想 性 から、この様 な新 しいスケールを作 成 することがある。この様 な新 しい発 想 性 から作 成 する評 価 用 紙 は、必 ず信 頼 性 ・妥 当 性 試 験 を行 わなければ使 えない3 ) また、図 3.に示 す様 に、インターネット・サイトで自 動 的 にVAS に記 入 できる評 価 用 紙 があったが、これも VAS とは言 えない。これは、目 盛 りを入 れるとNRS となるが、目 盛 りを打 つとその周 りにチェックが集 中 する という偏 りが生 じる2 ) 3. VASの誤 用 例 初 期 値 を100(あるいは10)としてしまうと、一 般 には間 隔 尺 度 で処 理 していたVASデータを比 尺 度 として しまう誤 りが起 こり(分 布 が変 化 する)、絶 対 やってはいけない使 用 事 項 となっている。その上 、症 状 が悪 化 した場 合 に記 入 できない。症 状 が悪 化 しないVASは「鍼 では症 状 は悪 化 しない」という前 提 にたっている傲 慢 なスケールになる。VASは悪 化 するかしないかを調 べるものである2 ) 図 1. 正 し い VAS の 付 け

図 2. Face Scale と Numerical Rating Scale を混 合 した評 価 用 紙2 )

図 3. 目 盛 りを入 れる NRS となる評 価 用 紙 (インターネット・サイト)2 )

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3 【方 法 】 今 回 、VAS を独 立 記 入 方 式 と非 独 立 記 入 方 式 の2つの方 式 で行 った。図 4.に示 す様 に、独 立 記 入 方 式 とは前 回 の記 入 を確 認 できない状 態 での記 入 のことで 1 用 紙 に 1 日 分 の評 価 だけを記 入 する方 法 で ある。一 方 、図 5.に示 す様 に、非 独 立 記 入 方 式 とは前 回 の記 入 を確 認 できる状 態 での記 入 をいい1用 紙 に数 日 分 の評 価 を続 けて記 入 する方 法 である。この 2 つの方 式 を 8 日 間 同 じ時 間 に同 時 に記 入 してし た。 対 象 は、大 阪 医 療 技 術 学 園 専 門 学 校 、東 洋 医 療 技 術 教 員 養 成 学 科 学 生 、24 名 であった。内 訳 は 2011 年 までの学 生 16 名 、2012 年 度 8 名 であり、女 性 13 名 、男 性 11 名 であった。評 価 用 紙 への 記 入 期 間 は、8 日 間 とした。評 価 する症 状 は、被 検 者 ごとに実 施 第 1 日 目 の主 訴 を毎 日 一 定 の時 間 に 記 入 した。 VASデータ(偏 差 )の正 規 性 に関 しては、著 者 ら(2012 年 データ)の 8 名 の初 日 データをShapiro-Wilk Testで調 べた(p=0.39)。よってVASデータの正 規 性 を仮 定 して問 題 はなかった。(使 用 した Shapiro-Wilk Test のフリーサイト、 http://scistatcalc.blogspot.co.uk/2013/10/shapiro-wilk-test-calculator.html) 評 価 用 紙 から得 られた値 を Dr. Arsham の「AutoregressiveTimeSeriesModeling」 (http://home.ubalt.edu/ntsbarsh/Business-stat/otherapplets/Autoreg.htm)』にて計 算 を行 い、 計 算 ・出 力 された「Autorrelation」値 を 2 つの方 式 の自 己 相 関 係 数 として採 用 し、比 較 した。 図 4. 独 立 記 入 方 式 の 用 紙 ( 独 立 記 入 方 式 は こ の 用 紙 を 1 枚 ず つ 前 日 の 用 紙 を 見 な い で 記 入 し て い く )

