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食品 飲 料 株式会社福光屋 石川県金沢市 マルチブランド戦略と化粧品などの開発で経営の多角化に取り組む老舗酒造メーカー 米発酵技術を生かした化粧品 発酵食品の開発や日本酒の国内外向け直営店を展開 わかりやすくインパクトのあるネーミングで海外展開を図るマルチブランド戦略 産学官連携による共同開発で米

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食品・飲料 1.米発酵技術を生かした化粧品・発酵食品の開発や日本酒の国内外向け直営店 を展開  株式会社福光屋は、1625年に創業した金沢市で最も長い歴史を持つ酒造メーカーである。 1960年から農家と共同で土づくりから取り組んでいる契約栽培米と、霊峰白山の麓より百 年の歳月をかけて蔵に辿り着く清冽な百年水を仕込み水として、2001年から全てを米と水 だけの純米造りに切り替えた純米蔵である。日本酒の未来を見つめ、純米酒、純米吟醸酒、 純米大吟醸だけを生産。「伝統は革新の連続なり」の精神で、お客様のライフスタイルに 合わせた新商品を開発している。  食文化の多様化や若年層の酒離れなどにより、日本酒に限らずアルコールの消費は右肩 下がりとなっている中、長年培ってきた米発酵技術を生かした化粧品や発酵食品の開発、 日本文化としての日本酒を国内外に発信するために直営店を展開するなど、経営の多角化 への取り組みや、和食が無形文化遺産に登録されるなど、海外での和食ブーム等により、 当社では前年比20%増の生産計画を達成。 2.わかりやすくインパクトのあるネーミングで海外展開を図るマルチブランド 戦略  日本酒は、北陸地域で流通する「福正宗」を主力商品にしていたが、全国展開を図るた め、現社長就任後にマルチブランド戦略を策定。酒蔵の多くは、一銘柄に、本醸造、純米 酒、吟醸酒…といったような形で商品を展開しているが、同社は全く違う酒蔵をイメージ するかのように、顔も味わいも異なる多数のブランドで商品を展開。ユーザーにわかりや すく、しかもインパクトがあるネーミングの考案に心がけている。「加賀鳶」は、首都圏 進出を目的に開発した商品であることから、金沢ブランドを前面に押し出したもの。「黒帯」 は、登録店制度を採用し、口コミ戦略で広げていく希少価値をねらった商品。「風よ水よ 人よ」は、女性をターゲットに開発した商品であり、日本酒をイメージさせないネーミン グで女性から好評を博している。  1996年からは日本酒の海外展開を図っており、主に中国をはじめとするアジア諸国、米 国、欧州及びオセアニア地域をターゲットに、自社製品を守る目的で7年ほど前から商標 出願に着手。欧米、中国等に輸出している「加賀鳶」などの銘柄名については、順次海外 での商標登録を進めている。手続は、国内特許、国内商標、外国出願を3名で分担してお り、出願前の先行技術・商標調査はJ-PlatPatを活用して行い、特許事務所にも調査を依頼 してダブルチェック。化粧品分野への進出にあたっては、開発した商品名を商標で権利を 取得するようにした。

株式会社福光屋

(石川県金沢市)

=マルチブランド戦略と化粧品などの開発で経営の多角化に取り組む老舗酒造メーカー=

⃝米発酵技術を生かした化粧品・発酵食品の開発や日本酒の国内外向け直営店を展開 ⃝わかりやすくインパクトのあるネーミングで海外展開を図るマルチブランド戦略 ⃝産学官連携による共同開発で米発酵技術を生かした化粧品などの製品化に成功

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食品・飲料 株式会社福光屋 (石川県金沢市) 3.産学官連携による共同開発で米発酵技術を生かした化粧品などの製品化に成功  同社は、大学、企業等との共同研究にも積極的であり、中でも、産業クラスター計画「北 陸ものづくり創生プロジェクト」に参画し開発したコメ発酵液により、安全性・有効性に 優れた化粧品「アミノリセ」等の製品化に成功。アルコール分が含まれないコメ発酵液は、 特許の取得により独占的に事業化しており、通信販売を通じて売上5億円までに成長して いる。また、石川県、企業、大学等が連携して実施してきた「石川県の伝統発酵食品の発 酵メカニズムを解明し、新たな機能性食品の開発を目指す」プロジェクトでは、ヨーグル ト風味の乳酸菌ドリンク「ANP71」を商品化。特許は大学が出願し、同社は商標を出願 した。  日本弁理士会主催の知財フォーラムでは、同社の「ブランド戦略」を講演するなど、長 期低迷が続く日本酒業界における積極的なブランド展開や技術の特許化に声を上げている。 名称及び代表者 株式会社福光屋 代表取締役社長 福光 松太郎 本 社 所 在 地 石川県金沢市石引2-8-3 資 本 金 3,200万円   従 業 員 数 103名 事 業 内 容 日本酒、焼酎、リキュール、調味料、醗酵食品、化粧品などの製造、販売 電 話 番 号 076-223-1161 U R L http://www.fukumitsuya.co.jp/

◉会社概要

▲「コメ発酵液化粧品」 ▲「風よ水よ人よ」 ▲「加賀鳶」 【株式会社福光屋の商品例】

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1.新しい製品・サービスを生み出すためにイノベーションを追求し世界№1を 目指す  富士化学工業株式会社は、原薬・医薬の受託製造に加え、自社ブランドの賦形剤・医薬 品の製造・販売及び機能性素材の原料製造・販売を行う医薬品メーカーである。医薬品製 造業を地場産業とする富山県に本社・工場を構え、グローバルに事業展開している。  同社の事業は、原薬・医薬事業(治療)とライフサイエンス事業(未病)に大別される。 原薬・医薬事業では、治療で健康を取り戻す医薬品の開発・製造に携わりながら、スプレー ドライ加工(噴霧乾燥させる造粒法により体内吸収を高める効果)技術による受託製造な ど、長年培った技術・ノウハウを活かした付加価値の高いサービスを提供。機能性を付加 するスプレードライ加工において高度な技術と世界有数の設備を有しており(量産レベル では世界で同社を含む2社のみ)、スプレードライ加工の受託製造サービスでは世界トッ プクラスのシェアを占めている。  ライフサイエンス事業では、予防医療やアンチエイジングの分野で注目され始めている 天然アスタキサンチン(抗酸化成分)や原薬・医薬事業での製剤技術を活かしたバルクや 健康食品の開発に取り組んでいる。1994年に世界で初めてヘマトコッカス藻由来の天然ア スタキサンチンの商業的生産に成功し、2015年には米国ワシントン州で生産高を2倍にし た工場を完成して世界中に安定した供給を続けている。 2.製品ごとに戦略的に特許を取得することで他社の追随を許さない強靱な特許 網を構築  「アスタリール®」は、同社が提供する天然アスタキサンチン原料のブランドである。ア スタキサンチン関連の特許を数多く出願し、水溶性製剤、高濃度オイル、サプリメント、 焼成食品といった製品ごとに戦略的に権利化することで、他社の追随を許さない強靱な特 許網を構築。加速度的に伸びているライフサイエンス事業は、全て「アスタリール®」の 開発・ブランド戦略によるものと言える。近年では、アスタキサンチンの健康増進作用に 関するパテントマップを独自に作成し、高血糖、肥満、血管疾病など、生活習慣病の予防 医学分野におけるアスタキサンチンの効果にターゲットを絞り、大学との共同研究を進め ている。  新製品開発の際には、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)や有料データベース、海 外特許庁等のデータベース等による先行技術調査を必ず行う。知財担当者だけではなく開 発担当者も行うことで、知的財産の重要性を理解することにつながっている。オリジナル 製品である口腔内崩壊錠用賦形剤(水なしで溶ける錠剤)「エフメルト®」の開発にあたっ ては、その初期段階で口腔内崩壊錠用に関する約200件の国内外の先行技術を抽出・整理。

