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スリランカにおける出生過程の分析

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Academic year: 2021

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(1)

京 都 女 子 大 学 現 代 社 会 研 究     31

ス リ ラ ン カ に お け る 出 生 過 程 の 分 析)

西 村  教  子

要   旨   本 稿 はス リ ラ ン カ のDHS93の デ ータ を 用 い て 、30-49才 女 子 の 出生 行 動 のパ タ ー ン か ら 教 育 水 準 間 の 出生 数 格 差 の 変 動 か ら 考 察 を し て い る 。   PB、 の放 物 線 は教 育水 準 の上 昇 に伴 っ てPBaの 高 さ が低 く 、右 にシ フ ト して い る 。 こ の シ フ ト は 有配 偶 率(MR。)の 増 加 パ タ ー ン か ら み られ る 教 育 水 準 の 上昇 に よ る結 婚 年 令 が 遅 れ た た め で あ り 、CNBaの 格 差 の発 生 とな る こ とを 明 らか にし た 。   さ ら にPBmの 分 布 か ら は 出 生 行 動 の 期 間 が 教 育 水 準 の 上 昇 に伴 い 短 縮 され る傾 向 が 明 確 に示 さ れ 、 さ ら に40-49才 女 子 に 比 べ全 て の 教 育 水 準 に お い て30-39才 女 子 の ほ う が 短 縮 さ れ て い た 。 結 婚 年 数 を 時 間 軸 に し た と き1年 目の 値 が 際 立 っ て 高 く 、そ の後 の右 下 が り の傾 き は 教 育 水 準 が 高 い ほ ど大 き く 、こ れ がCNBaの 格 差 を 発 生 させ て い る こ と を 明ら か に し て い る。   こ の よ う な 分析 に よ り ス リ ラ ン カ の 出生 数 の 低 下 は結 婚 年 令 の 上昇 に よ る 出 生 行 動 期 間 の シ フ ト が大 き な 影 響 を 与 え て い る こ と が 明 ら か に な っ た。 キ ー ワー ド  ス リ ラ ン カ 、 出生 行 動 、 出生 数 格 差 、結 婚

はじ め に

  今 日の 出 生 力 研 究 に お け る 分 析 視 点 は 多 様 で あ る 。 し か し な が ら 、 今 日の 出 生 力 研 究 の 多 く は 出 生 力 の 決 定 メ カ ニ ズ ム お よ び そ の 主 要 因 の 探 求 に あ る と い え る 。 出 生 行 動 は 個 人 の ラ イ フ サ イ ク ル を 通 し て 行 わ れ る 長 期 に わ た っ て 行 わ れ る も の で あ り 、 さ ら に 個 人 の 社 会 環 境 に 大 き く 作 用 さ れ る と 考 え ら れ る 。 出 生 力 研 究 に お い て 出 生 行 動 と 社 会 環 境 の 関 係 を 明 ら か に し て い く こ と 、 同 時 に 出 生 行 動 が ラ イ フ サ イ ク ル を 通 じ て ど の よ う に 行 わ れ る の か を 明 ら か に す る こ と も 重 要 で あ る 。 本 稿 は1993年 に ス リ ラ ン カ で 行 わ れ たDemographic  and  Health  Survey(以 降DHS93と 呼 ぶ)の デ ー タ を 利 用 し て 、 女 子 の 教 育 水 準 に よ る 平 均 既 往 出 生 数 の 格 差 を 出 生 過 程 の パ タ ー ン の 差 異 か ら 考 察 、 分 析 す る こ と を 目 的 と し て い る 。

  ス リ ラ ン カ の 粗 出 生 率 と 粗 死 亡 率 は1996年 に は そ れ ぞ れ18.6%。 、6.7%。(Department  of Census and  Statistics(以 降DCSと 呼 ぶ):1999、  p.42  and  46)と 途 上 国 の 中 で き わ め て 低 い 水 準 に あ る

1)本 稿 は博 士論 文 「ス リ ラ ン カ に お け る 出生 力 分析 」 の 第4章 の 「個 人 属 性 問の 出 生過 程 の 分 析 」 を 加 筆 修 正 し   た も の で あ る 。

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32  ス リ ラ ン カ にお け る 出 生過 程 の 分析 と い え る 。 粗 死 亡 率 は1950年 代 初 め に は10%・に 達 し て お り 、粗 出 生 率 は1956年 の 水 準 と 比 べ る と 半 減 し て い る 。 こ の よ う な 人 口動 態 は 安 定 し た 人 口増 加 を 維 持 し て い る と い え る 。 ス リ ラ ン カ は 戦 後 か ら 低 所 得 水 準 の 国 で あ り な が ら 、低 死 亡 ・低 出 生 を 達 成 し た 国 の ひ と つ で あ り 、 数 多 く の 研 究 が な さ れ て き た 。 こ れ ら の 研 究 は 低 出 生 を 達 成 し た 要 因 の 究 明 で あ り 、 出 生 力 の 決 定 メ カ ニ ズ ム の 構 築 に 貢 献 し て い る 。 こ こ で 、 ス リ ラ ン カ の 特 徴 を 挙 げ る と 、 大 き く3点 にま と め る こ と が で き る 。 そ れ は(1)高 い 教 育 水 準 、(2)高 い 結 婚 年 令 、(3)高 い 抑 制 行 動 の 実 行 率 で あ る 。 特 に 、 教 育 水 準 の 高 さ は 結 婚 年 令 の 上 昇 お よ び 抑 制 行 動 の 実 行 の 向 上 に 大 き く 貢 献 し て い る2)。 西 村(1999)は 1953年 か ら1993年 ま で の 合 計 出 生 率(TFR)の 低 下 を 、 総 出 生 力 モ デ ル を 用 い て 直 接 要 因 と い え る3つ の 近 因(結 婚 、 抑 制 行 動 、 産 後 不 妊)の 貢 献 度 の 計 測 を 行 い 、1987年 ま で は 結 婚 年 令 、87年 以 降 は 抑 制 行 動 が 低 いTFR達 成 に 貢 献 し て い る こ と を 明 ら か に し た 。   こ れ ら の 変 動 に よ るTFRの 低 下 は 出 生 行 動 の 時 間 的 な 調 節 を し て い る と い っ て も 過 言 で は な い 。 つ ま り 、 結 婚 年 令 の 上 昇 は 出 生 行 動 の 開始 時 期 を 遅 ら せ 、 抑 制 行 動 の 実 行 は 出生 行 動 の 期 間 内 の 出生 間 隔 調 整 お よ び 出生 行 動 の 停 止 を 個 人 の 意 思 によ っ て 行 っ て い る こ と を 表 し て い る か ら で あ る 。 こ の 点 か ら 、 出 生 数 の 変 動 だ け で な く 、 時 間を 考 慮 し た 出生 過 程 の 変 化 を 考 察 す る こ と は 非 常 に 重 要 で あ る 。   本 稿 は 以 下 の よ う な 構 成 と な っ て い る 。1で は 本 稿 で 使 用 す る デ ー タ の 解 説 、IIで は 分 析 の 方 法 を 示 す 。 皿 で は女 子 の 教 育 水 準 別 に 女 子 年 令 を 時 間 軸 と し た 出生 過 程 の パ タ ー ン に つ い て 女 子 年 齢 別 出生 確 率 お よ び 平 均 累 積 出生 数 を 用 い て 分 析 ・考 察 を 行 う 。IVで は 女 子 教 育 水 準 別 の 結 婚 パ タ ー ン を 示 し 、 皿 の 考 察 を さ ら に進 め る 。Vで は 時 間軸 を 結 婚 年 数 に し た と き の 出生 過 程 の パ タ ー ン を 分 析 ・ 考 察 す る 。 1.デ ー タ の 解 説   本 稿 は1993年 にDCSに よ り 実 施 さ れ たDHS93を 用 い て い る 。 こ の 調 査 は 、 出 生 行 動 や 子 供 の 死 亡 お よ び 栄 養 ・ 健 康 状 態 に 関 す る サ ン プ ル 調 査 で あ る 。 同 様 の 調 査 は1975年 のWorld  Fertility Surveyを は じ め と し て 、 同 様 の 調 査 が1982、1985、1987年 に 実 施 さ れ て い る3)。DHS93は 、 北 ・ 東 部 州 を 除 く15才 か ら49才 ま で の7078人 の 女 子 を 抽 出 し 、 う ち 有 効 回 答6983人 か ら 構 成 さ れ た 調 査 デ ー タ で あ る 。 本 稿 で は そ の 中 か ら 以 下 の 条 件 を 満 た す 女 子 に 限 定 し た デ ー タ セ ッ ト を 作 成 し 、 こ れ を も と に 分 析 、 考 察 を 進 め る こ と に す る 。   全 デ ー タ か ら 選 択 さ れ た 女 子 の 条 件 は 、 調 査 時 点 で ① 女 子 年 令 が30才 以 上 で 、 ② 結 婚 経 験 は1回 2)ス リ ラ ン カ の 出 生 率 と そ の 要 因 に 関 す る 研 究 は 多 く 存 在 し て い る 。Fernando(1972)and(1975)、  Langford

