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多目的ダム事業の費用割り振り問題に関する研究 : 系譜と展望

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(1)

多 目的 ダム事業の費用害」り振 り問題 に関する研究

―系譜 と展 望 ―

谷本

圭志・岡田

憲夫

*1

社会開発システムエ学科・

*1京

都大学防災研究所

Review and a lResearch Perspective of Cost Allocation Problem

in [ulti中

purpose Reservoir]Developements

Keishi TANIMOTO,Norio OKADA*1

Department of Social Systems Engineering,Faculty of Engineering

Tottori Universit]ん

Tottori 680-8552,Japan

*1]Disaster Prevention Rた search lnstitute

Kyoto Universi転

i611-0011,Jap孤

Abstract: Multi― purpose Reservoir Development is joint project including multiple useres.Thus how

to allocate the joint cost amon8St the users is critical problem.In this study,we show some problems in cost allocation which the multi― purpose reservoir develpoment faces,and propose how to deallvith them

in terms of 8ame theory M〆ith reveilving ttsociated researclles,

Key wordsi Cost Al10cation,Connict Analysis,Galae Theory

1. は じめに 近年

,公

共事業 に対 して様 々な批判が向け られて いる。その主な主張には

,計

画手法の見直 しや意思決 定過程の透明化

,決

定基準の客観化

,推

進体制の効率 化 などがあ り

,従

来の公共事業 を支えて きた技術や制 度 について

,そ

れ らの再構築や改善 を求めるものであ る。この ような世論の高 まりが見 られるのは

,こ

れ ら の技術 (制度 も社会システムを円滑に動か してい くた めの技術 と考 え

,こ

こで言 う技術 に含める)力淮 立 し た当初 に比べて現在の社会の状況が著 しい変化 を遂 げ た結果 として

,当

の技術 自身が実態に即 した形で社会 貢献で きな くなって きていることが一つの大 きな原 因 であると考えられる。このような現状 を踏 まえ

,個

々 の技術 に対 しての必要性

,妥

当性

,効

率性 などといっ た様 々なレベルでの再評価

,す

なわち一種の技術評価 (technO10gy assessment)の実施が社会的な要請 となっ ている。 一方

,今

後の社会の動向を見 ると

,国

際協力や地域 連携 などに代表 されるように

,厳

しい資源制約の もと で効果 を高めかつ効率性の向上 を図ることを目的 とし て多種多様 な主体が一つの政策や事業 を実施する形態 の増加が見込 まれている。これは

,国

際的な観点か ら は平成 9年 の

COP3で

採択された京都議定書

,国

内的 な観点からは平成10年 に発表された新たな全国総合 開発計画に「地域連携軸の展開」力垢匠われていること からも明らかに見て取れる。しか し多 くの主体が連携 するということは

,同

時にこれらの主体間で複雑な利 害対立 (コ ンフリクト,connict)が生 じる可能性が高 まっている事を意味する。従って

,こ

のような社会の 動向を支援 してい くための主支術 として,コ ンフリク ト の調整技術がますます重要となってきている。 このような主体間でのコンフリクトを調整する技術 を古 くから有 し,ま た実際に解決に当たることで事業 の実施可能性を確保 してきた事業 として多目的ダム事 業がある。この事業は性格の異なる多様な主体の参加 を前提 とした共同事業であり

,こ

れら全ての主体のコ ンフリク トを調整することなしには事業の実施そのも のが不可能となる可能性がある。中でも費用割 り振 り に関するコンフリクト

,す

なわち共同事業費をどのよ うに各主体 に害」り振るかは大 きな問題であ り

,そ

の調 整問題は決定的に重要な課題である。この問題は費用 割 り振 り問題 (cost allocation problem)と 呼ばれて いる。この問題を解決するための重要な技術 として費 用割 り振 り制度及びその制度に定め られている費用割

(2)

