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偶発事象会計序説-香川大学学術情報リポジトリ

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偶発事象会計序説

森 Ⅰ はじめに.。ⅠⅠ会計における不 確実性の問題。ⅠⅠⅠ偶発事象の会計 問題。ⅠⅤ 保証債務の会計問題。 Ⅴ 偶発事象の監査問題。ⅤⅠむす び。 Ⅰ 最近においては,いろいろな事情から,偶発事象の会計および監査が問題に されることが多くなってきている。 これまでは,偶発債務として注記することが必要とされているが,比較的に 問題にされていなかった保証債務が,安宅産業事件や大光相互銀行事件によっ て,企業の存続を危くするような重大な問題を含むものであることが,社会的 に認識されるようになってきた。 すなわち,安宅産業は,大手の旛合商社に属するが,多くの関係会社/を国の 内外に有していたところ,巨額の債務を保証している外国の関係会社の財政状 態が悪化し,そのために安宅産業自体の経営の行き詰まりをもたらすことにな った。 また,大光相互銀行は,巨額の簿外の債務保証を行なっていることが判明し, さらに,それらのうちの多くが不良債権とみなされるものであることが明らか になった。 また,外国においても,偶発事象のなかでも訴訟事件が汲増する傾向にあ り,これに対応して,監査報告脊においても,これらを未確定事項として条件 付意見を表明することが非常に増加してきている。そこで,このような条件付 意見の有用性について疑問が提起されるとともに,偶発事象の会計についてよ

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香川大学経済学部 研究年報19 J97p − 2・一 り明確な基準の必要性が認識されるように・なった1)。 このような背景の下に,米国の財務会計審議会(FASB)は,1975年に財務

会計基準第5号「偶発事象の会計(AccountingforContingenCies)」を発表

し,一また,1978年には,これとほとんど同じ内容の国際会計基準第10号「偶発 事象および後発事象」が発表され,偶発事象の会計および表示の問題に・ついて 関心が高まってきた。 さらに,わが国でも,現在,商法の計算規定の改正が検討されているが,そ のなかには引当金の問題も含まれている。そこでは,引当金を負債性引当金に 制限するとともに,国際会計基準第10号のいう偶発損失引当金を含めるべきで あるという意見が強いようである。 そこで,本稿では,偶発事象の会計および監査における問題点をとりあげて 検討することにしたい。 ⅠⅠ 矛盾した表現であるが,この世の中には確実なことは何もないことが確実で あるといいうるほど,現代には不確実性が満ちている。会計に関しても多くの 不確実性が存在するが,これを,もう劇度,素朴なところから考えてみること にす−る。 通常は,会計の不確実性として,会計の主題である期間損益計算において期 間収益あるいは期間費用の認識および測定が予軌 見積りに・よって行なわれる ことを意味することが多い。すなわち,発生主義会計においては,事前的認識 および測定を必要とするので,それが事後に・おける結果に一・致しない可能性が ある。このような不一・致の可能性を不確実性といっているようである。しかし, 会計に関する不確実性としては.,これはきわめて限定されたものであり,より

1)J.K..Shank,J”F.Dillard andJlHlBylinsk,“What Do‘Subject To’

Auditors,Opinions Means toInvestors?”,FinancilAnalyst Journal,

January−February1979,pP・I41∼45”M…Firth,〃RecentEmpiricalStudiesin

Auditing”,Accountancy,February1979,pp”68∼73‖岩村−・夫「財政的危機と 不確実の限定」,『会計ジャ・−サル』,昭和50年11月,34∼43ベ・−・ジ。岩村一・夫「訴訟

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偶発事象会計序説 ー β −・・・・・ 広い範囲において会計の不確実性を考えることができるであろう。 まず,もっとも基本的なことであるが,会計目的の設定自体に不確実性を考 えることができる。会計目的は,企業と利害関係者とのかかわり合いにおいて 設定される。このようなかかわり合いは,一・様ではなく,固定的でもない。た とえば,歴史的にみても,出資老兼経営者の個人的企業においては,会計目的 は,経営老の経営管理に奉仕することを目的とするであろうし,株主が主要な 利害関係名として登場すれば,会計においては,分配可能利益の測定に重点が おかれるし,また,金融機関が主要な利害関係者になれば,信用判断に.役立つ 情報に重点をおいた会計目的が設定され,ノさらに,証券市場を前提とした投資 家が主要な利害関係者になれば,企業の収益力表示に.重点をおいた会計目的が 設定される。 しかし,このように,企業の利害関係者が増加してくれば,利害関係者の種 類も増加し,利害関係巷間の利害を調整することが会計の目的となる。そして, 会計は,−・方において,より広い範囲の利害関係者に奉仕するように.より−・般 化された会計目的を設定されるとともに.,他方に.おいてほ,目的をより特殊化 して,たとえば,財務会計と管理会計に分化し,さらに.財務会計は,証取法会 計と商法会計に分化するようになる。 このように,会計は,その社会的機能を認識されるようになると,国家は, 単に税の問題ばかりでなく,会計を企業の規制の手段として利用するように会 計目的を設定するように介入する度合が大きくなる。 ところで,このような会計目的の設定が,企業の実情に適合していない可能 性がある。 それは,とくに,会計目的が,法制度として設定される場合に多いであろ う。すなわち,法律制度においては,−・定の基準によって適用範囲を設定する ので,その範囲においては,会計目的は−・般的に設定されるので,個々の企業 の実情は必ずしも考慮されない。したがって,会計目的の企業の実情に対する 適合の度合は,−・様ではなく,企業の実情とずれる可儲性が存在する。 さらに,法律制度は,固定的になる傾向があるので,たとえ,会計目的の設 定時に,それが企業の実情に適していたとしても,その後の事情の変化によっ て適合しなくなる可能性がある。そして,最後に,法律制度の改廃が要求され

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香川大学経済学部 研究年報19 Jβ79 − J −一 るようになるが,それまでの過程においては,会計目的は企業の実情に適合し ない。このようなことほ,具体的には,制度会計における諸法規の改正に示さ れることであり,また,最近に.おいて,財務諸表の範囲が,従来の個別の年度 財務諸表から,連結財務諸表および中間財務諸表に拡張されてきていること や,時価による会計情報,財政状態変動表,事業部門別会計情報の提供などの 問題に.あらわれている。 このような会計目的と関連するのが会計対象である。すなわち,企業の経営 活動および状態に.関するすべての情報の提供をうけること.を理想とするであろ う。しかしながら,会計が情報として把握することができる企業の実態は,現 在のところ貨幣価値によ、つて測定することのできる企業の経済的側面に限定さ れている。ところが,企業の実態には,いろいろな側面がある。すなわち,企 業は.,経済的側面ばかりでなく,生産および販売施設のような物的側面,経営 者および従業員のような人的側面,さらに.は,このような人間が企業の内外に おいて形成する社会的関係,政治的関係および文化的関係などがある。 したが・つて,企業の利害関係者の会計に.対する要請も,次斯こ高度化し,企 業の多様な側面に関する情報が求められるようになる。このような要請に応え. る試みが,人的資源会計であり,また社会会計である。このようなことを考え れば,会計が,利害関係者の期待する企業の実態を表示していないという意味 の不確実性がある。このような不確実性は,企業に対する利害関係者の要請の 変化および高度化とともに生じ 会計技術の発展および制度の改正によって解 消されるものということができる。 −・般に.,会計の不確実性として議論されるのは,会計目的の達成のための技 術構造における不確実性である。企業会計は,利害関係者に,企業の財政状態 および経営成績に関して真実な報告を提供することを目的としているという真 実性の原則が,企業会計原則の一・般原則の最上位におかれている。しかし,真 実性の原則においては,企業会計は,絶対的真実性を求めることはできず,相 対的英美性を追求することができるだけであるとされている。そこに,絶対的 真実性を確保できないという不確実性を含むことが山・般に承認されている。 この理由として,一・般に,財務諸表は,事実と慣習と判断の総合的産物であ ることがあげられる。すなわち,もしも,財務諸表が事実のみによって作成さ