富士化学工業株式会社

(富山県中新川郡上市町)

=世界中の人々の健康づくりへ貢献できるよう挑戦を続ける医薬品メーカー=

⃝新しい製品・サービスを生み出すためにイノベーションを追求し世界№1を目指す ⃝製品ごとに戦略的に特許を取得することで他社の追随を許さない強靱な特許網を 構築 ⃝大手が参入しない領域で高品質の医薬品を開発・製造するグローバルニッチトッ プ戦略 健康食品・ 医薬品

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富士化学工業株式会社 (富山県中新川郡上市町) それら技術に関するパテントマップを作成した上で、開発の方向性を絞り込んで製品開発 に着手した。 3.大手が参入しない領域で高品質の医薬品を開発・製造するグローバルニッチ トップ戦略  知的財産に対する意識は創業当時から根づいていた。1950年代に開発した賦形剤「ノイ シリン®」は、米、英、独など6か国に製法特許を出願した。国内で販売されている胃腸 薬のおおよそ半分は、同社のノイシリンが配合されている。知財部門は研究開発本部に設 置され、担当者は開発部門出身者が歴任。経営企画部と連携しながら知的財産の創出・活 用を専任で行っており、知財戦略の分析・構築や国内における大半の特許明細書の作成、 意見書や拒絶理由通知への対応を行っている。特許出願はこの15年で250件程度、登録商 標は現在70件である。  同社では、大手企業が参入しない領域での事業展開を基本とし、これまで培った技術を 用いて高品質の医薬品を開発・製造し、排他・独占することを経営上の方針としている。 主なターゲット市場である海外での権利化も重視しており、国内特許の約半数については、 欧米を中心とした海外諸国でも権利化している。 名称及び代表者 富士化学工業株式会社 代表取締役社長 西田 光德 本 社 所 在 地 富山県中新川郡上市町横法音寺55 資 本 金 1億円   従 業 員 数 425名 事 業 内 容 医薬品の製造・販売、医薬原薬の受託合成・加工、食品添加物の製造・販売 電 話 番 号 076-472-2323 U R L http://www.fujichemical.co.jp/index.html

◉会社概要

健康食品・ 医薬品 【富士化学工業株式会社の事例】 ▲「アスタリール」の製品群 ▲「アスタリール」のロゴマーク 「アスタリール」を配合している製 品には、安全・安心・高品質なアス タキサンチンの証として、必ず表示 している。

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建築・建設・ 土木 1.原材料から製品まで一貫生産体制を構築。全工程を自社責任のもと品質・納 期を管理  オンダ製作所は1963年創業の配管資材の総合メーカーである。創業当初は水栓パイプの 加工などを行っていたが、建築業界特有の新製品開発スピード、多様な顧客ニーズを背景 に、配管継手やバルブといった配管資材の製造を手掛けるようになり、以降も顧客ニーズ に応えられる新素材の研究開発を重ね、近年では金属製品に加えて架橋ポリエチレン管な どの樹脂製品にも注力している。  自社責任のもとで品質の保証、納期の管理をしたいというメーカーとしての想いから、 外部調達に頼らず、原材料から製品まで自社においての一貫生産体制を構築。鍛造、切削 といった加工設備のみならず、銅や亜鉛といった原料の溶解設備や伸銅設備まで有してい るため、切削時の切粉やプレス抜き加工時の端材等、途中工程で発生する残材等を回収し、 再度溶解プロセスに戻す「リサイクル・プロダクツ・システム」が確立。工程・品質管理 のみならず、資源の有効活用と歩留まりを向上させる生産体制を構築している。 2.「社員にケガをさせるな」社員教育と人材育成への投資は惜しまない  同社は、「製品を作り出す原動力はいつも人である」という考えから、「企業は人なり」 を信念に掲げ、社員教育と人材育成に力を入れている。これは、創業者でもある恩田社長 が、専門知識や経験を持たずに特殊な設備を扱う事に際しての安全配慮の思いを社内の誰 よりも強く持っていたことに起因しており、「社員にケガをさせるな」「とことん勉強した うえで携わってほしい」というトップからの大号令のもと、当初より、各種技能検定の受 験奨励や社内研修制度の構築がなされていく。  従業員への安全配慮を原点に始まった人材育成の取組は、その想いを大切にしながらも 拡充され、現在では製造部門に対する技能検定のみならず、他部門の従業員に対しても、 QC検定、ビジネス・キャリア検定、知的財産管理技能検定といった各種資格・検定取得 者に対して幅広く報奨・表彰制度を設けており、これに掛かる経費は年々大きくなってい るが、同社は今後も人材育成への投資は惜しまない。資格取得奨励の他にも、外部の研修 機関主催による研修への派遣、海外の展示会への研究・営業職の派遣、新人職員への長期 間研修といった人材育成システムが構築されている。  こうした人材育成の結果、商品開発部門はもとより、営業部門、製造部門の社員全員が 高度な技術、知識を有して事業活動を行う同社は、優れた発明、およびその発明による事 業の実施効果が高いことを評価され、平成27年度中部地方発明表彰において、中部経済産 業局長賞を受賞した。

株式会社オンダ製作所

(岐阜県山県市)

=1万点に及ぶ製品群を世に送り出す配管資材の総合メーカー=

⃝原材料から製品まで一貫生産体制を構築。全工程を自社責任のもと品質・納期を 管理 ⃝「社員にケガをさせるな」社員教育と人材育成への投資は惜しまない ⃝理解ある職場で知財担当が躍動。支援施策も有効活用し知財経営に取り組む

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建築・建設・ 土木 株式会社オンダ製作所 (岐阜県山県市) 3.理解ある職場で知財担当が躍動。支援施策も有効活用し知財経営に取り組む  同社の経営層は「メーカーである以上知財は必須なものである」と強く意識しており、 前述の社員教育や人材育成の取組の成果もあり、商品開発部門の半数以上が知的財産管理 技能検定2級、3級を取得している。  商品開発部門の中に、知財専任の担当者は5名配置されており、知財担当は出願手続等 については社外専門家も活用しつつ、知財の管理、出願要否判断、権利取得に先立つ先行 技術調査、開発着手に際しての技術動向の調査等、方針決定に重要な役割を担っている。 商品開発部門の中に知財担当が配置されていること、開発担当も知財活用の知識を有して いることから風通しは非常に良く、また、知財経営に掛かる予算も経営層の理解があるこ とで知財担当が活躍しやすい職場環境が整っている。  2015年度は、特許庁事業である中小企業等特許分析活用支援事業を活用し経済的に先行 技術調査を実施。同時に今後の調査手法の参考としたり、研究開発段階における調査結果 を今後の研究開発の方向性の検討に利用する等、行政の支援施策も大いに活用し、知財経 営に取り組んでいる。 名称及び代表者 株式会社オンダ製作所 代表取締役 恩田 由紀 本 社 所 在 地 岐阜県山県市富永18番地 資 本 金 9,000万円   従 業 員 数 612名(グループ全体) 事 業 内 容 住宅関連部材(給水、給油、灯油、ガス等のバルブと管継手および樹脂パイプ・継手) の設計・開発、製造及び販売 電 話 番 号 0575-24-8585 U R L http://www.onda.co.jp/index.html

◉会社概要

【株式会社オンダ製作所の製品例】 ▲主力製品のダブルロックジョイント(上 段)とボールバルブ(下段) ▲平成27年度中部地方発明表彰 中部経済産業局長賞を受賞したインナーロッ ク(樹脂管用継手)