この ように,多目的ダム事業は他の どの事業にも増 して古 くか ら費用割 り振 りに関するコンフリク ト調整 技術が必然的に求め られて きた。よって

,費

用割 り振 り問題 に関する豊富 な経験 と蓄積 を有 しているとい う 意味で

,多

目的ダム事業は先進的な事業であると言っ て も過言ではない。 我が国の多 目的ダム事業の費用割 り振 り制度は,こ れ まで幾度かの改正 を経て現在「特定多 目的ダム事業 法」に引 き継がれている。その法律 に基づいて現在定 め られている費用割 り振 り法は,昭和42年に制度化 さ れた分離費用身替わ り妥当支出法1lIであ り,以来長年 に渡 って供用 されている.また

,こ

の費用割 り振 り法 の適用が著 しく不適当であると認め られる場合におい ては

,優

先支出法やその他の方法 などの制度的工夫が 設け られてお り

,柔

軟 な対応が可能 となっている。 しか し,この ように経験的に有用 と認め られている 制度であるとは言え

,制

定当初か ら長い年月が経過 し てお り

,現

在多 目的ダム事業が社会的に要請 されてい るニーズに対 してどこまで適切 に応えうるかは未だ明 確 に検証 されてはいない。つ まり

,従

来の緊務であっ た水資源の量的確保 と安定的供給のみならず

,そ

の質 的な側面や水の もつ親水的な機能や周辺環境への配慮 に関 してニーズが高 まっているが

,こ

れ らは制定当初 に想定 していなかった変化であ り

,こ

の ような現実に 対 してこれ まで慣用的に用い られて きた現行の方法が どこまで対応で きるかが問われることになる。 この問題の事業における実際的

,具

体的な変化が, これ まで想定 されていなかった新たな主体の事業への 参加である

.そ

の主なものがダム湖の親米 陛を1舌用 し た レクリエーシ ョン主体や,1蜀水の一時的な貯水

,維

持流量の確保 などを目的 とした環境対策の主体などで ある。これ らの主体の参加 を想定 した場合

,現

行 の制 度が暗に前提 としていた点について必ず しも整合 しな い状況が発生す る可能性が考 えられる。本研究では, このような新たな主体の参加 という社会的な要請に対 して現行の制度及び費用割 り振 り法が抱 える問題点 を 整理するとともに,これ らの問題点に対 して現行の方 法が どこまで適用可能か,またその拡張可能性につい ての検討の方向について述べる。また

,そ

の検討 に当 たっては協カゲーム理論 を用いた検討が有効であるこ とを示す。

2.新

たな主体が参加する場合の費用割 り振 り問題 2。

1現

行の制度が抱 える問題点 現行の費用割 り振 り制度では事業に参加する主体に 関 して同等性

,対

等性が認め られる状況 を暗に想定 し ている。 しか し

,レ

クリエーシ ョン主体や環境対策の 主体 などの新 たな主体の参加 を想定 した場合

,具

体的 には以下の点での同等性

,対

等性が必ず しも満たされ ないことが考 えられ

,現

行の制度の対応可能性が問わ れることになる. ・ 劣加法性 など一種の規模の経済性が成立するよう な費用の算定条件が全ての主体 について満たされ る. ・ 各主体の費用 と機能水準

