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郊外戸建住宅地における住宅・宅地管理GISデータベースの構築とその活用に関する研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)郊外戸建住宅地における住宅・宅地管理GISデータベースの構築とその活用に関する研究. 的野 康一. 1. はじめに 1-1. 研究の背景と目的. 30㎞. 20㎞. 10㎞. 北九州市. 宗像市.  わが国では、高度経済成長期に主要都市およびその 周辺に大量の戸建住宅地が開発された。これらの住宅. 福岡市. 地は現在では開発から 40 年ほど経っており、住宅の. 宗像市役所. 老朽化や居住者の高齢化による住宅地全体の管理能力 の低下とともに人口・世帯減少等による空家・空宅地. 教育大前. 東郷駅. の増加が懸念されている。. 日の里団地.  一方、アメリカでは住宅所有者組織(HOA)1) や 住宅協同組合法人(コウオペラティブ法人)2)といっ. 赤間駅. 自由が丘団地. た居住者組織が存在し、各家の建設・増改築のコント. 図 1. 調査対象団地の位置. ロールなども含め、居住者が良好な住環境の維持・管. それに対応したデータベースの構築を行うこと。. 理を行うことが多い。しかしながら、個々の世帯に. ②属性情報の更新 : 行政情報の種類と更新頻度に合わ. よる住宅地の個別維持管理を基本としてきたわが国で. せた時系的な更新のシステムを開発し、 組み入れること。. は、住宅地そのものを一体的に管理するという社会概. ③空間情報の更新 : 分筆や合筆といった地籍図の時系. 念は未成立な状況にある。現状の空家・空宅地の発生. 的な変化への対応を行うこと。. 動態からは、住宅地の維持管理のための一定の公的な. ④空間情報の追加 : 住民や自治会における現場からの. 施策が必要と判断される。特に、施策立案の支援とな. 住情報等実態情報を有効に組み入れること。. る住宅・宅地に関する管理情報の一体化については地.  本研究はこれらの課題を反映したデータベースを 「住宅・宅地管理 GIS データベース」と定義し、新た. 方公共団体も非常に関心が高くなっている。  そこで本研究は、これらの住宅・宅地の維持管理を. な施策実施型データベースを構築する。. 社会的に支援するために、住宅・宅地管理情報を一括. 2. 調査概要. 的に管理する住宅・宅地管理 GIS データベースの構. 2-1. 研究方法. 築とその活用に関して考察するものである。.  本研究では、住宅・宅地管理 GIS データベースの. 1-2. 既往の GIS データベースの概要と課題. 運用課題を明らかにするために、①地方自治体の行政.   調査対象地においては、既往研究 注 1) により、平. 庁内におけるヒアリング調査を行った。次に、調査に. 成 13 年度に行政管理情報(土地課税台帳、家屋課税. よって明らかになった実態をもとに、②データベー. 台帳、住民基本台帳、地籍図)を地番の単位に統合し、. スの更新システムを提案した。③新たに提供を受けた. 「統合型公簿資料 GIS データベース」を構築している。. 2008 年の行政情報資料をもとにデータベースの構築. ところで、住宅地の管理を行うにあたって、このよう. を行い、そのシステムの検証を行った。. な「空間情報」と「属性情報」を統合した GIS デー. 2-2. 調査対象地の概要. タベスはきわめて有効であるが、既往研究においては.  調査対象地である宗像市日の里団地(2007 年度人. データベースの構築に関する手法的な論拠とその提案. 口:12,775 人、高齢化率:24.3%)、自由ヶ丘団地(2007. であるため、施策実践的な運用を想定した検討が不十. 年度人口:15,634 人、高齢化率:20.2%)は、2つ. 分であった。以下、4つの課題を指摘できる。. の政令指定都市の中間に位置しており、双方の都市か. ①情報の分離 : データベースの使用目的を明確にし、. ら 25 ∼ 30km 圏の立地にある(図1)。2団地は政令. 注 1) 竹下輝和他:都市収縮期における郊外戸建住宅地および住環境の管理システムに関する研究̶そ の 1.郊外戸建住宅地の公的情報管理と GIS を活用した住宅地管理のあり方 日本建築学会大会学術講 演梗概集 2000 年. 指定都市間をつなぐ国道と鉄道に挟まれ、1960 年代 から郊外戸建住宅地として開発が行われてきた。. 38-1.