  (1981),John  Caldwell  et al.(1989),  Gajanayake  and  John  Caldwell(1990),  Yapa  and  Siddhisena(1998),   Hamill  et al.(1990)な ど が 挙 げ ら れ る 。

3)各 調 査 名 は 以 下 の と お り で あ る 。1975年 はWorld  Fertility  Survey、1982年 はSri  Lanka  Contraceptive 

Preva-  lence  Survey、1985年 はSri  Lanka  Contraceptive  Surveyで あ り 、1987年 お よ び1993年 はDemographic  and   Health  Surveyで あ る 。

(3)

京都女子大学現代社会研究  33 だ け で あ り 、 ③ 配 偶 者 と 同 居 し て い る 女 子 で あ る 。 さ ら に ④ 過 去 の 全 て の 出 生 は 単 胎 出 生 で あ る こ と で あ る 。 こ れ ら の 条 件 を 満 た し た 女 子 は 合 計4030人 存 在 し て お り 、 こ れ を 考 察 の 対 象 と す る 女 子 と 定 義 す る 。 さ ら に 、 こ の4030人 の 女 子 を30-39才 女 子 と40-49才 女 子 の2つ の グ ル ー プ に 区 分 す る 。 こ の グ ル ー プ を 出 生 コ ー ホ ー ト と 呼 び 、 そ の 内 訳 は30-39才 女 子 が2283人 、40-49才 女 子 が1747 人 で あ る 。   女 子 年 令 を30才 以 上 に 限 定 し た の は 出 生 行 動 や 出 生 数 に 関 し て 議 論 を 行 う 時 、 そ れ ら が よ り 完 結 し た も の で あ る こ と が 望 ま し い 。30才 未 満 の 女 子 は 出 生 過 程 の 途 中 に あ り 、 そ れ ら を 含 ん だ デ ー タ を 用 い る こ と は 議 論 を よ り 複 雑 に す る 。 ま た 、 結 婚 回 数 や 配 偶 者 と の 同 居 が 条 件 と し て い る の は 以 下 の よ う な 理 由 に よ る も の で あ る 。 出 生 行 動 は 結 婚 を 起 点 と し て 開 始 さ れ る と 考 え ら れ る が 、 こ れ は 通 常 初 婚 を さ し て い る 。 初 婚 か ら 調 査 時 点 ま で に 離 婚 や 死 別 、 ま た は 別 居 は 出 生 行 動 の 中 断 要 素 で あ る が 、DHS93に は こ れ ら に 関 す る デ ー タ が な い 。 そ の た め 、 こ の よ う な 女 子 の デ ー タ の 利 用 は 時 間 を 考 慮 し た 考 察 に は 不 適 当 で あ る 。 最 後 の 条 件 はDHS93の デ ー タ 記 入 に 問 題 が あ る 。 DHS93で は 各 女 子 の 全 て の 出 生 履 歴 、 出 生 順 位 別 に 生 年.月 、 性 別 、 調 査 時 点 で の 生 死 な ど の 情 報 が 得 る こ と が で き る 。 し か し 、 多 胎(双 子 以 上)で は そ の 記 入 方 法 が 統 一 さ れ て い な い た め 分 析 に は 不 適 当 で あ る 。   女 子 の 教 育 水 準 は0-12年 ま で の 就 学 年 数 が わ か っ て い る 。 そ こ で 就 学 年 数 が0-2年 、3-5 年 、6-9年 、10-12年 に4区 分 し 、 こ れ ら を そ れ ぞ れ 初 等 教 育(低)(EFO-2)、 初 等 教 育(高) (EF3-5)、 中 等 教 育(EF6-9)、 高 等 教 育(EF10-12)と 呼 ぶ こ と と す る 。 各 コ ー ホ ー ト 女 子 の

教 育 水 準 の 内 訳 は 表1の40-49才 女 子 は 行 番 号(3)、30-39才 女 子 は 行 番 号(10)に 示 し て あ る 。 両 コ ー ホ ー ト を 通 じ て 教 育 水 準 の 高 さ が 見 て 取 れ る 。EFO-2の 割 合 が 最 も 低 く 、40-49才 女 子 が17.8 %、30-39才 女 子 が12.7%で あ る 。 最 も 高 い 割 合 を 示 し て い る の が 両 コ ー ホ ー ト と もEF6-9で あ り 、 そ れ ぞ れ30.4%、36.3%で あ っ た 。 次 に 高 い 割 合 を 示 し て い る の はEF10-12で あ る 。 両 コ ー ホ ー ト を 比 較 し て み る と 、EFO-2とEF3-5の 割 合 が そ れ ぞ れ5.1ポ イ ン ト 、3.9ポ イ ン ト 低 下 し 、EF6-9とEF10-12の 割 合 が そ れ ぞ れ5.9ポ イ ン ト 、3.1ポ イ ン ト 増 加 し 、 女 子 の 教 育 水 準 が さ ら に 向 上 し て い る こ と が 見 て 取 れ る 。