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偶発事象会計序説 ー ∂ − れるのであれば,絶対的真実性を保証することができるが,そうではないから である。会計処理方法には,絶対的な方法は少なく,多くは,相対的な方法と いうべきものであり,企業の実務の歴史においてうみだされてきた慣行的な方 法であるために,それらが一・般的に.公正妥当な方法と認められるにしても,選 択可能な代替的方法が存在する。したがって,理念的に.絶対的に正しい方法が 存在するものとすれば,現在の−・般に公正妥当と認められる方法による会計 は,必ずしも企業の実態を表示していない可能性がある。 もちろん,現代の会計は,このような絶対的真実性の追求を目的とするもの ではない。それは,相対的真実性に.よ、つて,会計の目的を十分に達成すること ができると考えるからである。すなわち,現代の会計が,選択可能な代替的方 法にもとづくものであっても,継続性の原則によって,期間比較可能性のある 会計情報を確保することができる。そこで,相対的真実性が絶対的真実性を確 保できないかもしれないという不確実性は,会計の前捷として承認されてい る。 さらに,会計処理において会計担当者の主観が介入する。すなわち,期間損 益計算における期間収益および期間費用の計算には,会計担当者の主観的判断 に.よって決められなければならない多くの問題がある。したがって,計算時に. おける判断が,将来の時点において,聞達っていたことが判明し,修正されな ければならなくなることがある。 たとえば,収益の計上においても,計上された売上高は,後に.返品される可 能性を含み,また,売掛債権ほ,後に貸し倒れになるものを含んでいる。しか し,それでも,収益の場合には,現在は実現主義を原則としているので,でき るだけ確実な条件が整、つたときに収益を計上することが要求され。したがって, 費用の場合に.比較すれば,相対的に不確実性は少ないということができる。 これに対して,費用の場合に.は,現在は発生主義を原則としているので,収 益に比較すれば,相対的に不確実性が大である。すなわち,費用の場合には, まだ支出が行われていなくても,当期に起因するものは予測によって費用とし て計上しなければならないからである。たとえば,減価償却費の計算において は,耐用年数および残存価額を見積らなければならないし,売掛債権に対する 貸倒損失も見積りによって計上することが必要であり,さらに,製品保証引当

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香川大学経済学部 研究年報19 ー β − Jタ7タ 金およびその他の負債性引当金は,すべて見積りによって計上しなければなら ない。これらは,過去の経験にもとづくとは.いえ,すべて将来の予測であるか ら,その判断が事実と相違する結果に.なることが多い。 また,費用収益対応の原則に.よって費用を期間に配分する場合でも,研究開 発費の例に・おいて明らかであるように,それが,どの会計期間に.どの金額を割 り当てるべきであるかは,必ずしも確実に決定することはできない。そこに, −・般にり 期間の不確実性と金額の不確実性があるといわれている。 これらの期間損益計算における予測と実際との相違は,後の期間において判 明するが,これは前期損益修正項目として処理される。そしてその性質は,期 間外損益項目である。 これらの会計上の予測,見積りに.は,ニ種類のものが含まれている。その第 一・は,減価償却のように減価現象の発生は確実であるが,期間に.帰属すべき金 筋に不確実性があるものである。これに対して,第2は,訴訟事件のように, 訴訟に負ければ賠償金は支払わなければならないが,訴訟には勝てば賠償金は 支払わなくてこもよいというように.,その発生自体に不確実性があるものであ り,これを偶発事象という。 これまでのべてきたように,会計に.は,種々の不確実性が存在する。まず, 会計制度に.おいては,企業と利害関係者との関連から会計目的および会計対象 が設定されるが,法律制度に.おいては,会計目的および会計対象が劇度設定さ れれば,それが固定的になり,状況変化に・対する弾力性を欠く傾向を生じる。 そこで,企業および利害関係者の発展および変化に応じて,利害関係者の企業 に対する情報要求が高度化する場合には,制度が実情に適応するように変更さ れるまでは,会計目的および会計対象が企業の実情に・適合していないという不 確実性を生じる。 このような会計の不確実性は,本来は,制度外的な不確実性であり,会計目 的外のものであり,また,会計対象外のものであるならば,利害関係者に対し て, これらが会計目的外のものであり,また,会計対象外のものであることを 明らかにし,また教育するという啓蒙活動によって,このような不確実性を生 ぜしめないようにすることが必要なものである。 ところが,企業および利害関係者をとりまく状勢の変化に対する適応という

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偶発事象金封序説 ー 7 −・ 動態的プロセスに.おいて生じる制度的不確実性においては,まず,利害関係者 の要請という形で生じ 次いで,これに対する企業の自発的な対応という形で 進行し,最後に法律制度の改正という結末にいたる。 したがって,このような結末に↓、たる過程に.おいては,利害関係老の要請が みたされないという不確実性が生じる。このような場合には,会計の職業的専 門家である会計士による企業に対する指導が重要である。すなわち,会計士は, 現在の基準に磯械的に.したがうのでほなく,より積極的に.,基準が,実情に適 合するように運用し,企業を指導していくことが必要である。 さらに,−・般に問題とされる会計の技術的な不確実性は,会計が,選択可能 な代替的方法を容認せざるをえない上に,多くの予測,見境りのような主観的 判断を含まざるをえないところから生じる。このような会計技術的な不確実性 に.対して,選択可儲な代替的方法に対して継続性の原則を要求することによっ て,会計情報の期間此餃可能性を保って,相対的其実性を確保するとともに., できるだけ客観性の高い会計方法を要求する。たとえば,収益計上における実 現主義であり,また,収こ支額を基準とする取引価額主義である。 しかし,このような会計の客観化は,より確実な期間損益計算を意図するも のであるが,それは,必ずしも利幸関係者の情報要求の高度化に対応するもの ではない。利害関係者の情報要求が高まれば高まるほど,より主観的な会計処 理が費求されることがある。たとえば,利益予測情報とか中間財務諸表の作成 においては,より多くの.見積り,予測が必要とされるようになる。したがって このような場合には,これまで以上に会計の不確実性と情報要求の高度化との 調整が考慮されなければならない。さらに,最近,談論が高まってきている偶 発事象の会計問題も,このような動きのなかにあるものと考えられる。 ⅠⅠⅠ 現代の財務会計においては,単に,経営者の受託責任の解除であるとか,配 当可儲利益の計算のように利害関係者の利害を確定する機能ばかりでなく,利 害関係老が企業に対して的確な意思決定を行なうのに必要な情報を提供する機 能が塞祝されるようになってきている。 ところが,現代の経済社会における企業の環境は,非常に激動的であり,状

