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コバヤシ小 ケンイチ 林謙一 共同研究者 Filip Braet ( シドニー大学准教授オーストラリア顕微鏡微量解析センター ( Australian Centre for Microscopy & Microanalysis) 副センター長 ) 略歴 2002 年 3 月京都大学大学院農学研究科応

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Academic year: 2021

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(1)

コバヤシ

林 謙

ケンイチ

略 歴 2002年 3月 京都大学大学院農学研究科  応用生命科学専攻 修士課程修了 2005年 4月 日本学術振興会特別研究員 (DC2)(京都大学) 2006年 3月 京都大学大学院農学研究科  食品生物科学専攻  博士後期課程修了 2005年 4月 日本学術振興会特別研究員(PD) (青山学院大学) 2006年 4月 東京農業大学応用生物科学部 生物応用化学科 助教 (現在に至る) 2011年 5月 シドニー大学  オーストラリア顕微鏡微量解析センター 客員研究員(2012年3月まで) 共同研究者

Filip Braet

(シドニー大学 准教授 オーストラリア顕微鏡微量解析センター (AustralianCentreforMicroscopy&Microanalysis) 副センター長)

CLEM 法を用いた蛍光標識ポリフェノールの細胞内動態解析

Kinetic analysis of intracellular fluorescence labeling

polyphenol by CLEM method

Corrlative light and electron microscopy (CLEM) is an approach that integrates two informations from light and electron microscopy, which is used as powerful imaging tool in the field of medical and pharmaceutical sciences. We thought that CLEM can be applied to a tool not only for pharmacokinetics but also “Nutrakinetics” (kinetics of functional food constituents).

Oleuropein and hydroxytyrosol, the major polyphenols present in olive leaf and oil, are known to possess a high antioxidant and anticancer capacity. However, the details of anticancer activity of these polyphenols and the uptake and localization of hydroxytyrosol in cancer cells are unknown.

The aim of this study was to investigate the effect of hydroxytyrosol on cell viability of colorectal cancer cell (Caco-2) and to analyze the localization of hydroxytyrosol conjugated to fluorescein isothiocyanate (FITC) in Caco-2 using CLEM method.

Caco-2 cell was treated with hydroxytyrosol, and then cell viability was identified by MTT assay. As a result, hydroxytyrosol induced cell death which may result from apoptosis and autophagy.

Furthermore, hydroxytyrosol was conjugated with FITC via the alcoholic hydroxyl group. Caco-2 cells were cultured on glass bottom dishes, and then incubated with 250 µM FITC conjugated hydroxytyrosol (FITC-HT) for 24 hours and subsequently labelled with LysoTracker

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Red (Lysosome marker) and Hoechst 33342 (Nuclei marker) before imaging on the Olympus FV1200 Laser confocal microscope. As a result, FITC hydroxytyrosol was detected in the lysosome but not in the nuclei of Caco-2. Additionally, CLEM was performed using Caco-2 cells treated with FITC-HT and LysoTracker. As a result, primitive imaging data was obtained

In this study, we concluded that cellular imaging using fluorescent labeled food compounds is a powerful tool to evaluate the effect of functional food constituents.

