• 検索結果がありません。

図表 1 人口と高齢化率の推移と見通し ( 億人 ) 歳以上人口 推計 高齢化率 ( 右目盛 ) ~64 歳人口 ~14 歳人口 212 年推計 217 年推計

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "図表 1 人口と高齢化率の推移と見通し ( 億人 ) 歳以上人口 推計 高齢化率 ( 右目盛 ) ~64 歳人口 ~14 歳人口 212 年推計 217 年推計"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1

少子高齢化で労働力人口は 4 割減

労働力率引き上げの鍵を握る働き方改革

○ 2016年の労働力人口は6,648万人、労働力率は60%であるが、男女別、年齢5歳階級別の労働力率を 同じとすれば2065年の労働力人口は4,000万人弱と約4割減少し、労働力率は50%程度まで低下する ○ 2065年の労働力率を現状と同程度とするには、就業希望がありながら求職していない人の就労が達 成された上で、女性の労働力率を男性並みに引き上げる必要がある ○ 労働力率の引き上げを実現できるかどうかは、「病気の治療と仕事の両立」「育児と仕事の両立」 が可能となる就業環境を整えるなど、「働き方改革」の着実な実施にかかっている

1.日本の人口と労働力人口の見通し

(1)将来の高齢化率は 4 割程度へ 国立社会保障・人口問題研究所は2017年4月10日に「日本の将来推計人口」を発表した。将来推計人 口は、5年に一度実施される国勢調査の結果を出発点として行われるが、今回は2015年の国勢調査の確 定数が公表されたことを受けて新たな人口推計が実施された。 2017年の「将来推計人口」によると、我が国の人口は、0~14歳の年少人口、15~64歳の生産年齢人 口が減少していくなかで、65歳以上の老年人口は当面増加し続ける見通しである。また、人口に占め る65歳以上人口の割合(高齢化率)は年々拡大し続け、2015年の26.6%から2065年には38.4%(約4 割)となる見通しが示された(図表1)。 今回の推計では、近年の30歳代から40歳代の出生率の実績が上昇したことなどを受けて、合計特殊 出生率1が上昇する前提とされたことから、将来の高齢化率は前回2012年1月推計(2060年に39.9%) よりはやや低下する見通しとなった。前回推計では高齢化率が38.4%(2017年推計の2065年時点の高 齢化率)となるのは2048年であり、今回推計ではそれより17年遅れる見通しとなったものの、それで もなお将来の高齢化率は高水準となることに変わりはない(図表1)。 (2)労働力人口は現在より 4 割減少 総務省「労働力調査年報」(2016年)によると、2016年の労働力人口は6,648万人であった。男女別、 年齢5歳階級別の労働力率(それぞれの年齢階級の人口に占める労働力人口の割合)が2016年と同じと して、2017年の「将来推計人口」から将来の労働力人口を算出すると、2065年には3,946万人となり、 2016年と比較して4割ほど減少する見通しである(図表2)。 なお、男女別、年齢5歳階級別の労働力率が同じでも、高齢化が進むことから全体の労働力率は、2016 年の60.0%から2065年には49.9%へと低下する(図表2)。 政策調査部上席主任研究員 堀江奈保子 03-3591-1308 naoko.horie@mizuho-ri.co.jp

政 策

2017 年 5 月 31 日

みずほインサイト

(2)

2 図表 1 人口と高齢化率の推移と見通し (注)2015年までは実績、2020年以降は推計。 (資料)総務省「国勢調査」(各年版)、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(2012年1月推計、2017年4月推計) より、みずほ総合研究所作成 図表 2 労働力人口と労働力率の見通し (注)2016年は実績。2020年以降は、男女別、年齢5歳階級別の労働力率を2016年と同じとして算出(75歳以上は、2016年の75歳以上 の労働力率を75~79歳の労働力率とし、80歳以上はゼロとして算出)。 (資料)総務省「労働力調査年報」(2016年)、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(2017年4月推計)より、みずほ 総合研究所作成 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1950 55 60 65 70 75 80 85 90 95 2000 05 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 (%) (億人) (年) 65歳以上人口 15~64歳人口 0~14歳人口 高齢化率 (右目盛) 2012年推計 2017年推計 推計 6,648 6,404 6,149 5,880 5,587 5,268 4,942 4,640 4,382 4,157 3,946 60.0 58.1 56.7 55.5 54.4 53.2 52.0 50.9 50.2 49.9 49.9 0 10 20 30 40 50 60 70 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000 2016 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 (%) (万人) (年) 労働力人口 労働力率(右目盛)

(3)

