伊万里湾 の流動構造 に及 ぼす風 の影響 に関 する研究
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(2) 397. 伊 万里湾 の流 動構 造 に及 ぼす風 の影響 に関 す る研究. 図‑4. 計 算対 象領 域 およ び潮 流楕 円算 出地 点. 示 す(松 浦 観 測 所).気. 温 が7月 の 後 半 か ら徐 々 に上 昇 し. た こ と に よ り,水 温 が28℃ ま で 上 昇 した.7月 図‑2. 日平 均 気 温 ・降 雨 量(上. 図:7月,下. の後 半 に. 図:8月). 大 量 の 降 雨 が 集 中 し,さ. ら に,赤 潮 発 生 直 前 の8月6,7. 日に 少 量 な が ら降 雨 が あ っ た た め,陸 域 か らの 窒 素 や リ ン等 の 栄 養 塩 の供 給 が あ っ た と考 え られ る.そ れ に加 え, 8月3日 か ら6日 の3日 間 が 小 潮 で あ っ た た め,外 海 と の海 水 交 換 量 が 減 少 し た た こ と も要 因 の1つ で あ る.ま た, 大 量 の植 物 プ ラ ンク ト ンが 集 積 した 要 因 の1つ と して 風 の 影 響 が 強 い(長 崎 県 総 合 水 産 試 験 場,2006)と 図‑3. 風 向 ・風 速(松 浦 観測 所). い る.赤 潮 発 生 前 の3日 間,南. 言 われて. 向 き の風 が 連 吹 した こ と. に よ る影 響 も大 き い と推 察 され る. 松 浦 観 測 所 で 観 測 さ れ た赤 潮 発 生 前 の 風 速 ・風 向 を 図 ‑3に 示 す.赤 潮 発 生 が 確認 され る3日 前 の8月5日 か ら7日. 要 性 が 極め て 高 い. 3.. 1999年8月. の 赤 潮 発 生状 況. の 正 午 まで 平 均 風 速 約3.5m/sの 南 向 きの 風 が 連 吹 した.. 赤 潮 が 形 成 さ れ る プ ラ ン ク ト ン は 約40種 そ の う ち の10種. 類 以 上 あ り,. 類 余 り が 有 害 プ ラ ン ク ト ン で あ る.主. 有 害 プ ラ ン ク ト ンを 挙 げ る と,K.mikimotoi(カ ミ キ モ トイ),C.polykrikoides(コ リ ク リ コ イ デ ス),C.antiqua(シ カ),H.circularisquama(ヘ. な. ー レニ ア ・. ッ ク ロ デ ィ ニ ウ ム ・ポ ャ ッ トネ ラ ・ア ン テ ィー. こ の風 の影 響 を 受 け て,多 量 の植 物 プ ラ ン ク トンが 鷹 島 南 部 の 海 域 に 集 積 し,8日 と推 察 さ れ る.そ. こで,次. に赤 潮 と して 確 認 され た もの 章 で は3次 元 流 動 モ デ ル を 用. い て,風 が 流 動 構 造 お よ び赤 潮 に与 え る影 響 に つ い て 解 析 を行 う.. テ ロ カ プ サ ・サ ー キ ュ ラ ー リ. ス カ ー マ)な ど が あ る.カ ニ ウ ム と 言 わ れ て お り,漁. ー レニ ア は も と も とギ ム ノ デ ィ 業 被 害 を与 え る プ ラ ン ク ト ン. と し て 以 前 か ら有 名 で あ る.し. か し,近. 年 に な って 頻 繁. 4. 風 を 考 慮 し た 数 値 モ デ ル の 概 要 (1) モ デ ル の 概 要 3次 元 流 動 モ デ ル(ODEM)を. 用 い て 流 動 計 算 を 行 っ た.. に漁 業 被 害 を 及 ぼ す有 害 プ ラ ンク トンが コ ック ロデ ィ ニ. 基 礎 式 は,連 続 式,運 動 方 程 式,水 温 ・塩 分 の 拡 散 方 程. ウ ム ・ ポ リ ク リ コ イ デ ス に 変 化 し つ つ あ る.1999年8月8. 式,熱 収 支 式 お よ び密 度 の 状 態 方 程 式 で あ り,静 水 圧 近. 