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タイヤ・RDFに係わる消火のあり方に関する調査検討報告書

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Academic year: 2021

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第3章 タイヤ・RDF火災消火実験 前章火災事例に見られる問題点,消火困難性を認識した上で、本検討会では火災消火実験を実施 し、タイヤ火災及びRDF火災に対し、有効な消火方法を検討する。 検討要素としては、消防用設備,消防用器具,消火活動方法などが考えられるが、本検討会では 消火剤単体の評価を行い、その有効性や消火剤の評価手法の確立を目標として実験を実施する。 <タイヤ火災消火実験> 3.1 実験目的 タイヤ火災に対する水と各種消火剤の消火性能を比較し、消火剤の消火活動への有効性を確認 する。小規模実験ではタイヤ火災に対する水と各種消火剤の性能を比較し、本実験で使用する 消火剤を選定する。本実験では実規模火災を想定した火災模型を設定し、水と各種消火剤の消 火性能を比較するとともに、小規模実験との相関性を検証する。 3.2 実験方法 3.2.1 小規模実験 (1) 実験場所:宮田工業㈱実験棟(社団法人 日本消火装置工業会) (2) 実験日時:平成 16 年 11 月 15 日∼16 日 (3) 濡れ性確認:タイヤ(中古品)を水平に置き、距離 200mm の位置からタイヤ走行面に水及び 各種消火剤を噴霧した際のタイヤの濡れ性を確認する 【噴霧ノズル仕様】 ・ ノズル種類:ハンドノズルタイプ(1 回の噴霧量=約 1mL) ・ 合計噴霧量:約10mL(約 1mL/回×10 回噴霧) 200mm 噴霧ノズル タイヤ走行面 図3-2-1. 濡れ性確認方法 (4) 消火実験 ① 火災模型:普通乗用車用夏タイヤ(タイヤ片寸法:20cm×20cm,新品及び中古品) タイヤ片を水平に設置*。助燃材に着火し火災模型を燃焼開始。着火 2 分後にタ イヤ片を垂直に移動*し 1 分間燃焼(予燃時間:合計 3 分)。 * タイヤ走行面に比べ易燃性のタイヤ内側全面に着火させるために水平設置し着火する。 その後、野積タイヤ等を想定し、タイヤ走行面を垂直に立てた状態で消火する。

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火皿 C(湾曲部含む) D 燃焼材架台 A B タイヤ片 支持材 A:100 B:130 C:200 D:200 移動 点火後 3分経過後 消火ノズル 放水開始 点火後 2分経過後 (単位:mm) 図3-2-2. 火災模型等配置図 ② 消火ノズル:充円錐型噴霧ノズル(メーカー:㈱いけうち,型式:1/8BBXP020S303, 標準圧力・流量:0.2MPa・2L/min) ③ 消火剤:水及び各種消火剤(消火剤種類は「3.3 実験ケース」を参照) ④ 放射密度:3L/min/m2(火災模型設置面,参考資料参照) ⑤ 助燃材:ノルマルヘプタン100mL (火皿寸法:W200mm×D200mm×H100mm、敷き水:2.4L) ⑥ 予燃時間:3 分間 ⑦ 消火時間:予燃時間終了後に消火開始し、消火10 秒後に放水停止 目視確認により火炎が確認されなくなった状態を消火とする ⑧ 測定項目:消火時間,消火状況,消火後再燃の有無(放水停止後5 分間) 3.2.2 小規模実験(その他) (1) 実験場所:独立行政法人 消防研究所 物質安全研究棟 及び 建築防火研究棟 (2) 実験日時:平成 16 年 11 月 29 日 及び 12 月 9 日∼10 日 (3) 発熱量測定:タイヤの総発熱量*(高位発熱量)を測定(3.2.1(4) 消火実験で使用する新品タ イヤ走行面から採取) *総発熱量:試料を熱量計を用いて燃焼したとき、燃焼によって生じた水分が凝縮し、 水となるまでに放出する熱量。高位発熱量ともいう。 【使用機器及び測定方法】 ・ 熱量計 :島津一燃研式自動ボンベ熱量計(型式記号:CA-4PJ) ・ 測定精度:熱量標準用安息香酸1g の熱量に対し±80J 以内 ・ 測定方法:「石炭類及びコークス類−ボンブ熱量計による総発熱量の 測定方法及び真発熱量の計算方法」(JIS M 8814)による ・ 測定試料:タイヤ片0.5070g 及び 0.4465g(2 回測定) (4) 発熱速度測定:3.2.1(4) 消火実験の火災模型を用い発熱速度を測定

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3.2.2 本実験 (1) 実験場所:独立行政法人 消防研究所 大規模火災実験棟 主実験場 (2) 実験日時:平成 16 年 12 月 13 日∼14 日 (3) 消火実験 ① 火災模型:普通乗用車用夏タイヤ18 本(中古品) ② 消火ノズル:2 号消火栓用ノズル(放水条件:0.25MPa‐60L/min,棒状放水) ③ 消火剤:水及び各種消火剤(消火剤種類は「3.3 実験ケース」を参照) ④ 助燃材:ノルマルヘプタン12L 、敷き水:43.2L (火皿寸法:W1897mm×D1897mm×H380mm、火皿脚高さ 80mm) ⑤ 予燃時間:2 分間 ⑥ 消火時間:予燃時間終了後に消火開始し、消火後直ちに放水停止 目視確認により火炎が確認されなくなった状態を消火とする。 消火開始後、指定範囲(火災模型正面端から5m の距離で±45°の範囲)内で消 火活動を行うが、当該範囲内での消火活動を継続した場合でも、それ以上火炎が 著しく抑制されないことを目視及び受熱放射照度の変化で確認した後、当該範囲 内を離れ、火災模型に接近して消火活動(自由放水)を行う。 〔消火ノズル操作者:日本消防検定協会 試験部職員〕 ⑦ 測定項目:消火時間,火災模型温度,受熱放射照度,消火状況, 消火後再燃の有無(放水停止後15 分間) 5000 5 0 0 0 E D C A 50 00 +45° 最初に :温度測定点 火皿 0° 消火活動を 行う指定範囲 :放射熱計 5 0 0 0 B A: 350 B: 350 C: 550 D: 910 E:1280  (高さ900) 燃焼材架台 −45° 5 0 0 TH4 TH2 TH3 RH2 RH1 TH5 TH1 RH TH (単位:mm) 図3-2-3. 火災模型等配置図

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3.3 実験ケース 3.3.1 小規模実験(消火実験) 表3-3-1. 小規模実験(消火実験)ケース一覧 実験 番号 火災模型 消火剤 種別 濃度(%) 希釈容量 (μN/cm) 表面張力 SNT1 新タイヤ SUT1 古タイヤ 水 ― ― 728 SNT2 新タイヤ SUT2 古タイヤ 消火剤A 合成界面 活性剤系 0.5 334 SNT3 新タイヤ SUT3 古タイヤ 消火剤B 分類なし* 3.0 313 SNT4 新タイヤ SUT4 古タイヤ 消火剤C 水成膜泡 1.0 165 SNT5 新タイヤ SUT5 古タイヤ 消火剤D 水成膜泡 1.0 160 SNT6 新タイヤ SUT6 古タイヤ 消火剤E 第3 種 浸潤剤 ― 665 * 消火剤 B は植物成分,尿素等天然抽出物を主成分とした消火剤 3.3.2 本実験(消火実験) 表3-3-2. 本実験(消火実験)ケース一覧 実験 番号 消火剤 種別 濃度(%) 希釈容量 (μN/cm) 表面張力 T1 水 ― − 728 T2 消火剤A 合成界面 活性剤系 0.5 334 T3 消火剤B 分類なし* 3.0 313 T4 消火剤C 水成膜泡 1.0 165 * 消火剤 B は植物成分,尿素等天然抽出物を主成分とした消火剤

