がん教育推進のための教材
平成28年4月
(平成29年6月一部改訂)
文部科学省
1
【目次】
1 がんとはどのような病気でしょうか? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
2 我が国におけるがんの現状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
3 がんの経過と様々ながんの種類 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
4 がんの予防 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
5 がんの早期発見とがん検診 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
6 がんの治療法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
7 がんの治療における緩和ケア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
8 がん患者の「生活の質」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
9 がん患者への理解と共生 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
○ 小学生用教材案 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
2
1 がんとはどのような病気でしょうか?
(1)がんとは
人間の体は,細胞からできています。正常な細胞の遺伝
子に傷がついてできる異常な細胞のかたまりの中で悪性の
ものを「がん」といいます。
健康な人の体でも毎日,多数のがん細胞が発生していま
すが,免疫が働いてがん細胞を死滅させています。しかし,
この免疫が年を取ることなどにより低下すると,発生したがん
細胞を死滅させることが難しくなります。また,がん細胞は,
無秩序に増え続けて周囲の組織に広がり,ほかの臓器にも
移動してその場所でも増えていきます(転移)(図 1)。
(2)がんの主な要因
男性のがんの約 50%,女性のがんの約 30%は,
喫煙や大量の飲酒,不適切な食事,運動不足と
いった生活習慣や,細菌・ウイルスなどの感染が
要因と考えられています(図 2)。まれに遺伝が関
与するものや,原因がよく分かっていないがんも
ありますが,望ましい生活習慣を送ることにより,
がんにかかる危険性を減らすことができます。な
お,少数ですが,子供がかかる小児がんもありま
す。小児がんは,生活習慣が原因となるものでは
ありません。
図2.日本人におけるがんの主な要因 (出典:国立がん研究センターがん情報サービス)※ Inoue, M. et al.: Ann Oncol, 2012; 23(5): 1362-9 を基に国立がん研 究センターがん情報サービスが作成
図1.がんの発生と経過
(出典:国立がん研究センターがん情報サービス 「知っておきたいがんの基礎知識」より一部改変)
3
2 我が国におけるがんの現状
(1)がんは最も大きな健康課題
がんは,1981 年から,日本人の死因の第 1
位となっています(図1)。現在,日本人の二人
に一人は,一生のうちに何らかのがんにかかる
と推計されています。また,日本人の死因の三
割はがんとなっています。
また,近年の我が国では,がんにかかる人は
増え続けています。
(2)がんのり患の特徴
がんのり患率は,年齢が上がるにつれて増
加していきます(図2)。生涯では,性別でみ
ると,男性の方が女性より多くなっています
(表 1)。喫煙や過度の飲酒など,がんの危険
性を高める生活習慣が男性に多いことが主な
原因と考えられています。2012 年のがんのり
患は,男性では,胃がん,大腸がん,肺がん
が多いです。
しかし,20 代から 50 代前半までは,がんの
り患率は女性の方が多くなっています。これ
は,乳がんと子宮頸(けい)がんがこの世代に
多いことが主な原因と考えられています。
男性
女性
63%
47%
2012 年データに基づくり患の危険性 図2.出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」 最新がん統計より作成 図1.出典:厚生労働省「人口動態統計」より作成 表1.出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」 最新がん統計より作成 がんのり患率4
3 がんの経過と様々ながんの種類
(1)がんの経過
発生した1個のがん細胞は,目立った症状がないまま増え続け,10 年から 20 年くらいかけて,一
般的にがん検診で発見できる 1 ㎝程度の大きさの塊になります。しかしその後,2 ㎝程度の大きさ
になるのはわずか 1〜2 年であり,それ以降は進行がんとなり,症状が現れてきます。まれに,より急
激に進行する場合もあります。がんが進行すると,今まで通りの生活ができなくなったり,命を失っ
たりすることもあります。がんを治すためにも,症状がある場合は速やかに医療機関を受診するとと
もに,症状がない場合も国が推奨しているがん検診を積極的に受診し,早い段階でがんを発見す
ることが重要です(図1)。
(2)がんの種類とその特徴
がんは,すべての臓器に発生する可能性があり,一般的にはその発生した臓器などから名称が
決められます。また,「がん」という名称は用いられていませんが,白血病なども,がんの一種です。
がんは,その種類や状態によって,治りやすかったり治療が難しかったり,あるいは発見しづらか
ったりします。したがって,がんをひとまとめにして捉えられないところがあり,それぞれ特徴がありま
す。(表1,2)(図2)
図1.がんの進行の例 (出典:鳥取県 とっとり健康家族ポータルサイト) (https://kenkokazoku.pref.tottori.jp/modules/check/index.php?content_id=1)5
