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電子顕微鏡の倍率誤差と倍率決定について(第1報)

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(1)

電子顕微鏡の倍率誤差と倍率決定について(第1報)

著者 坂奥 喜一郎

雑誌名 福井大学工学部研究報告

巻 3

号 1

ページ 1‑7

発行年 1954‑08

URL http://hdl.handle.net/10098/5960

(2)

電子顕微鏡の倍率誤差と倍率決定について(第 1 報)

坂 奥 喜 一 郎

On the Magnification and the Errors of the Electron Microscope 

Kiichiro  SAKAOKU 

When we measure the size of a fine parti

c 1

e as in the case of determining the parti

c 1

e  size distribution with the electron microscope whose magnification Is  given from the  objective and projector lens current

, 

it  is  generally said  that  the errors can not be  expected to be les than 10...20%.  Those errors are originated from various reasons such  as the image distortion, magnetic hysteresis effects in  the lens pole pieces, da

i 1

y  changing various electrical 

c o n d i t i o n s

, so

i 1 i

ng of the aperture diaphragm in the objective  lens  and some others.  ln  order to minimanize these errors, however, we should be  careful so as to choose a series of a good condition in each factor, and only by special  precaution we can reduce the error to be Iess than 10%.  The author scrutinized each  of the causes of errors of an electron microscope of (5. M. ‑U. 5) type, and determined  the magnification from the objective  and projector  lens  current

, 

and some other  conditions that would give the least possible errors. 

From the obtained results

, 

the author found that the error could be reduced under  about 3.9‑6'. 

Yet

, 

the magnification must be checked at least once a month in order to maintain  its  accuracy because of some of the changable factors mentioned above. 

~

1 . ま

; 6 ,   き

電子顕徴鏡の励磁電流を Parameterとして決定された倍率で徴小物体を計測する場合には,

約 10"'‑20%。誤差がともなうといわれている白誤差

v '

原因は,像D歪み Pole

P i e c e

の磁気履 塵,其の他絞り板。汚損,高圧電源の長期使用による変化,等の為である口筆者は 3との Object Pole 

P i e c e

を使用し S.M.一U.5fD此等θ誤差を求め倍率決定と共に綜合誤差を評価した。

2 . 誤 差 測 定 の 注 意

測定に際し電流及び電圧計は総て精密級に交換した。励磁電流fDSwitchを入れた後定常状態 に達するまでにはFig.1に示す如く約5分間か〉る。それ故緒、て測定は Switchを入れた後5分間 以上経過して測定にか〉った。誤差測定に使用する試料は,単純な形‑C, かつ電子線に強い粒子を 選ぶべきである。とり条件を満足するもりはGlass山の微小球状粒子がよいが簡単に得られない。

筆者は Polystylenelatex粒子〈以下P.L.粒子という〉をもちいた。 P.L.粒子の大きさは測定

(3)

2  福 井 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第3巻 第1号

A n h m J

f ' o h w   視 一

4 1 4 a a

倍率D範囲で決定すべきで筆者は後述D如〈倍率決 定を約一万倍以下と一万倍以上にわけ今回は一万倍 以下であるから,約 0.5μ 位([)P.L.粒子を使用し た。誤差測定に電子様照射による

P .L .

粒子D変 化を恐れ測定した所が Fig.2の如き結果をえたロ

乙む際興味あるζとであるが. P.L.粒子にたまる Chargeの影響か或いはP.L.粒子自体D分子状態

。変化か判らぬがt釦単に Oildiffusion Pump ([) 

O

i1蒸気の Contamina tionによるとはい〉切れな い口 Fig.2から筆者D誤差測定に際して P.L.粒子 の変化の影響は電子線照射が約 2分間位であるから

1%

以下とみなされる。

S 3 .  

Image Distortion 

Hi

I 1

er¥8¥が比較的歪の少ない投射Polepiece  を試作しているが,現段階の電子 Iensは近軸電子 線(10‑3rad.以下〉を使用しでも投射Lensを低倍 率で働かせば像は大きく歪む。終撮り歪を定量化す る方法として次の如く考えた。軸合せり不充分によ る像の非対称性も考慮に入れ,とれ等を含むと思れ る H

i 1 l

er¥がが定義したもDを近似したロ Fig.3に 示す如くCirculardistortionとRadialdistortion 

にわけ視野全体に渡つで求めた由即ち近似的に

Polystyleneの直径(mm)

• •

1

1

~..L ・-一?一一一?