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3.4 実験結果 3.4.1 小規模実験(濡れ性確認) 水及び消火剤E はタイヤ表面で水滴となるため、噴霧された部分以外には拡散せず、タイ ヤ走行面下端から床面に滴下した。(実験写真:水及び消火剤E 参照) それに対して、消火剤A,B,C,D はタイヤ表面で水滴にはならず消火剤の付着する面積が拡 がり、タイヤ側面(設置状態で床面と水平になる部分=サイドウォール)にまで拡散した。 (実験写真:消火剤A,B,C,D 参照) 目視観察の限りでは、消火剤A,B,C,D に顕著な差は見られなかった。

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タイヤ火災消火実験 濡れ性確認(小規模実験)

水 消火剤A 消火剤B 消火剤C 消火剤D 消火剤E

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3.4.2 小規模実験(消火実験) 今回の実験結果では消火剤A,B,C,D は、表面張力が小さく、タイヤの燃焼により生じる立 体部裏側(上方からの散水で散水障害となる部分)にも消火剤が拡散するため、水及び消火 剤E よりも消火性能が優れていた。ただし、消火剤 A,B,C,D においては、消火剤毎の消火 性能に有意差は見られなかった。水と消火剤E を比較すると、表面拡散性能はほぼ同等であ るが、消火剤E は優れた消炎性能を有するため、火炎部に消火剤が到達した場合には消火効 果が期待できる。また、今回は新品タイヤと中古タイヤの表面状態の違いによる消火状況の 差を確認したが、両タイヤ表面での消火水の撥水状況等に有意差は見られなかった。 以上のことから、タイヤ等の撥水性表面を有する燃焼物に対しては、水に界面活性剤等を 混入し表面張力を低下(今回の実験では300μN/cm 程度以下)させると、消火性能が著し く向上することが確認された。

(8)

表3-4-1. 小規模実験(消火実験)結果一覧 実験番号 消火剤 消火時間 再燃 消火状況 SNT1-1 6 分 34 秒 無 SNT1-2 6 分 52 秒 無 SUT1-1 8 分 41 秒 無 SUT1-2 水 11 分 55 秒 無 水が燃焼物表面にはじかれ滴下するため、燃焼物表面での水 の拡散性は低い。立体部裏側(散水障害部分)への水の拡散 が少ないため、立体部裏側の燃焼が継続する。燃焼部への直 接散水による消火効果は他消火剤と差がない。 消火水の新品タイヤと中古タイヤの表面での状況に有意差 は見られなかった。 SNT2-1 2 分 03 秒 無 SNT2-2 2 分 34 秒 無 SUT2-1 1 分 46 秒 無 SUT2-2 消火剤A 合成界面 活性剤系 0.5% 1 分 49 秒 無 発泡性の高い泡。立体部裏側にも消火剤が拡散するため、水 と比較して消火が早い。 消火水の新品タイヤと中古タイヤの表面での状況に有意差 は見られなかった。 SNT3-1 1 分 36 秒 無 SNT3-2 1 分 50 秒 無 SUT3-1 3 分 21 秒 無 SUT3-2 消火剤B 分類なし* 3.0% 3 分 17 秒 無 消火剤B と同程度の発泡性の高い泡。立体部裏側にも消火剤 が拡散するため、水と比較して消火が早い。 消火水の新品タイヤと中古タイヤの表面での状況に有意差 は見られなかった。 SNT4-1 1 分 33 秒 無 SNT4-2 1 分 42 秒 無 SUT4-1 2 分 45 秒 無 SUT4-2 消火剤C 水成膜泡 1.0% 2 分 32 秒 無 消火剤 A,B より発泡性は劣るが、燃焼物表面での拡散は早 い。立体部裏側にも消火剤が拡散するため、水と比較して消 火が早い。 消火水の新品タイヤと中古タイヤの表面での状況に有意差 は見られなかった。 SNT5-1 2 分 22 秒 無 SNT5-2 2 分 35 秒 無 SUT5-1 2 分 51 秒 無 SUT5-2 消火剤D 水成膜泡 1.0% 1 分 48 秒 無 消火剤 C より発泡性が劣るが、燃焼物表面での拡散は同程 度。立体部裏側にも消火剤が拡散するため、水と比較して消 火が早い。 消火水の新品タイヤと中古タイヤの表面での状況に有意差 は見られなかった。 SNT6-1 6 分 26 秒 無 SNT6-2 2 分 57 秒 無 SUT6-1 4 分 16 秒 無 SUT6-2 消火剤E 第3 種 浸潤剤 100% 6 分 15 秒 無 水同様、表面拡散性は低い。消火剤特性として、消炎性能が あるため、火炎部に消火剤が到達した場合には消火効果が期 待できる。消火後、試料から発生する白煙が多く、試料温度 が他消火剤よりも高い。 消火水の新品タイヤと中古タイヤの表面での状況に有意差 は見られなかった。 * 消火剤 B は植物成分,尿素等天然抽出物を主成分とした消火剤

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タイヤ火災消火実験 消火実験(小規模実験)

実験番号:SNT1 放射 直前 5 分 経過 1 分 経過 6 分 経過 2 分 経過 6 分 52 秒 消火 3 分 経過 4 分 経過

(10)

実験番号:SUT1 放射 直前 5 分 経過 1 分 経過 6 分 経過 2 分 経過 8 分 経過 3 分 経過 10 分 経過 4 分 経過 11 分 55 秒 消火

(11)

実験番号:SNT2 実験番号:SUT2 放射 直前 放射 直前 1 分 経過 経過1 分 2 分 経過 1 分 49 秒 消火 2 分 34 秒 消火

(12)

実験番号:SNT3 実験番号:SUT3 放射 直前 放射 直前 1 分 経過 経過1 分 2 分 経過 1 分 36 秒 消火 2 分 経過 3 分 経過 3 分 21 秒 消火

(13)

実験番号:SNT4 実験番号:SUT4 放射 直前 放射 直前 1 分 経過 経過1 分 2 分 経過 1 分 33 秒 消火 2 分 経過 2 分 45 秒 消火

(14)

実験番号:SNT5 実験番号:SUT5 放射 直前 放射 直前 1 分 経過 経過1 分 2 分 経過 経過2 分 2 分 35 秒 消火 2 分 51 秒 消火

(15)

実験番号:SNT6 放射 直前 5 分 経過 1 分 経過 6 分 経過 2 分 経過 6 分 26 秒 消火 3 分 経過 4 分 経過

(16)

実験番号:SUT6 放射 直前 5 分 経過 1 分 経過 6 分 経過 2 分 経過 6 分 15 秒 消火 3 分 経過 4 分 経過

(17)

3.4.3 発熱量測定 採取箇所を変えて総発熱量(高位発熱量)を2回測定した。 結果は次の通り。  1回目測定値 : 38,895 (J/g)  2回目測定値 : 38,925 (J/g)  平均値      : 38,910 (J/g) 参考試験として、中古タイヤの発熱量を測定した。(測定回数:1回) なお、測定に用いた中古タイヤは消火実験(小規模実験)の火災模型として使用したもので、 新品タイヤと製造者は同一で、製品型式の異なるものである。  測定値 : 32,731 (J/g) 3.4.4 発熱速度測定 小規模実験(消火実験)に用いる火災模型の発熱速度を測定した。 結果は次の通り。 実験指導・協力(発熱量測定及び発熱速度測定)  独立行政法人 消防研究所 基盤研究部 箭内 火災研究グループ長  独立行政法人 消防研究所 基盤研究部 那波 主任研究官 20 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 時間(分) 発熱速度(W)