はじめに

  CLEM 法とは、Corelative Light and Electron Microscopyの略で、日本語で言うと光学―電子 線相関顕微鏡解析法といい、同一の細胞を光学(蛍光)顕微鏡と電子顕微鏡の 2 種類の顕微鏡で観 察して、最終的には重ね合わせた像を得て解析する方法である。それによって、特定分子の細胞内挙 動や細胞内での超構造変化を詳細に捉えることが可能であることから、医学、薬学分野を中心に進歩 を遂げてきた。しかし、これまでCLEM 法は、操作過程の段階で細胞構造が変化することから、両画像 の再配置をすることが非常に難しい方法で、かつコストがかかる方法であった。Kobayashiらは、これま でに簡便でかつ低コストで実施できるCLEM 法を確立してきた1)。また、抗癌剤であるシスプラチンを蛍 光物質で標識し、実際にこの方法に供した結果、リソソームに蛍光標識されたシスプラチンがリソソーム に取り込まれている画像を得ることにも成功した。また、三次元電子顕微鏡画像(トモグラフィー)画像の 取得をおこない、シスプラチンが取り込まれたリソソームの膜構造およびその近傍の細胞内小器官の膜 構造の立体的イメージングに成功した1)2)。この方法論は、薬物動態の解析手法のみならず、機能性 食品成分の細胞内動態の追跡する為のツールとして応用できると考えられる。  そこで、本研究では、機能性食品成分としてオリーブ葉ポリフェノールであるオレウロペインとその分解 産物であるヒドロキシチロソールに着目した。オリーブ(Olea europea)は、古来より地中海世界の食生 活の中心的な食品素材として利用されてきた。しかし、利用されるのはもっぱら実の部分であり、葉部は ほとんど利用されることがなかった。近年、このオリーブ葉が、食品素材として注目を集めている。それは、 オリーブ葉の抽出エキスに、血糖降下作用3)、抗高血圧作用4)、抗酸化作用5)など生体における機能 性が報告され始めてきたからである。加えて、kobayashiらは、爆砕オリーブ葉粉末に、脂質の吸収およ び胆汁酸の再吸収促進作用があることを見出している6)7)。また、オリーブ葉よりポリフェノールであるオ レウロペインが発見され、それが機能性の本体であると考えられている。加えて、オレウロペインが、褐色 脂肪細胞における熱産生を亢進させる機能を有する8)ことも明らかとなっている。また、近年、オレウロペ インが細胞内へ取り込まれず、代謝産物であるヒドロキシチロソールが取り込まれて、機能を発揮してい るとの報告もある。しかし、いずれの分子についても、細胞内の取り込みについて詳細なことは不明であ る。一方、多くのポリフェノール類が、大腸癌細胞の抗癌様作用が最近多く報告されたことから、オリー ブ葉ポリフェノールにも類似の効果を有するものと推察される。しかし、そのことを明らかにした研究は現 在のところない。  そこで本研究課題では、オリーブ葉ポリフェノールが大腸癌モデル細胞の細胞死に及ぼす影響を検 討するとともに、CLEM 法による細胞内での動態の解析を行うことと目的とした。

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実験方法 1)大腸癌モデル細胞を用いた細胞生存及び細胞死機構の解析  オリーブ葉ポリフェノールであるヒドキシチロソールが大腸癌モデル細胞 Caco-2 細胞の細胞生存に及 ぼす影響を検討する目的で、MTT Assay 法を用いて検討を行った。 2)蛍光標識オリーブ葉ポリフェノールの蛍光顕微鏡を用いた細胞内動態解析   Caco-2をFITC-HT で処理後、細胞内小器官マーカー(核マーカー(Hoechst 33342)、リソソーム マーカー(LysoTracker Red)と反応させ、細胞内に取り込まれたヒドロキシチロソールの細胞内局在 性について検討した。 3)CLEM 法  細胞の位置を容易に確認可能なカーボンコーティングディッシュにCaco-2を播種して、培養した後に、 FITC-HT で24 時間処理後、リソソームマーカー(LysoTracker Red)と反応させた、生細胞イメージ ングを行った。その後、直ちに電子顕微鏡用の固定および包埋を行い、観察部位のみの透過型電子 顕微鏡観察を実施し、生細胞イメージング画像と電子顕微鏡画像の重ね合わせを行い、CLEM 画像 の取得をおこなった。 結果と考察 1)ヒドロキシチロソールが大腸癌モデル細胞における細胞生存に及ぼす影響  ヒドロキシチロソールに関しても、オレウロペイン同様に、24時間反応させた場合、500μM 以上で濃度 依存的に細胞生存率が減少していた。また、48 時間反応させた場合では、250μM 以上で、濃度依存 的に細胞生存率が減少していた(Fig. 1)。  上記の結果より、ヒドロキシチロソールには、大腸癌細胞死を誘導する効果があることが確認された。 そのメカニズムとして、アポトーシスとオートファジーの両機構が関与している可能性を想定しており、継続 した検討を実施中である。   Fig.1 MTT Assayを用いた細胞生存率の測定 Caco-2細胞にヒドロキシチロソールを0、250、500、1000μM 添加し24時間後、48時間反応後、MTT Assayによって細胞 生存率を測定した (異符号間で有意差あり、p<0.01、n=6)

