第2小単元 「大王の墓」
(4時間)
多摩市立豊ヶ丘小 新色 裕隆 1.小単元の目標 巨大な古墳について調べ、むらやくに同士の争いを勝ち抜いて大きな力を手に入れた大 王が中心となって、ヤマト王権(大和朝廷)が国土の統一を進めたことを理解できるよう にする。 2.観点別評価規準 ①社会的事象への関心・意欲・態度 ・大仙古墳の大きさに関心を持ち、古墳を作った人、目的、作り方などを意欲的に調べ ようとする。 ・大きな力をもつ大王や豪族によって、日本が統一されていくことに関心をもつ。 ②社会的思考・判断・表現 ・大仙古墳について調べ、古墳の大きさ、作り方、出てきた物から、大王の権力につい て考える。 ・大王の権力の大きさと国土の統一を関連づけて考え、意見を交換して深める。 ③観察・資料活用の技能 ・資料集などの資料を活用しながら調べたり考えたりしたことをわかりやすくワークシ ートにまとめる。 ・調べてわかったことや考えたことを作品にまとめ、友だちと発表し合う。 ④社会的事象についての知識・理解 ・巨大な古墳は大きな力を持った大王によって権力の象徴として作られたことがわかる。 ・4世紀頃、日本は大和朝廷によって統一されたことが分かる。 3.小単元について 本小単元は、学習指導要領の内容(1)のア「農耕の始まり、古墳について調べ、大和朝廷に よる国土の統一の様子が分かること。その際、神話・伝承を調べ、国の形成に関する考え方 などに関心をもつこと」の後半に基づいて設定している。 歴史学習の導入であった前小単元では、多摩市内に残る縄文時代の遺跡を見学し、竪穴式 住居の復元家屋に入ったり、土器や道具を使った体験をしたりする活動を取り入れた。その 活動をきっかけとした学習を通して、当時の人たちは、身近な自然を利用し協力して暮らし ていたことをイメージした。続いて、大陸から米作りが伝わったことによって、人々の生活 がどのように変化したのかを追究する学習を進めてきた。そこでは、食べ物・住居・衣服な どの生活面の変化とともに、土地・水などをめぐる争いが起き、身分に差が表れてきたこと に気づいている。 そこで、本小単元では、大仙古墳 と身近な地域との比較を通して大き さを実感させることから学習を始め、 葬られた人物の権力の大きさやその 過程について興味を持たせて、追究 させる展開とした。この学習を通し て、米作りの始まりによってできた むらが、争いによって尐しづつ大き くまとまり、ヤマト王権(大和朝廷) によって国土が統一されたことに気 づかせたい。また、図書館司書との 連携を図り、読み聞かせを通して神 話や伝承についての興味関心をもた せていきたい。4.小単元の構造
大きな古墳を造る力を持った大王が中心になって日本は統一された
ヤマト王権の勢力が
東日本や九州に広がった
九
州
に
勢
力
を
広
げ
た
関
東
に
勢
力
を
広
げ
た
ヤ
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ト
王
権
が
大
和
を
中
心
に
日
本
を
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一
し
た
(
九
州
か
ら
南
東
北
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で
)
・
弱
い
む
ら
の
人
は
奴
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と
し
て
支
配
さ
れ
た
・
争
い
で
む
ら
や
く
に
の
力
の
差
が
広
が
っ
た
・
他
の
く
に
を
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え
た
豪
族
は
王
と
呼
ば
れ
た
・
中
国
の
魏
志
に
邪
馬
台
国
の
記
述
が
あ
る
・
卑
弥
呼
は
2
3
9
年
に
魏
に
使
い
を
送
っ
た
・
力
を
持
つ
王
は
前
方
後
円
墳
を
造
っ
た
・
古
墳
は
渡
来
人
の
技
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を
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か
し
て
造
っ
た
・
古
墳
の
出
土
品
な
ど
か
ら
当
時
の
文
化
や
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が
わ
か
る
・
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マ
ト
王
権
に
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れ
た
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方
の
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族
が
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方
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円
墳
を
造
っ
た
・
九
州
や
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東
に
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で
