博 士 ( 農 学 ) ス
ベ
キ
学位論文題名
Chemical Studies on Medicinal Plants in Central Kalimantan
(中央カリマンタン産薬用植物の化学的研究)
.学位論文内容の要旨
インドネシアはアマゾンに次ぐ遺伝子源の宝庫といわれ、特にカリマンタン島で は数多くの植物が民間薬として用いられている。しかし、医薬としての効果は定か ではない。
犬バベシア症はバベシア原虫Babesia gibsoni がダニを媒介とし、イヌ赤血球に寄 生することによって引き起こされる感染症である。バベシア症は牛や馬といった家 畜などでよく発症し、われわれヒトにとっても重大な問題となってきている。これ までバベシア症に用いられてきた薬は、バベシア原虫を完全に駆除できない、また 副作用が引き起こされる等、限界があった。一般的にバベシア原虫はマラリア原虫
Plasmodium falciparumと同様、赤血球に侵入、破壊することによって重篤な貧血状 態を引き起こす。また、この2 っの原虫が引き起こす症状は発熱など非常に類似し ている。以上より本研究では抗原虫植物の科学的な評価と今までの薬に取って代わ る、副作用の少ない化合物の探索を目的に研究を行った。
1.薬用植物のスクリーニング
イ ン ド ネ シ ア で 民 間 薬 と し て 用 い ら れ て い る 68種 類 の 植 物 を カ リ マ ン タ ン 島 で 収 集 し た 。 こ れ ら 植 物 はB. gibsoniに 対 す る 抗 バ ベ シ ア 活 性 に よ っ て ス ク リ ー ニ ン グを 行った。その結果 、Arcangelisiaー触V¢EbeDCロゅ恥perめbf甜ぷ,E釘ッCDmロめ 曙めfぬ,
Pe門fロ卑 ロdb門mDrをnP緲´脇門廟船門ケ甜rt匈毋 gf甜mpツCM門肭甜M,.鋤D闇a6ロぬ〃.呂ぞr口鵬 Cf門M朋D朋 MJf門fDあ ( 而M加 ぬ ′ 塘 脇 に 強 い 活 性 が 見 ら れ た 。 こ れ ら の 植 物 は 抗 マ ラ リア植物として知られているものである。
2.活性化合物の単離とその構造決定
抗 バ ベ シ ア 活 性 を 指 標 に5っ の 植 物 を 精 製 し た 結 果 、A flavaか らpalmatine1, berberine2,jatronIhiZine3,dihydroberberine4,20‐hydrOXyeCdySOne5を、S6ロぬ門gロr口門 か らvaticanolA6,vaticanolB7,vaticanolG8を、P門 ケ甜 灯か らp‐glucogallin9,quercetin 3‐〇‐p‐D‐glucopyranosyl・(2→1)‐〇.p.D・xylopyranosldelO,p‐sitoster0111,gamcacid12,
l‑O‑galloyl‑6‑O‑luteoyl‑a‑D‑glucose 13を、Grigidaカゝらa‑mangostin 14,(+)‑catechin 15を、C.sintocからmethyleugenol 16,cinnamaldehyde 17,1‑allyl‑3,4‑dimethoxy‑phenol 18,cinnamic acid 19,[3‑sitosterol 20aとvanillin 20bとconiferyl aldehyde 20cの混合 物,cinnamyl alcohol 21,dehydrodieugenol 22,secoisolariciresinol 23を単離した。これ らの構造はNMRなどのデータをもとに決定した。
3.活性化合物の生理活性
単 離 さ れ た 全 て の 化 合 物 は 抗 バ ベ シ ア 活 性 と 抗 マ ラ リ ア 活 性 に っ い て 調 べ た 。 A.flavaか ら の 化 合 物1−4に は 非 常 に 高 い 抗 バ ベ シ ア 活 性 が 観 察 さ れ 、 そ のIC50は 0.41 yg/mlか ら0.57 ptg/mlで あ る と 判 明 し た 。 抗 バ ベ シ ア 薬 と し て 市販 され てい た ガ ナ ゼ ッ ク がICs0 0.59 yg/mlで あ る の で 、 化 合 物1−4は 高 い 活 性 を 持っ とい える 。 化 合 物5の 活 性 は 弱 く 、 ぢ . gibsoniに 対 す るIC50は70.94 yg/mlで あ っ た 。