The Phase Behavior of Monooleoylglycerol-Water Systems Mivoshi Oil & Fat Co.. Ltd. Faculty of Science and Technology, Science University of Tokyo Inst

全文

(1)

モ ノ ア シル グ リセ リ ン-水 混 合 系 の 熱 的 ・構 造 的

挙 動 に 関 す る検 討 (第2 報)

モノオ レオイル グ リセ リン-水混合系 につ いて

青森 久恵

* ・

石黒

* ・

桑田 和彦札

金 子

富 厚 * ・

荻 野

圭 三

* *, * * * * ミヨ シ油脂 株 式 会 社 (〒124東 京 都 葛 飾 区堀 切4-66-1) * * 東 京 理科 大 学 理 工 学 部 工 業 化 学 科 (〒278野 田市 山崎2641) * * *

東京理科大学界面科学研究所 

(〒162東 京都新宿 区神楽坂1-3)

Study on Thermal

and Structural

Behavior

of Monoacylglycerol-Water

Systems.

II .

The Phase Behavior of Monooleoylglycerol-Water Systems

Hisae AOMORI *, Takashi ISHIGURO *, Kazuhiko KUWATA *, Tomiatsu KANEKO *, and Keizo OGINO * * ・ * * *

* Mivoshi Oil & Fat Co.. Ltd.

(4-66-1,  Horikiri,  Katsushika-ku,  Tokyo,  〒124)

* * Faculty of Science and Technology, Science University of Tokyo

(2641,  Yamazaki,  Noda-shi,  Chiba-ken,  〒278)

* * * Institute of Colloid and Interface Science, Science University of Tokyo

(1-3,  Kagurazaka,  Shinjuku-ku,  Tokyo,  〒162)

The structures

of molecular

aggregates

in monooleoylglycerol-water

systems

were deter

-mined primarily

by small angle X-ray

diffraction

method . Based on the results, the phase

dia-gram in these systems

were established.

The structures

of monoacylglycerol

aggregates

were

found to change significantly

with respect to time .

A reversed hexagonal

phase (HII) was observed in the region of high monoacylglycerol

con-centration

at higher temperature

than Tc. The cubic phases (C1 and C2) were observed in the

low concentration

range.

The cubic phase (C1) was found at 85 to 65 wt % monooloylglycerol

,

and the other cubic phase (C2) at less than 80 wt % monooloylglycerol

. The cubic phases were

transformed to the reversed hexagonal phase (HII) When the temperature exceeded 80℃ .

The phase diagram

obtained was essentially

the same as that for monostearoylglycerol-wa

-ter systems at higher temperature

than Tc. Molecular rotation would thus appeal to occur in the

region of high temperature

and it follows that the two molecules should have the same geometry

,

that is a determining

factor of liquid crystal structure.

The cubic phases (C1 and C2), each became the reversed hexagonal

phase (H II) during

sev-eral months of standing

at room temperature.

1  緒

食 品 添加 物 と して,使 用 が 認 可 され て い る モ ノ ア シ ル

(2)