表 1.主ながんの種類 がんの名称 特徴など 胃がん ・ピロリ菌(※1)の感染が発病にかかわっていると考えられている。 大腸がん ・運動不足や肥満,大量の飲酒などが発病に関連している。 肺がん ・我が国では,死亡者数が最も多く,特に男性に多い。 ・最大の原因は喫煙であり,たばこを吸う人が肺がんにかかる確率は,男性では吸わない人の 4~5 倍にもなる。 肝臓がん ・主な原因はB型及びC型の肝炎ウイルス (※2)の感染である。 ・大量の飲酒の習慣も,肝臓がんになるおそれがある。 乳がん ・乳房内にがんのかたまりができるため,しこりや皮膚のくぼみなどの有無を自己チェック することが重要である。 子宮頸(けい)がん 子宮体がん ・子宮のがんには,子宮の入口 (頸(けい)部)にできるものと,子宮本体(体部)にできるものがある。 ・頸(けい)部にできるものでは,初期の段階では症状がないことが多い。特に症状がなくても, 20 歳を過ぎたら,2 年に 1 回子宮頸(けい)がんの検診を受けることが勧められている。 前立腺がん ・診断方法が普及したことで,前立腺がんと診断される人が増加している。 ・かなり進行した場合でも適切に対処すれば,通常の生活を長く続けることができる。 り患数 死亡数 1 位 2 位 3 位 4 位 5 位 1 位 2 位 3 位 4 位 5 位 男性 胃 大腸 肺 前立腺 肝臓 男性 肺 胃 大腸 肝臓 膵すい臓 女性 乳房 大腸 胃 肺 子宮 女性 大腸 肺 胃 膵すい臓 乳房 男女計 大腸 胃 肺 乳房 前立腺 男女計 肺 大腸 胃 膵すい臓 肝臓 2012 年地域がん登録全国推計によるがんり患データ 2015 年人口動態統計によるがん死亡データ 図2.がんの5 年生存率(※3) (出典:全国がん(成人病)センター協議会の生存率共同調査(2017 年 6 月集計)による[診断年:2006-2008]) ※3 がんと診断された人のうち 5 年後に生存している人の割合が,日本人全体で 5 年後に生存している人の割合に比べてどのくらい 低いかで表します。 ※1 ピロリ菌:胃や小腸に炎症などを起こす細菌。また,胃がん等の発生に強く関連していると考えられています。 ※2 B型およびC型の肝炎ウイルス:肝炎ウイルスには A,B,C,D,E などさまざまな種類が存在しています。肝臓がんと関係があるのは主に B,C の 2 種類です。これらのウイルスは,妊娠・出産,血液製剤の注射,性的接触,針刺し行為によって感染すると言われています。 表2.我が国における主ながんのり患数と死亡数 (出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」最新がん統計より作成) 甲 状 腺 が ん 膀 胱 ぼ う こ う が ん 腎 ・ 尿 管 が ん 前 立 腺 が ん 卵 巣 が ん 子 宮 体 が ん 子 宮 頸け い が ん 乳 が ん ( 女 性 ) 肺 が ん 喉 頭 こ う と う が ん 膵す い が ん 胆 道 が ん 肝 が ん 大 腸 が ん 胃 が ん 食 道 が ん 全 部 位6
4 がんの予防
(1)がんの原因は一つではない
がんにかかる原因は,生活習慣,細菌・ウイルス感染,持って生まれた体質(遺伝素因)など,
様々あります。これらのどれか一つが原因となるということではなく,幾つかが重なり合ったときに,
その可能性が高まります。例えば,胃がん,肝がん,子宮頸(けい)がんなどは,細菌やウイルス等
の感染が原因で発生するものが多いと言われています。
(2)望ましい生活習慣(図1)
①たばこを吸わない
たばこの煙には,多くの発がん物質が含まれており,
喫煙は肺がんをはじめとして多くのがんにかかる危険性
を高めることが明らかになっています。例えば,たばこを
吸う人が,肺がんで死亡する危険性は,吸わない人と比
べると男性で約 4.8 倍,女性で約 3.9 倍です。たばこの
体への影響は,若い人ほど受けやすいことが指摘され
ています。また,他人が吸っているたばこの煙もできる
だけ避ける必要があります。
②過度の飲酒をしない
酒を大量に飲むと発がん物質が体内に取り込まれやすくなり,アルコールが通過する口腔(く
う),咽(いん)頭,食道や,アルコールを処理する肝臓などのがんにかかる危険性が高まります。
③バランスの良い食事をとる
塩分の多い食べ物のとりすぎは,胃がんにかかる危険性を高めます。また,熱い飲食物の摂
取は,食道がんにかかる危険性を高める可能性があります。逆に,野菜や果物の摂取は,食道
がんや胃がんにかかる危険性を低くする可能性があります。
④積極的に身体活動をする
運動不足は,大腸がんや乳がんなどにかかる危険性を高めます。生涯を通じて体力に応じた
適度な運動を日常生活に取り入れることで,がんの予防が期待できます。
⑤適正体重を維持する
肥満は,がんの原因になる場合があります。日本では,やせすぎもがんの原因になると言わ
れています。自分自身の体重を適正な範囲に保つことは,がんを予防するためにも大切です。
図1. (出典:国立がん研究センター社会と健康研究センター予防研究グループ 科学的根拠に 基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究を 基に国立がん研究センターがん情報サービスが作成(より一部改変))7
(3)感染対策
胃がんや肝がん,子宮頸(けい)がんのように,ウイルスや細菌等の感染が原因で発生するが
んの対策として検査があります。例えば,胃がんの原因の多くはピロリ菌感染によるもので,肝臓
がんの原因の大部分は肝炎ウイルスの感染によるものです。ピロリ菌の検査は医療機関で受け
ることができ,肝炎ウイルスの検査は医療機関に加え,地域の保健所でも受けることができます。
8
5 がんの早期発見とがん検診
(1)がん検診による早期発見の重要性
がんは,進行すればするほど治りにくく
なる病気です。がんの種類によって差はあ
りますが,多くのがんは早期に発見すれば
約 9 割が治ります(図 1)。
我が国では現在,肺がん,胃がん,乳
がん,子宮頸(けい)がん,大腸がんなど
のがん検診が行われています。検診の対
象年齢になると,市町村が実施する住
民検診や職場での検診において,がん
検診を受けることができます。ほかにも
様々ながん検診がありますが,この5つ
のがん検診は国が死亡率を減少させる効果を認めて推奨しています(図 2)。初期のがんは,症状
がほとんどないまま進行することが多いため,早期に発見するには,症状がなくても定期的にがん
検診を受けることが重要です。
図1.がんの進行度別にみた 5 年生存率 出典:(全国がん(成人病)センター協議会の生存率共同調査(2017 年 6 月集計)による[診断年:2006-2008]) ※がんは大きさやほかの臓器への広がりによって四つの進行度に分けて 考えます。数字が大きくなるにつれてがんが進行している状態です。 ※ 平成 28 年 4 月 1 日から以下の点が変更。 ・胃がん検診…50 歳以上を対象に,胃バリウム検査又は胃内視鏡検査のいずれかについて,2 年に 1 回実施。 (※当分の間,胃バリウム検査については 40 歳以上,年 1 回実施も可) ・乳がん検診…視触診は推奨しない。 図2.出典:山梨県 平成 26 年度高校 1 年生学習活動用リーフレット (URL: https://www.pref.yamanashi.jp/kenko-zsn/seizinhoken/documents/koukou1.pdf)9
(2)我が国におけるがん検診の課題
国は,平成 19 年より,がん検診の受診率を 50%とすることを目標として,様々な取組を進めてい
