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アフリカツメガエル一次造血期の赤芽球分化を制御するXalas2遺伝子の役割

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Academic year: 2021

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Role of Xalas2 in Regulating Erythroblast

Differentiation during Primary Hematopoiesis

in Xenopus laevis

著者

小川 朝子

発行年

2016

その他のタイトル

アフリカツメガエル一次造血期の赤芽球分化を制御

するXalas2遺伝子の役割

学位授与大学

筑波大学 (University of Tsukuba)

学位授与年度

2015

報告番号

12102甲第7741号

URL

http://hdl.handle.net/2241/00143423

(2)

氏名 小川 朝子 学位の種類 博 士(生物科学) 学位記番号 博 甲 第 7741 号 学位授与年月日 平成 28年 3月 25日 学位授与の要件 学位規則第4条第1項該当 審査研究科 生命環境科学研究科

学位論文題目 Role of Xalas2 in Regulating Erythroblast Differentiation during Primary Hematopoiesis in Xenopus laevis

(アフリカツメガエル一次造血期の赤芽球分化を制御するXalas2遺伝子の役割) 主査 筑波大学准教授(連携大学院) 博士(理学) 栗崎 晃 副査 筑波大学教授 学術博士 橋本 哲男 副査 筑波大学教授 博士(理学) 中田 和人 副査 筑波大学教授 工学博士 王 碧昭 論 文 の 要 旨 脊椎動物では、造血幹細胞が全ての血液細胞を産生する。胎児期にこの造血幹細胞を作り出 すのは、卵黄嚢に局在するヘマンジオブラストである。ヘマンジオブラストは造血幹細胞とと もに、初期の赤芽球やマクロファージ、血管内皮細胞も産生する。このシステムは一次造血と 呼ばれる一過性の胎児期の造血機構であり、その後、造血は肝臓に局在する造血幹細胞を起源 として成体後も継続する二次造血に置き換わる。哺乳類や鳥類、両生類、硬骨魚類の一次造血 では、ヘマンジオブラストでGata や Scl などの主要な転写因子が発現し、さらに、これらの転 写因子のターゲットとなる胎児型グロビン遺伝子群が発現することで赤芽球の分化が進む。し かし、脊椎動物においてヘマンジオブラストから赤芽球に分化するメカニズムについてはあま り解明が進んでいない。そこで本研究では、初期発生の詳細な解析が容易なアフリカツメガエ ル初期胚を用いて、この一次造血分化特異的に発現する遺伝子をマイクロアレイを用いて探索 した。その結果、ヘム合成酵素の一つであるアミノレブリン酸合成酵素遺伝子(Xalas2)を同 定した。本研究では、Xalas2 遺伝子の機能解析を行うことで、両生類一次造血期における赤芽 球への分化機構を明らかにすることを目的として研究を行った。 Xalas2 をクローニングしたところ、ヒト、マウス、ゼブラフィッシュと同様に 5'末端のプレ シークエンスに続き、ヘム結合配列である CP モチーフが存在することから、細胞質もしくはミ トコンドリアでヘムと結合する可能性が示唆された。また、アミノレブリン酸合成の触媒配列 は哺乳類との相同性が高く、合成酵素の機能は両生類でも保存されていると考えられた。 アフリカツメガエルは偽 4 倍体動物のため、多くの場合各遺伝子に a と b の2種類の遺伝子 配列が存在する。RT-PCR 解析により、Xalas2a は一次造血が起きる初期神経胚で発現し、その 後発生とともに徐々に上昇するが、一方、Xalas2b は発現開始が遅く、二次造血後の幼生で発 現上昇が確認された。また、whole mount in situ hybridization 解析により、Xalas2 は、初

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期神経胚では前方中胚葉で、後期神経胚ではヘマンジオブラストで、尾芽胚では腹側血島で発 現することが明らかとなった。これらの時期特異的発現パターンは、神経胚で発現する血球初 期転写因子Scl や、尾芽胚で発現する赤血球構造タンパク hba3 と一致しており、Xalas2 は一 次造血の初期から後期まで造血細胞特異的に発現することが判明した。 次に、一次造血でのXalas2 の機能を検証するため、Xalas2 の翻訳阻害実験を行った。8 細胞 期のXalas2-MO 注入条件により、ヘマンジオブラスト特異的に Xalas2 タンパク質を翻訳阻害す ると血島でScl の発現遅延が観察され、赤芽球前駆細胞特異的に翻訳阻害すると、血島で Scl 発現の一部が減少し、hba3 発現の消失が観察された。また、ヘモグロビンを検出する o-dianisidine 染色で陽性細胞が検出されないことから、Xalas2 は一次造血期に赤芽球前駆細 胞(血島)でhba3 の発現の維持と、ヘムとグロビンの複合体形成に必須であることが判明した。 次にこれらの現象が、ヘム合成不全による 2 次的影響か、Xalas2 遺伝子自体の機能欠損によ る影響かさらに検証した。ヘム合成の第2反応酵素阻害剤であるサクシニルアセトン処理によ り、ヘム合成をXalas2 遺伝子とは別経路で阻害したところ、Xalas2 翻訳阻害の結果とは異な り、ヘマンジオブラスト、赤芽球前駆細胞におけるScl や Gata1、Gata2、hba3 の発現も正常で あった。一方、ヘモグロビン自体は、サクシニルアセトンの濃度依存的に消失したことから、 Xalas2 翻訳阻害による一次造血期における赤血球への分化マーカーの発現消失は、ヘム合成阻 害によるものではなく、Xalas2 自体の機能阻害によるものであると考えられた。また、幼生期 血球のギムザ染色解析では、コントロール群では細胞サイズの小さな成熟型が 60-70%と多数を 占め未熟型が少数であったが、Xalas2 翻訳阻害胚の赤芽球は、未熟型赤芽球が 60%以上存在し、 実際に赤芽球分化が阻害されていた。一方、サクシニルアセトン処理群では、成熟型赤血球が 90%以上存在し、赤芽球分化自体には異常がないことが判明した。さらに、GFP で赤芽球を標識 したライブイメージング解析からXalas2 翻訳阻害とサクシニルアセトン処理群では血球数が 著しく減少していたことから、Xalas2 翻訳阻害とサクシニルアセトン処理によるヘム合成阻害 は異なる表現型を示し、一次造血においてXalas2 はヘム合成とは異なる機構で独立して赤芽球 分化を制御していることを見出した。 審 査 の 要 旨 本研究は、二次造血に比較して理解が遅れている脊椎動物の一次造血のヘマンジオブラスト から赤芽球に分化するメカニズムについて検討を行ったものである。アフリカツメガエル初期 胚を用いて一次造血分化過程で特異的に発現する遺伝子を探索し、ヘモグロビン合成酵素の一 つであるXalas2 を同定した。さらに、Xalas2 が実際に赤芽球分化を制御する Scl や hba3 の発 現を特異的に制御することを明らかにした。本研究では、一次造血における赤芽球分化の新規 制御因子を見出すことで、発生期の赤芽球分化の新たな制御機構の存在を示唆したものであり、 発生期の造血システムを理解する上で重要な知見になると評価された。 平成28年2月2日、学位論文審査委員会において、審査委員全員出席のもとに論文の審査 及び最終試験を行い、本論文について著者に説明を求め、関連事項について質疑応答を行った。 その結果、審査委員全員によって合格と判定された。 よって、著者は博士(生物科学)の学位を受けるのに十分な資格を有するものとして認める。

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