多職種協働の実践をめざして
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(2) 648. 理学療法学 第 42 巻第 8 号. 中 110 校(20%)で職種ごとに実施校数 / 回答校数(割合%). ようにしている。さらに団地住民の健康課題の解決にあたるた. で表すと医師 8/13(61.5 %), 看 護 師 40/223(17.9 %), 薬 剤. め“まちかど保健室”を開設し健康相談や公開講座を実施し,. 師 11/34(32.4%), 理 学 療 法 士 15/55(27.3 %), 作 業 療 法 士. そこでの活動の一部として学生とともに団地内のウォーキング. 18/43(41.9%)という結果でまだ多職種連携教育の実践には課. マップなども作成している。医療人としての資格を取得する前. 題があるものと思われた。第 47 回日本医学教育学会で春田ら. の専門職連携教育では市民との交流やチームとしての目標を明. は医師に対する認知度調査“医師の「職種に対する認知度・被. 確にした自主的な活動を通して一歩踏みだす力の涵養が大切な. 認知度」の 2 次元マッピングによる分析”を報告した。その中. 目的になるものと考えている。. で医師にとって看護師や薬剤師は認知度・被認知度が高く,心 理士や精神福祉士に関しては認知度・被認知度が低かった。理. ま と め. 学療法士はその中間に位置する,とされていた 8)。協働を充実. 多職種協働のためには,“職種間の垣根”を低くする必要が. したものにするため多職種間の認知をさらに高めてゆく必要が. ある。そのためには早期から協働の場に身を置くような教育環. ある。. 境をつくり,患者・利用者にかかわる医師・理学療法士などが. 多職種協働に向けた私たちの試み 本学は医療系総合大学として医学部,医療科学部で医学科, 看護学科,リハビリテーション学科など 7 学科の学生が同じ キャンパスで活動している。そして建学以来,専門職連携教育 に力を注いでおり,全学の共通学科として“アセンブリ”とい う教科を実施している。この教科は教員,学生がともに活動す るチーム活動を通して社会人基礎力を身につける,などを目 標としている。1 年次には運動・文化・研究などの班活動と初 期救命救急法,衛生手洗い,震災時の心理的初期対応,搬送 法の全学活動を行い,2 年次には“炊きだしボランティアを行 う”“1 年次行っていたスポーツを通して知的障害をもつアス リートの支援を行う”などチーム毎のテーマで活動する。医療 の知識を身につけてきた 3・4 年次には Team Based Learning (TBL)という学習手法を用い学生 600 名がいろいろな学科混 成の 90 チームでチームワークを行っている 9)。ここでは地域 指向型で健康問題などの課題を取り上げている。また大学とし て最初に設置された地域包括ケア中核センター(センター長 金田嘉清)は豊明市,日本都市機構(UR)と包括協定を締結し, 団地内に教員,学生が部屋を借り住みこんで市民と交流をもつ. 顔が見える関係を構築する努力が必要になると思われる。. 文 献 1) 厚生労働省:第 1 回介護施設等の在り方委員会.平成 18 年 9 月 28 日,資料 4. 2) 国立社会保障・人口問題研究所:日本の世帯数の将来推計─平成 15 年 10 月推計─.2003. 3) 秋山弘子:長寿時代の科学と社会構想.科学.2010; 80(1): 59–64. 4) 厚生労働省ホームページ.http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/ bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/(2015 月 10 年 25 日引用) 5) 日本学術会議臨床医学委員会老化分科会:よりよい高齢社会の実 現を目指して─老年学 ・ 老年医学の立場から─.2011. 6) Thistlethwaite JE, Forman D, et al.: Competencies and Frameworks in Interprofessional Education: A Comparative Analysis. Acad Med. 2014; 89(6): 869–875. 7) 国立大学法人三重大学:地域の医療・介護を支える「多職種連携 力」を持つ中核的専門人材育成プログラム開発事業~成果報告 書~ 平成 25 年度 文部科学省委託,成長分野等における中核的 専門人材養成の戦略的推進事業.2013. 8) 春田淳志,大石 愛,他:医師の「職種に対する認知度 / 非認知度」 の 2 次元マッピングによる分析.医学教育.2014; 45: 148. 9) Ohtsuki M, Matsui T: Large-scale team – based learning for interprofessional education in medical and health sciences. Medical Teacher. 2014; 36: 450–453..
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