(2) 3. 行政情報に関するヒアリング調査. 税務課. 市民課. 3-1. ヒアリング調査概要  地方自治体の行政庁内における郊外住宅地の土地・. 異動届. 申請受付. 建物・世帯および地図に関する情報の管理と更新の方. 非市民課 管理情報. 確認. 都市計画課 不動産 登記簿. 調査資料 収集整理 所有者 変更. 土地・建物 変更. 建築確認 申請. 法を把握することで、住宅・宅地管理 GIS データベー スの運用上の課題の整理を行う。. コピーを 他部署へ.  宗像市の行政担当課を対象にして、平成 20 年度に. 市民課 データ. 年 1 度の更新 (業者委託). 情報政策課. る調査は市民課、地図情報の管理に関しては都市計画. 図 2. 行政情報の更新相関図. 課、ならびに、庁内の情報管理全般に関しては情報政. 表 1. 行政情報の更新頻度 管理主体. 3-2. 行政情報の管理実態. 属性 情報.  宗像市では地図・土地・家屋・世帯などの情報が庁 内全体で共有されている汎用機によるデータベースシ ステム上で管理されている。同システムは情報政策課. 空間 情報. が管理しており、他部署の情報にはアクセス制限がか. 土地. 税務課. 地図. 種類. 更新. 土地課税台帳. 1年. 家屋課税台帳. 1年. 住民基本台帳. 毎日. 税務課. 地籍図(1/1,500). 1年. 都市 計画課. 地形図(1/2,500∼1/200,000). 5年. けられている。 3-3. 行政情報の更新方法 . 地籍図. 市民課. 建物 住民. 航空写真. 個別型 GIS. 課税台帳に関する調査は税務課、住民基本台帳に関す. 策課にそれぞれ質問し回答を得た。. 5 年毎に更新. 現地調査. 税務課 データ. 汎用機 デジタル データ. ヒアリング調査を実施した。土地課税台帳および家屋. 地形図. 航空写真(1/2,500∼1/200,000) 5 年. 「行政管理データベース」. (1) 税務課における更新方法   税務課では、毎月法務局から送付される変更分の不. 地図. 土地. 建物. 住民. 動産登記簿にもとづくデータ更新に加えて、実態とし てすべての建物が登記されているとは限らないため、. 「地番 ID」を照合して統合. 建築確認申請をもとに、現地調査結果によるデータ更 新も行っている(図 2)。地籍図と個別型 GIS 注 2) は. 「基幹データベース」. 業者に依頼し、年に1回更新している。固定資産税台. 空間情報、属性情報:1対1. 帳の情報については、4月の課税実施を目標に更新作 定される。データの一年間の更新頻度として、新築は. 「分析用データベース」. 400 ∼ 500 棟 / 年程度、所有者変更は 700 ∼ 800 人 / 年程度である。  (2) 市民課における更新方法  住民基本台帳の更新の手順としては、市民が各種届. 表示・検索用 に編集. 分析用に編集. 業が続けられ、1月1日付けのデータとして2月に確. 逐次更新. 「表示・検索用データベース」. ・統計分析、個別事例分析. ・表示・検索、出力のみ. ・1年毎に更新. ・随時更新. ・時系列的データ. ・管理業務向けデータ. けを提出、職員が窓口で記述内容を確認、システムへ. 図 3. 使用目的別 GIS データベースの構造. の入力、入力内容の確認、各種届けの原本の保存、カー. 行われる。地図情報については、特別な技術が要求さ. ボンコピー関係部署への送付となる。一日の更新件数. れることから更新は業者に委託されており、1 ∼ 5 年. は 50 件 / 日程度であり、休日明けは 100 件 / 日程度、. ごとに更新される(表 1)。. 3、4 月は転入居数の増加のため 200 件 / 日程度になる。. 4. データベースの更新システム. 3-4. 行政情報の更新頻度.  データベースの運用を考えたとき、住宅地管理や.  土地情報および家屋情報については、各年の課税額. 世帯管理を目的とした場合は情報の逐次更新が求めら. 評価を目標としたデータ更新が行われるため、確定. れる。しかし、経年変化を分析する場合は情報の更新. されるのが 1 年に 1 回となる。世帯情報については、. は1年単位で十分と判断される。そこで、ヒアリング. 窓口での届出にもとづく更新のため、日々逐次更新が. 調査によって明らかになった行政情報の更新頻度を元. 注 2) 個別型 GIS:固定資産税用に開発された GIS であり、主に表示・検索ツールとして利用している。 固定資産税台帳のデータを基に作成・変更を行う。また、地形図や航空写真といった必要な地図データ は都市計画課によって提供されている。. に、使用目的に合わせて3種類の GIS データベース を構築する(図 3)。. 38-2.