第44巻  第11号  (1995) グ リセ リ ンは,生 体 に対 す る安 全性 が 高 く,汎 用 性 の あ る界 面 活 性剤 で あ り,広 く食 品 に 利 用 さ れ て い る。 モ ノ ア シ ル グ リセ リン-水 の 混 合 系 を 温 度 変 化 させ る と相 転 移 し,特 異 的 な 物 性 を 示 す3つ の 異 な った 液 晶 相,ラ メ ラ,立 方 晶 そ して 逆 ヘ キ サ ゴナ ル 相 が得 られ る こ とが 知 られ て お り,各 種 の モ ノ ア シル グ リセ リ ンにつ いて の 相 図 も得 られ て い る。 ま た,そ れ ら液 晶 構 造 の 解 析 や液 晶 間の 相 転 移,構 造 関係 につ いて も偏 光 顕 微 鏡 や X線 回折 に よ って 検 討 が 行 わ れ て い る1)∼5)。 Larssonら は,特 に 立 方 晶液 晶 相 の 構 造 に つ い て 検 討 して い る6),7)。そ の 構 造 は 二 分 子 層 の 連 続 的 な 三 次 元 ネ ッ トワ ー ク構 造 だ と考 え られ て お り,モ ノオ レオ イ ル グ リセ リン-水 混 合 系 に お い て は2種 類 の 立 方 晶 相 の 存 在 が認 め られ て い る8)。 一 方 ,食 品工業 において も我 々は,経 験上,乳 化食 品 の 物 性 や 機能 性,デ ンプ ン食 品 の 老 化 速 度,ま た食 品 の 冷 凍 耐 性等,様 々 な 問題 を考 え る上 で,製 造 時,二 次 加 工 時 お よび保 存 中 に お け る,添 加 され た モ ノア シル グ リ セ リンや 他 の 界 面 活性 物 質 の 凝 集 状 態 を 知 る こ とが重 要 で あ る と考 え て い る 。 そ の 一 例 と して,ホ イ ップ ク リー ムの 含 泡 過 程 で は 油 滴 の 凝集 が 安 定 化 に寄 与 して お り,凝 集 時 に,油/水 界 面 に存 在 す る界 面 活 性 物 質膜 が ラ メ ラ相 で あ れ ば 容 易 に 合 一 し,そ の 後,立 方 晶 相へ 転 移 し安 定 化 す る こ とが 報 告 さ れ て い る3)。 この よ うな 背 景 か ら,前 報 に お い て モ ノ ア シル グ リセ リ ン と して モ ノ ス テア ロイ ル グ リセ リ ンを用 い検 討 を 行 い,各 相 に お け る液 晶 の構 造 につ いて 考 察 した9)。 本 報 で は,モ ノオ レオ イル グ リセ リンを 用 い,食 品の 主 成 分 で あ る水 との混 合 系 で,形 成 され る分 子 集 合 体 の 構 造 や 熱 的 挙動 につ いて,実 際 の 製 造,流 通 に即 した条 件 で 熱 測 定,小 角X線 散 乱 測 定 お よ び 偏 光 顕 微 鏡 観 察 を 行 い,相 図 につ い て検 討 し,新 しい 知 見 が 得 られ た の で報 告 す る 。 また,得 られ た 液 晶 の 経 時 的 変 化 を 調 べ た 結 果,立 方 晶相 か ら逆 ヘ キ サ ゴナ ル 相 へ 移 行 す る こと を見 いだ した 。