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香川大学経済学部 研究年報19 −・β・− ユタ7β 況の変化あるいは異常な事件の発生によって企業の継続企業性が否定されるよ うな場合さえ.ある。このために,これまでは.,正規の会計処理の対象とされず 注記事項とされるにとどまっていた偶発事象の重要性が認識され,その本質お よび会計の問題が再検討されるようになった。 問題ほ,会計の不確実性より生じるものである。この不確実性は.,会計が期 間損益計算を目的とし,企業の継続的な経済活動に対して,期間を人為的㌢こ.区 画し,収益および費用を認識,測定しなければならないことに.起因する。すな わち,企業の経済活動は継続的に行われるので,会計としては,企業の経済諸 活動の結末が確定する以前に会計処理を行なわなければ,企業の経済活動の実 態を反映した的確な損益計算ができない。したがって,発生主義会計にもとづ いて−,会計的事実が確定する以前に,将来の予測に.よって費用および収益を測 定しなければならないので,結末において事実と相違するかもしれないという 不確実性を萌する。 これらは会計上の見積りといわれるが,それらは,結末の事象の発生は確実 であるが,ただ,期間に帰属させる金額の測定に不確実性があるものである。 これに対して,偶発事象は,同じように.会計上の見積りが必要であるが,金額 の測定の不確実性以前の問題として,結末とtての事象の発生が,生じるかど うか分からないという不確実性があるものである。 このような偶発事象には,発生の確率の高いものから低いものまであり,期 間損益詔算は,企業の経済活動をできるだけ忠実に反映することを目的とする ものであるから,偶発事象のなかでも,発生の確率の高いものについては会計 処理を行なうことが必要である。また,発生の確率が,それほど高くなくて も,ある程度の確率があるものについては,利害関係者の企業に対する的確な 意思決定を可能にするために・偶発事象に関する情報を開示するべきであろう。 わが国では,現在のところ,偶発事象会計においては,偶発債務について規 制され,偶発損失の計上は禁止されている。すなわち,企業会計原則の注解18 の「負債性引当金について」は,「負債性引当金は,金額は未確定であるか, その支出は確実に起こると予想されるものであるから,偶発損失についてこれ を計上することはできない」としている。しかし,注解自身が「その支出は確 実に起こると予想されるもの」としているのであるから,発生の確率の高い偶

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偶発事象会計序説 一 夕 ー 発損失を計上することを認めるより弾力的な解釈も可能なようにも思われる。 次に,証券取引法に.よる会計規制であるが,財務諸表規則第58粂は「偶発債 務は,貸借対照表に.注記しなければならない」としている。これに関連して, 「財務諸表規則取扱要領」の第131は,「規則第58粂の偶発債務とは,債務の 保証,引渡済の請負作業又は売渡済の商品に対する各種の保証,係争事件に.係 る賠償義務,先物売買契斉軌 受注契約その他現実に発生してこいない債務で将来 において当該事業の負担となる可能性のあるものをいう」として,その内容を 示し,その表示については,同第132で,「規則第58条の規則に.よる注記は, 当該偶発債務の内容(債務の保証については,その種類及び保証先,係争事件 に係る賠償義務に.ついては,当該者件の概要及び相手方等)を示し,その金額 を記載するものとする」とし,さらに,第133で,「偶発債務で重要性のない ものについては,注記しないことができる」としている。 さらに,商法に.よる会計規制では,計算畜類規則第32粂で,「保証債務,手 形遡求義務その他これらに準ずる債務で,負債の部に計上しないものは,それ ぞれその総額を注記しなければならない」としている。 これら二つの規則を比較してみれば,財務諸表規則においては,偶発債務に・ 手形遡求義務が含まれていない。これは,割引手形または譲渡手形の注記が別 に規定されているためであると思われるが,偶発債務に含めるべきである。ま た,先物売買契約および受注契約を偶発債務に∴含めているが,これらは確定債 務として処理するのが妥当であろう。 これに.対して,計算書類規則では,エ審・商品に対する保証および係争事件 の賠償義務については例示で明らかにされていないが,保証債務,手形遡求義 務に.準ずる債務に含まれているものと解される。 次に,偶発債務の表示については,両規則とも注記としてディスクロ−・ズす ることを要求しているが,計算書類規則の場合は総額による注記では,不十分 な情報しかえられないので,財務諸表規則のほうがより妥当な注記であるが, 保証債務の場合に.は,種構および保証先を示すことが要求されているが,さら に,個別的な回収可能額をしることができるように求償権の内容,たとえば担 保額を表示することが必要と思われる。 さらに,銀行法および相互銀行法の施行規則の貸借対照表の資産の部に「支

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香川大学経済学部 研究年報19 ーJO − Jβ7∂ 払承諾見返」勘定を,負債の部に「支払承諾」勘定を計上し,対照的に表示す ることが要求されている。 まとめてみれば,わが国の会計規則においてほ,偶発債務の存在を開示する こ.とが要求されるにとどまり,偶発損失の計上を要求するにはいたっ七いな い。これは,これまで偶発損失の可能性を軽視してきたことに起因するのであ るが,最近の安宅産業事件および大光相互銀行事件によって偶発損失の可能性 の重大生を認識しなければならなくなったといえる。

1978年の国際会計基準第10号は1975年のFASB第5号とほとんど同じよう

な考え方を採用している。そこで,国際会計基準第10号についてみていくこと にする2)。 まず,偶発事象を「ある状態または状況であって−,その最終的な結末として の利得または損失が,不確定な将来事象の発生または不発生に.よってのみ確認 されるもの」と定義し,偶発利得と偶発損失の両方を含むとし,さらに,その 解説に・おいて,偶発事象は,「貸借対照日において存在する状態または状況で あって,その財務的影響が,将来発生するかもしれないし,あるいは発生しな いかもしれない事象に・よって決定されるものに限定される」としている。 この定義においては,偶発事象の要件として,次の三つを示しているという ことができる。まず,第1は,「貸借対照表日に存在する状態または状況」と して,当期に起因することを要求している。そこで,偶発事象は,「発生とい う基本的な会計概念に従って,財務諸表における引当計上項目として反映され る」のである。 第2の要件は,最終的な結末が,将来の事象のみに.よって決定されるという ことである0将来の事象によってのみ決定される最終的結末を予測し,見積ら なければならないところに,不確実性が含まれるのである。 第3の要件は,その将来事象は,起こるかもしれないし,あるいは起こらな 2)国際会計基準第10号の解説には,次のようなものがある。川口順一イ偶発事象およ び後発事象(案)の解説」,『会計ジャーナル』,昭和52年8月,117∼123ベ・−・ジ。川口 順一イ偶発事象および後発事象」,『会計ジャ・−ナル』,昭和53年10月,124∼125ペ・− ジ。中島省吾「国際会計基準偶発事象および後発事象をめく小って」,『産業経理』,昭 和54年1月,112∼116べ・−ジ。

