マスコミ論⑥
2010 年 11 月 15 日通信メディア
1. 通信市場の概要 (1) 市場規模
① 電気通信事業者:2010 年4月、15,250 社
うち7割はインターネットサービス事業者(Internet service provider) ② 電気通信の市場規模 1995 年:10.6 兆円→2001 年:16.7 兆円( 携帯電話:2007 年で 9 兆 1,383 億円 電気通信事業者数の推移 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 18000 1985 年 1987 年 1989 年 1991 年 1993 年 1995 年 1997 年 1999 年 2001 年 2003 年 2005 年 2007 年 2009 年 事業者 15,250 87 10,521 各年の4月1日現在 電気通信の市場規模 0 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 億円 固定電気通信 移動電気通信 (2) 企業グループと収益構造 電気通信大手の連結決算(2010 年3月期) グループ名 売上高(億円) 営業利益(億円) NTTグループ KDDIグループ ソフトバンクグループ 101,813(▲2.0) 34,421(▲1.6) 27,634(3.4) 11,176(1) 4,439 4,658(29.7)
(3) 固定と携帯の関係 ① 携帯電話加入者数:1996~2004 年で3倍に、2001年に固定電話を抜く ② 発着の相手別の通話回数 1997 年度:固定発―固定着 76%、携帯発-携帯着8% 2004 年度:固定発―固定着 49%、携帯発-携帯着 29% ③ 通話のピーク時間帯 固定の多い時間帯:朝9~10 時、夜8~9時 携帯の多い時間帯:夕方5~7時、夜10~11 時 ④ 通話時間 携帯-携帯:92 秒、固定-固定:154 秒 →課金時間の違いか(固定市内3分、携帯数10 秒単位) 通信サービスの加入者数 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 10000 1996年 1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 万件 固定通信 移動通信 (4) 音声からデータへ 音声からデータへの流れが顕著に ① インターネット接続の拡大 ② 市場の拡大競争が激化 音声とデータ伝送の収入比率 (単位:億円) NTTグループ(通信) KDDIグループ 2000 年度 2004 年度 2000 年度 2004 年度 音声 収入 (収入比) 78,259.9 (76.6%) 73,571.7 (68.1%) 15,676.6 (68.1%) 14,051.0 (48.1%) データ 収入 (収入比) 15,343.9 (15.0%) 32,191.3 (29.8%) 2,037.6 (8.9%) 8,954.7 (30.7%) 総収入 102,234 108,059 23,011 29,200
2. 固定電話市場 (1) 電話の歴史 ① 1890 年(明治 23 年):東京-横浜で電話業務開始(手動) ② 1926 年(大正 15 年):自動電話機によるダイヤル通信開始 ③ 1952 年(昭和 27 年):電気通信省から日本電信電話公社に業務移管 ④ 自動ダイヤル接続化(1979 年3月、完了) ⑤ 国際電話:1953 年:国際電信電話株式会社(KDD)を設立 (2) 競争の導入 1985 年:電気通信事業法とNTT法を施行 ① 電電公社を民営化→NTTが発足 ② 市内回線から国際通信まで全面的競争政策を導入 →長距離3社、衛星2社の参入を認可 (3) 新規参入企業 ① 長距離3社(1985 年) ・ 第二電電(DDI):京セラ系 ・ 日本テレコム(JT):JR系 ・ 日本高速通信(TWJ):道路公団とトヨタ自動車系 ② 県内通信(1986 年) ・ 東京通信ネットワーク(TTNet):東京電力、三井物産、三菱商事 ③ 国際通信(1987 年) ・ 国際デジタル㈱(IDC):トヨタ自動車、伊藤忠商事など ・ 日本国際通信㈱(ITJ):住友商事、三井物産、三菱商事、松下電器 ④ 新規参入の競争力 KDDは価格的に競争力があった 国内通信はNTTの独占が続く (4) 新規参入企業のその後 ■ ソフトバンクグループ IDC→IDCフロンティア ITJ ソフトバンクグループに ■ KDDIグループ ① KDD+TWJ→KDD ② IDO+DDI→ブランド「au」に統一 ③ IDO+DDI→KDDI ④ KDDI+au→KDDI ⑤ KDDI+Tu-ka→KDDI ■ パワードコム
TTNet+中部テレコミュニケーション(CTC)+大阪メディアポート(O MP)→パワードコム 2006 年1月:パワードコムがKDDIに吸収合併 (5) NTT分割 NTT法:施行後5年以内にNTTの経営形態見直しを規定 ① 1988 年:NTTのデータ本部→NTTデータ ② 1993 年:移動体本部→NTTドコモ ③ 1995 年:ネットワークのオープン化 他業者がNTTのネットワーク機能を活用したサービス提供 (6) 相互接続ルールの整備 総務省の提案(NTT提案を発展) ① 市内、市外、加入回線の接続(相互接続の義務付け=ドミナント規制) ② 接続料金の格安化 ③ 基本料金の値上げ 競争の激化→市外通話の黒字で赤字補てんが困難に→基本料金引き上げ (7) NTTの再編 1989 年:通信事業を地域会社(NTT東日本とNTT西日本)に分割 長距離・国際通信会社、持ち株会社に分離 ■ 再編後のNTT 地域通信事業(NTT東日本、西日本) 長距離・国際通信事業(NTTコミュニケー NTT(日本電信電話) ションズ) 移動体通信事業(NTTドコモ) データ通信事業(NTTデータ) 分割:NTTにとってはデメリット 国際通信に参入:NTTにとってメリット (8) 通話料収入の減尐 1999 年:3 兆 8,322 億円→2002 年 3 兆 646 億円(▲20.0%) →通話料収入では経営が成り立たない ■ 市場規模の縮小の原因 ① 競争による通話料金の値下げ ② 通話時間の短縮 ③ インターネットの普及 →ISDNの加入数が増加
