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房室回帰性頻拍に対するIC群抗不整脈薬の臨床電気生理学的効果 : 塩酸ピルジカイニドの3種類の静脈内投与法による検討

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(1)

46 米子医誌

J

Yonago Med Ass 46, 46-57, 1995

房室田帰性頻拍に対する

1C

群抗不整脈薬の臨床電気生理学的効果

一塩酸ピルジカイニドの

3

種類の静脈内投与法による検討一

鳥取大学医学部内科学第一教室(主任真柴裕人教授)

矢 野 暁 生

E

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Drug Pi

1

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T

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y

c

a

r

d

i

a

ABSTRACT

Akio

YANO Department of Internal Medicine, FaculちIof Medicine Jrottri [Jniversiちん Yonago

6

8

3

, Japan Pi1sicainide hydroch1oride (P 1 L) is a new se1ective class 1 C antiarrhythmic drug. To in -vestigate the e1ectrophysio1ogic properties of P 1 L on atrioventricu1ar reentrant tachycardia(A V R T), 15 Wolff-Parkinson-White syndrome patients(P t) with sustained orthodromic A V R T who had a sing1e accessory pathway without structura1 heart diseases were studied. P 1 L was administrated intravenous1y to the tota1 dose of 0.5略/kgfor 10 minutes(S-1), 0.5mg/kg for 5 minutes(S-2) , or 1.0mg/kg for 10 minutes(S-3). According to the above protoco,l each P t underwent three examinations on separate oc -casions, severa1 days apart, with two e1ectrode catheters positioned at the right atria1 ap -pendage or in the coronary sinus, and at the right ventricu1ar apex. A V R T terminated with ventricu1oatria1 conduction b10ckade after the administration P 1 L in 9 P t with S-,l S-2, and 14 P t with S-3 (p<0.05, p<0.05). Area under the concentration-time curve with S-3 was 1arger than that with S-l or S-2 (p<O.O,l p< 0.01).Maximum p1asma concentration with S-2 or S-3 was higher than that with S-l

(p<0.05, p<O.o1).Time to termination with S-3 was shorter than that with S-l (p< 0.05). Ventricu1oatria1 conduction time after P 1 L with S-2 or S-3 was 10nger than that with S-l (p<0.05, p<O. 05). P1asma concentration on termination with S-2 or S-3 was higher than that with S-l (p<0.05, p<0.05). These resu1ts suggest that the ventricu1oatria1 conduction b10ckade over the accessory path -way by P 1 L is corre1ated with the intravenous doses, and that the pro1ongation of ven -tricu1oatria1 conduction time by P 1 L is corre1ated with the infusion rates or the p1asma concentrations. (Accepted on November 4, 1994)

(2)

4

7

房室回帰性頻拍に対する 1C群抗不整脈薬の効果

Key

words

W

o

l

f

f

-

P

a

r

k

i

n

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-

W

h

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t

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syndrome

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pathway

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1

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c

s

電極カテーテル複数留置法18)を用い,

P 1

L

を静 脈内投与してその頻拍停止効果および副伝導路を 介する逆行性伝導に対する作用について臨床電気 生理学的に検討し併せて臨床薬物動態との関連 についても検討を加えた.

P 1

L

の投与にあたっ ては,これらの作用が

P1

L

の投与量

(D

iv)に 依存するものか

P1

L

の投与速度

(R

inf)に依存 するものかを検討するため, DivとRinfとを変え た3種類の静脈内投与法を考案し,頻拍中にこれ らを施行した. 対象および方法 (1)対象 対象は平成5年8月から平成6年3月までに鳥 取大学底学部的属病院第一内科に入院して臨床心 臓電気生理学的検査

(

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E

P

S)

を施行した

W P W

症候群患者のうち,単 広司

W

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-

P

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-

W

h

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t

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(W

P

W)

症候群に合 併する頻脈性不整脈のーっとして,房室結節をIJ原 行性に副伝導路を逆行性に介するリエントリー機 序による房室回;帯性頻拍 (A

V R

T)

が知られて いる.この頻拍に対し,主にリエントリー回路の うちの室房伝導をブロックすることによりこれを 停止させる自的で,

Vaughan W

i

l

l

i

a

m

s

分類20)1 群抗不整脈薬の投与が行なわれる1)4)5)7)13)23) その 一つに本邦で新規に開発された

IC

群に分類され る 塩 酸 ピ ル ジ カ イ ニ ド

CN-(

2

6-dimethyl-p

h

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l

)

-

8

-

p

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t

e

J

(P

1

L)

2)3)8)9)12)があるが,これま でのところその経口投与法での停止効果は報告さ れているものの5),静脈内投与法でのそれは未だ 明らかでない.本研究では

AVRT

例について、 緒 表1.対象症例一覧 電極カテーテル留置部位 円 U 1 A 円 L q u d 性 幽 h u -q L q J A せ に d ハ む ヴ i o O Q d 宅S S A 噌 ' B A 唱 EE 目 ・ 4 E E A 唱 age-4BEA C S,

