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せみの抜け殻しらべ 共生のひろば 11号 兵庫県立 人と自然の博物館(ひとはく)

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Academic year: 2018

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共生のひろば 2016 年3月  196

セミの抜け殻しらべ

八巻

晤郎

(六甲山自然案内人の会)

はじめに

セミは幼虫の時期に土中に3~5年間棲息しているので環境の変化にはたいへん敏感であるといわ れている。そのため環境が変わってくるとセミの種類や数が変化してくる。身近にいるセミの変化は 私たちが生活している環境が変化していることを教えてくれるのである。

セミは、何処にでもそれなりの数が生息しており、種類も限られている。(渦森台では6種類)抜け

殻によるセミの種類の見分け方は、ちょっとだけコツを覚えれば、誰にでも簡単にできる。セミの抜 け殻は逃げないし生きているセミをとることはしない。セミの抜け殻を利用する生き物はいないと考 えられる。等々から環境や生態系に対する影響がきわめて少ない調査が可能である。

調査地と調査方法

◎調査地:神戸市東灘区渦森台4丁目周辺の3ヵ所

①渦森北公園:宅地造成のときに一緒に作られた住宅街の市バス道に面した小さな都市公園。 ②寒天橋道:住吉川支流、寒天橋上流、渓谷沿いの杉木立の道、山側斜面。

③渦森展望台公園:公園の北側が直接六甲山系に繋がっているので自然色が強く感じられる。

◎調査方法

2012 年~2015 年、毎年 7/20 前後から 8/20 前後にかけて、調査場所で4~6回の抜け殻採集を行い、 調査場所別に種類、♂♀を集計した。年次ごとの集計表を比較、調査メモによる当時の天候推移や環 境変化等に注目しながら集計数値の変動について考察した。

調査結果

ク マ ア ブ ラヒ グ ラそ の 他ク マ ア ブ ラヒ グ ラそ の 他 ク マ ア ブ ラヒ グ ラそ の 他小 計

2 0 1 2 年 1 9 1 4 0 0 9 0 1 3 2 0 7 5 0 1 8 1 3 8 4 1 6 4 4

2 0 1 3 年 3 7 6 2 5 0 3 0 1 6 4 0 6 0 0 1 2 1 0 2 2 8 7 7 0

2 0 1 4 年 2 4 0 2 7 0 5 0 1 0 2 0 2 3 0 1 0 8 4 1 4 5 0 5

2 0 1 5 年 2 7 8 7 0 0 1 7 0 1 6 8 2 6 7 1 2 4 1 8 9 2 7 8 4 3

小 計 1 0 8 5 1 6 2 0 3 4 0 5 6 6 2 2 2 5 1 6 4 5 1 3 1 1 0 2 7 6 2

* ク マ は ク マ ゼ ミ 、 ア ブ ラ は ア ブ ラ ゼ ミ 、 ヒ グ ラ は ヒ グ ラ シ

そ の 他 は 、 ミ ン ミ ン ゼ ミ 、 ツ ク ツ ク ボ ウ シ 、 ニ イ ニ イ ゼ ミ の 合 計

3 . 寒 天 橋 道 2 . 渦 森 展 望 台 公 園

(2)

197 共生のひろば 2016 年3月  85%

12% 3%

渦森北公園

クマゼ ミ アブラ ゼミ その他

1.渦森北公園

植栽はすべて他所から持ち込まれた樹木でそれらの根についていた

クマゼミが羽化し繁殖したものと思われる。アブラ、ニイニイは周囲

の山地から飛来する程度で典型的なクマゼミ王国である。

2.寒天橋道

杉木立の両側斜面にはシダが多く、その葉裏がヒグラシにとって 格好の羽化場所となっている。雑木も多いが低木がほとんどで樹 下は湿っぽい。アブラゼミ、ミンミンゼミの抜け殻は見つかるが クマゼミは声だけ。クマゼミの抜け殻は 2015 年になってようやく 1個みつけた。ヒグラシ王国といえる。

3.渦森展望台公園

山を背景にアブラゼミの勢力が強いのか、公園の南側には人家が迫

っているのにクマゼミはいない。東側の谷筋にたくさんいるヒグラシ

も日照が良すぎるせいか姿を見かけない。アブラゼミ王国だがミンミ

ン、ツクツク、ニイニイが他の 2 箇所より多いのも特徴。

*2014年、異変発生: 調査結果表にあるように抜け殻数の小計が 505 個と非常に少ない。この年 は 7 月末から 8 月中旬にかけて大雨を伴った台風 11/12 号が迷走しながら上陸してきた。この大雨で 8/7 は大雨警報が発令、われわれの調査も中止を余儀なくされた。ほどなく渦森台下の住吉川沿いで崖 崩れが発生し道路が通行不可となり、13 日は迂回路を通って渦森台へ行かねばならなかった。調査地 一帯は高台のため雨水は恐ろしいほどの勢いで側溝、道路を流れ下ったらしい。セミの抜け殻もその 影響を受けて樹木の枝葉に留まることができず流されてしまったものが多数出た。この自然災害を予 知したのかセミの♀が一週間ほど羽化を早めているのである。通常、渦森台周辺では 7/20 頃から羽化 が活発になり、♂の羽化ピークが 7/25~30 日、♀はそれから一週間ほど遅れる。ところがこの年は♀の ピークが 7/30 に早まったのである。(下のグラフ参照)セミの抜け殻が流されたのはやむを得ないことだ が、♀が早期に大量に羽化してきたことは大いに注目に値する出来事であった。