ISDN(Integrated services digital network) 電話とインターネットが同時に接続できるデジタル電話サービス 電話網のデジタル化により、回線交換2チャンネルと16kbps のパケット 通信が可能になる。ブロードバンド普及までの中継ぎの位置づけ 加 入 電 話 と I S D N の 収 益 の 推 移 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 35000 40000 45000 1999年 2000年 2001年 2002年 億円 I S D N ア ナ ロ グ 基 本 料 金 3 8 , 3 2 2 4 0 , 0 0 7 3 3 , 4 8 3 3 0 , 6 4 6 (9) IP電話の普及 IP電話(internet protocol) インターネットを利用した電話サービス。長距離電話を格安料金か無料 化が可能になる。ブロードバンド(ADSL、光ファーバー)の普及加入 者が増えており、実質基本料金は無料のところが多い。 ■ IP電話サービスの提供者 ① インターネットプロバイダー ② 電話会社:光ブロードバンド利用者向けに提供 (10) IP電話と業界再編 国際電話市場:IP電話の登場で値下げ圧力→急速に市場規模が縮小 業界再編が加速 ① AT&T(全米トップ) 子会社の地域電話会社、SBCコミュニケーションズが吸収合併 ② MCI(全米2位) Verizon が吸収合併
③ IP電話の Skype 社(ルクセンブルクの Skype Technologies) 2,500 万人加入→加入者同士なら全世界無料
3. 携帯電話市場
1979 年:NTTの自動車電話サービスからスタート (1) 競争の歴史
1988 年:IDO(トヨタ系)が東日本で参入 1989 年:セルラー(京セラ系)が関西で参入 ■ 本格競争 1994 年:Jフォン(日本テレコム系)、ツーカー(日産系)が参入 →4社競争体制→買収・合併→3グループの競争に ■ 競争の内容 1998 年まで:料金引き下げ、サービスエリアの拡大、電話機の小型化・軽量化 1999 年:iモード開始:メール、ホームページ閲覧 (2) 携帯の加入者数 2007 年に1億台突破:2010 年度予想:1億 2,217 万人 (3) 携帯各社の加入者シェア(2010 年8月) NTTドコモ:49%、KDDI:28%、ソフトバンク 20%、イーモバイル:2% (4) 多機能化 ① カメラ、ビデオカメラ、TV電話、ICレコーダー、音楽、辞書、3D画像 携帯電話加入者数 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 1996 年 1997 年 1998 年 1999 年 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 万件 11,713 2,087 携帯電話各社のシェアの推移 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 1996年 1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 イーモバイル ソフトバンク KDDI NTTドコモ 各年の12月現在、2010年は8月
(5) 音声からデータへ 1998 年:iモードスタート→iモード比率の上昇 (6) メディアとしての携帯 ① ショートメール(携帯-携帯間)のメール →静止画像、動画、各種文書ファイルの添付 ② WEBへのアクセス ③ 着うた ④ ワンセグ(One seg) 正式名「携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス」 地上デジタル放送を受信 2006 年4月:東京・大阪・名古屋を含む 29 都府県で開始 2008 年3月:ワンセグ放送用独自番組 放送法改正:サイマル放送の義務化を解除 →ワンセグ用データ放送 ワンセグコミュニティ構想 公園、ショッピングセンターなど地域限定の放送 NTTドコモの音声、データの月平均支払額 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 円/月 音声ARPU データARPU 4. 通信事業の未来 (1) 第4世代の電話 ① 第1世代(1980 年代)アナログ=音声中心 ② 第2世代(1990 年代)音声+低速データ(64Kbps) ③ 第3世代(2000 年代)音声+高速データ(384Kbps~2Mbps) ④ 第4世代(2010 年代)音声+超高速データ(50Mbps~100Mbps) (2) 通信網のオールIP化
設備数が大幅減尐(1000 の交換機が 10 のルーターに置き換わる) メンテナンスも簡単 ① 英国ブリティッシュ・テレコム(BT) 次世代ネットワークにIP網→2011 年完成を目指す IP網:ブロードバンド・インターネット、IP電話、携帯電話をサポート ② KDDI 2010 年までにIP化を完了計画 →ファックスなど画像に乱れ→すべての通信機に適用できる技術開発 計画が遅れ気味 (3) ブロードバンドの付属サービス化 通信サービスのオールIP化→電話はブロードバンドサービスの付属に ① Yahoo!BB 450 万以上のIP電話加入者 ② NTT「ひかり電話」サービス 光ブロードバンドサービス加入者向け 追加料金500 円で「ひかり電話」サービス ③ KDDI 光プラスでトリプルプレイ・サービス インターネット常時接続、映像配信、IP電話 ④ ソフトバンク 「おとくライン」と「Yahoo!BB」のIP電話を統合 (4) 固定電話と携帯の融合 無線LANのアクセスポイントの増大 低廉な通話サービス、高速アクセスサービスが可能に 自宅内の無線LANに接続:固定網経由で携帯に安い料金 ドコモ:法人向けに無線LAN対応のPBX、FOMA端末販売