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金型・プレス 加工 ・ 工業部品 1.工業用ミシン付帯装置でオンリーワン技術と特許権取得による独占的シェア  木下精密工業株式会社は、昭和23年の創業以来、工業用ミシン部品を中心に航空機部品、 工作機械部品、一般産業機器部品など多種多様に渡る精密部品加工を手がけている。工業 用ミシン付帯装置においては、ミシンメーカーさえも成し遂げることが出来なかったボビ ンの自動交換装置の開発に成功し、人手がかかるボビン交換の手間を省き、合理化、コス ト低減、生産効率の向上を可能とした。ニッチ市場において、特許取得による製品化に先 行したことで市場の独占を可能とし、今では、オートボビンチェンジャー、下糸残量検出 装置及び目飛び検出装置のオリジナル製品は市場シェア100%を保持している。  オンリーワン技術の創出は会社の根源でもある誠実さを絶やすことなく、「お客様を第 一に考え、モノづくりと発明、発明の源は現場にあり、現場には知恵がある。下から低い 目線で見て、汗をかき、手を汚せ。それがモノづくりの原点である」をコンセプトに会社 づくりを行っている。 2.海外市場を見据えた外国出願による特許権取得や国際展示会でのプロモーショ ン映像展開  工業用ミシンの国内生産は、1990年代前半の最盛期に比べアパレル産業の縫製工場が海 外移転し1/10以下に縮小したが、同社は早くから自動車産業(エアバッグやシート等)、 靴産業、皮革産業等で使われる特殊縫製用ミシン付帯装置の製品開発を行ってきた。  特殊縫製向け工業用ミシンを使う高級カバン等のメーカーはヨーロッパ諸国に集積する ため、ヨーロッパを中心に海外特許を取得。工業用ミシン業界では定期的に4カ国(日本、 米国、ドイツ、中国)での国際展示会が開催される。エンドユーザーに対する認知度向上 のため現地でのプロモーション映像の制作を行い、積極的な営業展開を行っている。  近年、高級ブランドメーカー等も生産拠点がアジアに展開する事を見据え、同社装置が 市場に出るよりも先に特許権の取得を行ってきた。新たな商品開発においてもエンドユー ザーの今後の事業展開先に備え、外国出願助成の活用を視野に入れ外国出願を行っていく 予定。 3.知財ビジネス評価書を活用した事業性評価による融資第一号  今後の事業拡大を見込んだ設備投資等にあたって、当社の技術力の高さに知的財産を含 めた事業性評価を図る上で、特許庁が行っている「知財ビジネス評価書」作成支援事業に 金融機関とともに応募。第三者機関である評価機関による「知財ビジネス評価書」を用い た分析結果が、あらためて当社の技術の裏付けとして大きな効果をもたらし、取引先の金 融機関にとっても初となる知財ビジネス評価書を活用した事業性評価による融資第一号と

木下精密工業株式会社

(愛知県名古屋市)

=知財ビジネス評価書の活用による資金調達で事業拡大を図る企業=

⃝工業用ミシン付帯装置でオンリーワン技術と特許権取得による独占的シェア ⃝海外市場を見据えた外国出願による特許権取得や国際展示会でのプロモーション 映像展開 ⃝知財ビジネス評価書を活用した事業性評価による融資第一号

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金型・プレス 加工 ・ 工業部品 木下精密工業株式会社 (愛知県名古屋市) なった。金融機関のプレスリリースも行われ、当社の技術力、信用力も内外の取引先に広 く周知することができ、今後の営業活動にも弾みが付くこととなった。 名称及び代表者 木下精密工業株式会社 代表取締役社長 木下 治彦 本 社 所 在 地 愛知県名古屋市北区丸新町201番地 資 本 金 3,800万円   従 業 員 数 70名 事 業 内 容 特殊工業用ミシン部品製造、一般精密部品製造、航空機部品製造 電 話 番 号 052-902-3331 U R L http:/kinoshita-abc.jp/

◉会社概要

【木下精密工業株式会社の製品例】 ▲オートボビンチェンジャー(下糸自動交換機) 合理化、コスト低減、生産効率の向上を可能とした ▲下糸残量検出装置縫い目が切れることなく縫い直しを防止 ▲目飛び検出装置 目飛びや糸切れを瞬時に検知し、後工程の作業性、生 産性、品質、コスト低減を実現

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金型・プレス 加工 ・ 工業部品 1.特許権取得による会社成長を契機に積極的な権利取得を実施  株式会社コーワは、工業用ブラシメーカーとして1935年に創業した。1950年代からは家 庭用クリーナーブラシ事業を開始。工業用と家庭用のブラシを開発・製造する総合ブラシ メーカーである。  同社には特許等の権利化の重要性を痛感した苦い経験がある。苦労して開発・製造した 家庭用クリーナーブラシが、強力な特許等の権利を保有していなかったため、激しい価格 競争に巻き込まれてしまったのだ。その後、画期的といえる製品を開発した。生活様式の 変化を敏感に察知し、小型・軽量で様々な角度にひねることができるクリーナーのアルミ ローターブラシを業界で初めて開発・製品化したのである。さっそく特許権を取得。本製 品は当時、瞬く間に市場を席巻するとともに、特許権取得により自社製品を保護及び価格 競争を回避することができた。そして会社の発展に大きな貢献を与えるに至った。開発・ 製品化の努力が、権利化によって大きな利益につながることを身をもって体験したのである。  こうした経験から、経営方針として顧客に提案する製品は原則、提案にさきがけて特許 等の出願の検討がなされている。自社製品は基本的に特許と意匠を組み合わせて、より強 力に保護するようにしている。 2.経営と直結した知財センターによる戦略的な知財の構築とアイデア提案制度  「社歴百寿の企業」を目指す同社は、それを達成するため「How To Make(どのように つくるか?)」から「What To Make(何をつくるか?)」に視点の軸を大きく変革した「真 のものづくり」にチャレンジしている。「権利化の価値」を見出した先の体験から、知的 財産を取り巻く環境の変化に即応するため、経営陣直轄の部署である知財センターを設立。 工業用・家庭用を問わず、全ての知的財産を一元管理できる体制を整えた。  「全社員でものづくり」を合言葉に知財プロジェクトを結成し、各部署から集めた選抜 実習生が、外部講師の指導の下、訓練と経験を積み、モデルの作成、特許申請書類の作成 に至るまで一年掛りで研修し、特許申請まで実体験をさせている。こうした訓練が年間 105件の特許申請に繋がり、社員のチャレンジ精神の高揚と達成感に結びついている。また、 ブランド力という観点から、独自の技術が組み込まれているクリーン技術を総称する「ク リーンマスター」という商標権を取得し、製品のブランド力向上に努めている。  「社員は会社の財産」である。その社員の意識・アイデア創出力向上のために、毎月、 全社員に業務改善や技術・製品開発等につながる提案を義務付けるアイデア提案制度を実 施している。提案件数は毎月約200件程度にのぼり、その全件が「知財センター」におい て内容精査され、経営陣に報告される。経営陣は報告内容を審議し、優れた提案に表彰を 行い、提案内容に応じた報奨金が支払われる制度を実施している。更に、提案されたアイ

株式会社コーワ

(愛知県あま市)

=革新的な製品を開発・製造する工業用・家庭用ブラシのトップメーカー=

⃝特許権取得による会社成長を契機に積極的な権利取得を実施 ⃝経営と直結した知財センターによる戦略的な知財の構築とアイデア提案制度 ⃝知財と技術で企画、デザイン、設計、製造から販売まで一貫して自社で取り組む 商品づくり

