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大   橋   憲   広

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(1)ルーマンの社会システム. 一般システム論. 法﹂. 社会システムールーマン社会システム論の特質l. ⇔. 法﹂ー法の原初的メカニズムー. システム論批判. 整合的一般化と物理的実力. 法の原初的メカニズム. ﹁規範. ⇔. ﹁規範隠法﹂とシステム論. おわりに. ㊧. e. 二. ㊧. e. 圏. はじめに. ーニクラス・ルーマンの法社会学ー. 社会システム論と﹁規範. はじめに. 大. 憲. 二七. 広. 法学の一分野として発. 橋. わが国法社会学がエールリヒの生ける法一〇ぽ巳9国9窪概念の圧倒的影響の下に生成し︑ 社会システム論と﹁規範目法﹂.

(2) 早稲田法学会誌第三五巻︵一九八四︶. 二八. 展してきたことは周知の如くである︒この生ける法は︑人々の生活を直接に規律する行為規範として理解され︑一連 ︵1︶. の戦後改革にもかかわらずなお存続する前近代的な行為規範批判に格好の分析枠組を与えた︒だが︑生ける法概念. も︑六〇年代の﹁市民社会﹂的状況の中で︑その分析枠組としての有効性を失っていったと言えよう︒すなわち︑前. 実証性︶に留保されているように見える︒実態調査はかつての. 近代性批判という法社会学の共通課題意識の存立基盤が﹁市民社会﹂的状況によってつき崩されたのである︒このよ うな状況の中で法社会学の自己同一性は︑実態調査︵. 農村・山村・漁村・入会・家族中心ではなくして︑広範化しており︑中でも現代においては環境・公害についての調. 査の占める位置が大きい︒この実態調査は観念的思弁的な法解釈学批判の性格と法解釈・実務を補完するものとして の性格の二つの性格を有している︒. さて︑法学の一分野として発展してきたわが国法社会学の事情は︑諸外国を見る時それほど一般性を持ち得ていな ︵2︶. い︒アメリカその他の諸国では︑むしろ社会学の一分野として法社会学が考えられてきたのであって︑また少なくと. も︑法学者と社会学者双方からの研究領域とされてきたのであって︑わが国のように法社会学が法学研究者の﹁専有. 物﹂となっているのは例外とも見える︒法社会学史の中で社会学の一般理論の方法を法学に適用したものとして︑川. 島武宜編﹃法社会学講座 全一〇巻﹄︵岩波書店 一九七二︶がある︒この講座に現われた構造機能主義の方法もその後. ︵4︶. ︵5︶. 展開させられてきているわけではない︒折りしも︑この講座の出た七〇年代初頭は︑アメリカ社会学においては︑六 ︵3︶ ○年代に全盛を誇ったパーソンズの構造機能主義理論がその輝きを失ないはじめ︑現象学︵特にアルフレッド.シュ. ッツ︶・社会心理学の影響の下に主観主義あるいは超越論的社会学への転換が始まった時期であった︒また同時に︑ ︵6︶. 理論社会学の世界的中心がアメリカから西ドイツヘ移り始めた時期でもあった︒すなわち︑﹁パーソンズからルーマ ン・ハバーマスヘ﹂︵ドイツ社会学への回帰︶という現象である︒.

(3) ︵7︶. 戦前において社会批判的性格を持ち得ていたドイツ社会学は︑一九三三年ナチスが政権を掌握すると逼塞せしめら. れ︑フランクフルト学派はアメリカに渡った︒戦後︑社会学は再建されたが実証主義的傾向が主流であった︒六〇年 ︵8︶ 代には﹁アドルノtポパー﹂・﹁ハバーマスーアルバート﹂の間のいわゆる実証主義論争が始まり︑これを直接・間接. 的に継承する形で今日︑ハバーマスとルーマンとの間で論争が継続されている︒わが国理論社会学も︑関心をこれら. 二人に集中させてきている︒この理論社会学の活況は︑法社会学に反映されていないのが現状である︒われわれは︑. 法社会学を単に実証的なものにとどめないことを意図するかぎり︑彼ら二人の理論の検討は避けて通ることはできな. いと考える︒彼らの理論が法社会学に反映されないのは︑その理論的基礎が︑現象学・解釈学=o毒魯窪鼠下システ ︵9︶ ム理論︵サイバネティクス︶・意味論・言語行為論というような︑法学研究者になじみのないものである故である︒. またルーマンには法社会学と題される著作があっても︑ハバーマスには︑明示的な﹁法社会学﹂がないことも一因で あろう︒. 本稿は︑以上のような法社会学と理論社会学の状況認識の下に︑法社会学の理論的自己同一性は現代において奈辺. に求めるぺきかを背景の問題意識として︑﹁固有の法社会学﹂の理論構築を意図するニクラス・ルーマンの社会シス. テム論における﹁規範U法﹂を解読しようとするものである︒ルーマンの理論対象は広範囲にわたり︑それ自体とし. て包括的な世界観・歴史観・社会観を示している︒それ故︑﹁法﹂・﹁経済﹂・﹁政治﹂という個々の対象を取り上げる. 渡辺洋三﹃現代法の構造﹄︵岩波書店 法﹂. 一九七五︶. 三五二頁. 二九. に際しても︑部分部分にまず注目するのではなく︑社会システム論全体を視野におさめることからはじめなければな らない︒. ︵1︶. 社会システム論と﹁規範.

(4) 三〇. 石村善助﹃法社会学序説﹄︵岩波書店. 早稲田法学 会 誌 第 三 五 巻 ︵ 一 九 八 四 ︶. パーソンズの構造機能主義への批判としては︑一つにはその理論の抽象性︑すなわち実証性が低い点︑また二つにはその. 八二ー三頁. ︵2︶. 一九八三︶. ︵3︶. 六号︶. 一二号︶参. 佐藤勉﹁パーソンズからルー. Uo三零ぎωo鉱o一〇αqごω9け一逡9函凶富9. 同﹁行為理論かシステム理論か︵パーソンズ・ルーマン・ハバーマスの場合︶﹂︵社会科学の方法. 六九三号︶. 一〇三−二・三.四.五︶. 主観主義への転換というわけではないが︑構造機能主義の欠陥を克服しようとした法学研究者のものとしてわが国では︑棚. 照. シユッツにつき︑大橋憲広﹁A・シユッツにおける﹃自己−他者﹄1︿相互行為と規範﹀序ー﹂︵早大法研論集. 抽象性故に適用範囲が限定されない点︑三つには﹁構造﹂の固定性とまたその理論の﹁体制維持的﹂傾向である︒ ︵4︶. ︵5︶. マンヘ﹂︵木鐸. 友枝敏雄﹁社会システムの変動と進化ーパーソンズからルーマンヘー﹂︵思想. 瀬孝雄﹁社会分析における個人の地位−構造機能分析から過程分析へ19⇔㊧㈲完﹂︵法学論叢 ︵6︶. 一六八号︶. 参照. 鈴木幸寿﹁戦後のドイツ社会学﹂︵東京外国語大学六〇周年記念論文集︶. ω8留号凪蕊一. ︵7︶. 一連の論文を収める︑アドルノ・ポパー他城塚・浜井訳﹃社会科学の論理ードイツ社会学における実証主義論争ー﹄︵筑. 摩書房 一九七九︶ この実証主義論争は︑現在のルーマンとハバーマスを見る上で重要な意味を有する︒わが国でも既に多. ︵8︶. 二七−三︶. 徳永悔﹁譲R蔑器ぎ巴件と﹃合理化﹄批判ー﹃社会科学の論理論. ︸○︶. 山本鎮雄﹁戦後西ドイッ社会学の研究動向−戦後の社会学派と実証主義論争ー﹂. 浜井修﹁理論・経験・実践1いわゆる実証主義論争についてー﹂︵社. 城塚登﹁弁証法の再構成ーアドル. 一一号︶高幣秀和﹁論争﹃社会科学の論. 遠藤克彦﹁ポパーとアドルノの間−社会科学の論理をめぐってー﹂︵愛媛大学教養部紀要. 六二︶. 論争について﹂︵立正大学哲学・心理学紀要 一九七六︶. くの研究が出ている︒大枠で﹁実証主義対理念主義﹂とまとめることができよう︒以下の文献を参照︒光本保臣﹁実証主義. ︵社会学評論. 争﹄をめぐってー﹂︵社会学評論. 五一八号︶. 一二四号︶. 同﹁社会認識の論理と没価値性の問題ーハバーマスとアルバートの間ー﹂︵同 ノとポパーの対決をめぐってー﹂︵思想. 理﹄に寄せてーフランクフルト学派の方法と批判的合理主義﹂︵思想の科学.

