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教職員 学生対象聴覚障害学生支援セミナー 障害者の就職支援について 石原保志先生 ( 筑波技術大学教授 ) 就職に関する支援に携わるようになって 15 年になります 就職支援というのは あらゆることにかかわります < 聴覚障害者の就職の状況 > 恐らく今までの日本の歴史の中で 今

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Academic year: 2021

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「障害者の就職支援について」 石原 保志 先生(筑波技術大学 教授) 就職に関する支援に携わるようになって15 年になります。就職支援というのは、あらゆ ることにかかわります。 <聴覚障害者の就職の状況> 恐らく今までの日本の歴史の中で、今、一番、就職の状況が良いと思います。その理由 は、一般社会が障害者を受け入れる環境が進んできているからです。それに伴い法律の改 正も行われています。今まで聴覚障害者の職域を阻むような法律がありましたが、そのよ うな法律が改正されたり、撤廃されました。もう一つは、障害のあるたちが、社会の中で ハンディキャップなく生きていく為の環境も、徐々にではありますが整いつつあることで す。 一番大きいのは、障害者の雇用に関する法律「法定雇用率」が一番の要因です。また聴 覚障害者自身が自分の権利というものを強く主張するようになりました。例えば、ろう学 校の教員が多く採用されるようになってきているのも、聴覚障害者自身が訴え続けてきた ことが実ってきているということだと思います。 法定雇用率については、民間企業の場合は全従業員の1.8%の障害者を雇用しなければな りません。「除外率」というのは、障害者が働くことが難しいであろうと思われる職種・業 種については、その65%を免除するというものです。つまり、法定雇用率の 1.8%というの は、1,000 人の内 18 人の障害者を雇用しなければなりませんが、除外率が 50%になると 18×0.5 で 9 人の採用でよしということです。 平成16 年にはこの除外率も撤廃すると厚生労働省が言いました。今はその過渡期で、特別 支援学校の場合は、改正前は 65%でしたが現在は 55%になってきています。ここ数年で、 完全に撤廃されるはずです。こういうことも、ろう学校に聴覚障害者が就職しやすくなっ ている一つの要因です。 もう一方の現状として、職場適応、昇進などでは大きな展開は見られていません。それ は以前から聴覚障害者の就労で言われてきていることです。 もう一つ、1.8%の法定雇用率を満たすために、企業が慌てて障害者を採用しています。中 には、これまで聴覚障害者を採用していなかった企業が、努めて聴覚障害者を採用するよ うになってきています。その結果、職場適応という問題事例が増えているという状況があ ります。 「聴覚障害者の就労の現状」 ■雇用の状況 1.8%の法定雇用率を達成するよう、一昨年から、ハローワークがあらゆる業種に対して 行政指導を非常に厳しく行っています。1.8%ないし 2.1%に満たない場合は、その達成ま での計画書を提示するよう指導しています。

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実名公開も進んでいます。インターネットや新聞に掲載されてしまう時代です。その結 果、あらゆる事業所が障害者の雇用を急がなくてはならないと考えています。国立大学も 同様です。国立大学で障害者の雇用率を満たしている大学は僅かです。宮教大の雇用率は 2.3%です。 ■障害種別の雇用状況 肢体不自由、内部障害、聴覚障害、視覚障害。この障害の中では、聴覚障害は聴覚言語 障害という区分で統計が出されていますが、聴覚言語障害者の就職率は比較的高いです。 厳しい(低い)のが視覚障害です。このような状況が、法定雇用率ができてから、ずっと 続いています。聴覚障害者は雇用されやすいという状況が続いています。(就労環境)しか し、これまで聴覚障害者を採用してこなかった事業所が増加して、その結果、たくさんの 問題が増えてきています。職場適応の問題、職域にも問題があります。徐々に職域は広が ってきていますが。 昭和60 年頃に、筑波大学の大学院の博士課程を卒業した人が、大きな会社に就職できま した。普通、これだけの学歴があれば当然、総合職(将来昇進していく職種)です。しかし 当時は、そういう人達でも一般職で入らざるを得ませんでした。今は、筑波技術短期大学 の卒業生でも、例えばシステムエンジニアに育てたいと言う意向で採用することが増えて きています。だんだん職域は広がっている状況はありますが、まだまだ健聴者並みにはな っていません。昇進の問題。昇進がはっきり遅いです。 では具体的に、大学でどのような支援をしたらいいのでしょうか? 1.「就労に関する支援」 1)障害者採用に関する窓口の設置 企業の人事担当者は、いい学生を欲しいと採用についていろいろ活動しています。その 人事担当者の中で障害者採用の担当者が、あそこの大学には誰に話をすると障害学生を紹 介してくれるというようなパイプを作っておくことが、スムーズな就職・就職力を上げる ことに結びつくと思います。 今、会社も障害のある人を欲しがっています。しかし、その探し方がわからないという 会社が多いのです。大学内には就職関連、或いは学生の中の就職担当の部署があると思い ますので、どこの、誰が、障害学生の求人窓口であるのか、ということをはっきり出すこ とにより、企業側はより求人をしやすくなると思います。 それと同時に、ハローワークとの接点につながります。ハローワークも障害者の採用・ 雇用・求人に非常に関心を持って動いています。行政指導も厳しくなってきていますが、 企業に対して行政指導するのはハローワークです。ハローワークが1.8%に満たない会社に 対して行政指導する時に、「あそこの大学の○○さんの所へ行くと紹介してもらえるよ」と いうような話を通してもらう為にも、ハローワークの担当者と接点を作っておくことです。 ただし、ハローワークの窓口担当者は 3 年、早ければ1年でかわってしまいますので、毎 年顔を出しておいた方がいいと思います。また、窓口の人は、企業の人事担当者と接点を

