数学 にお ける発見 的論理 と数学 の学習指導
事
.ポリア と
I.ラカ トシュに学ぶ――
数学科教育教室 笹
Logic of
生athematical]Discovery and Teaching of
【athematics
Sh◎
zO SASADA
I
は じ め に 数学教育 の目標や成果 を,①
内容学習的な側面 と⑮プロセス学習的な側面 (数学的考 え方,活
用 能力,態
度 な ど)に
大 きく分 けて考 えてみる。IEAの
調査結果な どにもみ られ るように,日
本 の数 学教育 は,①
の面で は高い成果 を挙 げているが,①
の面では相対的にその弱 さを現わ している。 し か し,情
報化な ど社会 の進展 に対応で きる人間の育成 のためには,ど
うして も⑤の面 の充実が肝要 である。 このような反省 の上 に立 って,新
学習指導要領 の改訂 において も,そ
の改善 の基本方針の 中に「直観力 と論理的思考力 の育成」「活用能力の育成」「思考過程 の重視」「情意面 (よさの感得・ 態度)の
強調」 を掲 げ,
とくに⑤の側面 を重視 し,算
数・数学教育 の質的改善 を図 ろうとしている。 算数・ 数学教育の目標か ら言 えば,学
習の結果 としての知識 。技能 も大切であるが,学
習のプロ セスでその獲得が期待 され る数学的な考 え方や直観力・思考力,活
用能力な どの能力や態度 の育成 が一層重要なことである。た しかに,こ
れ までの数学教育 の実態 は,学
習指導 において もそのウェ ー トのお き方 にバ ランスを欠 き,
とりわけ⑤の面で弱点があった と言わざるを得 ない。 この弱点 は 何か ら来たであろうか。その一つ に入試準備教育 の弊害 もあろう。 しか しもっ と言 えば,算
数・ 数 学の多 くの教師が,数
学(算数)とか数学的活動 に対す る正 しい認識が乏 しかった こと,さ
らに「生 徒 にとって学習 とは何か」 といった学習 。理解 についての深い追求 をしなかった こと,こ
のような ことが算数・ 数学の授業 を技能習熟 に重点 をおいた計算指導や「範例→演習」方式の授業 に陥 らし めた もの と考 える。 このような知識・ 技能 に重点 をおいた効率主義・ 結果主義 の授業のあ り方か ら 脱却 し,学
習のプロセスを大事 にし,豊
かな学習活動が展開で きる数学 の授業 をめざしてい くこと が,こ
れか らの算数・ 教学教育 の重要な課題である。 この小論 では,上
記 の問題意識 に立 ち,①
の側面 を重視 した数学の学習指導のあ り方 について論 ず る。一つには,数
学教育 にお ける帰納・類比 な どの発見的論理の役割 と重要性 を論 じるとともに, 数学 の学習指導の改善 の一つの方向 として,発
見的推論 を主軸 とした高校数学での展開例 を示す。 もう一つ は,数
学の生成 。発展の論理 に学ぶ ことである。I.ラカ トシュは,著
『証明 と反駁』 の中 で,骨
組 みだけに化石化 した数学で はな く, 1つ
の問題 と1つの推測か ら成長 してい く非形式的な 昭数学の成長・発展の論理 を展開 した。 この数学観 は
,数
学の学習指導に対 して,さ
まざまな示唆 を 与 えるものである。そこで,こ
の知見 にもとづいた数学 の学習指導のあ り方 について論ず ることに す る。H
発見の論理 と論証の論理
(1) 一つの立言がなされたとき,そ
れに対 して二つの問いが生ずる。 ① この立言がどのようにして思いつかれたのか? ② この立言を真 として受け入れる根拠は何か? 第一の問いは発見についての問いであ り,第
二の問いは根拠づけについての問いである。この第一 の問いに対 して説明される推論方法,思
考過程,心
理的働 きが「発見の論理」に関することが らで あ り,第
二の問いに対 して説明される推論方法,思
考過程が論証の論理すなわち「演繹的論理」で ある。論理あるいは論理的 という言葉 は,広
い意味 と狭い意味に用いられる。論理の狭い意味は, 上記②の間いに対するような演繹的論理 を指す もので,そ
の典型 としていわゆる三段論法や背理法 があげられる。記号論理 はこの演繹的論理を対象 とする。 また,広
い意味での論理は,第
一の問い に対する発見の論理を含め,人
間が有効 に推論 を進める場合に従 う方式一般を包括 している。 ここでは,論
理の意味を広義にとる。すなわち,人
間が有効に進める場合に従 う方式一般 をさす。誕 鰹賢
a薫
曇
I帽
嬬
路
語
繋
.紬
雌論
演繹的論理 による推論 は,絶
対厳密で争 う余地がな く,最
終的なものである。一方,発
見 の論理 における推論 は,蓋
然的で争 う余地が あ り,暫
定的な ものである。 しか し,発
見 の論理 は,そ
の蓋 然性 の代 りに,演
繹的論理で は得 られない新 しい判断や推測 を導入す るといった,極
めて生産的な 面 をもっている。 この発見の論理 の典型 として,帰
納的推論,類
比的推論があるが,
これ らは数学 教育 において も重視すべ き論理である。(1)両
者の論理の特徴 と働 き 一般的 に演繹 は一般か ら特殊 を導 く推論であ り,帰
納 は特殊か ら一般 を推測す る論理であ り,類
比 は類似性 に着 目して特殊か ら特殊 を類推す る論理であるといわれている。 しか し,こ
れ らをもう 少 し質的 に検討 し,比
較 してみたい。次に示すのは,演
繹,帰
納,類
比 における,そ
れぞれ正 しい 素朴な推論 の例である。(a)演
繹 すべての哺乳動物 は心臓 をもつ。 すべての馬 は哺乳動物である。 ∴ すべての馬 は心臓 をもつ。(b)帰
納 いままで観察 されたすべての馬 は心臓 を もっていた。 ∴ すべての馬 は心臓 をもつ。(C)類
士ヒ すべての馬 は心臓 を もつ ろばと馬 は類似 している。 ∴ すべてのろばは心臓 をもつ。鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 33巻 第
2号 (1991) 307
この例か らもわか るように,演
繹,帰
納,類
比 を弁別す る基本的な特徴がある。 ●)演
繹(1)す
べての前提が真であれば,結
論 は必ず真でなければな らない。(H)結
論 の中にある情報 あるいは事実的内容 はすべて前提の中に潜在的に含 まれている。(b)帰
納(I)す
べての前提が真であれば,結
論 はおそ ら く真であろう (必然的に真 とはいえない)。(H)結
論 は,前
提 には暗々裡 にも存在 しなかった,新
しい情報 。事実的内容 を含む。 管)類
比(I)す
べての前提が真であれば,結
論 はおそ らく真であろう (必然的に真 とはいえない)。(H)結
論 は,前
提 には暗々裡 にも存在 しなかった,新
しい情報 。事実的内容 を含む。 特徴(I)は
自明であるか ら,こ
こで は特徴(H)に
ついて述べ る。(a)の演繹の結論 は,す
べて の馬が,い臓 をもっていることを主張 しているが,
