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興奮性を示す反応拡散系にみられるシェルビンスキーガスケット (反応拡散系 : 生物・化学における現象とモデル)

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Academic year: 2021

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(1)

興奮性を示す反応拡散系にみられる

シェルビンスキーガスケット

お茶の水女子大学大学院人間文化研究科早瀬友美乃

1

反応拡散系のパルスが示す多様な振舞いが、現在、 注目を集めている。過去、反応拡散系のパルス は衝突により対消滅するのみと思われてきた。 しかし、近年、 衝突の際に反射をしたり $[1]_{\text{、}}$ ソリト ンのように衝突の前後でパルスの形が保存されるような現象が見られている $[2, 3]_{0}$ また、 –つのパ ルスが二つに分裂するパルスの自己複製現象も多くの系でみられるようになった [1-5]。 その結果、それらパルスの相互作用により、複雑な時空間パターンが得られる。リミットサイクル 振動と–様平衡解をあわせもつ反応拡散系 $[2, 3]$ の–次元の計算機シミュレーションのにより、パル スの軌跡が時空間パターンとして自己相似図形を生成することがわかっている。その自己相似図形 は、パルスの 3 世代を基本とするシェルピンスキー. ガスケットであった。ここで、パルスが分裂に より生成され、次に二つに分裂するまでをパルスの 1 世代と呼ぶ。 本稿では、 この「シェルピンスキーガスケット」が、 先に報告したモデル方程式$[2, 3]$ のみで形成

される特殊な時空間パターンではなく、一般的に興奮性を示す反応拡散系において形成されうる普遍

的なものであることを報告する。

初めに、 次の

Bonhoffer van

der Pol型の反応拡散方程式を考える。

$\tau\frac{\partial\cdot u}{\partial t}$

$=$ $D_{u} \frac{\partial^{2}u}{\partial x^{2}}+f(u)-v$

$\frac{\partial v}{\partial t}$

$=$ $D_{v} \frac{\partial^{2}v}{\partial x^{2}}+u-\gamma v+I$

$u$ は活性因子、$v$ は抑制因子である。ここで非線形項は次の三次関数とする。

$f(u)=au(u+1)(1-u\rangle$

パラメータ $D_{u},$$D_{v)}a,$$\gamma,$$I$は全て正の整数であり、ここでは系が単安定で興奮性を持つように選ぶ。

さらに $D_{u}<<D_{v}$ とする。 これまでの研究により [6]. $\tau$が十分に大きなところでは動かないパルスが安定に存在することが 知られている。また、$\tau$ を大きな値から下げて行くと $\tau_{b}$ において安定な動かないパルスは不安定化 する。 この際、パルスの中心は動かずに幅が振動する breathing

motion

があらわれ [7] 振動ドメイ ンが形成される。さらに $\tau$ を小さくして行くと$\tau_{b}^{*}$以下においては、その振動ドメインすら不安定と なる。 逆に $\tau$が小さいところでは伝搬するパルスが安定に存在する。$\tau$ を大きくしてゆくと、 ある $\tau_{P}$ に おいて安定に伝播するパルスは存在しなくなる。 $\tau_{l)}<\tau<\tau_{b}^{*}$ では、動かないパルスも伝播するパルスも安定に存在しない。

この窃と稽の中間付

近の $\tau$ の値において、図 1 にみられる自己相似時空間パターンが見られた。 分裂したパルスが衝突 の際に対消滅することによりこのような図形が形成される。

$1\mathrm{E}$-mail: $. \mathrm{v}\mathrm{u}\min_{0^{((}}\mathrm{j}\mathrm{n}\mathrm{e}\mathrm{w}\mathrm{t}\mathrm{o}\mathrm{p}\mathrm{i}\mathrm{a}.\mathrm{p}\mathrm{h}\mathrm{y}\mathrm{s}.\mathrm{t}(\mathrm{h}\neg \mathrm{a}.\mathrm{a}\mathrm{C}.\mathrm{j}\mathrm{P}$

数理解析研究所講究録

(2)

図1: 時空間パターン。 実線は$u=0$ の等高線。 以前シェルピンスキー. ガスケットがみられた系$[2, 3]$ と比較すると、本稿の系においてはリミッ トサイクル振動が存在しない。そのため、パルスは衝突におけるパルスの「対生成」はおこらない。 「分裂」 と「対消滅」によりパルスの

2

世代を基本単位とするシェルピンスキーガスケットが生成 される。 また、分裂現象がおこることで有名なGray-Scottモデルにおいて、同様に時空間パターンに注目 した研究をおこなったところ、

限られたパラメータ範囲において図 3 のようなシェルピンスキーガ

スケットが得られた。さらに、

Belousov-Zhabotinski

反応のモデル方程式として研究がおこなわれて いる Pragueモデルにおいても、 同様のシェルピンスキー. ガスケットが得られることがわかった。 このように、–次元の計算機シミュレーションの結果、 4 つの異なる非線形性をもつ反応拡散系 において、時空間パターンとしてシェルピンスキー. ガスケットが形成されるごとがわかった。さら に、興味深いことに、これらモデル方程式は「興奮性」 という共通の性質を持つものであった。この 結果から、 シェルピンスキー. ガスケットは「興奮性をもつ反応拡散方程式」において、普遍的に存 在するパターンであるといえる。

参考文献

[1] V. Petrov

K.

Scott

and

K. Showalter,

Philos. Trans. R.

Soc.

Lon don Ser.

A347, 631(1994).

[2] Y.Hayase, J. Phys Soc. Jpn. 66,

2584-2588

(1997).

[3] Y.Hayase and T.Ohta, Phys. Rev. Lett. 81,1726(1998).

[4] K. J. Lee, W. D. $\mathrm{M}\mathrm{c}\mathrm{c}\mathrm{o}\mathrm{r}\mathrm{n}$)$\mathrm{i}\mathrm{c}\mathrm{k}$

, Q. Ouyang, and H. L. Swinney,

NATURE

369, $2\mathrm{I}5(1994)$. [5] Y.

Nishiura and

D. Ueyama., Physica $\mathrm{D},$ $130$,73(1999).

[6 A. Ito and T. Ohta, Phys. Rev. A45, 8374(1992).

[7] S.Koga and Y.Kuramoto, Prog. Theor. Phys, 63, $10.5(1980)$.

図 1: 時空間パターン。 実線は $u=0$ の等高線。 以前シェルピンスキー . ガスケットがみられた系 $[2, 3]$ と比較すると、 本稿の系においてはリミッ トサイクル振動が存在しない。 そのため、 パルスは衝突におけるパルスの「対生成」 はおこらない。 「分裂」 と「対消滅」 によりパルスの 2 世代を基本単位とするシェルピンスキーガスケットが生成 される。 また、 分裂現象がおこることで有名な Gray-Scott モデルにおいて、 同様に時空間パターンに注目 した研究をおこなったところ、

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