(18)

3.4.5 本実験(消火実験) 本実験では、野積みタイヤ火災を想定した火災模型を設定した。 タイヤ等の撥水性表面を有する燃焼物に対しては、水に界面活性剤等を混入し、その表面 張力を低下させると、消火性能が著しく向上することが分かり、これは小規模実験と同様の 傾向を示すものであった。水を用いた消火では、水が直接放水された箇所の火勢は一時的に 抑制されるものの、別の箇所を消火するために放水箇所を切替えると、再び火勢が盛り返し たのに対して、消火剤A,B,C の場合は、一度抑制された火勢は概ね抑制状態を保ち続けてお り、水と比較して再燃防止性能が優れることが確認できた。 受熱放射照度に着目した場合、指定範囲内での火災抑制限界は自由燃焼時の受熱放射照度 と比べ、水の場合は約1/6,消火剤 A,B は約 1/15,消火剤 C は約 1/35 となった。抑制限界 に至る時間は表3-4-2 の「指定範囲」に示す時間であり、抑制限界とは反比例する傾向にあ る。また、消火直前の受熱放射照度が約1/5 に減ずるまでの火災抑制速度は、水の場合には 144 秒(火災抑制速度=13.9W/m2・sec)を要したが、消火剤 A,B,C では約 50 秒(火災抑 制速度≒40W/m2・sec)と、水の約 3 倍の消火効果となった。(図 3-4-1 参照) 実験T1 及び T4 では消火後の再着火が確認された。T1 では消火後数箇所に赤熱部が見ら れ、火災模型全体から白煙が発生し再着火に至ったもので、T4 は消火直後からタイヤ内側 に赤熱が見られた1 箇所から白煙が発生し再着火に至ったものである。T4 の場合、再着火 箇所以外は T2,T3 同様に白煙の発生量は経時的に少なくなり白煙の発生が抑制されたこと から、他の消火剤に比べ再燃防止性能が劣るものではないと考える。 また、いずれの実験においても、指定範囲内での消火活動では散水障害が生じるために、 今回の火災模型を完全に消火することは難しく、完全消火を行うには消火作業者が火災模型 に接近し、燃焼箇所を目視確認しながら放水(自由放水)する必要があった。

(19)

↓ 放水開始 0 1000 2000 3000 2 3 4 5 時間 (分) 受 熱放射照度(W/㎡) T1 T2 T3 T4 図は、実験T1∼T4 における放水開始(実験開始後 2 分)から3 分間の受熱放射照度計測結果を重ね合わせ たもの。受熱放射照度は計測点2 点の平均値とした。 ↓T1 ↓T3 T2↓ ↑T4 図中の“↓”は、各 実験における自由 放水開始点を示す 放水開始後 144 秒 420 W/m2 図中、枠内の値は 実験 T1 の値を示す。 実験T2∼T4 は下表を参照のこと。 A A 2500 W/m2 B B 500 W/m2 図3-4-1. 受熱放射照度の比較 受熱放射照度比 *1 火災抑制速度 *2 試験 番号 受熱放射照度 (W/m2 受熱放射照度比 受熱放射照度が1/5 に 減ずる時間(sec) (W/m火災抑制速度 2・sec) T1 420 1/6 144 13.9 T2 161 1/16 48 41.7 T3 176 1/14 48 41.7 T4 71 1/35 51 39.2 *1) 消火開始直前の受熱放射照度 2,500 W/m2(A 線)と指定範囲内での火災抑制 限界時の受熱放射照度(自由放水開始時“↓”の値)の比 計算例)受熱放射照度比=420 W/m2/2500 W/m2≒1/6(T1) *2) 消火開始直前の受熱放射照度 2,500 W/m2(A 線)が 1/5 の 500 W/m2(B 線) に減ずるまでの速度 計算例)火災抑制速度=(2500−500)W/m2144 sec≒13.9 W/m2sec(T1)

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表3-4-2. 本実験(消火実験)結果一覧 実験 番号 消火剤 消火時間,他 消火状況・再燃の有無 消火時間 3 分 36 秒 (指定範囲 2 分 29 秒) (自由放水 1 分 7 秒) 放水量 216 L 再燃有無 11 分 50 秒 放射照度比 1/6 T1 水 抑制速度 13.9 W/m2・sec 集中的に直接放水した部分はある程度火炎が抑制 されるが、散水障害となる部分は火炎が抑制でき ない。直接放水の届く場所であっても、タイヤ内 側は散水障害となるため、火炎は抑制できなかっ た。一度火炎を抑制した部分も、被水量が少ない 部分は再び火炎が成長し、燃焼を続けた。 消火直後、燃焼物の散水障害部分に数箇所の赤熱 部が見られ、経時的にその場所からの白煙発生量 が増え、再燃に至った。 消火時間 2 分 47 秒 (指定範囲 2 分 10 秒) (自由放水 37 秒) 放水量 167 再燃有無 なし 放射照度比 1/16 T2 消火剤A 合成界面 活性剤系 0.5% 抑制速度 41.7 W/m2・sec 指定範囲内の放水で、直接放水可能なタイヤ表面 や下段タイヤ内側の火炎をほぼ抑制した。自由放 水でも水の場合と較べて短時間で完全消火に至っ た。 消火直後は、燃焼物の散水障害部分に赤熱部が見 られ、白煙が多く発生していたが、経時的に赤熱 部が小さくなるとともに白煙の発生量も少なくな り、消火後 8 分程度で白煙の発生がほぼ抑制され た。 消火時間 2 分 50 秒 (指定範囲 2 分 18 秒) (自由放水 32 秒) 放水量 170 L 再燃有無 なし 放射照度比 1/14 T3 消火剤B 分類なし* 3.0% 抑制速度 41.7 W/m2sec T2 同様、指定範囲内放水時,自由放水時,消火後 の状況のいずれも水に較べて顕著な差が見られ た。 消火時間 2 分 31 秒 (指定範囲 2 分 6 秒) (自由放水 25 秒) 放水量 151 L 再燃有無 なし 放射照度比 1/35 T4 消火剤C 水成膜泡 1.0% 抑制速度 39.2 W/m2・sec T2 同様、指定範囲内放水時,自由放水時の状況は 水に較べて顕著な差が見られた。また、T2,T3 と 較べ、火炎の抑制が顕著であった。 再燃確認時間内での再燃はなかったが、消火直後 からタイヤ内側に赤熱が見られた部分(熱電対 TH2 付近)から、消火後 21 分 23 秒後に再燃した。 その他の部分はT2,T3 同様に白煙の発生量は経時 的に少なくなり、抑制された。 * 消火剤 B は植物成分,尿素等天然抽出物を主成分とした消火剤

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実験番号:T1

0

1000

2000

3000

4000

5000

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6

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時間 (分)

受熱放射照度(W/㎡)

RH1

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800

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時間 (分)

温度(℃)

TH1

TH2

TH3

TH4

TH5

予燃終了 指定範囲内放水開始 ↓ 自由放水開始 ↓ 消火 ↓ 予燃終了 指定範囲内放水開始 ↓

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実験番号:T2

0

1000

2000

3000

4000

5000

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受熱放射照度(W/㎡)