8 t  

トト『

~ ~トー • .

s h u

z z r  

, s ‑

/0  IS' 

t l o  

‑→電子線照射時聞く分〉

Fig.2  Polystyleneの電子綜照射に 依る ~fじの一例

Fig.3  Field Distortionの定義

d/  ‑'(

Dc :::;一一---::i一~1

∞ 芦 =

!(r.9) 

.....C' 

d'r  ‑λ 

Dr= 一~ム x 1∞が:::;g(r.9)  大 円 ; 終 像 視 野 小 円 ;

P .   L .

粒子

lim  / d'c‑dc¥ 

Circul distortion Dc = d~ →o ~

d~u\"

l

lJO%…・…

H

H

・ ‑ … ・

(1) lim  (d'r‑dr ¥ 

Radial distortion 

Dr 

i : → : o 〔 1F‑‑jxm% ….. ・ .

H

・ . . . . ・

H

ー ‑ ・

(2) と台ける, (1) (2)式で与えられる量を終像D中心から放射状にあらゆる方向に求めればよい。倍率 誤差に入る場合乙れ等は方向によって異怠るから一番大きい値をとっ

τ

最けばよい。然し極限をと

る測定は相当複雑となるから,一万倍以下D場合は 0.3...  0.6μ([) P. L.粒子で近似的に d'c‑d 

= d c  c x 1

∞% . . . . . . . . … . . . ・

H

・ ‑ … . . . . ・

H

.'(1')

(4)

d'rd

Q'r‑Qr  x 100% …....・ M ・...・ H ・..…~..  ...H ・.(2')  ar 

として視野の中心で

P .L .

粒子を写真にとり水平徴動で、

P . L .

粒子左前後,左右に移動させ夫々 写真を取って計測した。此の様にして得られた結果は Fig.4の如〈である。従って筆者が使用した 投 射Polepieceについては40m A  (NI 

1200 Amper, turn)以上で働かし,視野直径が4cm 以内であれば2 %以内白誤差で告さえられる己とが判った口

4 .  

%  d  Dr;2 

/  L 

Fig.4  Field Distortion tD一例 Dc円 周 方 向

Dr半 径 方 向

司...ー 『‑ー.K .h

  . ‑ ‑ ・司、・~吉守

..且...  

晶~ー戸・F

d‑‑‑ F  d‑‑F 4a

o  10 

mm

モ一都像一→

m m

中心

ぇ 。 10  o  10 

nun ~ー

一→

m m

磁 気 履 歴 誤 差

1 . 0 

20 

軸対称。磁界をLensにする MagneticIensの焦点距離/は電子の磁界内D運動を計算すれ ば簡単に

= 4 mU2

e"" 

‑ + ; ∞ . . . ・HHH・..……...・H ・..HH・..… (3) I Hzdz 

と導かれる。但しとり式。mは電子。質量, Uzは電子。電子Iensの軸方向。速度, eは電子。電 気量, Hzは軸方向。磁界強度をあらわず。永久磁石を Lensとするものは別として多〈は Coi1電 流によって磁界を生じさず,従ってCo

i 1

fD Amper turnをNIとすれば、

= F (NI)  ...・H・..…...・H ・...・H・..…...・H・...・H・...・H・..…・HH ・...・・・HH・..(4)  で与えられ近似的に

f‑(220温〉 Vk

一 一 一 了 一(NI

k ………….日……….日…….“…………..………….日………….日………….日………….吋………….日………… .. ...................... ..".. ........ ....... ............ ................. ....eυ...... (5幻

(5)

4  福 井 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第3巻 第1号

と〉でvkは電子の加速電圧

をKvoltであらわしhはCoilと Pole pieceによってきまる常数で あるロ

(5)式は見掛け上与えられた Ampere turnに対して与えられ たLens([)焦点距離

f

は一義的に きまる様に表示されているo

然しながら Polepieceには磁気 履歴がともなう故Ampereturn  によって一義的にきまらない。

筆者は3!r ([) Object Pole  piece (内径1.9mm

, 

2mm

, 

4mm)  及 び 1個 の ProjectPole piece 

〈内径4mm)につき磁気履歴に よる誤差をP.L.粒子によって測 定した。先づ投射電流を一定とし

1 . 5 

Object current 35 mA 

• Object current 40 mA  Objcct current 45 mA 

z h  

→ l

廻析格子の粧品開の本数

Fif.5 b Project Pole Pieces 

艦長履歴誤差

ぇ 。

霊J"~

霊 % 1

‑ ︐  

+  •

i r  

J2 

ι ︒

IJ ‑13  mA 

2 、 5

£ 

ll

↑ 

借 10

('~)

