鳥取大学 大学院工学研究科 情報エレクトロニクス専攻
齊藤 剛史
目 次
第 1 章 Qucs 1 1.1 Qucsとは . . . . 1 1.2 本書のねらい . . . . 2 1.3 本書の取り扱い . . . . 2 第 2 章 Qucs のインストール 3 2.1 準備するもの . . . . 3 2.2 インストール . . . . 3 2.3 初期設定 . . . . 9 第 3 章 Qucs の使用方法 17 3.1 画面構成 . . . . 17 3.2 使用方法 . . . . 19 3.3 プロジェクトの作成 . . . . 20 3.4 回路図の作成 . . . . 21 3.5 回路図の編集 . . . . 28 3.5.1 部品の移動 . . . . 28 3.5.2 部品設定の変更 . . . . 29 3.5.3 部品の削除 . . . . 31 3.6 シミュレーション . . . . 33 3.6.1 DCバイアス . . . . 34 3.6.2 DC解析 . . . . 36 3.6.3 パラメータスイープ . . . . 41 3.6.4 方程式 . . . . 45 3.6.5 AC解析 . . . . 47 3.6.6 過渡解析 . . . . 49 3.6.7 電流計 . . . . 51 3.6.8 電圧計 . . . . 52 3.7 回路図の印刷 . . . . 53 3.8 プロジェクトの管理 . . . . 55 3.9 シミュレーション結果の表示方法 . . . . 58 3.9.1 グラフ(直交座標) . . . . 58 3.9.2 表 . . . . 63 3.10 ビュー . . . . 65第 4 章 電子回路部品 67 4.1 集中定数部品 . . . . 67 4.2 ソース源部品 . . . . 71 4.3 非線形部品 . . . . 74 4.3.1 ダイオード . . . . 74 4.3.2 バイポーラトランジスタ . . . . 76 4.3.3 MOSFET . . . . 78 4.4 シミュレーション部品 . . . . 80 第 5 章 サンプルシミュレーション 83 5.1 ダイオードの静特性 . . . . 83 5.2 バイポーラトランジスタの静特性 . . . . 85 5.2.1 エミッタ接地 . . . . 85 5.2.2 ベース接地 . . . . 85 5.3 共振回路 . . . . 87 5.3.1 直列共振回路 . . . . 87 5.4 整流回路・平滑回路 . . . . 89 5.4.1 整流回路 . . . . 89 5.4.2 平滑回路 . . . . 91 第 6 章 市販モデルの構築 93 6.1 部品ライブラリ . . . . 93 6.2 2SA1020 . . . . 95 6.2.1 ベース・エミッタ間電圧とベース電流の関係 . . . . 95 6.2.2 ベース・エミッタ間電圧とコレクタ電流の関係 . . . . 97 6.2.3 ベース電流とコレクタ電流の関係 . . . . 98 6.2.4 コレクタ・エミッタ間電圧とコレクタ電流の関係 . . . . 99 6.2.5 データシートの比較 . . . . 101 6.3 2SC2655 . . . . 102 6.3.1 ベース・エミッタ間電圧とベース電流の関係 . . . . 102 6.3.2 ベース・エミッタ間電圧とコレクタ電流の関係 . . . . 104 6.3.3 ベース電流とコレクタ電流の関係 . . . . 105 6.3.4 コレクタ・エミッタ間電圧とコレクタ電流の関係 . . . . 106 6.3.5 データシートの比較 . . . . 108 6.4 2SC1815 . . . . 109 6.4.1 ベース・エミッタ間電圧とベース電流の関係 . . . . 109 6.4.2 ベース・エミッタ間電圧とコレクタ電流の関係 . . . . 111 6.4.3 ベース電流とコレクタ電流の関係 . . . . 112 6.4.4 コレクタ・エミッタ間電圧とコレクタ電流の関係 . . . . 113 6.4.5 データシートの比較 . . . . 115 6.5 2SK170 . . . . 116 6.5.1 ID− VDS特性 . . . . 116 6.5.2 ID− VGS特性 . . . . 118
6.5.3 データシートの比較 . . . . 119 6.6 2SJ74 . . . . 120 6.6.1 ID− VDS特性 . . . . 120 6.6.2 ID− VGS特性 . . . . 122 6.6.3 データシートの比較 . . . . 123 第 7 章 1 石トランジスタ回路のシミュレーション 125 7.1 対象の回路 . . . . 125 7.2 DC解析 . . . . 125 7.3 AC解析 . . . . 127 7.4 過渡解析 . . . . 130 付 録 A Qucs のメニュー 131 付 録 B Qucs のツールバー 133 B.1 [ファイル] ツールバー . . . . 133 B.2 [編集] ツールバー . . . 133 B.3 [ビュー] ツールバー . . . 134 B.4 [その他] ツールバー . . . 134 付 録 C Qucs で使用可能な部品 135 C.1 集中定数部品 . . . . 135 C.2 ソース源部品 . . . . 136 C.3 プローブ . . . . 136 C.4 伝送線路部品 . . . . 137 C.5 非線形部品 . . . . 138 C.6 Verilog-A デバイス . . . . 139 C.7 デジタル部品 . . . . 140 C.8 ファイル部品 . . . . 140 C.9 シミュレーション部品 . . . . 141 C.10図表部品 . . . . 141 C.11図表描画部品 . . . . 142 付 録 D その他 143 D.1 電圧と電流の表記方法 . . . . 143 D.2 Qucsで使用できる記号 . . . . 144 D.3 方程式で使用できる表現 . . . . 145 D.4 抵抗 . . . . 149 D.4.1 公称抵抗値 . . . . 149 D.4.2 抵抗値の表示 . . . . 150 D.5 コンデンサ . . . . 150 D.5.1 容量値の表示 . . . . 150 参考文献 150
第
1
章
Qucs
1.1
Qucs
とは
Qucs(Quite Universal Circuit Simulator)1はオープンソース・ソフトウェアであり,
グラフィカルなユーザインターフェースをもつ電気回路シミュレータである.Qucs は各 種 OS 向け(Linux,Windows,Unix,Mac OSX)に提供されており,言語も日本語2な どが用意されている.抵抗,コンデンサ,アンプなどを配置し,数値を決めて回路を設計 する.後はシミュレート(実行)ボタンを押すだけでシミュレーションが行え,グラフや 表で結果を確認できるものである. • Qucsプロジェクトの Web http://qucs.sourceforge.net/(英語) • Qucsのダウンロード http://qucs.sourceforge.net/download.html(英語) • Qucsの技術報告書 http://qucs.sourceforge.net/tech/technical.html(英語) • Qucsの解説サイト http://www.sp.es.yamanashi.ac.jp/ ohki/qucs/qucs.html (山梨大学 工学部 電気電子システム工学科 大木先生の Web)
Qucs以外の回路シミュレータとして,有名なものに SPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis)がある [1].SPICE は電気回路,電子回路のシミュレータ であり回路のアナログ動作を再現するものである.1973 年,カリフォルニア大学バーク レー校で開発された.部品や基板,はんだごてなどを使って実際に回路を作らなくても, 回路図を入力すればその回路動作をパソコン上で解析できるソフトウェアである.プリ ント基板,集積回路などの設計,あるいはそれらで使用する素子の開発時などに使用さ れる.シミュレーション対象となる回路は Qucs と同様であり,一般的な受動素子(抵抗, キャパシタ(コンデンサ)など)と能動素子(ダイオード,トランジスタなど)と伝送線 路,各種電源を組み合わせたものである. 解析手法としては過渡解析,直流解析,小信 号交流解析,雑音解析などが可能である. 12008年 4 月 10 日に最新バージョン 0.0.14 をリリース 2バージョン 0.0.10 までで日本語以外に英語,ドイツ語,フランス語,スペイン語,イタリア語,ポーラ ンド語,ルーマニア語,スウェーデン語,ハンガリー語,ヘブライ語,ポルトガル語,トルコ語,ウクライ ナ語,ロシア語がある.バージョン 0.0.11 より,さらにチェコ語,カタロニア語が追加されている.