RVA

C

S

, RVA

RAA

RVA

C

S

, RVA

C S,

RVA

C S,

RVA

RAA

RVA

C

S

RVA

RAA

RVA

C S,

RVA

C

S

, RVA

C

S

RVA

C S,

RVA

C S,

RVA

C

S

RVA

側壁 (潜在性) 後側壁(潜在性) 側壁 (顕性) 側壁 (潜在性) 側壁 (潜在性) 前側壁(顕性) 側壁 (顕性) 後側壁(潜在性) 中中南(顕性) 前側壁(顕性) 後壁 (潜在性) 後中隔(顕性) 前側壁(顕性) 前側壁(潜在性) 後中隔(潜在性) 副伝導路存在部位

体重(kg) ハUAυ 目 ihdnuzdnU 民 d 民 d n u q u n u n u n u n u n U 1 i 円 L R u q d n 6 1 i n h u n U A U 1 i A 也 氏 u n d n x U 口 δ ヴ t p O 同 hdA 吐 AAPO 司 i Q U ヴ i p D P O F b n b p O ハ b 性別 男 男 女 女 男 男 男 男 男 女 男 女 男 男 男 年齢 qdqJnLQdQdnv 月 iqδnhUQd 咽i z d 円 J P O n y n b ヮ “ A 吐 A A ヴ i 1 i E d d 吐 円 L 弓 u n b R u q J F 3 1 3 晶 症例

RVA:

右心室心尖部 CS:冠静脈渦,

RAA:

布心耳,

(3)

4

8

矢 野 一副伝導路を有し,心室内変行伝導を伴わない持 続性の通常型AVRTがペーシンク、、により再現性 をもって誘発・停止可能であることが確認された

1

5

例である.内訳は男性

1

1

例,女性

4

例,平均年 齢

4

5

.7

1

8

.

4

歳,平均体重

6

2

.5

:t

1

0

.

4

k

g

であった (表 1).対象はいずれも試験開始前に理学的所 見および心電図,胸部レ線,心臓超音波検査によ って明らかな器質的心疾患を有さないことが確認 された.なお,重症肝・腎機能障害,薬物アレル ギー,妊娠の可能性のある女性および授乳中の女 性は対象から除外した.また、患者には予め,試 験目的,試験方法,予想される効果および副作用 などについて十分に説明し,試験参加への同意を 口頭もしくは文書で確認した. (2)対象の臨床電気生理学的特性 対象は顕性W P W症候群 7例,潜在性W P W症 候群8例,副伝導路の存在部位は左側

1

2

例,右側

3

例であった(表

1

)

.入院時の

EPS

における 臨床電気生理学的特性は,心房または心室頻回刺 激法にて, 1I国 行 性 に 房 室 結 節 を 介 し て 伝 導 を呈する最大刺激頻度は179:t

5

3

回/分,逆行性 に副伝導路を介して1 1伝導を呈する最大刺激 頻度は

2

1

6

3

4

回/分,基本刺激周期

6

0

0

m

s

e

c

で の心房または心室期外刺激法にて, 1I慣行性房室結 節有効不応期は

2

6

3

6

2

m

s

e

c

,逆行性副伝導路有 (右側副伝導路症例) 図1.電極カテーテル留置中の胸部X線写真 暁 生 効不応期は

2

8

6

45msec

,心房筋有効不応期は

2

1

4

:t

3

4

m

s

e

c

,心室筋有効不応期は

2

3

2

2

4

m

s

e

c

であった. (3)臨床電気生理学的検討 本試験に先立ち,抗不整脈薬を含む何らかの治 療薬を投与されていた場合はその薬物の半減期の

5

倍以上の期間投与を中止して

EPS

を施行し, 頻拍の機序,副伝導路の存在部位およびその臨床 電気生理学的特性を確認後,安全に反復薬効評価 を施行することが可能な電極カテーテル複数留置 法18)に従い,右または左鎖骨下静脈よりX線透視 下に

2

本の電極カテーテルを心腔内へ挿入した. カテーテルは右心耳 (RAA)留置用に電極間距 離

1

0

m

m

のオスカーメディカル社製

5

F

r

.

4

極電 極カテーテルを,冠静脈洞

(

CS

)

留置用に電極 間距離

5mm

のウェブスター社製

6F

r

.

8

極電極 カテーテルを,右心室心尖部 (RVA)留置用に 電極間距離

1

0

m

m

のアロー社製

5

F

r

.

2

極電極カ テーテルを使用した.右側副伝導路例ではR A A およびR V Aの2カ所に,左側副伝導路例ではC SおよびR V Aの2カ所に位置させ,試験期間を 通じて留置した(図 1) .試験時にこれら電極カ テーテルのR A A,R V A用では遠位2極を,

c

S用では副伝導路に最も近接した2極を電位記録 用として用い,体表面心電図(I、 E、V1誘導 (左側副伝導路症例) 写真左は右心耳と右心室心尖部に,写真右は冠静脈洞と右心室心尖部に電極カテーテルが留置されて いる.図中矢印はそれぞれの電極カテーテルの位置を示す.