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温度(℃)

予燃終了 指定範囲内放水開始 ↓ 自由放水開始 ↓ 消火 ↓ 予燃終了 指定範囲内放水開始 ↓

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実験番号:T3

0

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時間 (分)

受熱放射照度(W/㎡)

RH1

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時間 (分)

温度(℃)

TH1

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予燃終了 指定範囲内放水開始 ↓ 自由放水開始 ↓消火 ↓

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実験番号:T4

0

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時間 (分)

受熱放射照度(W/㎡)

RH1

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温度(℃)

予燃終了 指定範囲内放水開始 ↓ 自由放水開始 ↓消火 ↓

(25)

タイヤ火災消火実験 消火実験(本実験)

放水後 経過時間 実験番号:T1 実験番号:T2 放水 直後 20 秒 経過 1 分 経過 2 分 経過 3 分 経過

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放水後 経過時間 実験番号:T3 実験番号:T4 放水 直後 20 秒 経過 1 分 経過 2 分 経過 3 分 経過

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3.5 考察 小規模実験の火災模型の燃焼性状については、新品タイヤと中古タイヤでは若干中古タイヤ の方が燃え易く、新品タイヤに比べて消火時間が長くなる傾向にあった。両火災模型の燃焼状 況の違いとして、中古タイヤの方が燃焼の立ち上がりが早いことが確認された。中古タイヤは 新品タイヤに較べてゴムの弾性が失われており、このようなゴム質の変化が燃焼性状の違いに 影響したものと思われる。また、これら燃焼性状の違いに加え、例えば実験SNT2 と実験 SUT2 の実験写真などからもわかる通り、中古タイヤは新品タイヤと比較して燃焼時の変形量が大き く、火災模型上部からの放水による散水障害部分が生じ易かったことも、消火時間が長くなる 傾向にあった要因の一つだと考えられる。 タイヤ等の撥水性表面を有する燃焼物に対しては、水に界面活性剤等を添加し、消火水の表 面張力を低下させると消火性能は著しく向上することが確認された。水及びその他消火剤のい ずれの場合も主たる消火作用は冷却によるものであり、消火水が直接放射された部分の消火性 能は大差ないと考えられるが、表面張力を低下させた消火水の場合には、燃焼物表面での湿潤 作用による拡散性(濡れ性)が向上することで、消火水が直接放射された部分や、例えば小規 模実験で散水障害が生じた立体部下部など、水では到達し難い部分での消火性能が向上したも のと思われる。すなわち、濡れ性確認(小規模実験)からも明らかなように、水の場合はタイ ヤが有する撥水性のため、その表面を有効に被覆できないが、水に界面活性剤等を添加して表 面張力を低下させた場合、消火水が表面を有効に被覆することや、表面で 2 次発泡した泡の被 膜等による継続的な冷却と可燃性ガスの発生抑制によって、消火性能及び再着火防止性能が向 上したものと思われる。 これらのことから、初期消火のための消火設備や消防隊等が行う本格消防活動において、表 面張力を低下(今回の実験では300μN/cm 程度以下)させた消火水を用いることで、効率の良 い消火活動が可能となることが期待できる。 また、今回の実験において、小規模実験と本実験で確認した消火性能は、測定結果データ(下 表参照)及び目視観察結果において同様の傾向を示しており、今後、タイヤ火災に適用する消 火剤を評価する際には、今回実施した小規模実験による方法も有効な評価手段の一つであると 考えられる。 表3-5-1.消火実験結果比較 消火剤 小規模実験 *1 本実験 *2 水 6 分 43 秒 13.9 W/m2・sec 消火剤A 2 分 19 秒 41.7 W/m2・sec 消火剤B 2 分 43 秒 41.7 W/m2sec 消火剤C 消 火 時 間 1 分 38 秒 火 災 抑 制 速 度 39.2 W/m2sec *1)消火時間は、2 回の平均値とした。 *2)指定範囲内放水から自由放水への切替えを人の判断で行っており、消火時間での比較 が適当でないため、指定範囲内放水での火災抑制速度を比較した。

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<RDF火災消火実験> 3.6 実験目的 RDF火災に対する水と各種消火剤の消火性能を比較し、消火剤の消火活動への有効性を確認 する。小規模実験ではRDF火災に対する水と各種消火剤の性能を比較し、本実験で使用する 消火剤を選定する。本実験では実規模火災を想定した火災模型を設定し、水と各種消火剤の消 火性能を比較するとともに、小規模実験結果との相関性を検証する。 3.7 実験方法 3.7.1 小規模実験 (1) 実験場所:宮田工業㈱実験棟(社団法人 日本消火装置工業会) (2) 実験日時:平成 16 年 11 月 24 日∼25 日 (3) 消火実験 ① 火災模型:RDF(板倉町資源化センター製造,添付試験結果報告書参照) 金網かご(W200mm×D200mm×H200mm)内に RDF 2.5kg を自然充填。 火災模型下部に設置したプロパンガスバーナーを点火し火災模型を燃焼開始。点 火 15 分後にプロパンガスバーナーを消火するとともに、火災模型上部に RDF 1.5kg を追加投入し 10 分間自己燃焼(予燃時間 25 分間)。 F A D H I J G E ガスバーナー :温度測定点 C A:160 B: 20 C: 50 D: 50 E:150 F:200 G:φ55 H: 65 I:200 J:200 燃焼材架台 金網筒 TH1 TH2 TH3 金網かご B (単位:mm) 図3-7-1. 火災模型等配置図 点火後 25分経過後 初期RDF 追加RDF (1.5kg) 金網かご

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② 消火ノズル:充円錐型噴霧ノズル(定格噴霧圧力・流量:0.2MPa・2L/min) ③ 消火剤:水及び各種消火剤(消火剤種類は「3.8 実験ケース」を参照) ④ 放射密度:3L/min/m2(G.L.より 300mm の面,参考資料 5 参照) ⑤ 助燃方法:プロパンガスバーナー(数量:1、ガス消費量:10g/min) ⑥ 予燃時間:25 分間(初期 RDF:25 分間,追加 RDF:10 分間) ⑦ 消火時間:予燃時間終了後に消火開始し、消火後放水停止 全ての温度測定点の温度が100℃未満*になった状態を消火とする * 消火水による冷却作用を確認するため、温度測定点が大気圧での水の蒸発温度未満 に低下することを消火判断のしきい値とする。 ⑧ 測定項目:消火時間,火災模型温度,消火状況,消火後再燃の有無(放水停止後10 分間) 3.7.2 小規模実験(その他) (1) 実験場所:独立行政法人 消防研究所 物質安全研究棟 及び 建築防火研究棟 (2) 実験日時:平成 16 年 11 月 29 日 及び 12 月 9 日∼10 日 (3) 発熱量測定:消火実験に使用する RDF の総発熱量*(高位発熱量)を測定 *総発熱量:試料を熱量計を用いて燃焼したとき、燃焼によって生じた水分が凝縮し、 水となるまでに放出する熱量。高位発熱量ともいう。 【使用機器及び測定方法】 ・ 熱量計 :島津一燃研式自動ボンベ熱量計(型式記号:CA-4PJ) ・ 測定精度:熱量標準用安息香酸1g の熱量に対し±80J 以内 ・ 測定方法:「石炭類及びコークス類−ボンブ熱量計による総発熱量の 測定方法及び真発熱量の計算方法」(JIS M 8814)による ・ 測定試料:RDF 片 1.3548g 及び 1.0050g(2 回測定) (4) 発熱速度測定:2.1 消火実験の火災模型を用い発熱速度を測定 (ロードセルにより質量減少率を測定) 3.7.3 本実験 (1) 実験場所:独立行政法人 消防研究所 大規模火災実験棟 主実験場 (2) 実験日時:平成 16 年 12 月 15 日∼16 日 (3) 消火実験 ① 火災模型:RDF(添付資料、試験結果報告書参照) 金網かご(W800mm×D800mm×H1000mm)内に RDF 135kg を自然充填。 火災模型下部に設置したプロパンガスバーナーを点火し火災模型を燃焼開始。点 火後45 分後にプロパンガスバーナーを消火するとともに、火災模型上部に RDF 135kg を追加投入し 15 分間自己燃焼(予燃時間 60 分間)。 ② 消火ノズル:2 号消火栓用ノズル(放水条件:0.06MPa‐30L/min,棒状放水) ③ 消火剤:水及び各種消火剤(消火剤種類は「3.8 実験ケース」を参照) ④ 助燃方法:プロパンガスバーナー(数量:2、合計ガス消費量:178g/min) ⑤ 予燃時間:60 分間(初期 RDF:60 分間,追加 RDF:15 分間)