(=便

)は

容量 と対応 している (例えば治水安全度や利水安全度 は容量 と対応する

).各

主体の容量が決 まればその容量 に対応 した費用が算出されるため

,容

量配分が決 定 された時点で実は費用割 り振 りも同時に決定 さ れている. ・ 各主体の事業 に関する優先度 は同等である。ここ で言 う優先度 には

,緊

急性や順序依存性の概念が 考えられるが,何れの場合 も主体間に差異はない, もしくは無視 しうる程度 に微小である。 ・ 各主体 (提携

)の

費用 はその他の主体及びその主 体が どの ような提携 を組 んでい るか に依存 しな い。すなわちタト部性は存在 しない。よって

,各

主 体の所期の機能水準は当該主体 自身で確保するこ とがで きる。 実はこれ まで も主体 に関する同等性

,対

等性 を厳密 に確保することについて困難に直面 してきた経緯があ り

,そ

れに対 しては制度上の様 々な工夫によって表面 的には確保 して きた。 しか し

,上

述の ように新たな主 体の参加が見込 まれる以上,この ままつ ぎは ぎの形で 制度 を改良 してい くよりは

,こ

れまで慣用的に用 い ら れてきた方法の適用可能な範囲がどこまでかを明確 に 示すことが第一 に重要である。 また

,優

先支出法などの分離費用身替わ り妥当支出 法の代替的な方法 と位置づけ られて きた方法が

,そ

の 適用のニーズが高 まっているにもかかわらず実は適用 の実績がほとんどないことも問題 として指摘すべ きで あろう。この ように

,現

行の費用割 り振 り制度のもと で適用の道が開かれている方法についてどこまで新た な主体の参加 に対応 できるかの評価が求め られる。 さらに

,現

行の制度で適用可能でない と判定 される 場合 については

,直

面 している問題 に対応 すべ き新 た な費用害より振 り法の基礎的な検討

]準

備が今後 の円滑 な事業実施 にとって必要不可欠 と考えられる. 2.2費用害」り振 り問題 と協カゲーム理論 費用割 り振 り問題 は

,各

事業主体が共同事業に参加 していることに合意 しているものの

,共

同事業 に係 わ る費用 をどのように割 り振 るか とい うコンフリク トに

(3)

鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 29巻 直面 している,このコンフリク トは費用の割 り振 りに 関するゲーム (これを費用割 り振 リゲーム と呼ぶ)と 見 ることがで き

,ゲ

ーム理論 を用いた検討の意義がこ こにある。 ゲーム理論は一般的なテキス トレl,B〕 に見 られるよ う非協カゲーム理論 (nOn_cOOperative sane)と協力 ゲーム理論 (cooperative 8ame theory)に 大別 される。 これらの違いはプレイヤー間の協力を前提 とするか し ないかにあ り

,前

提 としないゲームを非協カゲーム, 前提 とするゲームを協カゲームと呼ぶ. 非協カゲーム理論は個々のプレイヤー

(=ゲ

ームに 参加する主体や組織

)に

関する意思決定のレベルでゲ ームを分析する理論であ り

,そ

の意思決定の帰結 とし てナッシュ均衡解やシュタッケルゲルグ均衡解などの 様々な解概念が提案されている。一方

,協

カゲームは プレイヤーの提携 レベルでのゲームを分析する理論で あ り

,プ

レイヤー間の交渉 (bargaining)による帰結 としてどのような資源配分が達成されるかに関心を置 いている。 多 目的ダム事業では

,事

業 に参加す る各主体 はゲー ムのプレイヤー (pltter)で あ り

,こ

れ らのプ レイヤ ーの間に共同事業 を実施するという協力関係が前提 と なって共同費用の割 り振 りに関する交渉 を行 う状況 と 見 ることがで きることか ら

,費

用割 り振 り問題 は協力 ゲーム理論の枠組みで分析することがで きる。 協カゲーム理論では

,効

率的にかつ公平 な資源配分 を達成するための規範 を与えてお り

,費

用割 り振 り法 のアセスメ ン トを実施 し

,適

用性 を評価する上での準 拠′点とな りうる。また

,新

たな費用割 り振 り法の開発 に際 して も

,そ

の理論的根拠 を協カゲーム理論 に求め ることにより既往の様々な方法の拡張 として割 り振 り 法 を検討することがで き

,単

にad hocな 方法の開発 に とどまらず既往の研究蓄積に立脚 した提案 を可能にす ると考えられる。 協カゲーム理論 において具体的に提案 されている費 用割 り振 り法 としては