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偶発事象会計序説 −・・・・・Jユ ー− いかもしれないというように,発生自体に不確実性が含まれていることであ る。 一般に.,会計笹は多くの見積り判断が含まれていることはノ,財務諸表が事実 と慣習と判断の総合的産物であるといわれていることにも示されているが,そ れらの見積りが,すべて偶発事象となるのではなくて,とくに屠3の将来の事 象の発生自体の不確実性が偶発事象の判定基準となるのである。 この将来の事象の発生の確率は,非常に.高いものから非常に低いものまで広 い範囲に及ぶものであり,必ずしも明確に・示すことは困難である。そこで,基 準は,第6項で「将来の事象が現実に起きる可儲性は,−・定の暗によって示す ことができる。その幅を確率として示すこともできるが,その確率の正確性は 入手可能な情報で十分に.保証できない場合が多い。その可能性の幅は,『かな り大きい』とか『ごく小さい』というような表現で漠然と記述することもでき る」としている。 このように,将来の事象の発生の確率を明確に.区分することはできず,幅の あり,かつ漠然とした基準ではあるが,基準は,将来の事象の確率を三つに分 仇 それに応じて偶発損失の会計処理および開示を定めている。 まず,第1は,将来の事象の発生の可能性がかなり大きく,かつ損失の合理 的見積りが可能であるという二つの条件が満たされる場合であり,この場合に は偶発損失の引当計上が行なわれなければならない。すなわち,第27項は「(a) 関連する回収可能性を考慮に入れた上でも,なお,貸借対照表日現在における 資産の損傷や価値減少あるいは負債の発生が将来の事象によって確認される可 能性がかなり大きく,かつ,(b)結果として生じる損失の合理的見積額が決定で きる場合,損益計算書に引当計上されなければならない」としている。 第2の場合は,損失の発生する可儲性が小さくはないが,第1の場合の二つ の条件のいずれかを満たさない場合であり,このような場合に.は,偶発事象の 存在を財務諸表の注記によって開示することが要求される。 さらに,第3の場合は,損失の発生する可能性が小さいか,第1の場合の二 つの条件のいずれもが満たされない場合であり,このような場合には,注記に よる開示も要求されない。 将来の事象の発生の可能性の予測も困難な問題であり,その財務的影響の見

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香川大学経済学部 研究年報19 Jβ79 ー,Jゴ ー 積りも困難な問題であるが,これらの予測および見積りは経営者の責任であ る。経営者は,財務諸表の発表が承認される株主総会が開かれる暗までに・入手 可能な情報を検討して判断しなければならない。そこで,同種の取引経験を考 慮し,後発事象を検討し,独立の専門家の報告書あるいは意見を参考にするこ とが必要である。 基準も,また,偶発損失の計上額の決定が困難であることを認め,損失の金 額について血・定の幅を示す情報にもとづいて見積らなければならないことが多 いことを予想している。そして,そのような幅のなかで,最善の見積額を計上 すべきであるとする。しかし,このような最善の見筍餅を特定できない場合に は,その損失の可能性を開示しなければならないとする。これらの判断は,実 際には,中々困難であるように思われるが,基準ほ,最低見積額の計上および これをこえる損失の可能性の開示を現実的解決としているように思われる。 さらに,基準は,偶発事象の財務諸表への計上額の決定の方法として二つの 方法を示している。すなわち,第1は,個別的アブロ・−チともよぶべきもので ある。偶発事象を個別的に識別することが容易であり,また,個別的に.特別の 事情があるような場合には,個別的に偶発事象の計上彿を決定することが適当 である。たとえば,巨額の賠償請求の訴訟についてほ,訴訟の進展状況,法律 専門家またはその他のものの助言または意見 同種の事例についての過去の他 社および自社の経験などを参考にして,個別的に決定する。 これに対して,第2は.,集団的アブロ∵−・チとでもよぶべきものである。これ は,多くの同種の取引についてこ共通的に発生する偶発事象の場合には,個別的 に決定するよりも,集団全体について大数法則的に計上餅を決定するのが合理 的である。この例としては,製品の保証とか受取勘定の取立不能見込分の見積 りがあげられる。 なお,相殺請求権または第三者に対する請求権のある偶発債務についての損 失計上額ほ,これらの請求権の行使による回収可能額を考慮に入れて決定しな ければならない。 次に,偶発事象の開示が要求されるのは,将来の事象の発生の可能性が大き いが,損失の合理的見積りが不可能な場合および将来の事象の発生の可能性が 大きくもなく,小さくもなく,損失の合理的見積りが可儲である場合である。

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偶発事象会計序説 ー・ユタ ーー この損失の合理的見積りが不可能な場合とは,第10項の「偶発損失の金額を見 積るための証拠が相互に矛盾しているか,または,不十分である場合には,偶 発事象の存在および性質について開示が行なわれる」に示されている。 なお,第12項は,「保証によって生じる債務,手形割引に.よって生じる債 務,および企業が負担する類似の債務の存在および金額は.,企業にとって損失 が生じる可儲性がごく小さいとしても,財務諸表に注記して開示されるのがふ つうである」としている。これらの偶発債務について損失が生じる可儲性がご く小さいといわれるのは,通常,求償権の存在とか担保権によって回収可能性 が保証されていることが多いし,現実に.このような権利の行使を必要とする場 合が比較的少ないからである。しかし,安宅産業の場合にみられるように,特 別の場合に.は重大な損失が生じる可能性があるので,その内容を検討すること が必要であり,このようにいいきってしまうことには問題があるであろう。 また,引当計上,開示,開示不要の三つの場合を厳格に区分するものであれ ば,損失の発生可能性のごく小さい場合は開示は必要なく,あえて開示させる ことは,利害関係者に.損失の発生の可能性について誤解を招くことになるであ ろう。 以上のように国際会計基準第10号の個々の問題点を示したが,全体的に・いっ てあまり明確な基準を示していない。すなわち,まず,第1に,偶発事象にど のようなものが含まれるか必ずしも明確ではない。第2に,引当計上,開示, 開示不要の三つの場合に区別する基準が抽象的であり,個別的な場合に役立つ かどうか疑問である。第3に,予軌見積りの判断基垂も,必ずしも実践的な ものではない。したがって,企業の経営者にとっても,また監査人にとっても 妥当な結論を導くのが困難な仕事になると思われる0 ⅠⅤ わが国では,偶発事象のなかでも,とくに,保証債務が重要な問題となって きている。これまでは,保証債務は,偶発債務の一・つとして,単なる注記事項 としてあまり問題にされていなかった。ところが,安宅産業,永大産業,大光 相互銀行などの事件を契機として,非常に重要な問題が含まれていることが認