これ は実質的 には,前
提 の中で既 に述べ られてい ることを主張 しているにす ぎない。第一前提で は,す
べての哺乳動物が,い臓 をもっていることを述 べ,第
二前提 において,こ
の哺乳動物 の中にすべての馬が含 まれていることを述べている。すなわ ち,前
提 の中に与 えられている情報 を少 し明確 し,再
定式化 したにす ぎない。 これに対 し,(b)の帰 納的推論 においては,前
提 の情報 はいままで観察 された馬 だけを対象 とし,結
論 の情報 は未 だ観察 していない馬 をも対象 としている。すなわち,こ
の結論 は,前
提で与 えられていない新 しい情報 を も含んでいる。 また,(C)の類比的推論 において は,前
提 には全 く含 まれていない新 しい情報 「すべ てのろばは心臓 をもつ」 を導いている。 演繹的推論 は,そ
の推論方法が論理的に有効 であるな らば,前
提 は結論 を完全 に裏づ けるが,前
提の内容 を明確 にす るだけで,実
質的には新 しい情報 を与 えない。一方,帰
納,類
比 な どの発見的 推論 は,結
論 の真実性 に度合が存在 し,そ
の度合 は前提が結論 に与 える裏づ けの大 きさ,す
なわち 帰納の妥当性や類比 における関係の類似性 に依存す る。 しか し,発
見的推論 による結論 は,前
提 に 含 まれない新 しい情報 。事実的内容 を与 える。すなわち,演
繹的論理 は前提 の内容拡大 を犠牲 に し て必然性 を確保 し,一
方発見的論理 は必然性 を犠牲 にして前提 の内容拡大 を図っているといえる。 (結論の)真
実性 (前提 の)内
容 を拡大す るか? 演 繹 。前提 は結論 を完全 に裏づける。 。内容拡大 しない。 (前提の内容 を明確 にす るだけ) 帰 納 類 比 ・ 真実性 に度合がある。 (帰納 の妥当性,関
係の類似性 に依 存す る) ・ 新 しい情報 (前提 にない)を
もた らす。 このような両者の論理の特徴 のちがいか ら,演
繹的論理 と発見的論理 は,そ
れぞれ別途 の働 きを もつ。演繹的論理 は前提の内容 を明確 にす るために使用 され,帰
納や類比 な どの発見的論理 は,知
識 を拡大す るために使用 される。 た とえば,数
学 における論証 は演繹的である。定理 は公理系 を基礎 とし,出
発点 として演繹的 に 証明 され る。定理の内容 は,既
に公理や定義 の中で暗々裡 に与 えられているが,こ
の内容 は公理系の中では完全 に明瞭 な ものになっていない。演繹的論理 は
,定
理の証明 とい う形で,こ
のような公 理系の中に埋蔵 されている内容 を明 るみに出す ものである。 一方,帰
納や類比 の論理 は,与
えられた情報や前提 にない新 しい内容 をも含む結論 を引 き出す も ので,そ
れ は実 に創造的,生
産的である。 自然科学者 の法則発見,数
学者 の定理や証明法の発見 な どは,この論理 による場合が多い。しか し,帰
納や類比 の論理で得 られ る結論 の真実性 は蓋然的で, その真実性 の保証 は演繹的論理 にまたなければな らない。(2)演
繹的論理 と形式 演繹的体系 数学 における主な仕事 は,体
系内の多 くの命題 に真 。偽 の札 を対応 させ ることであ るが,真,偽
の札 を付す る最初 の基準な くして,体
系内の命題 に真,偽
の札 を対応 さす仕事 を押 し 進 めることがで きない。それゆえ,若
千の適 当な命題 の集合 を選び,これ らの命題 に真の札 を与 え, これを最初 の基準 として体系内の命題 に真,偽
の札 を対応 してい く。 このように,真
と仮定 され, 演繹の出発点 として選 ばれた命題が公理である。公理 (系)が
確立 され ると,こ
れを出発点 として, 体系内の命題 に次々 に真 と偽 の札 を付す る作業が行 われ るが,こ
の作業 を支 えるルールが演繹的論 理であ り,
このようにして構造化 された系が演繹体系である。 命題の真偽 と推論の妥当性 演繹体系 において公理 (系)が
設定 され ると,こ
の公理系 を出発点 として,妥
当な演繹的推論 を駆使す ることによって,体
系内の真偽 を決定す る努力がなされ る。妥 当な推論 とは,前
提が真 な らばその結論 も必然的に真でなければな らない とい う推論である。推論 の妥当性 は前提 と結論の間の関係 だけに依存 し12j,結論の命題が真であることは推論が妥当であるこ とを保証 しない。次 に,命
題 の真偽 と推論 の妥 当性 の関係で重要な ものを列挙する。(1)前
提 の命題がすべて真で,推
論が妥当であれば,そ
の結論の命題 は真である。 121 推論が妥当であ り,そ
の結論の命題が偽であれば,前
提 の少 くとも一つの命題 は偽である。 ●)前
提 の命題がすべて真で,結
論の命題が偽であれ ば,そ
の推論 は妥当でない。 141 推論が妥当で,前
提 の命題 の一部 また は全部が偽 の場合 は,その結論 の真偽 は決定で きない。 低)推
論が妥当で,結
論が真である場合,そ
れだけで は前提 の命題 の真偽 は決定で きない。 このように,結
論が真であることは必ず しも推論 の妥当性 を保証 しない し,推
論の妥当性 もまた 必ず しもその結論 の真 なることを保証 しない。妥当性 は推論 の もつ性質であ り,命
題 の真偽 は個々 の命題 の性質であって0,こ
れ らは独立の概念である。すなわち,演
繹的推論 の妥当性 は,その推論 を構成 してい る命題 の内容や真・ 偽 に依存す るものでな く,推
論の論理的な形式 。構造 だけによっ て決定 され る。 ここに,推
論 の妥当性 とその形式 との関係 の分析が重要であ り,そ
れを取 り扱 うの が記号論理である。 演繹的論理 と形式 例 えば,次
のような二つの推論 を取 り上 げてみる。 切5が
偶数であるな らば, 5は 2で
割 り切れ る。5は 2で
割 り切れない。 ゆえに, 5は
偶数で はない。 は)彼
が犯人であるな らば,彼
はその時刻 に現場 にいたはずである。彼 はその時刻 に現場 にいな かった。 ゆえに,彼
は犯人で はない。 の,は
)の推論 は異なる場面 の異 なる内容 についての推論であるが,
ともによ く用い られ る妥 当な 推論である。1/1において,ク =「
5は偶数である」, C=「
5は 2で
割 り切 れ る」とお き,1/F)におい て,少 =「
彼 は犯人である」, 9=「
彼 はその時亥Jに現場 にいた」とおいて記号化すれば,t/1,い
は ともに次の ような形式で表 される。逆 に,夕 , 9と
して任意 の命題 を選 び,
この形式 を満たす よう鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 33巻 第
2号
な推論 を作れば,場
面 も内容 もl /1,竹)と異なる新 しい妥当な 推論が得 られる。(この場合,前