(5) 会科学の方法 一九七三−二︶ 早川治郎﹁社会科学における弁証法的理論と分析的理論﹂︵早稲田社会科学研究・自然科. 学研究合併号︶. それ故ルーマンの﹁法社会学﹂理論は関説されることはあっても︑主題としては研究されておらず︑特に﹁法規範﹂を対. 一般システム論. 社会システム. ールーマン社会システム論の特質−. 象としたものはほとんどない︒. ︵9︶. O. われわれはルーマン社会システム論を考察するに先立ち︑一般システム論に対する基本的理解を得ておこうと思. ︵1︶. う︒システム論はまず何よりも対象に対する一つの選択的な接近視角︵方法︶である︒この方法は︑分析的な要素分 ︵2︶. 解による︑また還元主義による方法とは対照的に︑構造・関係性をみずからの依りどころとする︒構造・関係性は対. 象の全体性を把握し︑同時に自体の自己完結性をも示す︒全体性への要請は︑近代諸科学が︑社会的分業の進展と相. 侯って専門化・効率化を推し進めた反面︑全体性への視野が失われ︑自然ー文化・個人i社会の関係︵対立と統一︶. が再検討されなければならなくなった事態に対応している︒この意味ですぐれて近・現代的な現実基盤を有している ︵3︶ と言えよう︒全体性への要請は自然科学と社会科学の﹁同型性﹂を見る︒﹁同型性﹂を底礎するのは第一に︑存在の関. 係性・相互依存性である︒すなわち︑﹁われわれが知るかぎり︑宇宙においては存在することは関係することである︒ ︵4︶ 実体にせよシステムにせよ︑他の何ものかと関係づけられているからこそ存在するのである﹂という基本的諒解であ. る︒関係性・相互依存性こそ︑システム論の手懸り・始点を与え︑自然システムと社会システムとを結ぶ︒第二に. 三一. は︑機能分化としての複雑性である︒だが︑単なる複雑性はシステム論の対象領域ではない︒組織的で単純な対象 社会システム論と﹁規範開法﹂.

(6) ︵例. 早稲田法学会誌第三五巻︵一九八四︶. 機械装置︶には解析的方法が対応する︒非組織的で複雑な対象︵例 ︵5︶. 三二. 大集団︶には統計的方法があてられる︒. これらの中間領域︑すなわち︑組織的で複雑な領域ー解析的方法には複雑すぎ︑統計的方法には組織的すぎる領域1. がシステム論の領域となる︒自然システムと社会システムとは︑このような対象としての﹁同型性﹂を有しつつ︑ま. た︑同時に相互に区別される︒社会システムは︑価値・公準化された規範を要素とする文化に条件づけられており︑. 自然システムよりも環境との間に高度な相互交換が可能であり︑またみずからの構造変更の可能性︵進化︶を有す. る︒この点で︑単なるフィードバックによる秩序維持・恒常性維持を主たる特性とする生物・有機体論的システムと も区別される︒. ︵6︶ さらに︑システム論は対象に対する選択的な接近視角︵方法︶であるが故にシステムは各所に見ることが可能であ. る︒一つのシステムはまず環境に対して切り取られる︒環境とは︑﹁その属性に生じる変化がシステムに影響を与え︑ ︵7︶ また逆にシステムの行動によって︑その属性が変化を受けるようなすぺての事象﹂である︒主体の側面から見ると︑. 環境はシステムの作成分析者にとって関心対象とはならない︑積極的規定の与えられないものである︒﹁いかなるシ ︵8︶ ステムも︑それ自体として研究可能であるためには︑空間的にせよ︑時間的にせよ︑境界をもたなければならない︒﹂ ︵9︶. とされる︒システムは環境︵環境世界・周囲世界O目名05との相互作用の下に存続・作動するが︑同時にシステム. はサブシステムを有し︑これとの間にも相互作用を行う︒社会システムは一般システムの特殊例である︒社会システ. ムはその制御システムのなす︑システム内・システム外︵環境︶の境界を超えたコミュニケーション︵エネルギーフ ローまたは情報による︶の選択を要件として存続・作動する︒. 一般システム論をほぼ以上のようにまとめることができる︒﹁目標﹂﹁目的﹂という概念は︑従来の生物体を範例と. するシステム概念の硬直性に対する反省によってからか︑最近のシステム論では︑あまり強調されていないように思.

(7) われる︒. ︵1︶. ﹁関係性﹂を依りどころとするが︑﹁関係性﹂がそのシステムの本質であるとしないのが普通である︒﹁社会システムのよ. 一二三頁 という相対主義である︒. 全体性への要請は︑究極的には自然諸科学と社会諸科学の結合︹科学の統ごを目ざす︒フォン・ベルタランフィ﹃一般. を説明し得ればよいわけである︒﹂高木純一﹃システム科学﹄︵筑摩書房 一九七二︶. うな場合に︑何が最も基礎になる原理であるかという問題はにわかには決められない︒⁝要はどの形式にせよ︑それが現実. ︵2︶. ﹁社会科学や人文科学の対象については︑システムの複雑さや︑非線形性のために必ずしも数学的な形式が有効でない︒. システム理論﹄︵みすず書房 一九七三︶ 三四頁. 一九七九︶. 三一頁の図表を参照. 三頁. しかし︑工学システムと差異はないと思う︒もし違うとすれば︑価値体系の問題や︑企画の目由度とか︑選択決定の問題で. ︵3︶. 八一頁. ワインバーグコ般システム思考入門﹄︵紀伊国屋書店. バウラー﹃応用一般システム思考﹄︵紀伊国屋書店. あろう︒﹂と さ れ る ︒ 高 木 前 掲 書 ︵4︶. 一九八三︶. ︵5︶. 社会システムについて以下のように言われている︒﹁社会システムは数えあげれぱ枚挙にいとまがないほど多い︒しかも. それらが相互に依存しあっていて︑独立してはありえない︒﹂林雄二郎・片方善治﹃社会工学−社会システムの理論と応用. ︵6︶. フォン・ベルタランフィ前掲書. 林・片方前掲書. 四二頁. ︵7︶. パーソンズにおいては社会システムは行為システムのサブシステムである︒我々は社会システムというとまずパーソンズ. ー﹄︵筑摩書房 一九七三︶ 四〇頁. ︵8︶. のそれを想起するが︑それだけにとどまるものではないことに留意しておこう︒ジンメル︵相互作用としての社会︶・パレー. 一二〇頁. ︵9︶. 一九八一︶二〇1五六頁. 三三. ト︵均衡状況としての社会システム︶・マリノウスキー・ラドクリフブラウン︵機能的全体としてのシステム︶等も看過して. 法﹂. はならない︒新睦人・中野秀一郎﹃社会システムの考え方﹄︵有斐閣 社会システム論と﹁規範.

(8) 早稲田法学会誌第三五巻︵一九八四︶. ⇔ ル瓢マンの社会システム. 三四. 六〇年代はじめ︑パーソンズのもとへ留学したルーマンの理論はパーソンズ理論の批判を発条として発展させられ. 一般に秩序が存在すべきである. た︒彼は構造機能主義理論の限界を以下の如くに見る︒O意味は行為の属性であるようにみなされ他の諸可能性の宇 宙︵¢艮話屋9p︶からの選択とはみなされない︒O意味概念は機能化されていない︒. とすれば︑構造・規範・共通に受入れられた価値・制度等が存在しなければならないが︑これらは空疎であって︑行. 為システム理論によって系統だてられているにすぎない︒◎機能分析の方法はシステム構造の内部で用いることはで ︵10︶. ︵11︶. きるが︑システム一般の機能や構造一般の機能を問うことができない︒これらは︑社会の機能を問うことを妨げさせ. ている︒ここでルーマンは意味の問題がパーソンズの構造機能分析の最大の難点であること︑﹁構造﹂を分析の始点. とする存在論的システム概念に囚われていることを確認する︒すなわち︑﹁構造機能システム理論の欠陥の原因は理. 論の原理自身にある︒つまりこの理論が構造概念を機能概念の前に位置づけることにある︒その結果︑構造t機能理 ︵12︶. 論は︑諸構造を直ちに問題化する可能性︑構造形成の意味︑否︑システム形成の意味一般を問う可能性をみずから奪. ってしまう︒﹂とされる︒かくしてパーソンズ構造機能分析の超克を意図する彼の準拠枠組︵社会システム論H機能 構造主義理論︶が提出されることになる︒. ﹁社会システム﹂の概念は様々に表現されているが︑その中の一つは︑﹁互いに指示︵︿o暑o冨昌︶しあい︑それらに属. ︵13︶ さない諸行為たる周界︵¢B名魯︶から区別することのできる︑社会的諸行為の意味連関と理解すべきである︒﹂とさ. れる︒システムは周界を内部と外部の差異として持つ︒システムと周界は﹁世界﹂︵後述︶を地平とし︑この﹁世界﹂ ︵14︶ は周界が存在しないが故に︑その存続は脅かされることはあり得ず︑すなわち︑﹁存在の消滅は世界の中で生ずる︒﹂.

