非金属材料などの穿孔技術の習得
著者 安藤 誠, 坂口 義輝, 瀬戸 六左衛門
雑誌名 技術部活動報告集
巻 11 (2005年度)
ページ 13‑16
発行年 2006‑03‑31
URL http://hdl.handle.net/10098/7163
非金属材料などの穿孔技術の習得
第 二 妓 術 室 物 理 計 測 班 安 藤 蹄 、 坂 口 義 輝 化 学 計 測 班 瀬 戸 六 左 衛 門
研修目的
金属材料や合成樹脂、岩石などの穿孔技術については、既に機械工場や関連研究室などにおいて ほぼ確立した技術等があります。しかし、非金属材料(ガラスやセラミックスなど)への穿孔技術に ついては、残;念ながらまだ技術部内にも確立した技術等が見当たりません。
昨今、福井大学で実施している地域貢献策などに技術部としても積極的に企画・参加をしており、
その 端として、第三銭術室では「ガラスjを題材とした 「公開講座Jや 「オープンキャンパス」、
「一日遊学」等を毎年実施している。その中身は、 『溶 か すJ
r
伸 ば すJr
ツナグJr
曲げるJr
切るj などの加工技術を用いたものである。今回の研修では、機械加工で 般的に使用されている卓上ボール盤を用いて、非金属材料(主にガ
ラス)に機械的に 「穴をあける」技術を習得することにより、金属材料・合成樹脂のみならずガラス やセラミックスなどの非金属材料への穿孔技術を確立Lていくことを目的と Lた。
研修実施に当たって
2005年 10月 名古屋大学工学部工作センターに fガラス加工技術」の習得の為に2名 出 張 2005年 11月 研修実施に必要な最小限の物品購入と穿孔ドリルの製作
2005年 12月から 2006年 3月 各種ガラス材料の穿孔作業
2006年 3月 大阪大学産業科学研究所に fガラス加工技術j習得の為に2名 出 張
本研修に使用した物品は、卓上ボール盤 (目立 BI3SH) 式、接着ワックス「ステッキワックスJ (マノレト一社)、研磨材 「カーポランダムJ(マノレトー杜) 粒 度#80、#400、ホットプレート、スラ イドガラス(27
,
76, 1 .
5)、カパーガラス(l8x18xO.125)、板ガラス<<=2回、 5皿)等である。*穿孔ドリルについて
穿孔ドリノレの材料として、真織とステンレス管を用いて
「真 鍛Jφ2、φ3、φ4、φ15.φ20.φ25.φ30.φ35、
「ステンレスjφ8. φ9.5の 10種の穿孔ドリノレを制作し た。穿孔作業では真鏡の方が摩耗度が大きく再度スリット 加工を行った。
また、本研修を行うに当たって卓上ボール盤 式(目立 写真1製作したドリル
非金属材料などの穿孔技術の習得
第二技 術 室 物 理 計 測 班 安 藤 臓、 坂口 義 輝 化学計測班 瀬戸 六 左 衛 門
研修目的
金 属 材 料 や 合 成 樹 脂 、 岩 石 な ど の 穿 孔 技 術 に つ い て は 、 既 に 機 械工場 や 関連研 究 室 な ど に お い て ほ ぼ 確 立 し た 技 術 等 が あ り ま す。 しかし、非金属材料(ガラスやセラミックスなど)への穿孔技術に ついては、残;念ながらまだ技術部内にも確立した技術等が見当たりません。
昨今、福井大学で実施している地核貢献策などに技術部としても積極的に企画・参加をしており、
その一端 と し て 、 第三技 術 室 で は 「ガラスjを 題 材 と し た 「公開講 座Jや 「オープンキャンパス」、
「一日遊学」等 を 毎 年 実 施 し て い る。その中身は、 『溶 か すJ
r
伸 ば すJr
ツ ナ グJr
曲げるJr
切るj な ど の 加 工 技 術 を 用 い た も の で あ る.今回の研修では、機械加工で一般的に使用されている卓上ポール盤を用いて、非金属材料(主にガ ラス)に機械的に 「穴をあける」技 術 を 習 得 す る こ と に よ り 、 金 属 材 料・合 成 樹 脂 の み な ら ず ガ ラ ス や セ ラ ミ ッ ク ス な ど の 非 金 属 材 料 へ の 穿 孔 技 術 を 確 立 し て い く こ と を 目 的 と し た。
研修実 施 に 当 た っ て