ますが,がん検診の受診率は目標を達成していないのが現状です。(図3)。なお,がん検診を受
けない理由として,「受ける時間がないから」,「費用がかかり経済的にも負担になるから」,「がんで
あるとわかるのが怖いから」,「健康状態に自信があり,必要性を感じないから」などが挙げられます。
検診で見つかるがんは早期発見の場合が多く,がんが治る可能性も高くなるなど,がんについて正
しく理解し,多くの人々が積極的にがん検診を受けることが望まれています。
図3.10
6 がんの治療法
(1)がん治療の三つの柱
がん治療の三つの柱として,手術療法,放射線療法,化学療
法(抗がん剤など)が挙げられます。がんの種類と進行度などを
踏まえて,これらを単独あるいは組み合わせて行うことが,標準
的な治療法として推奨されています(図1)。
また,こうした治療と並行して,心と体の痛みを和らげる「緩和
ケア」も行われます(「7 がんの治療における緩和ケア」を参
照)。
①手術療法
がんを手術によって切除する。最近は入院期間が短くなる傾向にあり,早期であれば数日
の入院,あるいは通院で治療できる。体への負担は大きいが,最近では内視鏡(小型カメラ)
を用いた手術など,負担を軽減する手術方法も普及してきている。
②放射線療法
放射線を照射することによってがん細胞を死滅させ,がん
を完治させたり症状を取り除いたりする(図 2)。放射線療法
は通院で行うことができ,体への負担も比較的少ない。
③化学療法
抗がん剤などの薬を服用あるいは点滴・注射するなどして,がん細胞の増殖を抑える。薬
の種類によっては,副作用として脱毛,吐き気などが現れる。最近は通院で治療できる場合も
増えつつある。なお,子供に多い白血病では,抗がん剤による治療が行われることが多い。
(2)治療法の選択
がんの治療法は,患者が医師から治療の目的や内容,方法などについて十分説明を受けて理
解し,よく相談した上で選択,決定していくことが重要です。がん治療においてインフォームド・コン
セント
(※1)は重要であり,医師が十分な説明をした上で,患者の同意に基づいて治療方針が決定さ
れます。
治療方針は医師によって異なる場合もあり,別の医師の意見を聞きたいときには,セカンド・オピ
ニオン
(※2)という仕組みを利用することもできます。がん治療において,治療方法を自分で選択する
という意識を持つことが大切です。
(図2) 図1. ※1 インフォームド・コンセント:患者が、自分の病気・検査・治療などについて十分な説明を受け、理解した上でどのような 医療を受けるか選択すること。 ※2 セカンド・オピニオン:患者やその家族が治療法などを選択する上で、主治医以外の別の医師に意見を求めること。11
なお,各都道府県には,質の高いがん医療を提供できるようにするために国に指定された,がん
診療連携拠点病院等が設けられています。また,それに準じた医療水準の病院をがん協力病院や
推進病院として指定したり紹介したりしている都道府県もあります。さらに,地域によっては小児が
ん拠点病院も設けられています。
がんについての情報を調べてみよう
➢ 国立がん研究センター がん対策情報センター「がん情報サービス」
(http://ganjoho.jp)
12
7 がんの治療における緩和ケア
(1)緩和ケアとは
病気になると,患者本人に痛みが出
たり,つらい気持ちになったりしますが,
それらを少しでも和らげて生活を送るこ
とが大切です。こうした病気に伴う体と
心の痛みを和らげるための支援を「緩
和ケア」と言います(図1)。
また,患者の家族も「第二の患者」と
言われるほど様々な「苦痛」を抱えています。患者本人だけでなくその家族に対しても,苦痛を和ら
げるための支援を行うことが大切です。例えば,在宅での療養に関わる課題等について,介護保
険制度など社会制度の活用などが考えられます。
(2)がんと診断されたときから受ける緩和ケア
緩和ケアについては, 平成
18年に制定されたがん対策基
本法によって,早期から適切に
行われるべきものと示されたこと
もあり,理解が広まってきていま
す(図2)。
図2. 図1.緩和ケアでの「苦痛」の考え方13
8 がん患者の「生活の質」
(1)がんと向き合い,がんと共に生きる
我が国において,二人に一人が生涯にがんにかかるという状況をみると,「がんと共に生きる社
会」とも言えるかもしれません。
がんの診断を受けると,多くの人は衝撃を受け,悲観的に考えて不安になり,心が大きく揺れま
す。しかしながら,がんにかかっても,がんと向き合い,生き生きと日常生活を続け,治療を受けな
がら仕事をしている人もいます。もちろん,そうした人たちも,最初からうまくがんと向き合ってこられ
たわけではありません。
(2)求められるがん患者の「生活の質」の維持・向上
がん治療の進め方には多くの選択肢がありますが,がんの種
類や病状だけでなく,今後の生活や生き方を踏まえて選択する
ことが大切です。一人一人生き方が違うように,がんとの向き
あい方も人それぞれなのです。
また,がんの治療は,単に病気を治すことだけが大切なので
はありません。治った場合にもがんにかかる前と同じような生
活が送れること,治療が長引く場合でも自分らしく生きられるようにすることなども考える
必要があります。がんの治療では,こうしたがん患者の「生活の質」(クオリティ・オブ・
ライフ:QOL)をできるだけ維持・向上することを重視する方針が採られるようになって
きています。
患者ががんとともに歩む気持ちをしっかり持って,自分らしく生き
ることが大切です。
14
9 がん患者への理解と共生
(1)親のがんがその子供の生活に及ぼす影響
がん患者は年々増加し,今後も増加が続くと予想されています。がんになれば,様々な
生活上の支障も出てきます。
国立がん研究センターの推計(平成
27 年)によれば,親ががん患者である 18 歳未満の
子供の総数は約
8 万 7,000 人に上ります。親のがんは,その子供にとっても深刻な問題です。
(2)がん患者とともに生きるために
がんにかかったときには,その患者や家族の生活など様々なことが大きく変化します。し
かし,そのためにその人らしさが失われてしまうわけではありません。患者や家族からは,
周りの人たちに対して,これまでと同じように接してほしいと望んでいるとの声を聞きます。
私たちは,がん患者やその家族とともに生きていることを理解する必要があります。
(3)がん患者も暮らしやすい社会を目指して
がんにかかっても,多くの人が治療をしながら,仕事を続けたり,以前と同じような生
活を送ったりすることができるようになりました。しかしながら,個人の努力や身近な人の
支援だけでは解決できない問題も少なからずあります。
職場においては,がんやその治療に関して,更に理解を広め
る必要があります。仕事とがん治療を両立させるために勤務先
から支援を受けたがん患者の割合は