S balangeranか ら の 化 合 物6と8は25 pg/mlで 完 全 に 成 長 を 抑 制 し た が 、 化 合 物7 は50 yg/mlと い う 弱 い 活 性 で あ っ た 。P f′wfか ら の 化 合 物13に 非 常 に 高 い 抗 バ ベ シ ア 活 性 が 観 察 さ れ 、 そ のIC50はO.41p〆ml、 また マラ リ ア原 虫Pカた ルロ ′釘mに 対す るIC50は1.4p〆mlであ った 。ほ かの 化合 物9,lO,n,12に つい ては 、B呂f6ざD門f に対するIC50がそれぞれ7.3,35.4,60.4と13.5pg/ml,Pカ七ルロr甜朋に対するIC50が それ ぞれ4.7,10.9, 32.1と14.8p〆mlであると判明した 。抗マラリア薬のク口ロキ ン がIC500.41p〆mlで あ る の で 、 化 合 物9―13の 活 性 は そ れ ほ ど 強 い とは いえ ない 。 G′ 塘 脇 か ら の 化 合 物14は 非 常 に 高 い 抗 マ ラ リ ア 活 性 が 観 察 さ れ 、Pカ た りd′ m に 対 す るIC50は1.3pg/mlで あ っ た 。 ま た 、 化 合 物15のIC50は113.7鵬/mlで あ っ た 。C. ざ 仞fDcか ら の 化 合 物17,20aと20bと20cの 混 合 物 ,22な ら び に23に 非 常 に 高い 抗マ ラリ ア活 性が 観察 され 、そ のIC50は そ れぞれO.92,1.72,2.96と2.18ug/ml で あ っ た 。 一 方 、 化 合 物16,18,19な ら び に21のPカ を り 甜 mに 対 す るIC50は そ れ ぞれ3.13,9.76,4.75と3.91pg/mlであった。
以 上 、5種 類 の 植 物 か ら 単 離 さ れ た 活 性 化 合 物 は 、mvf舶 に お け る みgf6ぷD″fと Pカ た り ぴ 甜 朋 の 増 殖 抑 制 効 果 を 示 し た 。 抗 バ ベ シ ア 剤 と し てAメ ロwか ら の1―4,S 6ロな〃.呂ワrロ門からの6,尸門f′Mnカゝらの13,抗マラリア剤としてP門ケ甜ガカゝらの13、 G.r塘脇からの14,C.ぷf門fDcからの17が有望であるといえる。
:碓。:町k
1 Rj: OCH3, R2: OCH3 4 2 Ri, R2: O‑CH2‑0
3 RI:OCH3 R2:OH
1 4 1 7
― 1 4 9 ‑
H
。
び
学位論文審査の要旨 主 査 教 授 吉原照彦 副 査 教 授 田原哲士 副査 教授 生 方 信 副査 助教授 松浦英幸
学 位 論 文 題 名
Chemical Studies on Medicinal Plants in Central Kalimantan
( 中 央 カ リ マ ン タ ン 産 薬 用 植 物 の 化 学 的 研 究 )
犬 バ ベ シ ア 症 は バ ベ シ ア 原 虫Babesia gibsoniが ダ ニ を 媒 介 と し 、イ ヌ 赤血 球に 寄 生 す る こ と に よ っ て 引 き 起 こ さ れ る 感 染 症 で あ る 。 バ ベ シ ア 症 は 牛 や 馬 と い っ た 家 畜 な ど で よ く 発 症 し 、 わ れ わ れ ヒ ト に と っ て も 重 大 な 問 題 と な っ て き て い る 。 マ ラ リ ア 原 虫Plasmodiumカlciparumは バ ベ シ ア 原 虫 と 同 様 、 赤 血 球 に 侵 入 、 破 壊 す る こ と に よ っ て 重 篤 な 貧 血 状 態 を 引 き 起 こ す 。 ま た 、 こ の2っ の 原 虫 が 引 き 起 こ す 症 状 は 発 熱 な ど 非 常 に 類 似 し て い る 。 以 上 よ り 本 研 究 で は 抗 原 虫 植 物 の 科 学 的 な 評 価 と 今 ま で の 薬 に 取 っ て 代 わ る 、 副 作 用 の 少な い化 合物 の探 索を 目的 に研 究 を行 った 。
1.薬用植物のスクリー ニング
イ ン . ド ネ シ ア で 民 間 薬 と し て 用 い ら れ て い る68種 類 の 植 物 を カ リ マ ン タ ン 島 で 収 集 し た 。 こ れ ら 植 物 は 盈gibsoniに 対 す る 抗 バ ベ シ ア 活 性 に よ っ て ス ク リ ー ニ ン グを 行っ た 。そ の結 果、Arcangelisia flava, Elaeocarpus petiolatus,Eurycoma longifolia, Pentaspaめ門mofをnP緲〃ロ門崩船門ケ釘rえ$′う´gf甜mガC門口門崩甜m,勵D朋ロ6ロ脇′囎ワr口鵬 a門 門 ロ 朋0m msf門 細 卮G切 朋 加 ぬr響 ぬ に 強 い 活 性 が 見 ら れ た 。 こ れ ら の 植 物 は 抗 マ ラ リア植物として知られ ているものである。