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香川大学経済学部 研究年報19 ーヱ4・−− ヱβ7β 識されるようになってきたのである8)。 保証債務老の債務の弁済を債権者に.保証する債務保証の結果として生じる債 権者に対する債務である。これは,主たる債務者に対し債権者が有する債権の 回収を確実に.するために.,債務者以外の信用を利用するものであり,債務者の 担傑能力が不足する琴合であるとか,財務内容が悪化している場合などに,金 融磯閑が,親会社あるいは取引先に債務保証の設定を要求することが一・般的で ある。 資本主義経済の発展に.伴って,企業の集団化現象が進展し,大規模企業は, 非常に多くの子会社,関連会社を有することが通常である。そこで,親会社は 企業集団内の子会社,関連会社の資金の面倒をみなければならないが,自己資 金の余裕がない場合に」は,金融機関から子会社,関連会社への融資に対して保 証を行なうことによって,資金錮達の面倒をみるのである。親会社の事業活動 の拡大を,子会社,関係会社の設立によって行なうことが多くなるので,これ らの会社に対する保証が必要になり,次第に親会社保証が増加する傾向にあ る。 次に,銀行の場合には.,債務保証は,その業務の一つである。すなわち,貸 出業務には,自行の資金の移動を伴うものと,資金の移動を伴わないものとの 二つの種類がある。前者は,貸付と割引であり,後者は.,債務保証と貸付有価 証券である。銀行の場合には,債務保証を支払承諾という。 支招承諾は.,ある銀行の取引企業の資金需要に対して,自行の資金が不足し ている場合に.は,他の銀行からの取引企業への融資に対して保証を行なうこと である。この保証によって,当該銀行は,自己の資金を使用せず取引企業に対 して資金調達の道を開き,かつ一・定の保証手数料をえることができる。また, 他行にとっても,企業に対する融資に取引銀行の保証が行なわれているので, 非常に安全確実な貸出しである。また企業にとっても,資金調達方法として便 利な方法である。 3)細田末書「偶発扱失引当金の設定要件一保証債務損失の引当計上要件に.対する具体 的検討−」,『会計ジャ・−ナル』,昭和58年12月,23∼34べ・−ジ。藤野信雄「債務保証 の開示をめぐる諸問題(上)(下)」,『商事法務』,昭和54年8月25日およば同年9月5 日。

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偶発事象会計序説 −Jタ・・− この債務保証は,銀行にとって取引先を拡大し,あるいは,自己資金が不足 しているときでも取引先を確保するための便利な手段である。したがって,都 市銀行,地方銀行と信用金庫との間にはさまれて,非常に激しい競争を行なっ ている相互銀行にとって,成長の手段として,債務保証を安易に利用する僚向 にあったので,相互銀行の債務保証の額は非常に増加する傾向にあった。 このように,一・般企業にとっても,また,金融機関にとっても,債務保証は, 非常に.便利な手段であり,その金額が増加していったのである。−・般企業の場 合に,親会社ほ,子会社,関連会社の営業状況および財務内容をよく知ってい るので,債務保証にほ問題が起こらないはずである。しかし,親会社の資金力 以上に債務保証を行なったり,あるいは親会社自身の営業活動や財務内容が悪 化している場合に.は,非常な危険がある。 また,銀行が債務保証を行なう場合には,債務保証を与える企業について は,その営業活動の実情および財務状態に.ついてよく知っていることが必要で あり,そのために十分に審査し,かつ十分な担保を確保していなければならな い。しかし,競争が激しい場合には,審査の基準も甘くなり,安易な融資態度 で債務保証が行なわれることが多ぐなる。そのような場合に.は,債権回収不能 のおそれがあるものを含むことになる。 たとえば,安宅産業の場合,安宅産業の米国現地法人に対する債務保証は,

3年前には1,636億円に.も達していたが,この大半が不良債権となり,これに

よって安宅産業自体も,事実上の倒産に・追いこまれたのである。また,永大産 業の倒産のさいには,同じく倒産した直系4社に対する債務保証ほ70億円に・も 達していたのである。 また,大光相互銀行には740億円の粋外保証があり,徳陽相互■.銀行に・も88億 円の縛外保証があったことが明るみにでた。そして,大光相互銀行の場合に は,このような保証債務には,非常に.多くの不良債権が含まれていることが伝 えられている。 ここにおいて,債務保証の実質が,貸出しであることが認識されなければな らない。すなわち,−・般企業の場合の債務保証は,自社の資金不足のため,金 融機関等からの借入れによって,関連会社等に・貸付を行なうのに等しく,また, 銀行等の場合の債務保証は,自行の資金不足のため,他行より借入れを行なっ

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香川大学経済学部 研究年報19 一−ヱβ−・ ユタ79 て,それを自行の取引先に貸付を行なうのに等しい。したがって,債務保証に は,貸付と同じような危険が存在する。そこで,債務保証についても,貸付と 同じような管理および会計が必要であろう。 さらに,逆説的にいえば,保証が必要であるのは,主たる債務者の営業状況 および財務状態からみて,その弁償能力に問題があると判断しているからであ る。そのような場合に保証を行なうというのは,このような危険の存在するこ とを認識しなければならないことが当然に項・求されるはずである。 そ・こで,主たる債務者が,その債務を履行することができない場合に・は,保 証を行なったものが代って弁償しなければならなくなる。いわゆる偶発債務が 確定債儲に贋化する。そのさいに・,保証人が複数の場合には.,共同保証では, 保証人内部の負担の割当は頭割りであるが,その他の場合には.当事者間で取り 決められる。そこで,保証人の最終負担額は,このような保証の内容により, また,主たる債務者からの担保の額,さらに主たる債務者の資産状態によって 決まることになる。 このように,保証債務は,このような負担を要求される現実の債務となりう る可能性を含むものであり,安宅産業等の例に・もみられるように会社に重大な 影響を及ぼすおそれのあるものであるから,利害関係者が的確な意思決定を行 なうことができるように・適切な処理と開示によって情報を提供することが必要 である。 これまで述べてきたところにも明らかであるように・,債務保証という信用供 与制度は,非常に便利な制度である。すなわち,現実には,自社または自行の 資金移動を要せずして関連会社または取引先に対して資金需要をみたすことが できる。しかし,その反面において,危険も存在する。その第1は,安易かつ 無制限に債務保証が行なわれる傾向があるということである。すなわち,現実 の保有資金の制約を受けることがないので,関連会社またほ取引先の要求に応 じて債務保証を行なう傾向が生じ また,関連会社または取引先の債務保証の 要求を姫番することは,実際には困簸な事情にあることが多いので,結局にお いて無制限な債務保証が行なわれることになり,遂に・は,関連会社または取引先 の資金力の実情を慎重に考慮しないで,危険性を含むおそれのある債務保証を 行ない,さらには,親会社.自身の能力をこえた債務保証を行なうことにさえな