68.3%
(※1)となっています。
また,がんの治療や検査のために
2 週間に一度程度病院に通う
必要がある場合,働き続けられる環境だと思う
20 歳以上の人の割合は 27.9%
(※2)にとど
まり,治療と仕事の両立が難しいと考える人が多いことが指摘されています。
我が国では,がん患者やその家族を支える仕組みが徐々に整備されつつありますが,い
まだ十分ではありません。がん患者やその家族も含めて誰もが暮らしやすい社会をつくるた
めにも,私たちががんについて正しく理解することが重要です。
友人といる時間は,病気とは何の関係もない自分でいられる時間です。何でもない話をし て,一緒に笑って,共に過ごすことで,「患者」としてではない,これまで通りの「自分」を 取り戻せるような気がします。 (患者手記より) 『身近な人ががんになったとき 地域・職場・学校で役立つがんの知識と情報』 (国立がん研究センターがん情報サービス) ※1 平成 27 年 厚生労働省研究班患者体験調査 ※2 平成 28 年 内閣府世論調査 がん対策に関する世論調査15
がん患者や周囲の人々の気持ちを考えてみよう
~話し合ってみよう~
医学の進歩により,がん患者の生存率も高まり,社会に復帰する人,病気を抱えなが
ら働く人なども増えてきています。こうした患者とともに,お互いが支え合い,共に暮
らしていく社会を築いていくことが求められています。
私にとってがんになったことは人生最悪の出来事であることには違いないけれ
ど,それでも「がんになって悪いことばかりではなかった」と,心の底から素直
に言うことができます。
それは「自分がこれほど,周りから愛され,大切にされていた」ということが
よくわかったからです。家族はもちろんですが,周りの友人が本当によくしてく
れました。
いっぱい泣きました。でも,悲しい涙よりずっと多かったのが,周りの人へ感
謝するうれしい涙でした。私はこんなにも愛され,大切に思われているのだとい
うことを,ひしひしと感じることができ,本当にありがたく,がんになったから
といって悪いことばかりじゃなかったなって思います。
〈広島県 52歳 女性〉 『もしも,がんが再発したら [患者必携] 本人と家族に伝えたいこと』 (国立がん研究センターがん情報サービス)16
がんにかかると,治療のために仕事を休まなければならない,あるいはやめざるを得
ない場合も出てきます。
現在の我が国では,がん治療は入院というより,通院が主体になりつつあります。が
ん患者も働きやすい社会を築いていくためには,どうしたらよいでしょうか。
〈ある職場でのケース〉
自分の病気について人に話すときの「話し方」「伝え方」に気を付けるように
しました。私自身がそうでしたが,病気になったことを自分の欠点だと思ってし
まうと,病気のことを人に話すときに,相手にも欠点として伝わってしまいます。
逆に,病気を経験したけれども働こうと思っている自分に自信と誇りをもって
堂々と話せば,相手も長所として受け止めてくれます。
今では,「抗がん剤で髪がいったん全部抜けたけどこれだけ生えてきました」
などと,深刻な顔をせずに平然と話すことで,相手もそのうち普通の会話として
受け止めてくれるようになりました。また,できないこと,制限が必要なことも
はっきり言い,逆にできること,制限しなくていいこともはっきりアピールして
います。例えば「薬があるから忘年会でお酒は飲めない」「骨が弱いから会社の
バレーボール大会は見学のみ」ということをはっきり言う一方で,「旅行に行っ
た」「週3日ウオーキングをしている」など,病気だからといって何もかもダメ
でおとなしく生活しているわけではなく,普通の人と同じように遊びも楽しんで
いることもアピールしています。
病歴は変えられないけれど,伝え方の技術を磨くことで,病歴をプラスの経験
に変えて社会に受け入れてもらいやすくなると感じています。
〈女性 診断時19歳 卵巣がん 正社員〉 『がんと仕事の Q&A(第 2 版)』(国立がん研究センターがん情報サービス)17
小学生用教材案
あなたは,がんという病気を知っていますか?
がんは,治らない病気だとか,とてもこわい病気だと思っていませんか?
現在,日本人の2人に1人ががんになり,3人に1人ががんで亡くなっています。日本人の
死亡原因の1位が,がんです。
なぜ,がんになるかというと,私たちの生活習慣と大きな関わりがあります。
たばこはがんの原因のトップですが,酒の飲みすぎ,運動不足,太りすぎ,やせすぎ,野菜
や果物不足,塩分のとりすぎ,などの生活習慣が,がんになる可能性を高めます。
そのため,日ごろから健康的な生活習慣を心がけ,がんの予防に努めましょう。
また,がんは,早く発見して適切な治療
ち り ょ うをすれば,健康な生活に戻
も どれます。
がんにかかっても,がんと向き合い,生き生きと日常生活を続け,治療
ち り ょ うを受けながら仕事
をしている人もいます。
みなさん,がんについて学習して,健康や命の大切さについて考えてみましょう。
男性
女性
63%
47%
(表)がんにかかる割合
表1.出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」 最新がん統計より作成18
命あるかぎり,あなたに伝えたい
Aさんのお子さん「Bくん」が幼稚園
よ う ち え んの年少のときのことです。1か月以上
かぜが治らず熱も出たので,病院に行くと,お医者さんに言われました。
「白血病です。血液のがんです。治療
ち り ょ うで一時的によくなりますが,完全に治すことは難しいで
す。」
Aさんは涙が止まりませんでした。
それから毎日毎日,薬でのつらい治療
ち り ょ う。治療
ち り ょ うをしている時は,食欲もなくなります。かみの毛が
ぬけたり,口内炎
こ う な い え んがひどくなり,食べることもできなくなったりします。毎日がたたかいでした。
病院には,同じ年くらいの友達がたくさんいました。みんななかよしで楽しく遊んだり,勉強したりし
ました。しかし,昨日まで一緒
い っ し ょに遊んでいた友達の病室が静かになり,ある日突然
と つ ぜ んいなくなってし
まうのです。それのくり返しにも関わらず,だれも「どうして?」と聞きませんでした。
小学校1年生の5月。Bくんは天国へ旅立ちました。最後まで苦しんで亡くなりました。Aさんは,
苦しくて,苦しくて見ていられませんでした。
それから十数年。病院の検査で,Aさん本人にもがんが見つかりました。胃がんでした。この時,
Aさんの 娘
むすめはまだ小学校5年生でした。Aさんの頭の中にさまざまな思いがめぐりました。いろいろ
考えた結果,子供たちにがんであることは伝えずに入院しました。
つらい抗
こ うがん剤
ざ い治療
ち り ょ う。Aさんは,Bくんもこんなにつらい経験をしていたのだと改めて感じました。
だからこそ,どんなつらい治療
ち り ょ うにも弱音をはきませんでした。