(3) (1) 基幹データベース. 土地課税台帳データ.  「表示・検索用データベース」と「分析用データベー. 1. 333.91. 地積. 63011000100100. 地番 ID. 10.13. 地積. (2) 表示・検索用データベース. 89436. 住民 CD. 1・2. 全地目. 344.04. 1. 主要 主要地目 部分 主要地積. 2. 地目. 3010001001. 地番 ID. 全地積. 89436. 住民 CD. データ例. フィールド名. 筆 全 体. データ例. フィールド名. は年に1回とし、過去情報の保存を随時行う。. 土地データ. 89436. 地目. ず、行政情報を単純に統合したものとする。更新頻度. 333.91. 家屋課税台帳データ.  住宅・宅地管理 GIS データベースを居住世帯支援. データ例. フィールド名 地番 ID. ツールとして活用するためのデータベースである。空. 所有者 CD. 63011000300100 89436 89436. 住民 CD. 1. 主体構造. 家・空宅地情報の表示・検索を目的とし、「基幹デー. 1. 建物用途. 1. 地上階数. 65.28. 延べ床面積. 19660000. 建築年. タベース」に加工・編集を加える。住民基本台帳を元. データ例. フィールド名 地番 ID. 所有者 CD. 89436 89436. 1. 地上階数. 地番 ID. 所有者 CD. ベース」に加工・編集を行うことで、個々の情報だけ では判断できない分析を可能とする。 5. データベースの構築 5-1. 基幹データベースの構築 . 6.61. 非住宅部述べ床面積合計. 1. 履歴 増改築回数. 1. 建築年. 1966. 増改築年 ( 新 ). 1980. 1980. 増改築年 ( 古 ). 19660000 1. 新増改築区分. 43.06. 住宅部増築床面積合計 非住宅. 6.61. 建築年. 65.28. 住宅部建築時床面積合計. 9. 延べ床面積. 1. 114.95. 住宅 住宅部延べ床面積合計      108.34. 31. 地上階数. 2. 面積 延べ床面積合計. 89436. 建物用途. 1. 階数 最高地上階数. 89436. 主体構造. 0. 棟数 全棟数       . 63011000300100. 住民 CD. 1. 用途 筆別用途. データ例. フィールド名. 89436. 混構造. 3. 新増改築区分. 89436. 所有者 CD. 構造 主体構造. 19800000. 建築年. 大字 301 本番 1 枝番 1 孫番 ナシ. 3010001001. 地番 ID. 住民 CD. 43.06. 延べ床面積. 化予測に使用するデータベースである。「基幹データ. ID. 1. 建物用途. データ例. フィールド名. 3. 主体構造.  住宅地の実態および経年的変化の分析、将来的な変. 建物データ. 63011000300100. 住民 CD. (3) 分析用データベース. 地番ID 3010001001. 1. 新増改築区分. に年に数回更新を行う。. 住民基本台帳データ. (1) データベースの構造. 63011_1_1. 1の対応によって土地・建物の所有者と世帯主の照会 により、権利関係の把握や世帯の有無・建物の有無を. 3410328. 入居年月日. 1. 世帯人数. 第 一 世 帯. データ例. フィールド名. 63011_1_1. 地番. 141448. 世帯主コード. データベース構造として定義している。この1対1対. 筆 全 体. 3020830. 世帯主生年月日. 第 二 世 帯. 3281222. 世帯主生年月日. 3580420. 入居年月日. 3. 世帯人数. データ例. フィールド名. 89436. 世帯主コード. した土地̶建物―世帯を1対1対1の対応関係となる. 住民データ. データ例. フィールド名 地番.  既往研究注 3)においては郊外戸建住宅地の実状に即. 3010001001. 地番 ID. 地図データ. 2. 全世帯数. 4. 全世帯人数. 89436. 世帯主コード. 80. 世帯主年齢. 1966. 入居年. 1. 世帯人数. 141448. 第二世帯主コード. 54. 第二世帯主年齢. 1983. 第二世帯入居年. 3. 第二世帯人数. ※地番ID:団地名、丁目、番地をコード化したもの。. 図 4. 基幹データベースの構築手順. 判断し、この結果、空家・空宅地の判別を容易に行う. 判別項目. ことが可能となる。. 全データ. (2) データソースの編集  既往研究. 63011000100100. 住民 CD. ス」の元となるデータベースである。データを付加せ. 