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携帯電話における電磁界ドシメトリ評価技術の研究

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 井 山 隆 弘

学 位 論 文 題 名

携帯電話における電磁界ドシメトリ評価技術の研究 学位論文内容の要旨

  携 帯 電 話 を 始 め と する 電 波 利 用 シ ステ ム に お け るEMC(Electromagnetic Compatibility;電磁 界 両 立 性 )の 最 も 重 要 を目 的 の1っ は, 意 図 的 に 発 する 電 波 に 関 わる 安 全 性 に 知見 を 明 ら か にし ,関連 の 技 術 を確 立 す る こ とで あ る . そ し てそ の 対 象 分 野は , 基 準 ・規 格 への適 合確認 と 電磁 界両立 性 の 探 索 と い う2つ の カ テ ゴ り に 大 別 でき る , 電 波 の生 体 へ の 安 全 性評 価 の 上 で は, 前 者 は ある 装 置 の 発 し た 電 波 に よ る 生 体 の エ ネ ル ギ ー 吸 収 量 に つ い て 予 め 定 めら れ た 限 度 値を 満 足 し て いる か , 後 者 は 電 波 に よ る生 体 の エ ネ ルギ ー 吸 収 量 がど の く ら い に 極る と 生 物 学 上の 有 意 差 も しく は 影 響が 出 る の か と い う こ と に 相当 す る . し たが っ て , 電 波に よ る生体 のエネ ルギ ー吸収 量の定 量 的 評 価 , い わ ゆ る 電 磁 界 ド シ メ ト り は , ど ち ら の カ テ ゴ り に お い ても 非 常 に 重 要を 技 術 で あ る,

   基 準 ・ 規 格 への 適 合 確 認 の ー つ に , 携帯 電話端 末のSAR(Specific Absorption Rate;比吸収 率)

測 定 があ る . 一 般 的に , 液 体 フ ア ント ム を 用 い たSAR預IJ定 装 置 が 用い ら れ て い る. 液 体 フアン トム 内 で 電 界 プ ロ ー ブ を 走 査 し て 詳 細 をSAR分 布 を 得 る の で 精 度 の 高 い 測 定 が 可 能 で あ り , 適 合性 評 価 に 供し て い る . 一方 , 水 分 の 蒸 発等 に よ り 電 気的 特 性 の 変 化へ の 注意が 必要で あり ,取扱 いが容 易 で は を い と いう デ メ リ ッ トも あ る , そ こで , 固 体 フ ァン ト ム を 用 い るこ と で そ れ らを 解 決 す る こと を 提 案 し た . 側 頭 部 のSAR測 定 に 対 応す べ く , 頭 部形 状 の 固 体 ファ ン ト ム と 電界 プ ロ ー プ を 組み 合 わ せ る こ と によ り 測 定 系 を構 築 し た . 液体 中 の よ う に電 界 プ ロ ー プ を動 か す こ と はで き を い が ,手 早 く 簡 易 に 側 頭 部 のSARを 得 ら れ る 特 長 を 有 す る.FDTD(Finite Difference Time Domain)法 を 用 い た 数 値 計 算に よ り , 固 体フ ァ ン ト ム の電 界 プ ロ ー プ挿 入 穴 の 直 径 と電 気 的 特 性 の範 囲 に つ い て設 計 を 行 い , 測定 装 置 を 構 成し た . 携 帯 電話 機32機 種を 用 い た 実 測を 行 い , 標 準化 さ れ た 電 界 プロ ー プ 走 査 法 に ょ っ て 得 ら れ た 結 果 と 比 較 し た と こ ろ , 約77パ ー セン ト の 携 帯 電話 機 に 対 し て 偏差30 パ ー セ ン ト 以 内 で10g平 均SARを 求 め る こ と が で き た . 残 り23パ ー セ ン ト の 機 種 に つ い て も , 偏 差50パ ー セ ン ト 以 内 で10g平 均SARを 求 め る こ と が で き た ( 第2章 ) . さ ら に , 側 頭 部 以 外 のSAR 測 定 に 対 応 すべ く , 平 板 状の 固 体 フ ァ ント ム と 複 数 の電 界 プ ロ ー プ を組 み 合 わ せ るこ と に よ り 測定 系 を 構 築 し た . フ ア ン ト ム 形 状 の 対 称 性か ら , 携 帯 電 話等 の 評 価 対 象を 走 査 す る こと で 詳 細 をSAR 分 布 が 得 ら れ ,SAR測 定 法 規 格 に 沿 っ た 厳 密 を 局 所SAR測 定 が 可 能 と を る 特 長 を 有 す る.FDTD法 を 用 いた 数 値 計 算 によ り , フ ァ ン トム の 大 き さ ,プ ロ ー プ の 径, お よびプ ロープ の間 隔につ いて設 計 を 行 い , 測 定装 置 を 構 成 した . 標 準 化 され た 電 界 プ ロー ブ 走 査 法 に よっ て 得 ら れ た結 果 と 比 較 した と こ ろ , 設 計 ど お り の パ ラ メ ー タ で あ れ ぱ 偏 差10パ ー セ ン ト 以 内 で10g平 均SARを 求 め る こ と がで きた.IEC(International Electrotechnical Comission;国際電気標準会議)規格62209−2(ドラフト)

