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丸亀市小手島におけるウミトラノオの生長-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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香川生物(KAGAWA SEIBUTSU),(9)て10−13,1980.

丸亀市小手島におけるウミトラノオの生長1)

丸亀市立城西小学校 金森 正博

Growthin Sawswt thunbe叩iiat the tidalzone of OteshimaIsland, Kagawa Prefectur’e,Japan. Masahiro KanamOr・i,JooseiPr励School,A4brugame 763. 1序文 筆者の知る限りでは,海藻の垂直分布,水平 分布,地域の海藻相,年間の海藻相の変化など についての研究は多いが,自然の状態における 海藻の年間の生長ということを取りあげた研究 は少ないようである。そこで筆者は,小手島小 中学校に赴任したのを磯会に,海藻の生長を調 べようとした。 」\手島付近の潮間帯には種々の海藻が生育し ており,その生長の様式もさまざまであろうが, 筆者は海藻の生長を研究する第一・歩として同地 域に多数群生するウミトラノオ(ぶ聯朗〝花 挽附庖明前)の生長を調べてみた0 本研究は1977年9月からチ979年3月の間に実 施した。採集に協力していただいた小手島小中 学校職員の皆さん,香川大学学生諸君,また有 益なる御指導をいただいた香川大学,国分寛教 授,須永菅雄教授に深く感謝の意を表する。 2小 材料および方法 ウミトラノオは,ホンダワラ科に属する褐色 の海藻で主に潮間帯下部に群生し岩盤にその仮 根を付着させている。ウミトラノオは比較的枝 分かれが少なく,草丈の計測が容易であり,ま た多数群生しているので,採集による個体数減 少を考慮しなくてよいという利点をもっている。 採集場所は備讃瀬戸中央部に位置する小手島 (図1)の南岸の岩礁地帯で,日光の照射を多 く受けており,海藻の生育には好都合な場所で ある。ウミトラノオ・の群生は,この岩礁上に潮 間帯中部から低潮線下漸深帯まで広がっており, 下部に行くにしたがって個体の大きさは大きく なっている(図2)。そこで潮間帯下部に幅5 m,長さ30mの長方形の枠を打線にそって設定 1)本研究は,昭和53年慶文部省科挙研究費補助金(奨励研 究(B))による研究である。 採集地 図1 採集地略図。 し採集地点とした。 この地点は,大潮の干潮時には海面上に露出 する。調査日ごとに,この枠の中に群生するウ ミトラノオ・を根ごとランダムに採り,一株の中 で一番長い茎の長さ(L¢m),茎数(N)およ び,採集後10分間水切りをしたのちの湿重畳( Wグ)を測定した。また採集時に気温,準水温 の測定も行った。生長解折の方法は,個体ごと の生長を追うことは困難なので,原則として毎 月1回各回に数十個体以上を採集し上記の測定 をおこない,群の平均的な生長を追ってゆくこ とにした。 3り 結果と考察 a.形態変化 −10−

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ウミトラノオ犠.生長にともなって形態がし だいに変化してゆく。この形態変化のようすを 表1.小手島採集地点付近にみられる主な海藻 CHlOPOpI王YT入 メ′♂れ08ごγC〝点 れ七古土dヱ仰 ヒトニク、、t 乙Zジの Pどrt㍑印 ?プアスワ 雷れ亡epono叩あユ ぐOr二芦eβSd スシ、、フォノリ どれfe㍗∂nCrpたα 乙忘れ之C ウヌJ“ア字ノリ ㍑止れ仰 メ㍗Cgでてe 三1ン P王てAEOPf!YTA iβ7づダe Oたα祈祝PC乞 イ三′1、、 抽mαe訂S亡祝β dee乞Pte乃S モス“ク Fe訂亡0Sどpわc省 Zomとれ士αユ〉五α 祈モノリ ∼γま(さαP・£こr P′乙れ習♂士乞fj■dG ワカメ Cり£」£∂㌻〉わ討てZ祝作 シヤヨ∩モク e︶ ′ビ 、レ “↓1 ・√ けりし ㍗ ・∴ 什. ひレ S ハD ∴ご∴:ご∴t【;「こ 一ヽ .メ て▼ ︹ノ ーフ 脚 .︰ P ︵じ †〟 − 図2 採集地点の垂直断面図。 記録するためつぎのような三塾(図3)を区分 して,標本中に三型それぞれが占める割合の変 化を月別に調べてみた(図6)。 毎年8月中旬∼9月上旬になると岩盤上に固 く付着した盤状の仮根から長さ4∼5C偶の茎が 教本∼数十本伸びてくる。茎の断面は丸く円柱 状で分岐しており叉状様分岐をなす。葉は小さ く線状で茎を密におおっており気胸も小さい。 9月上旬頃のウミトラノオの茎の表面は比較的 かたく一見してうろこ状である(Ⅰ型)。10月 になると茎のうちの何本かが伸びて最大長2卸 位に達するものもでてくるようになる。莫も9 月の頃とくらべて大きく生長し,長く伸びた茎 の表面を密にふさふさとおおうようになる。し かしうろこ状の葉をもつ未発達の茎も多数残っ ている(Ⅱ塑)。 12月になると,ほとんどの茎が長く発達し, 未発達の茎はわずかである。菓はいっそう大き く生長し,茎の伸びる方向に対して備にはり出 してくる。気胸は葉に混じって目立たない(皿 型)。 翌年の1月∼7月にかけては,前年の12月の ときと形態上の変化はあまりないが,6月以降 になると茎が根から脱落してしまうものもある ようであろ。また時として茎から多数の羽状の 枝を出すものもみられるが,これは低潮線下に 生育する大型の個体に多い(Ⅲ塾)。 前記のⅠ型,Ⅱ型,Ⅲ型の個体が,各時期の 全採集数に対してどんな割合を占めているのか ということを表わしたのが図6−aである。こ の固からⅠ型は1977年9月は100%を占めてい るが,10月になるとⅡ型が急激に増え,1978年 1月頃までは,Ⅰ塾とⅡ型は混在する。しかし