(4)

房室凹帰性頻拍に対する 1C群抗不整脈薬の効果 49 のいずれか)と各部心腔内電位図とを日本電気社 製オムニコーダ

8M15

を使用して紙送り速度

1

0

0

mm/sec

で、同時記録した. 安静仰臥位にて,留置された電極カテーテルを 用い,心房または心室頻回刺激により頻拍を誘発 した.その後 5分間以上の観察を行い,頻拍の安 定した持続を確認した後,心腔内電位図より薬物 投与前の頻拍周期長 (A

V R

T-C

L),室房伝導 時間

(VA)

を計測した.次に,

P 1

L

を静脈内 投与して頻拍停止の有無を観察し,頻拍停止を認 めた場合は投与開始から頻拍停止までに要した時 間

(TT)

を計測し,頻拍停止様式および停止直 前での

AVRT-CL V A

を計測した.薬物予 定投与量を全て投与しても頻拍停止を認めなかっ た場合は全量投与終了直後での

AVRT-CL

V A

を計測し,その後に頻拍誘発時と同様の頻回 刺激を行なってこれを停止させた. なお,

AVRT-CL

V A

については,右側 副伝導路併ではそれぞれ,

RAA

A

波から次の

RAA

A

波までの時間,

RVA

V

波からそれ に引き続く

RAA

A

波までの時間として計測し た.また,左側副伝導路例ではそれぞれ,

C

S

A

波から次の

CS

A

波までの時間,

C

S

V

波 からそれに引き続く

CS

A

波までの時間とし, これらの計測にあたり

A

波,

V

波はいずれもそれ らの最大の振れを示す時点をとり,連続する

1

0

心 拍の平均値をもって計測値とした. (4)薬物投与方法および薬物動態学的検討 本試験は前述の体表面心電留および心腔内電位 図記録下に行い, トップ社製シリンジポンプ

TO

P-5200

を使用して頻拍中に左肘静脈内へ

P1

L

を投与した.その投与法は,

0

.

5

略/kgを

1

0

分間 で静脈内投与(低用量緩徐投与法,

S-l)

0

.

5

rng/kgを 5分間で静脈内投与(低用量急速投与法,

S-2)

, 1.

0

略/kgを

1

0

分間で、静脈内投与(高用 量急速投与法,

S-3)

3

種類とし,対象

1

5

例 それぞれについてこれらを 3回にわたり )1員次施 行,計

4

5

凹の試験を行なった.なお,各症例毎に ついて,異なる投与法を同

- 8

には施行せず,ま た 7日以内にこれら 3種類の投与法を全て終了 した. 試験薬剤は 5mQ中に

P1

L

3

0

略含有する溶液 (サントリー(株))を用い,これを

5%

ブドウ糖 液で全量を20mQに希釈して使用した.

P 1

L

の投与開始から

S-l

および

S-3

では

5

1

0

1

5

2

0

3

0

4

0

6

0

2

4

0

分後に,

S-2

では

3

5

1

0

1

5

2

5

3

5

5

5

2

4

0

分後に右 討静脈より毎回

5

mQの採臓を行い,ただちに遠心 分離して血撲を凍結保存した後,高速液体クロマ トグラフィ一法を用いて血接中未変化体薬物濃度 を測定した.

P 1

L

の血媛中薬物動態の解析は

two compartment modeH

こ従って非線形最小二 乗法を用い,薬物動態学的パラメーターを算出し た. (5)統計学的解析 投与法の違いによる頻拍停止効果の比較には

F

i

s

h

e

r

の直接確率計算法を用い,投与法の違いに よる

T T

AVRT-CL

V A

の比較,

P 1

L

投与による

AVRT-CL

V A

の変化,各投与 法での薬物動態については

Wi

1coxonsigned

r

a

n

k

s

検定を用いた.これらはいずれも危険率

5

%未満

(

p

<

0

.

0

5

)

の場合を有意とした. 本文および図表中の数値は全て,平均値士標準 偏差で示した. 結 果 (1)頻拍に対する

PIL

の効果(図

2

および表

2

)

P 1

L

投与中の頻拍の変化(症例

8)

,室房伝 導ブロック

(VAB)

による頻拍停止例(症例

4

, S-1)および房室伝導ブロック (A

VB)

によ る頻拍停止例(症例

1

,1

S-l)

を例示した.ま た,本試験では全例いずれの投与法でも

P1

L

投 与中に心室内変行缶導の合併を認めなかった. 症例

l

から症例

1

1

では

S

ーし S-2

S-3

い ずれの投与法でも頻拍停止を認め,さらにそのう ち症例 lから症例 9 (以下〔症例 1~ 9

J

と表す) では

S

ーし S-2

S-3

のいずれの投与法でも

VAB

による頻拍停止を認めた.症例

1

0

と症例

1

1

(以下〔症例

1

0

1

1]と表す)では

AVB

による 頻拍停止を認めた(ただし症例

1

1

S-3

V A

Z

による頻拍停止).一方,症例

1

2

から症例

1

5

(以 下〔症例 12~15J と表す)では S-l ,

S-2

で頻 拍停止を認めず,

S-3

でのみ全例

VAB

による それを認めた. (2)投与法の違いによる頻拍停止効果の比較(表

3

)

PIL

投与により

S-l

1

1

(73%)

S-2

1

1

(73%)

S-3

1

5

例(1

00%)

に頻拍停 止を認めた.

