竹炭による水中のアンモニウムイオン吸着機構に関する検討
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(2) VII-015. 土木学会西部支部研究発表会 (2010.3). れぞれ IBC400>IBC800、IBC400HPH>IBC400HPL の順 に多くなった。これにより、低温で炭化すること、ま た、竹炭表面に酸化処理を施すことで酸性官能基が増 えることが明らかとなった。 一方、過酸化水素水で洗浄した竹炭では全酸性官能 基量が多いにも関わらず、アンモニウムイオン吸着量 は減少した。既存の研究より、IBC400 では零電荷点と なる pH(pHpzc:point of zero charge)は約 2 である(2)。 IBC400 を用いた吸着実験の際の平衡 pH は約 7 であり、 図1. 炭化温度の異なる竹炭を用いた アンモニウムイオンバッチ吸着実験結果. その表面は負に帯電していることから、アンモニウム イオンが静電気的に強く吸着される状態にある。この ことは IBC800 についてもいえる。一方、酸化処理を施 した竹炭では pHpzc が上昇したことが予想され、 さらに、 実験時の平衡 pH が約 5 であったことから、竹炭表面が 電気的に中性の状態に近いか、正に帯電していたため、 竹炭とアンモニウムイオン間の引力が非常に弱く、吸 着されにくい状態であったと考えられる。以上のこと から、竹炭におけるアンモニウムイオン吸着は、酸性 官能基による交換吸着あるいは pH に依存する静電気. 図2. 過酸化水素水及び塩酸で洗浄した竹炭を用いた アンモニウムイオンバッチ吸着実験結果. 的な化学吸着であると考えられる。 4.結論 1)竹炭におけるアンモニウムイオン吸着は、比表面積 等に依存する物理吸着よりも酸性官能基による交 換吸着あるいは pH に依存する静電気的な化学吸着 が卓越していることが示唆された。 2)炭化温度の低い竹炭ほどアンモニウムイオン吸着に 有利であった。また、低温で炭化することあるいは 竹炭表面に酸化処理を施すことで、酸性官能基が増. 図 3. えることが明らかとなった。しかし、酸による洗浄. 竹炭の炭化温度および洗浄方法の違いと NaOH 吸着量との関係. は竹炭表面の pHpzc を上昇させ、アンモニウムイオ. ていると考えられる。. ン吸着に対して不利に働くことが示唆された。. 図 2 に、濃度の異なる 2 種類の過酸化水素水および. 謝辞. 塩酸で洗浄した竹炭のバッチ吸着実験結果を示す。吸. 本研究における竹炭の作成にあたり福岡県工業技術. 着量は IBC400HPH>IBC400HPL>IBC400HA の順に高 -1. い値となった。また、約 33mol・L の過酸化水素水> -1. -1. センターインテリア研究所の協力、助言を受けたこと を記して謝意を表する。. 40mmol・L の過酸化水素水>40mmol・L の塩酸の順. 参考文献. に酸化力が強い。竹炭表面に酸化処理を施すことによ. (1)H.P.Boehm(2002). り生成した酸性官能基がアンモニウムイオン吸着に関 与している可能性が高いことが示唆された。. Surface oxides on carbon and their. analysis: a critical assessment, Carbon 40, pp. 145-149 (2)伴野雅之,久場隆広,佐野弘典,河村直哉,市川瞬平,. 3.2 全酸性官能基量と吸着機構. 酒井雄介(2009). 図 3 に、IBC400、IBC800、IBC400HPH、IBC400HPL. の機構, 水環境学会誌 Vol.32, No.7, pp. 369-374. における全酸性基量測定結果を示す。NaOH 吸着量はそ -840-. 竹炭による硝酸イオン吸着能とそ.
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