2  実

2・1 試 料 2・1・1 モ ノ ア シル グ リセ リ ン モ ノ オ レオ イ ル グ リセ リ ン(以 下GMO)は,市 販 の 食 品添 加 物 で あ る理 研 ビタ ミ ン(株)製,エ マ ル ジー OL (純度97.5%)を そ の ま ま用 い た 。 な お,水 は(有)大 和 化 研製 の精 製 水 を用 い た 。 2・2 実 験 方 法 2・2・1 相 図 の 検 討 GMO濃 度100%か ら30%ま で5%ご と の 比 率 で GMOと 水 を30g,  容 器 に計 り取 り,こ れ を 密 封 した。 加 熱 して 融 解 した 後,0℃ まで 降 温 す る操 作 を数 回 繰 り 返 して 均 一 化 し試 料 と した。DSC測 定,小 角X線 散 乱 測 定 お よ び偏 光 顕 微 鏡 観 察 を 行 い,相 図 を作 成 し,各 相 の 構 造 を 解 析 した。 2・2・2 各 相 の経 時 的変 化 の 確 認 2・2・1 で 調 製 した 試 料 を,各 相 が 形 成 さ れ た 条 件 下 で,水 分 の 蒸 発 を 防 ぐた め に密 封 して,数 か 月 間保 管 し 定 期 的 に小 角 散 乱 測 定 お よ び偏 光 顕 微 鏡 観 察 を 行 い, 経 時 的変 化 につ いて 確 認 した 。 2・3 実 験 装 置 お よ び 測 定条 件 2・3・1 DSC測 定 DSC測 定 に は,(株)マ ック サ イ エ ン ス製 の示 差 走 査 熱 量 計(DSC3100)を 使 用 した。 試 料 容 器 は ス テ ン レ ス 製 耐 圧密 封 セ ル で,2・2・1で 調 製 した 試 料 を 数mg  計 り採 り封 入 して, 20℃/minで-40℃ まで 冷 却 した 後 に,-400Cか ら95℃ ま で2℃/minで 昇 温 しな が ら測 定 した 。 2・3・2 小 角X線 散 乱 測 定 小 角X線 散 乱 の 測 定 に は,(株)マ ック サ イ エ ン ス製 のX線 発 生 装 置(MXP18,  CuKα,  45kV,  400 mA) に小 角 散 乱 装 置 と測 定 温度 を制 御 す る 中低 温 装 置 を 取 り 付 け使 用 した。2・2・1で調 製 した試 料 は,マ イ ラ ー は く (箔)で 挟 み 込 み 封 入 して, 20℃/minで-40℃ ま で 冷 却 した後 に,-40℃ か ら95℃ ま で20C/minで 昇 温 しな が ら5℃ 間 隔 で測 定 した 。2・2.2で 保 管 した試 料 は, 同 様 に封 入 して,保 管 温 度 で 測 定 した 。 2・3・3偏 光 顕 微 鏡 観 察 直交 ニ コル下 にお け る偏 光 顕 微 鏡 に よ る観 察 は, (株) ニ コ ン製 偏 光 顕 微 鏡(OPTIPHOT-POL)に メ トラ ー社 製 ホ ッ トス テ ー ジ(FP  82)を 取 り付 け使 用 した。2・2・1 で 調 製 した試 料 は,プ レパ ラ ー ト上 に1∼2mgを 薄 く 延 ば し,4す み に ワセ リ ンを塗 布 した カ バ ー グ ラ スで 覆 い 封 入 して, 20℃/minで-40℃ ま で 冷 却 した 後 に, -40℃ か ら95℃ ま で20C/minで 昇 温 しな が ら観 察 し た 。2・2・2で保 管 した 試 料 は,同 様 に封 入 して,保 管 温 度 で 観 察 した 。 3  結 果 及 び 考 察 3・1 DSC測 定 Fig.-1に,  種 々 のGMO濃 度 に お け るDSC測 定 結 果 を示 す 。 GMO  100%の パ ター ンに は,-17℃ に発 熱 ピー ク, 20℃, 28℃ に吸 熱 ピー クが 観 測 さ れ た 。-17℃ と20℃ の ピ ー ク は 結 晶 型 の 転 移, 28℃ は 融 点 で あ る と考 え ら れ る 。 一 方 ,含 水物 のパ ター ンには,共 通 して-25℃ 付 近 に 発 熱 ピ ー ク, 0,8, 20℃ 付 近 に吸 熱 ピー クが 観 測 され た 。0℃ の ピー ク はGMO  100%に は観 察 さ れず,水 の

(3)