2005年 10月 名 古 屋 大 学 工 学 部 工 作 セ ン タ ー に 「 ガ ラ ス 加 工 技 術 」 の 習 得 の 為 に2名 出 張 2005年 11月 研 修 実 施 に 必 要 な 最 小 限 の 物 品 購 入 と 穿 孔 ド リ ル の 製 作
2005年 12月から 2006年 3月 各 種 ガ ラ ス 材 料 の 穿 孔 作 業
2006年 3月 大阪大学産業科学研究所に「ガラス加工技術J 習得の為に 2~出張
本研修に使用した物品は、卓上ボール盤 (目立 BI3SH) 式、接着ワックス
r
ステッキワックスJ(マノレト一社)、研磨材 「カ ー ポ ラ ン ダ ムJ(マルト一社) 粒 度#80、#400、ホットプレート、スラ イドガラス(27)76xl.5)、 カ パーガラス(l8x18xO.125)、板ガラス(t=2回、 5四)等である。
*穿孔ドリルについて
穿孔ドリノレの材料として、真織とステンレス菅を用いて
「真偽Jφ2、φ3、φ4、φ15
,
φ20,
φ25,
φ30,
φ35、「ステンレスjφ8
,
φ9.5の 10種の穿孔ドリノレを制作L た。穿 孔 作 業 で は 真 鎗 の 方 が 摩 耗 度 が 大 き く 再 度 ス リ ッ ト 加 工 を 行 っ た。ま た 、 本 研 修 を 行 う に 当 た っ て 卓上ポ ー ル 盤 式(目立 写真1製作したドリル
B13SH)を購入し穿孔作業に使用した.穿孔作業時のドリノレ回転数は 500rp皿、研磨材の粒度を #80 から#400にすることにより、摩耗度も押さえられた.
*研磨材について
マルト一社製の「カーポランダム」の粒度#80と#400の研磨材を使用した。#80の場合は、穿
孔作業時聞は比較的短時間で出来るが、 ドリノレの摩耗度や穴の形状に組さが目立った.ま た #400 の場合は、穿孔作業時間は#80より少々長めだが問題になるほどでもなく、ドリノレの摩耗度も#80 よりは少なく大の形状の粗さも目立たなかった。
研修の前半では#80の研磨材を使用したが、後半では#400の研磨材を使用した。しかし、 「円形 加 工 」 の 1 では#舶の研磨材を使用した。
*鉱料の接着について
試料のガラス材をポーノレ盤上のパイスにセットするため、試料と台材をホットプレート上にて 80'Cに加熱し、接着ワックスの「ステッキワックス」を用いて接着した。当初、台材としてアクリ ノレ板やアルミ板等を用いたが、 試料のガラス材との収縮の違いなどから冷却する過程で剥がれてし まった。そこで台材として同じガラスを使用することにした。その際に試料と台材の隙聞を無くし て接着することが、その後の穿孔作業で試料のガラスの被損を防止する効果があることが判った。
*作業手順
1 板ガラス、台材をあたため、ス子ッキ ワックスを壷付
3
ポール盤にセノトl .
研磨材を置き、穴あけ開始
‑
・
4砂/
ー ‑ t 砂
Z板ガラス.台材を隙間揖〈掻着
.
。
司4穴あけ完了
B13SH)を購入し穿孔作業に使用した.穿孔作業時のドリノレ回転数は 500rp皿、研磨材の粒度を #BO から#400にすることにより、摩耗度も押さえられた固
本研磨材について
マルト一社製の「カーポランダムJの粒度#BOと#400の研磨材を使用した。#80の場合は、穿 孔作業時聞は比較的短時間で出来るが、 ドリノレの摩耗度や穴の形状に粗さが目立った.ま た #400 の場合は、穿孔作業時間は#BOより少々長めだが問題になるほどでもなく、ドリノレの摩耗度も #80 よりは少なく穴の形状の組さも目立たなかった。
研修の前半では#80の研磨材を使用したが、後半では#400の研磨材を使用した。しかし、 「円形 加 工Jの1 では#舶の研磨材を使用した。
* l i t
料の接着について試料のガラス材をポーノレ盤上のパイスにセットするため、試料と台材をホットプレート上にて 80"Cに加熱し、接着ワックスの 「ステッキワックス」を用いて接着した。当初、台材としてアクリ ノレ板やアルミ板等を用いたが、 書式料のガラス材との収縮の違いなどから冷却する過程で剥がれてし まった。そこで台材として同じガラスを使用することにした。その際に試料と台材の隙間を無くし て接着することが、その後の穿孔作業で試料のガラスの破損を防止する効果があることが判った。
*作業手順
1 板ガラス、台材をあたため、ス子ッキ ワックスを壷付
3
ポール盤にセ ノトl .