  次 に 既 往 出 生 数(CEB)、 結 婚 年 令(MA)、 最 終 出 生 年 令(FA)お よ び 出 生 行 動 期 間(BP)4) の 教 育 水 準 別 平 均 値 を 見 て み よ う 。 表1は そ れ ぞ れ の 平 均 値 と 標 準 偏 差 を 示 し て お り 、 行 番 号(7) お よ び(14)は 平 均BPを 平 均CEBで 除 し た 平 均 出 生 間 隔(平 均BSP)で あ る 。 ま ず 、 平 均 CEBと 平 均MAを 見 て み る と 、 両 コ ー ホ ー ト と も に 教 育 水 準 の 上 昇 に 伴 っ て 平 均CEBは 減 少 し 、 平 均MAは 上 昇 し て い る こ と が 見 て 取 れ る 。 こ れ に 対 し て 平 均FAは 教 育 水 準 に よ る 大 き な 差 は 認 め ら れ ず 、 そ れ ゆ え 平 均BPの 差 は 平 均MAの 差 に よ っ て 発 生 し て い る と い え る 。 平 均 BSPは 教 育 水 準 お よ び コ ー ホ ー ト に よ る 差 は 認 め ら れ ず 、 こ れ ら の 指 標 で は 教 育 水 準 お よ び コ ー ホ ー ト に よ る 平 均CEBの 格 差 は 平 均MAの 上 昇 に 伴 う 平 均BPの 短 縮 に よ っ て 発 生 し て い る と い 4)出 生 行 動 期 間 は女 子 の 結 婚 年 令 か ら最 終 出 生年 令 ま で の 期 間 と 定 義 し 、 通 常15-50才 ま で の 再 生 産 可 能 期 間 と は   異 な る 。

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表1  ス リ ラ ン カ の 出 生行 動 の概 要

EFO-2 EF3-5 EF6-9 EF10-12 全体

40-49才 女 子 平均値  標準偏差 平均値 標 準偏 差 平均値  標準偏差 平均値  標準偏差 平均値 標 準偏 差 既往 出生数 (1) 4.63    2.26 4.14    2.01 3.52    1.70 2.71    1.50 3.63 1.96 結婚年令 (2) 20.02    5.25 20.47    4.62 22.72    5.35 26.21    5.42 22.70 5.73 サ ンプ ル 数 (3) 311 411 531 494 1747 最終出生年令 (4) 32.71    5.49 31.79    4.99 32.13    4.83 33.45    4.82 32.52 5.03 出生行動期 間 (5) 12.82    5.92 11.56    5.39 9.72    4.96 7.68    4.28 10.16 5.39 サ ンプ ル 数 (6) 306 X11 517 465 ・:: 平均出生間隔 (7)=(5)/(1) 2.77 2.79 2.76 2.83 2.79 30-39才 女 子 平均値  標準偏差 平均値  標 準偏 差 平均値  標準偏差 平均値  標準偏差 平均値 標 準偏差 既往 出生数 (8) 3.35      1.71 3.19      1.58 2.78      1.37 2.04      1.16 2.70 1.48 結婚年令 (9) 20.23    4.45 20.79    4.72 22.09    4.49 24.89    4.47 22.48 4.85 サ ンプ ル 数 (10) 290 449 828 716 2283 最終出生年令 (11) 28.77    3.99 28.86    4.20 28.89    4.02 30.00    3.55 29.21 3.94 出生行動期 間 (12) 8.93    3.87 8.40    4.20 7.15    3.89 5.59    3.34 7.15 3.96 サ ンプ ル 数 (13) 272 426 795 651 2144 平均出生間隔 (14)_(12)/(8) 2.67 2.63 2.57 2.74 2.65 出 所:DCS(1993)、  DHS93。  DHSの デ ー タ はDCSの 内 部 資 料 で あ る 。

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京 都 女 子 大 学 現 代 社 会 研 究     35 え る 。 こ こ で 、 ス リ ラ ン カ に お け る 出 生 行 動 に 関 す る 特 徴 を 見 出 す こ と が で き た 。 教 育 水 準 の 上 昇 に 伴 いMAが 遅 れ る 傾 向 に あ る に も か か わ ら ず 、 平 均FAは 、 そ の 年 令 が30才 前 後 で ほ ぼ一 定 で あ る こ と で あ る 。 再 生 産 可 能 年 令 の 上 限 を50才 と す る と 、 極 め て 早 い 時 期 に 出 生 行 動 を 終 え て お り 、 出 生 行 動 期 間 も 非 常 に 短 い 。 11.分 析 の 方 法   平 均 初 婚 年 齢 の 上 昇 に 伴 う 年 齢 別 出 生 率 の 変 化 は 河 野 他(1984、pp.59-62)が 次 の よ う な 説 明 を 行 っ て い る 。 図1は 結 婚 年 令 の 上 昇(晩 婚 化)に よ っ て 出 生 率 の 年 令 分 布 曲線 が ほ ぼ 平 行 に 右 に シ フ ト す る 変 化 を 示 し て い る 。 晩 婚 化 の 開始 時 に お い て 、 結 婚 年 令 が 高 く な っ た 女 子 は相 対 的 に若 年 期 に はBの 曲線 に 従 っ て 出 生 の パ タ ー ン を と る が 、 後 半 は 晩 婚 以 前 のAの 曲線 に 従 う よ う な 行 動 を と る 。 こ の 女 子 の 出 生 数 は 斜 線 部 の 面 積 で あ る の でA曲 線 に 従 う 女 子 に 比 べ て 出 生 数 は 低 下 す る 。 し か し な が ら 、 時 間 の 経 過 と と も に 、A曲 線 か らB曲 線 に 変 更 に よ っ て 発 生 し た 生 み 遅 れ を 取 り 戻 す よ う に 全 て の 期 間 に お い てBの 曲 線 に 従 っ て 出 生 を 行 う よ う に な り 、 出 生 数 は 反 騰 す る と 説 明 し て い る 。 し か し な が ら 、 こ の と き 予 定 子 供 数 に 変 化 が な い と 仮 定 し て い る の で 、 実 際 に 結 婚 年 令 の 上 昇 が 予 定 子 供 数 の 減 少 に よ っ て 実 施 さ れ て い る 場 合 はこ の よ う な 反 騰 は 起 こ ら ず 年 令 別 出 生 率 の 低 下 、 つ ま り 曲線 の 山 が 低 く な る こ とも 予 想 さ れ る 。 本 稿 は2つ の 出生 コ ー ホ ー ト お よ び4つ の 教 育 水 準 別 に 年 齢 別 出 生 率 の 分 布 を 示 し 、 考 察 を 行 う 。   そ こ で 皿 以 降 に使 用 す る 分 析 方 法 に つ い て 説 明 を し て お く 。 分 析 の た め に 時 間 経 過 を 考 慮 に 入 れ た 出 生 過 程 の パ タ ー ン を 示 す 指 標 を 作 る 必 要 が あ る 。 本 稿 で は 平 均 累 積 出 生 数(CNB)を 用 い 、 CNBは す べ て の 時 点(女 子 年 令)に お け る 出 生 確 率5)の 和 で あ り 、 平 均 的 な 出 生 数 と い う こ と が で き る 。 ま ず 、CNBの 算 出 に は あ る 時 点(女 子 年 令)に お け る 出 生 確 率 を 求 め る 必 要 が あ る 。 出       図1  平 均 初 婚 年 齢 の 変 化 と 年 齢 別 出 生 率 パ タ ー ン 出 所:河 野 他(1984)、p.59。