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金型・プレス 加工 ・ 工業部品 株式会社コーワ (愛知県あま市) デアについては権利化の可能性について具体的な検討・対応が取られる。その結果、新た な技術や製品開発につながり、特許出願・権利化に至っている。  「知恵の泉」には、同社の過去・現在の製品、知的財産に関する情報、アイデア、未来 の夢等が展示されている。社員はここで「知恵」に触れ、啓発され、議論し、触発しあい、 全社員のレベル向上とともに、新たな知恵の創造につなげている。現在は、新たに社内に 建設された知恵の創造拠点「創生館」に、最先端の設備で活発な議論ができる会議室と「知 恵の泉」を集約し、人と知恵の交流の場として活用されている。 3.知財と技術で企画、デザイン、設計、製造から販売まで一貫して自社で取り 組む商品づくり  2012年、同社の知財と技術を結集して、自社で完結する商品づくりが経営方針として宣 言された。第1弾として発売するふとん専用クリーナー「ひなた」は、ふとんをブラシで 叩きダニを吸い取り、吸い取ったダニを熱で完全に死滅させることができる画期的な商品 である。これは、企画に始まりデザイン、設計、製造、さらにはユーザーに直接お届けす る販売、また販売後のサービス対応まで自社で実施するという壮大なプランであり、大き な挑戦である。現在、最終段階まで開発が進み、発売の日を迎えようとしている。  株式会社コーワは、世界のブラシ業界を「知財と技術」でリードする企業として、創業 来続く着実な歩みを止めることなく、百寿の企業を目指し、挑戦している。 名称及び代表者 株式会社コーワ 代表取締役社長 服部 直希 本 社 所 在 地 愛知県あま市西今宿平割一22番地 資 本 金 5,000万円   従 業 員 数 160名 事 業 内 容 工業用、家電用ブラシの設計・開発・製造 電 話 番 号 052-444-4111 U R L http://www.kowa-ne.co.jp/index.html

◉会社概要

【株式会社コーワの製品例】 ▲ひなた(ふとん専用クリーナー) ▶トリプルスパイラルブラシ(特許第5300124号) (ブラシマークを極限まで抑えたブラシロール) ▶クリーン マスター (クリーナー用 ローターブラシ)

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化学・プラス チック・材料 1.「歴史や伝統は守るものではなく創るもの」。新たな事業を開拓し続ける老舗 企業の挑戦  竹本油脂株式会社は、290年の歴史を持つ日本最古の製油会社である。歴史と伝統を大 切にしながらも、安住することなく新たな分野へ挑戦し続けたことにより、江戸時代に灯 明油を搾油する事業から始まった歴史は、現在では、ごま油をはじめとするごま関連食品 や、繊維工業用化学品、土木・建築用化学品、農業用化学品、電子・情報化学品、合成樹 脂・フィルム用化学品等のスペシャリティケミカルメーカーとして、そのフィールドを海 外まで拡げている。 2.研究者が研究開発の枠を超え、営業や製造まで係る独自の企業スタイル  同社は、社員の1/3が研究に携わる研究開発を重視する企業体制に特徴があるが、さらに、 1人の研究者が研究開発の枠を超え、営業や製造まで関わるスタイルを確立している点も 特徴的といえる。不特定多数の一般ユーザを相手にするBtoC製品と比較し、素材等の BtoB製品の取引においては、困りごとや製品ニーズを顧客企業から直接つかむことがで きるという利点がある上、さらにこれに研究者が直接お客様と係ることで専門的な困りご とをダイレクトに開発部署へ持ち帰ることができることにより、高品質な製品を効率よく 提供する仕組みを構築している。 3.高度な研究開発を支える知財活用の推進体制  同社では、社内の知的財産権の取得維持管理業務を担う知財法務室の設置に留まらず、 研究開発と知財活用との結びつけを持たせるため、スペシャリティケミカルに関連する4 つの事業部に知財担当者(リエゾン)を配置し、知財法務室との調整・情報共有を行う社 内組織体制を整備している。また、事業部制下における研究開発機能の強化の補完として、 全社を横断する協議会が組織されており、その中に知財法務室知財担当と各事業部の知財 リエゾンから成る知財戦略部会を位置付けることで知財戦略が研究開発計画等を通し、全 社目標・戦略へ反映することもできる体制が整備されている。特許取得に際しては質の高 い先行技術調査を実施することで、平成26年度までの過去5年間においての特許登録率は 9割を超える等、効率的な知財取得を行っている。  これらの知財活用推進体制の下、開発された高度な技術を守りながら、化学繊維の加工 性を向上する処理剤(界面活性剤)においては、世界シェアで5割を超え、繊維業界の生 産性向上に大きく貢献している他、建設業界においてもコンクリート打設工程の作業性向 上、コンクリート品質の向上に貢献する化学混和剤を供給している。近年では、硬化した 後のコンクリートのひび割れを低減する機能を付与した製品の開発をするなど、理論上は

竹本油脂株式会社

(愛知県蒲郡市)

=ごま油からスペシャリティケミカル分野まで世界を相手に幅広く活躍する食品・化学メーカー=

⃝「歴史や伝統は守るものではなく創るもの」。新たな事業を開拓し続ける老舗企業 の挑戦 ⃝研究者が研究開発の枠を超え、営業や製造まで係る独自の企業スタイル ⃝高度な研究開発を支える知財活用の推進体制

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化学・プラス チック・材料 竹本油脂株式会社 (愛知県蒲郡市) 千年の耐久性を持つコンクリートの開発も行っている。その他にも、農業生産の省力化を 促進する農薬向け材料など、BtoB企業として幅広い産業の発展に寄与し、各種業界の土 台を支える材料を供給し続けている。 名称及び代表者 竹本油脂株式会社 代表取締役社長 竹本 元泰 本 社 所 在 地 愛知県蒲郡市港町2番5号 資 本 金 1億円   従 業 員 数 570名 事 業 内 容 各種界面活性剤、スペシャリティケミカルズ(特殊精密化学品)、各種植物油脂お よび関連商品の製造、販売 電 話 番 号 0533-68-2111 U R L http://www.takemoto.co.jp/

◉会社概要

【竹本油脂株式会社の事例】 ▲プロの料理人、特に天ぷら店において 圧倒的な支持を得るこだわりのフレッ シュオイル「太白胡麻油」 ▲混和剤は、高品質なコンクリートの製 造を助け、建設技術の進化を支える。 ▲生産効率のみならず、化学繊維の強度・耐久性は、処理剤に起因する部分も大きい。  化学繊維に高い強度や耐久性の求められる産業資材にも界面活性剤の品質が関与する。

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化学・プラス チック・材料 1.ものづくりの原点を大切に「つくるもの」と「つくるものを造る」流れで最 良の製品を  大和化成工業株式会社は、自動車用部品(クランプ・クリップ等)、合成樹脂製品、各 種機械・工具部品の設計、開発、製造、販売までの一貫生産を行う専門メーカーである。 また、同社の特徴として、製品をつくる機械や製品を袋詰めする機械も開発・製造してい る。主力製品である自動車用プラスチック部品のワイヤーハーネスクランプや内・外装用 クリップは、いずれも国内自動車メーカーで大きなシェアを占めている。クランプ・クリッ プは小さな部品ばかりであるが、自動車内には数多く使われており、1台あたり約200個 近い部品が使用されている。  同社のものづくりは大きく2つの流れに分けられる。ひとつは「つくるもの」を設計・ 開発する流れ(製品の開発)、もうひとつは 「つくるものを造る」(つくるための設備を開 発する)流れである。単に製品をつくるだけではなく、製造方法や製造装置の開発も行う 独自の体制構築により、コストの削減や製品の競争力向上に繋げている。 2.特許マップから導き出された強み弱みを共有、強い部分を更に伸ばす戦略  経営層の知的財産に対する意識は非常に高く、毎月実施している出願から権利維持まで の各プロセスにおける要否の判定会には必ず参加している。発明者は判定会に先立ち、特 許事務所と請求範囲や出願方法等の事前打合せを行うことで、提案から出願までの期間短 縮を図ることに努めている。  技術部には、社内全体の知的財産業務を行う知財チームを設置しており、出願件数やそ の目標等の知財管理状況について、経営層へ毎月報告している。設計者には、毎月、競合 メーカーの特許情報の調査結果や、自社製品のカテゴリーごとに他社特許をまとめた PATマップから自社技術の強み弱みを解析した結果を、イントラネットにより提供。  イントラ上の特許管理規程には、発明提案、特許出願、特許登録、特許を用いた製品の 売上に連動した実施報奨に対する特許報奨金制度を設けており、全社朝礼の場で表彰を行 い、社内の知財活動の活性化とモチベーションの向上を図っている。 3.国内自動車メーカーに合わせたグローバル戦略で、よりスピーディーな部品 供給を実現  同社では、保有特許の自己実施率は90%以上と高く、製品シェアの確保に役立てている 一方、権利によっては競合メーカーへのライセンスも実施している。他方、同社の製品は 成形品の単品であるため、摸倣されやすいという特徴がある。その対策として、競合メー カーの製品を中心に定期的な市場調査を徹底しており、類似品を発見した場合には、特許