,仁

(Nucleolus)酔〕やシヤプレ イ値 (Shapley Value)岡 などがあるが,これ ら各々に ついて割 り振 りの規範が明確であ り

,理

論 的な整合性 が保証 された方法である。しか し

,程

度の差 こそあれ, これ らはいずれ も割 り振 り計算の煩雑性 に起因する適 用上での簡便性

,割

り振 り法その ものに関す る理解の 容易 さについては難点があ り

,そ

の分実用性が低い と 考 えられる。逆 に

,現

行の多 目的 ダム事業で実際 に用 い られている慣用的な費用割 り振 り法は

,理

論 的な整 合性 については必ず しも明確でない ものの

,実

用性 に ついては協カゲーム理論 に基づ く方法 を上回る利点が ある。その意味で

,協

カゲーム理論 に基づ く方法 と慣 用的な方法 とは

,利

点短点について見れば

,補

完関係 にあると言える。 よって

,今

後 も実際に用い られる方法は基本的には 慣用的な方法であると考えることがで き胎〕

,以

降本研 究では′1貴用的な方法の実用性 を肯定す る立場 か ら上 に 述べ た4つの問題′点に対 して協カゲーム理論 に基づい た研究のアプローチについて整理する。

3.費

用割 り振 り問題のゲーム論的検討

3.1慣

用的費用害」り振 り法の評価 に関する検討 我が国の費用割 り振 り制度において基準方式 として 位置づけ られている費用割 り振 り法が「分離費用身替 り妥当支出法 (Separable Alternat e Costs Justin_ able Expenditures method)[刺 」である.この方法は,

1930年 代 にアメリカの頭

k委

員会で始 まった多 目的 ダム事業の費用割 り振 り法の検討の結果

,最

終的に採 択 された方法である

SCRB法

(SepMable costs Re―

mainin8 Benent method)171に 改良 を加 えた もので ある。 この分離費用身替 り妥当支出法を中心 とした慣用的 な費用割 り振 り法は

,実

用性の観点 など利点 を有す る ものの

,便

宜的で ad hOcで あるとの批半1もある。そ こ で

,こ

れ らの慣用的な方法が どの ような条件の もとで 適用が可能か を評価す る方法 を提案することが求め ら れる。慣用的な方法の適用可能性は上に述べたように 協カゲーム理論 における規範 に求めることがで きるた め

,慣

用的な方法 と協カゲーム理論 に基づ く費用割 り 振 り法の関係 を調べ ることにより適用可能性 を判定 し うると考 えられる。 この ように

,慣

用的な費用割 り振 り法 と協カゲーム 理論 に基づ く方法 との関係 とい う観点か らアプローチ した研 究 としては,suzuki 9ι α181,Young cι α191, Driessen 9ι αll旬,11珂

,森

[1刻

,岡

田 胎Iの研究例があ る

,特

に鈴木11刺 は慣用的費用割 り振 り法 と協カゲー ム理論の方法による解の一致性 という興味深い知見 を 得ている。 例 として,ある費用関数の もとでの費用割 り振 り解 を以下の表 に示そ う.ここに,σ(∂)は任意の提携 ∂の 費用,2tは任意の主体 ぢ(=1,2,3)の割 り振 り費用 を示 している。ここでは

,費

用割 り振 り法や費用関数の定 義 についての詳細 は省略するが

,慣

用的費用割 り振 り 法 (表の「慣用法」

)と

協カ ゲーム理論 に基づ く方法 (表の「ゲーム理論的方法」

)の

解が実際 に一致 しう ることが分かる。これ を表中では,*,**で 示 している。 一致性が生 じているとい うことは

,慣

用的な費用割 り 振 り法 に協カ ゲーム理論 における理論的な意味付けが なされることを意味 している。すなわち

,一

致性が生 じていることが適用可能であること,また一致性力ヽ成 立す るための条件が適用可能な範囲であると解釈で き

(4)