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⑥ 消火時間:予燃焼時間終了後に消火開始し、消火後放水停止。消火のための放水は金網かご 上面からのみとし、上面全面に均一に放水する。 全ての温度測定点の温度が100℃未満*になった状態を消火とする * 消火水による冷却作用を確認するため、温度測定点が大気圧での水の蒸発温度未満 に低下することを消火判断のしきい値とする。 〔消火ノズル操作者:日本消防検定協会 試験部職員〕 ⑦ 測定項目:消火時間,火災模型温度,消火状況,消火後再燃の有無(放水停止後10 分間) A D J K L I G ガスバーナー :温度測定点 E F C B A: 250 B:  60 C: 100 D: 100 E: 100 F: 100 G: 420 H:1000 I:φ230 J: 165 K: 800 燃焼材架台 (2基) 金網筒 TH1 TH2 TH3 TH4 TH5 金網かご H L: 800 (単位:mm) 図3-7-3. 火災模型等配置図 点火後 45分経過後 初期RDF (135kg) 追加RDF (135kg) 金網かご 上面より均一放水 図3-7-4. RDF 充填方法

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3.8 実験ケース 3.8.1 小規模実験(消火実験) 表3-8-1. 小規模実験(消火実験)ケース一覧 実験 番号 火災模型 消火剤 種別 濃度(%) 希釈容量 (μN/cm) 表面張力 SR1 RDF 水 ― ― 728 SR2 RDF 消火剤F 合成界面活性剤系 0.5 334 SR3 RDF 消火剤G 合成界面活性剤系 0.5 222 SR4 RDF 消火剤H 水成膜泡 1.0 165 SR5 RDF 消火剤I 水成膜泡 1.0 160 SR6 RDF 消火剤J 第浸潤剤 3 種 ― 665 3.8.2 本実験(消火実験) 表3-8-2. 本実験(消火実験)ケース一覧 実験 番号 消火剤 種別 濃度(%) 希釈容量 (μN/cm) 表面張力 R1 水 ― − 728 R2 消火剤F 合成界面 活性剤系 0.5 334 R3 消火剤H 水成膜泡 1.0 165

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3.9 実験結果 3.9.1 小規模実験 RDF は断熱性に優れており熱伝導率が低く、温度測定点の付近の RDF の状態(熱電対 とRDF の位置関係等)に測定値が影響を受けるため、必ずしも正確な温度計測ができな かった。例えば、各実験における温度計測点 TH1 の最高計測温度は、最高値で約 790℃ (実験番号SR2-2)、最低値で約 460℃(実験番号 SR1-2)と約 330℃の差が生じており、 計測された昇温速度も一様ではなかった。このように、いずれの実験ケースも同一条件で 実験を実施したにもかかわらず、各熱電対の示す温度は異なる挙動を示した。しかし、実 験終了後のRDF を確認した結果、燃焼範囲や燃焼度合いなどの燃焼状況には有意差は見 られず、温度測定方法に課題が残るものの、燃焼再現性には問題ないものと考えられる。 このようなことから、主として消火開始から熱電対温度測定点の温度降下開始までの時間 (=降下開始時間)に着目し、実験結果を評価する。 いずれの実験ケースでも、上部測定点(TH3),中部測定点(TH2),下部測定点(TH1) の順に温度降下を開始しており、火災模型上部から放水した消火水が内部を通過して火災 模型全体を冷却したことがわかる。放水開始後 3∼4 分経過した時点で、火災模型底部の 限られた場所から消火水が滴下し始め、暫時滴下場所は増加したが、火災模型底部全面か ら滴下するには至らなかった。また、実験後、RDF 内部を目視及び指で触り観察したと ころ、若干の湿り気がある程度で、個々のRDF が水分を多く取り込んだ様子はなかった。 小規模実験結果から、各実験ケースの温度降下開始時間を比較した場合、水と各種消火 剤の消火性能の差は見られず、実験後のRDF の状態にも有意差は見られなかった。

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表3-9-1. 小規模実験(消火実験)結果一覧 実験 番号 消火剤 消火時間,他 消火状況・再燃の有無 消炎時間 4 分 33 秒 消火時間 10 分 20 秒 降下開始 6 分 35 秒 TH1 <100℃ 10 分 20 秒 降下開始 4 分 30 秒 TH2 <100℃ 8 分 26 秒 降下開始 3 分 15 秒 TH3 <100℃ 7 分 58 秒 SR1-1 水 再燃有無 無 消炎時間 4 分 12 秒 消火時間 13 分 14 秒 降下開始 9 分 15 秒 TH1 <100℃ 13 分 14 秒 降下開始 6 分 45 秒 TH2 <100℃ 12 分 30 秒 降下開始 3 分 38 秒 TH3 <100℃ 9 分 56 秒 SR1-2 水 再燃有無 無 火災模型上面に放射された消火水が模型内部に 滴下しているが、個々のRDF に素早く浸透して いる様子はない。上部(さほど燃焼していない部 分)∼中下部(十分燃焼している部分)までRDF 内部は若干の湿気がある程度で、水分を多く取り 込んだ様子はなく、全体的に湿っていた。実験終 了後、火災模型底部を観察したが、多くの部分が 乾燥しており、水の通り道が出来ていることが確 認できた。 消炎時間 6 分 2 秒 消火時間 15 分 8 秒 降下開始 9 分 3 秒 TH1 <100℃ 15 分 8 秒 降下開始 7 分 24 秒 TH2 <100℃ 11 分 58 秒 降下開始 5 分 0 秒 TH3 <100℃ 8 分 26 秒 SR2-1 消火剤F 合成界面 活性剤系 0.5% 再燃有無 無 消炎時間 6 分 57 秒 消火時間 13 分 34 秒 降下開始 8 分 26 秒 TH1 <100℃ 11 分 58 秒 降下開始 8 分 10 秒 TH2 <100℃ 13 分 34 秒 降下開始 4 分 16 秒 TH3 <100℃ 10 分 2 秒 SR2-2 消火剤F 合成界面 活性剤系 0.5% 再燃有無 無 発泡性,粘性の高い泡。 水に較べて表面張力が小さいためRDF 内部へ浸 透し易くなることが期待されたが、浸透の様子な どは水の場合と比較して有意差がなかった。

