7.4 悪臭
(1)調査
ア 調査方法
(ア)調査項目
調査項目を表7.4-1に示す。
表7.4-1 悪臭の調査項目
調査項目 文献その他の
資料調査 現地調査
悪臭の状況
臭気指数 - ○
特定悪臭物
質
濃度
アンモニア、メチルメルカプタン、硫化
水素、硫化メチル、二硫化メチル、トリ
メチルアミン、アセトアルデヒド、プロ
ピオンアルデヒド、ノルマルブチルアル
デヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマ
ルバレルアルデヒド、イソバレルアルデ
ヒド、イソブタノール、酢酸エチル、メ
チルイソブチルケトン、トルエン、スチ
レン、キシレン、プロピオン酸、ノルマ
ル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草酸
- ○
気象の状況 風向・風速、気温、湿度 - ○
(イ)調査地域
調査地域は、事業実施区域及びその周辺とした。
(ウ)調査方法
a 悪臭の状況
(a)現地調査
ⅰ 調査期間
調査期間を表7.4-2に示す。
表7.4-2 悪臭の調査期間
調査項目 調査期間
悪臭の状況 平成24年7月24日(火)
気象の状況 平成24年1月1日(日)~12月31日(月)(通年)
ⅱ 調査地点
調査地点は、事業実施区域の敷地境界2地点とし、調査時において、風上、
風下となる地点とした。調査地点を図7.4-1に示す。
ⅲ 調査方法
調査方法を表7.4-3に示す。
表7.4-3 悪臭の調査方法
調査項目 調査方法
悪臭の状況
・臭気指数:三点比較式臭袋法
試料採取時の天候、風向、風速、気温、湿度も記録する。
・特定悪臭物質濃度:「特定悪臭物質の測定方法」(昭和47年
5月 環境庁告示第9号)に準拠した方法
気象の状況 「地上気象観測指針」(平成14年 気象庁)に準拠した方法
b 気象の状況
(a)現地調査
調査方法は、
「7.1 大気質(1)調査」に示したとおりとした。
凡 例
事業実施区域
行政区域界
悪臭調査地点
二 方 町
玉 池 町
0 25m 50m 100m
N
風上
風下
この地図は、名古屋市発行の 1:2,500 都市計画基本図(平成 22 年測量)を使用したものである。
イ 調査の結果
(ア)悪臭の状況
a 現地調査
悪臭の調査結果を表7.4-4(1)、(2)に示す。臭気指数の調査結果は、風上が10
未満、風下が13であり、ともに悪臭防止法に基づく規制基準値(臭気指数15)を
下回っていた。なお、風下の値が高くなっているが、臭質をみると土臭・草臭と
なっており、特定の発生源によるものではなかった。また、特定悪臭物質濃度は、
すべて定量下限値未満の値となっていた。
表7.4-4(1) 悪臭調査結果(臭気指数等)
試験の項目 単位 調査結果
風上 風下
悪臭の状
況
臭気指数 ― 10未満 13
臭 質 ― ― 土臭・草臭
試料採取
時の状況
天 候 ― 晴れ 晴れ
風 向 ― 静穏注2)
静穏注2)
風 速 m/s 1.0未満 1.0未満
気 温 ℃ 30.0 30.6
湿 度 % 58 56
注1)規制基準:15以下(敷地境界)
注2)静穏とは、風速1.0m/s未満の場合とした。ビラム式風向風速計を用いて風上、風下を判断した。
表7.4-4(2) 悪臭調査結果(特定悪臭物質濃度)
単位:ppm
項目 調査結果
風上 風下
アンモニア 0.1未満 0.1未満
メチルメルカプタン 0.0003未満 0.0003未満
硫化水素 0.002未満 0.002未満
硫化メチル 0.001未満 0.001未満
二硫化メチル 0.0009未満 0.0009未満
トリメチルアミン 0.0005未満 0.0005未満
アセトアルデヒド 0.005未満 0.005未満
プロピオンアルデヒド 0.005未満 0.005未満
ノルマルブチルアルデヒド 0.003未満 0.003未満