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方
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円
墳
の
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ら
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た
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て
い
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・
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事
記
や
日
本
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か
ら
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の
形
成
の
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子
が
読
み
取
れ
る
古墳時代
3世紀から6世紀
卑弥呼
・
古
墳
の
大
き
さ
で
力
の
大
き
さ
を
示
し
た
強い「むら」の豪族が
「くに」を作るようになった
力
の
強
い
む
ら
は
、
く
に
に
発
展
し
た
女
王
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が
支
配
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邪
馬
台
国
が
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在
し
た
む
ら
同
士
の
争
い
で
勝
っ
た
む
ら
が
力
を
強
め
た
3C後 6C大王が中心になって
大和地方にヤマト王権ができた
大
き
な
力
を
も
っ
た
大
王
を
中
心
に
、
大
和
地
方
に
ヤ
マ
ト
王
権
が
作
ら
れ
た
近
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地
方
に
大
き
な
権
力
を
も
つ
王
が
た
く
さ
ん
現
れ
た
4C後 5C5.指導計画(4時間) 主な学習活動 資 料 育てたい力 考える力 表現する力 問 題 を 明 確 に す る 意 欲 的 に 追 究 す る 考 え を 深 め る ○大仙古墳の大きさに気づき、そのわけ に関心をもつ(0.5) ・写真から読み取れること ・事実の確認(お墓・場所・大きさ) 大仙古墳(伝仁徳天皇陵) 大阪府堺市 5世紀後半 縦 800m 横 630m 高さ 35m ○予想を立てて、発表しあう。(0.5) ・どんな人が えらい人 権力者の子ども ・何のために 自分の力を見せるため ・どんな方法で たくさんの人を働かせて 何年もかけて ○調べながらワークシートにまとめる。 (2) ・3つの視点で考える 大きさからわかること 造り方からわかること 出てきた物からわかること ○作品を発表しあい、考えをまとめる。 (0.5) ○年表を活用し、国が統一されるまでを ふりかえる。(0.5) 3世紀 邪馬台国(卑弥呼) 魏志 3世紀後半 大和地方に前方後円墳 4世紀頃 大王を中心大和朝廷 6世紀まで 大和朝廷の権力が広がる ・大仙古墳の 航空写真 ・学区域の広 さと比較 ・ワークシー ト(B4) ・ノート ・年表 (3世紀 ~6世紀) 古墳の予想外の 大きさから、造 られたわけに疑 問をもつ。 読み取った事実を もとに、学習問題 と関連づけながら 予想を確かめる。 学 習 経 験 や 生 活 経 験をもとに、予想を 立てたり、友達との 意 見 交 換 を 通 し て 深めたりする。 伝 え た い こ と を 整理し、わかりや すく表現する。 ともだちの考えを もとに、大王の力 や古墳について考 えを深める。
学習問題
こんなに大きな大仙古墳を
「どんな人が」「何のために」「どんな方法で」
造ったのだろう
6.学習の流れ
〔第1時〕
大仙古墳の大きさを実感し、「どんな人が」「何のために」「どんな方法で」造ったかに関心 をもち予想を立てる。 ① 仙古墳の写真(A3-9枚大)をもとに大きさを実感し、疑問をもつ。 ア 写真からわかること ・ かぎあなみたいな形 ・ 森みたいな島がまん中にある ・ 三重の堀で囲まれている ・ 周りの家と比べると、すごく大きい ・ 左に学校があるので、それと比べると相当大きいこと がわかる (ここで学区域地図と比較する) イ 事実を確認する ・ 大仙古墳(仁徳天皇のお墓と言われている) ・ 大阪府堺市にある ・ 1600年くらい前に造られた(5世紀後半) ・ 高さ:35m (8階建ての建物―CSKとほぼ同じ) ・ 縦:800m 横:630m (ほぼ学区域を覆ってしまう)学習問題
こんなに大きな大仙古墳を
「どんな人が」「何のために」「どんな方法で」
造ったのだろう
北諏訪小の学区域
A 君の家
B さんの家
大山古墳の航空写真 (資料集など)② 予想を立てる 〔個人-ノート・全体で話し合い〕 「どんな人が」 ・その時代のえらい人 ・王様みたいなえらい人 ・えらい人がなくなる前に自分で ・王様が死んだ後に、子どもや家来が 「何のために」 ・だれにもこわされないように大きくした ・ここに、こんなにえらい人がいたことを、後の世に示すため ・たくさんの人を働かせることで、自分の大きな力を示すため ・大きい方が、後の世の人がえらいと思うから、大きさを競って作った ・どこにうめてあるか、さがすのが大変なように 「どんな方法で」 ・たくさんの人を働かせ、何年もかかって造った ・機械はないから、馬や牛を使って重いものを運んだ ・あれだけ大きいと、みんなで協力しないと完成しない ・近くだけだと材料も足りないから、遠くから取り寄せたものもある ・大きいのに、形がきれいだから、進んだ技術も使った