1

費用割 り振 り解の例 慣用法 21 α2 α2

SCRB法

6.1 5,1 4.8

ENSC法

5.6 47 57

ゲーム理論的方法 π

l

π

2

π2 6.0 5.0 5.0 耳司イニ 5.6 47 5.7 相対仁 6.1 5.1 4.8

NSCG法

6.1 5,1 4,8 σ

(1)=10

θ

(2)=9

σ

(3)=7

0(1,2)=13

σ

(1,3)=14

σ

(2,3)=13

0(1,2,3)=16

る. このように

,慣

用的費用割 り振 り法 と協カゲーム理 論 に基づ く方法 との一致性 に着 目することで

,慣

用的 費用割 り振 り法の適用可能性 を評価することが可能 と なる。また

,そ

こで得 られた条件は費用関数の条件で 与 えられると考え られ

,上

に述べたような費用の算定 条件の下での適用可能性 について吟味す ることがで き るようになる。また

,適

用可能な条件は実際の多 目的 ダム事業で得 られる貯水容量 と費用の関数 と何 らかの 関係があると考 え られtl刊

,こ

の関数 と適用可能性 と の関係 を明 らかにすることで

,実

際的な文脈 での判定 が可能になる[1司. 3.2貯水容量 をもたない主体 が参加 した場合の慣用的 費用割 り振 り法の適用可能性 に関する検討 ダムは山間の渓谷 に建設することが一般的であるこ とか ら

,ダ

ムの規模 を大 きくするとそれ以上 に貯水容 量が大 きくなると考 えられる。この ことは

,V字

谷 に ダムを建設す ることを考えると容易 に理解 され よう。 従 って

,既

往のダム事業 に一種の規模の経済性が認め られていたのは

,実

は貯水容量 をベース とした費用の 算出が根拠 となっていたと考えられる. しか し

,レ

クリエーション主体 などは治水や利水な どの従来の主体 と異 な り

,必

ず しも自らが確保す る貯 水容量 は存在 しない。この ような貯水容量 と対応 しな い主体が事業に参加 した場合についての費用の算出条 件 を明 らかにす るとともに

,そ

の条件下での現行 の費 用割 り振 り法の適用可能性 を吟味す る必要がある。 ところが,その適用可能性 を吟味するために開発 し た3。1の方法論 は

,あ

くまで「貯水容量 と費用の関数 で判定 しうる」評価方法であ り

,貯

水容量 をもたない 主体が事業 に参加す る場合にはこの方法 をその まま適 用す ることがで きない。貯水容量 を有 していない主体 と有 している主体 による提携の費用はそれぞれ異 なっ た値 をとる一方で,その提携の貯水容量は同一である。 従って

,貯

水容量 と費用の関数 は一般 には連続的な一 価関数であるが11刊

,貯

水容量 を有 していない主体 を 含めた場合のそれは不連続な二価関数 となる。よって, この ような特殊 な関数の もとで3,1の 方法論 を拡張す ることが必要 となる。 3.3主体間の優先度の差異 を考慮 した費用割 り振 り法 の開発 レク リエーシ ョンや環境対策の主体が事業に参加 す る場合の特徴 として

,事

業 に関す る優先度 (=主体 力潮頂番 に事業 に参加す ることを想定 した場合の参加順 序

)の

差異が著 しく大 きくなる場合がある。例 えば レ クリエーシ ョン主体 は

,単

独で レクリエーシ ヨン主体 のダムを建設するといったことは考えに くい。む しろ, 治水利水 など他の基幹的主体が ダム事業 に参加す るこ とを前提 として初めて

,付

加的に参加す ると考 えるこ とが現実的であろ う。このため, レクリエーシ ョン主 体は

,治

,利

水 な主体 などの 目的を持つ主体 に比べ 相対的に優先度が低い と考 えられる。 また,別の優先度の問題 として事業に対する緊急性 がある。開発 に適 した良好 なサイ トが減少 している現 在 においては