1.2
本書のねらい
本書は,鳥取大学工学部電気電子工学科の電気電子工学実験 で利用するために作成 されたものである.そのため Qucs で論理回路のデジタルシミュレーションなども行える が,本書での説明は割愛する.本書では,電気回路,電子回路の基礎を学ぶ学生を対象に, Qucsのインストール,使用方法および簡単なサンプル回路によるシミュレーション例を 説明する.1.3
本書の取り扱い
本書は教育用として作成した資料です.本書を個人で利用する,あるいは教育および研 究目的として利用される場合は,電子データ,印刷物のいずれで利用しても構いません. ただし,利用する際に齊藤3まで連絡をいただけるありがたいです. 本書を作成するにあたり,鳥取大学工学部電気電子工学科の尾崎知幸技術専門職員に感 謝します. 3E-mail: [email protected]第
2
章
Qucs
のインストール
本章では Microsoft Windows Vista にインストールする画面例を参考に説明する.他の OSについても同様に行えるはずである1.
2.1
準備するもの
• qucs-0.0.14-setup.exe
Windows版インストーラ,2008 年 4 月 12 日における最新版はバージョン 0.0.14 で ある2.入手方法は,http://qucs.sourceforge.net/download.html 内の Qucs installer
for Win32をクリックすることによりダウンロードできる.ファイル容量は 5.12MB. Windows版の Qucs をインストールする際,20.3MB 以上の空き容量が必要である.
2.2
インストール
1. インストーラ qucs-0.0.14-setup.exe をダブルクリックすると図 2.1 のウィンドウ が表示される.インストールを実行する場合は [実行],キャンセルする場合は [キャ ンセル] をクリックする.ここではインストールを実行するため [実行] をクリック する. 図 2.1: Qucs のインストール画面 (1)1著者は Windows Xp へのインストールを確認している.また Qucs は GNU/Linux 上で開発されてい
るが,Solaris,Net BSD,Free BSD,Mac OS,Cygwin などでコンパイルして動作確認をしたと Qucs プ ロジェクトの Web で記述されている.
2
2. 画面が暗くなり,ユーザアカウント制御ウィンドウが表示される.[許可 (A)] をク リックする. 3. 次に図 2.2 のウィンドウが表示される.インストールを実行する場合は [Next],キャ ンセルする場合は [Cancel] をクリックする.ここではインストールを実行するため [Next]をクリックする. 図 2.2: Qucs のインストール画面 (2) 4. 使用許諾契約の同意ウィンドウ(図 2.3)が表示される.インストールするため,上 のラジオボタン(I accept the argreement)を選択し,[Next] をクリックする.
5. インストール先の指定場所を設定するウィンドウ(図 2.4)が表示される.デフォル トのインストール先は C:\Program Files\Qucs である.ここではデフォルト設定 でインストールするので,[Next] をクリックする. 図 2.4: Qucs のインストール画面 (4) 6. スタートメニューの設定ウィンドウ(図 2.5)が表示される.デフォルトはスタート メニューに Qucs フォルダを作成する.スタートメニューを作成しない場合は,ウィ ンドウ下の [Don’t create a Start Menu folder] を選択する.フォルダ名を変更する 場合は各自入力する.ここではデフォルト設定でインストールするので,何も変更 せずに [Next] をクリックする.
7. 次にデスクトップ上に Qucs のアイコンを作成するのかを決めるウィンドウ(図 2.6) が表示される.デフォルトではデスクトップにアイコンを作成しない設定である. デスクトップにアイコンを作成する場合は [Create a desktop icon] を選択する.こ こではデフォルト設定でインストールするので,何も変更せずに [Next] をクリック する. 図 2.6: Qucs のインストール画面 (6) 8. 次にこれまでのインストール条件を確認するウィンドウ(図 2.7)が表示される.正 しければ [Install] をクリックする.インストールを中止する場合は [Cancel],イン ストール条件を変更する場合は [Back] をクリックする. 図 2.7: Qucs のインストール画面 (7)
9. 図 2.8 のようなプログレスバーが表示され,インストールが開始する.インストー ルが終了すると,終了ウィンドウ(図 2.9)が表示される.[Finish] をクリックして インストールを終了する.
図 2.8: Qucs のインストール画面 (8)
10. インストールが終了すると,スタートメニューに Qucs のメニューが追加される(図 2.10).ただし,5. でスタートメニューに Qucs フォルダを作成しない設定をした場 合は除く.
2.3
初期設定
1. Qucsを起動すると図 2.11 のウィンドウが表示される.Qucs の初期設定では言語は 日本語でなく,システム言語(普通は英語)である.英語のままでよければ,この 節をとばしてよい.以下は,その他の言語(ここでは特に日本語)に環境を変更す る場合について説明する. 図 2.11: Qucs の初期起動画面2. 画面上のメニューから [File]-[Application Settings...] を選択する(図 2.12).
図 2.12: 日本語環境の設定 (1)
3. 図 2.13 に示すウィンドウが表示される.ここで環境を設定できる.初期設定では, フォント(Font)は Helvetica でフォントサイズは 12pt,言語(Language)は system languageである.
4. まずフォントの変更を行う.フォント情報が書かれているボタン(初期設定では Helvetica,12,-1,5,50,0,0,0,0,0)を押す.ボタンを押すと図 2.14 に示すようなウィン ドウが表示される.ここで,日本語フォントを選択すればよいのだが,日本語フォ ント(2バイト文字)が表示されないため,どれを選択するのか不明である.例え ば,図 2.14 左側のフォント選択欄で,Helvetica の二つ上に HG □□□□□ M と記 されている.これは HG ゴシック M であるが,2バイト文字が□で表現されている. そこで,フォントを選択するリストボックスにおいて,MS UI Gothic を選択する. この様子を図 2.15 に示す.選択した後,[OK] をクリックする. 図 2.14: 日本語環境の設定 (3) 図 2.15: 日本語環境の設定 (4)
図 2.13 が図 2.16 のようにフォントが変更されていることを確認する. 図 2.16: 日本語環境の設定 (5) 5. 次に言語の変更を行う.言語情報が書かれているボタン(初期設定では system lan-guage)を押す.ボタンを押すと図 2.17 に示すようなリストが表示される.ここで, 日本語を選択するために Japanese (jp) を選択する.図 2.18 に示すように Japanese が表示されたのを確認した後,[OK] をクリックする. 図 2.17: 日本語環境の設定 (6) 図 2.18: 日本語環境の設定 (7)
6. 設定を変更しただけでは,変更が反映されない.一度 Qucs を終了し,再度起動す ると図 2.19 に示すようにメニューなどが日本語で表示される.また,先ほどの行っ た環境設定を確認するため,図 2.20 に示すようにメニューから [ファイル]-[アプリ ケーションの設定...] を選択すると図 2.21 が表示される.図 2.13 と異なり日本語 表示されていることが確認できる. 図 2.19: 日本語環境の設定 (8) 図 2.20: 日本語環境の設定 (9)
図 2.21: 日本語環境の設定 (10)
図 2.22 に示すような MS UI Gothic 以外の日本語フォントを選ぶ場合は,フォント 情報が書かれているボタン(MS P ゴシック,12,-1,5,50,0,0,0,0,0)を押すことで可能 と思われる.
図 2.22: 日本語環境の設定 (11)
しかし,著者は Windows Vista で MS UI Gothic 以外のフォントの変更を試みたが, 図 2.23 に示すように文字化けされており,フォントを正しく選べられなかった3.こ の原因については不明である.ただし,Windows Xp では MS P ゴシックなど MS UI Gothic以外の日本語フォントも正しく表示されることを確認している. 7. 本書での説明は省くが,フォントサイズなどの変更も同様に行える. 8. フォントやフォントサイズだけでなく,回路図やデータを表示するキャンパスの背 景色(バックグラウンド色)などの変更も可能である.また,インストール時の設 定に戻すには,[デフォルトに戻す] をクリックする. 3誤って特殊なフォントを選択してしまうと,表示が全て文字化けされ,さらにウィンドウサイズが横長 になることがある.この場合,[デフォルトに戻す] をクリックすることにより,解決できる.解決法の最終 手段として,Qucs の設定ファイルを直接変更することができる.Windows Xp,Vista であれば,Qucs を インストールすると,ユーザ設定フォルダ Documents and Settings 内に .qucs フォルダが作成される.こ のフォルダ内の qucsrc ファイルが Qucs の設定ファイルであり,フォント,言語,ウィンドウサイズなど の直接編集が行える.