(6)

36  ス リ ラ ン カ にお け る 出 生過 程 の 分析 生 確 率(PB。)は(1)式 の よ う に 示 さ れ る 。       BaPB aニ       W a

(1)

  添 え 字aは 女 子 年 令 を 示 し 、B、 はa才 で 出 生 を お こ な っ た 女 子 の 総 数 で あ り 、W、 はa才 の 女

子 総 数 で あ る 。 そ し て 、PBaはB、 とW、 の 比 によ っ て 算 出 さ れ 、 女 子 がa才 で 出生 す る 確 率 で あ る 。 こ の と き の 出 生 は 出 生 順 位 を 考 慮 せ ず 、 女 子 数(W。)は 結 婚 状 態 も 考 慮 し な い こ と と す る 。 PB、 の 定 義 か ら 、 一 定 期 間 のPB、 の 累 積 値 は そ の 期 間 に お け る 期 間 平 均 出 生 数(期 間 出 生 数)で あ り 、 特 に そ の 期 間 が10才 か らa才 ま で の 期 間 出 生 数 を 平 均 累 積 出 生 数(CNB。)と 呼 ぶ こ と が で き る 。CNB、 は(2)式 の よ う に示 さ れ る 。 CNBa二 躯 二aBi

=ioWi  iニ ・o,11,・a

(2)

(2)式 のiは 女 子 年 令 を 示 し て お り 、CNB、 に お け る 添 え 字aは 、 期 間 の 終 点 の 女 子 年 令 を 示 し て い る 。CNB、 に お け る 終 点aの 最 大 値 は40-49才 女 子 で は49才 、30-39才 女 子 は39才 で あ る 。 PB、 の 分 布 曲 線 の 形 状 は 図1の よ う な 放 物 線 が 予 想 さ れ る の で 、CNB、 はPB、 が 全 て フ゜ラ ス 値 を 取 る こ と か ら 右 上 が り の 曲 線 を 描 く 。   こ こ で 、CNB、 と 平 均CEBと の 関 係 を 見 て み よ う 。CEBは1人 の 女 子 の 既 往 出 生 数 で あ る の で 、 平 均CEBは(3)式 の よ う に 示 さ れ る 。       W       ΣCEBj

平均CEB=j=1W 

j=・ ・2・ …・w 

(3)

  jは 女 子 個 人 を 表 し 、Wは あ る 一 時 点(調 査 時 点)の 女 子 総 数 を 表 し て い る 。j番 目の 女 子 の 既 往 出 生 数 はCEBwで 表 さ れ 、 全 女 子 の 出 生 数 合 計 は(3)式 右 辺 の 分 子 の よ う に 示 さ れ る 。 平 均 CEBは 全 出 生 数 を 女 子 数 で 除 し た も の と な る 。 こ れ に 対 し てCNB、 は 女 子 年 令 を 考 慮 し て い る 。 出 生 コ ー ホ ー ト は40-49才 、30-39才 で あ る の で 同 じ 出生 コ ー ホ ー ト 内 に お い て 調 査 時 点 に お け る 女 子 年 令 に 最 大10年 の 開 き が 存 在 す る 。 こ の た め 、PB、 算 出 時 に 、40-49才 で はaが41才 以 上 、30-39才 女 子 で は31才 以 上 に な る と 、 そ れ ま で 一 定 で あ っ た 女 子 数W、 が 減 少 し 始 め る 。 女 子 年 令 別 出 生 数 で あ るBaの 合 計 値 と のw人 のCEBの 総 数 は 同 じ で あ る の で 、 CNB4gま た はCNB3gと 平 均 CEBは 同 値 に は な ら な い が 、 近 似 値 を と る 。   同様 に 結 婚 年 数 を 時 間 軸 に し た ケ ー ス を 考 え て み よ う 。 結 婚 年 数(m)は 結 婚 年 令 を0と し 、 出 生 の 時 間 は 出 生 時 の 女 子 年 令 と 結 婚 年 令 の 差 で 示 さ れ る 。 こ の と き の 結 婚m年 目に お け るPBmは 5)通 常 、 年 令 別 出 生 率 と 呼 ば れ る が 、人 口動 態 統 計 は期 間 デ ー タ が 多 く 、年 齢 階 級 によ る 出 生 の 割 合 を 出生 率 と   呼 ん で い る 。 本 デ ー タ を 使 用 は 同一 コ ー ホ ー ト にお け る1年 単 位 の 出生 率 を 直 接 算 出で き る の で 、 こ れ を 区別   す る た め に 出 生確 率 と 呼ぶ こ とと す る 。

(7)

京都女子大学現代社会研究  37 (4)式 、 結 婚m年 ま で のCEBmは(5)式 の よ う に 示 さ れ る 。       BmPB mニ       W m       m

CE略P略

款 二

m ΣBk k=0 W 二 平 均CEB    kニ0、1、   、m

(4)

(5)

  結 婚 か らm年 の 女 子 数 はWmで 、 そ の 年 に 起 こ っ た 出 生 数 はBmで あ る の で 、 PBmが 算 出 さ れ る 。CEBmは 結 婚 年 数0年 か らm年 ま で の 出 生 確 率 の 累 積 値 で あ る 。 各 出 生 コ ー ホ ー ト に お け る 最 大 値(最 長 結 婚 年 数)を40-49才 女 子 で30年 、30-39才 女 子 は23年 に 設 定 し て い る 。 こ の 時 に 用 い た 女 子 数Wkは 全 期 間 を 通 じ て 一 定 で あ る の で 、 終 点 で のCNBm(CNB30、  CNB23)は 、 平 均 CEBと 一 致 す る こ と に な る 。   最 後 に 、 女 子 の 結 婚 パ タ ー ン に つ い て 見 て み よ う 。 ま ず 、 結 婚 とPB、 と の 関 係 に つ い て 確 認 し て お く 。(1)式 の 出 生 確 率(PB。)は(6)式 の よ う に 書 き 換 え る こ と が で き る 。