(9) またそれ故︑﹁世界﹂は存在の観点から問題となるのではなく︑複雑性区oヨ笹o昌一警の観点で問題となる︑このこと. は歴史的には︑近代以前において︑真・善・美等の客観的に意味に結びつけられていた倫理的命令によって秩序づけ. ︵16︶. ︵17︶. られていた社会が︑その分化の進展によって統一的意味を失ない︑近代においては﹁世界﹂がより高度な複雑性とし ︵15︶ て現われることに対応している︒こうした﹁世界﹂の秩序づけこそ﹁複雑性の縮減閃8爵ぎロ︿8国oヨ覧︒首警﹂に ︵18︶. 他ならない︒﹁複雑性号縮減﹂の図式がルーマン自身も認めるようにまたハバーマスも指摘しているようにアルノル. ト・ゲーレンの人間学における﹁負担免除国匙婁韓αq﹂から着想を得ていることをここで指摘しておこう︒ ︵19︶. さて︑問題はこの先にある︒ここで複雑性とは︑﹁実現される以上の体験や行為の可能性が存在すること﹂を指す︒. 意味はこの複雑性を縮減し︑中立化する根源的機能を担う︒具体的にはどのように行われるのであろうか︒縮減主体 ︵20︶. は行為者にではなくシステムにとられる︒複雑性縮減の戦略のうちの重要なものを見てみよう︒社会システムは自己. ⑭事物次元. の複合性が増大するにしたがって自己自身の問題形成をすることができるようになる︒すなわち︑﹁世界﹂の複雑性. D時間次元においては存続問題切窃富巳 の問題をシステム問題に変換する︒複雑性を代替する問題は︑q. ︵21︶ では僅少の問題図ロ巷嘗魯 ③社会次元では意見の齪齪U一馨嵩である︹問題変位ギo匡o目くR零冨3巨αq︺︒次にシス. テムに帰属する行動への期待を一般化し︑システム内で期待を逸脱する行動がなされる以前に前もってこれを決定. し︑多数の構成員間の行動の具体的一致を可能にする︹行動期待の一般化︺︒また︑社会過程がまず自分自身に社会. 過程を適用することによって複雑性は縮減される︒つまり︑選択的メカニズムがまず︑一度同種の選択メカニズムに. ︵23︶. よって事前選択されることによる︒︵例 貨幣形態による交換可能性の交換・法の実定化の基礎としての規範設定の ︵22︶ 規範化︶︹反省性閑巴o臨昌警︺︒さらに縮減をその都度実施するのではなく縮減された複雑性を伝達できなければなら. 法﹂. 三五. ない︒これを担うコミュニケーションメディアとして真理・権力・愛・貨幣がかぞえられる︒これらには科学・政 社会システム論と﹁規範.

(10) 早稲田法学会誌第三五巻︵一九八四︶ ︵以︶. 三六. 治・家族・経済の下位システムが対応し︑固有の担い手となる︒かくして社会システムは︑複雑性の縮減メカニズム として描かれる︒. 次にルーマンの社会システムの特質と考えられることの二・三を指摘しよう︒彼のシステム論における複雑性とは ︵25︶. 世界には実現される以上の可能性蜜凝浮鱒魯窪が存在することを指すが︑これが十全に発展するのは機能的分化の. 進んだ近・現代であって︑より複雑性の低いレペル︵分節的分化/・階層的分化︶にはそのシステム︵分析︶論はな. じまない︒この点ですぐれてモダン目&oヨな理論である︒システムは意味の選択遂行を通して複雑性の一定の可能. 性を実現し︑かつ実現されなかった可能性は中立化されて保存される︒システムは環境の複雑性に対応するように強. 化される︒こうした一連のシステム形成と作動過程は︑われわれが先に見た一般システム論の構図をすぺて引き継ぐ. ものである︒基本的に彼のシステム論は従来のシステム論の同軸上にあることは疑い得ない︒さらに一般システム論 ︵26︶. との対比を見る時︑システムは世界に対して差異化されるが︑この﹁世界﹂は社会的世界の意味構成は相互主観性と. してあるという現象学の知見によっていることを注意すべきである︒一般システム論においては環境はシステム分析 ヤ. ヤ. 者にとって当面関心のないものにとどまったのに対し︑ルーマンの﹁世界﹂は複雑性であって可能性の宝庫としての. 積極的意味合いをも一面において帯びている︒また社会システムとしての特性は従来のシステム論では規範や文化・. 価値という﹁何か実体的なもの﹂に求められていたのに対し彼のシステム論では行為者の主観に付着したものとして. ではない︑機能としての意味に求められているといってよい︒この意味を通して複雑性の把捉・縮減・中立化が行わ. れるのである︒加えてシステム内とシステム外︵環境︶との間のコミュニケーションに関係して機能主義の問題があ. る︒従来の因果関係的機能主義の原因と結果の一対一の対応は代替物の発見の機能を排除しているとするルーマン. は︑自身の機能主義を等価的機能主義とする︒これによれは︑機能は作用としてではなく︑此較領域を﹁等価遂行に.

(11) ︵卯︶. ︵器︶. 組織化する規制的意味図式﹂とされる︒機能は因果関係の特殊例ではなく︑因果関係こそ淋機能秩序の適用例であ. る︒機能は﹁変動性﹂をもたされる︒この﹁等価的機能主義﹂がシステム論への彼自身の戦略であることは間違いな. ルーマンは言っている︑﹁比較の方法とシステム/周界理論は機. い︒システム境界はシステムと周界︵環境︶の硬直した結びつきによって相対的に不変であるのではなく︑一定の視 点からする機能的に等価な選択性によるのである︒. 能的に等価な諸選択肢という視点のもとで行為を解釈しようとするものであり︑行為者自身にとって可能な合理性と ︵29︶. いう光のもとで行為者を理解し︑そうすることによって︑理論の世界と実践の世界の統一を描くことがよりよくでき るとするものである︒﹂. ルーマンの社会システム論は従来の一般システム論を前提としており︑現象学の知見と一般システム論における. ﹁等結果性原理﹂に由来すると思われる﹁等価的機能主義﹂によってこれまでの社会システム論︑特にパーソンズのそ. れを超克しようとしたものであるがそれだけにはとどまらず︑その抽象性の故︑射程は歴史・社会のほぼ全域にわた. <頒一︒2民い︾ω■⊂=冨︾219&①旨①ω誘件①ヨ9︒oユ①巴︒︒切o同糞αq①器ヨ薦①器一﹃︒訂︷二一︒﹃g>暴ぞωρぎ一︒=>切男竃>ω\. る可能性を有する︒またそれ故に︑分析図式としてのみではなく︑解釈図式︵n広義の実証性︶を示している︒. ︵10︶. 以下日ωPと略記する︒. 2︒いq=蜜︾zヌ↓ぼoユΦα震O窃o一一のoゲ鉱一&段ωoN一巴39po一〇αq一〇1白霧一〇巨o貯象oo っ旨一〇ヨ︷o拐oゲ ロのりー 司﹃碧下. 皆旨勲窯這謡ψ旨第. ルーマンにおける﹁意味﹂は行為者の主観に準拠したものではなく︵ヴェーバーを想起︶︑脱実体化された機能である︒. 彼は以下のように言っている︒﹁意味概念は第一次的であり︑主観概念に準拠せずに規定することができる︒なぜなら︑後. ︵n︶. oPωー鱒oo● 留目ωoN一〇一〇αQ一〇鳩ぎ↓o. 法﹂. 三七. 者は意味的に構成される同一性としてすでに意味概念を前提しているからである︒﹂2■ピ¢国蜜>z7ω言昌巴のO把pき調H崇. 社会システム論と﹁規範.

