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禾穀類の根鞘に関する研究 VI 種子発芽の区分的考察-香川大学学術情報リポジトリ

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105 第13巻第2号(1962)

釆穀類の根簡陀■関する研究

Ⅵ 種子発芽の区分的考察

野 田∵愛 三 Ⅰ 緒 言 従来禾穀頬の種子発芽に関する研究ほ盛んに行われてきたが,その定義ほ研究者で異なり,発芽経過の何れの時期 か不明のもの,その初期段階な・さすものから,終期段階を残すもの等多岐に亘っている 叉種子発芽の区分的,分解的研究をなされたものもあるが単に幼芽(Plimule),幼根(Radicle),或は子葉 (Coleoptile)と本来(Forage Leaf)について論ぜられているに過ぎない 筆者等は多年種子発芽時の根鞘の形態,生理生態について.研究を行い,この間El本作物学会紀事,当学部学術報告 に延べ12報告を行なって.いるが,これらの研究結果から禾穀類の種芋発芽を区分した試案を提示せんとするものであ る 次ぎに種子発芽経過中の粒内の化学変化については精しく追及きれているが,時間的追跡叉ほ子葉糊付長程簸で区

別して研究されているに過ぎないので,′発芽の区鯛狙って粒の紐威変イ吋粘かにすも必要ぶある

このような見地から1例として種子発芽区分に応じ危アミラ−・ゼの変化を諷査した次第である J アミラーゼの調査について当学部農産製造学研究室楢崎 ̄丁稚氏より種々埠導を受ゆ,分析には当学部林甚太郎氏‘を

1.ト 煩わず・処が多かった、ともに深甚の謝意を表する…‘

や Ⅱ 実野村畢および方涛 、 材こ、.料

禾穀類の傑物七我国に栽培してい卑15種類の作物松つき研究を行なったが,この内水秤及び小麦紅ついて.犠轍膏し 】

く調査し挺、し 供試、品種 水 稲 栄光,農林10号 l 小 麦 農林72号,、埼玉27号 方 法 水稲は500cな標準とし,小麦ほ250cを標準とした定温器中のリーベンペルヒ発芽試験器中で発芽を行わしめた アミラーゼの測定は先ず試料として20粒をとり米溜水_10cqを加え.,乳鉢でよく砕き1時間浸出し,5,ODO回の遠心

ノ∴・、

α一アミヲ−ゼ即ちヨ−・ド反応濫よる糊精化測定β一アミラーゼ即ち糖化力測定及び澱粉糊精化率及び糖化率算定 は森田(7)及び赤堀(l)の方法湛よった 実 感て 姐一ふだ −● 練 成 験 の区分試案 第1表 種 子 発 芽

楓子轟芽初期

・1∴−;− ;・ .

種子発熱中期l種子発勢終期

磯子宛芽に際し,種子 は∴先ず物理的に・膨潤 し∴づ1づいて粘極的吸 水が行われ,種子の膨 大が大となるのは発芽 の経廻に入ったもの孝 認められるので,⊆、の 時期から板鞘が種被を 破って出現する迄甲期 間 各種子発芽期 の説明

(2)

香川大学盛挙部学術報告 106 第 2 表 種子発芽区分によるα−アミラL−ゼの変化(19るロー19る1) 備 考(1)完全分解の吸光度0..027,光電比色計による (2)水稲は酵素彼の10倍,小麦では同上の10口倍としたもの (3)2区制2匝Ⅰ反覆の平均価 水 稲(酵素原液!io) nU O O O 5 4 ウ〇 2 澱 粉 糊 糖 化 率 _. 」 一 発芽 終期より 24時后 間 発芽 初期 終期より 発芽 24時間后 小 麦(酵素原液‡ioo) 第1区l 水稲,小麦の乾燥種子,発芽区分によるアミラ−ゼ活力の変化(19る0−19る1)