,限

られた土地 をいかに有効 に利用する かが課題 となろ う。従 つて

,ダ

ム計画においては,よ り長期的な展望 をもつ必要がある。すなわち

,現

在 に おける需要が顕在化 していない主体であって も

,将

来 需要 を見越 して現時点での ダム事業 に含めてお くこと が不可欠 となって こよう。よってこの ような場合 には, 主体 間に現時点での ダム事業 に対する緊急度の差が生 じていることになる。緊急度の高い主体ほど

,そ

の事 業 に対する優先度 は高い と考 えられる。 いずれの優先性 に しろ

,主

体間での差異が著 しく大 きく認め られる場合 には

,そ

の差異 を反映 した費用割 り振 り法の検討が求め られることになる。現行の費用 割 り振 り制度では優先支出法 などの適用が認め られて いるものの,その適用 については経験が不足 してお り, その有用性 には疑間が生 じる。従 って

,そ

の適用 に関 す る問題点について整理す るとともに

,そ

の方法 を改 善す るための基礎 的な検討が必要 となる。 協カゲーム理論 において主体間の優先度 を明示的に 考慮 した公正配分解 は存在 しないが

,優

先性 を考慮 し た方法 として拡張可能 と考 えられる方法 としてシヤプ レイ値(Shapley Value)同 ,11旬 がある。シャプレイ値 は 全提携 Ⅳ (=共同事業体

)を

形成す る過程 として

,参

加者が誰 もいない状況か ら出発 して

,各

主体力司順次提 携 を結 んでい き

,提

携規模 を拡大 して最終的に全提携

Nに

至 る状況

,す

なわち主体力潮贋番 に事業 に参加す る 仁

(5)

鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 29巻 状況を想定 している. シャプレイ値は

,主

体力潮贋番に事業に参加する過程 に関する確率情報を必要とするため

,有

用な確率情報 が得 られない場合にはその適用が困難になると考えら れる。そこで

,確

率情報 を用いずに割 り振 り解を得 る 方法 として,コ ア11珂 に基づ く公正配分解である仁 酔I を拡張することが考えられる[1制. 3.4外 部性 を考慮 した費用割り振 り法の開発 環境対策の主体がダム事業に参加 した場合の特徴 と して,「環境に関する費用は他の主体 (提携

)及

び提携 構造 (=提 携の組まれ方

)に

影響 を受ける

J状

,す

なわち外部性が不可避的に発生する。 ここに,当 該主体に影響を及ぼす要因に着目すると 「外部性」には「提携の間での外部性」と「提携構造の 間での外部性」の二つの側面があると考えられる. 提携の間での外部性 ある提携の存在その ものが他の 提携に影響を及ぼす性質を指す。つまり

,あ

る提携構 造に着目した時にその提携構造に含まれる当該提携の 費用が他の提携によって影響を受ける状態であ り

,公

共経済学で一般に扱われている レト部性」である。この 外部費用を誰に帰すかは社会制度や各事業でのルール による。例えば

,環

境権が認められた制度の下では環 境を損なった原因者に外部費用を帰すことになり,(環 境権の対義語としての

)開

発権が認められた制度の下 では環境 自身に外部費用を帰すことになる。 提携構造の間での外部性 提携構造のパ ターンの変化 が当該提携に影響を及ぼす性質を指す

.ゲ

ーム理論で 定義する外部性 (spillover)は一般にこのタト部1生を指 している[191. よって費用割 り振 りの際に考慮すべ きは「提携構造 の間での外部性」であ り,「提携構造の間での外部性」 を考慮 した公正配分概念についての拡張を検討する必 要がある