(12) ニクラス・ルーマン. 早稲田法学会誌第三五巻︵一九八四︶ ︵12︶. ﹃法と社会 シ ス テ ム ﹄. 一三〇頁. ﹃法と社会システム﹄=二頁. 一九八三︶. 三八. 一二九頁 訳は必ずしも訳書に従わない︒. 四三頁. 四九頁. ﹁社会シス. 他に﹁社会システムは期待によってコントロールされた行為から成り立っているのであ. 土方昭監訳﹃法と社会システム﹄︵新泉社. ︵13︶. ︵14︶. ﹃法と社会システム﹄. 複雑性の概念につき. テムは意味適合的に連関している事実的行為から成り立っている︒﹂同書. り︑人々から成り立っているのではない︒人々は社会システムにとってつねに周界なのである︒﹂同書. ︵15︶. 一九七〇︶. システムに関して﹁複合性﹂. 滝浦他訳﹃人間学の探究﹄︵紀伊国屋書店. ピβげヨ曽昌口 冒円ωO︒ ︸ 人間は環境の過度の複雑性の中で行為し生を営んでいるが︑これは人間の本質的徴標からいって負担である︒この負担の. くの一こ出葛男ζ>ωu↓ぽoユoα①﹃O窃①一一ω︒冨︷け&段ωoN邑冨︒ぎo一〇騎一巴固器>房9召&霞ω︒一Nき鵬三一Zま霧. 一六八頁. <σq一客■c=蜜>Z7閑03覧①首感計すωo巴90αq一零訂>鼠匹似旨⇒αqNP>仁山・O℃一&8這ooN. ︵16︶. ︵17︶. ︵18︶. ﹃法と社会システム﹄ 一三六頁以下 本書では国oヨ覧o邑感一を世界に関して﹁複雑性﹂︑. QN ↓ωO●ω●G. 四八頁以下. 免除のために人間は各種制度等を形成する︒アルノルト・ゲーレン. ︵19︶. 三一ー一︶参照. 一口N①陣房oげユ津︷口門ωo且o一〇⑳一〇臼鱒﹂ピ団﹇o︷eムゼ○犀蛭一㊤o O N. 要領を得たルーマン理論の紹介として︑長尾克行﹁社会理論としての社会システム論とハバーマスBルーマン論争﹂︵思想. 春日淳一﹁N・ルーマンのメディア論について﹂︵関西大学経済論集. <①Ho o一餌5餌一磯百昌騎. これは>鐸o宕窃誌として近時発展させられている︒<o⇔一2.ピo=蜜>2き>三εo霧黄コ睾﹄琶晩昌旨血ざヨ目仁巳ζ詠奉. 詳細は相当な道具立ての準備をしてからでないと叙述できないので割愛する︒﹃法と社会システム﹄ 一三八頁以下を参照. と訳し分けているが本稿でもこれに従う︒. ︵20︶. ︵22︶. ︵1 2︶. ︵23︶. 六八○号︶. ︵24︶.

(13) ︵25︶. 歴史的には一八世紀までのヨーロッパ社会が考えられる︒. ルーマン. 一四ー一一︶. 参照. 土方昭監訳﹃システム理論のパラダイム転換﹄︵御. く箏↓ωO・ω・Oまた吉田民人﹁システム理論と現象学的社会学の接点を求めて﹂︵社会科学の方法. 茶の水書房 一九八三︶ 八頁 ︵6 2︶. 一ぴこ. 客■d出家>zz. 五四頁. 問きぎ一〇p仁&内窪︒︒帥年蝉計言ωo筥o一〇αq一ω30>象犀一鋒盲αqHO℃一&魯一〇設ψに. ︵27︶. ﹃法と社会システム﹄. ω.一①. ︵28︶. ︵29︶. 日 システム論批判. 一般システム論は︑先にも触れたように一般理論として最終的には自然科学と社会科学の統合をも目ざす︒これは. ルーマン社会システム論の広大な拡がりを見ても予測できる︒この一般性包括性に関連して︑﹁弁証法的全体性く▽. システム論的体系性﹂という対立図式が描ける︒この観点から哲学的議論に深入りせずにマルクシズム的観点からの. システム論・サイバネティクスヘの接近と批判とを少しく見てみたい︒ルーマンのシステム論はみずから述ぺるよう. にサイバネティクス的システム論の系譜のシステム論である︒このことの含意は︑環境とシステムの相互作用の強調. にある︒ 一般にサイパネティクスはシステム論の下位部門を構成する︒サイバネティクスを︑﹁目的を達成するため ︵30︶. の制御の過程とそれに附随する情報処理過程に注目しつつ生体から工学系におよぶ現象を統一的見地から解明する制. 御と過程の一般理論とその応用﹂とすれば︑﹁情報処理﹂と﹁制御﹂は︑システム論の必要部分である︒それ故サイバ ︵31︶. ネティクスはシステム論の下位部門であると同時に︑融合して今日存在している︒このサイバネティクスは一時期︑. 法﹂. 三九. 東ドイツその他の社会主義諸国で社会理論への適用可能性を主張されたことがあった︒サイバネティクスは国民経済 社会システム論と﹁規範.

(14) 早稲田法学会誌第三五巻︵一九八四︶ ︵32︶. 四〇. や社会主義的計画および階級闘争の方法に適用され得るとされたのである︒ここでのサイパネティクスの取り上げら ︵33︶. れ方の特徴は︑﹁サイバネティクスの著しい一般性と包括性にもかかわらずマルクス主義哲学は諸学の体系において. サイバネティクスの上位にある︒﹂とされるようにマルクス主義哲学を母体とする適用科学の一分野とされているこ. とである︒この東ドイツでの動きに直接呼応する形でわが国でも影山日出弥によってサイバネティクスを国家・法分 ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. 析に適用しようとする試みがなされた︒影山は︑﹁サイパネティクス分析は上部構造現象︑ことにイデオロギー現象 ︵謎︶. にも適用されうる︒法は︑社会における諸階級の存在と密接に結びつく特殊イデオロギー形態であり︑一般には社会. 的意識の領域に属する︒﹂と法分析へのサイバネティクスの適用可能性を明確に肯定する︒影山によって︑サイパネ ︵35︶. ティクスの方法が法現象の分析に適用されると︑東ドイツの研究に従って指摘された領域は︑﹁立法過程における重. 複項の発見・部分廃止条項の問題解決・社会主義的国家指導﹂等である︒彼の理解するサイバネティクスは︑ルーマ. ンにおけるような周界/システムの差異化と複雑性処理を主題とするものではなくして︑制御機能の前面に出た︑ど. ちらかと言えば工学︵機械︶システム的なサイパネティクスであり︑分析・適用自体プリミティブなものであったが︑. マルクスの方法を意識してシステム論を批判する場合でもシステム論全体が否定されるということではない︒すな. このことは以下のこととも関係して指摘しておく価値がある︒. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑︵36︶. わち﹁⁝⁝へーゲルおよびマルクスの弁証法のうちには︑今日の﹃システム﹄理論の構想の基本的な要素は含まれて. 歴史の存在構造を捨象している点である︒つま. いる︒それは世界を生きた移行と連関として把える弁証法的方法の不可欠の一要素である︒﹂という留保があり︑親. ヤ. ヤ. ヤ. 歴. り︑ω専らシステム性を心的相互作用の総和U間主観体として把える心理学・社会学主義に貫かれていること③社会. 近性を認める︒批判されるのはシステム論の関係性・構造性が社会 ヤ. 歴史における固有の弁証法的総体性を明らかにするのではなく︑メタ理論として︑システム理論として︑社会.