およ ぴIEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers;電気電子学会)規格1528ー200X(ドラフ ト ) にてSAR測 定の 時 間 短 縮 技術 と し て 弓f用 され ている 通り ,産業 的観点 から有 用であ る( 第3章 ),

   電 磁 界 両 立 性の 探 索 の ーつ に , 電 波 の生 体影響 評価が ある, 中で もin vitro(細胞 )実験 は,in 814

(2)

vivo(動物)実験と比較してサンプル数を多くできる,また電波ぱく露量を制御しやすいという特長 が ある.In vitro実験用 電波ば く露装 置とし ては, 導波管やTEMセル内に細胞と培養液を満たした 培養皿を設置し,電界を閉じ込めて印加するタイプのものでよく用いられている,しかし,一度に取 り 扱える培養皿の数が少誼いことや,細胞の様子を観察するためには培養皿を一度取り出さをけれ ぱをら誼いという問題点があった.そこで,培養装置自体を電波の透過する材料で構築し,外部から 電波を吹き付ける方法を提案し,評価・構築を行った.この構成により,同時に電波照射できる細胞 サ ンプル 数を閉 じ込め 型に比 べて格段に増やすことができる.培養液中のSAR評価にあたっては.

培 養皿の形状や培養液の量を忠実に再現するために,任意形状や不連続形状の電磁界解析に適した FDTD法を用いた|また,培養液の温度上昇を把握することはin vitro実験用電波ばく露装置に開発 において非常に重要である.温度評価にあたって,ドシヌトリ計算結果をそのまま熱源として取り込 むことのできる,熱輸送方程式を用いた.温度,湿度,二酸化炭素濃度をどの細胞培養環境が安定的 に供給できていることを実測し,また,実際に細胞を電波ばく露インキュベータ内で繁殖させてその 増殖度を測定するてとにより,in vitro実験における汎用的を細胞培養環境が供給できていることを 確認した,本装置の構築により大規模教in vitro実験が実施可能とをり,携帯電話オベレータ4社共 同実験やARIB(Association of Radio Industries and Businesses;電波産業会)委託実験にも利用され た(第4章),