大和化成工業株式会社

(愛知県岡崎市)

=自動車メーカーの原動力として高度なニーズに応える締結部品のトップランナー=

⃝ものづくりの原点を大切に「つくるもの」と「つくるものを造る」流れで最良の 製品を ⃝特許マップから導き出された強み弱みを共有、強い部分を更に伸ばす戦略 ⃝国内自動車メーカーに合わせたグローバル戦略で、よりスピーディーな部品供給 を実現

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化学・プラス チック・材料 大和化成工業株式会社 (愛知県岡崎市) 侵害のポイントを明確にした上で相手企業に通知し、しかるべき対応を行っている。  1988年以降、国内自動車メーカーのグローバル戦略に合わせ、海外拠点7カ所(米国2 カ所、欧州(英国)、タイ、中国、インドネシア、インド)を設立。各拠点では、特許権 だけでなくそれに付随するノウハウも共有し、よりスピーディー且つ安定した高品質の部 品供給を行っている。  クリップ、成形技術などは、地方発明表彰をはじめ各種表彰において毎年のように受賞 している。今後も、世界をリードする国内自動車メーカーの原動力として、高度なニーズ に対応する体制づくりに取り組んでいく方針だ。 名称及び代表者 大和化成工業株式会社 取締役社長 小島 洋一郎 本 社 所 在 地 愛知県岡崎市保母町字上平地1番地 資 本 金 9,000万円   従 業 員 数 412名 事 業 内 容 自動車用部品、合成樹脂製品、各種機械・工具部品の設計・開発・製造・販売 電 話 番 号 0564-47-3011 U R L http://www.daiwa-kasei.co.jp/

◉会社概要

【大和化成工業株式会社の製品例】 ◀ワイヤーハーネスクランプ ▶内装用クリップ

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化学・プラス チック・材料 1.世界初のハニカムコア材「TECCELL」であらゆる産業の省エネルギー化の 実現へ  岐阜プラスチック工業株式会社は、物流産業資材(コンテナー・パレット等)、工業部 品(家電・自動車部品等)、医療関連品、ハニカム構造体(六角形のセルの集合体)の製造・ 販売及び家庭日用品や建築土木資材、スポーツ資材の製造を主とする産業用プラスチック の総合メーカーである。主に射出成形による生産をする同社だったが、独自商材を提案で きる体制づくりに力を入れていたことで、連続成形技術による熱可塑性樹脂のハニカムコ ア材「TECCELL」(テクセル:同社の登録商標)の量産化を世界で初めて成功させた。 高強度・超軽量のテクセルは、省資源・CO2削減など環境性能に優れた複合材という特長 が認められ、自動車の内装部品への用途開発や建築土木資材、スポーツ資材などで採用さ れつつあり、今後、あらゆる産業の省エネルギー化に貢献することが期待されている。  ほかにも、プラスチックを知り尽くした多種多様な成形技術と品質管理技術を組み合わ せて、家電・OA機器や住宅設備などの工業部品、安心・安全に配慮した医療関連品、そ して創業当時から生産をしている家庭日用品など様々な産業分野からの多種多様なニーズ に応え、その合理化・効率化を目指した製品を提供し続けている。 2.充実した先行技術調査とオリジナルの知財マップ活用により製品の開発スピー ドを向上  同社の知財管理は知的財産統括部の5名体制で、開発部門と密接にコミュニケーション が図られるよう生産本部内に同居している。商用特許情報データベースを活用し、質・量 ともに充実した先行技術調査(年間400件以上)を行った上で、新規性・進歩性を検討し、 開発部門に迅速にフィードバック。毎月行われる技術開発会議において、他社権利の抵触 性調査の結果を報告する体制をとっている。  頻繁に開発する製品は開発スピードが重要である。そのため知財部では、利用できる技 術か否かを効率よく判断できるよう、競合他社の保有権利・消滅権利等を独自にまとめた 知財マップ(特許20マップ、意匠40マップ)を作成し、開発部門の技術者に提供している。 保有する特許権等の棚卸しは毎年実施。その際、未利用特許については他社に開放してラ イセンスを、併せて、競合他社の実施状況の調査の結果、権利侵害がある場合には警告を 行うなど、保有権利の活用・保護に努めている。  職務発明については、出願、登録及び実施時の各段階において評価している。規程を整 備し、営業部門の売上評価や開発部門の技術評価を加味した上で実績補償金の額を決定。 ノウハウについても秘匿時と5年後に再評価するなど適切に運用している。

岐阜プラスチック工業株式会社

(岐阜県岐阜市)

=環境を保全する新技術で持続可能な社会の実現に貢献するプラスチックの総合メーカー=

⃝世界初のハニカムコア材「TECCELL」であらゆる産業の省エネルギー化の実現へ ⃝充実した先行技術調査とオリジナルの知財マップ活用により製品の開発スピード を向上 ⃝環境への配慮意識の高さと、地域の人材育成・活性化による社会貢献

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化学・プラス チック・材料 岐阜プラスチック工業株式会社 (岐阜県岐阜市) 3.環境への配慮意識の高さと、地域の人材育成・活性化による社会貢献  「TECCELL」は、ベルギーのベンチャー企業から実施許諾を受けた技術よって誕生し たハニカムコア材。同社が世界で初めて量産化に成功し、特許及び商標を取得。開発にあ たっては、中小企業高度化事業の認定を受け、その補助金を活用して公設試験研究所と共 同開発を行った。  同社では、環境への配慮意識が非常に高く、従来の石油由来のプラスチックパレットに CO2排出抑制効果のある植物由来のバイオマスプラスチックを5~50%混入したパレット など、エコ製品やリサイクル製品を数多く開発している。また、地域・社会貢献活動にも 力を入れており、学生を対象とした年間10名程度のインターンシップの受入れや、地域の 人材育成及び活性化にも積極的に取り組んでいる。 名称及び代表者 岐阜プラスチック工業株式会社 代表取締役社長 大松 利幸 本 社 所 在 地 岐阜県岐阜市神田町9-27 資 本 金 2億1,100万円   従 業 員 数 660名 事 業 内 容 物流産業資材、工業部品、医療関連品、ハニカム構造体など各種プラスチック製 品の製造・販売 電 話 番 号 058-265-2232 U R L http://www.risu.co.jp/gifu-plastic/index.html

◉会社概要

【岐阜プラスチック工業株式会社の製品例】 ▲物流産業資材  (コンテナー・パレット等) ▲家庭日用品 ▲ハニカムコア材  「TECCELL/テクセル」 ▲建築土木資材(雨水貯留浸透槽)