〔第2・3 時〕
資料から読み取ったり考えたりしたことをワークシートにまとめる。
① 大仙古墳について3つのことを調べながら予想を確かめる。
〔個人-ワークシート〕
《児童の作品から抜粋》
《大きさからわかること》
古墳は各地の王や豪族を ほうむるために造られまし た。当時の王や豪族は、大き な古墳を造ることによって、 力の大きさを示したと考え られます。このことから、日 本一大きい大仙古墳は、とて も力が大きい人が造ったと 考えられます。《造り方からわかること》
多くの人を動かし、渡来人たちの優れた技術を使え る冨と権力をもった大王が現れたことがわかります。《出てきた物からわかること》
古墳の石室や石棺には、死者が安らかに眠られるように多くの品々が納められていました。 その品々からは、王や豪族たちの力の大きさや大陸とのつながりがわかります。〔第4時前半〕
調べたことや友達の考えなどをもとに、大仙古墳が造られたことについて考えをま
とめる。
・ 今回調べたこの大仙古墳は、色々な品々や、作り、大きさから見ると,「みんなに尊敬さ れ、大きな権力を持った大王」が作りあげたのだと私は思います。住民の人々も、大王の ためにこんなにも大きな古墳を作り上げたことをとても喜んだと思います。「自分で造っ たこの古墳は、自分のためにある」と考えて造ったのではないかと感じました。まだ米作 りが伝わってきて間もない時代に、これだけの物を作る人間はとてもすごいと思いました。 ・ すぐれた技術を持った渡来人をやとうことができて、多くの人々を動かすことができる人 なので、勢力争いの中で、自分の方がえらくて力が強いことを示すために、より大きな古 墳を作らせたのだと思います。はにわは、死者の家来のかわりなので、死んだ後のことも 考えてもらえるような人ということもわかりました。たくさんの人々を働かせておきなが ら、自分がまったく仕事をしない人ではないと思います。でも、15年間も働かされるの はいやだと思いました。 ・ 大仙古墳はたくさんの人が造ったのだけれど、造っている人たちは「もうこんなことやり たくない」「やめてしまいたい」と思っていたのか、「この人のためならあきらめないぞ」 「がんばって続けるぞ」と思っていたのか、どっちなのかなと思いました。「がんばるぞ」 と思っていたのなら、お墓に入っている人は、みんなから尊敬されていたんだと思います。 もし、「やめたい」と思っていたなら、その反対かもしれないけれど、尊敬されていたと しても仕方がないくらい大変だったのだと思います。私がこの時代にいたら、絶対にやり たくないけれど、このお墓に入った人が喜んでくれるのならがんばったと思います。 ・ 私は、古墳の大きさを知り、よくこんなに大きな古墳を造ったなあと感心しています。今 でさえも大変な工事なのに、クレーンもない昔に、しかもたった一人のために、すごいこ とを考えるとびっくりしました。それに中心の人が「造るぞ」と言ったら本当に造ってし まうというのは、その人の権力がとても強いということが分かりました。この他にも、権 力が強いことを示すものがあります。はにわです。はにわは、古墳のまわりにたくさん並 んでいて、はにわを家来だと考えると、家来がたくさんいたことも想像できるからです。 でも、大王はえらいと思います。それは権力を見せびらかすことで争いをさけていると思 えるからです。きちんと平和のことを考えているのではないかと思っています。 ・ 大仙古墳を造らせた人は、とても大きな力を持っていて、それを他の人々に伝えていくた めに古墳を作らせていた子たがわかりました。古墳を造らせていた人は自分のお墓がどん どんできていくのを見ているだけなのでいいと思うけれど、古墳を造っている人たちはと ても大変だったと思い ます。でも、いくら大変 でもやめることができ ないのは、それだけ造ら せていた人の力が大き かったのだからすごい と思います。でも、他の むらやくにと戦って勝 ち残ったからえらい人 になるよりも、他の人の ことも考えられるやさ しい人がえらい人にな る方が、人々の苦労は減 ったと思います。
・ こんな大きな古墳を造るなんて言った大王の、実際に造る人の側に立って物事を考えて欲 しいです。大君は造っている間もぜいたくして暮らせるけれど、造っている人たちは貧し い人たちだから生活は大変だったろうなと思いました。米作りの時代よりも技術が進んだ と思います。時代が進んでいくことで、身分の差や富の差が大きく開いていくと思います。 ・ ここまでして、自分の権力や存在をアピールするなんて、自己中心的で欲張りな人だった んだと思います。しかも、こんな大きなお墓に自分ひとりだけで入るなんて、ひどいと思 います。この頃から人間の欲がでてきたのだと思います。衣食住だけでなく、「力を求め、 人を従えさせる」など良くないと思います。自分たちの生活が良くなっていくことで「も っと楽がしたい。もっと力が欲しい」など、やましい心が生まれたのだと思います。 ・ 縄文や弥生、そして古墳が造られた時代の生活の変化を調べると、どれも中国や朝鮮から 来た渡来人がいたからこそ進歩したことなんだなと思いました。その頃は何よりも渡来人 の力が必要で、渡来人を味方につけた人が自分の力を見せつけるために大きな古墳を造れ たのだと思います。でも、その渡来人はどうやって技術を進歩させたのだろう。 〔第4時後半〕