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持つ訳です。就職したのはいいが、その後に問題にならないように対応することが大切で す。問題が大ごとにならない内に、出来るだけ早い時期に、人事担当者に対して障害を良 く理解してもらえるような対応をしておいた方がいいと思います。これらは対外的なこと です。 2)学生に対する情報提供 学生に対しては障害者対象の面接会や学生職業センターの情報などを紹介してあげます。 それから宮教大の場合は、ほとんどの学生が教員志望ということですから、関係ないと思 いますが、障害学生が就職をする一番太いパイプは、障害者対象の面接会です。そのよう な情報をしっかり掴んで提供することです。本来は学生自身がやるべきことですが…。学 生職業センターが仙台にもありますね。東京には学生職業総合支援センターがあります。 仙台の学生職業センターが、どのくらい障害学生の求人紹介を熱心にやっているかどうか はわかりませんが、その総合支援センターにも障害学生の求人が入ってきます。 3)教員の推薦状 これは先生方です。推薦状を出すかどうかで就職のしやすさが変わることがあります。 筑波技術大学の場合は、学校推薦という形で紹介状を出す、或いは人事課と当事者が直接 話をすることもあります。そこまでやらなくても、「この障害学生はここまで出来ます」と いう簡単な文章を書いて履歴書に添えるだけで、特に初めての採用の時には効果があると 思います。 ◆「職場でのコミュニケーションに関する問題」(卒業生調査より抜粋:障害理解) 聴覚障害学生の職場適応に関する、卒業生による障害理解に対する調査です。例えば ・聴覚障害者は音が全くきこえないという誤解が職場にある。 ・発音ができると「きこえる」と思われる。 ・補聴器を着けると健常者と同じように見られる。 ・忙しいことを理由に筆談に応じてくれない。 ・筆談だと音(声)がないから、秘密の話をしていると誤解されそうだった。 ・手話でコミュニケーションをしたくても仕事が忙しくてできない。 ・コミュニケーションがあまりない。 自由記述の時にこれだけ記述がありました。これは複数の人が書いた項目を挙げています。 ◆「職場でのコミュニケーションに関する問題」(卒業生調査より抜粋:会議参加) 一番大変なのは、会議です。ほとんどの卒業生が会議に苦労しています。 ・自分だけがカヤの外で諦めている。 ・会議の流れがわからないのに意見が言えるはずがない。いきなり私にきかれても困る。 ・上司からの話はメールで送ってくる。会議の参加が難しいので会議には参加せず、自分 の仕事を進めるようにしている。 ・初めて聴覚障害者と接して、どのように対応すれば良いのかわからないようだ。 ◎ 障害の中身を知らない。聴覚障害とは非常にわかりにくい障害。だからどういう困った

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ことが起きるのかということが職場の人たちは想像できない。 (卒業生調査より抜粋) 学校にいた時にも、それがろう学校であっても会議はやっぱり大変です。 大変だからと言って、初めから諦めていると仕事が進まない状況になります。 2.「就労レディネスの育成」 会議・集会・研修会の参加、コミュニケーション、電話対策など、インフォーマルな情 報が入ってこないというハンディキャップ(社会的不利)があります。 このようなハンディキャップに対して、自分はどういう状態で、だからどうして欲しい ということを、自分から早い段階で言わなければいけません。それを障害啓発と言ってい ます。それは、上司を通して、或いは会社だったら、人事係を通して言います。そして、 具体的な支援は別な人にしてもらえばいいのです。ただ、その方法は自分自身がわからな いと、或いは、どういうことを言わなければならないのかを自分で直感しないといけない ということです。それを「就労(就職)レディネス」(障害啓発)と私は呼んでいます。 自己の社会的ハンディキャップを、周囲に理解させ適切な対応を求めようとする意識・ 技術のことです。 (1)正確な情報伝達の意識 言われたことがわからなくても、「わからなくてもいい。うんうんと言っておこう」とい うことが結構多いと思いますが、仕事はそれではいけません。 (2)自己の障害、予想される社会的不利、必要な措置に関する知識 「会議は大変だろう、わからないだろう」「研修も普通に言われるだけではわからないだ ろう」というハンディキャップを自身で予測します。その解決方法として、パソコンノー トテイクやパソコン要約筆記をお願いするとか、そういう環境がない場合にはノートテイ クをお願いするという判断をしていきます。それを誰かにお願いをするというようなシス テムを知ることが大切です。 (3)自己のコミュニケーション特性の理解 自分のコミュニケーションの特性を客観的に理解して (4)周囲に自己障害やニーズを啓発する技術 これは、最近よく言われるエンパワメントですね。 ◆「社会的不利、必要な措置に関する知識」 ハンディキャップが存在する場面を予測します。 筑波技術大学の学生は、先生自身が手話を使って授業をするので、情報保障に関する知 識はいりません。しかし、一般大学の聴覚障害学生は情報保障を受ける機会が多いと思い ます。しかも多種類の情報保障を受ける機会が多いです。それが一つの財産になります。 つまり、それを上司に説明することができます。 もう一つ、一般大学の学生はそれをコーディネートした経験があります。経験があれば、

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責任を持ってやるということではなく、どうコーディネートするかというようなことも知 っています。それが後に、誰かに説明する時に有効になるかと思います。 ◆「産業技術学部学生の就職活動のスケジュール」 参考にならないかもしれませんが、筑波技術大学では、非常に手厚く就職支援をしてい ます。 特に力を入れているのは、学生に対する個別支援の部分です。ここは個別指導という形 でかなり希望する学生に行っています。以上です。

参照

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