昔とは違
ち がい,がんは治ることもある病気です。胃がんの手術をし,一旦
い っ た んは治りました。しかし,3年
後に少し残っていた胃にがんが見つかり,再び手術を行いました。さらに2年後に別のがんが見
つかり,また手術をしました。なんとしつこい病気なのでしょう。Aさんは 涙
なみだをこらえることができません
でした。それでもがんと立ち向かい,完全に治りました。
3 度目のがんの直後, 娘
むすめの通う高校で,「3 度のがん経験」を話す機会をもらいました。
それをきっかけに,学校で講演を始めました。
もしかしたら,またがんになるかもしれません。そうでなくても人間である以上,いつか死んでしま
います。そんな中,残りの人生を自分が経験したことや感じたことを多くの人に伝えようと心に決め
ています。
Aさんは,自分ががんになった時に支えてもらった方への感謝の気持ちを忘れないで,1日1日
を大切にしながら今を生きています。Aさんは講演の最後に必ずこう伝えています。
「平凡
へ いぼんな日常は,実はとても幸せなことなのです。ご両親やお友達を大切にしましょうね。」
Aさん参考になるサイト □千葉県教育庁教育振興部学校安全保健課 http://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku-bunka/kyouiku/gakk ou/hoken-kyuushoku/index.html □千葉県がん情報 ちばがんなび http://wwwp.pref.chiba.lg.jp/pbgnv/ □千葉県 がん対策 http://www.pref.chiba.lg.jp/seikatsu-fukushi/hoken-iryou /kenkouzukuri/gan/index.html □国立がん研究センターがん対策情報センター がん情報サービス http://ganjoho.jp/public/index.html □厚生労働省 がん対策情報 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenko u_iryou/kenkou/gan/
50代で乳がんになったKさん(女性)の体験記
「乳がんの疑いがあるというあいまいな言い方を僕はしません。あなたの場合は 100%乳がんです。」 がんに対しての何の知識も持たないまま、がん患者の側に立った瞬間です。53 歳のことでした。 父方のおばが乳がんにかかっていたので、いつかなるような予感もありましたが、宣告を受けるま でひとごとで、がんがこんなに身近にあったのだという事実に呆然と立ちすくみました。 「乳がんは比較的おとなしいがんで、ここまで成長するには 8 年から 10 年かかっています。」と その時、主治医に言われました。手術まで 1 か月ぐらいあったのですが、その間、体中にがんが広 がっていくような気がして、自分の体に無関心であったことを本当に後悔しました。8 年もの間、が んを抱えながら漫然と生きてきた日々を振り返り、後悔しない人生を送ってきただろうかと自身に 問いかけました。 入院中は医療者から、支えられているという安心感があったのですが、退院後数か月するとそれ もなくなり、入院中の仲間とも顔を合わせる機会が減ってきました。友人に誘われて出かけてもが ん患者の気持ちが理解してもらえないもどかしさがあり、会うことが負担に感じるようになりまし た。自分では精神は強いほうと自負していたのですが、体は元気になっても精神がついていかず、 うつにもなってしまいました。その後、私は多くのがんの体験者に支えられて、様々な生きるヒン トや知恵をいただき元気を取り戻しました。がんにかかったことは不幸なことでしたが、かからな かったら得られなかった贈り物(キャンサーギフト・がんからの贈り物)もたくさんありました。精 神面でも生活面でも無駄なことを切り捨てる勇気をもらったことが一番の贈り物でした。患者同士、 お互いに支え合う必要性を感じ、術後から4年目に乳がん患者会を立ち上げました。あとに続く患 者さんの精神的支えになりたいと活動して、現在に至っています。 がん患者は特別扱いして欲しいとは思っていません。がんになって、ごく普通の生活が一番幸せ なのだと知ったからです。がんにかかる前の普通の生活を取り戻し、がんを恐れず、そしてがんを 侮らず、いまある命を大切に生きていきたいと思っています。もし、自分や身近な人ががんになったら、どうなるのでしょう。
どのようなことを考えますか
。
【発行・編集】 【問い合わせ】 千葉県教育庁教育振興部学校安全保健課 〒260-8662 千葉県千葉市中央区市場町1番1号 TEL 043-223-4092 [email protected] Kさんの体験記を読んで、感じたことを書いてみましょう。 4 2015 年2月 千葉県・千葉県教育委員会 1 がん 結核 心疾患 脳血管疾患 肺炎 不慮の事故 0 5 10 15 20 25 30 35 40 1947 1957 1967 1977 1987 1997 2007 (万人) がんは、遺伝子が傷つくことに よって起こる病気です。がんという 病気自体が人から人に感染することはありません。 また、全部のがんのうち「遺伝するがん」は5%以下といわ れています。ほとんどの人は心配しなくてもよいのですが、遺 伝するがんも間違いなくあることがわかっています。 2010年には約80万人が新たにがんになっていますが、 そのうちの約3割(約24万人)が20歳から64歳の働く世 代です。 千葉県中学校がんの教育教材がんについて学ぼう
1 がんとはどんな病気なのかを知ろう
出典:国立がん研究センターがん対策情報センター 皆さんは、「がん」についてどんなイメージを持っていますか? 「がん」は、私たちにとって、とても身近な病気なのです。 日本では、2人に 1人ががんになる といわれているん だよ。 現在、日本人の死亡原因は、がんが 第1位で、1年間の死亡者数125万 人のうち、約36万人が亡くなってい ます。 人間の体は、多くの細胞からできています。 がん細胞ができても、人間の体は免疫という仕 組みが働き、がん細胞を取り除いてくれます。 しかし、その仕組みをすり抜けて、異常な細 胞が増え続け、体の正常な部分や血管の中に入 り込むなどして、体を弱らせてしまう事があり ます。これが、がんという病気です。 出典:厚生労働省「平成24年人口動態調査」 日本人の死亡原因の変化 風邪みたい にうつる? チーバくんがんについて学ぼう
がんについて学ぼう
お年寄りだけが なる病気? 遺伝する のかな? 正常な状態 遺伝子に傷が付き、異常 な細胞ができる 血管などに入り込み、全 身に広がる(転移浸潤) 異常な細胞が増殖する (がん化) 異常な細胞がかたまりに なる(腫瘍形成)、 周囲に 広がりやすくなる2 喫煙 30% 食事・肥満 30% 運動不足 5% 飲酒 3%
2 よりよい生活習慣でがんを防ごう