提 少→ σ,∼
夕が真 となるよ うな命題 ´,
σを選べば,結
論命題∼ σも真 となる)す
なわ ち,命
題 つ, 9の
内容が何であって も,ま
た命題 の真偽が何 れであろうとも,右
記の形式の推論 を作れば,妥
当な演繹的 (1991) 推論が得 られる。このように,演
繹的推論 において は,命
題 の内容や事実上 の真偽 の問題で はな く, 重要な ことは推論 に用い られている命題 間の関係や形式である。 それゆえ,演
繹論理 においては, 各命題 の中味 を捨て去 って記号化 し,そ
れによって論理の構造や法則 を明確 にす ることがで きる。 他方,帰
納や類比 な どの発見的論理 は命題 の内容 を重視する。 この点 にも,発
見的論理 と演繹的 論理 の性格 を区別す る大 きな差異がみ られ る。 妥当な推論 と問接証明法 中学校や高等学校 の数学の学習で よ く用い られ る妥当な推論形式 とし ては,次
のようなものが挙 げ られ る。その形式 に対応す る具体例 はここで は省略する。①
簡約の法則
夕∧ σ .・. タ④
三段論法・否定式
少→ ? ―T ∴∼ タ②
付加の法則
少 ∴つVσ⑤
仮言三段論法
♪→ σ?→
″ ∴つ→ γ ク→ 9-9
.・.ハャタ ③ 三段論法・肯定式 ク→ σ タ .・. ?⑥
離接三段論法
夕 ∨ σ ´∼ ¢ r. タ また,与
えられた命題 を直接証明 しないで,こ
れ と論理的に同値 な命題が真であることを示す こと によって,与
えられた命題が真であるとす る演繹的証明がある。 これが間接証明法である。与命題「♪→σ」と同値な命題の形式としては
,次
の
4つの形式が挙げられる。なお
,① ,⑨
は
,そ
れぞ
れγ
=夕, 7=?と
した⑩の特別な場合とみることができる。
⑦
「♪→
?」=
「
∼ ?→ ∼夕」
③
「夕→
?」≡
「´∧∼σ→∼夕」
⑨
「♪→
?」=
「夕∧∼ ?→ σ」
⑩
「♪→
?」=
「夕∧∼ 9→ γ∧∼
/」 (対偶法) (背理法) これ らの推論の妥当性や間接証明法の妥当性 は,真
理表 を用いて簡単 に検証で きる。なお,上
記 の推論 はすべて命題論理の枠 内の ものである。命題論理 は,命
題 と命題 との間の論理的関係 を分析 し,複
合命題 の真偽がその中に現われ る単純命題 の真偽 にどのように従属す るか を研究す る。 しか しなが ら,命
題論理だけで は,論
理学の目的 としては不充分であ り,ア
リス トテレスの三段論法 も 学校数学 における簡単 な推論 も厳密 には命題論理 の枠内に入 らないにち 論理学の目的 を達成す るた めには,命
題 をさらに分析 し,主
語 と述語 とに分解 して考察す る必要がある。 このように単純命題 をさらに主語 と述語 に分析 し,命
題 の内部構造 まで立 ち入 って考察す るのが述語論理である。 しか し,本
論で は,発
見 の論理 と演繹的論理 の比較考察 を主 目的 とし,述
語論理 は取 り上 げない。13)発
見的推論の特質 とパ ター ン 帰納的推論の特質 帰納 は観察か ら始 まる。実験,実
測,単
純数 え上 げな どを通 して適当な観察 資料 を集 め,そ
れ らを比較,考
察す る。 そして,そ
こにある断片的な規則性 に注意 し,散
り散 りになっていた部分か ら一見 まとまった全体 を構築す る。 これが帰納的推論 の過程 である。 この帰納的推論 において最 も重要 な ことは
,か
た よらない観察 と規則性 の抽出である。かたよっ た観察 と過小規模 の観察 は,全
体 の もつ規則性 を十分反映 しない。また,規
則性 の抽 出においては, 何 を捨て,何
を抽出するかが問題 である。洞察 され るべ きものは,個
々の事実でな く,そ
れ らに共 通す る形式であって,徒
らに個々 の事実に執着 して はいけない。 一般 に,帰
納的推論 において は,有
限の観察か ら無限の (有限で も多量 の)対
象 についての一般 的性質 を推測する。すなわち,観
察 された標本 の集合(A)は ,考
察対象 の集合(B)に
部分集合 として内含 され る。概念 における外延・ 内包の関係 と同様 に,次
のような包掃関係が成 り立ち,観
察標本 の集合Aは
考察対象の全体 の集合Bよ り多 くの属性 (共通性質)を
含 んでいる。A( B
Aの
属性 ⊃Bの
属性 このように,観
察 された標本 の集合 は,考
察対象のすべてが もつ一般的性質 を埋蔵 しているが,そ
の他 に,標
本 自身が もつ特殊 な雑多の性質 をも満足す る。 したがって,規
則性 の抽出は,標
本が も つ非本質的な特殊 な性質 を捨 て,共
通属性 の中で本質的なものを抽出 しなければな らない。 そのた めに,観
察 データを表示す るとか,グ
ラフによって図表示するとか,あ
るい は数量の関係形式 に着 目して,観
察標本 の集合 に潜在 している一般的性質 の顕在化 を図るのである。 帰納的推論 によって得 られた もの は何か。それ は証明ではない。証明の痕跡で さえない,全
くの 一つの推測である。すなわち,観
察 の範囲内での事実の記述 と,こ
の記述が その範囲外 にも適合す るだ ろうとい う一つの推測 にす ぎない0。 この推測 された一般命題 は,新 たな特別 の場合 によって確 め られ るごとに信頼′性を増すが,追
加 の検証 は単 に推測 を強化す るだけで,証
明にな らない。 した がって,帰
納 によって得 られた諸性質 は,か
な り有力な根拠 をもつ もの と考 え られ るが,そ
のまま 真 として受 け入れ ることは許 されない。 類比的推論の特質 類比 による推論 は,考
察対象A,Bの
類似性 に注 目し,Aの
上 の性質・ 理論 をBの
上 に転移 させ ることを図 る推論である。 この類比的推論で最 も重要な ことは,一
つの類似性 の抽出であ り,も
う一つ は,転
移 を図 る性質や理論が この類似性 と密接 に関連 しているのか という ことである。 類比 における類似性 の抽出 は,二
つの考察対象が単 に似ているといった視覚的・感性的段階にと どまって はいけない。推測結果 の信頼性 を高めるためには,これをさらに一段 と高 め,同
一の形式, 概念 として同一視で きる状態で,推
論 しなければな らない。G.ポリアは,著
『帰納 と類比』の中で, 類比 と一般の相似 の本質的相異 は,類
似性 を概念的 に同一視で きる関係で とらえているか否かにあ るとしている。ち た とえば,平
面上の三角形 は空間内の四面体 と類比である。平面上で は,3直
線 は 有限な図形 を囲む ことがで きる。空間内で は, 3平
面 は有限な図形 を囲む ことがで きないが, 4平
面 は四面体 を囲む ことがで きる。三角形 と四面体 とが どち らも囲む要素の最小数 によって囲 まれて いるとい う点に関する限 り,三
角形 の平面 に対す る関係 は四面体 の空間に対 す る関係 と全 く同 じと みることがで きる。 したがつて,こ