3

2.就業希望のある非労働力人口

(1)非労働力人口の 8.6%は就業希望者 総務省「労働力調査年報」によると、2016年の非労働力人口4,418万人のうち、就業を希望していな がら求職していない就業希望者は380万人(男性106万人、女性274万人)と、非労働力人口の8.6%を 占める2。非労働力人口のうちの就業希望者の推移をみると、2000年代初めには500万人を超えており、 非労働力人口に占める割合も12%強であったが、2000年代後半以降徐々に減少しつつある。 就業を希望していながら求職していない理由としては、男性は「適当な仕事がありそうにない」が 32.6%、「健康上の理由のため」が27.4%と多く、女性は「出産・育児のため」が33.0%、「適当な 仕事がありそうにない」が28.7%と多い(図表3)。 (2)労働力率と希望労働力率の乖離 男女別、年齢5歳階級別に2016年時点の実際の労働力率と、非労働力人口のうちの就業希望者全てが 労働力人口となった場合の「希望労働力率」を比較すると、男性は、若年層と60歳代で両者にやや差 がみられる(図表4左)。一方、女性については、若年層と60歳代では両者に男性と同程度の差がみら れることに加え、男性ではほとんど両者の差がみられない20歳代後半から50歳代で差がみられる (図表4右)。特に30歳代の差が大きく、30~34歳で9.8%ポイント、35~39歳で10.5%ポイント、 図表 3 就業希望者の非求職理由 (資料) 総務省「労働力調査年報」(2016年)より、みずほ総合研究所作成 図表 4 年齢階級別の労働力率と希望労働力率(2016 年) (注)希望労働力率は、労働力人口と非労働力人口のうち就業希望者の合計が人口に占める割合。 (資料) 総務省「労働力調査年報」(2016年)より、みずほ総合研究所作成 28.7 32.6 33.0 6.1 3.2 14.2 27.4 18.0 36.8 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 女性 男性 (%) 適当な仕事がありそうにない 出産・育児のため 介護・看護のため 健康上の理由のため その他 0 20 40 60 80 100 (%) 希望労働力率 労働力率 0 20 40 60 80 100 (%) 希望労働力率 労働力率 <男性> <女性>

(4)

4 希望労働力率が実際の労働力率を上回っている。

3.就業希望が実現した場合の労働力人口

(1)就業希望が実現すれば労働力率は 63.5%と 3.5%ポイント上昇 非労働力人口のうち、就業希望者380万人の全てが労働力人口になった場合の労働力率(希望労働力 率)は、2016年時点で63.5%と、労働力率の実績(60.0%)より3.5%ポイント上昇する。 (2)希望労働力率が実現すると 2065 年の労働力率は 52.7%へ 希望労働力率が実現した場合の2065年時点の労働力人口を「将来推計人口」から算出する。2016年 の男女別、年齢5歳階級別の労働力率と同じであれば前述の通り2065年の労働力人口は3,946万人まで 減少するが(図表5の2065年①)、2016年の希望労働力率と同じとすれば4,165万人となる(図表5の2065 年②)。 労働力率でみると、2016年の男女別、年齢5歳階級別の労働力率と同じ場合の2065年①は49.9%とな るのに対して、2016年の希望労働力率と同じとした場合の2065年②は52.7%とやや上昇するものの 2.8%ポイントの上昇にとどまる。2065年時点の労働力率は、希望労働力率が実現したとしても、2016 年の実績60.0%と比較すると7.3%ポイント低下する。 (3)女性の労働力率が男性と同じになれば 2065 年の労働力率は 57.2%へ 女性の労働力率を男性の労働力率並みに引き上げることができれば、2065年の労働力率は2016年の 実績60.0%に近づく。2065年の男女別、年齢5歳階級別の労働力率を、男性は2016年の希望労働力率と し、女性は2016年の男性の労働力率と同一とすると、2065年の労働力人口は4,527万人、労働力率は 57.2%となる(図表5の2065年③)。 図表 5 労働力人口と労働力率 (注)2065年①は、男女別、年齢5歳階級別の労働力率が2016年と同じ場合。 2065年②は、同希望労働力率が2016年と同じ場合。 2065年③は、男性は②と同じ、女性は男性の2016年の労働力率と同じ場合。 2065年④は、男女とも男性の2016年の希望労働力率と同じ場合。 (資料)国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(2017年4月推計)、総務省「労働力調査年報」(2016年) より、みずほ総合研究所作成 6,648 3,946 4,165 4,527 4,589 60.0 49.9 52.7 57.2 58.0 0 10 20 30 40 50 60 70 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 2016年 (実績) 2065年 ① 2065年 ② 2065年 ③ 2065年 ④ (%) (万人) 労働力率 (右目盛) 労働力 人口

(5)