PBa=W-MXWa

a 

a 

a

(6)

      Ba        Ma   M 、は 女 子 年 令a才 の 時 の 有 配 偶 女 子 数 を 示 し て お り 、 こ の と き       は 有 配 偶 出生 率 、        は       M a        Wa 有 配 偶 率 で あ る の で 、PB、 はa才 時 点 の 有 配 偶 出 生 確 率 と 有 配 偶 率 を 乗 じ た も の と 言 い 換 え る こ と が で き る 。 つ ま り 、 出 生 が 有 配 偶 女 子 に よ っ て 行 わ れ る と す る と 、 有 配 偶 率 の 低 下 がPB、 の 低       Ma        の 変 動 を 確下 を 導 く こ と に な る 。 そ の た めCNB、 は 出 生 過 程 の 考 察 に 有 用 で あ る が 、 同 時 に       W a 認 し て お く 必 要 が あ る 。 以 上 の よ う な 指 標 を 用 い て 出 生 過 程 の パ タ ー ン に つ い て 考 察 を 進 め る 。

皿  女子年令 による 出生過程

  こ こ で は 女 子 年 令(a)を 時 間 軸 と し たPB、 の 分 布 に つ い て 見 て み よ う 。 図2お よ び 図3は 出 生 コ ー ホ ー ト 別 に 横 軸 に 女 子 年 令 、 縦 軸 にPB、 を 示 し て い る 。 出 生 コ ー ホ ー ト は40-49才 女 子 をh、 30-39才 女 子 をyと す る と 、PB、 はPB。h、  PB。y、 CNB、 はCNB。h、  CNB。yと 書 き 換 え ら れ る 。   CNB、 は10才 か ら のa才 ま で のPBaの 累 積 値 で あ る の で 、 各 教 育 水 準 のPB、 分 布 曲 線 下 の 面 積 に 相 当 す る 。 ま ず 、 教 育 水 準 に よ るCNB4ghとCNB3gyを 確 認 し て お こ う 。CNB4ghはEFO-2か ら 順 に4.66、4.14、3.54、2.73で あ り 、CNB3gyは3.52、3.53、3.00、2.37と な っ て い る 。40-49才 女 子 は 教 育 水 準 が 低 い ほ どCNB4ghが 低 い こ と が わ か る 。 CNB3gyはEFO-2お よ びEF3-5の 差 が 認 め ら れ な い が 、 そ れ 以 上 の 教 育 水 準 は 低 く な っ て い る こ と が 確 認 で き る 。 し か しCNB49hに 比 べ て 教 育 水 準 間 のCNB39yの 格 差 が 小 さ い 。 こ れ は 先 に も 述 べ た 平 均CEBと ほ ぼ 数 値 が 一 致 し て い る 。

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38  ス リ ラ ン カ にお け る 出 生過 程 の 分析     図2  40-49才 年 令 別 出 生 確 率(PB。h)の 教 育 水 準 に よ る 変 化 出 所:表1と 同 じ 。   図3  30-39才 年 令 別 出 生 確 率(PB。y)の 教 育 水 準 に よ る 変 化 出 所:表1と 同 じ 。   上 の 図 は 各 女 子 年 令 に お け るPB、 の 推 移 お よ び 教 育 水 準 に よ る 出 生 数 格 差 の 発 生 す る 様 子 を 見 る こ と が で き る 。EF10-12を 除 い て ほ ぼ 同 じ よ う な 放 物 線 を 描 い て い る 。 年 令 に よ るPB、 の 変 動 は 認 め ら れ る が 、 次 の よ う な4つ の 時 期 に 分 か れ て い る 。10-19才 に は 右 上 が り 、20-29才 に は 高 い 水 準 で 維 持 し 、30-39才 に は 右 下 が り に 転 換 し て い る 。 さ ら に40才 以 降 のPB、 は0に 近 い 値 を と っ て お り 、 出 生 を 終 え て い る 様 子 が 描 か れ て い る 。   ま ず 、40-49才 女 子 を 見 て み よ う 。 こ の 放 物 線 の 頂 点 に あ た るPB。hの 水 準 が0.25以 上 で 推 移 し て い る の はEFO-2お よ びEF3-6に お い て そ の 期 間 は そ れ ぞ れ22-27才 、22-28才 で あ る 。 こ の 期 間 に お け る 出 生 は 全 体 の34%と44%を 占 め て い る 。PB。hが0.20以 上 で あ る 期 間 は そ れ ぞ れ19-31 才 、20-29才 と 前 後 の 期 間 が 延 長 さ れ 、 そ の 期 間 の 出 生 は 全 体 の67%、66%を 占 め 、 出 生 が20-29才 の10年 間 に 集 中 し て い る こ と が わ か る 。EF6-9の 場 合 、 先 の 水 準 に 比 べ て 上 昇 傾 向 に あ る30才 ま

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京 都 女 子 大 学 現 代 社 会 研 究     39 で のPB。hが 低 い が 、 右 下 が り に 転 換 す る 年 令 か ら 曲 線 がEFO-2お よ びEF3-5と 重 な っ て い る 。 PB。hの 水 準 が0.25を 超 え て い る の は23才 の1年 だ け で 、0.20以 上 の 期 間 は22-30才 で あ り 、 こ の 期 間 に お け る 出 生 は 全 体 の55%を 占 め て い る 。EF6-9のPB。hはEFO-2お よ びEF3-5に 比 べ て 低 い も の の 、 同 じ 時 期 に 出 生 を 集 中 さ せ て い る こ と が わ か る 。 次 にEF10-12を 見 て み る と 、 他 の 水 準 に 比 べ てPB。hの 山 が 極 め て 低 く 、 最 も 高 い 水 準 で も0.19に 過 ぎ な い 。 PB。hが0.15を 超 え る 期 間 は25-32才 と 短 く 、 こ の 期 間 の 出 生 は 全 体 の49%と 他 の 水 準 に 比 べ て 低 く 、 出 生 年 令 の ば ら つ き が 大 き い と い え る 。 こ の 教 育 水 準 に お け る 右 下 が り に な っ て い る 期 間 のPB。hは 他 の 教 育 水 準 と 重 な っ て い る 。 右 上 が り の 形 状 に あ る21才 ま で のCNB21hは 、 EFO-2は1.2、  EF3-5で は1.0、 EF6-9で は0.6、  EF10-12で はCNB24hは0.6(CNB21hで は0.2)で あ る 。 全 出 生 に 対 す る 割 合 は そ れ ぞ れ26%、24%、18%、21%と な っ て い る 。   次 に30-39才 女 子 に つ い て 以 下 の 通 り で あ る 。 最 も 高 い 時 期 のPB。yは40-49才 女 子 の も の に 比 べ て 全 て の 教 育 水 準 に お い て 低 く 、PB。yが0.20以 上 を 超 え る 期 間 はEFO-2お よ びEF3-5で は20-28才 の8年 間 、EF6-9で は22-27才 の5年 間 で あ っ た 。 EF10-12で はPB。yが0.20を 上 回 る こ と は な く 、0.15を 超 え る 期 間 が24-30才 の6年 間 と 他 の 水 準 に 比 べ てPB。yの 水 準 が 低 く 、 遅 れ て 出 生 が 集 中 し て い る 。 こ の 期 間 に お け る 出 生 の 全 体 に 対 す る 割 合 は そ れ ぞ れ59%、58%、43%、46%