研磨材を置き、穴あけ開始
‑
・
4惨/
回 ‑ t 砂
Z板ガラス.台材を隙間頼。量着
司
。
、4穴あけ完了
*後着剤の洗浄
「ステッキワックスJのカタログでは、軟化点が 64"(;、80"(;で加熱洗浄となっている。 80"(;から 90"(;のお湯にて溶かし、この溶液が PH5. 5の弱酸性を帯びているため、重曹をj;‑々加え中和して排 水液処理を行った。
*カバーガラスや板ガラスへの穴あけについて 試料のカバーガラスをスライドガラスに接着して 穴あけ作業を行った。試料の厚みが O.125皿と大変 薄いために、技術の未熟さからくる作業の不慣れ、
接着の不具合、穿孔ドリノレの当たり、研磨材の組さ 等から、当初はカバーガラスの破損を繰り返した。
しかし、何回か繰り返し取り扱い作業に慣れるに 従って、これらの課題も克服できるようになった。
また、その他の叡ガラス(厚みが 2皿、 5凹)にも同 様に穴あけ作業を行ったが、研修の最終段階ではほ ぼ目的とする穴あけが可能になった。
‑ 叩
O()(J(')(
写真3板カーラス(t=2mm)
左治、らφ2,3.4.15,20.25,30,35
*円形加工について
1 .板ガラス(今回は厚さ 5mm)を角板にカットし、角 板上にマジックで円を描き、その円周に沿ってニッパ ーやプライヤ一帯を用いてガラスをカットする。
次に円の中心にステッキワックスを用いて樹脂棒を 接着し、旋盤にて円周部を研磨材を用いて研磨する。
この作業の過程で、ガラス板と樹脂棒が剥がれるとい う問題が生じた。樹脂棒を金属棒に変更しでも問機な
ことから、試行錯誤の結果、非塩ピ系の吸盤を樹脂樟 にヱポキシ系接着剤で接着することで、ほぽ目的のガ ラスの円形加工できた。
写真2カバーガラス(t=O.125mm)
/
写真3植ガラス(t=5mm)
2 穿孔ドリノレを用いて穴あけ加工を行う際に、ドリルのコア部の内径に相当する部分が円形に「例 り抜かれるJことから円形加工に応用が出来る。
氷後着剤の洗浄
「ステッキワックスJのカタログでは、軟化点が 64"(;、80"(;で加熱洗浄となっている。 80"(;から 90"(;のお湯にて溶かし、この溶液が円15.5の弱酸性を帯びているため、重曹を少々加え中和Lて排 水液処理を行った。
*カバーガラスや板ガラスへの穴あけについて 試料のカパーガラスをスライドガラスに接着して 穴あけ作業を行った。試料の厚みが O.125皿と大変 薄いために、技術の未熟さからくる作業の不慣れ、
接着の不具合、穿孔ドリノレの当たり、研廃材の粗さ 等から、当初はカバーガラスの破損を繰り返した。
しかし、何回か縁り返し取り扱い作業に慣れるに 従って、これらの課題も克服できるようになった。
また、その他の額ガラス(厚みが 2剛、 5皿)にも同 様に穴あけ作業を行ったが、研修の最終段階ではほ ぼ目的とする穴あけが可能になった。
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写真3板カ.ラス(t=2mm)
左治、らφ2,3.4,15,20,25,30,35
*円形加工について
1 .板ガラス(今回は厚さ 5mm)を角厳にカットし、角 底上にマジックで円を描き、その円周に沿ってニッパ ーやプライヤ一帯を用いてガラスをカットする。
次に円の中心にステッキワックスを用いて樹脂棒を 接着し、旋盤にて円周部を研磨材を用いて研磨する。
この作業の過程で、ガラス板と樹脂棒が剥がれるとい う問題が生じた。樹脂棒を金属械に変更しても同様な ことから、試行錯誤の結果、非塩ピ系の吸盤を樹脂障 にヱポキシ系接着剤で接着することで、ほぽ目的のガ ラスの円形加工できた。