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2)蛍光標識オリーブ葉ポリフェノールを用いた細胞内動態解析  本研究ではオリーブ葉ポリフェノールの蛍光標識化に着手した。まず、オレウロペインの蛍光標識化に 着手しようと試みたが、化学構造の複雑さと水酸基の数の多さなどから断念した。しかし、ヒドロキシチ ロソールは、オレウロペインの代謝産物であり、オレウロペインと同等それ以上の機能活性を有するという こと、化学構造が単純でフェノール系水酸基の他、カルボキシル基も存在し蛍光標識が容易であると 考えた。そこで、HT のアルコール性水酸基をフルオロセインイソシアネート(以下 FITC)で標識した FITC-HT の作製に着手した(Fig. 2)。この FITC-HT の薬理活性を検討したところ、残念ながら細 胞生存率の顕著な現象を認めるには至 らず、HTと同様の薬理活性を保持して いないことが明らかとなった(データは示 さず)。   FITC-HT の Caco-2 細胞における 細胞内局在性を検討した結果、FITC-HT を 250μM の濃度で処理すると、 Caco-2 細胞に取り込まれること、核には 局在せず、リソソームにおいて一部局在 することが確認された(Fig. 3)。しかし、 リソソームに局在していた FITC-HT は 一部にとどまっていた結果を踏まえると、 他の細胞内小器官への局在も考えられ るので、今後検討していく予定である。   H a n らは 、F I T C で 標 識した epigallocatechin-3-O-gallateを作製 (FITC-EGCG)し、L929 細胞に反応 させた結果、FITC-EGCG が核内に移 行することを見出している9 )。この知見 と本結果を合わせて考えると、FITC 標 識化合物は、標識された物質によって、 細胞内局在性が異なることを示唆してお り、本来の物質の細胞内局在性を反映 していることは十分考えられる。 3)CLEM 法による蛍光標識オリーブ葉ポリフェノールの細胞内追跡  本結果より得られた、FITC-HT のリソソームへの局在が、リソソームの内側に局在しているのか、 外側の部分に局在しているのかを判別することはできない。それは、光学顕微鏡観察では、解像度が 200μm であることから考えると、正確に区別することはできないためである。また、光学顕微鏡レベルで の、染色技法では、リソソーム以外の小器官も染めてしまうアーチファクトも考えられ、電子顕微鏡観察に よって構造的にリソソームと判定することが最も確実である。そこで、CLEM 法での観察を試みた。その Fig.2 標識ヒドロキシチロソール(FITC-HT)の化学構造 Fig.3 FITC-HT の細胞内局在性の検討(リソソームへの局在性) Caco-2 細胞に、FITC-HTを 0 、250µM 添加し、24 時間反 応後、Lyso Tracker(赤色)及び、Hoechst33342(青色) で染色し、共焦点レーザー顕微鏡で観察した