アメリカ人のがん死亡の原因 出典:国立がん研究センターがん対策情報センター 「米国人のがんの原因」をもとに作成 がんの原因には、たばこや飲酒、食事など、日常の生活習慣が関係して いることが明らかになっています。 多くのがんは、生活習慣を改善することで、予防できると考えられます。適正体重を維持する
お酒を飲みすぎない
バランスよく食べる
定期的に運動する
たばこは吸わない
(受動喫煙にも気をつけて)
塩分は1日 10g未満に 国立がん研究センターがん予防・検診研究センター「日本人のためのがん予防」をもとに作成将来がんになりにくくするために
がんになった人みんな が、生活習慣がよくない わけではありません。 原因がよくわかってい ないがんもあります。 やせすぎない 太りすぎない 左のグラフは、1996年にハーバード 大学のがん予防センターが、アメリカ人の がん死亡の原因とその割合について推計し たものです。 がん死亡の原因は、喫煙、食事・肥満、 運動不足、飲酒の合計で68%になること がわかります。 日本でも現在、がん予防のための研究が 進められています。 (ハーバード大学がん予防センター資料による) その他 32% 職業要因 家族歴 ウイルス 環境汚染 紫外線など 33 がん検診について知ろう
日本人に多いがんの種類 がんの種類 勧められている 検診の方法 勧められる 人・時期 胃がん 胃のX線(レントゲン) 40 歳以上の男女 毎年 大腸がん 便に血液がまじっているか調べる 40 歳以上の男女 毎年 肺がん 胸のX線 喫煙者は痰も調べる 40 歳以上の男女 毎年 乳がん 医師が乳房の状態を眼と指で確認して、 マンモグラフィ(乳房のX線)で調べる 40 歳以上の女性 2 年に 1 回 子宮がん (子宮頸けい たん がん) 子宮の細胞を採って調べる 20 歳以上の女性 2 年に 1 回 がん検診の受診のめやす 君の大切な家族にも、 がん検診に行って欲し いなあ。 現在は、多くのがんが早期発見することで、治すことも可能となって きました。がんは、早い段階では体に症状が出ないことがほとんどです。 症状が無くてもがんを早く見つけられる方法が、「がん検診」です。 出典:厚生労働省「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」 がんの治療 今回の学習を通してわかったことや考えたことをもとに、自分に できることを書いてみよう。 出典:小学校保健教育資料 『がんのことをもっと知ろう』をもとに作成 国立がん研究センターがん対策情報センター(一部引用) 緩和ケア がんに伴う体と心の痛みやつらさ を和らげる。 ●痛み止めの薬 ●痛みを感じにくくする注射 ●痛みをやわらげる放射線治療 ●マッサージ・鍼(はり)・灸(きゅう) ●心のケアを受ける ●薬以外の方法を組み合わせる 5位 肝臓がん 3位 肺がん 2位 大腸がん 4位 乳がん 1位 胃がん 手術 がん組織を切り取り ます。 放射線治療 放射線を用いて、 がん細胞が増える のを止めたり、細 胞が死んでいくの を促したりします。 薬物療法 抗がん剤などの薬 を用いて、がん細 胞が増えるのを止 めたり、がん細胞 を殺します。 がんの治療は主に3つの方法で行われています。同時に「緩和ケア」を 行うことで、患者さんの負担を軽くすることができます。第3学年 保健体育科(保健分野)学習指導案(例)
1 単元名 健康な生活と病気の予防 ⑥生活習慣病の予防 2 本時の目標 ・より良い生活習慣や検診が、がんを予防するのに有効な手段であることを理解する。【知識・理解】 ・がんについて正しく理解し、予防のために自分ができることを考える。 【思考・判断】3 本時の展開 段階 学習内容と活動 ○教師の指導・支援 ◎評価 資料 導入 5分 1 本時の学習内容について確認する。 ○リーフレット「がんについて学ぼう」 (P1~3)を活用して、がんについて の学習を行うことを簡潔に説明する。 ※がんに関する内容を扱うにあたって、 生徒への配慮を行う。 リーフレット (P1~P3) 展開 35分 ◇がんについて学ぼう 2 がんについての理解を深める。 ●がんとはどんな病気ですか? ・こわい ・治らない ・日本人の2人に1人がなる。 ・日本人の死亡原因の第1位。 ・がん細胞が増えすぎると病気のが んになる。 ※補助発問 ●がんができる仕組みは? ●遺伝する?伝染する? ●お年寄りがなる病気? ◇がんを防ごう 3 生活習慣から ●生活習慣について、小学校で学んだ ことや前時までに学習したことを振 り返って、どんなものがあったか挙 げる。 ●「将来がんになりにくくするために」 を読んで、自分ができることをまと める。 4 がん検診から ●知っているがん検診について発表す る。 ・胃がん検診 ・大腸がん検診 ○がんについてのイメージを発言させ たり、リーフレットを活用したりして 身近な病気であることを理解させる。 ○がんは若い人でもかかる病気である ことも伝える。 ○がんについての理解を深めさせるた めに補助発問を加えていく。 ○グラフを通して、がん死亡原因の 70%近くが生活習慣であることを 理解させるとともに、逆に、よりよい 生活習慣が、がん予防(将来、がんに なりにくくする)につながることも理 解させる。 ○生活習慣に気をつけていても、がんに なる可能性があることも押さえる。 ☆よりよい生活習慣が、がん予防(将来、 がんになりにくくする)につながるこ とを理解できたか。【知識・理解】 ○リーフレットを活用して発表させる とともに、検診による早期発見が治癒 率を高くしていることを知らせ、定期 的な検診の必要性を理解させる。 ○千葉県のがん検診の取り組みを知ら せ、身近にがん予防活動があることを 知らせる。 リーフレット (P1) 「1 がんとは どんな病気なの かを知ろう リーフレット (P2) 「2 よりよい 生活習慣でがん を防ごう」 リーフレット (P3) 「3 がん検診 について知ろ う」 がんについて正しく理解し、がん予防のために自分ができることを考えよう。
※補助発問 ●がんの治療方法は? ●緩和ケアとは? ○手術・放射線治療・薬物療法があり、 治療は医師と患者が話し合って患者 にあった治療が行われることを理解 させる。 ○痛みだけでなく、心の不安やつらさが あることも押さえる。 ○緩和ケアにより、患者が治療を前向き に臨めるようになることを理解させ る。 ☆定期的な検診が、がん予防の有効な手 段であることを理解できたか。 【知識・理解】 まとめ 10分 ◇まとめよう 5 本時の学習についてまとめる。 ●授業を通してわかったことや感じた ことをもとに、自分ができることを 考え、発表する。 ○机間指導しながら、学習内容を自分な りに整理させたり、確認させたりしな がら、自分ができることをまとめさせ る。 ○発表を聞くことで、自身の考えを深め させる。 ☆がんについて正しく理解し、予防のた めに自分ができることを考えられた か。 【思考・判断】 リーフレット (P1~P3) 4 板書計画 健康な生活と病気の予防 ~がんについての学習~ ≪がん検診から≫ ・胃がん検診 学習問題 ・大腸がん検診 ※治療方法は ※緩和ケアとは ◇がんについて学ぼう ◇まとめよう ●どんな病気? ●自分ができることは? ・こわい ・治らない ・ ・日本人の2人に1人がなる。 ・ ・日本人の死亡原因の第1位。 ・ ・がん細胞が増えすぎると病気のがんになる。 ・ ・若い人でもかかる。 ◇がんを予防しよう ≪生活習慣から≫ ●生活習慣について今まで学んできたことは? ・ ●がんになりにくくするためにできることは? ・ がんについて正しく理解し、がん予防のために 自分ができることを考えよう。