D

ivが詞じで、

R

infが異なる

S-l

S

-2とを比較すると,緩徐投与法と急速投与法と

(5)

0

- ミ ヨ 引 川 辺 = ・ - " " ・ ・ τ = -- " -m 幽 ・ 幽 闇 ・ ・ ・ ・ = = 5 開 幽 - m ・ 幽 ・ ・ 由 Z = -・ -・ ・ 凶 2 ・ 3 = 11

i -l i l i --

18

1

一 一 一 日 一 一 一 一 一 一

一 一 一 一 一 一 一 一 一 一

一 一 一 川

iJJ

一 一 一 一 一 国

生 暁 A S E O F

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b

a 百 be

図2.各投与法施行持の頻拍の変化および頻拍停止例での停止時電位記録 上設は3種類の投与法(左から!肢にS-l,S-2, S-3)を施行した際の投与前と頻拍停止直前で の体表面心電図 (ll,V1)および心腔内電位図 (CS,RVA)であり,それぞれの図中に頻拍滞 期長 (AVRT-CL),室房伝導時間 (VA)の計測値を示す(症例8).また,下段左に室房伝導 ブロックによる頻拍停止例(症例4,S-l)での,下段右に房案伝導ブロックによる頻拍停止例(症 例1,1 S-l)での停止時体表面心電国 (ll)および心腔内電位図 (CS, R V A)を示す.

(6)

房室回帰性頻拍に対する 1C群抗不整脈薬の効果 51

表2.各症例における頻拍停止の有無と停止様式

症例 S - 1 S-2 S-3

0.5略/kg/10min 0.5略/kg/5min 1.Omg/kg/10min

VAB VAB VAB

2 VAB VAB VAB

3 VAB VAB VAB

4 VAB VAB VAB

D 戸 VAB VAB VAB

6 VAB VAB VAB

7 VAB VAB VAB

8 VAB VAB VAB

9 VAB VAB VAB

10 AVB AVB AVB

11 AVB AVB VAB

12 N T N T VAB 13 N T N T VAB 14 N T N T VAB 15 N T N T VAB VAB:室房伝導ブロックによる頻拍停止, AVB:房憲伝導ブロックによる頻拍停止 NT:頻拍停止を認めず の関に停止例数の差を認めなかったものの,

R

inf が同じでDivが異なるS-2とS-3とを比較する と,低用量投与法に比して高用量投与法で有意に 増加した (p<O.05). 停止様式別では, VABをS-lで9例 (60%), S-2で9例 (60%),S-3で比例 (93%)に認 め, AVBをS-lで2例(13%),S-2で2例 (13%), S-3で1例 (7%)に認めた. VAB について向様にS-lとS-2とを比較すると,緩 徐投与法と急速投与法との聞に停止例数の差を認 めなかったものの, S-2とS-3とを比較すると, 低用量投与法に比して高用量投与法で有意に増加 した (p<0.05). 次にVAB例についての比較検討を, (症例10, 11Jをのぞいた〔症例 1~ 9 J と〔症例 12~15J において行なった. (2) (症例1~ 9

J

におけるT T,A V R T-C

L

, V Aの比較(表

4)

T TはS-lでの333土152secに対してS-2, S-3ではそれぞれ229士36sec,227:t 123secであ った. S-2とS-3とはほぼ同じ値で有意差を認 めなかった. S-lとS-2との聞には統計学的な 有意差を認めなかったもののS-2で短縮する額 向を認め, S-lとS-3との間には有意な差を認 めた (p<0.05).すなわち低用量投与法と高用 量投与法とでは差を認めなかったものの,緩徐投 与法に比して急速投与法ではT Tが短縮した.

P

1 L投与前にAVRT-CLはS-lで347土 68msec, S 2で343:t67msec, S -3で339土57 msec, V AはS-lで106土38msec, S-2で111 士50msec,S-3で104土38msecであった.これ らはいずれも3種類の投与法の関に有意な差を認 めずほぼ同じ値であった. 一方,頻拍停止直前にAVRT-CLはS-lで 387:!: 89msec, S -2で390:t91msec, S -3で

393土69msec,V AはS-lで134土45msec,

S-2で148土53msec,S-3で149土53msecであっ た.V AはS-lに比してS-2,S-3でいずれ も有意に延長し(いずれもp<0.05),S 2とS

-3

とはほぼ陪じ値で有意差も認めなかった.す なわち緩徐投与法に比して急速投与法での延長が 有意であった.AVRT-CLには投与法の違い による有意な差を認めず

3

回の投与法でほぼ同 じイ直であった.

(7)

5

2

矢 野 暁 生 表

3

.

各投与法における薬物動態学的パラメーターおよび頻拍停止例数 (n

=

1

5

)

Div Rinf Kel Cmax

T

1/2日

T

l/Zs

AUC

(略

/

k

g

)

(略

/

k

g

/

m

i

n

)

(hr→) (μg/ rnQ)

(

m

i

n

)

(hr) (μg'hr/rnQ)

S

-

1

0

.

5

m

g

/

k

g

/

1

0

m

i

n

0

.

5

0

.

0

5

8

.

2

3

1

9

.

4

7

1.

0

1

0

.

1

9

1.

7

9

:t

0

.

9

9

1.

6

6

0

.

5

2

1.

3

2

:t0.

8

5

総停止例数

1

1

(うち

VAB

の例数

(

9

)

(うち

AVB

の例数 (2) 不停止例数

4

S-2

0

.

5

m

g

/

k

g

/

5

m

i

n

0

.

5

0

.

1

0

6

.

5

4

:t

8

.

0

7

1.

