スクールカウンセラーの面接における現状と課題
一 面 接 場 面 の 意 識 に 関 す る 調 査 的 面 接 を 通 し て 一
学 校 教 育 専 攻 教 育 臨 床 コ ー ス 熊 谷 圭 二 郎
1 問題と目的
平成7年度より開始されたスクールカウンセラ ー(以下SC)活用調査研究委託事業は年々拡大 し,平成12年度にはその規摸が10倍以上にも膨 れ上がった。文部省(現文献梓省)のS Cに対 する謝面は「概ね良好jであると報告し,平成13 年度からS C制度は補助事業となり 5年間で小 規模校を除くすべての公立中学機j10,000校に 配置する計画を進めている。
SC制度導入8年目となる現在, SC制度に関 する研究もさまざま行われ SCへの期待やニー ズ,認識があきらかにされつつある。
このように多様な研院カ苛子われているSC制度 であるが,学校でのカウンセリングをより具体的 に推進するためには,そのための方法論が必要に なってくる。学校でのカウンセリングは,通常の 心理療法での,問題発生後に,個人を対象に,心 理臨床の専門家が非生活空間で,治療的介入を 行うという 5つの枠組みがすべて崩れる可能性 があると指摘(近藤, 1995)されている。さらに 校種などによってS Cに対する期待やニーズが 異なってくることも研究により明らかにされて いる。
以上のことから,カウンセラーとして派遣され ているSCは専門機関でのカウンセリングとは 異なる,学校という場を意識したカウンセリング を行っていると思われる。しかし多種にわたる役 割を担うS Cの中核的活動である面接場面に焦
指導教官 葛西真記子
点を当てた研究はあまり行われていない。
そこで本研究では, SCがどのような意識で 学校で、の面接を行っているのか,また,専門の 相談機関での面接と比べるとどのような違いが あるのかを調べ,学校における面接の独自性を 探ることを目的として行った。本研院は,今後 の
s c
のあり方や育成を考えていく上で意義あ ることではないかと考えている。2 研究の方法・対象・内容
研究方法として, S Cへの1時間程度の調査 的面接法を用いた。なお,調査面接では半構造 化面接を用いたが被面接者の語りを優先する など,その進め方は柔軟に行った。
調査対象者はA県, B県のSC14名である。
インタビューの内容は大きく4つ,学校にお ける児童生徒・保護者との面接で意識すること について,教員との面接で意識することについ て,教員との連携において意識することついて,
学校における秘密の保持についてである。
なお,調査の実施期間は2002年6月‑‑‑9月 であり, 14名についての調査時間の合計は 11
時間55分で、あった。
3 結果と考察
調査面接の結果については内容を変えないよ う筆者がまとめ,事伊陪弊に必要な焦点として,
次の項目を設定し, 14名を個別に記述した。
任湛本的事項,②児童生徒・保護者との関わり での意識ゃあり方について, Q激員との関わり
Aせ
庁t
での意識ゃあり方について,(4秘密の保持に関 する意識ゃあり方について,⑤その他。
事例のまとめとして,上の項目を給精し,個 別考察を加えた。
4 全体考察
調査面接の結果をKJ法により分類し直し,
全体考察として以下の3つの観点で考察した。
(1 )児童生徒・保護者との関わり
児童生徒・保護者の関わりにおいて調査した SC14名中 12名が学校という場を意識して活 動していることがわかった。学校での活動は,
専門の相談機関とは異なり,日常一非日常,開 放性‑密室性,能動性一受動性,間接的援助一 直接的援助などの両極の問で柔軟に働きかけて いる。このような活動が必要になったのは,相 談活動の場が面接室から学校へと空間的に広が ったにも関わらず時間的には制限されること が多くなったこと 対象者が広がったこと,豊 富な情報や人材・援助資源,教育的アフ。ローチが 主となる場での活動などカ湾えられる。さらに カウンセリングの担い手がSCだけではなく,
学校の教員など学校関係者までもがその担い手 となるため,面接に対する考えややり方に違い があらわれたためと思われる。また調査結果か ら校種や来談来致皐によって児童生徒との面接の あり方が異なることもわかった。
(2)教員との関わり
コンサルテーションにおいては,教員の意見 を聞くこと,具体的な対処法についての話合い などが挙げられ,教員が本来持っている力を引 き出すことの大切さが指摘された。教師との関 わりとしては,学校側のニーズを大切にするこ と専門家としての互いの尊重,教員の大変さ の理解,教員との交流の場の設定に関する意識 が挙げられ,面接場面においても,教員と協力
して取り組むという意見もみられた。また,教 員とはしっかり連携をしながらも,カウンセラ ーとしての中立性が保てるようE鴎住をおくこと の必要性も挙げられた。このような二律背反す る活動が求められるのは,児童生徒に対する直 接的援助,およて兵教員を介しての間接的援助が 求められるとともに,教員の専門性が十分発揮 できるよう教員に対しても援助することがSC の重要な活動の一つになってくるためであろう。
(3)秘密の保持
学校の場合,専門の相談機関と比べ,秘密の 保持に関しては,ゆるやかさが求められること がわかった。学校における秘密の取り扱いには,
秘密を守ることでクライエントとの信頼関係を 作り上げるという倶価と,情報を調節して,ク ライエントの援助となるように操作するという 側面の両方が必要となるため,このようなゆる やかさが求められると思われる。しかし,教員 に話す内容はクライエントと相談して決めるな ど,どのS Cも守秘義務は常に意識して活動し ている。また, SCには教員に児童生徒の状況 がわかるよう日常の言葉で伝えること,および、
守秘義務の大切さを教員に丁寧に伝えていく必 要があることもわかった。
5 研究のまとめと今後の課題
S C制度の発展のために SCに必要だと感じ たこと,および学校側がSCを活用するために 必要だと感じたことをいくつか指摘し,本研究 の課題として以下のことを挙げた。
①本研究の結果から,質問紙をつくり,対象者 を増やして客観的な資料を集める。
②激員から見たSCとの関わりに関する調査を 行い,双方の比較から教員とSCとの連携のあ
り方を探る。
③本研究で得た知見を教育現場で生かす。
‑75‑