第
3
章
Qucs
の使用方法
3.1
画面構成
Qucsの画面例を図 3.1 に示す.画面上側にはメニューとツールバー,左下にワークエリ ア,右下に回路図やデータを表示するキャンパスがある.ワークエリア内には [プロジェ クト],[内容],[部品] の三つのタブがある.それぞれのタブは下記の通り構成されている. 図 3.1: Qucs の初期画面 • プロジェクトタブ [プロジェクト] タブは下記の 3 ボタンから構成されている. – 新規 – 開く – 削除 Qucsでは回路やシミュレーションごとにファイルを作成する.しかし多くの場合, 回路とシミュレーションは互いに対応される.そのため,個々の回路やシミュレー ションを別々に管理せずにプロジェクトとして管理する方が都合がよい.そのプロ ジェクトを作成したり,既に作成してあるプロジェクトを開いたり,削除したりす るのが [プロジェクト] タブである.• 内容タブ [内容] タブには下記の 5 項目がツリーで表現されている. – 回路図 – VHDL – Verilog – データ表示 – データセット – その他 [内容] タブでは,作業中のプロジェクト内のファイル構成がツリー状で表示される. • 部品タブ [部品] タブには回路作成あるいはシミュレーションのための部品がアイコンと文字 で示されており,これらは下記に示す 9 項目に分類されている. – 集中定数部品 – ソース源部品 – プローブ – 伝送線路部品 – 非線形部品 – Verilog-a デバイス – デジタル部品 – ファイル部品 – シミュレーション部品 – 図表部品 – 図形描画部品 各項目に含まれている部品は付録 C にまとめている.ユーザはマウスでアイコンを 選択することにより,キャンパス状で任意の位置に部品を貼り付けることができる.
3.2
使用方法
回路製作は図 3.2 に示す手順がある.この中で,Qucs を利用するのは下記の 5 項目で ある. 1. プロジェクトの作成 Qucsでは回路図,シミュレーションなどを別々に管理せずにプロジェクトとして一 括管理している.設計する回路(複数の回路でもよい)を一つのプロジェクトとし て管理するために,最初にプロジェクトを作成する必要がある.プロジェクトの作 成については 3.3 で説明する. 2. 回路図の作成 考案した回路を Qucs 上で作成する.回路図の作成については 3.4 で説明する. 3. 回路図の修正 作成した回路を必要に応じて部品の追加や削除,値の変更などの修正を施す.回路 図の修正については 3.5 で説明する. 4. シミュレーション 作成した回路に対してシミュレーションを行う.アナログ回路の解析方法として Qucs には下記に列挙する 3 通りがある. • DC解析 • AC解析 • 過渡解析 5. 結果の解析 シミュレーション結果を表やグラフに描画する.それらの結果より,回路図の修正 し再度シミュレーションを行う. ࡊ ࡠ ࠫ ࠚ ࠢ ࠻ ߩ ᚑ ࿁ 〝 ࿑ ߩ ᚑ ࿁ 〝 ࿑ ߩ ୃ ᱜ ࠪ ࡒ ࡘ 㨨 ࠪ ࡚ ࡦ ⚿ ᨐ ߩ ⸃ ᨆ ࿁ 〝 ᭽ ߩ ቯ ℂ ⺰ ୯ ߦ ၮ ߠ ߊ ࿁ 〝 ߩ ⠨ ᩺ 3WEUߦࠃࠆ࿁〝⸳⸘㧗ࠪࡒࡘ࡚ࠪࡦ ㇱ ຠ ߩ ⺞ ㆐ ࠗ ࠕ ࠙ ࠻ ߩ ᬌ ⸛ ࿁ 〝 ߩ 図 3.2: Qucs を利用した回路シミュレーションの手順3.3
プロジェクトの作成
最初に新規プロジェクトを作成する.[プロジェクト] タブにおいて [新規] ボタンをクリッ クすると図 3.3 に示す画面が表示される.プロジェクト名の横にあるエディットボックス 内に新しく作成するプロジェクト名を入力し,[作成] ボタンをクリックする.ここでは, プロジェクト名を “sample” とする. [作成] ボタンをクリックすると,ウィンドウが閉じ,図 3.4 に示すように [内容] タブが 表示される.またウィンドウ最上部のキャプション内にプロジェクト名である “sample” が表示されているのを確認できる. 図 3.3: 新規プロジェクト作成画面 図 3.4: プロジェクト sample の画面3.4
回路図の作成
ここでは簡単な二つの抵抗と電源から構成される回路を例に挙げ,Qucs による回路の 作成手順を示す. プロジェクトを作成した後,まず回路を作成する.[部品] タブを表示し,回路の部品を 選択する.抵抗は [集中定数部品],電源は [ソース源部品] にある.まず二つの抵抗を配置 する.[集中定数部品] を選択し,左上の抵抗の絵を左クリックする.マウスをキャンパス 上に移動すると,マウスカーソルの移動にあわせて点線で描かれた抵抗が表示される(こ の状態をここでは配置モードと呼ぶ).キャンパス上で左クリックすると,その位置に抵 抗が配置される.初期状態では抵抗の絵の下に R1,R=50 Ohm と表示される.これは配置 した抵抗の名称が R1,抵抗値が 50Ω を意味する.抵抗の左右の赤丸は端点を示している. さらにマウスカーソルを移動すると再び点線で描かれた抵抗が表示される.ここでは二 つの抵抗を図 3.5 に示すように配置する.二つ目の抵抗は名称が R2,抵抗値は R1 と同様 に 50Ω である.ツールバーの白い矢印ボタンまたは ESC キー(メニューの [編集]-[選択]) を押すと,抵抗の配置モードを解除できる.また,配置モードにおいて右クリックすると 反時計回りで 90 度ずつ回転する. 図 3.5: 抵抗の配置次に直流電源を配置する.[ソース源部品] を選択し,左上の DC 電圧源をクリックする. 抵抗の場合と同様にマウスカーソルの移動にあわせて点線で描かれた DC 電圧源が表示さ れる.ここでは DC 電圧源を図 3.6 に示すように配置する.初期状態では V1,U=1 V と表 示される.これは DC 電圧源の名称が V1,電圧が 1V を意味する.