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農業機械・ 食品機械 1.国内トップブランドを誇る食品粉体分野で培った技術を新分野に展開  ツカサ工業株式会社は、創立70年余にわたる業歴と高い技術力で社会に貢献する粉体機 器の総合メーカーである。製パン・製菓・製麺などで使用される小麦粉・砂糖などの粉体 原料を取り扱う機器、システム、プラントの設計・製作・施工を行っており、売上全体の 7割を占める食品粉体分野では、国内トップブランドを誇っている。  同社の初代社長は、戦前、航空機製造会社で、当時不可能とされていた溶接法の発明の 実用化に成功し、航空機の機体やエンジンの製造開発に新機軸を拓いた技術者であった。 この航空機製造技術を基礎とした非鉄金属の溶接・精密鈑金加工の技能と開発力が今日の 繁栄の礎となっている。  近年は「食の安全安心」に焦点を絞って開発を続けてきた衛生管理技術をベースに、化 学、化成品、医薬品等の分野にも進出しており、「汚れない、汚さない、汚れても掃除が 簡単」をモットーとする粉体機器のパイオニアでもある。高精度で安全性と衛生面に優れ た機能に加えて、デザイン性と使いやすさを常に配慮しながら、高度化するユーザーニー ズに応えるべく、研究・開発・改善活動に取り組んでいる。 2.知的財産に裏付けされた高い技術力とブランド力によって高い信頼を蓄積  現在、知財業務は常務取締役が兼務しており、主に営業部門が受けたニーズを元に設計 者との日々の打ち合わせで特許性を有する技術を発掘するかたちを取っている。社長に承 諾を得た特許性の有りそうな技術は先行技術調査を行い、弁理士と相談しながら減免制度 や早期審査制度等を利用し出願手続等を行っている。一方、機器の製造プロセスに関する 技術や粉体特性等に特化したピンポイント設計については、ノウハウとして機密保持に努 め、社内においてもアクセス制限を設ける等の管理を行っている。また、粉体のサイロ(貯 槽容器)等の構想が単純なものについては、全体的な外観デザインによって清掃・洗浄が 容易且つ粉体が詰まりにくいなどのメリットを創出し、それを意匠で権利化している。  知的財産を持つ意味として、まずは競合他社の模倣に対する抑止力が挙げられる。製品 の一つひとつのマーケットがそれほど大きくない割に、権利の取得・維持費用がかかるの は事実である。しかしながら、同社のオリジナリティを守るためには、特許を取得して他 社の模倣を防ぐことがより重要であると位置づけている。もうひとつは、特許によって高 められるブランド力だ。2003年度には「第1回モノづくりブランドNAGOYA」を受賞す ると同時に、経営改革や技術開発などで成果を挙げた企業に贈られる「第37回中小企業研 究センター賞全国表彰」も受賞し、更には創設初年度である「愛知ブランド企業」にも認 定された。2009年度には「元気なモノ作り中小企業300社・日本のイノベーションを支え るモノ作り中小企業」部門にも選定されている。このようにして同社は、知的財産に裏付 ⃝国内トップブランドを誇る食品粉体分野で培った技術を新分野に展開 ⃝知的財産に裏付けされた高い技術力とブランド力によって高い信頼を蓄積 ⃝海外における高い特許率と徹底した模倣品・侵害に対する未然防止策

ツカサ工業株式会社

(愛知県半田市)

=独自の技術で新たな価値を創造する粉体機器・粉体プラントのリーディングカンパニー=

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農業機械・ 食品機械 ツカサ工業株式会社 (愛知県半田市) けされた高い技術力とブランド力によって、高い信頼を積み重ねている。 3.海外における高い特許率と徹底した模倣品・侵害に対する未然防止策  同社では海外展開にも力を入れており、海外で成立した特許は7か国で42件(主に欧米、 韓国、中国)を保有しており、国内成立特許のうち68%と割合が高い。模倣されやすい海 外においても、費用対効果を考えながらできる限り権利化することに努めている。  輸出は、最近では中国、韓国、東南アジアが増加の一途をたどっている。中国には製造 委託を行っている工場があり、付加価値の低いものは現地で製造してコストを抑えている が、付加価値が高いものは日本で製造したものを輸出しており、これも模倣品・侵害に対 する未然防止策のひとつとなっている。 【ツカサ工業株式会社の製品例】 ▲ラインシフター (異物除去など高効率な粉ふるい機) ▶(三次元混合流が形成できる混合機)パウミキサー 名称及び代表者 ツカサ工業株式会社 代表取締役 加藤 文雄 本 社 所 在 地 愛知県半田市中午町178 資 本 金 5,000万円   従 業 員 数 141名 事 業 内 容 粉砕、分級、乾燥、混合、計量、輸送、供給、排出、貯槽、集塵、トレーサビリ ティなどの粉体機器及びプラント設計施工 電 話 番 号 0569-22-3111 U R L http://www.tsukasa-ind.co.jp/index.html

◉会社概要

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農業機械・ 食品機械 1.包装機械に新技術を投入しオンリーワン技術と特許権取得を連動  株式会社フジキカイは、創業70年を迎える。1948年にキャラメル用F式自動包装機を開 発して以来、食品・医薬品を中心とする各種自動包装機械を開発・製造・販売するメーカー である。1分間に1,800個のキャンディを包装することができる横形ピロー(枕形)包装 機は同社の代表的な機種であり、出荷台数国内ナンバーワンを誇る。「包装を通じて社会 に貢献し続ける。」といった理念の下、今日では「技術と品質のFUJI」として、日本の包 装機械業界のリーディング・カンパニーと呼ばれるまでに成長している。  同社の開発スタイルは、他社に先駆けて包装機械に新技術を投入すること。このオンリー ワン技術と特許権取得を連動させて、これまで業界初となるマイコン制御、サーボモータ やTFTカラー液晶の搭載、アタッチレスコンベアの開発、OS搭載、IHヒータ技術の導入 等の取組に挑み続けてきた。最近手がけた、まんじゅうのピロー包装の形態化や超音波シー ルを用いたロングライフ包装も業界初である。 2.知財意識の高い専任チームの徹底した調査により特許登録率9割以上を実現  特許権取得の目的は、ユーザーに対して特許を取得したオンリーワン技術であることを セールストークに活用し、併せて競合他社を牽制することであり、事業活動においては特 許情報を最大限に活用する。年間平均20件の出願をしている特許企画チームは専任の4名 で組織され、徹底した先行技術調査を実施する。月2,000件を超える関連技術分野の特許 情報全件をスクリーニングし、関連がありそうな情報を抽出して要約する。それを関係部 門の管理者に情報発信し、権利侵害の未然防止や技術開発の参考として活用している。調 査に当たっては、発明の内容に応じてIPC、Fターム、社内分類等を組み合わせて最も好 ましい調査方針をチームで協議して決定する等、精度の高い徹底した調査を行う。また、 技術部門の選抜メンバーによる特許検討会を毎月開催している。特許企画チームは、関係 が深そうな他社特許を抽出して技術内容や権利範囲を解説し、技術者に対する警告や侵害 回避の具体的な提案を含めた改良技術の開発を促す。こうした取組を継続してきた結果、 9割以上の特許登録率を実現している。  社内には、「改善提案規程」といった業務の時間短縮や効率化等を提案する制度を設け ており、その中において職務発明に係る表彰や報奨金について規定し、社員のモチベーショ ンを高めている。 3.積極的な産学連携による共同研究とノウハウを活かした海外展開  同社は、研究所や大学との共同研究を行っており、例えば、専門としていない電気関連 のコア技術については名古屋市の研究所と共同出願するなど、産学連携にも力を入れている。

株式会社フジキカイ

(愛知県名古屋市)

=業界初となる新技術を投入し業界をリードする自動包装機械メーカー=

⃝包装機械に新技術を投入しオンリーワン技術と特許権取得を連動 ⃝知財意識の高い専任チームの徹底した調査により特許登録率9割以上を実現 ⃝積極的な産学連携による共同研究とノウハウを活かした海外展開