日 に,コ. 似 と ブ シネ ス ク近 似 を仮 定 して い る.水 平 方 向 の渦 動 粘. ッ ク ロ デ ィ ニ ウ ム ・ポ リ ク リ コ イ デ ス に よ る 大. 規 模 な 赤 潮 が 鷹 島 南 部 の 海 岸 線 約10km海 崎 新 聞,1999),養. 殖 業 に7億6000万. 域 で 発 生 し(長. 円 の甚 大 な 被 害 を与. 動 拡 散 係 数 に はSGSモ デ ル を採 用 す る と と も. に,鉛 直方 向 の 渦 動 粘 性 係 数,渦 動 拡 散 係 数 に は成 層 効 果 を考 慮 して与 え て い る.ま た,Henderson‑Sellors(1985). え た. 大 規 模 な 赤 潮 の 発 生 要 因 と し て,7月 げ ら れ る.図‑2に7月. 性 係 数,渦. 〜8月 の 気 象 が 挙. お よ び8月 の 日 平 均 気 温 と 降 雨 量 を. の算 定 式 を 用 いて,中. 立 状 態 の鉛 直渦 動 粘 性 係 数 の 算 定. を 行 っ て い る.移 流 項 の 差 分 化 に はTVDス. キ ー ムを用.
(3) 398. 海. 図‑5. 岸. 工. 学. 論. 文. 集. 第55巻(2008). 北 向 き の 風(Case2). (A地 点). 図‑6. 東 向 き の 風(Case3). (B地 点). 図‑7. 西 向 き の 風(Case4). い た. (2) 計 算 条 件 図‑4に 計 算 領 域 を示 す.水. 平 方 向 に は,250mの. 間隔. で 東 西 方 向 に97分 割,南 北 方 向 に96分 割 した.鉛 直方 向 に は,湾 内 の 流 動 ・密 度 の 鉛 直 方 向 の分 布 を 考 慮 して 不 (C地 点). 規 則 厚 と し,表 層 か ら1.5m,0.4m,0.5m,1.0m,2.0m を9層,5.0mを7層. の 合 計20層 と した.初. 期 条 件 と して,. 観 測 値 に基 づ い て 水 温 と塩 分 の 鉛 直 分 布 を 与 え る と と も に,差 分 時 間 間 隔 は3.0秒 と した.境 界 条 件 と して,3箇 所 の 湾 口部 に振 幅68.0cm,位. 相265.0° のM2分. した潮 位 変 動 を与 え た.気 象 条 件 と して,気 観 測 値 を 与 え た.ま た,風. 潮 を考慮 温 と 日射 の. の条 件 と して は,風 が 湾 内 流. 動 に及 ぼ す 影 響 を把 握 す る た め に,風. を考 慮 す る場 合 と. 考 慮 し な い 場 合(Case0)の 流 動 計 算 を 行 っ た.前 者 は, 実 際 の観 測 値 で あ る南 向 き の風 の 場 合(Case1),発 日間 を 北 向 き の風 に置 き換 え た 場 合(Case2),東 風 に 置 き換 え た場 合(Case3),西 場 合(Case4)の4パ. 生 前3. 向 き の風 に置 き換 え た. タ ー ンの流 動 計 算 を実 施 した.風 の 境. 界 条 件 を 図‑5,図‑6お. よ び 図‑7に 示 す.そ れ ぞれ,8月5. 日か ら7日 の実 測 の 風 向 を180°,270° お よ び90°回 転 さ せ た もの で あ る. (3) 計 算 結 果 の 妥 当性 の 検 証 A地 点 か らD地 点(図‑4)に. お け る潮 流 楕 円 を 図‑8に 示. す.左 図 に実 測 値(佐 賀 県 伊 万 里 土 木 事 務 所,1990)を と に 算 出 さ れ たM2潮. 流 楕 円 を示 す と と も に,右. 計 算 結 果 に基 づ い て算 出 した もの を 示 す.A地. (D地 点). 向 きの. も. 図 には. 点 で は長. 図‑8 (左 図:観. A〜D地. 点 のM2潮. 測 結 果,右. 図:計. 流楕円 算 結 果).