れ らは類比である9ち 次 に,転
移 を図る性質・ 理論が この類似性 と本質的な関連 をもつか否かが重要な問題 である。考 察対象A,Bの
類似性 を,Aも
Bも共通の形式 (概念・ 関係・ 性質)Rを
もつ ととらえた とす る。 この とき,Aの
性質 αが共通形式Rと密接な関連 をもつ場合 は,「Bも性質2を
もつ」 とい う推測 は信頼度が高い。 しか し,Aの
性質 αが共通形式Rと
あまり関連 をもたない ような場合 には,こ
の 推測 の信頼度 は低 い もの となる。鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 33巻 第
2号
(1991)↓離
剛
Bも性質αをもつ? このように,類
比的推論で重要な ことは,第
一 に,考
察対象の類似性 を意識 し,こ
の類似性 の本 質 を抽 出 して二つの対象 を同一の形式 を満足す るもの として把握す る。第二 に,転
移 を図 ろうとす る性質が,こ
の共通形式 と密接 に関連 しているか否か を見分 けることである。 類比的推論で得 られた結果 は,帰
納 の場合 と同様 に,証
明の痕跡す らない一つの推測である。 し か し,(1)で論 じたように,帰
納的推論,類
比的推論 は,そ
の推論 の必然性 を犠牲 にして,新
しい知 識や内容 の拡大 を図る,生
産的・創造的推論である。 141 科学的推論 としての 「帰納・ 類比―演繹」の総合 帰納 。類比 の発見的推論 によって得 られ る結果 は,証
明の痕跡 のない一つの推測である。帰納 の 場合 は,観
察の範囲内での事実 の記述 と,こ
の記述 に基づ く洞察がその範囲外 にも適合 しているだ ろうとい う一つの推測である。 また,類
比 の場合 は,類
似 な対象A,Bの
考察 において,Aに
おけ る性質 α と類似 な性質2′が対象Bに
おいて成立す るであろうとい う推測 にす ぎない。この推論 の蓋 然性が,学
校数学 において これ らの推論が軽視 され る理 由の一つであった。 しか しなが ら,(1)で論 じたように,帰
納・ 類比 の発見的推論 は,結
論 の真実性 を犠牲 にしなが らも,新
しい知識 の拡大 を 図るとい う,実
に生産的・創造的な推論である。 数学の歴史 において も,ア ルキメデスの実験 による図形 の性質 の発見0,P.フェルマーの整数論 に おける業績 な ど,多
くの定理や証明方法が帰納的推論 によって発見 されている。 とくに,数
論 にお ける多 くの性質が観察 によって発見 され,そ
の真 な ることが演繹的証明によって確認 されている。 また,観察 によって得 られた数の性質 の中には,フェルマーの最終問題191やゴール ドバ ッハ の推測(1の のように,い
まだ未証明の ものさえ多 くある。 また,ア
ルキメデスによる球の表面積 に関す る定理 の発見(11ち L。オイラーの無限級数 (平方の逆数の和)の
和 の発見(121,な ど類比的推論 による数学上 の成果 も多 い。 このように数学的活動 において は,帰
納・ 類比 な どの発見的推論 によって数学上 の 新 しい知識・性質が発見,導
入 され,そ
こか らその真実性 の確立 のための証明への努力がなされて い くのである。 このような数学的活動 の様態 を次 に例示す る。 「帰納―演繹」の総合 次の問題場面 における数学的活動 の展開 を考 える。 「2X-1の
形 (χ :整 数)の
数 は,
どんな とき素数で,ど
んな とき合成数か?」 ① 帰納 による観察χ = 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10 2χ- 1= 1, 3, 7, 15, 31, 63, 127, 225, 511, 1023 ここまで の観察 で は
,511=7×
73,1023=31×
33であ るか ら ・ χ=(2, 3, 5, 7):素
数 の とき, 2/-1は
素数 で あ る。 ・ χ=(4, 6, 8, 9,10):合
成 数 の とき, 2メ_1は
合成 数 で あ る。②
仮説の設定
の
「χが素数のとき
, 2X-1は
素数である。
」
は
)「
死が合成数のとき
, 2X-1は
合成数である。
」
③
仮説の検討
●死三11の とき, 21ユー1=2047=23× 89:合
成数 よって,仮
説1/1は正 し くない。 → 仮説切 は棄却 され る。 ・ χ=12,14,15,16,18,20で
も,仮
説は)が成立す ることが確 め られ る。 → 仮説は)の信頼性が高 まる。 ④ 演繹的証粥 死が合成数だか ら,χ
=2υ
(%,
υ :整 数)と
お ける。2/-1= (2り
υ-1= (22-1)((2り
υ二十 (2ク )少 2+………+22+1)
ク,
υ≧2だ
か ら, 22-1≧ 3,((2り
υl+…
……+22+1)≧
5で
ある。 ∴2/-1は
合成数である。 よって,仮
説は)が立証 され,命
題は)が数学的真理 として確立 され る。 類比 による定理の発見アルキメデスは次のように述べている。 「球 はその球 の大円を底 とし
,そ
の半径 に等 しい高 さを有する円錐 の4倍
であるという定理か ら, 私 は,任
意の球 の表面 はその球の大円の4倍
である とい うことを考 えついた。なぜな ら,任
意 の円 はその円周 に等 しい辺 とその半径 に等 しい高 さを有す る三角形 に等 しい という事実か ら判断 して, 私 は,同
様 に,任
意 の球 はその球の大円に等 しい底 とその半径 に等 しい高 さを有する円錐 に等 しい と解 したか らである。」(13) この文献が示す ように,ア
ルキメデスは類比的推論 によって,定
理「球 の表面積 は大円の4倍
に 等 しい」 を発見 し,演
繹的 にこれ を証明 している。 この類比 の実態 をいま少 し考察 してみたい。円の面積
= 1×
三角形
(底辺の長さ
:円周
,高
さ
:半径
)の
面積
………
①
球の体積 円周
= 4×
円錐 (底面 :大 円,高
さ :半 径)の
体積= 1×
円周 ② ③ ④ 球 の表 面積= 4×
?アルキメデスは
,平
面図形である円と立体図形である球の類比に注目し
,既
知の定理②の類比 と
して
,円の面積を①に示すように円周を底辺とし,半 径を高さとする三角形の面積としてとらえる。
円に対する球 と同様に
,三
角形に対する錐体は類比である。また, この類比の関係において
,円
周
に対する類比の図形は球の表面であるから
,①,②
の関係を考慮して
,③,④
式を得る。ここで
,①
,②
の図形の要素「底」の関係に注目すれば
,③
の円周に対する④の?は 大円の面積であろうと
推測される。これが
,ア
ルキメデスによる類比的推論の実態である。
この ように,ア
ルキメデスは,巧
みな類比 によって球の表面積 に関す る命題 を発見 し,こ