これで部品の配置を終えたため,次に部品を結線する.ツールバーのワイヤボタン(メ ニューの [挿入]-[ワイヤ])を押す.結線は部品の端点(赤丸)間を接続すればよい.開始 点となる端点(例えば DC 電圧源の上側)上でマウスをクリックすると図 3.7 に示すよう にカーソルにあわせてワイヤが点線状で描かれる.接続先の端点でクリックすると,図 3.8に示すように,ワイヤが実線で描画される.また部品とワイヤの間に接続を意味する ●が表示される. 図 3.7: ワイヤの接続 1 図 3.8: ワイヤの接続 2
引き続き,他の部品の結線を行い,図 3.9 のような回路を作成する.ワイヤを接続する とき,部品の端点以外の場所でクリックすると,その位置で折れ曲がったワイヤを描画で きる. 最後にグラウンドを配置する.グラウンドは [集中定数部品] またはツールバーのグラウ ンドボタン(メニューの [挿入]-[グラウンド])で選択できる.グラウンドを図 3.10 に示す ように配置する. 図 3.9: 結線後の回路 図 3.10: グラウンドの配置
回路図はこれで完成だが,続いてシミュレーションの種類を回路図上で指定する必要 がある.今回は直流回路であり,各部品における電圧と電流を測るため,[DC シミュレー ション] を実行する.[シミュレーション部品] を選択し,左上の DC シミュレーションを クリックする.シミュレーションの種類も他の部品と同様にマウスカーソルの移動にあわ せて点線で描かれた DC シミュレーションが表示される.こちらは回路の結線とは直接関 係がないため,回路図付近に図 3.11 のように配置する. 図 3.11: DC シミュレーションの配置
これで回路の作成を終えたので,回路をファイルに保存する.ツールバーのフロッピー ディスク状のボタン(メニューの [ファイル]-[保存])を選択すると,図 3.12 に示すウィン ドウが表示されるので,ファイル名を入力して [保存] ボタンをクリックする.ここではプ ロジェクト名と同じ “sample” をファイル名とする.回路を保存すると,キャンパス上の タブが “タイトル無し” から “sample.sch” に変更していることを確認できる.また [内容] タブをクリックすると,図 3.13 では無かった “sample.sch” が回路図のノードとして追加 されている(図 3.14). 図 3.12: 回路の保存 図 3.13: 回路の保存後の画面
3.5
回路図の編集
作成した回路図は部品の削除,追加,位置の移動や値の変更などの編集を簡単なマウス 操作で行える.本節では,これらの操作方法について説明する.3.5.1
部品の移動
ここでは抵抗 R1 の移動を例に挙げる.まず編集対象の R1 をマウスの左クリックで選 択する.選択された部品 R1 は図 3.15 で示すようにグレー枠で表示される.そのままマウ スでドラッグすると,ドラッグしている間は R1 と R1 に接続されているワイヤが点線で 描画される.マウスボタンを放すとその位置に R1 が移動する(図 3.16). 図 3.15: 部品の選択 図 3.16: 部品の移動3.5.2
部品設定の変更
部品の設定の変更について説明する.ここでは R1 の抵抗値を 50Ω から 100Ω に変更す る.R1 にマウスカーソルを位置させてマウスの右ボタンを押すと図 3.17 に示すように ポップアップメニューが表示される.メニューにおいて最上段の [プロパティ編集] を選択 すると,図 3.18 に示す部品プロパティウィンドウが表示される.ここで抵抗値を 50 Ohm から 100 Ohm に変更し [OK] ボタンを押すと,R1 の抵抗値が図 3.19 に示すように 100Ω に 変更されている. 図 3.17: 部品の選択 図 3.18: 部品プロパティウィンドウ3.5.3
部品の削除
抵抗などの部品やワイヤを削除するには,まずマウスカーソルで削除する部品を選択 する.選択状態にしてツールバーのハサミボタン(メニューの [編集]-[切り取り保存],ま たは Ctrl+X)あるいはツールバーの用紙に赤く×印が描かれているボタン(メニューの [編集]-[削除] あるいは [Delete])を選択すると部品が削除される.図 3.20 はマウスカーソ ルで抵抗 R1 を選択した後に,[Delete] キーを押して R1 を削除した例である.マウスカー ソルで選択範囲を増やすことにより,複数の部品やワイヤの削除が行える. (a) 部品の選択 (b) 部品の削除 図 3.20: 部品の選択後の削除また図 3.21 はツールバーで [削除] ボタンを選択した後に,部品(ここではワイヤ)を 削除した例である.[削除] ボタンを選択すると,マウスカーソルが×に変更する.削除す る部品の上にカーソルを運び,左ボタンをクリックすることにより削除が行える. (a) 削除ボタンの選択 (b) 部品の削除 図 3.21: 削除ボタンによる部品の削除
3.6
シミュレーション
• DCバイアス • DC解析 直流の入出力特性を調べる方法が DC 解析である.回路の直流利得などの検証に役 立つ. • AC解析 ゲインや位相の周波数特性を調べる方法が AC 解析である. • 過渡解析 電圧や電流の波形を調べる方法が過渡解析である.信号の時間変化をオシロスコー プのように表示することができる. • パラメータスイープ 定数変化に対する特性の変動を調べる方法がパラメータスイープである.SPICE に おけるパラメトリック解析と同じ機能である.パラメータスイープを用いることに より,回路定数の決定やトラブル・シュートに有効である.3.6.1
DC
バイアス
DCバイアスでは,回路に電源電圧(直流電圧)を加えたときの各ポイントの電圧を計 算して表示するシミュレーションである.DC バイアスの計算はメニューの [シミュレー ション]-[DC バイアスの計算] をクリックする.ウィンドウが表示され,そのウィンドウで 処理のログが表示される.しばらくしてエラーが無ければウィンドウは消え,回路上に図 3.22に示すように電圧値が表示される. 図 3.14 の回路では,電源電圧 1V,抵抗は R1 と R2 の二つとも 50Ω であるため,抵抗に よる電圧降下はそれぞれ 0.5V ずつである.そのため,抵抗 R1 で 0.5V に,抵抗 R2 で 0V に降下されている(図 3.22(a)).また 3.5 で変更した回路(図 3.19)の場合,R1 で 0.33V に降圧されており,計算結果の図 3.22(b) は図 3.22(a) と変わっていることが確認できる. (a) 図 3.14 の場合 (b) 図 3.19 の場合 図 3.22: DC バイアスの計算また,抵抗 R1 の代わりにコンデンサ C1 を挿入した場合の DC バイアスの計算を行っ た結果を図 3.23 に示す.C1 の左側(電源 V1 側)は 1V であるのに対し,右側(R2 側)は 0Vである.これは,直流電圧を加えてもコンデンサの両端に電圧が加わっていないこと を意味する.厳密には,回路に電源を投入した瞬間,コンデンサの両端は 0V → 1V と変 化する.この間は,コンデンサ両端の電圧が時間によって変化する.しかし DC バイアス のシミュレーションでは,直流電圧を加えて時間が十分経過したあとの結果を示すため, 図 3.23 のような結果となる. 図 3.23: コンデンサ追加時の DC バイアスの計算
3.6.2
DC
解析
DCバイアスでは電圧値の表示のみで電流値は表示されない.電流値や任意の部分にお ける値を解析する手法として DC 解析がある.DC 解析は DC バイアスの計算と異なり, 結果を表示したい部分に名前を付けておく必要がある.電源などのソース部品には自動的 に名前がつくが,ここでは抵抗の両端の電圧について調べてみる(既に DC バイアスで求 めているが,ここでは DC 解析で求める). マウスでワイヤをクリックすると,図 3.24 に示すようにワイヤが太く強調描画される. ワイヤをマウスでダブルクリックすると,図 3.25 に示すようなノード追加ウインドウが 表示される.名前(ここでは Vr1)を入力し,[OK] ボタンをクリックすると図 3.26 に示 すようにワイヤに入力した名前のラベルが接続される.また,この操作はツールバーの NAMEと書かれたボタン(メニューの [挿入]-[ワイヤラベル])を選択すると,図 3.27 に 示すようにマウスカーソルの移動にあわせて点線で描かれたラベルが表示される.任意 のワイヤ上でクリックすると,図 3.25 のノード追加ウィンドウが表示される.ここでは Vr2と入力し,[OK] ボタンをクリックし,図 3.28 のようにする. 図 3.24: ワイヤの選択図 3.25: ノード追加ウィンドウ
図 3.26: ワイヤラベル Vr1 の登録
図 3.28: ワイヤラベル Vr2 の登録 これでシミュレーションの準備が整ったため,次に実際にシミュレーションを実行する. ツールバーの歯車状のボタン(メニューの [シミュレーション]-[シミュレート])を選択す る.画面上にウィンドウ表示される.シミュレーションに成功すると,ウィンドウは直ぐ に消え,自動的にキャンパスが回路図(“sample.sch”)から “sample.dpl” と表記されたタ ブが表示され,さらに左側は [図表部品] が表示される. ここでは,抵抗値の電流を計算しただけなので [図表部品] から右上の [表] を選択する. マウスをキャンパス上に移動すると,図 3.29 に示すように,抵抗などの部品と同様にマ ウスカーソルの移動にあわせて点線で描かれた四角が表示される.キャンパス上で左ク リックすると,図 3.30 に示すグラフプロパティー編集のウィンドウが表示される. 図 3.29: 表の配置モード
図 3.30: グラフプロパティー編集ウィンドウ グラフプロパティー編集では表中に表示するラベルを選択するものであり,リスト内に おいて名前の左側の文字列 V1,Vr1,Vr2 が回路図上のラベル,ピリオドから右の文字列 I,V が物理量を示している.すなわち I は直流電流,V は直流電圧である.表示したい部 品をクリックして,右側のグラフ欄に登録させる.ここではすべてを登録し(図 3.31), [OK]ボタンをクリックする. 図 3.31: グラフプロパティー編集ウィンドウ
DC解析の結果として,キャンパスに図 3.32 に示すように,表中に名前と値が表示され る.電源電流 V1.I1は,電源に流れ込む方向を正にとるため,今回のように電源から抵抗 に流れ出す場合は符号が負になる.1V の DC 電源に 100Ω の抵抗(50Ω の抵抗を直列に 接続)を接続した結果,流れる電流が 0.01A と計算されるため,シミュレーションが正し く行われたことがわかる.また抵抗 R1 の電源側である Vr1 の電圧は 1V,抵抗 R1 の抵抗 R2側である Vr2 の電圧は 0.5V は,図 3.22(a) の DC バイアスのシミュレーション結果と 同じになっていることがわかる. 図 3.32: ワイヤラベル V r1 の登録 1Qucsにおける電圧,電流の名前の付け方は次の通りである.端子名に対して,.V をつけると直流電 圧,.v をつけると交流電圧,.I をつけると直流電流,.i をつけると交流電流を表す.つまり,大文字は直流, 小文字は交流を意味する.詳細は付録 D.1 に示す.