4

2

:t

0

.

4

3

業l 1.

8

8

土1.

2

8

1.

6

3

:t

0

.

8

9

1.

1

6

:t

0

.

5

3

1

1

(

9

)

(

2

)

4

S-3

1.

0

/

k

g

/

1

0

m

i

n

1.

0

0

.

1

0

4

.

0

2

4

.7

7

1.

8

1

0

.

5

9

* 2 1.

3

8

:t

0

.

9

3

1.

6

8

0

.

5

8

2

.

0

9

0

.

4

5

* 3

1

5

*4 (1

4

)

吋 (1)

O

Div:薬物投与量, Rinf:薬物投与速度, Ke1 :排世速度定数 Cmax:最高血撲中濃度, T1/Zα:分布栢 の半減期,T l/Zs:除去椙の半減期

AUC:

時間∞までの血禁中濃度曲線下面穣

VAB:

室房伝導ブロックによる頗拍停止,

AVB:

房案伝導ブロックによる頻拍停止 * 1

S

-1

S-2

との関でのCm砿の差

(p<0.05)

:S-l

または

S-2

と,

S-3

との閣でのCmaxの差(それぞれ

p<0.0

,1

p

<

0

.

0

5

)

:S-l

または

S-2

と,

S

-3

との間での

AUC

の差(いずれも

p<0.0

1) *4

S-l

または

S-2

と,

S

-3

との闘での総停止例数の差(いずれも

p<

0

.

0

5

)

吋 :

S

-1

または

S-2

と,

S-3

との間での

VAB

の例数の差(いずれも

p<

0

.

0

5

)

P 1

L

投与による

AVRT-C

L,

V A

の変化 については,投与法にかかわらず頻拍停止産前の

AVRT-C

L,

V A

が投与前のこれらに比して いずれも有意に延長した(すべて

p<O.0

1). (3)C症例 12~15J におけるす

T

A

V R

T-C

L

V A

の比較(表

5)

TT

S-3

3

9

7

1

1

9

s

e

c

であった.

P

1

L

投与前に

AVRT-CL

S-l

3

5

0

4

1

m

s

e

c

S-2

3

4

0

:t

3

5

m

s

e

c

S

-3

3

5

0

4

4

msec

V

A

S-l

1

1O

:t

2

2

m

s

e

c

S

-2

1

1

0

2

6

m

s

e

c

S-3

1

0

8

2

2

m

s

e

c

であった. 一方,全量投与終了直後または頻拍停止直前に

AVRT-CL

S-l

4

1

5

:t

6

6

m

s

e

c,S-2

4

1

5

5

2

m

s

e

c

S-3

4

1

5

:t

6

6

m

s

e

c

,V Aは

S-1

1

4

8

:t

2

2

m

s

e

c

S-2

1

5

0

1

8

m

s

e

c

S-3

1

6

3

:t

2

5

m

s

e

c

であった.全量投与終了直後また は頻拍停止直前の

AVRT-CL

は3回の投与法 でほぼ同じ値であった.

PIL

投与による

AVRT-CL

V A

の変化 については,投与法にかかわらず

PIL

全量投与 終了直後または頻拍停止直前の

AVRT-CL

V A

が投与前のこれらに比していずれも延長し た. (4)

C

症例

1

~

9

J と〔症例 12~15J との比較 〔症例 12~15J における S-3 での TT は 397 士

1

1

9

s

e

c

であり,

c

症例

1

~

9

J

における

S-3

で の

2

2

7

1

2

3

s

e

c

に比してさらに延長する傾向を示 した.また, c症例 12~15J における全量投与終 了直後の

AVRT-C

L,

V A

S-l

でそれぞれ

4

1

5

:t

6

6

m

s

e

c

1

4

8

2

2

m

s

e

c

S-2

でそれぞれ

4

1

5

:t

5

2

m

s

e

c

1

5

0

1

8

m

s

e

c

で、あり, c症例 1~

9J

での頻拍停止誼前のそれらが,

S-l

でそれ ぞれ

3

8

7

8

9

m

s

e

c

1

3

4

:t

4

5

m

s

e

c

S

-2

でそれ ぞれ

3

9

0

:t

9

1

m

s

e

c

1

4

8

5

3

m

s

e

c

であったのに比

(8)

房室回帰性頻拍に対する 1C群抗不整脈薬の効果

5

3

4

.

[症例

1

~

9

J

における

TT

Ct

e

r

m

および

AVRT-C

L

. VA

の変化

(

n

=

9

)

S-l

S-2

S-3

0

.

5

/

k

g

/

1

0

m

i

n

0

.

5

/

k

g

/

5

m

i

n

1.

0

/

k

g

/

1

0

m

i

n

TT

(

s

e

c

)

3

3

3

:t

1

5

2

2

2

9

:t

3

6

2

2

7

1

2

3*

1

Ct

e

r

m

μg

(

/

m

Q

)

0

.

7

6

0

.

3

3

1.

0

7

0

.

2

6*

2

1.

0

2

:t

0

.