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偶発事象会計序説 ーヱ7− ってしまうのである。 第2に,債務保証は,現実の資金移動を伴わないので,制度的な権限,承認 のシステムを経ないで行なわれ易いことがあげられる。たとえば,ワンマン経 営の会社では,社長個人の判断によって債務保証が乱発されたり,あるいは営 業部門の担当者が取引の必要に応じて自己だけの判断で債務保証を行ない,そ れを承認し,あるいは審査し,または総括する部署が存在しないことがある。 このような場合にほ,会社として責任を負わなければならない債務保証の内容 はもちろん,その総額さえも把握することができる記録システムが存在しない ので,保証債務を管理したり,あるいは内部的に濫査す−ることも不可能な状態 になる。 しかしながら,さきにもふれたように,債務保証は,貸付の場合の貸倒損失 と同じように,主たる債務者が弁済不能になった場合には,代って弁済しなけ ればならないので,損失を蒙る可儲性があるばかりでなく,会社自体の存立を すら危ぐする可能性がある。したがって,企業にとっては,企業の行なう,あ るいは行なった債務保証を十分に管理することが非常に重要である。 このような債務保証の管理のためには,企業の行なう債務保証の審査,決定 あるいは承認のための厳重かつ十分なシステムの立案および設定,さらに企業 の行った債務保証を常時管理し,状況に・応じて迅速に適切な処置を講ずること のできるシステムが必要である。さらに,このような管理のためには,企業の 行なった債務保証の内容およびその額を総括的に記録するシステムも必要であ る。また,これらの債務保証に閲す−る企業の全体的なシステムが十分に整備さ れ,かつ有効に機能しているかどうかを監査する内部監査も必要であろう。 これまでにも,再三指摘したように,債務保証の実質は,他より借り入れて それを貸付けることに.等しい。したがって,貸付と同様に,基本方針,手続, 組織,記録および報告が,債務保証についても十分に整備されていなければな らない。 まず,基本方針として,どのような場合に.,直接融資を行なうか,債務保証 を行なうか,さらに,どのような場合に債務保証を融資に.切り替え.るかの基準 が明確にされていなければならない。また,審査においても,どのような財政 状態および経営成績の場合に,保証を行なうのか,あるいは保証を拒否するの

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香川大学経済学部 研究年報19 −ヱ∂・・− ヱ979 かの基準を明らかに.しておくことが必要である。そして,このような審査に対 して,どのような資料を収集するかの基準も明らかにしておくことが必要であ る。そして,−・般企業の場合の債務保証は,関連会社ケこ対して行なわれること が多いので,関連会社.に.対する資金管理の基本方針に関連して,債務保証の基 本方針を決定しておくことが必要であろう。 そして,保証を行なう場合に・は,このように明らかにされている基本方針に したがって決定されなければならない。したが、つて,重要な額と考えられる保 証については,会社として∴責任を負いうる決定が行なわれるような手続が必要 である。すなわち,決定にいたる過程において,保証という信用供与形態が適 当であるか,それとも直接的な融資の方が適当であるかを判断しなければなら ないが,それは保証企業の資金状態に関連する問題であり,また,関係会社管 理に関連する問題であるので,このような問題を扱う責任者である経理部およ び関係会社管理部門の意見が反映されるような手続が必要である。また,保証 は,貸付と同様の意味をもつもので被保証会社の財政状態および営業成績を分 析して,その信用状態を判定する審査部門の意見を反映する手続でなければな らない。さらに,保証を行なうことが決定された場合には,それらを記録し, 総括して管理できるように整理する部門へ報告しなければならない。通常の場 合には,経理部門が総括するであろう。 商法の計算書類規則では,総額を注記することを要求しているにとどまる が,証券取引法の場合には,財務諸表規則取扱要領で,保証先および種類を記 載することを要求しているので,単に,会社の行なった保証のすべてを総括す るばかりでなく,その内容に.ついても把捉していなければならない。さらに, 保証債務を常時管理して,債権の確保をはかるためには,設定した担保および 連帯債務,共同保証などの内容まで記録しておくことが必要であり,常時被保 証会社の財政状態および営業成績の変化を監視できるような体制を作っておく ことが必要である。 債務の保証は,営業部門の現場から要求されて,行なわれる場合が多いが, さきに,のべたように関係語部門の意見が十分に反映され,かつ報告が行なわ れるような手続が必要である。そして,非常に.重要な額の保証については,社 長が単独で決定することなく,取締役会で種々の情報にもとづいで殴急に決定

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偶発事象会計序説 −・ヱ9− されるように決められていなければならない。 そして,内部監査は,債務の保証が,基本方針にしたがって,そして定めら れた手続により慎重な検討の後に決定され,その後,被保証会社の財政状態お よび営業成繚の変化を検討して,現実の債務になる危険がないように適切な処 理がとれるように管理されているかどうかを監査する。このように.,十分な管 理体制が整備運用されていることが,適切な会計の前提条件として必要であ る。 保証債務の会計としては,現在では,偶発債務の一…つとして貸借対照表に.注 記を要求されるに.とどまる。商法の計算書額規則は,「 ̄保証債務,手形遡求義 務その他これらに準ずる債務で負債の部に計上しないものは,それぞれその総 額を注記しなければならない」としている。そこで,保証債務は.,保証債務見 返として借方に代位弁済のさいの主たる債務者に対する求鍛権を表示し,貸方 に.保証債務を表示する対照勘定に.よる表示方法と保証債務の総額の注記による 表示方法とが認められる。銀行および相互戯行の場合には,支払承諾と支払承 諾見返の対照勘定に.よる表示方法が要求される。 これに対して,企業会計原則は,貸借対照表に.注記を要求し,財務諸表規則 も,これにしたがい貸借対照表に注記を要求してこいるが,同取扱要領は,商法 計算書類規則のように総額注記ではなく,より詳細に種煩および保証先まで記 載することを要求している。 このように・注記による表示を基本的な考え方とするのは,このような保証債 務には現実に.損失を生ずる可能性がきわめて少ないと考えているためであろ う。これは,国際会計基準第10号の解説に.みられるように,それは一・般的な慣 行として認められている。すなわち,「保証によって生じる債務……・は,企業 にとっセ損失が生ずる可能性がごく小さいとしても,財務諸表に注記して開示 されるのがふつうである」としている。 これは,債務の保証は,主たる債権者と主たる債務者との間の信用供与関係 を補完するものであり,したがって,主たる債権者が融資にさいして主たる債 務名の財政状態および営業成績について十分な調査を行ない,かつ十分な担保 を受け入れているはずであるので,債務弁済の問題が保証を行なったものに.ま でおよぶことは,少ないケ・−・スと考えられる。それは,保証は,補完的な機能