3.6.3
パラメータスイープ
前節の DC 解析では,回路内の電圧源は一定の値で固定されている.パラメータスイー プを用いることにより,電圧源や電流源の値を変化(スイープ)させながら,そのときの 回路各部の電圧,電流の出力の様子を調べることができる.これにより,例えば半導体素 子の直流特性のグラフを描くことが可能となる.パラメータスイープは,AC 解析,DC 解析,過渡解析において実行でき,回路設計時における定数決定やトラブルの解析などに 有効な機能である. 次に実際にパラメータスイープを用いる例について説明する.図 3.14 の回路において, [シミュレーション部品] を選択し,パラメータスイープを選択する.他の部品と同様にマ ウスカーソルでキャンパス内の任意の位置に図 3.33 に示すように配置する.パラメータ スイープを用いる場合,変化させたい電圧源をパラメータスイープで指定する必要があ る.まず電圧源 V1 は図 3.14 では U = 1V と設定されているが,これをマウスの右ボタン でポップアップメニューを表示してプロパティを選択する.図 3.34 のウィンドウが表示 され,電圧を 1 V から VD に変更し,[OK] ボタンを押す.これにより図 3.33 に示すように V1は U=VD と表示される. 図 3.33: パラメータスイープの配置 図 3.34: 部品プロパティー編集ウィンドウ次にパラメータスイープ SW1 を編集する.先ほどと同様にマウス右ボタンでプロパティ を選択すると,図 3.35(a) の画面が表示される.これはデフォルトの設定であり,値を変 化させる対象が抵抗 R1 となっている.そこで,シミュレーションを DC1,スイープパラ メータを VD,スタートを 0V,ストップを 10V,ステップを 0.5V とする.ステップ数は スタート,ストップ,ステップを入力すると自動的に 21 と計算される.[OK] ボタンを押 すと,回路図は図 3.36 に示すように SW1 の項目が変更される.これは,回路において電 圧源 V1 を 0V から 0.5V 刻みで 10V まで変化させることを意味する. (a) 編集前 (b) 編集後 図 3.35: 部品プロパティー編集ウィンドウ(パラメータスイープ SW1)
最後に DC 解析を実行する.3.6.2 で述べたように [シミュレーション] ボタンを押すと, 回路図のキャンパスからデータ表示のキャンパスに自動的に変更する.[図表部品] の左上 の直交座標を選択し,キャンパスに配置すると,図 3.37 に示すようなグラフが表示され る.このグラフは横軸 VD(電圧),縦軸 V1.I(電流)であり,V1.I =−0.01VD を表して いる.すなわち回路内の電流 V1.I は抵抗 R1,R2 と電圧 V1 より V1.I = VD/(R1 + R2) = VD/(50 + 50) = VD/100 = 0.01VDより正しく求まっていることを確認できる.ただし, シミュレーションでは電圧源 V1 に流れ込む電流 V1.I を求めているため,負値となって いる. 図 3.36: パラメータスイープの修正後 図 3.37: 直交座標表示による直流特性
前述の回路では電圧 V1 をパラメータとした回路であるが,ここでは抵抗 R1 をパラメー タとした回路を示す.図 3.38(a) に回路図,図 3.38(b) にシミュレーション結果を示す.抵 抗 R1 を Ra とし,0Ω∼ 50Ω まで 5Ω 刻みで変化させるシミュレーションである.回路の合 成抵抗は R = Ra + 50,電圧は V1 = 1,回路に流れる電流は V1.I = V1/R = 1/(Ra + 50) である.よって Ra = 0Ω では V1.I = 1/50 = 0.02,Ra = 50Ω では V1.I = 1/100 = 0.01 である.ゆえに理論値とシミュレーション結果が一致していることを確認できる.
(a) 回路図 (b) シミュレーション結果
3.6.4
方程式
前節で述べたように電流 V1.I は電圧源 V1 に流れ込む値を求めているため符号が逆に なり負値である.そのため,グラフで描画すると逆さになる.このような場合 Qucs では, シミュレーションで得られた値を用いて別の値を計算する方程式の機能がある. ツールバーの方程式のボタン(メニューの [挿入]-[方程式を挿入])を選択する.回路図 のキャンパスの任意の位置でマウスをクリックするとに図 3.39 に示すように方程式 Eqn1 が配置される.方程式を選択しマウスの右ボタンでポップアップメニューを表示し,プロ パティを選択すると,図 3.40(a) に示すような方程式の部品プロパティが表示される.こ こでは電流 V1.I を ID に置き換え,ID = −V1.I を計算する.そのためエディットボック ス内の y を ID,下の 1 を-V1.I に変更する(図 3.40(b) 参照).図 3.39: 方程式の配置 (1)
(b) 変更前 (b) 変更後
以上により回路図の Eqn1 の値が図 3.41 に示すように変更される.その後,DC 解析を 行いグラフと表を表示する.ここで前節とは異なり表示する項目を ID を選択することに より,図 3.42 に示すグラフが表示される.図 3.37 と異なり,ID = 0.01VD となっている ことを確認できる. 図 3.41: 方程式の配置 (2) 図 3.42: シミュレーション結果 方程式について,Qucs では三角関数などの様々な関数が組み込まれている.詳細は付 録 D.3 に示す.
