ベントナイト原鉱石の膨潤特性および膨潤挙動メカニズムの考察
茨城大学 学生会員 ○杉浦 航 茨城大学 正会員 小峯 秀雄 茨城大学 フェロー会員 安原 一哉 茨城大学 正会員 村上 哲
戸田建設 正会員 関口 高志
1.はじめに
低レベル放射性廃棄物の処分を対象とした余裕深度処分において,ベントナイト原鉱石の使用が考えられている.
ベントナイト原鉱石の特徴として粒状であることが挙げられる.これまで粉体状ベントナイトとベントナイト原鉱 石の膨潤特性の違いが報告されてきた 1), 2).しかし,粉体状ベントナイトとベントナイト原鉱石の膨潤挙動メカニ ズムの違いは十分に把握されていない.そこで本研究は,ベントナイト原鉱石を最大粒径425µm以下および最大粒
径180µm以下に粉砕した試料を用いて膨潤圧実験を実施し,異なった粒径のベントナイト原鉱石の膨潤挙動を明ら
かにした.また,得られた実験結果より,粉体状ベントナイトと粒状ベントナイトの膨潤挙動メカニズムの違いに ついて考察を行った.
2.使用した試料および供試体作製方法
本研究では,ベントナイト原鉱石であるベントナイトGX(クニミネ工業 製・クニゲル GX)を使用した.本実験では最大粒径 2mm のベントナイト GXを使用した.表-1にベントナイトGXの基本的性質を示す.また,ベ ントナイト原鉱石の膨潤挙動メカニズムを考察するため,上記試料を最大 粒径425µm以下および最大粒径180µm以下に粉砕した試料を作製した.そ の際,メノウ乳鉢を用いて粉砕し,425µmおよび180µmふるいを通過させ た.最大粒径2mm以下,425µm以下および180µm以下の試料の初期含水 比は各々,6.8%,4.7%および4.9%であった.供試体は上下二方向からの静 的締固めにより直径28mm,高さ10mmを目標に円柱形供試体を作製した.
3.膨潤圧実験の概要
膨潤圧実験とは,膨潤する試料の体積増加を抑止する際に発生する鉛直 方向の圧力を計測する実験である.使用した実験装置を図-1に示す.本実験では 側方方向の変形をSUS316Lステンレス製リングにより拘束するとともに,ピスト ンにより,膨潤による鉛直方向への変形を抑えた状態で実験を行う.しかし,実 際には供試体は微小に鉛直方向へ変形するため,鉛直変位量を計測し初期乾燥密 度の補正を行った.実験結果は時間ごとに整理し,実験期間中での最大値を最大 膨潤圧と定義した.また,実験期間は膨潤圧がほぼ一定値となる7日間とした.
4.ベントナイト原鉱石の膨潤圧特性および膨潤挙動メカニズム
図-2に最大粒径2mm以下,最大粒径425µm以下および最大粒径180µm以下 の試料を用いた膨潤圧実験の結果を示す.図-3に最大膨潤圧と初期乾燥密度の関 係を示す.全ての供試体において初期乾燥密度の増加に伴い,最大膨潤圧は増加 することが分かる.また,試料の粒径に依存せずほぼ同程度の最大膨潤圧が発生
していることが分かる.すなわち,本実験ケースの場合,試料の最大粒径の違いによる最大膨潤圧への影響は少な いことが示された.膨潤圧の経時変化に関して,図-2に示すように,最大粒径2mm以下の試料では,いずれの初 期乾燥密度においても,膨潤圧は経過時間500分程度まで急激に上昇し,その後,なだらかに上昇する傾向にある.