融 解 に よ る もの で あ る ことが わ か る。-25℃ の発 熱 ピー ク は結 晶 型 の 転 移 で,GMO  100%に お け る-17℃ の 変 化 に対 応 し,ま た,8℃ 付 近 の 吸 熱 ピー ク は,含 水 量 の増 加 と と もに若 干 低 温 側 に シ フ トして い る が,こ れ は メ チ レ ン鎖 の 融 解,す な わ ち相 転 移(Tc)に 伴 う熱 変 化 で,GMO  100%の 融 点(28℃)に 対 応 して い る と思 わ れ る。 この よ う に,含 水 物 の ピー ク はGMO  100%  と 比 べ る と,低 温 側 へ の シ フ トが見 られ,水 が 分 子 間 の 相 互 作 用 に影 響 して い る と思 わ れ る 。 さ ら に,20℃ の 吸 熱 ピー ク は親 水 基 の コ ン フォ ー メ ー シ ョンの 変 化 に よ る もの で あ り,100%に お ける 結 晶 型 転 移 に対 応 して い る と推 測 され る 。 3・2 小角X線 散 乱 測 定 Fig.-2に,  -20℃ か ら95℃ ま で ,5℃ 間 隔 の 小 角 X 線 散 乱 測 定 結 果 を,GMO  65%を 例 に示 す 。 図 か らわ か る よ う に,回 折 パ タ ー ンは, 10, 30, 80℃ 付 近 に大 き な 変 化 が見 られ, A, B, C, Dの 各 領 域 で 示 され る4種 類 に 分類 す る こと がで き る。 他 のGMO濃 度 の 結 果 に つ い て も検 討 す る と,こ の GMO-水 混 合 系 で 得 られ る 回 折 パ タ ー ン は,す べて こ の 例 に 代 表 さ れ る4種 類 に分 類 され,こ の こ と か ら, 形 成 され る分 子 集 合 体 の 高 次 構 造 に は4種 類 あ る こ とが 判 明 した。 ま ず,Tc温 度 以 下 に は,す べ て のGMO濃 度 で 結 晶 状 態 の 回折 パ タ ー ンを与 え るA領 域 が 存 在 す る。 ま た, Tc温 度 以 上 で も広 い範 囲 で高 次 構 造 に よ る回 折 線 が 得 られ,液 晶 の 形成 が認 め られ た 。 さ ら に,そ の 液 晶構 造 の 違 い か ら,異 な る回 折 パ タ ー ンを 与 え るB, C, D 領 域 の 存在 が確 認 さ れ た。 こ こで,各 領 域 に 関 して 詳 細 に解 析 す る。 ま

ず,Ta-ble-1に,  A領 域 で 得 られ る 回 折 パ タ ー ンをGMO  65 %, -10℃ を例 に示 す 。

表 か らわ か る よ う に,各 回 折 線 か ら求 め たd値 の 比 率 が1:1/2:1/3と な る こ と か ら,結 晶 構 造 は 層 状 で あ る。 この 場 合,層 間 隔 は お よそ49Aで あ り,こ の こ Fig.- 1 DSC curves of GMO-Water systems.

Fig.- 2 X-ray diffraction

patterns

of GMO-Water

(4)

第44巻  第11号  (1995) とか ら,GMO分 子 は親 水 基 同士,親 油 基 同士 を接 す る 形 で配 列 し,2分 子 膜 を 層 の 基 本 単 位 と して い る と推 測 す る。 ま た,A領 域 で形 成 され る層 状 結 晶 の 層 間 隔 は, す べ て49Aで あ った 。 Table-2に,B領 域 の 回折 パ タ ー ンをGMO  75 %, 30℃ を例 に示 す 。 この領 域 は65%か ら85%の  GMO 濃度 域 に存 在 す る。 d値 の 比 率 は,1/√6:1/√8:1/√14:1/ √16: 1/√20:1/√22と な り,空 間 群Ia3dの 立 方 晶 液 晶( C 1)で あ る こ とが わ か る。 この 場 合,立 方 体 で あ る単 位 格 子 一 辺 の 長 さ,格 子 定 数a0は,計 算 か らお よ そ128 Aで あ る。 これ と 同様 に,B領 域 で 得 ら れ た す べ て の 回 折 パ タ ー ンを 解 析 し,各GMO濃 度,温 度 に お け る 格 子 定 数 α0をTable-3に 示 す。 Table-4にC領 域 の 回 折 パ タ ー ンをGMO  65%,  30 ℃ を 例 に示 す 。 この 領 域 は80%以 下 のGMO濃 度 域 に存 在 す る。 d値 の 比 率 は  1/√2:1/√3:1/√4:1/  √6 : 1/√3:1/√3:1/√10:1/√11と な り,空 間群 Pn3m

Table- 1 X-ray diffraction

data of the lamellar

crystal phase at A region (GMO 65 %,

-10℃) .

Table- 2 X-ray

diffraction

data of the cubic

phase (Ia3d) at B region (GMO 75

%, 30 ℃).

Table- 3 Lattice constants a0 [ A ] of the cubic

phase (Ia3d) at B region.

Table- 4 X-ray

diffraction

data of the cubic

phase (Pn3m) at C region (GMO 65

%, 30℃).

