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Ⅰ.はじめに
以下の 2 つの欲求をどう高次統一するか,そのため 経済学習をどう役立たせるかを論じたい。 ①社会の進路を拓く力をもつ後継者を育てたい: ESD(持続可能教育),「軍縮と平和教育」,PISA 型学力 ②まずは適正な収入の得られる就職口をゲットし, 自己の進路を拓きたい(その極北―Best Buy 要 求を掲げる消費者(教育投資家)に選んでもらえ る「学校教育」を) 1.何のために 「つながりを取り戻す 21 世紀」の「進路を拓く力」 とは ◇志が高い ◇考える範囲,行動する範囲,助けてくれる友人の 範囲が広い ◇システム思考ができる(罪を憎んで人を憎まな い) ◇上から目線でない ◇愛嬌のある(つぎも一緒に仕事したい)人 ◇楽で得な生き方をしたいという幼児期欲求の段階 を卒業した人 ◇ボランティアマインドのある人 宮沢賢治,金子みすず,山本美香さん…… 2.誰のどんな願いをふまえつつ ◇「分離・分断の 20 世紀」の知的遺産を連結し, 各断片を全体図のなかに位置づけたい。 ◇「自分って何?どこから来たの,どこへ行くの」 ─ヒトとしてのアイデンティティを早期に確立 し,早く大人になり,現実と触れあいたいという 欲求に火をつける。 ◇初年次の動機づけ教育・サービスラーニング教育 の重要性 3.何を ①自然と社会の大恩を前に「謙虚に成熟」し,② 「経済正義」を具現した「より良い社会」を見いだし, ③そこへ平和的に移行するために必要な「エコノミッ ク・リテラシー」の中身を再吟味・再編・再体系化す る。 4.どこまで 児童期・中高・大学・大学院・社会人教育に求めら れる「経済教養」の区別と接続を考えよう。 5.どのようにして─学ぶシステムの転換 ①松下村塾の先例に学ぶ:泉に連れていき,いっ しょに良水を呑む ②学びと実践の期間を有機的につなぐ:ギャップイ ヤーと世界放浪,鑑識眼を磨く ③共通普遍教育の拡充,学部・教科の壁を下げる, 教養専門の自在な学び方 6.同志・同行者への教員の自己変革─BE THE CHANGE:My Life is my Message◇「経済正義振興のための奨学基金」を作り,学生 と社会に施しませんか ◇「はじめに」の問いに戻ると:①型欲求の学びを 追求すれば,結果的に②型の欲求も実現する。人 生のテーマ(目的地)をはっきりさせることが先 決。そのための手段(マネー)は自づから明確と なるはず。
自己と社会の進路を拓く力とは何か,
経済学習の醍醐味をどう伝えるか
―本学会での模索と私の実践の歩みから考える―
The Journal of Economic Education No.32, September, 2013Nurturing the Path-Breaking Power for Students and Society
Fujioka, Atsushi
藤岡 惇(立命館大学)
The Japan Society for Economic Education
16 シンポジウム 論 考 投稿原稿 会務報告 大会報告 資料 経済教育学会大会の略史(1981 〜 2011 年) Ⅰ 前史(単発の研究集会の時代─嘆きから交流へ─,1981−84 年の 4 回の研究集会) 1981 年 09 月 26 日 学生実態の様変わりとカリキュラム改革をめぐる諸問題について議論された。 Ⅱ 経済学教育研究会の時代(1985 〜 1987 年─「現代経済をどう教えるか」へ) 1985 年 11 月 03-04 日 第 1 回創立大会「これからの経済学教育」立命館大学 Ⅲ 経済学教育学会の時代(1988 〜 2002 年,嘆きから創造へ,学生とともに) 1988 年 11 月 19-20 日 第 4 回大会「現代経済をどう教えるか」静岡大学人文学部 1993 年 10 月 02-03 日 第 9 回大会「経済学教育への期待と提言」千葉商科大学 1995 年 11 月 25-26 日 第 11 回大会「経済学教育の再設計─家族・環境・人権の視点から」 1997 年 11 月 22-23 日 第 13 回大会「社会体験にねざし進路を拓く経済学教育─「教え」と「学び」の結合をめ ざして─」広島女子大学 1998 年 11 月 28-29 日 第 14 回大会「時代閉塞を打開する力とは何か,これをどう育てるか」早稲田大学 1999 年 11 月 13-14 日 第 15 回大会「学生と地域の実態から出発し,経済問題を解決する力を育てる─ 21 世紀 の課題に応える経済学教育の再設計をめざして」富山大学 2000 年 11 月 25-26 日 第 16 回大会「学びの創造─学生主体の経済学教育─」松山大学共通論題で 200 名,参加 総数は 300 名近く。小集団・ゼミ活動に焦点 2002 年 11 月 16-17 日 第 18 回大会「真に社会に役立つ経済教育とは─学生たちの力を引き出す実践に学ぶ─」 京都大学経済学部 Ⅳ 経済教育学会の時代(2003 〜 2012 年,市民のための経済教養の中身の探求へ) 2004 年 12 月 04-05 日 第 20 回大会「学生・地域・社会の期待と経済教育─理想の学び舎を求めて」松本大学 2005 年 12 月 03-04 日 第 21 回大会「何のために何を―エコノミック・リテラシーの内容を問う」弘前大学。 「目的と内容」論を正面からとりあげ,予稿集の発行 2008 年 12 月 06-07 日 第 24 回大会「まちづくりの経済教育」亜細亜大学 2010 年 09 月 25-26 日 第 26 回大会「今日の厳しい状況のもとで働く意味・意義をどう捉えるか」京都橘大学 2011 年 10 月 01-02 日 第 27 回大会「今こそ生きる力を育む経済教育を─震災を乗り越えて─」椙山女学園大学
The Japan Society for Economic Education