(4) 伊 万 里湾 の流動 構造 に及 ぼす風 の影 響 に関 す る研 究. 図‑9. 図‑10. Case0の. 399. 流速 分布(左 図:下 げ潮最 強時,右 図:上 げ潮 最強 時). Case1の 流速分 布(左 図:下 げ潮 最 強時,右 図:上 げ潮 最強 時). (Case0). (Case1). (Case3). (Case4) 図‑11. 残 差 流(Case0,Case1,Case2,Case3,Case4). (Case2).
(5) 400. 海. 軸 の方 向,大. 岸. 工. 学. 論. き さ と も に計 算 結 果 は正 確 に観 測 結 果 を 再. 現 で き て い な い.こ. の要 因 と して は,計. 算 メ ッ シ ュが. 文. 集. 第55巻(2008). 図‑11に 示 す.Case1で. は,鷹 島 南 部 お よ び 南 東 部 の残 差. 流 が 弱 ま って い る.風 の影 響 を受 け流 動 構 造 が 変 化 す る. 250mと 大 き い た め,流 動 が観 測 され たA地 点 の よ う な ご. こ と に よ り流 れ が 停 滞 し,物 質 輸 送 が抑 制 され て い る と. く沿 岸 域 の 局 所 的 な 流 れ を再 現 で きな か っ た た め と考 え. 考 え られ る.ま. られ る.B地. 南 部 の 海 域 に 反 時 計 回 り の 渦 が 発 生 して い る.と. 点,C地. 点,D地. 点 で は,そ. れ ぞれ長軸 の. た,CaseO,Case1お. 大 き さ が 実 測 値 よ り も若 干 小 さ い が,長 軸 の方 向 は ほ ぼ. Case1で は,他. 一 致 して い る.. して い る もの の,渦. A地 点 か らD地 点 で の実 測 値 と計 算 値 に基 づ く潮 流 楕 円 の比 較 を行 った 結 果,若. 干 の誤 差 が あ る も の の,A地. 点 以 外 の 誤 差 は許 容 範 囲 内 で あ った.A点. で は上 記 の よ. う に沿 岸 域 の 局 所 的 な 流 れ が 再 現 で きな か った が,大 局 的 に は 流 動 構 造 を再 現 で きて い る と考 え られ る.よ って, 本 研 究 で の 数 値 計 算 結 果 は,妥 当 な 計 算 で あ る と判 断 で き る.. よ びCase4で は鷹 島 くに. の ケ ー ス と比 較 して 渦 の規 模 が 若 干 縮 小. 海 域 は,1999年. の 中心 が 北 東 へ 移 動 して い る.こ の. 夏 季 に大 量 の 赤 潮 が 確 認 され た位 置 と一. 致 して い る.こ の 残 差 流 に 起 因 した渦 の 発 生 が 鷹 島南 部 に 大 量 の植 物 プ ラ ンク トンを 集 積 させ,大. 規 模 な赤 潮 の. 発 生 要 因 とな った 可 能 性 が 示 唆 さ れ る. 6. お わ り に 本 研 究 で は,風 を考 慮 す る場 合 と考 慮 しな い場 合 の 流 動 シ ミュ レー シ ョ ンを行 った.南. 5. 流 動 計 算 結 果. 向 きの 風 が 連 吹 した 場. 合 は,鷹 島南 西 部 の流 速 が 弱 ま り,外 海 との 海 水 交 換 が 風 を考 慮 しな い場 合 の,8月7日. に お け る下 げ潮 最 強 時. 抑 制 さ れ る こ とが わ か った.そ れ に加 え,鷹 島 南 部 お よ. お よ び上 げ 潮 最 強 時 の 流 動 計 算 結 果 を 図‑9に 示 す.