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香川大学経済学部 研究年報19 一部ー 上汐7タ を期待されるに.すぎないからである。 わが国の実務においては,−一般企業の場合は注記による開示であり,銀行等 の場合は,対照勘定による開示であるが,このような実務に、も問題は存在す る。それは,債務保証について−記載すべき額の内容であり,連帯保証あるいは 共同保証の場合に.,他社負担額をも含めた額を注記するのか,求償権または他 社負担部分を除いた自己の実質負担額のみを注記すべきかという問題がある。 実務に.おいては,他社負担額をも含めた額を示すことが多いようである。なお, 他社負担願も注記している場合もある。連帯保証の場合は,各自,全額につい て責任を有するし,共同保証の場合も連帯の特約があるときは全額について責 任を負うし,また,求償権があるに.しても確実に.回収可能であるとは限らない ので,全額を注記することに.も意味があるように.思われる。 しかし,理論的に.は,保証債務は実質的負担額に.よ、つて評価すべきであるか ら,自社の負担額のみを記載すべきである。なお,これに対して,貸借対照表 に.は,対照勘定として自社の負担額のみを計上し,他社負担額は.注記するとい う考え方もある。これは,連帯保証に.おいては,全額に対して責任を負わなけ ればならないことを示す意味があるであろう。 次に,商法の計算書類規則の規定では,総額注記のみであるので,内容の明 細が分からず,不十分な表示であるといえる。また,証券取引法の財務諸表規 則では,保証先およびその保証の内容を示すことを要求しているので,より親 切な表示であるといえる。なお,銀行等の場合には,保証先ごとの保証内容は 示されず,種類別の金額および保証の見返の担保の種類別の金額が示されるに とどまっている。これは,銀行等に.おいては,債務の保証は,業務の−・つであ り,保証先が非常に多数であるので,すべてを表示することが不可能であるた めであろう。 いずれにしても,このような対照勘定としての表示あるいは/注記に・よる表示 によって読者はどのような情報を得ることができるであろうか。さきにふれた ように,対照勘定表示あるいは注記表示のいずれによっても,主たる債務者が 支払不能におちいったときに・,代わって弁済しなければならない可能性がある ことを示すものである。これは,企業に.損失を与える危険を含む不確実性が存 在することを財務諸表の読者に対して警告を与える役割を果たすものである。

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偶発事象会計序説 −2Z − しかしながら,この注記の情報は,損失の危険を含む不確実性を伝えるだけで あって,その危険の可能性の程度およびその損失の金額について情報を与える ものではない。さきに,みてきたように,債務の保証に対する自社の負扱額あ るいは他社の負担感をも含めた総額が表示されるが,求償権の行使あるいは担 保の如何によって損失額が決まるので,保証債務の総額あるいほ自社負担贋が そのまま損失の危険のある金額ではない。これは,国際会計基準第10号の解説 の第11項に.次のように.のべられているとおりである。「ある種の偶発債務は, 関連する相殺請求権または第三者に対する請求権により補填されるので,企業 の蒙るべき損失は減少または回避することができる。このような場合には,損 ●失の引当計上額ほ,請求権の行使による回収可能額を考慮に入れて決定され る。」ここでは,国際会計基準第10号は,偶発損失の引当計上額についてのべ ているが,さきの注記に.よる表示は,このような段階に.まで考えをおよぼして いるのではないのである。しかし,注記表示される保証債務の額ほ,このよう な損失に.なる可能性のある額であることが合理的であると思われる。 さて,そうはい、つても,損失の可能性が大きぐならない段階において,この ような評価が実際的でない場合があろう。ただし,銀行等のように,保証を業 務の一つとして行なっている場合には,その保証は,大量かつ反復的であり, 過去の経験も豊富であるから,個別的に評価しなくても,経験率によって損失 額を推定しうるかもしれない。これは,貸倒損失の場合と同じ問題であろう。 そこで,証取法の財務諸表規則による場合は,保証先ごとの保証額によっ て,読者ほ,個別的に保証先についての一・般的知識によって危険の可能性を判 断する以外に方法はない。また,銀行等の様式による場合には,保証額と担保 額とによって,総体的な損失を読者は.推定する以外に方法はない。さらに,商 法の計算書塀規則の表示の場合にほ,総額注記であるので,このような推定も 不可能である。 このような保証債務の対照表示あるいは注記表示においては,その情報は., 読者の推定にゆだねることが大であり,その保証にもとづく損失の危険性の程 度および金額を判断する情報を不十分にしか掟供しておらず,さらに,一般の 読者にこのような判断を期待することは無理であろう。 そこで,損失の生じる危険生の程度およびその金額について,より的確に読

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−−22− 香川大学経済学部 研究年報19 Jβ79 者に伝えることのできる方法を考えなければならない。たとえば,国際会計基 準第10号のように,損失の生じる危険性の程度に.よって,三つの段階に.分ける ことが必要である。すなわち,第1ほ,危険性が相当に.大きい場合,第2ほ,可 能性が−・応あるという場合,第3は,可儲性があまりない場合である。そして∴ 第1の場合には,損失の引当計上によって,企業の経営成績および財政状態に 直接的に影響させ,第2の場合には,上のように.企業の経営成蔚および財政状 態には直接的に影響させないが,注記によって間接的町影響の可儲性の存在お よびその範囲に注意させ,第3の場合に.は,まったく影響の可能性のないもの としで,財務諸表に表示しない。 このように,損失の危険の可能性の程度に.よって三つに.分けて処理すること’ は,財務諸表の読者に・,損失の危険の可能性の程度を,その処理の区分によっ て明確に伝えることになり,重要な情報伝達となる。これに.対して,現在の偶 発債務としての保証債務の注記は,損失の危険の可能性がまったくないに.もか かわらず表示されているのか,あるいはある程度の危険の可能性があるので表 示されているのか,さらには,相当の危険の可能性があるので表示されている のか,その注記の表示の意味が明確でない。 そこで,保証債務に・ついて,どのように損失が生じる危険性があるか,その 可能性の程度を読者に示すことが必要であるとすれば,その可儲性の程度を判 断しなければならない。そのような判断の方法には,国際会計基準第10号の示 しているように,個別的アブロトーサと集団的アブロ∵−・チとが,保証債務につい ても適用されるであろう。 すなわち,−・般の企業のように債務の保証の金額が相対的に大きく,また, 保証の内容も,個別的に特別の事情が存在することが多い場合には,個別的に 保証債務から損失が生じる危険性の程度を判断しなければならない。まず,第 1の要件は,主たる債務者の債務額に対して十分な内容の担保があるかどうか であり,そのためには主たる債権者の担保権の設定状況および保証債務の見返 担保の状況を調査しなければならない。そして,もしも,主たる債務者の債務 者の債務に.対して担保あるいは保証見返担保が十分な内容のものであれは,求 償権の行使によって損失の生じる可能性は,まったぐないということになる。 このような場合には,保証債務の損失の引当計上の必要もなく,また,注記に

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偶発事象会計序説 ーガ ー よる表示の必要もないであろう。 これに対して,主たる債務者の債務に対する十分な担保が,あるいは保証の 見返担保が不十分である場合に・は,保証額あるいほ不足した部分について損失 の生じる可能性がある。しかも,ただちに,結論がだされるのではなく,さら に・,第2の要件として主たる債務老が債務支払不能状態におちいる危険性があ るかどうかを判断しなければならない。そのためには,主たる債権者の財政状 態および経営成績を分析してどの程度の危険性があるのかを調査しなければな らない。もしも,その結果として,主たる債務者が債務支払不能状態におちい る危険性が全くないという場合には,損失の引当計上も,注記も必要ないであ ろう。しかしながら,今日の経済におい■て,非常に激動的であり,しかも,国 際的,政治的な影響を受け易くなってこいる状況において,いかなる場合におい ても,危険がまったくないという企業は少ないであろう。 したがって,一・般の企業は,状況の変化においてそのような危険性を幾分か は有するのが通常であろう。しかし,そのような危険性が差し迫っていないと いう場合には,保証債務は注記表示されるであろう。その場合には,保証債務 の全額ではなく,自社負担分であり,しかも求償権に.よっても回収できない金 額が表示されるべきであろう。現在の慣行では,全額表示のようであるが,利 奮闘係者に.役立つ情報としては,むしろ,実質的な回収不能額がのぞましいで あろう。 さらに.,主たる債務者の財政状態が債務支払不能であることが,現実的な可 能性となっているような場合には,回収不能額を損失として引当計上しなけれ ばならない。このような場合とは,主たる債務老の赤字が累積して,債務超過