表-1 ベントナイト GX の基本的性質
ベントナイトGX
最大粒径 2mm
タイプ Na型
土粒子密度(Mg/m3) 2.653) 液性限界(%) 355.1 塑性限界(%) 22.8
塑性指数 332.3 モンモリロナイト含有率(%) 41 陽イオン交換容量(meq./g) 0.854 交換性Naイオン量(meq./g) 0.521 交換性Caイオン量(meq./g) 0.314 交換性Kイオン量(meq./g) 0.005 交換性Mgイオン量(meq./g) 0.015
変位計
ロードセル ベロフラムシリンダー
供試体 直径:28mm 高さ:10mm SUS316Lステンレス製リング 内径:28mm
高さ:50mm
ポーラスメタル
図-1 膨潤圧および高鉛直 圧膨潤変形実験装置
キーワード ベントナイト原鉱石 余裕深度処分 膨潤圧特性 膨潤挙動メカニズム 連絡先 〒316‐8511 茨城県日立市中成沢町4‐12‐1 TEL:0294‐38‐5162
土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)
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しかし,最大粒径425µm以下および最大粒径180µm以下の試料では,経過時間500分程度までは最大粒径2mm以 下の試料と同様に,膨潤圧は急激に上昇するが,その後,なだらかに低下または定常化し,経過時間4000分程度よ り再度上昇し最大膨潤圧に達する.以上から,試料の最大粒径の違いにより,膨潤圧の発生挙動は異なることが明 らかになった.以上を総括すると,ベントナイトGXは,試料の粒径が異なる場合,発生する最大膨潤圧はほぼ同 程度である.しかし,異なる粒径の影響を受け,最大膨潤圧に到達するまでの膨潤挙動は異なるといえる.上記の 結果を踏まえ,ベントナイトGXの膨潤挙動のメカニズムの考察した.ベントナイトの膨潤圧は,膨潤性粘土鉱物 のモンモリロナイトが間隙を充填する際に膨潤変形することにより発生する抵抗力相当の力と,モンモリロナイト の結晶層間への水の移動に起因して発生する4).最大粒径425µm以下および最大粒径180µm以下の試料は粉砕によ り,モンモリロナイトと非膨潤性鉱物とが均質な状態で成型されている.そのため,給水により,水との接触面か ら膨潤が始まることにより,水が吸水されにくい状態になる.そして,吸水に要する時間が長くなり,抵抗力相当 の力と水の移動に起因して発生する力に時間的な差が生じ,段階的に膨潤圧が発生する.一方,最大粒径 2mm 以 下の試料では,非膨潤性鉱物の団粒等が含有しているため,極めて不均質な状態といえる.そのため,粉体状の試 料に比べて,水みちが存在し,水が供試体全体に侵入しやすいと推測される.したがって吸水後,水分が供試体全 体に広がるのに要する時間は粉体状の供試体に比べて短く,抵抗力相当の力と水の移動に起因して発生する力はほ ぼ同時期に発生するため,段階的な膨潤圧の発生は確認できないと考えられる.
5.まとめ
本研究は,ベントナイトGXの膨潤挙動メカニズムを把握するため,ベントナイトGXの最大粒径2mm以下の試 料を,最大粒径425µm以下および最大粒径180µm以下に粉砕した試料を作製し,膨潤圧実験を実施した.以下に 知見を記す.
1) ベントナイトGXの膨潤圧は,試料の粒径に依存せず,最大膨潤圧はほぼ同程度を示す.
2) ベントナイトGXの最大膨潤圧に到達するまでの膨潤挙動は,試料の粒径に依存し,異なる挙動をする.
3) 粉体状ベントナイトと粒状ベントナイトの違いによる,膨潤挙動メカニズムを考察した.
参考・引用文献 1) 杉浦航, 小峯秀雄, 安原一哉, 村上哲, 後藤宣彦:ベントナイト原鉱石の膨潤挙動調査, 土木学会第35回関東支部技術 研究発表会, 2008/03/10 2) 伊藤裕紀, 庭瀬一仁, 鈴木康正, 千々松正和:ベントナイトクニゲルGXの基本特性試験(その1)膨潤挙動に関する 検討, 土木学会第63回年次学術講演回(平成20年9月), CS05-14 3) 伊藤弘志, 千々松正和, 村上利一:ベントナイト層の現場施工用材料の開 発, 土木学会第62回年次学術講演会(平成19年), CS5-001 4) 小峯秀雄, 緒方信英, 西好一:高レベル放射性廃棄物処分のための緩衝材の力学 特性(その1)-締固めたベントナイトの吸水膨潤メカニズムの実験的検討- 研究報告 U92039, 電力中央研究所, 1992.
0 500 1000 1500 2000 2500
0 2000 4000 6000 8000 10000
2mm以下:ρ
d=1.548(Mg/m3) 2mm以下:ρd=1.652(Mg/m3) 2mm以下:ρd=1.745(Mg/m3) 425μm以下:ρd=1.567(Mg/m3) 425μm以下:ρd=1.622(Mg/m3)
425μm以下:ρd=1.756(Mg/m3) 180μm以下:ρd=1.512(Mg/m3) 180μm以下:ρd=1.575(Mg/m3) 180μm以下:ρd=1.754(Mg/m3)
膨潤圧P(kPa)
経過時間t(min)
図-2 膨潤圧の経時変化
0 500 1000 1500 2000 2500
1.5 1.55 1.6 1.65 1.7 1.75 1.8
最大粒径2mm以下 最大粒径425μm以下 最大粒径180μm以下
最大膨潤圧P max(kPa)
初期乾燥密度ρd(Mg/m3)
図-3 最大膨潤圧と初期乾燥密度の関係 図-3 最大膨潤圧と初期乾燥密度の関係 土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)
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