注 4). データ例. フィールド名 地番 ID. 全データ. 土地データ 地積. におけるデータベースの構築手順を以. 土地データ 地目. 下の改良手順によって刷新する。 ①土地課税台帳上では、一筆上で 2 種類以上の土地. 建物データ. 利用がなされている場合、データも複数となるため、. 建物データ 筆別用途. それらを一筆の土地データとして編集を行う。. 住民データ. ②家屋課税台帳上では、増築分や兼用住宅の店舗部分. 全データ 所有者 CD. など、建築時期や用途の違う部分は別のデータとして 追加記録されるため、それらを一筆の建物データとし. その他. 宅地. 建物:無. 建物:有. 共同住宅. 戸建住宅. 住民:有 住民:有. 所有:同. 所有:異 所有:異. 住民:無. ③空家. ①所有•居住 ②所有•居住  一致住宅  不一致住宅. て編集を行う。 ③住民基本台帳上では、一筆上で 2 世帯以上の住民. 100 ㎡未満. 100 ㎡以上. ※画地:空地、狭小地を除いた①∼⑥を指す。. 非住宅系. ⑧狭小地. ⑦空地. ⑥空宅地. ④共同住宅 ⑤非住居系 土地所有者 建物所有者 ①所有•居住  一致住宅 ②所有•居住  不一致住宅. 世帯主. A. A. A. A. B. A. A A A. B. A B. B B. C. ※ 所有•居住一致住宅:土地•建物の所有者と居住者が同 一である住宅を指す。持家を含む。 所有•居住不一致住宅:土地•建物の所有者と居住者が 異なる住宅を指す。居住者が土地•建物の所有者の親 類である住宅、または借家を含む。. 登録がされている場合が数多く存在するため、それら. 図 5. 画地分類の判別. を一筆の住民データとして編集を行う。. 基幹データベースの情報をもとに権利関係を抽出し、8.  以上のデータを地番 ID により統合し、基幹データ. 種類の土地の分類を行う ( 図5)。さらに、これらのデー. ベースの構築を行った ( 図 4)。. タを地図情報と重ね合わせることで、空家・空宅地の. 5-2. 表示・検索用データベースの構築 . 空間的な分布状況の把握を可能とする ( 次項図 6)。.  表示・検索に必要な空家・空宅地の判別を行うために、. 5-3. 分析用データベースの考察. 注 3) 有田隼人他:都市収縮期における郊外戸建住宅地および住環境の管理システムに関する研究̶そ の 2.統合型公簿資料による郊外戸建て住宅地の GIS データベース構築 日本建築学会大会学術講演梗 概集 2000 年 注 4) 友枝竜一他:公簿資料の統合による郊外戸建住宅地の GIS データベースの構築  都市・建築学研究 九州大学大学院人間環境学研究院紀要第2号 2002 年.  自由ヶ丘団地を対象に分析用データベースの活用 の一例として、作成した基幹データベースを用い、. 38-3.

(4) 1997 年と 2008 年の比較による画地利用、高齢世帯 の経年変化を分析する。 (1) 画地利用の経年変化  1997 年から 2008 年にかけて空家・空宅地数はほぼ 増加しておらず、所有・居住不一致住宅が 1997 年に. 2008 年 空家 空宅地. 比べ約 2 倍に増加していることが確認できる ( 図 7)。. 図 6. 表示・検索用データベースのイメージ. 「居住更新」が全体の 18.7%を占め、 親族間による住宅・. 0. 1000. 2000. 宅地の継承、または所有者の変更による更新が行われ. 1997 年. ており一定の流動化もうかがえる ( 図 8)。 (2) 高齢世帯の経年変化. 所有•居住一致住宅. 所有•居住不一致住宅. 空宅地.  . 滞 . 1 4 .3. %. 498 (11.4%). 447 (10.2%). 2491 (56.8%). 248(5.7%). 568 (13.0%). ※居住←居住(世帯主変化あり):2008 年 と 1997 年において住宅データが存在し、 世帯主 CD が異なる画地 居住←空家・空宅地 : 共同住宅、非住宅系 ←空家・空宅地の変化も含む。 空家・空宅地←居住 : 空家・空宅地←共同 住宅、非住宅系の変化も含む。 (全 4381 画地) 更新 : 居住世帯の更新を指す。.  . 新 更.  .   .           . 居. 齢者のみが居住する住宅の増加がうかがえ、今後の 10. 2008 年 1997 年 居住    ←居住 居住    ←居住(世帯主変化あり) 居住    ←空家・空宅地 居住    ←空地(新規宅地化) 空家・空宅地←居住 空家・空宅地←空家・空宅地. 129 (2.9%).  . 倍に変化しており、住宅・宅地の継承可能性の低い高. 停.  .    新規 1 0. 