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図 5. 非 独 立 記 入 方 式

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5 表 1. 2012 年 度 データ(8 日 間 毎 日 記 入 ) 非 独 立 式 記 入 方 式 症 例 1 回 目 2 回 目 3 回 目 4 回 目 5 回 目 6 回 目 7 回 目 8 回 目 備 考 1 16 7 12 8 5 2 5 5 症 状 :左 足 首 痛 2 72 60 45 85 70 54 83 64 症 状 :今 日 の疲 れ 3 93 92 96 68 58 42 23 54 症 状 :眠 気 4 59 66 43 44 45 36 46 29 症 状 :左 足 首 痛 5 48 40 76 47 64 7 12 23 症 状 :今 日 の(左 )肩 こり 6 82 74 59 47 43 45 80 79 症 状 :今 日 の肩 こり 7 49 47 74 75 80 70 51 47 症 状 :今 日 の肩 こり 8 48 46 52 69 49 61 56 35 症 状 :今 日 の疲 れ 独 立 式 記 入 方 式 VAS 1 回 目 2 回 目 3 回 目 4 回 目 5 回 目 6 回 目 7 回 目 8 回 目 備 考 1 19 11 20 6 7 3 11 8 症 状 :左 足 首 痛 2 74 68 58 87 60 48 87 66 症 状 :疲 労 感 3 91 82 98 71 59 37 21 54 症 状 :眠 気 4 61 60 41 50 46 34 51 29 症 状 :左 足 首 痛 5 54 46 67 47 58 6 15 19 症 状 :左 肩 こり 6 80 66 63 57 39 49 70 74 症 状 :肩 こり 7 46 51 68 63 79 64 51 72 症 状 :肩 こり 8 50 42 54 71 53 61 59 29 症 状 :今 日 の疲 れ 表 2. 2012 年 度 データのまとめ 非 独 立 式 記 入 Autorrelation 非 独 立 式 記 入 Mean 非 独 立 式 記 入 SD 独 立 式 記 入 Autorrelation 独 立 式 記 入 Mean 独 立 式 記 入 SD 0.3495 0.2678 0.3767 0.0332 0.1457 0.3605 -0.3974 -0.4591 0.7475 0.6855 0.3530 0.0129 0.2661 0.4280 0.5045 0.4508 0.4965 0.0818 -0.1774 -0.0673

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6 表 3. 2011 年 までのデータのまとめ 症 状 非 独 立 記 入 方 式 自 己 相 関 係 数 非 独 立 記 入 方 式 平 均 値 m 独 立 記 入 方 式 自 己 相 関 係 数 独 立 記 入 方 式 平 均 値 m 1 肩 こり 0.07 6.81 0.11 6.94 2 眠 気 0.54 4.07 0.58 3.87 3 気 分 -0.12 4.11 -0.2 4.04 4 疲 れ 0.8 5.73 0.67 4.83 5 眠 気 0.65 6.45 0.21 6.89 6 肩 こり -0.16 5.9 -0.08 5.94 7 疲 れ 0.16 4.63 0.19 6.64 8 花 粉 症 くしゃみ 0.56 2.8 0.73 3.17 9 肩 こり 0.67 6 0.04 5.07 10 今 日 の疲 れ 0.34 5.94 0.28 6.34 11 今 日 の疲 れ 0.04 6.34 -0.24 6.59 12 ? 0.32 5.27 0.3 5.53 13 腰 痛 -0.27 5.44 0.23 5.69 14 疲 れ 0.72 3.81 0.75 3.64 15 嘔 気 0.57 8.14 0.44 7.66 16 肩 こり -0.15 6.46 -0.03 5.97 m 0.3 5.49 0.25 5.55 SD 0.36 1.34 0.32 1.33 【結 果 】 表 1,2,3 のような結 果 をまとめると、被 検 者 24 名 の自 己 相 関 係 数 の平 均 値 (Mean) は、独 立 記 入 方 式 が 0.21 (SD : 0.33)、非 独 立 記 入 方 式 が 0.29 (SD : 0.36)となった。なお、平 均 値 は 0 に近 いほど 前 後 の相 関 が無 く適 切 だと言 える。なお症 状 と自 己 相 関 係 数 との関 係 にはもっと多 くのサンプルが必 要 で ある。 【考 察 】 独 立 記 入 方 式 より非 独 立 記 入 方 式 で自 己 相 関 係 数 が高 値 となったことにより、非 独 立 記 入 方 式 で は前 の記 入 の影 響 を受 けていることが明 らかになった。独 立 記 入 方 式 0.21、非 独 立 記 入 方 式 0.29、両 自 己 相 関 係 数 の平 均 値 の差 は 0.08 となった。 鍼 灸 研 究 でその使 用 が検 討 されているクラスターRCT ではクラスター内 相 関 が問 題 になる 4 ) 5 )。本 実 験 で得 られた 0.08 いう値 は、クラスター内 相 関 で問 題 視 されている水 準 よりも大 きな値 となる。クラスターとは 塊 のことで、同 一 クラ ス、同 一 医 師 の患 者 群 というイメージである。クラスター 内 相 関 は検 定 結 果 を大 きく 左 右 すると言 うことで、現 在 のランダム化 比 較 試 験 では、その影 響 を考 慮 してデータを扱 うように言 われてい