(3)

i折 第13巻第2骨(1962) 欝5 表 種子発芽区分によるβ−アミラ−ゼの変化(19る0−19る1) 備 考(1)完全分解の場合0.5る (3)2区制2回反復の平均価 (2)酵素液は前表と同濃度 Ⅳ 考 察 種子発芽に関する多くの研究において発芽の何れかの時期を明らかにするものにおいては,発芽の初期段階を示す ものからその終期段階を示すもの迄いろいろ行われており,只漠然として発芽の経過の何れの時期を発芽と定義して いるか不明のものも多い. これらの主なものを示すと次のようである. (1)発芽経過の初期段階を示すと見られるもの 安田(20)は胚が種被を破ってその一部を外に押し出す現象を発芽とし,山田(19)は種被の裂開に伴う胚器官の出現す るのを発芽としていて,胚器官の−・部か全部か明らかでないが比較的初期段階のものとも見られる. (2)発芽経過の中期段階を示すもの 高橋(16)は子葉鞘細胞の伸長を以て発芽としている (3)発芽経過の終期段階を示すと思われるもの 永井(8)は子薬鞘及び種子根の伸長を以て発芽とし,西山(9)は明確に種子が茎葉根を発生して植物体を完成する現象 を発芽としている (4)発芽経過の全体を含むとしたもの BECXER(8),手島(16),TooIE(18),戸苅(17)なとほ種子の膨水する時期より子薬鞘及び種子根の出揃う迄を発芽とし ている なおこれらの内種子発芽で禾穀類作物の場合最初に出現するのは根鞘又は子葉聯としているものがあるが枚又は有 梓粒の場合で,根鞘が出現しても扱殻及び梓のため紅外部から観察されない場合があり,裸とした場合,何れの作物で も,環境を異常としても如何なる場合も種被を破って巌初に出現するのは根鞘であることを既報で明瞭忙している. (5)種子発芽を区分的,分解的に考察したもの 野口(1$)は発芽の研究で幼芽と幼根を分解して考案すべきとし,MARIIN(6)は.さとうきびの発芽経過を写生してい るが区分な明確粧論及していない 以上の如くであるので第1表のように発芽経過を4期に分ち,発芽の研究でその段階を明白にすれほ,如何なる時 期を研究の対象としたかが明らかになり成紛の相互比較が明確になるものと考察する 即ち種子の膨大が大となってから根聯が種被を破/つて現われる迄の期間を発芽前期とし,根鞘が現われてから根鞘 ほ仲良するが子葉鞘,種子根の現われない期間を発芽初期とする 更に子葉鞘又は板鞘を破って偲子根が出現する時期を発芽中期とし,胚器官の全部が出揃って幼植物の完成する時 期を発芽の終期とせんとするものである 従来,子葉鞘,種子根の伸長を以て発芽と見倣し,発芽の初期段階に触れていないものがあるが,既報で明らかに したように根鞘は最初に種被外紅現われ,吸水作用及び無機物質の吸収作用を行い主として種子根の生育を助長する 伐きをもつことから見ても,この時期を発芽の研究では無視出来ない 又前報で報告するように酸素供給制限の場合ほ根鞘及び作物によってほ子葉鞘の伸長,異常伸長のみで本葉及び種 子根の殆んど伸長しない発芽型があり,温度の異常環境でも根哨のはか子葉鞘の先端のみの伸長を見るのみで本葉と 種子根の殆んど生育しない発芽の型も存在する