で あ り 、 教 育 水 準 が 低 い 方 が そ の 集 中 度 が 高 い 。EF10-12を 除 く 水 準 に お い てPB。yの 水 準 が 0.15を 超 え る 期 間 は そ れ ぞ れ18-30才 、19-30才 、19-30才 と ほ ぼ 同 じ 時 期 で あ り 、 こ の 期 間 に お け る 出 生 の 集 中 度 は78%、70%、75%と40-49才 女 子 に 比 べ て 高 く な っ て い る 。

  PB。yが 右 上 が り で あ る 期 間 に お け るPB。yはEFO-2お よ びEF3-5が0.46(CNBlgy)、0.46

(CNBlgy)、EF6-9のCNB21yは0.66、  EF10-12のCNB23yは0.48で あ る 。  EFO-2お よ び EF3-5に お け る こ の 期 間 のCNBlgyは 半 減 し 、 全 出 生 に 対 す る 割 合 は そ れ ぞ れ16%、13%、22 %、20%とEF6-9を 除 い て 低 く な っ て い る 。30才 以 降 の 右 下 が り の 形 状 を し て い る 期 間 に つ い て み て み る と 、 観 測 で き る 年 令 が39才 ま で で あ る の でEFO-2を 除 く と40-49才 女 子 の よ う な 出 生 の 終 了 に は 至 っ て い な い 。EF10-12を 除 く と 同 様 な 傾 斜 で あ る が 、35才 以 降 のPB。yは 教 育 水 準 が 高 い ほ ど 高 く 、PB。y曲 線 が 右 側 に 位 置 し て い る こ と か ら 生 み 遅 れ を 取 り 戻 す 行 動 が 認 め ら れ る 。 EF10-12はPB。y曲 線 が 低 い だ け で な く 、 低 下 の 傾 斜 も 他 の 水 準 と は 異 な り 緩 や か で あ る 。   次 に 、 教 育 水 準 問 のCNB、 の 格 差 に つ い て 見 て み よ う 。EFO-2を 基 準 に し た と き のCNB、 の 差 は 表2に 示 し て あ る 。40-49才 女 子 の 場 合 、 そ れ ぞ れ 一 〇.51、-1.12、-1.92で あ り 、30-39才 女 子 は0.01、-0.52、-1.15で あ る 。 先 の よ う にPB、 の 水 準 は ほ ぼ10年 の 間 隔 で 上 昇 、 高 水 準 で 維 持 、 低 下 、40才 代 のPBは0水 準 の よ う に 変 化 し 、 放 物 線 を 描 い た よ う な 形 状 を し て い る 。 こ れ ら 期 間 に お け るCNB、 の 格 差 の 発 生 を 確 認 し て お く 。 表2は10才 か ら10年 の 期 間 出 生 数 とEFO-2の も の と の 差 を 示 し て い る 。40-49才 女 子 の 場 合 、 共 通 し て10-19才 の 問 に 格 差 が 発 生 し て い る 。 EF3-5に つ い て は20-29才 で の 差 は な い が30-39才 に お い て そ の 差 の 半 数 が 発 生 し て い る 。 EF6-9 に つ い て は20-29才 で の 差 が10-19才 と 同 程 度 発 生 し て お り 、30-39才 で は そ の 差 は 半 減 し て い る 。 EF10-12で は20-29才 に お い て 全 体 の61%の 格 差 が 発 生 し て お り 、30才 以 降 に お け る 差 は な い 。

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40  ス リ ラ ン カ にお け る 出 生過 程 の 分析 表2  教 育 水 準 間の 累積 出生 数 格 差 の 発 生(基 準EFO-2) 10-19 20-29 30-39 40-49 格 差         40-49才 女 子 EF3-5    EF6-9    EF10-12

一 〇.18      -0.43   0.00      -0.41 -0 .24      -0.21 -0 .09      -0.07 -0 .51      -1.12 一 〇.66 -1 .18 -0 .06 -0 .03 -1 .92         30-39才 女 子 EF3-5    EF6-9    EF10-12

一 〇.09      -0.25 -0 .09      -0.30   0.19        0.03 0.01       -0.52 一 〇.47 -0 .91 0.23 -1 .15 注:教 育 水 準 別 に 各10年 間 の 累 積 出 生 数 を 算 出 、 表 はEFO-2か ら 差 を 示 し て い る 。 出 所   表1と 同 じ 。 30-39才 女 子 で は30-39才 に お け るEFO-2と の 差 は プ ラ ス 値 と な っ て い る 。 EF3-5で は10-19才 お よ び20-29才 の 差 は 同 じ で あ り 、 そ の 差 は 大 き く な い 。EF6-9お よ びEF10-12の 差 は20-29才 に お け る 差 が 最 も 大 き く 、 特 に 、EF10-12の 期 間 に お け る 差 の 発 生 は79%を 占 め る 。   こ の よ う に 、CNB4ghお よ びCNB3gyの 教 育 水 準 に お け る 格 差 の 発 生 はPBa曲 線 の 右 に シ フ ト に よ っ て 若 年 期 に 格 差 が 発 生 し て い る と い え る 。 r▽.結 婚 の パ タ ー ン   先 に 見 た よ う に 、 女 子 年 令 に お け るPB、 の 推 移 お よ びCNB、 の 格 差 の 発 生 に つ い て 考 察 を 行 っ た 。 こ れ ら の 結 果 は 若 年 層 にお け る 出 生 行 動 の 差 異 が 重 要 な 要 因 と な っ て い る と 言 え る 。 表1に 示 し た よ う に 、 教 育 水 準 の 上 昇 に 伴 っ て 平 均MAが 上 昇 し て い る こ と が わ か っ て い る 。 こ の こ と か ら 、 結 婚 年 令 が 若 年 層 に お け る 出 生 を 減 少 さ せ 、 出 生 行 動 を 遅 ら せ て い る と 考 え ら れ る 。 こ こ で は 、 女 子 年 令 に お け る 有 配 偶 率(MR)の 推 移 か ら 結 婚 が 出 生 に与 え る 影 響 に つ い て 考 察 す る 。(6)