.以

降,「夕常陛陛」とは「提携構造の間での外 吉Б性

Jを

↓旨す ものとする。 そこで

,外

部性のあるゲームをいかに表現するかが 問題 となる

,外

部性 を表現するためには提携構造を考 慮する必要があるが、伝統的な協カゲーム理論では任 意の主体 (提携

)の

費用は当該提携のみの関数で与え られるため外部性は表現 しえない (例えば任意の提携 ∂の費用はθ(∂)のように表される。この関数形は提携 関数形 と呼ばれている

).任

意の主体 (提携)の 費用を 当該提携 と提携構造の関数として表現することができ る関数形 として分割関数形 (partition ftlnctiOnal form

)p倒

がある。分割関数を用いると

,任

意の提携構造

Bの

もとでの任意の提携∂の費用は0(∂,β)のように 表 される。 分割関数を用いた既往の研究例 としては

,提

携の自 発的な形成問題 を関心 とした研究t2珂 ,12刻 ,12到 に見 ら れるものの、そこでの関心はあ くまである割 り振 り法 を与えた時に形成される提携であ り

,割

り振 り解の特 性についての基礎的な検討は行われていない。 また,費 用割 り振 り法の分割関数形への拡張を試み た研究は数は少ないものの

,シ

ャプレイ値を対象の検 討例p刊 ゃ

,コ

ァを対象 とした検討例p制 がぁる。 し か し

,そ

れらの相互関係やその適用性について十分な 検討はなされていない。このため

,こ

れらの解につい て比較分析 を行 うなど解の特性 について把握すると ともに

,こ

れらの方法に欠けている規範を補った新た な費用割 り振 り法を開発する研究への発展が必要にな る。

4.お

わりに 本研究では

,現

在の多 目的ダム事業が直面する社会 的な要請 を踏 まえた上で

,今

後想定 される費用割 り振 り問題 とその問題への取 り組みのアプローチ を概説 し た。ここで示 したように

,現

行の制度や方法に関する 適用可能な範囲を明示するとともに

,そ

の拡張につい ての基礎的な検討を行い

,想

定される問題に対 して準 備をしてお くことが今後の円滑な事業の実施に貢献す るものと考えられる。また

,こ

こで提示 した問題の構 造は必ず しも多目的ダム事業固有のものではな く

,複

数の主体から構成 される共同事業について共通的に見 られるものと考えられる。したがって,こ こでの検討 アプローチを他の事業へ応用 してい くことが一つの課 題 として考えられる。 その際

,対

象 とする事業によっては

,費

用のみなら ず便益 も含めた割 り振 りや共同事業の規模 をも変更 し うる費用害Jり振 りのスキームの検討など

,各

事業の特 性 に応 じた様々な形への拡張が求め られることになろ うが

,本

研究で示 した検討はこれらの基礎 となるもの であ り

,有

効な視座を与えうるものと考える。 参考文献 瑚 堀 和夫:多目的ダムの計画と調査

,全

建才支術シリーズ 第21巻,社 団法人全日本建設技術協会編,pp.142-169, 1981 刻 岡田 章:ゲーム理論,有斐閣,1996 刺 鈴木光男:新ゲーム理論,到 草書房,1994.

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(6)

究 :そ の系譜と展望,土木学会論文集,No 431/1V-15, pp.1∼ 19,1991.

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the EconoHlic lrheory ofthe Environment,Edited by C.CarrarO and Do Siniscalco,Cambridge,1997.

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Vol.6,pp.23-31,1977 (受理 平成 10年8月 24日) ll

表 1  費用割 り振 り解の例 慣用法 21   α 2   α2 SCRB法 6.1  5,1  4.8 ENSC法 5.6  47  57 ゲーム理論的方法   π l  π 2  π2 6.0  5.0  5.0 耳 司イ ニ 5.6  47  5.7 相対仁 6.1  5.1  4.8 NSCG法 6.1  5,1  4,8 σ (1)=10   θ (2)=9   σ (3)=7 0(1,2)=13  σ (1,3)=14  σ (2,3)=13 0(1,2,3)=16 る

参照

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