れ を演 繹的に証明 している。 この数学的な発見 も「類比―演繹」の総合 によって実現 したのである。鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 33巻 第
2号 (1991) 313
Π
I
発見 的推論 を重視 した数学の学習指 導
(1)数 学教育における発見的論理の役害
JHで
述べたように
,帰
納・類比などの発見的推論は証明ではないぅにもかかわらず,こ の蓋然的
推論は
,数
学においても
,数
学教育においても重要な役割を演ずる。
数学におけるその役割は
,①
包括的な数学的構造を与える公理の抽出・設定
,②
価値ある数学的
命題の発見
,③
証明法の発見ぅ④新 しい数学の研究における類比的思考など
,数
学における新しい
アイデアの創造であろう。
数学教育においては,①
問題解決能力 を育てる,②
概念・法則の意味や理解の教授 を助 ける,③
興味や問題意識 をもたせるなど学習の動機づけとなる,④
数学的な事柄 を統合 して統一的に理解す る学習を助ける,⑤
一般化や拡張の考えの指導を助ける,さ
らに③数学における創造の過程 を体験 させ,学
習者の創造性の開発 を助 ける,な
どが発見的論理の果す役割であると考える。 発見的論理 は,こ
のような数学教育上の役割や意義をもちなが ら,過
去の数学教育現場では軽視 されがちであった。今世紀初頭に起った数学教育改良運動の滲透 に伴い,発
見的論理の教育的意義 が認められ,我
国において も,昭
和10年頃か ら数学教育の直観化・具体化の声 とともに漸次取 り入 れられるようにな り(1り,さ
らに,昭
和33年の学習指導要領からは,算
数・数学教育の目標の中に数 学的な考え方の育成が掲げられ,帰
納・類比などの発見的推論 も重視 してい くことになっている。 しかしなが ら,そ
こにおける取 り扱いは,発
達段階からみて演繹的方法の困難 と思える小学校・中 学校低学年を対象に行われ,以
後の学年においては殆 ど省みられていない。 また,取
り上げられた 場合で も,児
童・生徒の生活や経験 に密着 しすぎ,そ
れらは科学的推論 に高められていない。 とりわけ,我
国の中等教育 における数学の授業では,発
見的論理の軽視,演
繹論理の偏重の傾向 がみられる。 この傾向を生んでいる根底 には,入
試準備教育の弊害に加 え,次
のような数学教師の 意識の問題 も挙げられよう。 ・指導内容 を既成の知識 として与 えるという考 え方。この立場 に立てば,演
繹的論理 を主 として, これを与 えることがで きる。 ・ 授業 として は,演
繹的論理で説明 し,展
開 してい く方が能率的であ り,か
つ楽である。 ・帰納,類
推 な どは蓋然的で正 し くない。 これ らは必ず しも正 しい結論 を導かない。つ まり,論
理・ 厳密主義 の立場 である。 このような考 え方に基づ く学習指導の問題点 として は,一
つに,指
導内容が既成 の知識 として存 在 し,生
徒がそれ を受容 してい くとい う学習観であ り,も
う一つに,数
学 (指導内容)を
出来上が りの論理体系 とみる,つ
ま り化石化 した数学観が潜んでいることである。 本来学習 は,学
習者 と環境 (対象)の
相互作用であ り,そ
の結果 として心身の行動パ ター ンを形 成 してい くものである。すなわち,学
習 は,学
習者の欲求や必要 に基づいて対象に働 きかけ,そ
の 結果 として何かを獲得す るとい う,こ
の学習者 の「為す こと一受 けることJの
一 まとま りの活動 を 通 して実現 され るものである。上記の学習観 はこれ と対立するものである。指導内容が既成 の文化 財であるにして も,学
習す る生徒 に とって は新奇 なことである。や はり,生
徒 にとっての学習 は, 広い意味での創造活動でなければな らない。 このような観点か らも,帰
納・ 類比な どの発見的論理 を重視 して,数
学の学習指導 を発見的で豊かな ものにしてい く必要がある。 また,数
学 に対す る見方 について も,日
本 の生徒 は,欧
米の生徒 に比 して数学 を固定的な もの とみる傾 向が強 く
,数
学 を柔軟で発展的な もの として把 えていない とい う報告 もある。 この ことも演 繹論理偏重 に基づ く数学の学習指導の結果である と考 えられ る。数学や数学的活動 に対 す る生徒の 正 しい認識 を培 ってい くためには,ど
うして も,H141で
述べた「帰納・類比―演繹」の総合 としての 数学的活動や,Ⅳ
で論ず る「推測→検証→推測 の修正→検証→…」 といったダイナ ミックな学習活 動 を数学の学習指導の中で展開 してい く必要があると考 える。 以上 のように考 えると,数
学 の学習指導の中で,数
学者や科学者 の創造活動の様態 を反映 させ, 演繹的推論だけで はな く,帰
納・ 類比 な どの発見的推論 も重視 して,数
学 の学習指導のあ り方 を改 善 してい く必要がある。G.ポリア も,著
『帰納 と類比』の中で,「数学が論証的推論 を学ぶのに優れ た機会 を提供 していることは誰で も知 っている。が,学
校 の普通課程 において,蓋
然的推論 を学ぶ のにそれほどの機会 を与 えているような科 目が一つ もない」(19と 述べ,学
校教育 において発見的論 理がお ろそかにされて きた ことを指摘 している。 さらに,G.ポ
リアは,数
学が発見的論理 の学習 に 最適であ り,発
見的推論力 はその意識的指導 によって高め られ ることをも示唆 している(lω。 G.ポリアが主張す るように,数
学科 としては,「証明することを必ず教 えよう,だ
が まあ推測す る ことも教 えよう。」の標語 の もとに,発
見的論理の指導 を意識的に行 い,生
徒 の科学的推論能力 を高 めてい くとともに,数
学 と数学的活動 に対する正 しい理解 を図ってい く必要があると考 える。すな わち,演
繹的推論の外 に,(1)帰納的推論 と類比的推論の方法・ 特徴や数学 におけるその役割 を教 え る,(2)で きるだけ多 くの ことを生徒 に発見 させ る,(3)結果 を推測 させ,自
分 の課題 に興味 をもたせ る,は
)混沌 とした対象の中か ら本質的な形式・関係 を抽出す る,(5)類比 による知識 の統合化 を図る, な どの指導 を数学 の授業 の中で重視 してい くべ きである。 (21 高校数学における発見的推論の展開例 発見的推論 を駆使 して,数
学 の授業 を発見的,創
造的な学習活動 にしてい くためには,そ
れにぶ さわ しい問題場面 とそれに対 す る数学的活動 の展開が重要である。次 に,高
校数学で取扱 うのが適 当 と思われる展開例 を若干示す ことにする。A.
帰納的推論 (例 1)「帰納―演繹」の総合 としての数学的活動(IIは
)の例 を参照) (例2)結
果 を推測 し,そ
して証明する。÷十
■
+…
…
+蕩
差下
=?