こ の. び 南 東 部 の 流 速 が 弱 ま り,流 れ が 停 滞 す る こ と も明 らか. 結 果 は,以. 前 に 実 施 さ れ た 流 動 シ ミ ュ レー シ ョ ン結 果. (水理 計 画,1997)と. ほ ぼ 一 致 して い る.赤 潮 の大 量 発 生. が 確 認 さ れ た 鷹 島 南 部 を 中 心 に着 目す る と,下 げ 潮 最 強. とな っ た.ま た,残 差 流 に よ り鷹 島南 西 部 に反 時 計 回 り の 渦 が 発 生 し,そ れ が 大 規 模 な赤 潮 を 引 き起 こ した一 因 で あ る可 能 性 が 示 唆 さ れ た.. 時 に は西 流 お よ び,北 西 流 が 卓 越 しそ の 流 速 は約30cm/s と強 い流 れ と な っ て い る. 一 方 ,上. 参. げ潮 最 強 時 に は,湾 外 か らの 流 入 の影 響 が 鷹. 島 南 東 部 に まで 強 く及 ん で い る.す な わ ち,風 を考 慮 し な か っ た場 合(Case0)に. は,湾. 内 と湾 外 と の海 水 交 換 が. 強 い こ とが わ か る.実 際 の風 を考 慮 した場 合(Case1)の, 8月7日 に お け る下 げ潮 最 強 時 お よ び上 げ 潮 最 強 時 の 流 動 計 算 結 果 を 図‑10に 示 す.下. げ潮 最 強 時 に は,風. を考 慮. し なか った 場 合 に比 べ,鷹 島 南 部 お よ び 南 西 部 に お け る 湾 外 方 向 へ の 流 速 が 約20%弱. くな って い る.上 げ潮 最 強. 時 に お い て も同 様 に約17%弱. くな って い る.南 向 きの 風. が 連 吹 す る こ と に よ り海 水 交 換 が 弱 ま った こ と が わ か る. Case0,Case1,Case2,Case3お. よ びCase4を 対 象 と し. た8月7日 に お け る残 差 流(24時 間50分 平 均)の 計 算 結 果 を. 考. 文. 献. (株)水 理 計 画(1997): 伊 万里 湾 にお け る全窒 素 ・全燐 の類型 指 定, 調査 報告 書, 第4章, pp.79‑82. 佐 賀 県 伊万 里 土 木事 務 所(1990): 平 成2年 度 伊 万里 港 港 湾計 画調査 委託 報告 書. 鈴 木誠二, 西 田修 三, 金城 周平, 小 野雅史, 中辻啓 二(2005): 小 川 原湖 にお ける ヤマ トシ ジ ミの資 源量 変動 と物 質 循環, 海 岸工 学論 文集, 第52巻, pp.1041‑1045. 中辻 啓二(1994): 大 阪湾 に お ける残差 流 系 と物質 輸送, 水工 学 シ リーズ94‑A‑9, 土 木学 会水 理委 員会, pp.A9.1‑28. 長 崎新 聞(1999): 8月11日, 朝刊, 23面. 長 崎 県 総合 水 産試 験 場(2006): 赤 潮 対策(有 害 プ ラ ン ク トン の早期 識別)に つ いて,魚 連 だ よ り, no.133. Henderson-Sellors (1985): New formation of eddy diffusion thermocline models, Appl. Math Modeling, Vol.9, pp. 441446..
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