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7 る。こうして非 独 立 記 入 方 式 で得 られた VAS 値 を使 って検 定 などの計 算 をするならば、間 違 った結 果 に なる可 能 性 があり、自 己 相 関 を考 慮 して処 理 を施 す必 要 がある。 そして、独 立 した検 定 だけでなく、対 応 のある検 定 (対 応 のある検 定 とは、同 一 群 の前 後 比 較 を行 う際 に用 いられる検 定 )では相 関 係 数 を r=0.4~0.8 とおいて計 算 する。自 己 相 関 係 数 とは一 桁 違 うが、0.08 を四 捨 五 入 すると 0.1 になり、影 響 を与 える。よって、対 応 のある検 定 の場 合 にもその前 提 として、VAS の 記 入 は独 立 して行 わなければならない。 【結 語 】 自 己 相 関 係 数 を用 いて VAS の独 立 記 入 方 式 と非 独 立 記 入 方 式 とを比 べた結 果 、自 己 相 関 係 数 には 0.08 の差 があり、独 立 記 入 方 式 に比 べ、非 独 立 記 入 方 式 で自 己 相 関 が大 きい結 果 となり、独 立 記 入 方 式 でないと前 回 の影 響 を受 けることが分 かった。このことから、鍼 灸 の臨 床 研 究 において VAS を使 う場 合 、非 独 立 記 入 方 式 でなく、本 来 の独 立 記 入 方 式 を使 う必 要 があることを強 調 したい。 【参 考 文 献 】

1) McCormack HM, Horne DJ, Sheather S.:Clinical applications of visual analogue scales:a critical review. Psychol Med. 1988 Nov;18(4):1007-19.

2) 七 堂 利 幸 、高 橋 則 人 :VASが改 善 すれば臨 床 的 に有 効 といえるか?鍼 灸 osaka,107,91-03,2012. 3) 見 松 健 太 郎 ら:VAS と腰 JOA との関 係 について,日 本 腰 痛 会 誌 ,6(1):13-16, 2000.

4) Killip S, Mahfoud Z, Pearce K.: What is an intracluster correlation coefficient? Crucial concepts for primary care researchers.,Ann Fam Med. 2004 May-Jun;2(3):204-8. 5) 七 堂 利 幸 :偽 鍼 は臨 床 試 験 に役 立 つか?医 道 の日 本 誌 ,765,116-9,2007.

【謝 辞 】

本 研 究 を進 めるにあたり、奈 良 上 眞 先 生 及 び、日 常 の議 論 を通 じて多 くの知 や示 唆 を頂 いた東 洋 医 療 教 員 養 成 学 科 の皆 様 に感 謝 します。

図 3.  目 盛 りを入 れる NRS となる評 価 用 紙
図 5.  非 独 立 記 入 方 式

参照

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