イソブチルアルデヒド 0.003未満 0.003未満
ノルマルバレルアルデヒド 0.003未満 0.003未満
イソバレルアルデヒド 0.003未満 0.003未満
イソブタノール 0.09未満 0.09未満
酢酸エチル 0.3未満 0.3未満
メチルイソブチルケトン 0.1未満 0.1未満
トルエン 1未満 1未満
スチレン 0.04未満 0.04未満
キシレン 0.1未満 0.1未満
プロピオン酸 0.003未満 0.003未満
ノルマル酪酸 0.0002未満 0.0002未満
ノルマル吉草酸 0.0002未満 0.0002未満
イソ吉草酸 0.0002未満 0.0002未満
(2)予測
ア 施設の供用
(ア)予測方法
a 予測事項
予測事項を表7.4-5に示す。
表7.4-5 悪臭の予測事項(施設の供用)
予測の対象となる要因 予測項目
施設からの悪臭の漏洩 臭気指数、特定悪臭物質濃度
b 予測対象とした処理方式
特定の処理方式を対象とせず、各処理方式共通の予測を行った。
c 予測地域
予測地域は、事業実施区域周辺とした。
d 予測対象時期
予測対象時期は、計画施設の稼動が定常の状態となる時期とした。
e 予測方法
施設の供用に伴う悪臭の予測は、事業計画に基づく環境配慮事項とともに、同
様の悪臭防止対策を行っている類似施設における測定事例を基に、定性的に予測
した。
類似施設における測定事例として、名古屋市内の類似施設における悪臭調査結
果を使用した。類似施設は、計画施設と処理能力や工場棟から敷地境界までの距
離が近似している猪子石工場及び五条川工場とした。類似施設の調査結果を表7.4
-6に、類似施設の配置及び調査地点を図7.4-2に示す。
なお、類似施設においては、計画施設と同様に次に示す悪臭対策を実施してい
る。
・ごみピットやプラットホーム内は常に負圧に保ち、臭気の外部への漏洩を防
ぐとともに、吸引空気は、燃焼用空気に使用し臭気の熱分解を図る。
・ごみピットには投入扉を設け、ごみ投入時以外は閉じておく。
・休炉時対応に脱臭装置を設置する。
・プラットホームの入口にエアーカーテンを設置することにより臭気の漏洩を
防止する。
[類似施設の悪臭対策]
表7.4-6 類似施設の悪臭調査結果
調査項目 単位 猪子石工場 五条川工場
臭気指数 ― 10未満 10未満
特
定
悪
臭
物
質
アンモニア ppm 0.3 0.1
メチルメルカプタン ppm 0.0002 <0.0001
硫化水素 ppm <0.0005 <0.0005
硫化メチル ppm <0.0001 <0.0001
二硫化メチル ppm <0.0003 <0.0003
トリメチルアミン ppm <0.0001 <0.0001
アセトアルデヒド ppm 0.008 0.003
プロピオンアルデヒド ppm <0.002 <0.002
ノルマルブチルアルデヒド ppm <0.001 <0.001
イソブチルアルデヒド ppm <0.0009 <0.0009
ノルマルバレルアルデヒド ppm <0.002 <0.002
イソバレルアルデヒド ppm <0.0005 <0.0005
イソブタノール ppm <0.01 <0.01
酢酸エチル ppm <0.3 <0.3
メチルイソブチルケトン ppm <0.2 <0.2
トルエン ppm <0.9 <0.9
スチレン ppm <0.03 <0.03
キシレン ppm <0.1 <0.1
プロピオン酸 ppm <0.005 <0.005
ノルマル酪酸 ppm <0.0002 <0.0002
ノルマル吉草酸 ppm <0.0002 <0.0002
イソ吉草酸 ppm <0.0002 <0.0002
注)調査日 猪子石工場:平成24年8月27日
五条川工場:平成24年8月31日
試料採取位置:敷地境界風下