(15) ︵37︶. 史を説明することを自己目的としている点である︒これらはシステム論一般に向けられた批判であるが︑第一の点に. ついてルーマンの理論を見ると彼のシステム論は意味連関のシステムであり︑﹁心的相互作用﹂という実体的なもの. に基づいているのではない︒間主観性︵体︶は社会のあり方の最も根源的な事実である︒またルーマン理論の一つの. 構成契機となっている現象学は心理学主義への反省から生れたものであることは周知である︒第二点は︑システム論. の特性とも言えるものであって︑システム論的体系性は︑ひとたび実体的な存立根拠を離れて︑︵ルーマンの場合﹁複. 雑性の縮減﹂という目標があるが︶機能関係によっていわば超越的な理論構成することへの批判的な言明であるが︑. 東ドイツのサイバネティクス学者G・クラウスは次のように言っている︒﹁サイバネティクスはとりわけマルクスのフォ. 佐藤敬三﹁サイバネティクスと一般システム論1その成立史と理論構造1﹂︵科学と思想 六号︶ 六六頁. これ以上の議論は哲学問題となり︑軽々しい論断はここでは控える︒. ︵30︶. イエルバッハテーゼにあるようなはじめから世界の変革︑すなわち︑行動に向けられた学問であり︑存在の観照的な静的模. ︵1 3︶. 二〇号︶. 一六三頁. 四七. また︑﹁サイバネティクスのカテゴリーは弁証法的カテゴリーの一部. 像としての学問ではないという理由によってもまた︑殊に弁証法的・吏的唯物論的な学問である︒﹂G.クラウス﹁哲学とサ 一五七頁とも言う︒. イバネティクス﹂︵科学と思想. 一六五頁. 分である︒﹂同. G・クラウス前掲. 一六四頁. 一二号︶も参照. G・クラウス前掲. また同﹁サイバネティクスと階級闘争﹂︵科学と思想. 影山日出弥﹁サイバネティクスと法律学−東独における研究の現状と方向に基づいてー⇔完﹂︵愛知大学法経論集. ︵32︶. ︵鈎︶. ︵33︶. 一六三頁. 四一. 影山はサイバネティクスの方法の法現象への適用に際しての難点をω裁判過程などにおける複雑な弁証法的要素とその他. 影山前掲. 号︶ 一四三頁−四頁 ︵35︶. 社会システム論と﹁規範踊法﹂.

(16) 早稲田法学会誌第三五巻︵一九八四︶. と言う︒同箇所 二号︶. ー法の原初的メカニズムー. 八号︶も参照. 二八四頁. 四二. の分析の驚くほどの困難さ図分析の方法は可能であってもこれは装置の適用の可能性を実証することにはならないこと︑だ. 加茂前掲. 加茂利男﹁﹃システム﹄史観の形成と政治認識﹂︵現代と思想. 法﹂. また同﹁システム論と社会認識の方法﹂︵唯物論. ︵36︶. ﹁規範. 二八七頁. ︵37︶. 二. ︵1︶. ここではルーマンの﹁法の原初的メカニズム﹂から実定法に至るまでの概略を述べることが目的であるのではな. い︒概略は下地として前提される︒また﹁規範U法﹂︵原初的メカニズム︶にかかわる全論点を見るわけでもないこと. 学習−認知的予期 非学習ー規範的予期. 次元 同定. 内容的︵旨︒票3. 制度化. 社会的次元. 存続. 時間的次元. は言うまでもない︒以下にeと⇔で取り上げる問題が行程のどこに位置するのかを明らかにするためにも一応の見取 図を示しておく︒. 予期の予期 予期構造. 法﹂導出の行程1﹃法社会学﹄第二章1︺ 表. >o旨窟①釜§. ︹﹁規範 図. 複雑性. 不確定性 70翼一漏︒目. 行動予期の 安定化・一般化. 予期構造の整合的一般化ー物理的実力への依存問題−構造と逸脱行動− −実定化.

(17) O 法の原初的メカニズム ︵2︶ ルーマンは言う︑﹁これまで提示されてきた法社会学のなかには︑法の根幹にまで達したものは一つもない︒﹂彼は ︵3︶ 有意味的な体験と行為がパーソナリティシステムと社会システムに分化しない前心理学的前社会学的領域に法を形成. する原初的な構造および過程の基礎を求め︑これを﹁法の原初的メヵニズム﹂と呼ぶ︒このメヵニズムは対人場面状 ︵4︶. 況においても高度に複雑な現代社会においても前提されなければならない︑あらゆる法形成にとって必要な普遍的・. 恒常的な前提条件であるとされる︒習慣・慣習・習俗・習律などの規範的諸項との対比関係︵量的・質的︶において. ﹁法﹂を導出するのではなく︑まず規範一般の問題地平を明らかにすることによって﹁法﹂の導出へと向うのある︒. まず端初として︑世界は複雑性囚o目覧①首警であり不確実性囚o呂轟o自であるとされる︒﹁不確実性﹂とは︑﹁次に. ︵5︶ 来る体験の可能性として指示されたことが予期されたのとは別様に生起しうること﹂である︒孤立的自我に準拠点を. とる場合︑この不確実性はその自我における体験加工・意味を媒介とする選択作用によって予期構造として抗違背的. に処理されるだろう︒だが︑世界︵複雑性・不確定性︶は相互主観的にのみある︒ルーマンもこのことを決定的なこ. とと見ている︒﹁他の人間は︑⁝自己と同様に独自の体験と行為の源泉に他ならぬものとして︑すなわち﹃他我聾R. ︵6︶ ①ぴQo﹄として自我の視野に入ってくる︒﹂他者にとっても世界は不確実であって︑他者は自己の予期に反して行動する. かもしれない︒こうして︑不確実性は社会的世界においては﹁二重の不確実性αε需ぼ閤o算ぎ鴨目﹂として現われ. 旨5σq﹂と﹁規範的. る︒二重の不確実性に対して︑予期は﹁予期の予期国毫震葺認<9国暑︒︒目嘗お8﹂︹他者の予期を予期すること︺で ︵7︶. なければならない︒ルーマンは予期をこのように確認して先へ進む︒﹁認知的予期ざ題三話国暑. 法﹂. 四三. 予期昌9ヨ呂お国暑費廿目αQ﹂が区別される︒前者は違背された予期を変更して︑予期に反した現実に適応する︹学習︺ ︵8︶ 方法であり︑後者は予期に反した事実に逆ってそのままやっていくことである︹非学習︺︒規範的予期が﹁規範n法﹂ 社会システム論と﹁規範.

(18) 早稲田法学会誌第三五巻︵一九八四︶ ︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︵9︶. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. 四四. ヤ. ヤ. ヤ. に連らなるものであることは明らかであり︑その後叙述上ひとまず認知的予期は消える︒﹁規範とは抗事実的に安定. 化された行動予期である︒﹂だが︑規範的予期だけでは済ませられない事態もあるだろう︒違背が常態化した場合︑. 規範的予期のみで︑認知的予期による学習がなされないとその予期は問題処理機能として破綻することになる︒認知 的予期と規範的予期との関係は︑今後発展させられなければならない問題のはずである︒. ルーマンの﹁原初的メヵニズム﹂の方法の提示から学ぺることを一つだけ指摘しよう︒われわれは︑ルーマンと異. なり﹁法﹂秩序を他の規範的秩序との比較において見ようとする︑法の社会学的分析としてヴェーパi法社会学の中. にそのような部分のあることを知っている︒﹁法﹂秩序と断絶なく移行しあう領域として﹁習俗ω葺o﹂︹類型的に一. 様な行態<R鼠一一8が行われており︑これらの行態はもっぱらそれに対する﹁慣れ﹂や無反省的な﹁模倣﹂だけに. よって伝来的な軌道に保れている︺と﹁習律類8<o鼠8﹂︹一定の行為をするようにとの働きかけは存在するが︑ ︵10︶. この働きかけはいかなる物理的または強制によるものでもなく︑﹁行為者﹂の特有の周囲のものの是認または非難を. 除いてはその他のいかなる反作用によるものでもない︺︒が挙げられている︒この定義自体︑﹁慣れだけ﹂﹁模倣だけ﹂. という事情が想定しうるのか︑また是認や非難は強制の契機なのではないのかという点で不明瞭であり︑またそれ. 故︑移行は流動的であるとされているのであるが︑それにもまして指摘されるぺきことは︑この区分は規範・当為の. 社会学的分析に基づいているわけではないので︑類別の理論的根拠を問えないという点である︒区別の論理的必然性. はないのである︒何故そのように区別されなければならないのかは︑おそらく日常言語の非反省的用法に基づいてい. るか︑または︑個別具体的な﹁法﹂秩序を見る上での実用上の標識という点に求められる以外はないであろう︒この. 点で予期からの一元的な﹁規範旺法﹂生成の過程を示すルーマンの理論は︑﹁法﹂理論に統一的視点を与えるものに なるかもしれない︒︵後述︶.