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農業機械・ 食品機械 株式会社フジキカイ (愛知県名古屋市)  製品は55カ国以上に輸出しているが、外国特許は多くない状況にある。包装の品質を確 定するのは機械の最終調整といったノウハウが大きな要素であるため、たとえコピーされ ても同じ性能を出すことはできないと自負しているからだ。一方、米国及び中国において は、現地メーカーへ技術指導を行うことによって海外展開を進めている。 【株式会社フジキカイの製品例】 ▲横形ピロー包装機FW3401HSαⅦ 超高速(1,800個/分包装) ▲横形ピロー包装機FW3400αⅦ 多彩な機種構成、豊富なラインナップであらゆるニーズに対応 名称及び代表者 株式会社フジキカイ 代表取締役社長 生田 涌希 本 社 所 在 地 愛知県名古屋市西区中小田井4-380 資 本 金 1億5,500万円   従 業 員 数 580名 事 業 内 容 各種自動包装機械の開発、製造、販売 電 話 番 号 052-502-1211 U R L https://www.fujikikai-inc.co.jp/index.html

◉会社概要

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農業機械・ 食品機械 1.機能美を追求したトータルコーディネートで、回転寿司コンベア機シェア 60%を確保  株式会社石野製作所は、寿司コンベアシステムとその周辺機器(寿司握り機、皿洗浄機)、 焼成機(ガス、遠赤外線)及び食品加工機械を製造する食品機械メーカーである。回転寿 司が普及し始めたのは、大阪で万国博覧会が開催された1970年。それから間もない1974年、 食品機械の下請けであった同社が、回転寿司チェーンの要望をきっかけに開発した「自動 給茶装置付寿司コンベア機」を製造・販売。回転寿司店の省力化に大きく寄与することと なった現在の原型である。以来、回転寿司店に関連する周辺機器の開発・提案に特化して いき、これまで寿司職人の作業であった「にぎり」を機械化して省人化と低価格の実現や、 回転寿司店の裏側の合理化をバックアップする「自動皿洗浄機」、注文した寿司をコンベ アとは別レーンで指定した客席に運ぶ「特急レーン®」など、次々に新しい製品を開発し、 知的財産権により保護している。  衛生管理が厳しい海外においては、衛生的で鮮度が保てるニーズに対応するため、コン ベア上に透明カバーを取り付けた「クリアルーフ付きコンベア」を開発。これを機に、機 能美あふれるデザインという観点から意匠の保護についても積極的に取り組むようにな る。機能美の追求は、チェーンを埋め込んで磁力を動力とした「チェーンレスコンベア機」 を産み出し、掃除のしやすさとデザイン性が高く評価されグッドデザイン賞を受賞した。 こうした回転寿司経営のトータルコーディネート事業の展開により、同社の回転寿司コン ベア機は国内シェア60%以上を誇っている。 2.新技術は特許、デザインは意匠、製品名は商標で徹底的に保護する知財ミッ クス戦略  同社は、設立当初から知財意識が高く、知財の専任部署を設置している。製品化と権利 化は一体のものと認識し、一貫して権利化にこだわってきた。製品を守るため「他社が作 るとしたら、どのようにして作るだろうか」といった他社の視点で対抗策を考えながら、 構想、試作、改良など各プロセスにおいて出願し、権利化を判断する。その際、他社の特 許・意匠を侵害することのないよう、独自の知財マップや特許情報プラットフォーム (J-PlatPat)で先行調査を実施。外国の先行調査などは特許事務所にアウトソーシングし ている。  知財戦略としては、新技術は特許で保護するほか、デザインは部分意匠、製品名は商標 で徹底的に保護するという知財ミックス戦略に力を入れている。今や回転寿司業界で主流 になった製品について、部分的にしか権利化していなかったことで市場を独占することが できなかったという苦い経験から、基本技術を出願しアイデアを展開することで製品の権

株式会社石野製作所

(石川県金沢市)

=技術のチカラで新しい食文化を創造する回転寿司コンベア機のトップメーカー=

⃝機能美を追求したトータルコーディネートで、回転寿司コンベア機シェア60%を 確保 ⃝新技術は特許、デザインは意匠、製品名は商標で徹底的に保護する知財ミックス 戦略 ⃝ユーザーに喜んでもらうことを第一に、時代とともに進化を続けるパイオニア

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農業機械・ 食品機械 株式会社石野製作所 (石川県金沢市) 利範囲を広くするように努めている。クリアリーフの開発では、ルーフの形状や開閉方法 等によるマトリクスを作成し、考えられるすべての意匠を部分意匠で権利化し、他社の参 入を防衛することに成功した。 3.ユーザーに喜んでもらうことを第一に、時代とともに進化を続けるパイオニア  同社では、小中学校向けの工場見学に加え、高校・工業高等専門学校を対象としたイン ターンシップ制度を設けている。受入期間は、主に工業系の学生が多い高校生は1週間、 工業高専の学生は3か月と、地域貢献にも積極的に取り組んでいる。  東京で開催されるホテル・レストランショーには毎年参加し、回転寿司に限らず食品業 界全体のニーズを広く聴くようにしている。新しいものをその場で提案し、それを原型に 製品開発を行うことで、ユーザーに常に喜んでもらえるものを作ろうというポリシーがあ る。ニーズに真摯に耳を傾け、独自に築いたノウハウに新たなアイデアをプラスして開発 した製品は、知的財産権で保護。回転寿司とともに歩んできた同社は、パイオニアとして の確かな技術の系譜によって、時代とともに進化を続けている。 【株式会社石野製作所の製品例】 ▶チェーンレスコンベア (特許登録第3098000号) (意匠登録第1226592号) ▶クリアルーフ (特許登録第3687766号) (意匠登録第1021698号) (商標登録第4559331号) 名称及び代表者 株式会社石野製作所 代表取締役社長 石野 晴紀 本 社 所 在 地 石川県金沢市増泉5-10-48 資 本 金 5,000万円   従 業 員 数 95名 事 業 内 容 寿司コンベアシステム・周辺機器(寿司握り機、皿洗浄機)の製造、焼成機(ガス、 遠赤外線)の製造、食品加工機械の製造 電 話 番 号 076-241-7185 U R L http://www.isn-net.com/index.html

◉会社概要

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農業機械・ 食品機械 1.創業以来「土に親しみ、土に生きる」をモットーに農業の近代化に貢献  株式会社タカキタは、肥料散布作業機、粗飼料収穫・調製作業機、給餌作業機等、主に 畜産酪農機械を製造・販売する農業機械メーカーである。今年で創業104年を迎えた同社は、 創業以来「土に親しみ土に生きる」をモットーに、時代とともに急激に変化する国内外の 農業市場に対し、時々に応じた農家のニーズを技術開発し製品化することで、日本農業の 近代化に貢献してきた。  創業者の時代から知財を重視しており、初めて出願したのは創業から間もない大正6年 にまで遡る。他社との差別化をはかること、独創的かつ高品質な製品であることをアピー ルすることを大きな目的にしている。同社ではこれまで1,500件超の特許権等を取得して きた。特許権を活用した高品質な飼料収穫機シリーズをはじめ、「食の安全・安心」といっ た消費者ニーズに対応する有機肥料散布作業機等、新たな価値観のある製品づくりをする のが特徴である。また、これまでの伝統を培いつつ、近年注目されている風力発電用の大 型軸受部品の加工にも傾注するなど、新事業展開に果敢にチャレンジすることで事業活動 の多角化を図っている。 2.1つの開発テーマに1件以上の特許出願を目標に、特許査定率は80%以上  新製品の開発は、社長、役員及び部門長が出席する開発企画会議において、自社技術の 優位性、新規性、他社技術の抵触の観点で評価。事業化にあたっては、調査研究、製品企 画、試作、モニター生産、量産の各ステップにおいて、関係部署が確認・審査を行う。知 財関係を担当する経営企画室は、研究開発の段階から開発本部との情報共有を密に行って いる。費用対効果を徹底的に検証し、最終的に事業化の目途が立ったところで出願するこ ととしており、1つの開発テーマに1件以上の特許出願を目標に取り組んでいる。こういっ た取組みの結果、特許査定率は、この5年平均で80%以上と高い数字となっている。  同社では、特許権等の管理及び実施の合理的運用を図ることを目的として、職務発明規 程を2001年に策定し、出願時及び登録時に請求項の数に応じた報奨金を支給し、社員の発 明を奨励するとともに発明意欲の促進を図っている。 3.グローバルニッチをテーマに輸出国における積極的な権利化を目指す  同社では、技術提携や共同研究等にも積極的に取り組んでいる。北海道の提携先企業が 経営不振に陥った際には、同企業の社員を引き継ぐとともに、当時の特許技術を製品化し た耕起作業機等を北海道で製造・販売し、北海道での雇用確保に多大な貢献を果たした。 三重県の公設試験研究機関をはじめとする研究機関とは、共同研究10件以上、委託研究事 業約30件の実績があり、その研究成果として海外(欧米、中国、韓国、トルコ)を含め20