2.活性化 合物の単離とその構造決定
抗 バ ベ シ ア 活 性 を 指 標 に5っ の 植 物 を 精 製 し た 結 果 、A flavaか らpalmatine1, berberine2,jatrorrhizine3,dihydroberberine4,20‑hydroxyecdysone5を 、&balangeran か らvaticanolA6,vaticanolB7,vaticanolG8を 、Pniruriか ら[3‑glucogallin9,quercetin 3‑o‑p‑D‑glucopyranosyl‑(2‑*i)‑o‑p‑D‑xylopyranoside 10,p‑sitosterol 11,gallic acid 12, l‑O‑galloyl‑6‑O‑luteoyl‑a‑D‑glucose 13を 、Grigidaか らa‑mangostin 14,(+)‑catecbjn 15を、C.ぷf門めぇか・らmethyleugen0116,cinnamaldehyde17,1―甜lyl−3,4―dimethoxy.phenol ―150ー
18,cinnamlcaCld19,p‐sitoster0120aとvanillin20bとcomfeびlmdehyde20cの混 合 物 ,CinnamylalCOh0121,dehydrodieugen0122,SeCOiSOlariCireSin0123を単離し、その構 造 を決定した。
3.活性化合物の生理活性
単 離 さ れ た 全 て の 化 合 物 は 抗 バ ベ シ ア(B. gibsoni)活 性 と 抗 マ ラ リ ア (P カlciparum)活 性 に つ い て 調 べ た 。Aflavaか ら の1‑4の 抗 バ ベ シ アIC50は0.41‑0.57 yg/mlで あ る 。 抗 バ ベ シ ア 薬 ガ ナ ゼ ッ ク がICs0 0.59 yg/mlで あ る こ と から 、同 等の 活 性 が 見 ら れ た 。 化 合 物5の 抗 バ ベ シ アIC50は70.94鵬/mlであ った 。&6ロb曙鷺 ′弸 か ら の6と8は25嵋/mlで 完 全 に 成 長 を 抑 制 し た が 、7は50p伽1と い う 弱 い 活 性 で あ っ た 。P門 ケwfか ら の13の 抗 バ ベ シ アIC50はO.41斗g/ml、 ま た 抗 マ ラ リ アIC50 は1.4リg/mlで あ っ た 。 ほ か の 化 合 物9,10,n,12に つい ては 、抗 バベ シアIC50がそ れぞれ7.3,35.4,60.4と13.5斗g/ml,抗マラリアIC50がそれぞれ4.7,10.9,32.1と14.8 pg/Inlで あ っ た 。 抗 マ ラ リ ア 薬 ク ロ ロ キ ン はIC500.41ル 伽1で あ る 。Gr塘fぬ か ら の14は 非 常 に 高 い 抗 マ ラ リ ア 活 性 が 観 察 さ れ 、 抗 マ ラ リ アIC50は1.3pg/mlで あ っ た 。 ま た 、15のIC50は113.7pg/mlで あ っ た 。C. ざ 加fD七 か ら の17,20aと20bと 20cの 混 合 物 ,22な ら ぴ に23に 非 常 に 高 い 抗 マ ラ リ ア 活 性 が 観 察 さ れ 、 そ のIC50 はそ れぞ れ0.92,1.72,2.96と2.18p如1で あっ た。 一方 、16,18,19な らびに21の 抗 マ ラ リ アIC50は そ れ ぞ れ 3. 13, 9.76, 4. 75と 3. 91嵋 /mlで あ っ た 。 以 上 、5種 類 の 植 物 か ら 単 離 さ れ た 活 性 化 合 物 の う ち 、 抗 バ ベ シ ア 剤 と し てA ルwlロ か ら の1一4,S6ロ 彪 轡r弸 か ら の6,P門f′wfか ら の13, 抗 マ ラ リ ア 剤 と し て P門0 ′fか ら の13、GI′ 塘脇 から の14,C. ぷmfDたか らの17が 有望 であ ると ぃえ る。
:碑
斑:
1 Ri: OCH3, R2: OCH3 4
2 Ri. R2: O‑CH2‑0 H 3 RI:OCH3 R2:OH
14
―151ー
17
H H