Table- 5 Lattice constants cto [A] of the cubic

phase (Pn3m) at C region.

(5)

(a) High temperature

region

(b)

High concentration

region

の 立 方 晶 液 晶(C2)で あ る こ とが わ か る。 この 場 合, 格 子 定 数 α0は 計 算 か らお よそ96Aで あ る。 同様 に,C  領 域 す べ て の格 子 定 数 α0をTable-5に 示 す 。 Table-6にD領 域 の 回折 パ タ ー ンをGMO65% ,80 0Cを 例 に示 す 。 この 領 域 は80℃ 以 上 の 高 温 域 お よび85 %以 上 のGMO高 濃 度 域 に存 在 す る。 d値 の比 率 は1:1/√3:1/√4:1/√7 ,す な わ ち 逆 ヘ キ サ ゴナ ル液 晶 で あ る こ とが わ か る。 この場 合, 六 角 形 で あ る単 位 格 子 断 面 の 一 辺 の 長 さ,格 子 定 数 α0 は,計 算 か らお よ そ55Aで あ る。 同様 に,D領 域 す べ て の格 子 定 数a0をTable-7に 示 す 。 3・3 相 図 の 検 討 これ らの 結 果 か ら,Fig.-3に 示 すGMO-水 混 合 系 の 相 図 が得 られ る。 A領 域 は 層状 結 晶 相 で あ り,GMO濃 度,温 度 に依 存 せ ず,層 間隔 は49Aと 一 定 で あ った。 B領 域 は立 方 晶液 晶(C1)相 で あ り,格 子定数 α0は, 100∼171Aで,そ の長 さは,温 度 の上 昇 ,GMO濃 度 の 増 加 に伴 い 減少 す る 。 C領 域 は 立 方 晶 液 晶(C2)相 で あ り,格 子 定数 α0は, 75∼112Aで,温 度 の上 昇 に伴 い減 少 す る が,GMO  濃 度 に は あ ま り依 存 しな い。 D領 域 は 逆 ヘ キ サ ゴ ナ ル 液 晶 相 で あ り,高 温 域 と高 濃度 域 に 存 在 し,格 子 定 数 α0は,高 温 域 で は50∼ 56 A,高 濃 度 域 で は41∼50Aで,温 度 の 上 昇 に 伴 い若 干 減 少 し,GMO濃 度 の 低 下 に伴 い増 加 して い くが,75 % 濃 度 以 下 で は α0の 値 は 一 定 とな る 。 ま た,Tc温 度 以 上 の 高 濃 度 域 で は,回 折 線 が ブ ロ ー ドに な り,明 確 な 高 次 構 造 の 形 成 が 認 め られ なか っ た。 この領 域 は,分 子 が 比 較 的 不 規 則 に存 在 して い る ミセ ル 相 で あ る と考 え られ る。 DSCお よ び小 角散 乱 の測 定 結 果 よ り,ま ず,結 晶-液 晶相 転 移 は 両 者 の結 果 に お いて,数 度 の 温 度 の 違 い は あ る もの の,明 確 に観 測 さ れ て い る こ とが わ か った 。 しか し,結 晶 型 転 移 や コ ン フ ォ ー メ ー シ ョ ン変 化 はDSC  の み で 観測 さ れ,小 角 散 乱 に は現 れ ず 大 き な構 造 変 化 を伴 わ な い こ と がわ か った 。 逆 に,液 晶相 間 の転 移 は小 角 散 Table- 6 X-ray diffraction data of the reversed

hexagonal phase at D region (G-MO 65

%,  80℃).

Table- 7 Lattice constants ao [ A ] of the reversed

hexagonal

phase at D region.