(19) 以上は問題の端初が示されたにすぎない︒規範すなわち抗事実的に安定化された行動予期の一般化・安定化過程が ︵11︶. 問題にされなければならない︒ルーマンは一般化・安定化のレベルとして﹁時間的次元﹂﹁社会的次元﹂﹁内容的器o臣魯. 次元﹂の三つを挙げる︒まず時間的次元は行動予期の存続にかかわる︒たとえば﹁不知一曽9R窪﹂によって︑規範. と食い違った情報・規範に対する疑いをひきおこす情報から当該の規範を守り︑違背に出あった者をそれに対する反. 応の義務から解放する︒他に﹁第三者への苦情の訴え﹂﹁自己苦悩の顕示﹂などが挙げられるが︑﹁制裁留嘗臨9﹂が. この中で典型である︒規範を違背する意図が行動者に明白である場合に︑違背を受けたものはまなざしや身振り︑こ. とばや行為によって違背者を罰するのである︒規範の防衛・存続が消極的あるいは積極的な形でなされることにな ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. る︒社会的次元では制度化である︒より複雑な社会ではある人の規範が他の人のそれと衝突するという事態が一般的 ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︵12︶. である︒これを一定の許容限度で許し︑管理するのである︒制度化とは︑﹁第三者がもつと想定される予期の予期に. よって支えられる程度である﹂とされる︒ややわかりにくい表現であるが︑具体的には︑たとえば︑違背しあう諸予. 期が衝突する時われわれは合意形成をまず考える︒しかし︑その都度の合意形成は複雑な社会では適さない︒このそ ︵13︶. の都度の合意形成を節約するために同時的︑同意味的な体験を社会的に重要な事項および時機竃oヨo艮に配分し︑. 合意を期待可能なもの︑必要に応じて調達可能なものとするということである︒このようなものとして︑﹁契約﹂﹁準. 拠集団﹂﹁制度化機能の制度化U手続﹂が挙げられる︒この順序で包括範囲が広くなる︑すなわち抽象度が高くなる ︵14︶. ことは容易に見て取れる︒内容次元においては同定固窪爵ぎ昌が問題となる︒同定とは﹁予期構造は同一の意味. によって外面的に固定され相互的な確認と限界づけの連関に組み込まれる︒﹂ことである︒同定によって行動予期は ︵15︶. その時々の現実の意識の動きから独立したものとなり︑具体的文脈から解放され︑﹁﹃従われ﹂もしくは﹃従われない﹄. 四五. ことができるようになる︒﹂この同定原理によって関連づけられる抽象度を異にする領域として﹁具体的人物﹂﹁役割﹂ 社会システム論と﹁規範n法﹂.

(20) ︵16︶. 早稲田法学会誌第三五巻︵一九八四︶. 四六. 最後に時間次元では﹁予期者ー行動者﹂の二極モデルであったのに対し︑後二者では︑これに﹁体験を共有する可. ﹁プログラム﹂が挙げられる︒. 能性のある第三者﹂を加えた三極モデルとなっていることを指摘しておこう︒これら三者の次元の関連は︑﹁例えば ︵17︶. 内容的次元は︑時間的次元に対して予期をシンボルに結びつけることで︑その予期の存続を助ける︒シンボルを用い. れているがこれは一つの想定された挙例であって︑ここでは︑三つの次元はそれ自体として︑一者が他の二者をある. れば︑予期は当の予期がもたらされた具体的文脈から独立して︑広く適用可能となる︒﹂という相互連関性が指摘さ. いは二者が他の一者を論理的に要請する︑あるいは条件づけるという関係になってはいないと理解する︒このことに 関してさらに先に進まなければならない︒ 二七四−二九二頁. ︵5︶. ︵4︶. 国ω︒ω●器. 因ω●ω●ω一. 国ω●ψωO. 訳三九頁. 訳三八頁. 訳三八頁. 訳三五頁. 村上淳一・六本佳平訳﹃法社会. 以下原書は菊ω︒訳書は訳と記す︒訳は必ずしも訳書と同一ではない︒第二版では終. 石村前掲 三三頁. ︵1︶. 一九七七︶. oooψ曽 2舅い>ωピd国ζ>z1閑09房︒・o旦o一〇〇q8碧R毛o響R一①>信串 O筥&o昌おo. 学﹄︵岩波書 店. ︵2︶. こうした領域性は︑主客の分離以前の相即的関係性への超越論的反省. 一九八一︶参照. 現象学によって開示されるものである︒青山治城. 章が﹁法理論への問い﹂から﹁法システムと法理論﹂へと変更されている︒ ︵3︶. ︵6︶. 国ω.ω.ωω. ﹁現象学的法哲学の道IN・ル:マンのシステム理論によせてー﹂︵法哲学年報. ︵7︶. 菊ω.ω.温鱒. 訳四九頁. ︵8︶.

(21) ︵13︶. ︵12︶. ︵11︶. ︵10︶. ︵9︶. 痴ω.ω曹漣. 男ω■ω●爲. 勾ω・ψ臼. 訳七六頁. <αq一●閑ψψ$露. マックス・ヴェーバー. 勾o o●ψ&. 訳一〇八頁. 訳七八頁. 訳九四頁. 訳六三頁以下. ここでは器o匡ざゲに﹁内容的﹂という訳語をあてているが本稿でもこれに従う︒. 訳五〇頁. ︵14︶. 男oo︒ω o oO. 一九七四︶ 二七頁. ︵15︶. 奥谷泰雄﹁ニクラス・ルーマンの法概念について﹂︵明治大学大学院紀要法学篇. く箪¢oo①幹 訳九四頁以下. 世良晃志郎訳﹃法社会学﹄︵創文社. ︵17︶. ︵16︶. 法概念を対象としたほとんど唯一の研究である︒啓発されるところが多い︒. ⇔ 整合的一般化と物理的実力 ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︑. ︵18︶. 一七ー一︶. 三三頁. ヤ. ヤ. ヤ. これはルーマンの. ヤ. これまでの行程では未だ﹁法﹂は現われない︒ルーマンは先に見た一般化の三つの次元のメカニズムを﹁自然的に ︑. は非整合である︒一蒔8讐o自﹂という︒これら三つの次元の行動予期の一般化は画一的に進行するものではない︒ ︵19︶. たとえば︑普遍的に拡がっていると感じられている規範的予期であっても制度化されないものがある︒これは規範化. ︵存続︶と制度化との乖離である︒それにもかかわらずこれらは両立可能であるという︒というのは各次元のメカニ ︵⑳︶. ズムは他の各次元との関係によって相互に選択的に作用し︑他の次元のメカニズムにとってその都度実際に可能なも. 四七. のを限定する故である︹構造的な変動領域の設定︺︒両立可能性が保障された行動予期が﹁法﹂と呼ばれる︒﹁このよ 社会システム論と﹁規範闘法﹂.

(22) 早稲田法学会誌第三五巻︵一九八四︶ 四八 ︵21︶ うな意味で整合的に一般化された規範的行動予期をある社会システムの法と呼ぶことにしよう︒﹂この﹁法﹂の定義か. らすれば︑法の第一のメルクマールは﹁国家強制﹂などではあり得ず︑﹁予期を容易にするもの﹂ということになる︒ ︵22︶ その機能は︑選択作用︑すなわち︑三つの次元すべてにおいて一般化され得る行動予期の選択にある︒﹁法﹂は第一義. 的に機能として把握されている︒ここでもう一絞りが加えられる︒各次元において複数存在していた一般化形態は︑. ﹁整合的一般化﹂によって最終的に一つのものに絞られる︒たとえば︑時間次元では﹁不知﹂﹁第三者への苦情の訴. え﹂等は制度化されないものとして消去される︒これに対して﹁制裁﹂は他の諸形態に比し継続が容易であり︑失敗. した場合でも強化することができる︒﹁制裁﹂が制度的に適合的なものとなる︒これは時間的次元と社会的次元との. 間の整合的一般化と理解できよう︒同様の過程を経て︑社会的次元では﹁手続﹂︑内容的次元では﹁プログラム﹂︵言 ︵23︶. 葉によって確定された決定準則によって予期連関が保障されている場合のその準則︶が取り出される︒かくして︑整. ﹁法﹂は︑﹁制裁−手続ープログラム﹂のメカニズムの結合である︒だ. が未だ他の社会諸規範との区別は明確であるとは言い難い︒. 合的一般化による選択的陶汰を経た行動予期. 注意されるべき点を指摘しておこう︒規範的行動予期の整合的一般化︑すなわち︑時間的次元・社会的次元・内容. ︵25︶. ︵26︶. 的次元の各一般化メカニズムが各次元の相互関係において︑﹁制裁−手続ープログラム﹂へと純化︵表現は適当では ︵以︶ ないかもしれないが︒︶されるプロセスにおいては︑時間次元のプロセスでは︑﹁発展の進んだ社会では﹂﹁分化の進 ︵27︶. んだ社会では﹂︑また社会的次元では︑﹁⁝きわめて単純な社会においてのみである︒もっと分化の進んだ社会では﹂︑. 内容次元では︑﹁社会の発展の過程で﹂等の表現が現われる︒整合的一般化は︑社会の発展︑すなわち︑分化の進展. 複雑性の増大を﹁推進原理︵基盤︶﹂とするものであって︑ここでルーマンは︑歴史性の観点をはじめて出している. ことになる︒前述の原初的メカニズムでは﹁複雑性の縮減﹂という彼の根本図式のうちで﹁縮減﹂︵予期の予期によ.