株式会社タカキタ

(三重県名張市)

=鋭い感性、豊かな知性と果敢な行動力で社会に貢献できる企業を目指す農業機械メーカー=

⃝創業以来「土に親しみ、土に生きる」をモットーに農業の近代化に貢献 ⃝1つの開発テーマに1件以上の特許出願を目標に、特許率は80%以上 ⃝グローバルニッチをテーマに輸出国における積極的な権利化を目指す

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農業機械・ 食品機械 株式会社タカキタ (三重県名張市) 件以上の共同出願を行っている。  もともと欧米がメインの畜産酪農市場は、国内では4~5,000億円程度のニッチな業界。 大手競合メーカーは国内1社のみで、海外メーカーの製品は大規模農家向けのため、日本 では一部の地域でしか使用できない。狭い日本の市場環境に適応可能な同社の製品のシェ アは高い。主力製品の「細断型ロールベーラシリーズ(細断物を梱包する機械)」は、近 年では韓国や中国でも需要が増えている。独自技術を特許によって保護しており、海外メー カーとの差別化をはかることができており、将来的には、東南アジアやロシアにも市場の 拡充を見込んでいる。  2013年にスタートした中期経営計画におけるテーマの1つが「グローバルニッチ」。海 外に輸出する製品は、主な輸出国においても積極的に権利化する方針で取り組んでいる。 【株式会社タカキタの製品例】 ▲コンポキャスタ 有機肥料(コンポスト・米ぬか・ 鶏糞等)をきれいに散布できる 肥料散布機 ▲可変径コンビラップ ベール径150㎝以上クラス国産初芯巻ベル トタイプのハイスピードコンビラップマ シーン ▶汎用型飼料収穫機 多様な飼料作物を細断 し、高密度梱包で高品 質サイレージづくりが 可 能 な 自 走 式 細 断 型 ロールベーラ 名称及び代表者 株式会社タカキタ 代表取締役社長 松本 充生 本 社 所 在 地 三重県名張市夏見2828番地 資 本 金 13億5,000万円   従 業 員 数 280名 事 業 内 容 肥料散布作業機、粗飼料収穫・調製作業機、給餌作業機等の農業機械の製造・販売 電 話 番 号 0595-63-3111 U R L http://www.takakita-net.co.jp/index.html

◉会社概要

(25)

産業機械・ 環境関連機器 1.顧客ニーズをスピーディーかつ的確に製品に反映させる「マーケット・イン 戦略」  フルタ電機株式会社は、産業・農業用の送風機や環境改善機器の製造・販売を中心とす る風力機器メーカーである。創業時は工場用の送風機を製造していたが、農家からの要望 をきっかけに防霜ファンを開発。全国の茶園や果樹園への設置を一気に広め、国内シェア 60%を超えるまでに成長した。現在では、防霜システム、施設園芸システム、畜産システ ム、機器組込型送風機、環境改善機械、水産機械及び食品乾燥機械の7つの事業を手がけ ている。  東北から九州まで全国17か所に営業拠点を構える同社は、顧客ニーズをスピーディーか つ的確に製品に反映させる「マーケット・イン戦略」を重視している。独自に作成した特 許マップや意匠マップを参考にしながら、それぞれの用途に合わせて開発の方向性を決定。 営業所の担当者には、研修を通じて製品の特長について教育しており、類似品の発見にも 効果を発揮している。 2.独創的な技術やデザインの差別化として、知的財産権を最大限に活用  同社では、過去の訴訟経験を踏まえ、知的財産権を重要な経営資源と位置付けている。 社長をはじめ、技術者は全員、特許庁や発明協会が主催するセミナーに参加させるといっ た社内の知財体制の整備はもとより、独創的な技術やデザインの差別化として、知財の最 大限の活用を図っている。新製品については効果的で漏れのない出願を行い、今ではおよ そ、特許150件、意匠75件、商標30件を保有している。近年は、特許と意匠を併せて出願 する知財ミックス戦略に注力し、例えば、ファンの羽根のデザインに特長を持たせること で、一見して同社の製品と分かるようにするなど、技術とデザインの両面から製品価値を 高めるようにしている。  国内事業者の中には、海外で模倣品を製造して輸入する事業者もいる。これに対しては、 意匠の権利化が効果を発揮する。見た目でわかる意匠権を活用することで、模倣品の販売 者とは話合いで解決できるケースが多く、最終的には相手先の製品の形状を変更させるな ど断固とした姿勢で対応する。話合いの結果、同社の販売代理店となって、営業に協力し てくれるところもあった。 3.日本で権利化された製品で信頼度を高めることにより海外に大きなアピール 効果  同社は、アジア・オセアニアにおいても事業展開を図っており、モデルチェンジした新 製品は、その国でも特許や意匠を出願している。あわせて、モデルチェンジ前の製品につ

フルタ電機株式会社

(愛知県名古屋市)

=特許と意匠をミックスして知的財産権を最大限に活用する風力機器メーカー=

⃝顧客ニーズをスピーディーかつ的確に製品に反映させる「マーケット・イン戦略」 ⃝独創的な技術やデザインの差別化として、知的財産権を最大限に活用 ⃝日本で権利化された製品で信頼度を高めることにより海外に大きなアピール効果

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産業機械・ 環境関連機器 フルタ電機株式会社 (愛知県名古屋市) いても出願することで、中国の冒認出願など不当な権利主張を排除するよう努めている。 また、中国で農業機械を普及させるには、中国政府から当局に有益であるという指定が必 要になる。その際、日本で権利化された製品であればその指定をもらう検定での信頼度が 高まると言われており、知的財産権は大きなアピール効果がある。  海外における知財戦略は、先手を打つことが重要。2014年に特許庁から外国出願にかか る費用の助成を受けた際、その出願方法や考え方についてのアドバイスが費用の助成以上 に大きな収穫だったという。同社の海外進出はまだ始まったばかりだが、今後も知財を重 視していく方針だ。 【フルタ電機株式会社の製品例】 名称及び代表者 フルタ電機株式会社 代表取締役社長 古田 成広 本 社 所 在 地 愛知県名古屋市瑞穂区堀田通7-9 資 本 金 3,200万円   従 業 員 数 180名 事 業 内 容 産業・農業用風力機器及び制御機器の製造・販売、海苔製造機械の製造・販売 電 話 番 号 052-872-4113 U R L http://www.fulta.co.jp/index.html

◉会社概要

▲送風機 (意匠登録第1316427号) ▲送風機用の羽根 (意匠登録第1374487号)

参照

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