【
数学的活動】
(1)帰 納的推測
1 1 一―十τ=+…
・十 一3 15 4%2_
(推測)1+上
十 …… ……+ 1 =
4 4 一 9 3 3 一 7 2 2 一 5 ・ , ・ 一ギ 一 一 〓 η 一 3 15422_1 2%+1
………②鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 33巻 第
2号
(1991) 315
1
鬱)推
測 のテス ト'
もし,②
が一般的 に真であるとすれば,■十■
+…
…‐■生計
す
な
わ
抗
=窃
等 一
易 等
%+1
… …④
が真である筈である。一一→計算す る と正 しい! ∴ 推測の は
,争
う余地がないほ ど真であるI(確
信) ③ 演繹的証明 数学的帰納法 を用いる。(:憂
〕
駐
lξ13泳
処
稿
の
テ
ス
ト
に
用
い
た
考
え
を
使
う
と
よ
い
こ
と
に
気
づ
く
。
(4)よ
り簡単 な証明 は? 推測のテス トにおける④式 に注意すれば,■十
■
+…
+T洗
了
=÷ 十 〔 十 一 ÷ )十 t■ 一 ÷ )+… …+t― 琢 舟 下 嗚 だ ■ ) 一 弗 (例3) 1+2+…
……
+η=p(η
+1)/2を
既知として
, 12+22+…
… …+,2の 公式を発見
する
(17ち【
学習活動】
(1)帰 納と推測
n =1, 2, 3, 4, 5, 6,…
… …・1+2+…
… … …+n=1, 3, 6,10,15,21,…
… …12+22+
……..十n2= 1, 5, 14, 30, 55, 91,
・…………祥斧■
=¥=1,与
÷
,3,÷
,÷
,………
・
3 5 7 9 11 133' 3' 3' 3' 3' 3
1側
12+22+
………+%2 2η +1
_一
一 一 十 一…… ……… ………… …………②
l+2+…
………+% 3
修)公
式 の推測 既知 の公 式 (自然数 の和)を
用 いて,推
測 ② か ら次 の公 式 を推定 す る。12+22+…
……
.%2=÷
η
(η+1)(2%+1)
……
…………
…
…④
G)推
測のテス ト η+1
・
%=7, 8, 9…
…。と,推
測 ④ を確 か めて い くこ とが で きる。 しか し, もっ と台ヒ率 的 なテス ト が なVゝか ? ・ もし,④
が一 般 的 に真 で あ る とすれ ば,12+22Ⅲ
…
…
+η2+(%+1)2=÷
(η+1)(%+2)(2紹
+3)
す
な
わ
ち
,(η
+1)2=÷ ((%+1)(%+2)(2%+3)一
免
(η+1)(2%+1)}
が
真
で
争
る
見
面
忠
急
:争
了
余
託
気
憲
食
急
憲
縫
漕
な
き
る
!(4)演
繹的証明(略
) (例4)観
察資料 を数表に整理することによって,一
般的性質 を抽 出する。 凸面体 のすべての面の内角の総和 Σα を表す一般式 を推定せ よ。また,多
面体 のオイラーの公 式V―
E tt F=2
をもとにして,こ
の推定結果 を証明せ よ(10。 【数学的活動】(1)手
近な例 による観察 手近な多面体 について,そ
の内角の総和 Σα を計算 してみると,次
のようになる。 多面体:
立方体四面体
八面体
五角柱
六角柱 Σα
: 12π
4π
8π 16π 20π これだけで は,何
も注意 をひ くものがな く,一
般的性質 を抽出す ることは困難である。(2)資
料の整理の工夫 と推測 凸多面体であるか ら,同
一頂点 に集 まる内角の和 は2π より小 さい。したがって,多
面体 の頂点の 個数 をVと
すれば,
Σα<2πV
であることに気づ く。 この関係 を,上
記 の資料で確認す るために,次
のような表 を作 る。 多 面 体 Σ αV 2Vπ
2πV―
Σα 体 体 体 柱 柱 方 面 面 角 角 立 四 八 五 六 12π8 16π
4π4 8π
8π6 12π
16π10 20π
20π12 24π
4π 4π 4π 4π 4π 確かに,2Vπ
は Σα より大 きく,か
つその差が一定4π である。 そこで,次
の一般式 2πV―Σα= 4π
………②
を推測す る。 僧
)追
加 の検証 さらに,多
面体 を十二面体,二
十面体, n角
柱,n角
錐 と変化 させて,推
測②の追加 の検証 をす る。次表 に示す ように,こ
れ らの場合 には②が成 り立ち,推
測② は信頼性 を増す。 ΣαV 2Vπ
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 33巻 第
2号
(1991) 20π(4%-4)π
(2%-2)π
(り 演繹 的証 明 多面体 の頂 点 の個 数 をV,辺
の個数 をE,V―
E tt F=
①×
2-②
:
Σα
= 2π
(E―F)
面 の個 数 をFとす れ ば,オ
イ ラー の公式 に よ り 2①
④
体 柱 錐﹃
角
角
2%
12 η+1
24π4%π
(2切+2)π
4π 4π 4π 逆に,④
と①からのを導 くことができるので,④
を証明するとよい。 さて,F個
の面を/1,デ
2,……・,アFと し'面
/Jが ηど多角形であるとする(i=1,2…
…,F)。 このとき,%ど
多角形の内角の和 は(%J-2)π
であるか ら,多
面体の内角の総和 はΣ
α
=三
(%」-2)・
πこπ
(三%ど一二
2)=
π(2E-2F)=2π
(E一 F) よって,④
が成 り立 つ。 したが って,推
測② が真 で あ る こ とが証 明 され た。B.
類比的推論 (例1)類
比によるビタゴラスの定理の証明(1" 【数学的活動】(1)類
比の関係の考察直角三角形
ABCの
上に相似な図形((I)は
正方形,(II)は
直角三角形)を
作って,(I),(II)
両者の類比の関係 を考察する。 このとき,正
方形の面積 α2, ぅ2, ε2の間の関係 と直角三角形の面 積 協2,肋
2,ヵε2の間の関係 とは類比である。 図 (II) 類 比 推 測 (証 明) 図 (I) ρ2=ぅ 2+ε2 ゑァ=ヵぅ2+ヵι2② 協
2,肋
2,ヵε2の関係図
(H)に
おいて,△
A′BC≡
△ABC,△
BアAC≡
△DAC,△
C′BA=△
△A′
BC=△
B′AC十
△C′BAを
得 る。 ∴ ヵα2=ヵぅ2+ヵθ2(9
類比と証明
(I),(■ )の 類比から
,①
に対応する
(I)の
性質 として
, α
2=ぅ 2+θ 2も,こ の推測は
,①
の両辺を力
(≠0)で
除することによって得 られるから
,DBA
であるか ら, ① が推測 される。しか 真である。 (例2)正
三角形 と正四面体の類上μ2の(a)次
の定理 を証明せ よ。 「1点が一つの正三角形 の内部 にあ り,そ
の3辺
か らそれぞれ χ,
ノ, Zな
る距離にある。 この とき,
力を正三角形 の高 さとすれば,
χ+夕+Z三
カである。」(b)正
四面体 の内部 の1点の4つの面か らの距離 に関す る,立
体幾何 における類比 な定理 を明確 に述べ,か
つ証明せ よ。(C)両
方の定理 を一般化 して,そ
れぞれ平面ないし空間 における任意の点 に (三角形 または四面 体 の内部 の点だけでな く)定
理があて はまるようにせ よ。明確 な記述,お
よび証明 を与 えよ。 【問題解決の考察】(a)正
三角形の1辺
の長 さを ′とする。内部の点を3頂
点 と結んで,三
角形を 3つ の三角形に分割 すれば,各
々の面積の和 は全体の面積 を与える。 弓1肪
+ilつ
十三井 拷=三井物,l
χ 十 夕 十 之=カ (a)と(b)の類比 とその考察 (a)と (b)は類比 の関係であ り,下
図に示す ように,図
形,性
質,証
明構造 の3者
に類比的対応がつ けられ る。 この類比 の対応 に基づいて,類
比 の性質 (定理)を
推測 し,こ
れ を証明する。 (a) 類 比 (図形) (類比的推測) (性質) 十″=カ (証明) 類比 一 ″+ノ十Z=カ‖