(23) る不確実性の処理︶が優勢であったのに対し︑いわば現実的基盤として﹁複雑性の増大﹂︵. 歴史の進化︶が前面にお. し出されてくる︒このことはルーマン自身強調していることではないのだが確認されておいてよい︒この意味でも整 合的一般化は各次元の予期の一般化過程とは階梯を異にしている︒. 次にこの﹁整合的一般化﹂︵整合性︶を媒介・保障するものが問われなければならない︒ルーマンはこれを﹁物理 ︵28︶. 的実力﹂だという︒﹁法の諸メカニズムの整合性は︑法が物理的実力によって担保されていることを︑人々が予期す. る︑という予期に基礎を有することになる︒﹂だがルーマンの言う﹁物理的実力﹂は通常の用語法とは一定のずれが. ある︒﹁物理的実力﹂は直接には物体を動かしたり︑人を傷つけたり殺したりするという物理的作用あるいは物理的. 強制ではなく︑これら物理的生物体的現象に随伴してこれを決定する意味的象徴的側面が第一義的である︒たとえ. ば︑肉体的戦闘の場合でも︑相互の戦闘者の肉体的衝突過程が直接問題となるのではなくして︑この闘いの目標や戦. 闘の実行あるいは回避の可能性等の闘いの﹁意味﹂が問題とされる︑ということである︒﹁物理的実力﹂は機能的に ︵29︶. 見られている︒﹁物理的実力はさしあたり︑そしてまず予期の表出と確認の手段なのであって︑その貫徹の手段なの. ではない︒﹂先に見た時間次元における﹁制裁﹂と﹁物理的実力﹂とは全く異ることも理解できよう︒象徴的機能と. しての﹁物理的実力﹂は︑歴史的発展の過程で実体的実力から分離してくることをフェーデや宣誓の例を挙げて示し. ている︒こうして見ると﹁物理的実力﹂は予期に根ざしたものではなく︑これとは異質のものである︒これが﹁法﹂ ︵30︶. の形成契機として出されているのである︒であるとすると﹁ルーマンは基本的には一元論的視座から出発しつつも︑. 二元論的視座に接近している︒﹂と言うことができるかもしれない︒この問題はルーマンの方法︑すなわち︑規範一 般のメカニズムから﹁法﹂を導出するという方法の自己同一性を問う足場にもなろう︒. 四九. これまでの過程をいくつかのレベルに分けて整理し直すことができるように思われる︒︿予期︵国︶ー行動予期の一 社会システム論と﹁規範旺法﹂.

(24) 早稲田法学会 誌 第 三 五 巻 ︵ 一 九 八 四 ︶. 五〇. 般化︵<O︶i整合的一般化︵民O︶t物理的実力冨︶﹀の行程で考えると︑内容上はく︵国︶ー︵<O︶﹀を予期の精製・精. 練過程︑︿︵区O︶ー︵番﹀を﹁法﹂への過程︑推進原理あるいは基盤としてく︵国︶i︵<O︶﹀を縮減優勢︑︿︵閑O︶ー︵呂o︶﹀. 行動予期の一般化. ③ σ. の 侭. 理. 物理的実力. の G P ︵. 安定化. ︵歴史的観点︶. 複雑性の増大優位. ﹁法﹂への過程. 整合的一般化. を複雑性の増大︵歴史的観点︶優勢︑論理上は︵国︶を問題提示︑︿︵くO︶i︵国○︶﹀を処理︑︵番︶を安定化として考え. 期. ることができよう︒図示しておこう︒. 表 予. ︶ E ︵ 予期構造の精製・精練過程. 処. 縮減優位. ○. 図. レペ. で彼の法社会学理論は︑現実の法現象とどこまで語り合えるのかが試されていると言えよう︒このように見ること. ムも社会的現象と遊離して自存するわけではない︒これらは︑現実との緊張関係にあるべきものである︒かかる意味. ないということである︒だが法現象は社会的事実である︒ルーマンの理論の中に現われる機能的把握や縮減メカニズ. 会システムにとっての法﹂であって︑ここで展開された﹁法﹂の理論は︑法現象の実体的解明を目標とするものでは. われわれが物理的実力まで見てきた行程は実定法への過程である︒留意されるぺきは︑﹁法﹂はそれ自体として﹁社. 問題提示. 内容. ル. 基盤 論理.

(25) ま︑. カ. ︐︑. ルーマンにとっては︑法社会学と法律学との間の差異を理解しないものとして︑不当であると映るかもしれない. 勾ω●¢Ooo. 訳一一二頁. だが社会理論は単なる諒解図式ではないはずである︒. ︵18︶. 幻ω.o o︒8. O. ︵19︶. <α〇一■国ω.ψ. 訳一一三頁. 訳一一二頁. 一8中訳一 一三頁以下. 訳一〇九頁訳. ︵20︶. 即ω●ω. 8. 一〇一. 国ψω●一〇〇. 訳一一四頁. 訳一一四頁. 訳一一三頁. 一8牢訳一 一三頁以下. ︵餌︶. 勾ω︒ω. 訳一一四頁. <σq一●菊ψω■. 肉ψω︒一〇〇. ︵21︶. ︵22︶. ︵25︶. 勾Gり9ω.一〇一. 訳一二八頁. ︵23︶. ︵26︶. 一一藤. 閑ψω. 菊ω●Q o●一〇一. 訳一二三頁. 奥谷前掲 三八頁. 即ω︑ω.一〇Q Q. ︵27︶. ︵28︶. ︵29︶. ﹁規範n法﹂とシステム論. ︵30︶. 旬. これまで﹁規範 法﹂とシステム論の関係については言及せずにきた︒この点を検討するには︑﹃法社会学﹄の全. 法﹂. 五一. 編を見た上でなければならず︑ここで述ぺるのは時期尚早であるが少しく触れる︒彼の﹁法社会学﹂︵﹁規範U法﹂分 社会システム論と﹁規範.

(26) 早稲田法学会誌第三五巻︵一九八四︶. 五二. 析︶は一つのシステム論の適用︵﹁システムとして見る︒﹂︶であって︑社会システム論︵﹁社会を世界・周界およびシ. ステムとして見る︒﹂︶と同様の分析解釈図式で姐上にのせられていることはこれまでの叙述から容易に見てとれる︒. 複雑性の三つの次元における問題変換の︑時間/事物/社会の次元は行動予期の一般化における三つの次元︑時間/. 内容︵路︒匡魯︶/社会の次元に対応する︒﹁複雑性の縮減﹂図式は社会システムと法社会学とを通底している︒システ ム論は普遍理論である︒. つまりメディ. システム論と﹁規範n法﹂との関係は︑︵全体︶社会システムおよび他の︵部分︶社会システムとの間の関係として. 存在すべきであろう︒前者は︑︵全体︶社会システムがルーマン理論では必ずしも明示されていない︑. ア・コードや複雑性の縮減メカニズムとして描写されているので俄には論定できない︒﹁全体社会とは︑過度で複雑 ︵3. で不確定な環境の中で︑もろもろの行為の間の意味的連関の恒常性を保ち得る一個の社会システムであると見るべき 1︶. ︵32︶. である︑ことは明らかである︒﹂という言明にとどまっているのである︒一つ考慮されるべきは︑﹁⁝法は︑全体社会. システムの境界と選択様式を定める一つの構造とみなされるぺきものである︒﹂という点である︒構造は︑不明確な. 複雑性をより明確な複雑性とすることによって︵部分︶社会システムの負担を軽減する︒法とは︑このような構造の︑. 不可欠なものの一つである︒では他の︵部分︶社会システムと法システムの間の関係はどうか︒システムはそれ自体と. して自己準拠的である︒だがこの自己準拠性留諄幕︷Ro自は︑単なる自己完結性ではない︒環境・他のシステムと. の関係における自己準拠性である︒すなわち︑独立性と相互依存性を併わせもつ︒この︑他の︵部分︶社会システムと. 法システムとの間の関係を問うことは︑﹁法社会学﹂の問題とはなっていない︒これは相対的に﹁法社会学﹂の理論. 領域とは区別されていると見てよい︒一つの例として︑﹁法システム﹂と﹁政治システム﹂との間の関係をルーマン. は︑﹁決定前提﹂と﹁決定執行﹂において相互に依存していると見る︒つまり︑O政治システムは法システムに決定.