3.6.5
AC
解析
次に新規にプロジェクトを作成し AC 解析を説明する.プロジェクト名を “sample AC” とし,図 3.43 に示すような CR 直列交流回路を作成する.この回路では,AC 電圧源,抵抗, コンデンサから構成されており,それぞれの値はデフォルト値とする.すなわち,U = 1V, R = 50Ω,C = 1pF とする.またここでは AC 解析を行うため,[シミュレーション部品] から AC シミュレーションを選択しキャンパスに設置する.ここで AC 解析のデフォルト 設定では,周波数を 1GHz から 10GHz までを 19 分割して線形に変化させる.シミュレー ションの設定を変更するには,マウスの右クリックでプロパティを表示させることによ り,前節のパラメータスイープと同様に変更できる.さらにラベルとして VC を用意す る.シミュレーションを行い,図 3.44 に示すように周波数 f と電流 I(V1.I),f と電圧 Vc (VC.v)のグラフを表示する. 図 3.43: CR 直列交流回路 図 3.44: AC 解析の結果 (1)ここで,V1.I と VC.v を描画させるには図 3.45(a) に示すように,それぞれのグラフで 表示する項目を選択する.また図 3.44 では f のラベルが acfrequency,I のラベルが V1.I, Vcのラベルが VC.v である.そこでグラフプロパティーで図 3.45(b) に示すように x 軸の ラベルを f[Hz] と左軸のラベルを I[A],さらに軸を対数表示にするため [x 軸 LOG 表示], [対数 左軸 グリッド] にチェックをする.[OK] ボタンを押すことにより,グラフは図 3.44 から図 3.46 に変更し,見やすいグラフとなる. (a) データタブ (b) プロパティータブ 図 3.45: グラフプロパティーの編集 図 3.46: AC 解析の結果 (2)
3.6.6
過渡解析
過渡解析(トランジェント解析)とは,横軸を時間軸として電圧や電流などの変化を観 測するものであり,オシロスコープを使った波形観測に相当する. 図 3.47 に示す AC 電圧源と抵抗のみから構成される回路を作成する.過渡解析を行う ため,[シミュレーション部品] からトランジェント解析を選択しキャンパスに設置する. ここでトランジェント解析のデフォルト設定では,開始時間を 0ms,停止時間を 1ms の 間を 11 分割して線形に変化させる.シミュレーションの設定を変更するには,マウスの 右クリックでプロパティを表示させることにより,前節の AC 解析と同様に変更できる. ここでは開始時間を 0ms,停止時間を 20ms,0.5ms 刻みでシミュレーションすることに した.さらにラベルとして VR を用意する.シミュレーションを行い,図 3.48 に示すよ うに時間 time と電流 i(V1.It),電圧 vr(VR.Vt)のグラフを表示する. 図 3.47: R だけの交流回路 図 3.48: 過渡解析の結果 (1)また抵抗 R の代わりに,コンデンサ C = 1µF に変更した回路における回路図とシミュ レーション結果を図 3.49 に示す.コイル L = 1mH に変更した回路における回路図とシ ミュレーション結果を図 3.50 に示す.これらの結果より電流位相の進みと遅れを確認で きる. (a) 回路図 (b) シミュレーション結果 図 3.49: 過渡解析の結果 (2) (a) 回路図 (b) シミュレーション結果 図 3.50: 過渡解析の結果 (3)
3.6.7
電流計
Qucsの電流計は内部抵抗ゼロの理想電流計である.Qucs の DC バイアス計算では,各 部の電圧値しか表示されないが,電流計を用いることにより電流を表示する.ただし,実 際の電流計は有限の内部抵抗をもち,回路の動作に影響を与えるのに注意する. 図 3.14 の回路に電流計を一つ設置する例を示す.[プローブ] で電流計を選択する.他の 部品と同様にマウスで移動し任意の位置に電流計を設置する.ここでは図 3.51 に示すよ うに電流計 Pr1 を設置する.次に DC バイアスの計算を行う.その結果を図 3.52 に示す. 図 3.22(a) では電圧値しか表示されていないが,電流計 Pr1 を設置することにより Pr1 に 流れる電流 10mA が緑色で表示されている. 図 3.51: 電流計の設置 図 3.52: DC バイアスの計算(電流計の設置)3.6.8
電圧計
Qucsの電圧計は内部抵抗無限大の理想電圧計である.Qucs の DC バイアス計算で表示 される電圧はグラウンドから測った電圧が表示されるが,電圧計を用いることにより任意 の 2 点間の電位差を表示することができる.ただし,実際の電圧計は有限の内部抵抗をも ち,回路の動作に影響を与えるのに注意する. 図 3.14 の回路で二つの抵抗 R1,R2 の両端にそれぞれ電圧プローブを設置する例を示 す.[プローブ] で電圧プローブを選択する.他の部品と同様にマウスで移動し R1,R2 の 近くに電圧プローブを設置し,ワイヤで抵抗に並列に配線する.ここでは図 3.53 に示す ように電圧プローブ Pr1,Pr2 を設置する.次に DC バイアスの計算を行う.その結果を 図 3.54 に示す.ここでは簡単な回路図のため図 3.22(a) と同じように電圧値が表示されて いることを確認できる. 図 3.53: 電圧計の設置 図 3.54: DC バイアスの計算(電圧計の設置)3.7
回路図の印刷
回路図を印刷するためには,ツールバーのプリンタボタン(メニューの [ファイル]-[印 刷],図 3.55 参照)を使用する.
用紙への印刷でなく,PDF ファイルなどへの印刷は OS が Windows であれば Adobe Acrobat,PrimoPDF2などを使用する. 画像ファイル(bmp 形式など)として保存する場合は,Windows の画面キャプチャ 機能を用いる.画面キャプチャ機能とはデスクトップ画面全体をキャプチャする場合は [Print Screen]ボタンを押す.またアクティブなウィンドウのみをキャプチャする場合は [Alt]+[Print Screen]ボタンを押す.これにより画像ファイルとしてクリップボードに保 存される.次にペイントなどのソフトウェアを起動し,ペーストを行えば画像として表 示される.これを bmp 形式などに保存することにより,Microsoft Word ファイルなどへ の貼り付けが可能となる.回路図を表示した状態の Qucs のウィンドウをキャプチャし, Windows標準のソフトウェアであるペイントに貼り付けた例を図 3.56 に示す. 図 3.56: Qucs 画面のキャプチャ例 2PDF 無 料 作 成 ソ フ ト ウェア.日 本 語 版 は エ ク セ ル ソ フ ト 株 式 会 社 が 提 供 し て い る . http://www.xlsoft.com/jp/products/primopdf/index.html
3.8
プロジェクトの管理
これまで作成してきた回路図やシミュレーション結果は “sample” プロジェクトや “sam-ple AC”プロジェクトに保存されている.作成したプロジェクトの一覧は左側のワークエ リア内に表示される.ワークエリア内のプロジェクトを選択し,[開く] ボタンをクリック (またはプロジェクト名をダブルクリック)すると,該当するプロジェクトが開く.[内容] タブを選択すると,開いたプロジェクトの構成をツリー表示する.図 3.57 は “sample” プ ロジェクトの構成を示している.回路図 “sample.sch” は作成した回路図,“sample.dpl” は シミュレーション結果であり,ダブルクリックすると右側のキャンパスに表示される. 図 3.57: プロジェクト “sample” の構成データセット “sample.dat” はシミュレーション結果のグラフデータであり,これをダ ブルクリックすると,図 3.58 のような画面が表示される.このデータ値を変更しファイ ルに保存すると,シミュレーション結果のグラフデータが変更されるので注意すること. 図 3.58: データセット “sample.dat” またプロジェクトを削除する場合は,ワークエリアで削除するプロジェクト名を選択す る(図 3.59).次に [削除] ボタンをクリックすると,図 3.60 に示す確認ダイアログが表示 される.プロジェクトを削除する場合は [はい] ボタンを押せばプロジェクトが削除され, 図 3.61 に示すようにワークエリア内でプロジェクト名が削除される. 図 3.59: プロジェクトの選択
図 3.60: プロジェクト削除のための確認ダイアログ
プロジェクト削除後の画面
図 3.61: プロジェクト削除後の画面
Windows環境(特に Windows Xp)では Qucs のプロジェクトは C:\Documents and Settings\ ユーザ名\.qucs に保存される.プロジェクト毎にフォルダが作成されている.