3

0

*

2

投与前 停止直前 投与前 停 止 直 前 投 与 前 停止直前

A

V

R

T

-C

L (

m

s

e

c

)

3

4

7

:t

6

8

3

8

7

8

9

4 3

4

3

:t

6

7

3

9

0

:t

9

1

4 3

3

9

5

7

3

9

3

:t

6

9

4

V A

(

m

s

e

c

)

1

0

6

3

8

1

3

4

:t

4

5

*

4 1

1

1

:t

5

0

1

4

8

:t

5

3

*

3

*

4

1

0

4

:t

3

8

1

4

9

とご

5

3*

3

不,

4

TT:

薬物投与開始から頻拍停止までの時間

Ct

e

r

m:

頻拍停止特の推定血禁中濃度

AVRT-CL:

頻拍周期長,

VA:

頻拍中の室房伝導時間 *1

S-l

S-3

との間での

TT

の差

(p<0.05)

S-l

と,

S

-2

または

S-3

との間での

Ct

e

r

m

の差(いずれも

p<

0

.

0

5

)

バ :

S

-1

と,

S

-2

または

S-3

との間での停止直前の

VA

の差(いずれも

p<

0

.

0

5

)

*

4

薬物投与前値と停止直前値との差(すべて

p<

0

.

0

1

)

5

.

[症例 12~

1

5

J

における

TT

Ct

e

口 即

C

m

a

x

(

e

n

d

)

および

AVRT-CL

V A

の変化

(

n

=

4

)

TT

Ct

e

r

m

Cm

(

e

n

d

)

(

s

e

c

)

(

μ

g

/

m

Q

)

(

μ

g

/

m

Q

)

S-l

0

.

5

m

g

/

k

g

/

1

0

m

i

n

1.

0

2

:t

0

.

2

4

S-2

0

.

5

/

k

g

/

5

m

i

n

1.

7

1

:t

0

.

6

2

S-3

1.

O

m

g

/

k

g

/

lO

m

i

n

3

9

7

:t

1

1

9

1.

4

9

0

.

7

4

投与前 終 了 直 後 投 与 前 終 了 直 後 投 与 前 停止直前

A

VR

T-C

L (

m

s

e

c

)

3

5

0

4

1

4

1

5

6

6

V

A

(

m

s

e

c

)

1l

0

:t

2

2

1

4

8

2

2

3

4

0

3

5

4

1

5

5

2

1

1

0

2

6

1

5

0

:t

1

8

3

5

0

:t

4

4

4

1

5

6

6

1

0

8

:t

2

2

1

6

3

2

5

TT:

薬物投与開始から頻拍停止までの時間

Ct

e

r

m:

頻拍停止時の推定血援中濃度 C

m

a

蜘 ld):頻拍停止を認めなかった場合の全量投与終了産後の血禁中濃度

AVRT-CL:

頻拍周期長,

VA:

頻拍中の案房倍導時間 してさらに延長する傾向を示した. (5)各投与法での薬物動態(表3,4, 5)

PIL

の血禁中濃度測定結果から

t

w

oc

o

m

p

a

r

t

ment mode1

により算出した薬物動態学的パラ メーターについて,時間∞までの虫築中濃度曲線 下面積

(AUC)

S-l

で1.

3

2

:t

0

.

85μg.hr/

mQ,

S-2

で1.

1

6

0

.

5

3

μ

g

.

h

r

/

m

Q

S-3

2

.

0

9

0

.

4

5

μ

g

.

h

r

/

m

Q

,最高血撲中濃度

(CmaJ

S-l

1

.

0

1

:t

0

.

1

9

μ

g

/mQ,

S 2

で1.

4

2

:t

0

.

4

3

μ

g

/mQ,

S-3

で1.

8

1

0.59μg/mQ

であった.

AU

C

S-l

S-2

とがほぼ同じ傭で有意な差を認 めず, S …3はそれらの約2倍の値と有意な高債 を示した(いずれも

p<O.0

1

)

.

一方,

C

m

a

x

f

S-1

に比して

S-2

で有意な高値を示し

(

p

<

0

.

0

5

)

S-l

S-2

それぞれに比して

S-3

ではさらに 有意な高値を示した(それぞれ

p<O.O

,l

p<

0

.

0

5

)

.

また,

c

u

r

v

e

-

f

i

t

t

i

n

g

法により算出した〔症例

l

~9

J

での頻拍停止符の推定血撲中濃度(

Ct

e

r

m)

S-l

0

.

7

6

0.33μg/mQ

S-2

で1.

0

7

ごと

(9)

5

4

矢 野 暁 生

0.26μg/

叫,

S-3

l

0

2

:

!

:

0

.

3

0

μ g/mQ

であり,

S-l

に比して

S-2

S-3

でそれぞれ有意な高 値を示した(いずれも

p<0.05). S-2

S-3

とはほぼ問じ値で有意な差も認めなかった. [症 例 12~15J では,

S-l

S-2

での全量投与終了 直後の迎接中濃度

(C

m日 (end))は

S-l

で1.

0

2

0

.

2

4

μ g/mQ

S-2

で1.

71:!:0.62μg/

叫であり, 〔症例 1~ 9

J

での問投与法施行時のCtermに比 して高値を恭す傾向がみられた .[症例 12~15J では

S-3

での

C

termは1.

4

9

0

.