2 .7% % 18  . 年では高齢夫婦のみ居住は 1.7 倍、高齢単身居住は 3.2. 新. 継続 56.8% . 宅の量は相対的に変化が少ないにもかかわらず、2008.  . 更. 居住. 1997 年に比べて若年および中高年世帯主の居住する住. 住. 図 8. 画地利用の経年変化分類(1997 年 -2008 年). データベースの構築がきわめて重要と考えられる。. 1000. 世帯主数(人). 900. 6. まとめ. 1997 年予測 (全 3153 世帯主) 2008 年 (全 3727 世帯主). 800 700.  本研究では既往研究に施策実践的な運用の想定を加. 600. えた「住宅・宅地管理 GIS データベース」の構築を行い、. ※ 1997 年予測 :1997 年度の世帯主年齢に 2008 年度の差である 11 歳を単純に足し合 わせた世帯主年齢分布 である。 世帯主 : 住民データ上 の第一世帯の世帯主を 指す。. 500 400. 以下の諸見を明らかにした。. 300. 1) 行政における情報更新業務の実態から土地・建物. 200 100. および地図情報については 1 年ごとの更新、世帯情 報は逐次更新が可能であることが確認された。 2) 住宅・宅地管理 GIS データベースの使用目的と住宅・. 空家. 図 7. 画地分類(1997 年 -2008 年). たは更新が進行している可能性が指摘できる。また、. 上のごとく、将来的な変化予測等に利用可能な分析用. 521 166. の自由が丘団地への世帯の流入と住宅・宅地の継承ま. 年に大きな変動を迎えることが予測される ( 図 10)。以. 529. 902. 2675.  1997 年の予測に比べ、2008 年では若年および中 きる ( 図 9)。この予測と実態の差異より、全年齢域で. 4000(画地). 444. 2719. 2008 年. 高年の世帯主だけではなく高齢世帯主の増加が確認で. 3000. 131.    . 居住世帯の更新数は相対的に少ないと言える。しかし、.  . また、 全体で「居住継続」と「更新停滞」が 71%を占め、. 0. ∼44 歳. 45∼54 歳. 55∼64 歳. 65∼74 歳. 75∼84 歳. 85 歳∼. 図 9. 世帯主年齢分布の比較(1997 年予測 -2008 年) 0. 宅地情報の更新実態をふまえ、 「基幹データベース」 、. 500. 1000. 1500. 2000. 2500. 3000. 3500. 1997 年. 「表示・検索用データベース」 、 「分析用データベース」 からなるデータベースとその更新システムを提案した。. 2008 年. 3) データベースの構築手順に改良を加え、基幹デー. 2150. 1968. 若年および中高年世帯主居住 高齢世帯主居住 高齢夫婦のみ居住 高齢単身居住. タベース、表示・検索用データベースを構築した。 4) 分析用データベースの考察を通して、自由が丘団. 320. 376. 4000 (画地). 143. 540. 924. 459. ※ 若年および中高年世帯主居住 : 世帯主年齢が 65 歳未満の宅地. 高齢世帯主居住 : 世帯主年齢が 65 歳以上かつ世帯人数が 3 人以上の宅地 高齢夫婦のみ居住 : 世帯主年齢が 65 歳以上かつ世帯人数が 2 人の宅地 高齢単身居住 : 世帯主年齢が 65 歳以上かつ世帯人数が 1 人の宅地. 地では一定の住宅・宅地の流動化が確認できること。. 図 10. 高齢世帯主の居住宅地分類(1997 年 -2008 年). また、高齢者のみが居住する住宅の多量な増加から、. GIS データベースを活用した施策立案の支援の検討な. 円滑な住宅・宅地の社会的継承が行われない可能性を. どが指摘される。. 指摘できることを示した。. 謝辞 本研究を行うにあたり、宗像市役所のご協力を頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。 本研究は科研費(20360274)の助成を受けたものである。 参考論文 1) 斉藤広子他:戸建て住宅地における HOA 導入の可能性と課題̶その 1.アメリカと日本の HOA 制 度とその実態の相違 日本建築学会大会学術講演梗概集 2002 年 2) 森田芳郎他:米国グリーンベルト ホームズにおける居住環境の運営形態とその変化 日本建築学会計画系論文集第 619 号 ,1-7,2007 年.  今後の課題として、詳細な分析を可能とする将来予 測シミュレーションを行うことや、住宅・宅地管理. 38-4.

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