第3学年 道徳学習指導案(例)
1 主題名 がんにかかった方の思い 2 本時の目標 がん経験者の思いを感じ、自他の生命を大切にし、共に生きていこうとする心情を育てる。 3 本時の展開 段階 学習内容と活動 ○教師の指導・支援 ◎評価 資料 導入 10分 1 本時の学習内容について確認する。 ●前時にがんのできかたや、がんになり にくい生活習慣、がん検診について学 んだことを振り返る。 ○がんにかかった人の体験記を読んで、 その気持ちや、命について考えてみま しょう。 ○保健の学習を振り返りながら資 料に対する方向付けや価値への 方向付けを行う。 ○資料「がんについて学ぼう」 (P4)を使って学習を行うこと を簡潔に説明する。 ※がんに関する内容を扱うにあた って、生徒への配慮を行う。 リーフレット (P4) 展開 30分 2 がん患者に対する理解を深める。 ●「がん体験記」を読む。 ○「がん体験記」を読んで感じたことな ど、今の気持ちを発表してください。 ○あなたががんと診断されたら、どんな 気持ちになると思いますか? ○あなたの大切な人が、がんになったと したら、どんな気持ちで接しようと思 いますか? ●グループで出た内容を紹介する。 ○がんの体験談を読ませて、経験 者のイメージを持たせる。 ○素直な気持ちを発表させる。 ○他の気持ちを否定せずに聞くよ うにさせる。 ○4~6人のグループで自分の考 えを発表させる。後で内容を紹 介してほしいことも伝え、発表 者を決めさせる。 リーフレット (P4) まとめ 10分 4 本時の学習について考えたことをまと める。 ●感想を書く。 ○身近な人に自分の感想を伝える ことができるように助言する。 ◎がん経験者の思いを感じ、自他 の生命を大切にし、共に生きて いこうとする心情を育てること ができたか。 リーフレット (P4)高等学校第1学年 科目保健 学習指導案
1 単元名 現代社会と健康 イ 健康の保持増進と疾病の予防 (ア) 生活習慣病と日常の生活行動「がんとその予防」 2 単元の目標 (1) 健康の保持増進と疾病の予防について関心を持ち、学習活動に意欲的に取り組むことができる ようにする。(関心・意欲・態度) (2) 健康の保持増進と疾病の予防について、課題の解決を目指して、知識を活用した学習活動など により、総合的に考え、判断し、それらを説明できるようにする。(思考・判断) (3) 健康の保持増進と疾病の予防について、課題の解決に役立つ基礎的な事項及びそれらと生活と のかかわりを理解できるようにする。(知識・理解) 3 単元について 本単元では、生活習慣病を予防し、健康を保持増進するためには、適切な食事、運動、休養及 び睡眠など調和のとれた健康的な生活を実践することが必要であること理解できるようにする。 その際、がん(悪性新生物)、虚血性心疾患、脂質異常症、歯周病などを適宜取り上げ、それら は日常の生活行動と深い関係があることを理解できるようにする。 がんについては、日本人の死因の第一位であり、危険性を増す要因としては、たばこ、細菌・ ウイルス、過度な飲酒など様々なものがあることを理解できるようにする。 また、現在及び将来に直面するがんに関する課題に対して、健康な社会の実現のため、自らの 健康管理や健康的な生活行動の選択ができるようにする。 4 単元計画((ア) 生活習慣病と日常の生活行動)2時間 時 学習内容・学習活動 観点別評価規準 評価方法 ア関心・意欲・態度 イ思考・判断 ウ知識・理解 生 活 習 慣 と 日 常 の 生 活 行 動 1 生活習慣病の発病や進行の概要 について整理する。 2 生活習慣病を未然に防ぐことや 早期発見・早期治療の重要性につい て理解する。 ① 観察 3 がんとはどんな病気なのか理解 する。 ① 観察 (ねらい)生活習慣病を予防し、健康を保持増進するには、適切な食事、運動、休養及び 睡眠など、調和のとれた健康的な生活を実践することが必要であることを理解できるよう にする。時 学習内容 観点別評価規準 評価方法 ア関心・意欲・態度 イ思考・判断 ウ知識・理解 生 活 習 慣 と 日 常 の 生 活 行 動 本 時 1 がんは日本人の死因第1位であ ることを理解する。 2 がんになる人や、がんで亡くな る人が増えている理由を考え、書き 出す。 3 がんになる人や、がんで亡くな る人を減らす方法について考え、話 し合う。 ② 観察 付箋 4 がんを予防する上で、自らが今 後取るべき行動を考え、記述する。 ※生 徒 のが ん につ い ての 理解 を 深 め、より望ましい行動選択を促すと いう効果を高めるために、がん相談 支援センターの職員をゲストティー チャーとして招き、授業者とともに グループワーク時の助言を行う。 ① ワークシート 5 評価規準 関心・意欲・態度 思考・判断 知識・理解 学 習 内 容 に 即 し た 評 価 規 準 ①生活習慣病を未然に防ぐこ とや早期発見・早期治療の重要 性について、資料を探したり、 見たりして意欲的に取り組ん でいる。 ②健康の保持増進について、課 題の解決に向けての話し合い や意見交換などの学習活動に 意欲的に取り組んでいる。 ①健康的な生活習慣とがんと の関係を踏まえて、がんに対す る課題を見付けたり、課題を解 決する手立てを考えたりする などして、自らが今後取るべき 行動を判断し、記述している。 ①がん予防のためには、調和の とれた健康的な生活を実践す る必要があることについて、理 解したことを発言したり、記述 したりしている。 (ねらい)がんの予防、早期発見・検診等について関心を持ち、正しい知識を身に付け、 適切に対処できる実践力を育成する。 がんについて学ぶことや、がんと向き合う人々と向き合うことを通じて、自他の健康 と命の大切さに気付き、自己の在り方や生き方を考え、共に生きる社会づくりを目指す 態度を育成する。