(6)

乱 の み で 観 測 され,そ こで の高 次 構 造 変 化 に は,大 き な エ ンタル ピー 変 化 を 伴 わ な い こ とが わ か った 。 一 方,偏 光 顕 微 鏡 観察 で も各 領 域 に お いて,X線 回 折 が示 す 構 造 を 裏 付 け る組 織像 が観 察 され た。 以 上 の こ とか ら,液 晶 構造 の単 位 格 子 の 大 き さは, 温 度 と濃 度 に影 響 を う ける こ とが わか っ た。 温 度 はGMO分 子 の 運 動 性 に影 響 し,個 々 の 分 子 の 形 態 を決 定 す る一 因 とな る 。例 え ば,高 温 で アル キ ル 基 の運 動 性 が増 大 す る と,分 子 は よ り親 油 基 側 の 広 が った 形態 と な り,そ れ に よ って 界面 の 曲率 が増 大 し,単 位 格 子 は小 さ くな る もの と考 え られ る。 ま た 濃 度 に 関 して は,GMOが 高 濃 度 の 場 合 に は, 界 面面 積 あ た りの 水 和 量 が 最 適 とな る よ う に構 造 の 大 き さ が 変 化 す る。 しか し,水 が 充 分 に存 在 す る立 方 晶液 晶 (C2)相 お よび 高 温 域 の逆 ヘ キ サ ゴナ ル 液 晶相 に お い て は,GMOと 水 和 しな い 過 剰 の 水 は 自 由 水 と して 存 在 し,構 造 に 関与 しな いた め に,単 位 格 子 の大 き さが 濃 度 に依 存 しなか っ た もの と考 え られ る 。 す な わ ち,GMO-水 混 合 系 に お け る液 晶形 成 にあ た っ て,GMO分 子 の 水 和 量 や形 態 が支 配 的 な 要 因 とな り高 次 構造 を 決定 して い る と考 え られ る 。 こ こで得 られ た相 図を,既 に報 告 さ れ て い る モ ノ ステ ア ロ イ ル グ リセ リン(GMS)の 相 図4),9)と 比 較 して み る と,高 温域 で よ く一 致 して い る 。 この両 者 は,ア ル キ ル 基 の 炭 素 数 が 等 し く,GMOが 二 重 結 合 を 有 す る こ と の み 異 な る。 この た め,GMOの 相 図 は,GMSの 相 図 と比 べ て,Tcで 約45℃,全 体 的 に低 温側 に シ フ トして い る もの の,親 水 基 の 水 和 量 や分 子 運 動 が活 発 にな る高 温域 で の分 子 の形 態 が 同 じ よ うに な り,液 晶形 成 の 上 で 類似 した挙 動 を示 す もの と考 え られ る 。 一 方,Larssonら は,こ のGMO-水 混 合 系 に お い て 高 濃 度 域 に は逆 ヘ キ サ ゴナ ル液 晶相 で はな く,ラ メ ラ液 晶 相 が 形 成 され る と報 告 して い る1),4)が,本 検 討 の 結 果 か ら,高 濃 度 域 で は 逆 ヘ キ サ ゴ ナ ル液 晶の 形 成 が 確 認 さ れ た。GMO分 子 の 水 和 量 や 形 態 か ら考 慮 す る と, こ の領 域 で は層 状 構 造 は と りに くい と考 え られ,ラ メ ラ液 晶 よ り逆 ヘ キサ ゴナ ル 液 晶 の 形成 が有 利 で あ る と推 測 さ れ る。 3・4 各 相 の経 時 的 変 化 の確 認 3・3 で 得 られ た立 方 晶 液 晶(C1,  C2)は,経 時 的 変 化 を伴 うこ と が示 唆 され た の で,構 造 変 化 の様 子 を 観 察 し た 。 Fig.-4に,C1相 を この 相 が 形 成 さ れ た 室 温 で 保 管 し,時 間 を 追 って 小 角X線 散 乱 測 定 を 行 っ た結 果 を 示 す 。 得 られ た各 々の 回 折 ピー クに は,液 晶相 と その 回 折 面 を 記 して あ る 。 図 か らわ か る よ うに,C1相 は調 製 直 後 か らゆ っ く り変 化 して い き,3か 月 後 に は,空 間群Ia3d で あ る立 方 晶C1の211,  220, 321, 400, 420面 の 回 折 は 消 え,代 わ り に空 間 群Pn3mで あ る 立 方 晶C2の  110, 111面 の 回 折 ピー ク と逆 ヘ キ サ ゴ ナ ル 液 晶 の100, 110, 200面 の 回 折 が現 れ た。4か 月 後 に は逆 ヘ キ サ ゴナ ル 液 晶 相 へ 完全 に移 行 す る こ とが 確 認 され た 。 Fig.-5に,  C2相 の結 果 を示 す 。 C2相 も同様 に,調 製 直 後 か らゆ っ く り変 化 して い き, 5か 月 後 に は 空 間 群Pn3mで あ る 立 方 晶C2の  110, 111, 200, 211, 220, 211面 の 回 折 ピー クは 消 え,代 わ り に 逆 ヘ キ サ ゴ ナ ル 液 晶 に よ る ヘ キ サ ゴ ナ ル100,110, 200面 の 回折 が現 れ た。 移 行 の 過 程 で は, C2の 回折 ピー クの 位 置 が少 しず つ 広 角 側 ヘ シ フ トして お り, C2の 構 造 が 小 さ くな って い る こ とが わ か る。