9%

75% 16%

寒天橋道

アブラゼ ミ ヒグラシ

その他

72% 28%

渦森展望台公園

アブラ

ゼミ

(3)

共生のひろば 2016 年3月  198

*年次別の羽化の推移(年次別/調査日別/種類別を折れ線グラフと表で表したもの)

0 20 40 60

7/18 7/25 8/1 8/8 8/15 8/22 8/29 9/5

2012

クマ♂ クマ♀ アブラ♂

アブラ♀ ヒグラ♂ ヒグラ♀

0 50 100 150

7/18 7/25 8/1 8/8 8/15 8/22

2013

クマ♂ クマ♀ アブラ♂

アブラ♀ ヒグラ♂ ヒグラ♀

→ 調 査 日

2 0 1 2 年 7 / 1 8 7 / 2 7 8 / 7 8 / 2 1 9 / 6

2 0 1 3 年 7 / 1 8 7 / 2 5 8 / 1 8 / 8 8 / 2 2 ク マ ♂ 6 4 4 4 0 1 0 1 0 抜 ク マ ♂ 4 0 1 0 0 2 1 7 9 ク マ ♀ 1 1 6 4 9 9 4 け ク マ ♀ 1 6 8 8 4 2 4 0 1 3 ア フ ゙ ラ ♂ 6 4 9 3 4 1 1 7 殻 ア フ ゙ ラ ♂ 1 8 3 8 2 3 1 3 1 0 ア フ ゙ ラ ♀ 0 1 1 4 4 1 5 1 0 の ア フ ゙ ラ ♀ 2 2 3 3 7 1 5 2 2 ヒ ク ゙ ラ ♂ 2 0 1 7 1 4 5 4 個 ヒ ク ゙ ラ ♂ 1 2 1 8 1 0 2 1 0 ヒ ク ゙ ラ ♀ 1 1 2 6 2 6 1 4 1 数 ヒ ク ゙ ラ ♀ 1 1 1 1 1 4 4 1 0

7 月 末 に 4 丁 目 の 町 内 清 掃 が あ り 、 北 公 園 の 抜 け 殻 は 全 部 処 分 さ れ た の で 8 / 1 の ク マ セ ゙ ミ の 数 値 は か な り 低 く な っ て い る 。

0 20 40 60 7 /2 1 7 /2 3 7 /2 5 7 /2 7 7 /2 9 7 /3 1 8 /2 8 /4 8 /6

2015

クマ♂ クマ♀ アブラ♂

アブラ♀ ヒグラ♂ ヒグラ♀ 0

50 100

7/23 7/30 8/6 8/13 8/20 8/27

2014

クマ♂ クマ♀ アブラ♂

アブラ♀ ヒグラ♂ ヒグラ♀

2 0 1 4年 7 / 2 3 7 / 3 0 8 / 1 3 8 / 2 7 2 0 1 5 年 7 / 2 1 7 / 2 6 7 / 3 0 8 / 3 8 / 7 ク マ ♂ 6 7 3 0 1 1 1 ク マ ♂ 2 4 5 5 3 7 2 9 1 1 ク マ ♀ 5 1 5 1 1 9 1 0 ク マ ♀ 4 1 5 2 4 4 7 1 3 ア フ ゙ ラ ♂ 3 3 2 5 1 6 0 ア フ ゙ ラ ♂ 1 3 4 1 2 8 2 3 1 1 ア フ ゙ ラ ♀ 7 4 5 1 2 1 ア フ ゙ ラ ♀ 8 4 2 2 7 2 9 2 1

(4)

199 共生のひろば 2016 年3月 

まとめと考察

1. セミは土の中で過ごす幼虫期間が長いので棲息には土質と湿度が大きく影響する。

2. クマゼミは裸地で硬いところでも棲息しているが、ヒグラシは地上が枯葉や枝で覆われ、かなり

湿気を含んだ場所が必要である。アブラゼミは両者の中間といえるが人工造成地への適応力はク マゼミに劣るようだ。

3. 調査場所は相互に 300m 以内にあるにもかかわらず、3 種の産卵場所はほゞ固定されている。鳴き 声から相互の飛来はあるようなので出現の有無は今後の調査に待ちたい。

4. 自然災害に対してセミはどのような行動をとるのか?

参照

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