  電磁界ドシメトリ評価において重要をパラメータのーっに,損失体の電気的特性がある.しかし,

特にドシメトリ計算においては外部文献から引用されることが多い.そてで,一般的に損失性媒体の 電 気的特性の評価に良く用いられている同軸プローブ法だけではをく,電波工学の極めて基本的を 原理に立ち返った測定法を提案し,高含水組織の電気的特性を評価した.純水について,一般化され た定式とよく一致することが確認できた.また,ヒトと同じ哺乳動物の例として豚,牛,羊,および鶏 の食肉について,同軸プロープ法によって電気定数を求めた.各サンプルによって電気定数に大きを 差 が教い,筋肉繊維の方向による電気定数の依存性が小さい,また,電気定数そのものに10パーセ ント程度の偏差が含まれることが分かった,したがって,哺乳動物の各組織の電気定数測定の結果を ヒトの各組織に当てはめることが妥当である,ドシメトリ評価において異方性を考える必要がをい,

ド シメトリ評価においても10パーセント程度の偏差が必然的に含まれることが明らかにをった,併 せて,損失性媒体の中での電磁界の基本的を挙動の把握として,特に携帯電話端末のように波源が近 接する場合に注目して評価した.アンテナ近傍においても遠方においても,損失性媒質がをい場合と 比 較して 損失性 媒質が ある場 合に磁 界強度が 大きく をる範 囲があ ること を確認した(第5章),

‑ 815

(3)

学位論文審査の要旨 主 査    教 授    野島俊雄 副 査    教 授    宮永喜一 副 査    教 授    小柴正則 副 査    教 授    小川恭孝 副査   准教授   山本   学

学 位 論 文 題 名

携帯電話における電磁界ドシメトリ評価技術の研究

  携 帯 電 話 を始 め . と す る電 波 利 用 シ ステ ム に おけ るEMC(Electromagnetic Compatibility;電磁 界両 立性 ) の 重 要 な目 的 の1っ は, 意 図 的 に 発 する 電 波 に 関 わる 安 全 性 に 知見 を明ら かにし ,関連 の技 術 を確 立 す る こ とで あ る . そ の 対象 分 野 は , 基 準 ・規格 ーの適 合確認 と 電磁 界両立 性の探 索 と いう2つ の カ テゴ り に 大 別 でき る , 電 波 の 生体 へ の 安 全 性評 価 で は , 前者 は あ る装置 の発し た電 波 によ る 生 体 の エネ ル ギ ー 吸 収 量に っ い て 予 め定 め ら れ た 限度 値 を 満 足 して い る か , 後者 は 電 波 によ る 生 体 の エネ ル ギ ー 吸 収 量が ど の く ら いに な る と 生 物学 上 の 有 意 差も し く は 影 響 が出 る のか とい う こ と に 相当 す る . し た がっ て , 電 波 によ る 生体の エネル ギー吸 収量 の定量 的評価 ,いわ ゆる 電 磁 界 ド シ メ ト り は . ど ち ら の カ テ ゴ り に お い て も 非 常 に 重 要 な 技 術 で あ る .   本 論 文 は ,電 磁 界 ド シ メト リ 計 算 に よる 設 計 と測 定によ る妥 当性確 認を行 いなが ら,測 定系 およぴ 実 験 装 置 の 構 築 を 行 っ た も の で あ り , こ れ ら の 内 容 に っ き , 各 章 で 詳 細 を 述 べ て い る .   第1章は論 文の導 入部 であり ,本研 究の目 的と意 義に っいて 述べて いる.

  第2章 は ,携 帯 電 話 端 末のSAR(Specific Absorption Rate;比 吸 収 率 ) 測定 に っ い て , 新た に固 体 ファ ン ト ム の 適用 を 提 案 し て いる.FDTD(Finite Difference rme Doma血)法 を用い た数値 計算 によ り, 固 体 フ ァ ント ム の 電 界 プ ロー ブ 挿 入 穴 の直 径 と電気 的特性 の範囲 にっ いて設 計を行 い,測 定装 置 を構 成 し て い る, 携 帯 電 話 機32機 種 を 用い た 実 測 を 行 い, 標 準 化 さ れた 電 界 プ ロ ーブ 走 査 法 によっ て 得 ら れ た 結 果 と 比 較 して , 約77パー セ ン ト の 携帯 電 話 機 に 対し て 偏 差30パ . ー セ ン ト以 内 で10g 平 均SARを 求 め る こ と が で き る こ と , 残 り23パ ー セ ン ト の 機 種 に っ い ても , 偏 差50パ ー セ ン ト 以 内で10g平均SARを 求める こと ができ ること を示し てい る.