7 0 s  

J  よ

O  /0  16  20  I! ‑11‑:' mA 

Fig.5 a Object Pole Pieces磁気属歴D一例

て電流θ少ない方から所定電流としピン トをつけたときり対物電流を11とし写真 を撮映し試料位置を変化せ守、対物電流を

1 2

まで増加し次に減少したがらピントを つけたときり電流値を13とし再び

P .L .  

粒子を撮映し前者と大きさを比較した所 が測定の誤差内で大きさは同じである。

即ち, 11も13も同一倍率を与へたととに なる。との磁気履歴による誤差測定結果 をFig.5a図に示す。次に対物電流を一 定 と し 投 射 電 流 を か え て 同 様 の 測 定 を Optical grating replica膜を試料とし て測定した。そD結果を Fig.5b図に示 す。磁気履歴θ誤差は大きく例へ35mA 附近でピントをつけ様として1度50mA にした後20mA位に減少して 10分位放 置しても除く事は出来ない口従って倍率 誤差を2 %以下になさえるためには1度 励磁電流を切った後低い方から所定電流 値とし試料D上下で、大体のピントをつけ 対物電流を土2mA位。変化内でピント をつければ磁気履歴誤差は充分小さく告 さえるととが出来る白

(6)

9 5 . 其 の f 也 の 誤 差

a) 軸 の 傾 き に よ る 誤 差

フィラメントの取換, 絞り板む交換等で, 各軸合せは厳密に同等とはいえたい9‑3の Field distortion ([)測定内に入っていると思れるが念の為に軸を傾け測定したロ 明視野の範囲では僅かの 影響はあるが測定誤差内に入る。

b) 高 圧 電 源 の 変 化

高圧電源に依る誤差を入力電圧を98V‑105V迄変えたが高周波高圧でFeedback regulation  が働いている為測定誤差内ではっきり判らなかった。撚し長期使用に際し真空管の特性の変化,抵 抗の変化等から例えば Grid(()動作電圧は一定を保つとはいわれたい。従って長期間にわたって1度

きめた倍率も保証出来紅い白 c)  絞り板。汚損による誤差

絞り穴附近に絶像物のゴミがつく場合Chargeup Q)為電子ピームがまげられる恐れがあり其0 結果倍率誤差にあらわれるは宇であるが定量化出来なかった。(現在中間絞りで測定中〉

d)  試料そりものによる誤差

測定試料が絶縁物である場合Shadowcastingを併用すればある程度除かれるが大きい試料で はChargeupの為電子ビームが僅かで、は;あるがまげられる恐れがあり倍率えの誤差が考えられる。

立場をかえて測定計画中てあるD

S 6 .

倍 率 決 定 法

電子顕徴鏡の倍率決定法には, 電子軸に垂直に既知距離だけ試料を微動させ終像D移動距離と 比較してきめるStageshift methodと標準となる微小物D終橡の大きさから求める方法とがある。

叉終像で求めるかわり各 Lens([)倍率を別々に求めそり積で終像の倍率をきめる Stageby stage  methodもあるo

a)  Stage Shift Methods 

試料面で電子軸に対して直角に既知C徴 動 距 離 ム

a

'tiどけ棒劃させ終像での像D移動距離

a

を求 め

a /

a

から倍率をきめる方法である。との方法は簡単で容易に倍率を求められる特徴をもってい るがネUで徴動さす場合には相当D誤差が入る。 とれに対して試料室を改良し試料D移動を光の干 渉縞の移動から求めれば川相当信頼度が告け最も精度が高いものと曹、れる。筆者は一万倍以上に対

しては此の方法を使用すべく計画している。

b)  微小物を規準とする方法

微小物を規準とする方法には Optical(Jrating Replica膜,微生物, P.  L.粒子等がある。

( i)  Optical Grating Replica膜

Optical gratingの数10本D紘間距離は相当信頼度が台けるが終像に2‑3本しか入らたい一 万倍以上に対しては各様間距離には夫々約 1%([)誤差と試料作成D誤差が入り約 5%の誤差が入っ てくる一万倍以下では良い方法と思れる。筆者は後述D如〈此D方法を一万倍以下で、適用した。