(醐
″ 十 ノ 十Z↑
(羅磐
)(C)こ
の関係 は,(a),(b)両 方の場合 において,外
部 の点 に対 して も成 り立つ。ただし,π ,ノ , Z
(および″)の
符号 を適 当に とることを前提 としてである。(内部か ら辺 (面)を
見 るとき十,外
部 励 1 一 2 〓 カ 1 一 2 + 秒 1 一 2 十 疵 1 一 2 説 1 一 3 〓慟
神
十■
+■
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第33巻 第
2号
(1991) 319
か ら見 る ときは一 とす る) (例3)
問題 を構造 的・ 関係 的 に と らえ る。2,β ,γ
は三 角形 の内角 を表 す。 この とき,次
のお のお の を証 明せ よ。 ω Snα ttdnβ ttdnγ=4 cosモ 汁COSモ許COSモ舞(b)sin2α+sin2β +sin2γ =4sinαshぽsinγ
(C)sin4α+sin4β +sin4γ=-4sin2αsin2β sin2γ 【考察の観点 と数学的活動】 よくある問題である。 しかし
,そ
れぞれを独立に証明するのではな く,類
比的考察 をすることに よって,豊
かで合理的な数学的活動 を展開する。(1)類
比の関係を見つける。 ・左辺の類似な形に注意 して,次
の類比 を考 える。駕卿 す
1;の
関
係
。そこで,「(a)=一→(b)」 を考 え,そ
れ を「(b)=一→(C)」 の移行 に生かす ことを考 える。 修)類
比 の関係 の考察 (a)の場合 十一→ α ttβ tt γ=π
… ……… (b)の場合 ― →
2α +2β +2γ
=2π
≠ π (b)の場合 について も,②
のような関係が欲 しい。 そこで,次
のような変形 を工夫す る。 (b)の場合 十一→(π
2α
)十 (π-2β
)十 (π-2γ
)三
π …… ④ 。(a)が成 り立つ とすれば,α,β,7の
代 りにそれぞれ π-22,π
2β
,π-2γ
を(a)に代入す ると(b)式を得 るので,(b)が成 り立つ。∴ (a)=一→(b) ・全 く同様 の考察 をする。(b)において,α ,β ,γ にそれぞれ π
-22,π
2β
,π-2γ
を代入 すれば,(C)式を得 る。 したが つて,「(a)=一→(C)」 である。 ●)問
題 の証明に生かす。 上の考察か ら,「(a):真=→
(b):真=→
(C):真 」である。したがつて,一
番簡単 な(a)を証明 しよう。 (以下略)(3)数
学の学習指導における「推測する」 ことの重要性 小学校 の算数 の授業で は自分の考 えや他者 に対す る反論 を活発 に発表 していた子 ども達が,中 1, 中2,中
3と 進むに従 って,発
言や挙手が少 くな り,遂
に黙 してノー トを取 るだけ とい う受動的な 学習者 になってい く。 この現象 を生 んでいる原因 は2つある。一つ は課題設定であ り,も
う一つ は 生徒 の推測 を軽視 していること,さ
らに言 えば生徒 に推測 させない ことである。 人間の思考 は直観的思考 と分析的思考が相 まって進展 してい くものである。直観的思考 による推 測 。見通 しがあつて,そ
の検証 のための分析的思考が発動す る。学習 において も,問
題解決 におい て も,当
初 の推測や見通 しがあつてそれぞれの活動が展開 し,推
測 の検討,推
測 の修正,…
… とい う過程 を通 して学習や問題解決が達成 され る。 したがつて,数
学の学習指導で は,「推測す る」こと を重視 して確かな学習展開 を構成す るとともに,生
徒 に推測の方法論 も指導す る必要がある。Ⅳ 数 学 の 生 成・ 発 展 の 論 理 と数 学 の 学 習 指 導
1.ラ
カ トシュの数学論 と数学の生成 。発展の論理I.ラ
カ トシュ (Imere Lakatos 1922 1974)は,著
『証明 と論駁』01)の中で,骨
組 みだけに化石化 した数学でな く
, 1つ
の問題 と1つの推測か ら始 まり,成
長 してい く数学 の生成 。発展の論理 を展開 した。 この数学観 と論理 は,数
学教育 において も重要 な意味 をもち,数
学 の学習指導 に有益 な示唆 を与 えるものであると考 える。(1)ラ
カ トシュの数学論 前世紀 の後半 にカン トールやデデキン ドの努力で形成 された集合論 は,哲学的な問題 をひ き起 し, 周知のように,論
理主義・ 形成主義・直観主義 の3学
派が激 しく論争 しあつた。 しか し,数
学的知 識 に確実な基礎 を与 えようとした哲学的プログラム として,す
べての立場 は行 きつ くところまで行 って しまい,議
論 も出尽 した感が強い92ち そして,今
世紀 の中葉 までに構造論的数学 といつた,20
世紀的な数学スタイルが定着 した といつて よい。すなわち,ブ
ルバキの『数学原論』が示す ように, 20世紀 における「ユークリッド主義」が成立 したのである。 だが,数
学が 目標 として受容す るこの ユーク リッ ド的スタイルは,数
学者が 日々数学的活動 をしている現実 をしばしば歪 めて伝 える。 そ こで,ラ
カ トシュは現実の数学的発見が どのようにしてなされ るかを,多
面体 に関す るオイラーの 定理 を題材 に とって彼の議論 を進 めたのである。0。 ラカ トシュは,『証明 と論駁』の序文 の中で,数
学の独断的な哲学 (論理主義 ない し形式主義)は
受 け入れ られない とし,と
りわけ「形式主義」 を次のように定義 し,厳
しく攻撃 してい る。 「この学派は,数
学 をその形式的公理的抽象化 と同一視 し,数
学の哲学を超数学 と同一視する。 形式主義 は数学の歴史 を哲学から切 り離す……。形式主義 はこれまでぶつうの数学 として理解 されてきたものの 大半に数学 としての資格 を否認 し,その成長について何 も言えない。……・現在の形式主義の支配の もとで は,カン トの言葉を言い換えて次のように言いた くなる :哲学の指導を欠いた数学史は盲 目とな り,数学史 の最 も入 り組ん だ現象に背 を向けた数学の哲学 は空虚である。……」?。 「このエ ッセイの目的は数学の方法論に関する幾つかの問題にアプローチすることである。私 は「方法論」 という 言葉 をポリアの「発見的論理」とかポパーの「発見の論理学」もしくは「情況の論理学」に近い意味で用いる。…… 形式主義の数学の哲学 は発見の論理学 としての方法論に正当な位置を与 えていない。形式主義者 によると,数
学 は 形式化 された数学 と同じである。だが,形
式化 された理論 において何が発見できるというのか ?… …」¢D 「数学史 と数学発見の論理,つまり,数
学的思考の系統発生学 と個体発生学 は,形
式主義の批判,そして究極 には 拒否な くしては展開されない。……」90 ユ ー ク リッ ド的公 理 主義 を その ま ま数 学 の認 識 論 として見 て しま う立 場 を独 断論 的 と規 定 す るな らば,ラ
カ トシ ュ の立 場 は懐 疑 論 的 な い し発 見 的 と規 定 で き よ う。 また この立 場 は,数
学 を歴 史 的 に見 る立 場 に連 な る。 ラカ トシ ュ は,こ
の よ うな立 場 か ら,形
式 化 され な い数 学 が,疑
い の余 地 の な い確 立 され た定 理 を単 調 に増 加 させ る こ とに よ っ て成 長 す る もの で な く,証
明 と論 駁 の論 理 に よ っ て,思
弁 と批 判 に よ る推 測 の絶 え ざ る改 良 に よ って成 長 す る もの で あ る こ とを詳 細 に示 した の で あ る。 つ ま り,ラ
カ トシ ュの数 学 観・ 数 学 の発 展 に対 す る基 本 的 な立場 は,佐