式から有配髀

はMRa 

Wa

aと 艤

される・好

年令が上昇するに従って有酉

偶好

が増加する

の で 、MR、 は 増 加 関 数 で あ る 。 さ ら に 、 こ こ で 使 用 さ れ て い る 女 子 は 調 査 時 点 で 有 配 偶 女 子 で あ る の でMR4gh、  MR3gyは1と な る 。 図4お よ び 図5は 各 出 生 コ ー ホ ー ト の 教 育 水 準 別 のMR、 を 示 し て い る 。 結 婚 年 令 の 遅 れ は こ れ ら の 曲 線 が 右 に シ フ ト す る よ う に 表 さ れ る 。   両 出 生 コ ー ホ ー ト の 共 通 す る 特 徴 は 以 下 の 通 り で あ る 。 第1に 、EFO-2か らEF6-9のMR、 の 形 状 は 似 て い る 。 こ の 曲 線 は 若 年 時 期 に 結 婚 が 集 中 し て い る た め 、 急 激 にMRaが 増 加 し 、 そ の 後 増 加 率 が 逓 減 し て い る 様 子 が 見 ら れ る 。 特 にEFO-2とEF3-5の 曲 線 は 重 な っ て お り 、 有 配 偶 女 子 の 増 加 傾 向 が 同 じ で あ る と い え る 。EF6-9の 有 配 偶 率 の 曲 線 は2つ の 初 等 教 育 の 形 状 よ り も 右 側 に 位 置 し 、 そ の 幅 か ら2年 の 遅 れ が あ る こ と が わ か る 。EF10-12は 他 の 教 育 水 準 よ り さ ら に 右 側 に 位 置 し 、 曲 線 は 直 線 的 で あ る 。 こ れ はEF10-12の 結 婚 年 令 が 全 体 に 高 い こ と を 表 し て い る 。   MR。hが0.8を 超 え る の は 教 育 水 準 順 に23才 、23才 、26才 、30才 で あ り 、MR。yで は23才 、24才 、 25才 お よ び28才 で あ っ た 。EF10-12の 結 婚 が 極 め て 遅 い こ と が わ か る 。 こ れ は10才 か ら 各10年 間

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京 都 女 子 大 学 現 代 社 会 研 究     41   図4  40-49才 年 令 別 有 配 偶 率(MR。h)の 教 育 水 準 に よ る 変 化 出 所:表1と 同 じ 。   図5  30-39才 年 令 別 有 配 偶 率(MR。y)の 教 育 水 準 に よ る 変 化 出 所:表1と 同 じ 。 に お け るMR、 の 増 加 量 を 見 て み よ う 。 最 終 年 に はMR、 が1に な る こ と か ら 増 加 量 は そ の 期 間 の 結 婚 の 集 中 度(%)で あ る と い う こ と が 出 来 る 。40-49才 女 子 か ら み る と 、EFO-2お よ びEF3-5 に お い て 集 中 度 が 最 も 高 い の は10-19才 で 、 そ れ ぞ れ 全 体 の57%、52%を 占 め 、 次 い で20-29才 の39 %、45%が 高 く 、29才 ま で に 結 婚 し て い る こ と が わ か る 。EF6-9に 関 し て は20-29才 の 集 中 度 が 全 体 の57%と 最 も 高 く 、 次 い で10-19才 の34%と 全 体 的 に 結 婚 の 遅 れ が 認 め ら れ る 。EF10-12は EF6-9と 同 様 に20-29才 の 集 中 度 が65%と 集 中 度 は 極 め て 高 い 。 次 い で 高 い の は30-39才 の23%と さ ら に 遅 れ が 進 ん で い る 。   30-39才 女 子 を 見 る と 、40-49才 女 子 と 同 じ 傾 向 に あ る と い え る 。10-19才 と20-29才 の 集 中 度 は EFO-2が 全 体 の53%、44%、  EF3-5が50%、45%、 さ ら にEF6-9で は38%、56%と な っ て い る 。EF10-12の 場 合20-29才 に お け る 集 中 度 が70%と 両 コ ー ホ ー ト の 教 育 水 準 の 中 で 最 も 高 い 。

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42ス リラ ンカ にお け る出 生過 程 の 分析 10-19才 お よび30-39才 で は16%と14%と あ ま り差 が認 め られ な い。10年 の期 間 に 区分 した集 中度 か ら見 る と以 上 の よ うな 特 徴 が 認 め られ 、 図 に お い て は教 育 水 準 に よ る右 シ フ トが さ ら に 明 ら か に 示 され て い る。   こ の よ うな 教 育 水 準 に よ る結 婚 年 令 の 遅 れ は 先 に 見 たCNB、 の若 年 層 に お け る 出 生 確 率 の 低 下 に 繋 が る こ とは 明 ら か で あ る。 特 に 最 も 出 生 が 行 わ れ る20才 代 に お け る有 配 偶 率 の 差 がCNB、 の 格 差 とな る こ とが い え る。

V.結

婚 期 間 に よ る出生 過 程

  女 子 年 令 に よ るPB、 の 変 動 は 教 育 水 準 の 上 昇 に 伴 う結 婚 年 令 の 遅 れ の 影 響 を 強 く受 け て い る 。 こ こ で 、 時 間 軸 を 結 婚 年 数(m)の 出 生 確 率(PBm)お よ び 累 積 出 生 数(CNBm)の 変 動 を 見 て み よ う。m=0は 結 婚 を 示 し 、 結 婚 前 の 出 生 を 考 慮 し40-49才 女 子 は 一7∼30ま で の 値 を と り 、30-39才 女 子 は 一7∼23の 値 を と る 。CNB30hは 教 育 水 準 別 に4.63、4.14、3.52、2.70で あ り 、CNB23yは 3.37、3.20、2.79、2.04で あ っ た 。   図6お よ び 図7は 出 生 コ ー ホ ー ト別 にPBmh、  PBmyの 推 移 を 示 し て い る 。 両 コ ー ホ ー ト と も 全 て の 教 育 水 準 に 共 通 し て 、1年 目 のPB1が 際 立 っ て 高 く0.44∼0.55の 水 準 に あ る こ と か ら 半 数 の 女 子 が 結 婚1年 目 に 出 生 を 行 っ て い る 。2年 目 か ら数 年 は 高 い 水 準 を 保 っ て い る がPB1に 比 べ る と15 ∼50%の 減 少 し て い る。PBmが0.3以 上 の 期 間 は 教 育 水 準 に よ っ て 異 な っ て お り 、40-49才 女 子 で はEFO-2、  EF3-5が7年 間 と6年 間 で あ る の に 対 し 、 EF6-9とEF10-12で は3年 間 と 半 減 し て い る 。30-39才 女 子 で は そ れ ぞ れ4年 、4年 、2年 、1年 と 全 て の 教 育 水 準 に お い て40-49才 女 子 に 比 べ て 短 縮 し て い る 。PBmが0.2以 上 の 期 間 は40-49才 女 子 で はEFO-2とEF3-5が10年 、 EF6-9とEF10-12が7年 と初 等 教 育 と 中 等 教 育 以 上 に 期 間 の 差 が 生 じ て い る 。30-39才 女 子 で は