写真2カバーガラス(t=O.125mm)
写真3板ガラス(t=5mm)
〉
2 穿孔ドリノレを用いて穴あけ加士を行う際に、ドリノレのコア部の内径に相当する部分が円形に「制 り抜かれるJことから円形加工に応用が出来る。
*ガラス施や陶器の穴あけについて
ガラス瓶や陶器の外周部や底辺部への穴あけを試み たが、穿孔過程の最終段階で穴の円周部が弾けてしま う現象が起きた。対策として内側にガムテープを貼っ たが効果は見られなかった。この解決策は今後の研修
課題である。 写車4ガラス瓶(外周部、底辺郡}
*コーヒー力ップの穴あけについて
カップの底部に穴あけ作業を行った。この作業は陶磁 器やセラミックスなどの穿孔作業の fテストケースj と して試みた。硬度があるためか作業には若干の時聞を要 しドリルの摩耗もあったが、ほぽ目的とする穴あけが出 来た。しかL、ガラス瓶の場合と同様な課題も残った。
まとめ
,
写真5カップの底辺部
今回、非金属材料と云う ことで 「ガラス」を主に、卓上ポール盤を用いて穿孔作業を行った。 結 果的には板状のガラスについては、ほぽ目的とする穿孔技術は習得することができた。しかし、ガ ラス菅やガラス瓶・陶器等への穿孔技術の習得については、「穴あけ」が出来ると云うだけで穴の形 状は完全ではなく未だ道半ばの状態である。
謝 辞
本研修を実施するに当たり、技術部より 15万円の予算措置をいただきました。また、穿孔ドリル 制作に際して第一技術室 嶋崎喜代治氏、川崎孝俊氏のご協力を頂きました。更に伎術面では名古 屋大学工学部 井 村 立 美 氏 、 大 阪 大 学 産 業 科 学 研 究 所 松 川 博 昭 氏 か ら ご 指 導・ご助言を頂きまし た。深く感謝申し上げます。
*ガラス瓶や陶器の穴あけについて
ガラス瓶や陶器の外周部や底辺部への穴あけを試み たが、穿孔過程の最終段階で穴の円周部が弾けてしま う現象が起きた。対策として内側にガムテープを貼っ たが効果は見られなかった。 こ の 解 決 策 は 今 後 の 研 修 課題である。
*コーヒーカップの穴あけについて
カップの底部に穴あけ作業を行った。この作業は陶磁 器 や セ ラ ミ ッ ク ス な ど の 穿 孔 作 業 の fテストケースJと して試みた。硬度があるためか作業には若干の時間を要 しドリノレの摩耗もあったが、ほぽ目的とする穴あけが出 来た。しかし、ガラス瓶の場合と問機な課題も残った。
まとめ
臼│
写真4ガラス瓶(外周部、車辺部}
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写真5カップの底辺部
今回、非金属材料と云うことで 『ガラス」 を 主 に 、 卓上ポーノレ盤を用いて穿孔作業を行った。結 果 的 に は 板 状 の ガ ラ ス に つ い て は 、 ほ ぽ 目 的 と す る 穿 孔 技 術 は 習 得 す る こ と が で き た 。 し か し 、 ガ ラス管やガラス瓶・陶器等への穿孔技術の習得については、「穴あけ」が出来ると云うだけで穴の形 状は完全ではなく未だ道半ばの状態である。
謝 辞
本 研 修 を実施するに当たり、技術部より 15万円の予算措置をいただきました。また、穿孔ドリノレ 制 作 に 際 し て 第一銭 術 室 嶋 崎 喜 代 治 氏 、 川 崎 孝 俊 氏 の ご 協 力 を 頂 き ま し た 。 更 に 伎 術 面 で は 名 古 屋 大 学 工 学 部 井 村 立 美 氏 、 大 阪 大 学 産 業 科 学 研 究 所 松 川 博 昭 氏 か ら ご 指 導・ご助言を頂きまし た。深く感謝申し上げます。