3.9
シミュレーション結果の表示方法
3.9.1
グラフ(直交座標)
シミュレーション結果として直交座標などのグラフを多用する.本節ではグラフの表示 方法について説明する.図 3.62(a) に示す抵抗 R1=10kΩ に交流電源 V1(5V,100Hz)を印 可する回路を考える.このとき過渡解析を行った結果を直交座標で表示すると図 3.62(b) を得る.横軸は時間,縦軸は抵抗にかかる電圧である. (a) 回路図 (b) シミュレーション結果 図 3.62: サンプル交流回路 図 3.62(b) に示すデフォルトの表示では,自動的に軸のラベル,軸のレンジ,軸の目盛 りを与える.これらの設定を変更するには,グラフを選択し,マウスの右ボタンで [プロ パティ編集] を選択する.図 3.63 のウィンドウが表示される.ウィンドウ上のタブを選択 し,各設定を変更すればよい. 図 3.63: グラフプロパティー編集(データ)グラフプロパティー編集の [プロパティー] タブを選択すると,図 3.64(a) が表示される. この図がデフォルト設定であり,x 軸ラベル,左軸ラベル,右軸ラベルは空白,グリッド 表示にチェックがあり,x 軸 LOG 表示,対数左軸グリッド,対数右グリッドのチェックは 外れている.例えば,図 3.64(b) のように x 軸ラベルに t [s] と左軸ラベルに vr [V] と 入力し,[適用] ボタンを押すと図 3.65 に示すようにラベルが変更される. (a) 変更前 (b) 変更後 図 3.64: グラフプロパティー編集(プロパティー) 図 3.65: グラフ設定の変更例(ラベル変更後)
またグラフプロパティー編集の [リミット] タブを選択すると,図 3.66(a) が表示される. この図がデフォルト設定であり,3 軸(x 軸,左軸,右軸)のマニュアルのチェックは外れ ている.例えば,図 3.66(b) のように x 軸と左軸にチェックを入れ,スタート,ステップ, ストップに値を入力して [適用] ボタンを押すと図 3.67 に示すようにレンジが変更される. すなわちレンジは,「(スタート)値から(ステップ)刻みで(ストップ)値まで目盛りを 表示する」設定が行える. (a) 変更前 (b) 変更後 図 3.66: グラフプロパティー編集(リミット) 図 3.67: グラフ設定の変更例(レンジ変更後)
さらにグラフプロパティー編集の [データ] タブでは,色,線種,細さの変更が行える. 表 3.1,図 3.68,図 3.69 に線種リストとその例を示す.また図 3.69(h) は線種ソリッドで 細さ=5 に設定した例である.また色の変更は,[データ] タブの色右側のボタンを押すこ とにより,図 3.70 に示すカラーパレットが表示される.これより任意の色を選択し [OK] ボタンを押せば色が変更する. 表 3.1: グラフの線種リスト 線種 グラフ例 ソリッド 図 3.68(a) ダッシュ 図 3.68(b) ドット 図 3.68(c) 長いダッシュ 図 3.68(d) 星 図 3.69(e) 円 図 3.69(f) 矢 図 3.69(g) (a) ソリッド(細さ=0) (b) ダッシュ (c) ドット (d) 長いダッシュ 図 3.68: グラフの線種 (a)
(e) 星 (f) 円
(g) 矢 (h) ソリッド(細さ=5)
図 3.69: グラフの線種 (b)
3.9.2
表
本節では表の表示方法について説明する.図 3.71(a) に示す二つの抵抗(R1=50Ω,R2=75Ω) を並列に接続し,直流電源 V1 を印可する回路を考える.このとき DC 解析を行った結果 を表で表示する.[図表部品] から [表] を選択してキャンパス上に移動すると,3.6.2 で説 明したように,グラフプロパティー編集ウィンドウが図 3.71(b) のように表示される. グラフプロパティー編集ウィンドウで,方程式より求まる ID,電流計に流れる直流電 流 Pr1.I,Pr2.I,ラベル V1 における直流電圧 V1.V と直流電流 V1.I を選択し,[OK] を 押すと,図 3.71(c) に示す表が表示される.この図を見ると,左側にスクロールバーがつ いている.スクロールバーを利用することにより,下方の値を見ることができる.また右 上に赤い矢印がついている.これは,表のサイズが小さいため,全ての値を表示できない ことを意味している.しかし,これはスクロールバーと異なっており,表のサイズを変更 する必要がある.図 3.71(b) の表サイズを大きくした結果を図 3.71(d) に示す.赤い矢印 が消えていることが確認できる. (a) 回路図 (b) グラフプロパティー編集ウィンドウ (c) デフォルトサイズの表 (d) サイズ変更後の表 図 3.71: 表の使い方 (a)また,グラフプロパティー編集ウィンドウでは,数字表記法,精度のエディットボック スがある.これを変更することにより表をカスタマイズできる.数字表記法には以下に示 す 3 種類がある. • 実数/虚数 • 絶対角(ディグリー) • 絶対角(ラジアン) これは表示する値に応じて変更すればよい.また精度は表中で示す値の有効数字を与え る.ただし,精度を大きくしても,0 の場合は省略される.図 3.72 に精度 5 の場合と,精 度 1 の場合の表示結果を示す. (a) 精度 5 の場合 (b) 精度 1 の場合 図 3.72: 表の使い方 (b)
3.10
ビュー
Qucsではウィンドウのサイズを変更することにより,回路図やシミュレーション結果 を表示するキャンパスの大きさを変えることができる.また,回路全体を表示したり,拡 大・縮小表示をすることも可能である.本節ではビューの変更について説明する. Qucsで設定されているビューに関するコマンドは下記の四つである. • 1:1のスケールで見る • 全体を見る • ズームイン • ズームアウト これらのコマンドは,メニューの [ビュー] 内にある.デフォルトでは 1:1 のスケールで見 るようになっている.図 3.73 に四つのビューの表示例を示す.ここで,ズームインとズー ムアウトを選択すると,マウスカーソルが +⃝に変更する.マウスカーソルをズームインま たはズームアウトする中心に位置させてクリックすると,その位置を中心にズームインま たはズームアウトされて表示される. (a) デフォルトのサイズ(1:1 のスケールで 見る) (b) 全体を見る (c) ズームイン (d) ズームアウト 図 3.73: ビューの変更第
4
章 電子回路部品
Qucsでは様々な部品が用意されている.Qucs で用意されている部品は,基本的な部品 であり,実際に市販されている部品とあわせるには部品のパラメータを修正する必要があ る.パラメータの修正は,3.5.2 で説明したのと同様にプロパティ編集で行える.本章で は,代表的な部品のパラメータをまとめる.4.1
集中定数部品
集中定数部品として抵抗,キャパシタ,インダクタ,アンプ,スイッチ,リレーがある. 本節では各部品の回路シンボルとパラメータを説明する. 抵抗の回路シンボルには,図 4.1 に示す european と US の 2 種がある.両者の違いは記 号が異なるだけであり,特性等は同じである.抵抗のパラメータを表 4.1 に示す. (a) european (b) US 図 4.1: 抵抗の回路シンボル 表 4.1: 抵抗のパラメータ 名前 説明 デフォルト値 単位 R 抵抗 50 Ω Temp シミュレーション温度 26.85 ◦C Tc1 一次温度係数 0.0 Tc2 二次温度係数 0.0 Tnom パラメータが抽出された温度 26.85キャパシタの回路シンボルには,図 4.2 に示す neutral と polar の 2 種がある.キャパシ タのパラメータを表 4.2 に示す.
(a) neutral (b) polar 図 4.2: キャパシタの回路シンボル
表 4.2: キャパシタのパラメータ
名前 説明 デフォルト値 単位
C 容量 1 p F
V トランジェント初期電圧
インダクタの回路シンボルを図 4.3,パラメータを表 4.3 に示す. アンプの回路シンボルを図 4.4,パラメータを表 4.4 に示す. 図 4.3: インダクタの回路シンボル 図 4.4: アンプの回路シンボル 表 4.3: インダクタのパラメータ 名前 説明 デフォルト値 単位 L インダクタンス 1 n H I トランジェント初期電流 表 4.4: アンプのパラメータ 名前 説明 デフォルト値 単位 G 電圧ゲイン 10 Z1 入力ポートインピーダンス 50 Ω Z2 出力ポートインピーダンス 50 Ω
スイッチの回路シンボルを図 4.5,パラメータを表 4.5 に示す. リレーの回路シンボルを図 4.6,パラメータを表 4.6 に示す.