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実験 番号 消火剤 消火時間,他 消火状況・再燃の有無 消炎時間 5 分 16 秒 消火時間 11 分 24 秒 降下開始 8 分 4 秒 TH1 <100℃ 10 分 18 秒 降下開始 6 分 7 秒 TH2 <100℃ 11 分 24 秒 降下開始 3 分 34 秒 TH3 <100℃ 6 分 36 秒 SR3-1 消火剤G 合成界面 活性剤系 0.5% 再燃有無 無 消炎時間 5 分 24 秒 消火時間 13 分 18 秒 降下開始 6 分 50 秒 TH1 <100℃ 11 分 52 秒 降下開始 5 分 56 秒 TH2 <100℃ 13 分 18 秒 降下開始 4 分 9 秒 TH3 <100℃ 8 分 32 秒 SR3-2 消火剤G 合成界面 活性剤系 0.5% 再燃有無 無 消火剤F の場合よりも発泡性が低い。 水に較べて表面張力が小さいためRDF 内部へ浸 透し易くなることが期待されたが、浸透の様子な どは水の場合と比較して有意差がなかった。 消炎時間 4 分 14 秒 消火時間 10 分 50 秒 降下開始 6 分 29 秒 TH1 <100℃ 9 分 48 秒 降下開始 5 分 40 秒 TH2 <100℃ 10 分 50 秒 降下開始 2 分 44 秒 TH3 <100℃ 7 分 18 秒 SR4-1 消火剤H 水成膜泡 1.0% 再燃有無 無 消炎時間 3 分 10 秒 消火時間 10 分 44 秒 降下開始 6 分 48 秒 TH1 <100℃ 10 分 32 秒 降下開始 5 分 5 秒 TH2 <100℃ 10 分 44 秒 降下開始 2 分 30 秒 TH3 <100℃ 6 分 52 秒 SR4-2 消火剤H 水成膜泡 1.0% 消火剤F,G より発泡性が低い。 水に較べて表面張力が小さいためRDF 内部へ浸 透し易くなることが期待されたが、浸透の様子な どは水の場合と比較して有意差がなかった。

(35)

実験 番号 消火剤 消火時間,他 消火状況・再燃の有無 消炎時間 5 分 15 秒 消火時間 12 分 36 秒 降下開始 7 分 14 秒 TH1 <100℃ 12 分 36 秒 降下開始 6 分 15 秒 TH2 <100℃ 10 分 6 秒 降下開始 2 分 17 秒 TH3 <100℃ 5 分 32 秒 SR5-1 消火剤I 水成膜泡 1.0% 再燃有無 無 消炎時間 5 分 24 秒 消火時間 10 分 0 秒 降下開始 6 分 42 秒 TH1 <100℃ 9 分 22 秒 降下開始 5 分 36 秒 TH2 <100℃ 10 分 0 秒 降下開始 3 分 5 秒 TH3 <100℃ 5 分 20 秒 SR5-2 消火剤I 水成膜泡 1.0% 再燃有無 無 消火剤H より若干発泡性が低い。 水に較べて表面張力が小さいためRDF 内部へ浸 透し易くなることが期待されたが、浸透の様子な どは水の場合と比較して有意差がなかった。 消炎時間 2 分 34 秒 消火時間 14 分 0 秒 降下開始 9 分 0 秒 TH1 <100℃ 14 分 0 秒 降下開始 5 分 5 秒 TH2 <100℃ 12 分 10 秒 降下開始 3 分 23 秒 TH3 <100℃ 9 分 26 秒 SR6-1 消火剤J 第3 種 浸潤剤 100% 再燃有無 無 消炎時間 3 分 5 秒 消火時間 11 分 40 秒 降下開始 7 分 26 秒 TH1 <100℃ 11 分 22 秒 降下開始 5 分 45 秒 TH2 <100℃ 11 分 40 秒 降下開始 3 分 29 秒 TH3 <100℃ 10 分 6 秒 SR6-2 消火剤J 第3 種 浸潤剤 100% 再燃有無 無 水や他の消火剤と比べて、消炎時間が短かった。 浸透の様子などは水の場合と比較して有意差が なかった。

(36)

実験番号:SR1−1

0 100 200 300 400 500 600 700 800 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 時間(分) 温度( ℃) TH3 TH2 TH1

実験番号:SR1−2

0 100 200 300 400 500 600 700 800 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 時間(分) 温度(℃) TH3 TH2 TH1 RDF追加 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓ 消火 ↓ RDF追加 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓ 消火 ↓

(37)

40

実験番号:SR2−1

0 100 200 300 400 500 600 700 800 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 時間(分) 温度(℃) TH3 TH2 TH1

実験番号:SR2−2

0 100 200 300 400 500 600 700 800 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 時間(分) 温度(℃) TH3 TH2 TH1 RDF追加 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓ 消火 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓ 消火 ↓ RDF追加 ↓

(38)

実験番号:SR3−1

0 100 200 300 400 500 600 700 800 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 時間(分) 温度(℃) TH3 TH2 TH1

実験番号:SR3−2

0 100 200 300 400 500 600 700 800 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 時間(分) 温度(℃) TH3 TH2 TH1 RDF追加 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓ 消火 ↓ RDF追加 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓ 消火 ↓ RDF追加 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓ RDF追加 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓

(39)

42

実験番号:SR4−1

0 100 200 300 400 500 600 700 800 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 時間(分) 温度(℃) TH3 TH2 TH1

実験番号:SR4−2

0 100 200 300 400 500 600 700 800 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 時間(分) 温度(℃) TH3 TH2 TH1 予燃終了 消火開始 ↓ 消火 ↓ RDF追加 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓ 消火 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓ 消火 ↓ 消火 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓ RDF追加 ↓

(40)

実験番号:SR5−1

0 100 200 300 400 500 600 700 800 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 時間(分) 温度(℃) TH3 TH2 TH1

実験番号:SR5−2

0 100 200 300 400 500 600 700 800 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 時間(分) 温度(℃) TH3 TH2 TH1 RDF追加 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓ 消火 ↓ RDF追加 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓ 消火 ↓ RDF追加 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓ RDF追加 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓ RDF追加 ↓

(41)

44

実験番号:SR6−1

0 100 200 300 400 500 600 700 800 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 時間(分) 温度(℃) TH3 TH2 TH1

実験番号:SR6−2

0 100 200 300 400 500 600 700 800 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 時間(分) 温度(℃) TH3 TH2 TH1 RDF追加 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓ 消火 ↓ RDF追加 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓ 消火 ↓ RDF追加 ↓ RDF追加 ↓ RDF追加 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓

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RDF火災消火実験 消火実験(小規模実験)

実験番号:SR1 実験番号:SR2 放射 直前 放射 直前 2 分 経過 経過 2 分 4 分 経過 経過 4 分 8 分 経過 経過 8 分 10 分 経過 10 分 経過

(43)

実験番号:SR3 実験番号:SR4 放射 直前 放射 直前 2 分 経過 経過 2 分 4 分 経過 経過 4 分 8 分 経過 経過 8 分 10 分 経過 10 分 経過 13 分 18 秒 消火 10 分 44 秒 消火

(44)

実験番号:SR5 実験番号:SR6 放射 直前 放射 直前 2 分 経過 経過 2 分 4 分 経過 経過 4 分 8 分 経過 経過 8 分 10 分 経過 10 分 経過

(45)