【観点別評価の実際】(本時) ①「関心・意欲・態度」の例 学習活動に即した評価規準(第2時) 健康の保持増進について、課題の解決に向けての話し合いや意見交換などの学習活動に意欲的に取り 組んでいる。 具 体 的 な 評 価 方 法 の 例 第2時では、健康の保持増進について、がんについての課題の解決に向けてのグループでの話 し合いや意見交換において、自ら進んで意欲的に取り組んでいる状況を観察し、判断する。 <「十分満足できる」状況にあると判断するポイント> 話し合いや意見交換の際、メモを取ったり、内容を確認したりするなど、積極的に取り組んで いる。 <「努力を要する」状況と判断した生徒への手だて> 教科書や補助資料を参考にさせたり、事例を示したりして、個別に説明する。 ②「思考・判断」の例 学習活動に即した評価規準(第2時) 健康的な生活習慣とがんとの関係を踏まえて、がんに対する課題を見付けたり、課題を解決する手立 てを考えたりするなどして、自らが今後取るべき行動を判断し、記述している。 具 体 的 な 評 価 方 法 の 例 第2時では、健康的な生活習慣とがんとの関係について学んだことを基に、がんに対する課題 を見付けたり、課題を解決する手立てを考えたりするなどして、自らが今後取るべき行動を判断 し、説明したことについて、ワークシートに記述した内容から判断する。 <「十分満足できる」状況にあると判断するポイント> 健康的な生活習慣とがんとの関係について学んだことを基に、自らが今後取るべき行動につい て、自他の健康と命の大切さや、がん患者や支援センター等がんと向き合う人々の取組、健康な 社会の実現に努めることに触れて説明している。 <「努力を要する」状況と判断した生徒への手だて> 教科書を参考にしたり、身近な事例を示したりして、個別に説明する。 6 展開例(2/2) (1)本時の目標 ・健康の保持増進について、課題の解決に向けての話し合いや意見交換などの学習活動に意欲的 に取り組むことができるようにする。(関心・意欲・態度) ・健康的な生活習慣とがんとの関係を踏まえて、がんに対する課題を見付けたり、課題を解決す る手立てを考えたりするなどして、自らが今後取るべき行動を判断し、記述できるようにする。 (思考・判断) (2)展開 時間 主な学習内容・学習活動 ○指導上の留意点 ☆評価 導 入 8 分 1 前時の説明を受け、振り返りをす る。 ○授業で使用するワークシートを配布しておく。
2 「日本人の死亡原因の変化」のグ ラフを見る。 ○昭和25 年(1950 年)の日本人の死因の1位は結核 であったが、昭和56 年(1981 年)からはがんが1位 であり、今後も増加傾向にあること、法律や条例の 制定をはじめ、がん対策が推進されていることにつ いて説明する。 ○必要に応じて、結核による死亡が減った理由(結 核予防法の制定、健康診断、予防接種の義務付け、 栄養状態・衛生状態の改善等)をおさえ、後にがん 罹患や死亡を減らすことについて考える際の手掛 かりとして示す。 ○本時は、がんになる人やがんで亡くなる人はどう したら減らせるか、専門家と一緒にみんなで考える ことを説明する。 (資料1 「日本人の死亡原因の変化」のグラフ) 展 開 3 5 分 3 自分の考えをワークシートに記入 する。 【生徒の予想される答え】 ・喫煙、飲酒 ・偏った食事、太りすぎ ・運動不足 ・健康診断を受けない ・高齢者の増加 ○今持っている知識で思いつくものを書き出させ る。時間は5分。 ○教師・ゲストティーチャーともに机間指導し、質 問があれば回答する。 ○書き出せない生徒には、教科書や補助資料を参考 にするよう助言する。 4 グループに分かれ、司会、記録、 発表の各係を決める。 ○グループの活動で使用する付箋、模造紙、マジッ クをグループに配布する。 【発問1】がんになる人や、がんで亡くなる人が増えている理由には、どのようなこと が考えられるか。 【発問2】がんになる人や、がんで亡くなる人を減らすためには、どうしたらよいか。
5 自分の考えを付箋に記入する。 【生徒の予想される答え】 ・たばこを値上げする ・分煙をすすめる ・がん検診を受けやすくする ・がんについて知識を得る ○すでに啓発・周知されていることだけでなく、生 徒自身の意見でもよいことを伝える。 ○書き出せない生徒には、導入で紹介した結核につ いての対策を参考に考えさせる。(必要に応じて、 法制度、健康診断、予防対策、生活・環境上の注意 等に分けて考えさせる。) 6 それぞれが書いた付箋を「誰が行 う対策か」によって分類して模造 紙に貼る。 貼った内容について話し 合い、発表できるように まとめる。 ○あらかじめ、話し合うときの約束を示 す。 ①どんな意見も否定しない。 ②なるべく多くの意見が出るようにする。 ○模造紙の使い方について、分類したまとまりや、 まとまり同士の関係についてマジックで書き加え てもよいことを伝える。時間は10分。 ○教師・外部講師ともに机間指導し、質問があれば 回答する。 ☆健康の保持増進について、課題の解決に向けての 話し合いや意見交換などの学習活動に意欲的に取 り組むことができたか。(関心・意欲・態度②) 7 まとめたことを黒板に掲示し、発 表する。 ○話し合った内容を簡潔に発表させる。1グループ 1分程度 8 ゲストティーチャーの話を聞く。 ○ゲストティーチャーに、生徒の発表の中で、実際 に行われていることや、課題のあることについて説 明を依頼する。 ま と め 7 分 9 ワークシートに、自分の取るべき 行動を考えて記入する。 ☆健康的な生活習慣とがんとの関係を踏まえて、が んに対する課題を見付けたり、課題を解決する手立 てを考えたりするなどして、自らが今後取るべき行 動を判断し、記述できたか。(思考・判断①) がんについて学ぶことや、がんと向き合う人々と触れ合うことを通じて、自他の健康 と命の大切さに気付き、自己の在り方や生き方を考え、共に生きる社会づくりを目指す ことが大切である。 【発問3】今日学んだことを踏まえて、自分の取るべき行動をまとめてみよう。
7 資料等 ワークシート 資料1 厚生労働省「人口動態統計」による がん 結核 心疾患 脳血管疾患 肺炎 老衰 0 5 10 15 20 25 30 35 40 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 死亡数(万人)
日本人の死亡原因の変化
がんとその予防
1年 組 番 氏名 (1)がんになる人や、がんで亡くなる人が増えている理由にはどのようなことが考え られるか記入しよう。 (2)グループの話し合いで、自分が思いつかなかった意見など、気がついたことを メモしよう。 (3)今日学んだことを踏まえて、がんに関する課題や健康な社会の実現のために、 自分の取るべき行動をまとめてみよう。【参考】 厚生労働省「人口動態統計」による 昭和25 年(1950 年)の日本人の死因 1位 全結核 2位 脳血管疾患 3位 肺炎及び気管支炎 4位 胃腸炎 5位 悪性新生物 平成26 年(2014 年)の日本人の死因 1位 がん(悪性新生物) 2位 心疾患 3位 肺炎 4位 脳血管疾患 5位 老衰