図6  40-49才 結 婚 年 数 別 出 生確 率(PBmh)の 教 育水 準 に よ る 変化

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京都女子大学現代社会研究 43

図7  30-39才 結 婚 年 数 別 出生 確 率(PBmy)の 教 育 水 準 に よ る 変 化

出 所:表1と 同 じ。

EFO-2が7年 、 EF3-5お よ びEF6-9が6年 、 EF10-12が3年 とEF6-9を 除 く 教 育 水 準 の 短 縮 が 認 め られ る 。   結 婚 年 数 が5年 未 満 のCNB4は40-49才 女 子 で1.7、1.6、1.6、1.5、30-39才 女 子 で は1.6、 1.6、1.6、1.3と30-39才 女 子 のEF10-12を 除 く と差 が な い 。 こ れ に 対 し5年 目以 降 は 図 に 示 され て い る よ う に 教 育 水 準 に よ るPBmの 格 差 が 拡 大 し て い く 様 子 が 見 て 取 れ る 。40-49才 女 子 の CNB30と30-39才 女 子 のCNB23の 教 育 水 準 に よ る 格 差 は5年 目 以 降 に 発 生 し て い る と い え る 。 特 に 結 婚 後10年 ま で の 問 に 行 わ れ る 出 生(CNB9)の 全 体 に 対 す る 割 合 は40-49才 女 子 で66%、71%、 78%、85%で 、30-39才 女 子 で は82%、83%、88%、93%と 教 育 水 準 が 高 い ほ ど そ の 割 合 が 高 く 、 さ ら に30-39才 女 子 の 割 合 の 上 昇 か ら 全 て の 教 育 水 準 に お い て 出 生 行 動 期 間 が 短 縮 し て い る こ と が 明 白 で あ る 。

お わ りに

  本 稿 は ス リ ラ ン カ のDHS93の デ ー タ を 用 い て 、30-49才 女 子 の 出 生 行 動 のパ タ ー ン お よ び 教 育 水 準 問 の 出生 数 格 差 を 女 子 年 令 お よび 結 婚 年 数 に よ る 出 生 確 率(PBa、  PBm)の 変 動 か ら考 察 を行 っ た。 第 一 に 、PBaは 全 て の 教 育 水 準 で放 物 線 を描 い て お り、 教 育 水 準 の 上 昇 に 伴 っ てPBaの 高 さ が低 下 して お り、 曲線 が 右 に シ フ トして い る。 特 にEF10-12の 曲 線 の 緩 や か な 形 状 は 特 定 の 女 子 年 令 ま た は期 間 の 出生 の 集 中度 が 小 さい こ とを 示 し、 同 じ教 育 水 準 で あ っ て も 出 生 の個 人 差 が 大 き い こ と意 味 して い る。 右 下 が りの 期 間 に お け るPBaの 高 さ か ら30-39才 女 子 で は 生 み 遅 れ を取 り 戻 す 行 動 が 認 め られ る が 、 前 半 で発 生 した 格 差 を 相 殺 す る ほ どの 大 き さは な い。   第 二 に 、 結 婚 の パ タ ー ン に つ い て 有 配 偶 率(MRa)の 増 加 パ タ ー ン か ら 考 察 を 行 っ て い る。 EF10-12を 除 く教 育 水 準 の パ タ ー ン は20才 前 半 の 増 加 が 著 し く 、 そ の 後 逓 減 す る 曲 線 を 描 い て い

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44  ス リラ ンカ にお け る出 生過 程 の 分析 る。EFO-2とEF3-5が 重 な っ た 曲線 で あ る の に対 し、 EF6-9は これ らの 右 に位 置 しそ の 幅 か ら 2年 の 遅 れ が 認 め られ る。EF10-12のMRaは 直 線 的 に単 調 な 増 加 を して お り、 他 の 教 育 水 準 に 比 べ て 、20才 以 降 の結 婚 が 多 い 。   第 三 に、 結 婚 年 数(m)を 時 間 軸 に したPBmの 変 動 を 見 て み る と、 出 生 行 動 の 期 間 が 教 育 水 準 に よ っ て 異 な る こ とが 明 らか に な っ た 。 全 て の 教 育 水 準 にお い てPB1の 値 が 際 立 っ て 高 く、2年 目 以 降 低 下 を続 け る形 状 とな っ て い る。 こ の 右 下 が りの 傾 き は 教 育 水 準 が 高 い ほ ど大 き い 。 っ ま り、 CNBmの 教 育 水 準 お よ び 出 生 コー ホ ー ト問 の 格 差 は 教 育 水 準 が 高 い ほ ど 出生 行 動 の 期 間 が 短 い こ とか ら発 生 して い る と思 わ れ る 。   こ の よ うな 結 果 は ス リラ ン カ で は 出 生 行 動 を 終 了 は教 育 水 準 に か か わ らず 同様 の 時 期 に 起 こ る の に 対 し、 結 婚 年 令 は教 育 水 準 の 上 昇 に 伴 っ て 遅 れ て い る 。 そ の た め 、 出 生 行 動 の 期 間 が 自動 的 に 短 縮 されCEBやCNBの 格 差 を 発 生 させ た とい え る。 参考文献 河 野 稠 果 他(1984)『 出 生 力 の 生 物 人 口学 的 分 析 』、 厚 生 省 人 口 問 題 研 究 所 。 河 野 稠 果(2000)『 世 界 の 人 口(第2版)』 、 東 京 大 学 出 版 会 。 西 村 教 子(1999)「 ス リ ラ ン カ に お け る 出 生 率 低 下 と社 会 経 済 環 境 の 変 化 」、 『国 際 協 力 論 集 』、 第7巻 第1号 、 神 戸   大 学 大 学 院 国 際 協 力 研 究 科 、165-81ペ ー ジ 。         (2001)「 ス リ ラ ン カ に お け る 出 生 力 分 析 」、 博 士 論 文 、 神 戸 大 学 大 学 院 国 際 協 力 研 究 科 。

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参照

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