(7)

以 上 の方 法 で, C1, C2相 に 関 して,そ の他 の GMO 濃 度 につ いて も,同 様 な 検 討 を行 った結 果,そ の 移 行 は C1→C2→ 逆 ヘ キ サ ゴ ナ ル液 晶 の 過 程 で起 こる こ と, ま た,そ の過 程 で一 時 的 に共 存 す るC2と 逆 ヘ キ サ ゴナ ル 液 晶 の単 位 格 子 の 大 き さに は,相 関 関係 の あ る こ とが 判 明 した。 さ ら に,そ の 大 き さに 関 して,GMO濃 度80 % 以 下,つ ま りGMO量 に対 して 充 分 に 水 の量 が 確 保 さ れ て い る 場 合 に は, C1, C2, い ず れ の 相 か ら移 行 して も,同 一 の 温 度 に お い て は,必 ず 同 じに な る こ と, 80 %以 上 で は水 濃 度 の 減 少 と相 関 して,小 さ くな る こ と か ら,最 も安 定 な 逆 ヘ キ サ ゴ ナ ル液 晶 は,GMO濃 度80 %,水20%の 比 率 で 形 成 され る と考 え られ る。 Fig.-6に,  30℃ を 例 にGMO濃 度80%以 下 で, 立 方 晶 液 晶 か ら転 移 して形 成 され た 逆 ヘ キ サ ゴナ ル液 晶 の モ デ ル 図 を示 す 。 この 液 晶 の100,110,200面 の 回 折 線 か ら求 め たd値 は,そ れ ぞ れ お よ そ52,30,26Aで あ る。 この 液 晶構 造 は,前 述 したD領 域 で 形 成 さ れ る も の と 同様 で,内 部 の 水 をGMO分 子 が 取 り囲 む よ う に配 向 した,円 柱 状 ミセル が 基 本 構 造 とな り,そ の ミセ ルが 最 密充 填 して,断 面 が 六 角 形 を 成 す よ うに高 次 構 造 を形 成 して い る。 その 円柱 状 ミセ ル の 直 径 は,断 面 の 六 角 形 の 一 辺 の 長 さに 相 当 し,格 子 定 数 α0と 一 致 す る こ とか ら60Aと 求 め られ る 。 さ らに,内 部 水 の 半 径(r)お よ びGMO1分 子 が 占有 す る 界 面 の 面 積(S)は,次 の 式 (1), (2)に よ り求 め られ る。

(1)

(2)

こ こ で,  XM,  XW:  GMO,  水 の 重 量 比 DM,  DW:  GMO,  水 の 比 重 MM:  GMOの 分 子 量 N:  ア ボ ガ ドロ数 とす る。 この 場 合, XM,  XWは そ れ ぞ れ0.8, 0.2, DM,  DW は そ れ ぞ れ0.9,1.0と して 計 算 す る と, r=13[A],  S≒ 23 [A3]と な り,こ の こ とか ら水 の周 囲 に は約17分 子 の GMOが 配 向 して い る こ とに な る。 Fig.-7に は,C1相 の経 時 的変 化 を偏 光 顕 微 鏡 観 察 で 追 っ た結 果 を示 す 。 図 か らわか る よ うに,最 初 は 暗視 野 の部 分 が 広 く, 等 方 性 の立 方 晶液 晶の 形 成 を 裏付 け て い る が,次 第 に光 学 Fig.- 5 Change in X-ray diffraction pattern of C2 phase with respect to time .