5 また、男女とも2016年の男性の年齢5歳階級別の希望労働力率と同じになれば、2065年の労働力人口 は4,589万人、労働力率は58.0%まで上昇する(図表5の2065年④)。 したがって、将来の労働力率を現状と同じ程度とするには、現状の希望労働力率を実現させるだけ では不十分であり、女性の労働力率を男性並みに引き上げることも課題になる。

4.労働力率の引き上げに向けて

今後、労働力率を引き上げるには、まず、就業希望者が就業できる環境を整えることが必要である。 前掲図表3でみた通り、男女ともに本来、就業希望がありながら「適当な仕事がありそうにない」こ とを理由に求職していない人が多いが、この点については職業紹介の仕組みの見直しや労働需給のマ ッチングに向けた取組強化、時間や場所に関する柔軟な働き方の拡充などの実施が求められる。 また、男性では「健康上の理由のため」を挙げる人が多い。健康状態により状況は異なるものの、 病気の治療をしながら就業を継続することが可能な場合も少なくない。政府の働き方改革実現会議は 2017年3月に「働き方改革実行計画」を決定したが3、同計画では非正規雇用の処遇改善や長時間労働 の是正などとともに「病気の治療と仕事の両立」も改革項目の一つとして掲げられている。厚生労働 省によると、労働者の約3人に1人が何らかの疾病を抱えながら働いている。今後、労働者の平均年齢 が上がっていくことを考えれば、疾病を抱えながら働く人の割合はさらに拡大することが予想される。 病気の治療と仕事の両立が難しい理由としては、仕事を続けることに関して職場の理解が乏しいこと などが指摘されている。企業の意識改革を早急に進めるとともに、柔軟な働き方の導入をはじめとす る社内制度の整備を促すことが必要であろう。 一方、女性は、希望労働力率と実際の労働力率の差が大きい30歳代を中心とした子育て世代に対す る対策が急務である。育児と仕事の両立については、「働き方改革実行計画」において待機児童の解 消などについて言及されている。ただし、前述の通り、女性の労働力率を男性と同程度に引き上げな ければ、将来の労働力率を現状並みとすることはできない。待機児童の解消にとどまらず、非正規雇 用の処遇改善や、残業を前提とした正社員の働き方の見直しを進めることなどにより、女性の就業希 望者を増加させる視点が欠かせない。 高齢者の就業に関しては、2010年代以降、65~69歳の就業率の上昇が顕著であるが、70歳以上の就 業率はほとんど変化がない(図表6)。 図表 6 65 歳以上の就業率の推移 (資料)総務省「労働力調査年報」(各年版)より、みずほ総合研究所作成 36.2 42.8 15.4 13.7 0 10 20 30 40 50 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (%) (年) 65~69歳 70歳以上

(6)

6 「働き方改革実行計画」では、高齢者の就業促進のポイントは、年齢に関わりなく公正な職務能力 評価により働き続けられる「エイジレス社会」の実現であると指摘されている。しかし、企業による 雇用延長の拡大では、70歳以降の雇用を全面的に確保することは当面困難であると考えられる。定年 のない働き方をする就業者数を増加させることで中長期的な高齢者の就業拡大を目指すことも重要で あろう。 今後の労働力率の引き上げの実現は「働き方改革」の進捗にかかっているといえよう。 1 15 歳から 49 歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの。 2 詳細集計による。 3 働き方改革実行計画の決定後は、労働政策審議会において本実行計画を前提に審議が行われ、政府は関係法律案等を 早期に国会に提出する方針である。 ●当レポートは情報提供のみを目的として作成されたものであり、商品の勧誘を目的としたものではありません。本資料は、当社が信頼できると判断した各種データに 基づき作成されておりますが、その正確性、確実性を保証するものではありません。また、本資料に記載された内容は予告なしに変更されることもあります。

参照

関連したドキュメント

大分県国東市の1地区の例 /人口 1,024 人、高齢化率 53.1% (2016 年 4

PAD)の罹患者は60歳では人口の7.0%に,80歳では 23.2%にのぼるとされている 1) .本邦では間欠性跛行

中学生 高校生 若年者 中高年 高齢者 0~5歳 6~15歳 16~18歳 19~39歳 40~65歳

都内人口は 2020 年をピークに減少に転じると推計されている。また、老年人 口の割合が増加し、 2020 年には東京に住む 4 人に

1 人あたりの GNI:510US ドル 面積:75.3 万㎢(日本の約 2 倍). 人口:1,735 万人 (2018 年

 2018年度の実利用者92名 (昨年比+ 7 名) ,男性46%,女 性54%の比率で,年齢は40歳代から100歳代までで,中央 値は79.9歳 (昨年比-2.1歳)