3.9.2 発熱量測定 採取箇所を変えて総発熱量(高位発熱量)を2回測定した。 結果は次の通り。  1回目測定値 : 23,487 (J/g)  2回目測定値 : 22,009 (J/g)  平均値      : 22,748 (J/g) 3.9.3 発熱速度測定 小規模実験(消火実験)に用いる火災模型の発熱速度を測定した。 結果は次の通り。 実験指導・協力(発熱量測定及び発熱速度測定)  独立行政法人 消防研究所 基盤研究部 箭内 火災研究グループ長  独立行政法人 消防研究所 基盤研究部 那波 主任研究官 48 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 90 時間(分) 発熱速度(W)

(46)

3.9.4 本実験(消火実験) 本実験では、RDF貯蔵槽内で温度上昇したRDFを貯蔵槽外に排出した場合において 燃焼した状況を想定し、火災模型を設定した。 本実験結果については小規模実験結果と同様、主として消火開始から熱電対温度測定点 の温度降下開始までの時間(=降下開始時間)に着目し、実験結果を評価する。 いずれの実験ケースでも、上部測定点(TH5)から下部測定点(TH1)へと順に温度降 下を開始しており、火災模型上部から放水した消火水が内部を通過して火災模型全体を冷 却したことがわかる。放水開始後 2∼3 分経過した時点で、火災模型底部の限られた場所 から消火水が滴下し始め、暫時滴下量は増加したが、火災模型底部全面から滴下するには 至らなかった。実験終了後、RDF 内部を目視及び指で触り観察したところ、若干の湿り 気がある程度で、個々の RDF が水分を多く取り込んだ様子はなかった。また、火災模型 の残渣には部分的に「おき」など高温部が残っており、火災模型には消火水が行き届いて いない部分が確認された。(写真3-9-1 参照) 各実験ケースの温度降下開始時間を比較した場合、水と各種消火剤の消火性能の差に有 意差は見られず、実験後の RDF の状態にも差は見られなかった。ただし、消火開始後約 2 分後(消火剤が初期 RDF と追加 RDF の境界層付近の赤熱部に達したと思われる時間) の水蒸気発生量は水と比較して消火剤添加の場合は非常に多くの水蒸気の発生が目視確 認できた。

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点火後 約 55 分(予燃中) 消火開始直後 〔火災模型全体を正面から撮影〕 〔火災模型全体を正面から撮影〕 消火完了後 約 3 分 消火完了後 約 30 分 〔火災模型全体を正面から撮影〕 〔火災模型下部を斜めから撮影〕 写真3-9-1. 赤外線カメラ測定画像 画像は、本実験に先立ち実施した予備実験(実験条件は実験R1 と同条件)において、予燃 中∼消火後のRDF 火災模型の温度を赤外線カメラで撮影したもの。 放水により消火が確認された後も、火災模型残渣には約 90℃の高温部が残ることが確認で きる。

(48)

表3-9-2. 本実験(消火実験)結果一覧 実験 番号 消火剤 消火時間,再燃の有無 消火状況 消火時間 8 分 11 秒 降下開始 5 分 23 秒 TH1 <100℃ 8 分 11 秒 降下開始 5 分 0 秒 TH2 <100℃ 6 分 59 秒 降下開始 3 分 28 秒 TH3 <100℃ 6 分 2 秒 降下開始 2 分 22 秒 TH4 <100℃ 5 分 18 秒 降下開始 1 分 58 秒 TH5 <100℃ 3 分 21 秒 R1 水 再燃有無 無 放水直後から冷却による水蒸気が出始め、放水開 始後2 分 10 秒頃から水蒸気の量が急増した。こ れは、消火水が初期RDF と追加 RDF の境界層付 近(赤熱燃焼している部分)に達したためと思わ れる。 放水開始後2 分 30 秒∼50 秒頃に、火災模型底面 から水が滴下し始めた。これは火災模型内部の金 網筒まで浸透した消火水が金網筒表面を伝って 火災模型底面から滴下したものと思われる。 消火後のRDF は、上部(さほど燃焼していない 部分)∼中下部(十分燃焼している部分)まで RDF 内部は若干の湿気がある程度で、水分を多く 取り込んだ様子はなく、全体的に湿っていた。 但し、火災模型の残渣には部分的に「おき」など 高温部が残っており、火災模型には消火水が行き 届いていない部分が見られた。 消火時間 6 分 50 秒 降下開始 5 分 29 秒 TH1 <100℃ 6 分 50 秒 降下開始 4 分 26 秒 TH2 <100℃ 5 分 50 秒 降下開始 2 分 58 秒 TH3 <100℃ 4 分 30 秒 降下開始 1 分 58 秒 TH4 <100℃ 3 分 38 秒 降下開始 1 分 48 秒 TH5 <100℃ 2 分 55 秒 R2 消火剤F 合成界面 活性剤系 0.5% 再燃有無 無 放水直後から冷却による水蒸気が出始め、放水開 始後2 分 10 秒頃から水蒸気の量が急増した。水 蒸気急増時の発生量は、R1 に較べて多く発生し ていた。 放水開始後2 分 30 秒∼50 秒頃に、火災模型底面 から水が滴下し始めた。 消火後のRDF の状態は R1 と大差ない。 消火時間 5 分 35 秒 降下開始 4 分 30 秒 TH1 <100℃ 5 分 35 秒 降下開始 3 分 30 秒 TH2 <100℃ 4 分 57 秒 降下開始 3 分 3 秒 TH3 <100℃ 5 分 6 秒 降下開始 1 分 58 秒 TH4 <100℃ 4 分 26 秒 降下開始 1 分 51 秒 TH5 <100℃ 3 分 14 秒 R3 消火剤H 水成膜泡 1.0% 放水直後から冷却による水蒸気が出始め、放水開 始後2 分 10 秒頃から水蒸気の量が急増した。水 蒸気急増時の発生量は、R2 と同程度で R1 に較べ て多く発生していた。 放水開始後2 分 30 秒∼50 秒頃に、火災模型底面 から水が滴下し始めた。 消火後のRDF の状態は R1 と大差ない。

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実験番号:R1

実験番号:R2

52

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

0

5

10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80

時間 (分)

温度(℃)

TH5

TH4

TH3

TH2

TH1

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

0

5

10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80

時間 (分)

温度(℃)

TH5

TH4

TH3

TH2

TH1

RDF追加 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓ 消火 ↓ RDF追加 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓ 消火 ↓

(50)

実験番号:R3

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

0

5

10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80

時間 (分)

温度(℃)

TH5

TH4

TH3

TH2

TH1

RDF追加 ↓ 予燃終了 消火開始 ↓ 消火 ↓

(51)

RDF火災消火実験 消火実験(本実験)

実験番号:R1 放射 直後 5 分 経過 1 分 経過 6 分 経過 2 分 経過 7 分 経過 3 分 経過 8 分 経過 4 分 経過 8 分 11 秒 消火

(52)

実験番号:R2 放射 直後 5 分 経過 1 分 経過 6 分 経過 2 分 経過 6 分 50 秒 消火 3 分 経過 4 分 経過

(53)

実験番号:R3 放射 直後 5 分 経過 1 分 経過 6 分 経過 2 分 経過 6 分 32 秒 消火 3 分 経過 4 分 経過

(54)