7

4

μ g/mQ

であっ た. ( 6)副作用および合併症 本試験では

P1

L

によると考えられる副作用お よび臨床検査値の異常変動,カテーテル留置に伴 う合併症を認めず,頻拍停止例ではいずれも停止 直後に洞調律に復し,頻拍停止を認めなかった例 でも心房または心室頻回刺激により容易にj向調律 に復した. 考 察 一般にリエントリーを機序とする頻拍は,リエ ントリー回路を構成する組織の有効不応期

(T-ERP)

が頻拍周期

(CL)

より小の場合に維持 され,

T-E

R Pが

CL

より大となる場合に頻拍 は維持不能,すなわち停止に査る19) 臨床的に頻 拍中の

T-ERP

変化を直接測定することは困難 であるが,頻拍停止時の

CL

をもってこれを推測 することが可能と考えられる.本研究ではこのこ とを利用し, リエントリー性頻拍の一つである通 常型

AVRT

例を対象として

Vaughan

W

il1

i

a

m

s

分類20)1

C

群抗不整脈薬

PIL

抑制)12)による頻拍 停止機序について臨床電気生理学的に検討し,許 せてその臨床薬物動態との関連についても検討を 加えた. すなわち,

P 1

L

の静脈内投与法による頻拍停 止効果を考察するにあたり,頻拍停止直前の臨床 電気生理学的特性に注目し,副伝導路を介する逆 行性倍導有効不応期

(R-APERP)

に対する

PIL

の作用として頻拍停止直前の

AVRT-C

Lを,割伝導路を介する逆行性伝導時間

(R-A

P

CT)

に対する

PIL

の作用として頻拍停止産 前の

V A

を検討した.また,これらの作用が

D

iv に依存するものかあるいはRinfに依存するものか を検討するために

D

ivと

R

infとを変えた

3

種類の 静脈内投与法を考案し,頻拍中にこれらを施行し た. 今回の 3種類の静脈内投与法について ,Divは

S-l

S-2

とが問じで,

S-3

がこれらの

2

倍 であり,

R

infは

S-2

S-3

とが同じで,これら はいずれも

S-l

2

倍であった.また,薬物動 態学的に

AUC

S-l

S-2

とがほぼ同じ値 で,

S-3

がこれらの約

2

告の値であった

C

max は

S-

l,

S-2

S-3

のI}関に高い値が得られた. P 1 Lによる停止例数の検討では,

S-l

で11 例

(73%)

S-2

で11例

(

7

3

%

)

S-3

1

5

例(1

0

0

%)に頻拍停止を認め,

S-3

で有意に多く,

P

1 Lの頻拍停止効果はRinfやそれぞれの投与法に よって得られる

C

maxよりもむしろ

D

ivや

AUC

に 依存すると考えられた. また,これまでの臨床電気生理学的検討で, P

1

L

R-APERP

を延長させると報告されて いるが6)14)15)16)17),副伝導路を介する逆行性伝導の 途絶によりもたらされる頻拍停止は

R-APER

P

がその時点での

AVRT-CL

以上に至った結 果と考えられる.本研究でも

S-l

9

(

6

0

%

)

S-2

9

(60%)

S-3

1

4

(93%)

V

A B

による頻拍停止を認め,

R-APERP

の延 長が示唆された. S 3で有意に多くの例で

V A

B

が認めもれたことより,

P 1

L

R-APER

P延長作用はRinfやCmaxよりもむしろDivや

A U

Cに依存すると考えられた. 以上より,

P 1

L

の静脈内投与に際し,副缶導 路を介する逆行性伝導の途絶による頻拍停止効果 を期待して至適投与方法を考案する場合,特に Divや

AUC

についての詳細な検討がなされるべ きものと思われた. 次に,対象症例の入院時

EPS

における

R-A

PERP

は,基本刺激周期

6

0

0

m

s

e

c

での心室期外 刺激法にて

2

8

6

45msec

であった.今回

3

種類の 投与法を施行した対象はいずれも同一症例の群で あったため投与前の

R-APERP

はほぼ間じと 考えられる. [症例1~ 9

J

の各々についての検 討では,頻拍停止直前の

R-APERP

を反映す ると考えられる

AVRT-CL

が,投与法にかか わらず

3

9

0

m

s

e

c

前後とほぼ再じ値であった.また, これらの例における

C

termは

S-2

S-3

とがほ ぼ同じ値であったものの,いずれも

S-l

よりも 有意に高い値であった.投与法によって

C

termが 異なるにもかかわらずほぼ再じ

R-APERP

に 至ったと考えられることから,

R-APERP

(10)

房室田帰性頻拍に対する 1C群抗不整脈薬の効果 jj 対する延長作用についてはその時点tでの血禁中 濃 度 (Ct)の関与は少ないむのと考えられた.さ らに,

S-l

に比して

S-2

S-3

でT Tが短縮 したことは後2者で同用量のP 1 Lがより急速に 投与され,早く頻拍停止に必要な用最に達したた めと考えられる. P 1 LのR-APERP延長作 用はRinfやCtよりもむしろ,その時点tまでの投 与量 (Dt)に関連することが示唆され,副伝導路 を介する逆行性伝導の途絶には必要量の十分な投 与が重要であると考えられた. また, [症例 1~ 9

J

での同様の検討で, V A は3種類いずれの投与法でも延長を訴した.これ までの臨床電気生理学的検討でP 1 LはR-AP C Tを延長させると報告されており14),今司の結 果でもP 1 Lの有するR-APCT延長作用が示 された.一方,