々 木 氏 が 述 べ て い る よ うに,次
の よ うな こ とに な る。鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 33巻 第
2号 (1991) 321
「数学の発展 は永遠 の否定で きない真理のしっか りした集積か ら成 り立つ ものでない。数学 の理 論 も,批
判,不
確実性や誤 り,見
落 しか ら決 して解放 され るものでな く,批
判 と訂正 によって発 展す るとい うことである。 ラカ トシュのこの立場 は,科
学的認識論 におけるポパーの思想 を受 け 継 ぐものである。」1271 さらに言 えば,従
来 の数学の哲学が絶対性・ 無謬性 の追究 にあったのに対 し,ラ
カ トシュは,ポ
パーの思想 を受 け継 ぎ,数
学 における可謬性 の哲学 を展開 したのである。12)『
論証 と論駁』の内容・ 形式 と反例の役割 多面体 に関す るオイラーの公式V―
E+F=2
の歴史 を主題 にしている。形 において は,教
室にお ける対話 。議論であって,ま
ず教師が,コ
ーシーによるオイラーの公式の伝統的証明 (それ は,多
面体の稜 を平面上 の網 の目に展開 して,次
々 に単一 の三角形 に還元 してい くや り方である) を提示す る。証明が完了す るや否や,生
徒 はあ りとあ らゆる種類 の反例 を出す。論争 は続 く。その 証明 は何 をしたのか。数学 において,わ
れわれ は何 をどのように知 ったのか。推測 と反例 の拒否, 定義や補題 の修正,推
測 の改良な ど,討
論が,数
学的 にも,論
理的 にも,ま
す ます洗練の度合 いを 深めてい く。 この ように,理
論が眼前で形成 されてい く様 を,疑
間が確信 に道 をゆず り,ま
た新 し い疑間 に確信が道 をゆずってい く様態 を,ラ
カ トシュは極 めて明瞭 に示 している。 脚註 には,こ
の火花 を散 らす論争 に釣 り合 うように,オ
イラー予想 に関す る歴史的文献が詳細 に 提供 され,本
文 にお ける討論 の数学史的背景が示 され る。 したがって,本
文で展開されている教室 の対話 は,現
実 の歴史 の合理的構成で もある。 とくに,ラ
カ トシュの数学的発見の論理で重要な ことは,推
測や補題 を論駁す る「反例」である。 ラカ トシュはこれ を2つに区別 している。98ち ① 局所的反例……議論の 1つ の段階に挑戦する反例 (補題 を論駁する例で,必
ずしも推測の 主要部を論駁 しない) ② 大局的反例……議論でな く,結
論 自体 に対する反例 (推測それ自身を論駁する例) これを本文の事例で説明する。最初に教師が提示 した証明は,次
の3段
階 (3つ の補題)か
ら成 り立っていた99。(i)多
面体が薄 いゴムでで きているという想定の もとでの思考実験 をす る。面の 1つ を切 り取 り, 残 りの面 を破 らず に平面上 に展開す る。原多面体 に対 してV一 E tt F=2で
あることは,平
面 上 の網状組織でV― E tt F=1で
あることと同値である。 値)こ
の網状組織 を三角形分割す る。 これによって,全
体 のV―
E tt Fは不変である。ti)三
角形分割 された網状組織か ら 1つ 1つの三角形 を取 り除 く。 この場合,(a)1つ の辺 を取 り 除 くか,(b)2つ
の辺 と1つの頂点 を取 り除 くか,の
何れかになる。 どち らの場合 も,V一
E十
Fは
不変で ある。 この手続 きの最後 にただ1つの三角形が残 る。 それゆえ,V一
E tt F=1は
真 となる。 この証明に対 して,次
のような反駁がなされ る。まず,第 3補
題 の誤 りを主張す る反例で,「網状 組織で内部の三角形か ら取 り除 くと,頂
点 も辺 も取 り除 くことな く1つの三角形 を取 り除 ける」 と い うものである。 これ は局所的反例である。 これ は,証
明の不充分な ことを示す ものであるが,推
測 自体誤 ってい ることを示 していないか らである。 この反例 を克服す るために,第
に '段 階 を「取 り 除 く各段階で境界三角形 を取 り除 く際,(a),(b)の形態 の1つが起 こる」 と補強・ 修正す ることによ って,証
明を洗練,改
良す ることがで きる。の。(次図参照)(a) (b) (反
例) 次 に,大
局 的反例 に よる推測批判 が展 開 され る。 まず,反
例 「1対
の入 り子 にな った立 方体 に よ って境界づ け られ た立体 」が提 出 され る。 この中空 の立体 は,第
(i)補題 を反証 す る と同時 に,V―
E tt F=4と
な るか ら,推
測 の結果 も否定 す る。 したが って,
これ は大局 的反例 で あ る (局所 的反 例 で もあ る)。 さ らに,「1辺
が共通 で ある2つの四面体 」や 「1頂
点 が共 通 で あ る2つの四面体 」 (両例 ともV― E tt F=3だ
か ら推測 自体 を否定 す る)な
ど数 多 くの大局 的反例 が登場 す る。 これ らの大局的反例 に対 して,入
念 な検 討 が行 われ,推
測 が修 正 され てい く。 それ に伴 つて,多
面体 の 定義 もさまざ まな角度 か ら検 討 され,原
推測 も「単純 多面体 で,そ
のすべて の面が単連結 な もの に 対 して,V―
E tt F=2で
あ る。」 と改 良 されてい く。り。 この ように,『証 明 と論駁 』で は,「 反例」「反駁 」が重要 な役割 を果 してい る。 ラカ トシュによれ ば,数
学 で は,ま
ず問題 もし くは推測 か ら出発 して,証
明 と反例 が 同時 に追 究 され る とい うので あ る。新 しい証 明 は古 い反例 を説明 し,新
しい反例 は古 い証 明 を覆 す。 この よ うな成長 と発展 の途上 にあ る非形式 的 な数学 にお ける証 明 は,仮
定 か ら結論 へ途切 れ る こ との ない正 しい推論 の連鎖 を意 味 す る もので ない。 む しろ,そ
こでの証 明 は,推
測 を もっ とも らし く,よ
り説得力 のあ る説明 をす る,正
当化 お よび仕 上 げ を意 味 し,一
方 その証 明 は,反
例 の圧 力 の も とで,よ
り詳細 に,よ
り精密 化 され てい くもので あ る。13)ラ
カ トシ ュの数学的発見のモデル ラカ トシュ は,『 証 引 と論駁 』付論1で
,オ
イ ラー予想 の コー シー に よる証 明 の ケー ス・スタデ ィ で展 開 した方法 の骨格 を再説 してい る。 そ して,も
う一 つ の ケー ス・ ス タデ ィ (原始 推測 :「連続 関数 の任意 の収 東 級 数 の極 限 はそれ 自身連続 で あ る」)を 与 え,こ
れ を例証 してい る。か。ラカ トシュ が そ こで示 した発見法 の骨格 (モデル)は,次
の よ うな もので あ る。 「 数学的発見 もしくは非形式的数学理論の成長には,1つ
の単純な様式がある。それは次のような段階から成る。 ① 原始的推測 ② 証明 :原始的推測を部分推測 (補題)に分割する思考実験 もしくは議論 ③ 大局的反例 (原始的推測への反例)の出現 ④ 証明の再検討 ・大局的反例が局所的反例 となるような「有罪補題」を見つける。 。この有罪補題は前には隠れていたが誤認されていた。これが顕在化され,原
始的推測の中に条件 として 組み込まれる。 ・定理 (改良された推測)は新しい証明生成概念を卓絶した新 しい特徴 として伴い原始的推測を乗 り起え る。」(331 この4段
階には,局
所的反例 に関する陳述がない。おそらく,②
の証明の段階にこれを含めて考 えていると思われる。が,次
の局所的反例のステップ鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第33巻 第