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博士学位論文審査報告書

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Academic year: 2022

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(1)2017年 12月 21日. 博士学位論文審査報告書 大学名. 早稲田大学. 研究科名. スポーツ科学研究科. 申請者氏名. 遠藤 大哉. 学位の種類. 博士(スポーツ科学). 論文題目. バディキッズ・アドベンチャー・チャレンジ・プログラム参加者の 成長プロセスの質的検討 The qualitative analysis on the growth process of the participant in Buddy Kids Adventure Challenge Program. 論文審査員. 主査 早稲田大学教授. 岡 浩一朗. 博士(人間科学)(早稲田大学). 副査. 早稲田大学教授. 土屋. 副査. 早稲田大学教授. 松岡 宏高 博士(Ph.D.)(オハイオ州立大学). 副査. 関東学院大学専任講師. 純 博士(人間科学)(早稲田大学) 青柳. 健隆. 博士(スポーツ科学) (早稲田大学). 今日の子どもの成長において自然体験の持つ教育力は重要であり、その機会を拡充するこ とは現代社会に求められている重要な教育課題の一つである。我が国では、学校や社会教育 団体をはじめ、多くの民間団体・組織によって様々な自然体験事業が展開されているが、適 切な指導者、多様な活動プログラムといった教育資源が不十分な状態にあることが報告され ている。子どもの成長効果は偉大なる自然の中で、困難な状況を克服する体験かつ長期事業 によって高まることが考えられるが、実際のプログラムでは運営上、実施期間の短さやプロ グラム開発の不足、限定的な場所で過度な安全管理等が課題となっている。今日、青少年の 発育段階に応じた教育効果の高いプログラムを開発することが求められているが、新たに開 発されたプログラム評価の研究は不十分であり、プログラムにおける対象者の変容の様子を 詳細に見ていく必要がある。そのため本論文では、筆者が作成したプログラム参加者の成長 プロセスの仮説モデルを、質的研究手法を用いて、プログラムに関与した当事者とその保護 者、指導者といった様々な視点から検証し、成長プロセスモデルを提案することを目的とし た。 本研究では、これまでに開発・実践してきたバディキッズ・アドベンチャー・チャレンジ・ プログラムのコンセプトを「長期継続型」で「幅広い」活動を含んだ「本物」の自然体験と 再定義し,主観的な視点から見た成長プロセスの仮説モデルを作成した。そのプロセスは本 物の自然の中で熟達する喜びを知り、逆境を乗り越える経験をすることで感動と達成感を大 きくすると同時に、フローを経験し、フローが自己成長の源となる。また、その過程で有能 感を自己認識し、その有能感が重要な他者に認められることで自尊感情が高まっていくこと である。そして、この自己成長を「困難を乗り越えていくこと自体に根源的な悦びを自分で 発見していく能力などが開発され、自分の力で自分の能力を伸ばし、生きる力を自分で栽培 する能力のある人間になること」と定義した。.

(2) 次にプログラムへの参加者の視点から成長のプロセスと要因を明らかにすることを目的 に、2014年度のプログラム参加者12名を対象とした半構造化インタビュー調査を実施した。 収集したデータはすべて逐語化し、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA) を用いて概念とカテゴリを分類した。その結果、逆境の克服要因、達成感とフローと熟達の 深い関係性、自尊感情を支える要素、心の安全を保障する要因、成長の実感が子どもの視点 からみた成長のプロセスと要因として挙げられた(学術誌掲載論文1)。 続いて、保護者の視点から成長のプロセスと要因を明らかにするため、上述の研究におけ る調査対象者の保護者12名を対象に半構造化インタビュー調査を実施した。分析方法は M-GTAを援用し、概念とカテゴリを分類した。その結果、スタッフの指導力の高さに対す る信頼と安心感、リスク管理の高さゆえの自由度の高さ、長期の利点、自己成長の好循環、 内的成長要因を支える外的成長要因、成長の実感が保護者の視点からみた成長のプロセスと その要因として挙げられた(学術誌掲載論文2)。 続いて、指導者の視点から成長のプロセスと要因を明らかにすることを目的として、2014 年度のプログラムにおいて子どもを直接指導した指導者12名を対象に半構造化インタビュ ー調査を実施した。分析方法は上述の保護者を対象とした研究と同様である。分析の結果、 野外教育観が指導法と体制に強く影響する、プログラムデザインの重要性、自分の感覚に立 つことが主体性を高める、逆境とフローと熟達とモチベーションの深い関係性、参加者の特 徴が指導者の視点からみた成長のプロセスと要因として挙げられた(学術誌掲載論文3)。 総合考察では、これら3つの研究から得られた結果の共通性、合理性、実現可能性を包括 的に検討し、プログラムに直接関与した子ども、保護者、指導者の多角的な視座から明らか になった新たな知見を仮説モデルに取り入れ、改良版成長プロセスモデルの提案を行った。 新たな点として、指導者の介入によって自分の感覚に立つことが実現し、逆境の克服要因を 引き出す時のフロー体験と経過中の達成感が得られ、自己チャレンジ意欲を高める自己成長 の好循環が認められた。また、自己成長において、内的成長要因は外的成長要因に支えられ ており、アウトプットとして成長の実感とレディネスを含む自己形成がなされていることが 考えられた。これらを、自分の感覚に立つ、経過中の達成感、内的成長要因、外的成長要因、 自己チャレンジ意欲、内発的動機づけ、自己形成(成長の実感・レディネス)の8つの要素 に整理した上で、仮説モデルに当てはめて改良版の成長プロセスモデルを完成させた。改良 版成長プロセスモデルは、再定義した長期継続型の幅広い活動を含んだ本物の自然体験をす ることで、逆境を乗り越えた自信が自尊感情を高める一方で、逆境を乗り越える最中に体験 するフローが原動力となって自己成長が促され、そのアウトプットとして自己形成すること を示した。 本論文で特に評価できる点は、体系的な理論の構築されていない新たに開発した長期継続 型自然体験プログラムにおける子どもの成長プロセスモデルを作成し、質的研究手法により、 プログラムに関与した子ども、保護者、指導者の多角度から成長のプロセスと要因を検討し、 改良版成長プロセスモデルの提案を行った点である。本論文の成果は、今後、野外教育プロ グラムを主催する野外教育団体および学校等における新たなプログラム開発に寄与すると 考えられる。また野外教育指導者および研究者に対して、指導法の確立に貢献することが期 待できる。 なお、本論文に含まれる研究内容は、下記のように学術誌上で刊行されており、当該関連 分野からも高い評価を得ている。.

(3) 1.遠藤大哉,青柳健隆,岡浩一朗(2016)バディキッズ・アドベンチャー・チャレンジ・ プログラムにおける自己成長. スポーツ科学研究,13:28-40. 2.遠藤大哉,青柳健隆,岡浩一朗(2017)保護者の視点から見た長期継続型野外教育プロ グラムにおける参加者の自己成長プロセス. 野外教育研究,21:55-65. 3.Hiroya Endo, Kenryu Aoyagi, Koichiro Oka (2017) Outdoor educators’ influence on the self-growth process of participants: A case study of educators at the Buddy Kids Adventure Challenge Program. Advances in Physical Education, 7: 332-342. 4.遠藤大哉,青柳健隆,岡浩一朗(2015)バディキッズ・アドベンチャー・チャレンジ・ プログラムの開発と実践. スポーツ産業学研究,25:185-199. 以上のことから、本審査委員会は、本論文が「博士(スポーツ科学)」の学位を授与する に十分値するものと認める。 以. 上.

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参照

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5 Ⅱ.論文審査の結果の要旨

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