になっており,営業状態も収益が好転して,累積赤字が縮少する債向がのぞめ

ないという状態である。 この場合の損失引当計上額は,まえ.と同じように.,保証債務を代位弁済した 場合に,求償権を行使して,なお,回収不能となる金額とすることが必要であ る。 以上のような個別的方法を採用する場合には,まえにのべたように,保証債 務の記録および管理のシステムが整備されており,また,個別的に保証債務の 危険の程度およびその金額を判断するのに必要な情報が入手できるようになっ

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香川大学経済学部 研究年報19 Jβ7夕 ー24 − ていなければならない。このようなことは,外部監査のためばかりでなく,経 営管理のために.も必要であることほいうまでもない。 このような個別的方法に.対して,集団的方法によって保証債務の危険の程度 およびその金額を判断することが考え.られる。これは,銀行等のように.債務の 保証を業務の一つとしている場合には,保証は,非常に多数に.および,かつ反 復的であり,十分な事例および過去の経験があり,大数法則によって,どの程 度の損失の危険が含まれているかを,保証債務の全体に.ついて判断することが できる。これは個別的に保証を与えた全企業の内容を分析するのではないが, ある程度,正確に評価することが可能であろう。 もちろん,このような二つの方法を合わせて採用することもできるであろ う。たと.え.ば,非常に巨額で,少数である保証債務については個別的方法をと り,大量かつ反復的ゼ,それほど巨額でない保証債務については集団的方法を とるという具合である。このようなことほ,保証を与えた保証先の種類に.よっ て分ける場合にも利用できるであろう。たとえば,保証先が企業であるときに は個別法を,保証先が一・般消費者であるときは集団的方法をというように,保 証先の種類に.よっても分けられる。 このような保証債務に関する損失の危険性の程度およびその金額の評価に.お いては,財務諸表公表時までに入手可能な情報を考慮することが必要である。 それは,経済状態は変動的であるので,財務諸表の決算月から後に.より的確な 判断を可能にするような情報が入手できることがあるからである。 なお,このような判断のためには,より広範囲な情報を収集することが必要 であり,たと.えば,主たる債務者の属する業界の動向,金融市場の状態,国内 および国際の経済の状況,政治的な動向などにより,企業の財政状態および経 営成績がどのような影響を受ける可能性があるかを判断しなければならない。 Ⅴ 会計における偶発事象の問題は,監査に・おいては未確定事項(uncertainty) の問題として処理されている。米国で,米国公認会計士協会が正式に未確定事 項の問題を取り上げたのは,戦時中の特殊な問題にふれたものを除桝ゴ,昭和

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偶発事象会計序説 ー2百一 37年の監査手続書弟22号がはじめてである4)。ここでは,財務諸表に.おける問 題の将来の展開の結果に.異常な未確定性がある場合に.は,これを条件事項とし て意見を表明することを明らかにされた。 このような考え方にしたがって,わが国でも未確定事項の問題を認識しなが らも,昭和41年の監査報告準則の改正においては,準則に明文で規制するの は,まだ時期尚早であるとして,次のような文言に.よって未確定事項の問題を も処理できるようにするにとどめた。 すなわち,監査報告準則の四の「財務諸表に.対する意見の差控」のところ で,「監査人は,急襲な監査手続が実施されなかったこと等の理由に.より自己 の意見を保証するに足る合理的な基礎が得られず,財務諸表に対する意見の表 明ができない場合には,財務諸表に㈲する意見の表明を差し控える旨及びその 理由を記載しなければならない」と規定しているが,このなかの「重要な監査 手続が実施されなかったこと等」の「等」のなかに,未確定事項の問題が含ま れているものと解釈されている。しかし,未確定事項に.ついてほ,それ以上, 何も説明が与えられていない。 そ・こで,米国における未確定事項の問題の処理を明らかにし,偶発車象との 関連についてもふれることにしたい。 米国公認会計士協会の監査手続書第33号は,未確定事項を「特定の事項の将 来の展開の影響の異常な未確定性」と屈し,そ・の内容に二種塀のものを示して いた。 籍1は,最終結果が,経営者以外の関係名の決定に依存するので,経営者が これを評価することができない場合であり,この例として,訴訟,税務問題お よびその他の事項があげられており,次のようにのべている。 「会社の経営者は通常,財政状態および経営成績に影響をおよぼす諸事項を 評価することを要請される。訴訟,税務上の問題,または財務諸表に亜要な影 響をおよぼすその他の偶発的事項のように,意見発表の時点では,その将来の 影響忙ついて合理的な決定が不可能であり,その最終の結果は経営者以外の人 々の決定にかかる場合には,独立監査人は適切に・その意見を限定しなければな 4)AICPA,β払fe仇e≠亡0./A敏郎毎明トn・Oe¢d髄γ¢g入b.く㌶,1963

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香川大学経済学部 研究年報19 一 皿i−一 J∂7タ らない。かかる場合には「−を条件として」なる字句の使用が適切である。 これを例示すれば次のとおりである。 (意見区分) われわれの意見では,財務諸表の注記Aに.記載してあるとおり,過年度の 所得税債務に関する最終決定の結果必要となるかもしれない貸借対照表およ び剰余金計算書の修正を条件として,ここに添付してある財務諸表は適正に ……“を表示してこいる。 注A:会社は内国歳入局による1958年から1960年までの連結連邦所得税の 不足更正額,すなわち利子税を除いた総額−ド/レに.ついて現在係争中 である。事件は,それに関する連邦裁判所の判決の態度が一・足していな い問題を含んでいるため,さらに訴訟の必要があるかもしれない。した がってこの時点で,会社の負債があるとしてもその金額を,確定するこ とは不可能である。この偶発債務について,引当金は設定されて−いな い。」 次に・,第2の未確定事項は,資産の評価または換金性が経営者のみの判断に 依存する場合であり,例として試験研究費および開発費があげられているが, 受取勘定の回収可能性,担保物件の価値,投資の評価に.は,同じような未確定 性の問題が含まれているであろう。すなわち,次のように.のべられているb 「ときどき経営者の判断に依存する資産の評凪 または.換金性の問題から生じ る未確定性は,意見の限定を必要とする。かかる場合「−を条件として」な る用語の使用が同様に適当と考え.られる。たとえ.ば次のとおりである。 (意見区分) われわれの意見によれば,Ⅹ計画の成功と,それによって注に.記載してあ るこれに関連する繰延研究費および開発費−ドルの最終的な回収を条件と して,これに添付してある財務諸表は…“=1・・」 このように監査手続書第33号は,これらの未確定事項が存在する場合には, これを条件事項として限定意見を表明しなければならないとする。これは条件 付意見ということができる。 さらに,未確定事項の問題が非常に重要である場合には,意見表明の差控え を行なわなければならないとして,次のようにのべている。 「問題の結果が未

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