  第3章 は , 平 板 状の 固 体 フ ァ ン トム と 複 数 の 電界 プ ロ ー プ を組 み 合 わ せ た測 定 系 に っ い て検 討 し てい る. 数値計 算に より, ファン トムの 大き さ,プ ロープ 径,お よ・び プロ ーブ間 隔につ いて設 計を 行 い, 測 定 装 置 を構 成 し て い る .標 準 化 さ れ た電 界 プロー ブ走査 法によ って 得られ た結果 と比較 し, 偏 差10パ ー セ ン ト 以 内 で10g平 均SARを 求 め る こ と が で き る こ と を 明 ら か に し て い る . こ れ ら成 果 は,IEC(Intemational Electrotech面calCornission;国際電気標準会議)規格62209一2(ドラフト)およぴ 皿 氾ms觚teofEle耐cdandElecm此Engineers; 電 気 電 子 学 会 ) 規 格1528‐200X( ド ラ フ ト ) に てSAR測 定 の 時 間 短 縮 技 術 と し て 引 用 さ れ て お り , 産 業 的 観 点 か ら も 有 用 で あ る .

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第4章は,電波 の生体影響評価のためのIn vitro実験用電波ぱく露装置について検討している.従 来,導波管や 田ヨMセル内に細胞と培養液 を満たした培養皿を設置し,電界を閉じ込めて印加する タイプのものがよく用いられている.しかし,一度に取り扱える培養皿の数が少たいことや,細胞の 様子を観察す るためには培養皿を一度取り出さなければならないという問題点があった,そこで,

培養装置自体 を電波の透過する材料で構築し,外部から電波を吹き付ける方法を提案し.評価・構 築を行ってい る.培養液の温度上昇を把握 することは量nvitm実験用電波ばく露装置に開発におい て非常に重要である,そこで,温度,湿度,C02濃度などの細胞培養環境が安定的に供給できている ことを実測し ,また,実際に細胞を電波ぱく露インキュベータ内で繁殖させてその増殖度を測定す ることにより ,mvitro実験における汎用的な細胞培養環境が供給できていることを確認している.

本 装置 の構築により大 規模なmvitro実験が実施可能 となり,携帯電話オペレー タ4社共同実験や

」6LRIB(AssociぬonofRadioIndus住iesandBusinesses;電波産業会)委託実験にも利用されている,

  第5章は,損 失体の電気的特性測定法に ついて検討している.電波工学の極めて基本的な原理に 立ち返った測定法を提案し,高含水組織の電気的特性を評価している.ヒトと同じ哺乳動物の例とし て豚,牛,羊,およぴ鶏の食肉にっいて,同軸プローブ法によって電気定数を求めている.各サンプル によって電気定数に大き栓差がなぃ,筋肉繊維の方向による電気定数の依存性が小さい,また,電気 定数そのもの に10パーセント程度の偏差が 含まれることを明らかにし ,哺乳動物の各組織の電気 定数測定の結果をヒトの各組織に当てはめることが妥当であることを示している,さらに,損失性媒 体の中での電 磁界の基本的な挙動の把握として,特に携帯電話端末のように波源が近接する場合に 注目して評価を行い,アンテナ近傍および遠方においても,損失性媒質がない場合と比較し損失性媒 質 が あ る 場 合 に 磁 界 強 度 が 大 き く な る 範 囲 が あ る こ と を 明 ら か に し て い る .   これを要するに,著者は,携帯電話利用の安全指針などに対する実験的根拠および電波の有効利用 拡大に寄与す る基盤技術に関して有益な新知見を得たものであり,情報通信技術の発展に貢献する ところ大なるものがある,よって著者は,北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるもの と認める.

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