3.9.5 その他 今回の実験及び実験準備でRDF を取り扱った上で気付いた点を以下に示す。 (1) 今回の火災消火実験に使用した RDF には、紙くずなどのほか、ペットボトルなど のプラスチックごみが含まれており、消火実験後のRDF の燃焼部分は硬く大きな 塊となっていた。そのため、消火実験後の残渣処理で塊を崩す際には、金属製の スコップやバール等を用いる必要があった。 (2) 今回実験に使用した RDF には、厨芥類(生ごみ)は含まれていないが、燃焼後の 残渣を注水冷却した後、屋外所定場所で自然冷却したところ、残渣からは臭気が 漂いハエが寄り付いた。 (3) 実験準備で使用した消火試験後の RDF 残渣(実験前乾燥状態の質量=約 300kg) を金属製火皿内に拡げ、水道ホースで注水冷却,さらに自然冷却した後、フレコ ンバッグ* に収納し、風通しの良い屋外保管場所で 4 日間保管した。 保管終了時、RDF 残渣を収納したフレコンバッグに触診により温度上昇等異常が ないことを確認した後、産業廃棄物処理業者に迅速な処分を指示し、アルミ製の バントラックで最終処分場まで運搬した。最終処分場到着時(=フレコンバッグ 収納5 日後)、RDF 残渣が温度上昇していたことから速やかに RDF 残渣を処分し た旨の報告を受けた。 * 産業廃棄物などを収納する目的で使用される合成繊維製の袋。寸法は 1m×1m ×1m。袋自体には適度な防水性があるが、開口部は紐で綴じるため常時、外 気と通じており、完全密閉されていない。

(55)

3.10 考察 多くのRDF は一般家庭から排出される可燃性ごみを主原料とするが、排出されるごみが常 に均質でないことや、自治体によりごみの分別方法が異なるため、RDF の製造時期さらには 製造施設毎にRDF の性質が異なる。今回実験で使用した RDF も一般家庭から排出された可 燃ごみ(紙,プラスチック,ゴム,木などを含み、厨芥類などは含まない)を原料としたもの であるが、実験を実施するにあたり、実験に用いた RDF とは別の RDF(厨芥類を含む一般 家庭から排出された可燃ごみから製造されたもの)を用いて燃焼特性の違いなど、RDF の違 いが今回の実験結果に与える影響を検討した。その結果、予燃時の燃焼状況,消火状況,消火 後の状況に有意差は見られず、今回選定したRDF で実験を実施しても問題ないと判断した。 今回の実験では、消火実験中の煙発生量など水と消火剤の浸透力の違いによるものと思われ る差は見られたものの、水と各種消火剤の消火性能に有意差は見られず、いずれの場合でも大 差なく注水の時間経過とともに消火水が火災模型の下部に浸透し、火災模型内部を冷却するこ とが確認された。 なお、今回の実験では実験実施上の制約もあり消火後の再燃確認時間を10 分としたが、火 災発生後に一度消火したRDF であっても、時間経過後に RDF が昇温,再燃する可能性もあ り、RDF の再燃確認においては、消火後 10 分の確認で十分であるとするものではない。 RDF 火災は深部火災の様態を示すことから表面火災を消火してもなお深部では「おき」の 形態で火災が残存するため、深部まで十分消火水を浸透させる必要がある。今回の実験でも確 認された通り、火災箇所上部から放水するだけでは内部に部分的な「おき」などの高温部が残 り、完全に火災を冷却,消火できないおそれがある。このため、RDF 火災消火の際には重機 等を用い、火災箇所をかき出して注水するなど、より確実な方法で深部まで十分消火水を浸透 させ、冷却・消火する必要がある。さらに、水を用いた冷却・消火後も、吸水したRDF 未燃 焼部分が時間経過とともに発酵,発熱することが懸念されるため、冷却・消火後は、その場に 放置することなく、できるだけ速やかに適切な方法でRDF を廃棄処理することが必要である。 なお、何らかの事由により注水後のRDF を放置する場合は、発酵,発熱を抑制するため、内 部温度を確認しながら、注水による冷却を継続する等の配慮が必要と思われる。 RDF は加熱により、メタン,水素,一酸化炭素等の可燃性ガス及び有毒ガスを発生するこ とや、上記の理由により鎮火後も継続してそれらのガスが発生する可能性があるため、消火活 動にあたっては、火災現場での火気管理や保護具の装着など、可燃性ガスによる爆発や中毒に 十分留意する必要があると考える。 また、今回の小規模実験と本実験では、測定結果データ(表 3.10.1 参照)及び目視観察結 果において、水及び各種消火剤の消火性能に有意差は見られず、同様の傾向を示した。

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表3.10.1. 消火実験結果比較 消火剤 小規模実験* 本実験 TH1 降下開始 6 分 35 秒 5 分 23 秒 TH2 降下開始 4 分 30 秒 5 分 0 秒 TH3 降下開始 3 分 15 秒 3 分 28 秒 TH4 降下開始 ― 2 分 22 秒 水 TH5 降下開始 ― 1 分 58 秒 TH1 降下開始 9 分 3 秒 5 分 29 秒 TH2 降下開始 7 分 24 秒 4 分 26 秒 TH3 降下開始 5 分 0 秒 2 分 58 秒 TH4 降下開始 ― 1 分 58 秒 消火剤F TH5 降下開始 ― 1 分 48 秒 TH1 降下開始 6 分 29 秒 4 分 30 秒 TH2 降下開始 5 分 40 秒 3 分 30 秒 TH3 降下開始 2 分 44 秒 3 分 3 秒 TH4 降下開始 ― 1 分 58 秒 消火剤H TH5 降下開始 ― 1 分 51 秒 * 小規模実験は、実験 1 回目の測定値を引用した。

表 3-4-1.  小規模実験(消火実験)結果一覧  実験番号  消火剤  消火時間  再燃  消火状況  SNT1-1 6 分 34 秒  無  SNT1-2 6 分 52 秒  無  SUT1-1 8 分 41 秒  無  SUT1-2  水  11 分 55 秒  無  水が燃焼物表面にはじかれ滴下するため、燃焼物表面での水の拡散性は低い。立体部裏側(散水障害部分)への水の拡散が少ないため、立体部裏側の燃焼が継続する。燃焼部への直接散水による消火効果は他消火剤と差がない。 消火水の新品タイヤと中古タイ
表 3-4-2.  本実験(消火実験)結果一覧  実験  番号  消火剤  消火時間,他  消火状況・再燃の有無  消火時間  3 分 36 秒  (指定範囲  2 分 29 秒)  (自由放水  1 分     7 秒)  放水量  216  L  再燃有無 11 分 50 秒  放射照度比  1/6 T1 水  抑制速度 13.9 W/m2 ・sec  集中的に直接放水した部分はある程度火炎が抑制されるが、散水障害となる部分は火炎が抑制できない。直接放水の届く場所であっても、タイヤ内側は散水障害となるた
表 3-9-1.  小規模実験(消火実験)結果一覧  実験  番号 消火剤  消火時間,他  消火状況・再燃の有無  消炎時間  4 分 33 秒  消火時間 10 分 20 秒  降下開始  6 分 35 秒  TH1  &lt;100 ℃  10 分 20 秒 降下開始  4 分 30 秒  TH2  &lt;100℃  8 分 26 秒  降下開始  3 分 15 秒  TH3  &lt;100 ℃ 7 分 58 秒SR1-1 水  再燃有無  無  消炎時間  4 分 12 秒  消火時間 13 分
表 3-9-2.  本実験(消火実験)結果一覧  実験  番号 消火剤  消火時間,再燃の有無  消火状況  消火時間  8 分 11 秒  降下開始  5 分 23 秒  TH1  &lt;100℃  8 分 11 秒  降下開始 5 分 0 秒 TH2  &lt;100℃  6 分 59 秒  降下開始  3 分 28 秒  TH3  &lt;100℃  6 分 2 秒  降下開始 2 分 22 秒 TH4  &lt;100℃  5 分 18 秒  降下開始  1 分 58 秒  TH5  &lt;10
+2

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