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香川大学虚学部学鋸報告 108 更に19る1年の報告(12)で示した卦うに従来放でほ発芽不能とされたNaC15%乃至4%の高塩分の場合でも玄米状態 とすると根哺部の出現の遅延ほ勲珪磁区よりも遅れるがよく出現すること,出現した根鞘より吸塩して根哨の芙細胞へ 移行し,更に胚盤(Scutellum)の維管束に入り,芽と根に多く集積し組織細胞の塩害のため伸長が止まるものと考 えられる外,肛盤より上皮吸収細胞層(Epithelil]m)を通じて胚乳に移行し,沈陪し,種被よりの鯵透と相伴つて 粒の合塩邑を増加し,発芽が順調に進まない発芽型をとるもので,これ等の諸点からも発芽の区分は必要である 叉麺類の晩播対顔として乾燥芽乾しが行われて−いるが,秋浜(2)の述べられているように娘軸のみの出現即ち発芽初 期に当る程度が最もよいとしているが筆者等も根鞘の乾燥抵抗性が芽生器官で最も大であること(未発表)を験知し でお軋水稲の場合においても鹿播栽培の畿燥ニヒ壊匿おける予括として根掴部出塊のものが痕も有数であることにつ し、そ日永作物学会四国支部例会(19る1)で発表した このような立場からも発芽経過を区分することは,栽培の実際問題としても必要となるに至っている 種子発芽に伴う粒の化学変化については多くの研究あり,アミラーゼについても詳しく追及されている 稲の場合でもERYGIN(4),田川(14)の詳細な研究があるが,前者では発芽経過を子傑灘の伸長程度で区分し,后者で ほ置床后の時間匹よって区別研発されているので発芽経過に呼応してアミラーゼの変化は明らかでない 第2表,第5表及び労1区匿よれば水稲で根鞘却の出現した発芽初期でほアミラーゼの活力は乾燥種子の場合と大 差がないが,発芽終期ではα−アミラー‥ゼほ急増し,小麦でほ発芽初期では水稲の場合と同様に艶燥種子の場合と殆 んど変らず,発芽終期でほα−アミラー・ゼ,β一アミヲ∼ゼともに増大しでいることを示した 即ら水稲,小麦においては根蛸出現ほ塩のアミラーゼが乾燥種子の場合と大差なくとも出現し得るものと考察され る 滴19る0年の報告(11)で根鞘が種被を破って出現す−る迄に根鞘部で炭水化物の変化が起ることを明らかにしたが,′粘 全体より見れほ大きく影響しない 西山(9)は小麦の発芽で種子の水分吸収塩が漸次増加し,17−180Cで風紀種子の約40%で発芽が旺盛濫なるが,それ 以前に根鞘の出現を認めたこと,筆者等が1957年の報告(10)で従来粗の中央最高吸収力ほ庶粘液の0.5−0.るモルに相 当すると考えられて来たが玄米状態にすると0・・8モルの高い状態で,給水が強く制限された場合でも根梢部のみは出 現し得ることを明らかにしたい 発芽可蘭とした種子の吸水畳も発芽区分紅応じてそれぞれその戯低が異なるものであ ることを示唆するものと云い得るが,筆者等は250Cで小麦乾煉種子の27乃至28%の水分吸収で根鞘が揃って出現す ることを認めている 以上水稲根鞘の場合根鞘部としたのほ既報で示したように,外胚葉(Epiblast)と根鞘とほ融合し種被を破って 同時に出現するので特に般梢部としたものである 本実験は単笹アミラーゼ測走にとどめたが,発芽区分に応じ,吸水塩の変化,粒の化学的の組成等を再検討し,ン種 子発芽の区分を明瞭とし今后の種子発芽研究に当っては研究対象とした発芽の区分を明確にする必要があるである う 以上の考察は実験室における種子発芽で,土壌の発芽でほ覆土をなす場合が多く,この場合地表紅硯われる巌初の 芽生器官は子柴柑であるが,土壌より掘取りすれば実験室の場合と同様な経過をたどることを付記する. Ⅴ 摘 要 従罪禾赦輝の種子発芽ほ胡究老によつて罪なって}、るので,その定義を明らかにする必要がある (1)根鞘に関する既報の成絞から種子発芽を次の4段階に分ける試案を提唱する 1、種子発芽前期:種子が発芽経過に入ると先ず物理的即ち膨潤により吸水を行い,次いで敲極的吸水が開始さ れる‖発芽前期ほ種子の大なる膨大の時期から根鞘が種被を破って出現する迄の期間とする 2..種子発芽初期‥根鞘が先ず種被を破って出現し,その生育を継続するが他の器官ほ見られないい この時期を 初期とする 5..種子発芽中期‥発芽初期のあとで子葉鞘又は種子板が種被外に現われるい しかしながら総ての芽生器官は未 だ揃わない時期とする 4∴種子発芽終期:種子からの幼植物の全器官,子葉鞘,合成胚紬,種子根等が種被外紅出揃った時期,発芽の 完了した時期を発芽終期とする