(7)

6  福 井 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第3巻 第1号

(ii)  徴生物を規準とする方法

海水に産する徴生物である SynedraFulgensは規則

E

しい小穴が等間隙に存在するロ産地に よって異たるがあるものは約 0.66μ 5%位である。又 Tabaccomosaic virus¥IPは一様な幅 で集合している,とれ等を規準とする方法である。

(iii)  Polystyr~ne Iatex及ガラス球を規準とする方法

Fullam.¥11及 Farrentand Hodgel11  等が Pyrexglas粒 子 で きμ位D一様た球状粒子を 作りとれを規準として約 5%の誤差で倍率をきめている,更に Backsand Williams¥61は Dow chemical co.から売出されている P.

L .

粒 子 が 約 加 で 誤 差 も

I R 5

位でこれを倍率説準として

' ‑ ' , る 。

c)  Stage By StageMethod 

Haine及び只野氏等が各レンズごとに倍率をきめそり積で全体の倍率を求めている,各レンズ ごとの倍率はたかだか1∞倍前後であるから相当精密に求められる様に思れるが綜合したときには やはり 5%位。誤差が入って来る。

S 7 . 倍 率 決 定

S 6

で述ぺた方法のいすτれを取るか種々D観点から一万倍以下と一万倍以土にわけ一万倍以上で はすでにに述べたStageshift methadで移動距離を光θ干渉縞D宇れから求め様とした,今回は 一万倍以下であるから分光計で確めた市販([)Optical gra tingに直接AIを蒸着させCr‑shadowを 併用し grating有機ガラスを溶かし Al膜を規準試料とし投射電流を 40mA又は 45mAで一定と して対物電流をかえて同一電流値に対し各

1 5

個の試料で夫k写真にとり綜間距離を

3‑ 5

本聞を 読取顕微鏡で測定し惜率を求めた。其θ結果は Fig.6図。如くなった。倍率誤差が例え励磁電流を

8

2.率7

" ' 0  

7 o ' o  

'$00 

6~/D

oJ10 

If

f t ( )  

Object Pole Pieces 1  Object Pole Pieces 

Object Pole Pieces 

2.4%

3%

.3 .3 If

090  dcf  (t.

110  .j.$ 

ObjectCurre叫 m A

与。 ;;0  oif 

よ出レYズ電波をAヲメートとして決定された倍率と誤差

Parameterとしても倍率誤差。少ない前述

c

条件を考えれば平均誤差土 3%以内に保つ事が出来

(8)

る。絶体倍率には疑点が残るが前述の誤差から考え平均誤差土

3%

以内にあることはいえるだろうo

9 8 . む

倍率誤差D最も大きい項は磁気履歴とFielddistortionであった。所定電流値に低い方から持っ て行きピントを試料。上下で大体つけたりち土 2mA位(土60NI)V範囲の変化で細かいピントをつ ければ倍率誤差は数%以内で例へ励磁電流をParameterとしても計測出来ることが判った。然しピ ント宇れ,絞り板の汚れにともなう誤差等を定量化する必要があるが磁気履塵及びFielddistortion  による誤差内に入ると思れる。

今後此等の問題を一万倍以上白倍率誤差及び試料変化の立場から研究したい。最後に本研究の 一部は電子顕微鏡学会で講演したもむである事と, 文部省助成研究費により行ったものである事を 附記する。1a.争実験を手伝って頂いた電子顕徴鏡研究室の川岸君に感謝D意を表す。

( 1)  FuIIam.  E.  F.  ; J.  Appl

, 

Phys.  14く1943)677 

Farrant. J.  L, and Hodge, A. J.  3 J. AppI, Phys.  19  (948) 120.  840,  く2)此の問題に就いては別D立場から研究中

く3) Hi1ier. J ; J. Appl. Phys 17く1946)411  ( 4)  Pease. R. S.  ; J.田i.Inst.  271950)182 

( 5)  Astbury.  W. T.  Electron Microscope. Conf.  Leeds (947) 

(6)  Backus. R. C. and WiIliams. R. C. J. Appl. Phys 19 (1948) 1186 

11  ! / 20(1949)  224 

Scott. D.  11  20 (1949)  417 

参照

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