(27) 前提︵法律︶を提供し︑その返報として政治的決定の実のための合法性と特殊性を受け取り︑⇔法システムは政治シス ︵33︶. ︵34︶. テムの決定の強制のための諸前提を提供︵合法的決定のみが実力によって貫徹されうる︶し︑その返報として政治に. よる執行の保証を受け取る︒同様の相互関係は他の︵部分︶社会システムとの間にも存すると考えるべきである︒. 従来社会学が現象学・システム論・批判理論を参照せざるを得ないような状況︹社会学理論におけるパラダイム転. 換︺の中で社会学は社会認識を可能ならしめている基盤をも問うものになってきている︒ここでは実証主義ひいては. 近代合理主義の諸制限︵典型的には﹁主ー客﹂図式︶の超克を目指して超越論的問題反省が行なわれる︒しかし︑こ. れは︑︵一般︶社会学︑つまり社会そのものを問題とするような社会学においてであって︑﹁法社会学﹂あるいは﹁経. 済社会学﹂のような﹁連辞符社会学﹂︵マンハイム︶においては︑還元・相互主観性・生活世界という︑現象学に多く ︵35︶. を負っている現代社会学理論の﹁概念﹂が︑具体的個別対象としての﹁法﹂あるいは﹁経済﹂と社会︵学︶との間に. あっていかなる位置価が与えられるのかは︑明らかではない︒ルーマン法社会学はこれらの概念を直接使用するので. 訳一四九頁. 幻ψψ旨直訳一五一頁. oN 菊ψω.一G. ステム理論のパラダイム転換﹄. 五〇頁. このことを一般論のレベルで言うと︑自己準拠システムがその固有の循環性. はないが︑現象学的システム論として現象学的構成の妥当可能性を示すものとなっていると言えよう︒. ︵31︶. ︵32︶. ﹃シ. 四ー九︶. 五三. このことを追求するものとして土方透﹁法と経済のシステム理論ーN・ルーマンの普遍理論の意義﹂︵経済評論. うことである ︒ ︵ 同 箇 所 ︶. 一九八. を他のシステムの助けを借りてのみ中断しうるということになり︑またそこから他のシステムとの結合可能性が生じるとい. ︵33︶. ︵34︶. 社会システム論と﹁規範旺法﹂.

(28) 早稲田法学会誌第三五巻︵↓九八四︶. 五四. 学﹂・﹁経済学﹂という通常社会科学の典型と考えられている諸科学の入り込む余地はあまりないように思われる︒︵第一回. ︵35︶ 一九八三年には日本現象学・社会科学会が設立されたが︑この﹁社会科学﹂はほぼ理論社会学と同一視されており︑﹁法. 日本現象学・社会科学会大会報告レジュメ参照︶. おわりに. 現代において法社会学研究を行なう者は︑常に﹁法社会学とは何か﹂という問いをみずからの内に持っているので. はなかろうか︒実態調査的法社会学を別として理論法社会学としての性格を重視しようとする場合には︑この問いは. なおさら重みを増す︒﹁法社会学の固有性﹂はどこに求められるべきなのか︒従来法社会学が︑慣習や習律などの︵実. 定︶法周辺の社会規範を中心的対象としてきた点︑また社会学理論が﹁法︵現象︶﹂を十全にその内部に取り込んでい. ない現状を見る時︑ルーマン法社会学の意義は小さくはない︒われわれは実定法への行程の端初を見たにすぎない︒. この法社会学は理論的基礎の多様さと対象の拡がりの広大さ故にその理解には努力を要するが︑﹁固有の法社会学﹂ を目ざす理論的営為としてなお参照されなければならないと考える︒. だが︑彼の理論が多くの疑問点と不明確さを内包していることもまた事実である︒構造機能主義理論の﹁構造﹂の ︵1︶ 固定性と因果関係的機能主義による﹁構造﹂維持機能を批判するルーマンはゲーレン人間学における﹁負担免除﹂に. ヒントを得た﹁複雑性の縮減﹂という根本図式を用意するが︑これは構造機能主義理論の﹁構造﹂にも比すべき目的. 論的図式ではなかろうか︒複雑性を一挙に縮減と結びつけてしまうことは︑﹁内部・外部旺分化の安定化という体系 ︵2︶ モデルを構想した瞬間︑世界の客観的連関の概念的把握という可能性を放棄してしまったのである︒﹂という根源的. 批判にさらされている︒すなわち︑世界は複雑性として観念され︑その実体を喪失してしまっている以上︑概念的把.

(29) 握は不可能であるという批判である︒さらに﹁複雑性の縮減﹂という根本的目的図式と﹁等価的機能主義﹂という︑. いわば︑正反対のベクトルをもった理論が︑彼の社会把握には同時に存在していることも指摘されるべきである︒こ. れが折衷であるか綜合であるかは早計な判断はできない︒複雑性は可能性の宝庫としてその増大は歴史の進化である. が同時に縮滅が求められなければならないという二義的なものである︒複雑性はすべてを包摂するが︑所与としての. 複雑性は自体として︑その概念把握は問題とはなり得ない︒また︑存在を非存在との断絶において捉えるのではな ︵3︶. く︑非存在の存在への移行可能性をも視野に収める彼の機能主義は︑非存在が存在に転換する実在根拠を問うことは ない︒システムの形成についてもこのことはあてはまる︒. さらにルーマンの理論にはその全編にわたって︑イデオロギー・理念的なものに対する反感・対抗の姿勢がうかが. われる︒前者は弁証法であり︑後者はアリストテレスあるいはカントからへーゲルに至るドイツ観念論である︒この. ことは︑﹁世界H複雑性﹂と﹁等価的機能主義﹂に最もよく表現されていると言えよう︒これは推測するに︑戦前に. おけるナチス体験︑すなわち国家社会主義イデオロギーによって智導されたという経験への反省がある︒この意味. 法﹂論の一端を垣間見たにすぎない︒今後︑以上のことを念頭におい. で︑彼の理論は︑方向性は正反対であるが戦後西ドイツにおける自然法再評価の動きと比較しうる︑単に現代社会学 ︵4︶ 理論としてのみではなく︑戦後西ドイツ政治史あるいは政治論との関係においても論ぜられるぺきものでもある︒ われわれはルーマンの﹁社会理論﹂・﹁規範. て﹁実定法﹂を中心として﹁法社会学﹂を見極めようと思う︒. 一九七七︶. 二三八頁. 五五. 青井秀夫﹁ニクラス・ルーマンの﹃機能的システム理論﹄につい 社会科学と諸思想の展開﹄︵創文社. ゲーレンの﹁負担免除﹂の援用を批判するものとして て﹂﹃世良晃志郎教授還暦記念︵下︶. ︵1︶. 社会システム論と﹁規範日法﹂.

(30) 早稲田法学会誌第三五巻︵一九八四︶. 一九八四︶. 三四頁も参照. 佐藤嘉一﹁N・ルーマンの社会学的機能主義﹂︵金沢大学法文学部論集. テムの構造と変化﹄︵創文社. ︵2︶. 哲学篇. 二三︶ 二五二頁. 四九頁. 五六. パーソンズ﹃社会シス. 山口節郎﹃社会と意味ーメタ社会学的アプローチ﹄︵勤草書房. 一九八二︶. ︵3︶. 政治システム論を扱うものとして︑小野耕二﹁N・ルーマンにおける政治システム論の形成過程﹂︵名古屋大学法政論集 一九八○︶も参照. 同﹁現代資本主義国家における﹃正統性﹄問題﹂﹃講座現代資本主. ︵4︶. 義国家 第一巻﹄︵大月書店. 八九︶ 同﹁Nルーマンの現代政治認識﹂︵同 九三︶.

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参照

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