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109 第13巻第2号(19.62) (2)アミラ−ゼの活力は種子発芽の各時斯で変化する. 発芽初期でほ水稲,小麦のアミラ−ゼの活力は乾燥種子の場合と殆んど同じであるい然し乍ら発芽終期においてほ 水稲ではα−アミラナゼ;小麦ではα−アミラーゼ,β−ア′ミラ−・ゼともに乾燥種子の場合よりも活力で増大してい る 発芽種子の化学変化ほ発芽の各期別に明らかにされなくてはならないであろう 引 用 文 献 (10)野田愛三り 林甚太郎:日作紀,26,24(1957) (11)+,+ :仝上,29,占5(19る0) (1功 一,−:仝上,29,225(19る1)け (13)野口弥吉:農業及園芸,12,9(1957)廿 は朝 田川隆:植物及動物,11,571(1945) 脚 高橋成人:束北大農研嚢,7,1(1955) (16)手島常雄:栽培学種子招,70∴動乱 養賢堂 (1955) (川 戸苅義次,管六郎:食用作物,51,東京J養賢堂 (1957) (18)TooLE,EH.,HENDRICI(S,S.B.,BoTHWICK, HA…,TooIE,Ⅴ.・K:A邦〝.凪”.PJα〝g Pノi.γざ・ 壷oJ.7,299(195占) (19)山田豊−・:作物の生理生態,戸苅義次(編), 192,束京,朝倉(1955) (20)安田貞雄:種子生産学,552,東急 養督堂(1949). (1)赤堀四郎外(編):実験化学講座,ⅩⅩ】Ⅴ,279, 東京,丸善(1958).. (2)秋浜浩三:農柴及園芸,12,1占88(1957)・ (3)BECKER・DILLINGEN:Handbuchdes Getreide・ baues,55,Berlin,PaulParey(1927). (4)ERYGIN,PS:PJα紹f P々γSよoJ,11,829(1954) (5)木戸三夫‥稲作の科学技術,27,東京,朝倉■(1955)・ (6)MARTIN,J..H,LEONARDn W.軋:PIincip)es

of Field Crop Production,175,New York,Mac・ millan(1949) (71森田雄平:植物栄養学実験,奥田束外(編),185, 束京,朝愈■(1959). (8)永井威三郎:実験作物栽培各論,Ⅰ,5る,東京, 養賢堂(1951), (9)西山市三:小麦の研究,木原均(編),155,東京, 養督堂(1954)。

Studies on the coleorhiza of ceIeals

VIInvestigation on the stages of seed geImination

Aizo NoDA

Summary Thedefinition ofseedgerminationof cerealshas differedbyinvestigatorsanditisnecessary

to glVe a CleaIdefinition on the process・

1”According to ourstudies of coleoIhiza,the germination processis tentativelydividedinto4stages (1)The previous stage ofseed germination

Atthefirst stageof germination,Seeds swelled by water uptake by physicalsuction,imbibition and

then begin active suction ofwaterThe pIevious stage ofgerminationisthe per−iod fIOm the marked

swelling ofthe seedtothe appearence of coleorhizafrom theseed coat

(2)Theearly stage ofseed geImination

The coleorhiza bIeaks the seed coat,and continuesits gIOWth,While the other organs can not be seen

This stageis to be called the eaIly stage of gezmination

(3)The middle stage of seed germir)ation.

After the early stage of seed germination,COleoptile or seminalroot appear・s from the seed coat,but

al1the embryonic organs are not yet completed

t4)The finalstage of seed germination.

Alltheorgans ofseedling,COleoIhiza,meSOCOtylandseminalroot,appear OutOftheseed”Seed germト

nationis now completed,and thisisto be the finalstage of seedgerminationu

(6)

香川大学農学部学術報告

110

stage of germination,theactivities of these amylasesinrice and wheatgrainsare almost similarwith

thoseinthe dryseeds.But atthe finalstage of seedgermination,the activity ofα・amylaseinrice seed and the activities ofα・andβ・amylasesin wheatgrains become higherthanthose of dryseedsu

Chemicalchangesof theseed duringgerminationmustbeexaminedseparatelyat theeachstageofseed

germination

参照

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[r]

3 学位の授与に関する事項 4 教育及び研究に関する事項 5 学部学科課程に関する事項 6 学生の入学及び卒業に関する事項 7

向井 康夫 : 東北大学大学院 生命科学研究科 助教 牧野 渡 : 東北大学大学院 生命科学研究科 助教 占部 城太郎 :