Fig.- 6 Structure model of the reversed hexago-nal phase that is transformed from cubic phases.

(8)

(a) (b) (c) 異 方 性 が 増 大 し,逆 ヘ キ サ ゴナ ル 液 晶 の 形 成 を裏 付 け る 組 織 像 が 鮮 明 に現 れ た。 これ は小 角 散 乱 測 定 の結 果 と も 一 致 して い る 以 上,3・3で 述 べ た よ うにFig.-3に 示 す 相 図 は従 来 の 報 告 と ほぼ 一致 して い る が,こ れ は準 安 定 な状 態 で あ り,完 全 な 相 平 衡 に達 して い な か っ た もの と考 え られ る。 高 温 域 で は 初 め か ら逆 ヘ キサ ゴナ ル 液 晶 相 が 全 濃度 域 で認 め られ る事,低 温域 で も数 か 月 後 に は この 液 晶相 に 移 行 す る事 か らこ の混 合 系 に お いてTc温 度 以 上 で安 定 形 と して 得 られ る高 次構 造 は逆 ヘ キ サ ゴナ ル 液 晶 相 で あ り,立 方 晶液 晶 相 は 準 安 定 で あ る と考 え られ る。 4あ と が き 以 上 の結 果 か ら,GMOの よ うな 長 鎖 状 分 子 の相 平 衡 に 関 して は,特 に低 温 域 で 最安 定 型 へ の 移 行 速 度 が 非 常 に遅 い もの と考 え られ,検 討 に 際 して はそ の 点 に 留 意 す る必 要 が あ る。 さ らに 本 検 討 の よ うに,工 業 的 利 用 を 考 え る場 合 に は,製 品 の 置 か れ る環 境 温 度 や 流 通 の サ イ ク ル を考 慮 して 検 討 す る必 要 が あ る と考 え る。 な お,本 報 の 要 旨 は平 成6年 日本 化 学 会 春 季 年 会(3 月,東 京)で 発 表 した。 〔平 成7年  (1995年)  4月24日 受 理 〕

1) S.T. Hyde, S. Andersson, B. Ericsson, K. Lars-son, Z. Kristallogr., 168, 213 (1984)

2) K. Larsson, J. Colloid Interface Sci., 113, 299 (1986)

3) K. Larsson, P. Dejmek, "Food Emulsions" , Mar-cel Dekker, (1990) p. 97

4) N. Krog, "Food Emulsions" , Marcel Dekker, (1990) p. 127

5) B. Ericsson, "Food Emulsions" , Marcel Dekker, (1990) p. 181

6) G. Lindblom, K. Larsson, L. Johansson, K. Fontell, S. Forsen, J. Am. Chem. Soc., 101, 5465 (1979)

7) K. Larsson, K. Fontell, N. Krog, Chem. Phys. Lipids, 27, 321 (1980)

8) W. Longley, T.J. McIntosh, Nature, 303, 612 (1983) 9)  石 黒 隆,青 森 久 恵,桑 田和 彦,金 子 富 厚,荻 野 圭三,

油 化 学, 44, 997 (1995)

表 か らわ か る よ う に,各 回 折 線 か ら求 め たd値 の 比 率 が1:1/2:1/3と な る こ と か ら,結 晶 構 造 は 層 状 で あ る。 この 場 合,層 間 隔 は お よそ49Aで あ り,こ の こFig.- 1  DSC  curves of  GMO-Water systems.

表 か

らわ か る よ う に,各 回 折 線 か ら求 め たd値 の 比 率 が1:1/2:1/3と な る こ と か ら,結 晶 構 造 は 層 状 で あ る。 この 場 合,層 間 隔 は お よそ49Aで あ り,こ の こFig.- 1 DSC curves of GMO-Water systems. p.3

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