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1978年2月になると町型が急激に増加し,Ⅰ型 はなくなる。その後1978年7月まで,Ⅱ型とⅢ 型が混在するが,Ⅲ塾がⅡ塾より多くこの割合 は,7月まで変化しない。1978年8月になると Ⅱ,町塾共消滅してしまう。 b.生長解折 各月に計測した草丈(L)を5Cmごとのヒス − ̄−−ご− ∴‥ . \  ̄ー‖ S ニF: ● 1978 図5r・=(/day)×100の季節変化。 トグラムに表わしたものを図4に示す。月を追 うにしたがって,草丈(L)の計測値の範囲が 大きくなっている。また1977年9月から1978年 2月までは,草丈分布の山の移動が明瞭にみら れる。1978年8月に分布範囲が5∼1卸になっ ているのは6月の採集時以降,全個体の茎が板 1977年9月12日 10月13日 11月25日 11月28日 1979月3月17日 10 20 30 40 50 60cm 、草丈(l一) 0.D. 1977 1978 F..A. J.A 田4 草丈(L)の各採集日ごとの頻度分布 縦軸個体数。 図6ウミトラノオ諸茎の出現,海水温,草丈, 茎数および湿重畳の季節変化。 −12−

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状部から海中へ遊離したものと思われる。この ヒストグラムをもとに各回ごとに≠ 草丈(L) のとりうる値の範囲とその平均値を求め,結ん でいったのが図6−Cである。また図6−eは 各月ごとに湿重量(W)のとりうる値の範囲と その平均値を結んでいったものである。 この2つのグラ■7から判断すると,この地域 のウミトラノオの生長は1978年2月までつづい ているが,その後は生長がほとんどないようで ある。また,ある時期に計測した草丈(L)の 平均値をβ1とし,次回に計測した草丈(L)の

平均値をβ2とし,r・=解/daか100

を計算し,この億をr・とするとr・の値は1977年 10月から1978年3月頃までだんだんと低下して きており,草丈(L)の生長は一定の割合で生 長してゆくのではないことがわかる(囲5)。 以上のことからこの地域のウミトラノオの生 長が著しい時期は,秋から冬にかけてであると いえそうである。 生長を促す要因として海水温,日射最,CO2 盈など種々の要因が考えられるが,このうち海 水温を検討してみると,採集地点の海域では, 9月が最も高く,以後だんだん低下し,2月に 最低になる(図6−C)。海水温が最低になる 2月は,ウミトラノオの生J最もにぶくなってく る時期である。このことから,ウミトラノオの 生長が著しいのは,海水温が次第に低下してい く9月から2月の時期であり,海水温が上昇す る3月から6月の時期には,生長が小さいとい えそうである。 図6−dは,一つの根に存在する茎数の毎月 の変化であるが,草丈(L)が生長している時 期に茎数は減少している。このことは,草丈が 伸びるにしたがって,波の力などに対する抵抗 が大きくなって仮根から茎が遊離したのかも知 れない。 −13−

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