P 1

L

投与前のV Aは

3

種類の投 与法でほぼ同じであったものの,各投与法での頻 拍停止直前,すなわちほぼ陪じ用量の

P1

L

が投 与されたと考えられる時点

t

で,

S-l

に比して

S

-2

S-3

でよりV Aが延長を示した.前述の Ctermの値からCtの関与が考えられ ,P 1 LのR -APCT延長作用は

Dt

よりもむしろRinfや

C

t

V

こ 依存すると考えられた. 以上より,静脈内投与によるPILは頻拍中の 副伝導路を介する逆行性伝導に対し,

Dt

に依存 的なR-APERP延長作用と, RinfやCtに依存 的なR-APCT延長作用という異なる

2

つの作 用様式を有することが示唆された. 一方, [症例 12~15J の各々についての検討で,

S-l

S-2

では頻拍停止を認めなかったものの V Aは延長を示し,さらに〔症例 1~ 9

J

の間投 与法でのV Aに比してより延長する傾向がみられ た.また, [症例 12~15J における S ーし S-2 でのCm砿 (end)は〔症例1~ 9

J

における同投与法 でのCtermに比して

S

ーし

S-2

のいずれもより 高い傾向がみられた.投与量が不十分な場合には 十分なR-APERP延長作用が期待されず,む しろR-APC T延長作用だけが現れたと考えら れる.さらに, AVRT-C Lも〔症例 1~ 9

J

におけるそれに比して

S-l

S-2

のいずれもよ り一層延長する傾向がみられ, R-APERP延 長作用が不十分なことともあいまって頻拍が停止 しなかったものと考えられた. また,

S-

3 で〔症例 12~15J の全例に VAB による頻拍停止を認めたことは,投与量が十分な R-APERP延長作用が現れるための必要量に 達したためであると考えられた. 薬物の投与法が適切でない場合,リエントリー 回路内における一組織の有効不応期の延長は田路 内法導時間延長によって相殺され,頻拍は維持さ れる結果となる11).これはPILのみならず広く 他 の 抗 不 整 脈 薬 に つ い て も 向 様 と 思 わ れ6)lO)1ml}22),頻拍停止を目的とした投与方法に関 しては今後もDivやRinfなどを含め多方面からの 検討考察が必須と考えられた. 総 括 (l)WPWi症候群患者に合併した持続性の通常型 AVRT例

1

5

例に対し,

D

ivとRinfとを変えた

I

C群抗不整脈薬PILの

3

種類の投与法

(

0

.

5

略 /同を

1

0

分間で静脈内投与,

0

.

5

/kg

5

分間 で静脈内投与,

1.0mg/kg

1

0

分間で静脈内投与) を各症例について3回にわたり計45凹施行し,そ の頻拍停止効果および停止機序を臨床電気生理学 的および薬物動態学的に検討した. (2)

3

種類の投与法加に検討したところ,

P 1

L

の頻拍停止効果はRinfやそれぞれの投与法によっ て得られるCmaxよりもむしろDivやAUCに依存 すると考えられた.また, P 1 LのR-APER P延長作用についても同様であった.これらより 副伝導路を介する逆行性伝導の途絶による頻拍停 止効果を期待して至適投与方法を考案するにあた り, Rinfや得られるC抽出よりもむしろDivやA U

C

についての詳細な検討がなされるべきものと思 われた. (3)症例各々について検討したところ,静脈内投 与法によるPILは頻拍中の副伝導路を介する逆 行性伝導に対し,

Dt

に依存的なR-APERP延 長作用と, RinfやCtに依存的なR-APC T延長 作用という異なる

2

つの作用様式を有することが 示唆された.また,副伝導路を介する逆行性伝導 の途絶には,必要最を十分に投与することが重要 と考えられた. (4)頻拍停止目的にもかかわらず薬物の投与法が 適切でない場合, R-APERP延長は AVRT-C L延長により相殺されて頻拍維持が容易になる ため,

P1

L

のみならず広く他の抗不整脈薬でも, 投与方法に関してDivやRinfなどを含めて多方面 からの検討考察が必須と考えられた.

(11)

56 矢 野 暁 生 稿を終えるにあたり,終始懇切なる御指導と御校聞 を賜りました鳥取大学医学部内科学第一教室真柴裕人 教授に深甚なる謝意を捧げるとともに,御校聞を賜り ました向学部薬理学教室佐藤慶祐教授,同学部

F

付属病 院薬剤部龍原 徹教授に深謝いたします.そして,直 接御教示をいただきました井川 修助手をはじめ臨床 不整脈グループの先生方ならびに御助力をいただきま した内科学第一教室の先生方に淳く御礼申し上げま す.また,薬剤および貴重な学術情報を提供していた だきました窪田博明先生をはじめサントリー(株)医 薬事業部開発部の方々にも併せて御礼申し上げます. なお,本論文の要旨の一部は第9囲日本心臓ベーシ ング学会学術大会(1994年8月48,久留米市)にお いて発表した. 文 献 1) Benson, D. W., Dunnigan, A., Green, T. P., Benditt, D. G., Schneider, S. P. (1985). Periodic procainamide for paroxysmal tachycardia. Circulation 72, 147-152. 2)廷arrison,D.

c

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参照

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