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結果、完全に精細な画像とは言えないが、リソソームに局在しているFITC-HT の画像を得ることが できた。  ただ、まだ予備的結果にとどまっているので、より詳細な条件検討を行いつつ、精細な画像化に努め ていきたいと考えている。 結 語  本研究の最大の目的は、「同一細胞を用いて光学顕微鏡観察と透過型電子顕微鏡観察を組み合わ せて観察する光学 - 電子線相関顕微観察法(Correlative Light Electron Microscopy;CLEM 法) で、食品の機能性成分の細胞内動態解析を行うことができるようにすること」である。  具体的には、オリーブ葉ポリフェノールであるヒドロキシチロソールに着目し、大腸癌由来培養細胞であ るCaco-2 細胞に及ぼす影響を検討するとともに、蛍光標識化したヒドロキシチロソールを用い、細胞内 動態の追跡を試みた。  その結果、ヒドロキシチロソールが、Caco-2 細胞の細胞死を誘導すること、そのメカニズムがアポトー シス、オートファジーの両機構が関与している可能性を見出した。また、ヒドロキシチロソールの蛍光標識 化に着手し、合成に成功した。この分子のCaco-2細胞内での局在性を検討したところ、一部リソソーム に局在することを見出した。また、プリミティブな画像ながら、CLEM 画像の取得にも成功した。  近年、質量分析技術が飛躍的に進展し、質量顕微鏡なども登場し、特定分子の挙動を追跡すること は可能になってきたものの、解像度の問題や、生細胞のモニタリングはできないなどの欠点がある。この ことを踏まえると、蛍光標識機能性食品成分を用いた CLEM 法は、生細胞での動的挙動を追跡するこ とも可能であり、機能性食品成分の新規機能性を評価するうえで、有用であると考えている。本結果は、 このことを証明する端緒を開いたものと考える。 謝 辞  本研究を遂行するにあたり、公益財団法人アサヒグループ学術振興財団の助成を賜りましたことを 深謝いたします。 引用文献

1) Kobayashi K, Cheng D, Huynh M, Ratinac KR, Thordarson P, Braet F. Imaging fluorescently labeled complexes by means of multidimensional correlative light and transmission electron microscopy: a practical approach. Methods Cell Biol, 111, 1-20 (2012)

2) K.A. Jahn, D.A. Barton, K. Kobayashi, K.R. Ratinac, R.L. Overall, F. Braet. Correlative microscopy: providing new understanding in the biomedical and plant sciences. Micron, 43, 565-582. (2012)

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3) Al-Azzawie HF, Alhamdani MS., Hypoglycemic and antioxidant effect of oleuropein in alloxan-diabetic rabbits. Life Sci.,78 (12):1371-7. (2006)

4) Zarzuelo A, Duarte J, Jiménez J, González M, Utrilla MP., Vasodilator effect of olive leaf.

Planta Med. 57: 417-9 (1991)

5) Somova LI, Shode FO, Ramnanan P, Nadar A., Antihypertensive, antiatherosclerotic and antioxidant activity of triterpenoids isolated from Olea europaea, subspecies africana leaves.,

J Ethnopharmacol. 84: 299-305 (2003) 6) 小林 謙一:新しいアプローチから見た食品機能性成分の動態研究 ,日本食生活学会誌 21. 17-23 (2010) 7) 小林 謙一、夏川 大、尾形 明日美、高田 恭輔、室田 友紀子、綿谷 鮎子、寺本 明子、 牧 恒雄、山本 祐司、田所 忠弘:爆砕処理オリーブ葉粉末による脂肪吸収および胆汁酸再 吸収の促進効果 , 日本食生活学会誌 , 20, 121-126 (2009)

8) Oi-Kano Y, Kawada T, Watanabe T, Koyama F, Watanabe K, Senbongi R, Iwai K; Oleuropein, a phenolic compound in extra virgin olive oil, increases uncoupling protein 1 content in brown adipose tissue and enhances noradrenaline and adrenaline secretions in rats. J Nutr Sci

Vitaminol (Tokyo). 54(5): 363-70 (2008)

9) Han DW, Matsumura K, Kim B, Hyon SH, Time-dependent intracellular trafficking of FITC-conjugated epigallocatechin-3-O-gallate in L-929 cells.

参照

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