図 4.5: スイッチの回路シンボル 図 4.6: リレーの回路シンボル
表 4.5: スイッチのパラメータ
名前 説明 デフォルト値 単位
init 初期値 [on, off] off
time 状態変化時間 1 m s
Ron on時の抵抗値 0 Ω
Roff off時の抵抗値 1e12 Ω
Temp シミュレーション温度 26.85 ◦C 表 4.6: リレーのパラメータ 名前 説明 デフォルト値 単位 Vt しきい値電圧 0.5 V Vh ヒステリシス電圧 0.1 V Ron on時の抵抗値 0 Ω
Roff off時の抵抗値 1e12 Ω
4.2
ソース源部品
DC電圧源と DC 電流源の回路シンボルをそれぞれ図 4.7,図 4.8,パラメータをそれぞ れ表 4.7,表 4.8 に示す. 図 4.7: DC 電圧源の回路シンボル 図 4.8: DC 電流源の回路シンボル 表 4.7: DC 電圧源のパラメータ 名前 説明 デフォルト値 単位 U 電圧 1 V 表 4.8: DC 電流源のパラメータ 名前 説明 デフォルト値 単位 I 電流 1 m AAC電圧源と AC 電流源の回路シンボルをそれぞれ図 4.9,図 4.10,パラメータをそれ ぞれ表 4.9,表 4.10 に示す. 図 4.9: AC 電圧源の回路シンボル 図 4.10: AC 電流源の回路シンボル 表 4.9: AC 電圧源のパラメータ 名前 説明 デフォルト値 単位 U ピーク電圧 1 V f 周波数 1 G Hz Phase 開始位相 0 ◦ Theta ダンピングファクター(過渡解析のみ) 0 表 4.10: AC 電流源のパラメータ 名前 説明 デフォルト値 単位 U ピーク電流 1 m A f 周波数 1 G Hz Phase 開始位相 0 ◦ Theta ダンピングファクター(過渡解析のみ) 0
矩形電圧源と矩形電流源の回路シンボルをそれぞれ図 4.11,図 4.12,パラメータをそれ ぞれ表 4.11,表 4.12 に示す. 図 4.11: 矩形電圧源の回路シンボル 図 4.12: 矩形電流源の回路シンボル 表 4.11: 矩形電圧源のパラメータ 名前 説明 デフォルト値 単位 U ハイパルスの電圧 1 V TH ハイパルス持続時間 1 m s TL ローパルス持続時間 1 m s Tr 立ち上がり時間 1 n s Tf 立ち下がり時間 1 n s Td 初期遅延時間 0 s 表 4.12: 矩形電流源のパラメータ 名前 説明 デフォルト値 単位 I ハイパルスの電流 1 m A TH ハイパルス持続時間 1 m s TL ローパルス持続時間 1 m s Tr 立ち上がり時間 1 n s Tf 立ち下がり時間 1 n s Td 初期遅延時間 0 s
4.3
非線形部品
4.3.1
ダイオード
ダイオードの回路シンボルを図 4.13,パラメータを表 4.13 に示す.
表 4.13: ダイオードモデルのパラメータ([2]p.70) 名前 記号 説明 デフォルト値 単位 Is IS 飽和電流 10−14 A N N 放射係数 1.0 Cj0 Cj0 ゼロバイアスジャンクション(接合)容 量 0.0 F M M 等級係数 0.5 Vj Vj ジャンクション電位 0.7 V Fc Fc 順バイアス空乏層容量係数 0.5 Cp Cp 線形容量 0.0 F
Isr ISR recombination current parameter 0.0 A
Nr NR emission coefficient for Isr 2.0
Rs RS 直流抵抗 0.0 Ω Tt τ 推移時間 0.0 s Temp T シミュレーション温度 26.85 ◦C Kf KF フリッカーノイズ係数 0.0 Af AF フリッカーノイズ指数 1.0 Ffe FF E フリッカーノイズ指数 1.0 Bv Bv 逆ブレークダウン電圧 ∞ V Ibv IBv 逆ブレークダウン電圧時の電流 0.001 A Xti XT I 飽和電流温度指数 3.0 Eg EG バンド幅電圧 1.11 eV Tbv TBV Bvリニア温度係数 0.0 1/ ◦C Trs TRS Rsリニア温度係数 0.0 1/◦C Ttt1 Tτ 1 Ttリニア温度係数 0.0 1/◦C Ttt2 Tτ 2 Tt二次温度係数 0.0 1/◦C2 Tm1 TM 1 Mリニア温度係数 0.0 1/◦C Tm2 TM 2 M二次温度係数 0.0 1/◦C2 Tnom TN OM パラメータ抽出温度 26.85 ◦C
4.3.2
バイポーラトランジスタ
トランジスタの回路シンボルを図 4.14,パラメータを表 4.14 に示す.これらの値を変 更することにより実際の素子を想定することが可能となる.商用素子のモデルを設定する のは 5.2 のダイオードと同様に行える. (a) NPN型 (b) PNP型 図 4.14: トランジスタの回路シンボル 表 4.14: トランジスタモデルのパラメータ([2]pp.117-118) 名前 記号 説明 デフォルト値 単位 Type 極性 [npn, pnp] Is IS 飽和電流 1016 A Nf NF 順放射係数 1.0 Nr NR 逆放射係数 1.0 Ikf IKF 高電流順方向ベータ降下点 ∞ A Ikr IKR 高電流逆 ∞ A Vaf VAF 順初期電圧 ∞ V Var VAR 逆初期電圧 ∞ V Ise ISE ベースエミッタ間 漏れ飽和電流 0 A Ne NE ベースエミッタ間 漏れ放射係数 1.5 Isc ISC ベースコレクタ間 漏れ飽和電流 0 A Nc NC ベースコレクタ間 漏れ放射係数 2.0 Bf BF 順方向ベータ 100 Br BR 逆方向ベータ 1 Rbm RBm 高電流時の最小ベース抵抗 0.0 Ω Irb IRB ベース抵抗中点時の電流 ∞ A Rc RC コレクタ抵抗 0.0 Ω Re RE エミッタ抵抗 0.0 Ω Rb RB ゼロバイアス ベース抵抗(おそらく大 電流に依存) 0.0 Ω Cje CJ E ベースエミッタ間 ゼロバイアス 空乏容 量 0.0 F Vje VJ E ベースエミッタ間 電位 0.75 VMje MJ E ベースエミッタ間 接合指数係数 0.33 Cjc CJ C ベースコレクタ間 ゼロバイアス 空乏容 量 0.0 F Vjc VJ C ベースコレクタ間 電位 0.75 V Mjc MJ C ベースコレクタ間 接合指数係数 0.33 Xcjc XCJ C 内部ベースノードにつながる B-C 空乏 層容量 1.0 Cjs CJ S ゼロバイアス時のコレクタと基板の容 量 0.0 F Vjs VJ S 基板との接合電位 0.75 V Mjs MJ S 基板との接合指数係数 0.0 Fc FC 順バイアス空乏層容量係数 0.5 Tf TF 理想的な順通過時間 0.0 Xtf XT F Tfに依存するバイアスの係数 0.0 Vtf VT F ベースコレクタ間電圧における Tf の電 圧依存 ∞ V Itf IT F Tfにおける大電流降下 0.0 A Tr TR 理想逆通過時間 0.0 s Temp T シミュレーション温度 26.85 ◦C Kf KF フリッカーノイズ係数 0.0 Af AF フリッカーノイズ指数 1.0 Ffe FF E フリッカーノイズ指数 1.0 Kb KB バーストノイズ係数 0.0 Ab AB バーストノイズ指数 1.0 Fb FB バーストノイズのコーナー周波数 1.0 Hz Ptf ϕT F 超過位相 0.0 ◦ Xtb XT B 順方向,逆方向ベース温度指数 0.0 Xti XT I 飽和電流温度指数 3.0 Eg EG バンド幅電圧 1.11 eV Tnom TN OM パラメータ抽出温度 26.85 ◦C Area A default area for bipolar transistor 1.0