出典:「猪子石工場の維持管理状況(平成24年度)」(名古屋市ホームページ)
「五条川工場の維持管理状況(平成24年度)」(名古屋市ホームページ)
猪子石工場
五条川工場
工場棟
管理棟
管理棟
工場棟
:調査地点
0
0 50m 50m
(イ)予測結果
計画施設では、類似施設と同様な悪臭防止対策を講じることから、類似施設の調
査結果と同等の悪臭の状況になると考えられる。類似施設の調査結果(項目ごとの
最大値)を予測結果として、事業実施区域に適用される規制基準値を対比して表7.4
-7に示す。臭気指数は10未満で、敷地境界において規制基準値(臭気指数15)を下
回ると予測する。なお、特定悪臭物質濃度についても十分に小さい値と予測する。
表7.4-7 類似施設の調査結果に基づく悪臭予測結果
調査項目 単位 予測結果 事業実施区域に適用
される規制基準値
臭気指数 ― 10未満 15
特
定
悪
臭
物
質
アンモニア ppm 0.3
メチルメルカプタン ppm 0.0002
硫化水素 ppm <0.0005
硫化メチル ppm <0.0001
二硫化メチル ppm <0.0003
トリメチルアミン ppm <0.0001
アセトアルデヒド ppm 0.008
プロピオンアルデヒド ppm <0.002
ノルマルブチルアルデヒド ppm <0.001
イソブチルアルデヒド ppm <0.0009
ノルマルバレルアルデヒド ppm <0.002
イソバレルアルデヒド ppm <0.0005
イソブタノール ppm <0.01
酢酸エチル ppm <0.3
メチルイソブチルケトン ppm <0.2
トルエン ppm <0.9
スチレン ppm <0.03
キシレン ppm <0.1
プロピオン酸 ppm <0.005
ノルマル酪酸 ppm <0.0002
ノルマル吉草酸 ppm <0.0002
イソ吉草酸 ppm <0.0002
(3)評価
ア 評価方法
(ア)環境影響の回避・低減に係る評価
環境影響が、事業者により実行可能な範囲内でできる限り回避・低減されている
かどうかについて評価した。
(イ)環境保全に関する基準等との整合性に係る評価
環境影響の予測結果を踏まえて、環境保全に関する基準等との整合性が図られて
いるかどうかについて評価した。
イ 環境保全措置
施設の供用において、環境影響を実行可能な範囲内でできる限り回避低減するた
めに実施する環境保全措置を表7.4-8に示す。
表7.4-8 環境保全措置(施設の供用)
環境保全に関する措置 事業
主体
効果及び措置によ
る環境の変化
不確実性
の程度
措置に伴い生
ずるおそれの
ある影響
廃棄物等運搬車両については、ご
み投入後必要に応じて洗車を行
ってから退出する。
事業者 悪 臭 の 影 響 の 低 減
が期待できる。
小 さ い と
考える。
特になし。
脱臭装置の維持管理を徹底し、悪
臭防止に努める。
事業者 悪 臭 の 影 響 の 低 減
が期待できる。
小 さ い と
考える。
特になし。
ウ 評価結果
(ア)環境影響の回避・低減に係る評価
施設の供用に伴う悪臭は、ごみピットに投入扉を設置することや、ごみピットや
プラットホーム内を負圧に保ち、吸引した空気を燃焼用空気として使用し熱分解を
図るなどの悪臭対策を講じることにより低減される。また、同様の悪臭対策を実施
している類似施設の調査結果でも、臭気指数は10未満であり、特定悪臭物質につい
ても十分に小さい値であることから、環境影響の程度は小さいと判断する。
さらに、環境保全措置を実施することから、悪臭に係る環境影響が、事業者の実
行可能な範囲内でできる限り回避・低減が図られている。
(イ)環境保全に関する基準等との整合性に係る評価
計画施設の敷地境界における臭気指数は10未満となり、悪臭防止法の規制基準15
を下回る。また、特定悪臭物質濃度についても十分に小さい値であることから、悪