仕様書 1. 件名 文化・記録映画のデジタル活用に係る調査事業 2. 事業の背景・目的 東京国立近代美術館フィルムセンター(以下,当館)では,デジタル映画の保存と活用 に関する調査研究を実施している。現在,諸外国のフィルムアーカイブにおいては,デジ タル映画の活用について,インターネット配信などを中心とした積極的な取り組みが行わ れている。今後,当館において同様の取り組みを行う場合,まず技術的な課題として挙げ られるのが,映像配信に最適なフィルムからデジタルデータへの変換方法の把握である。 当館ではこれまでもフィルムからのデジタルデータ化を実施している。しかし,その多く は,最終成果物として上映用フィルムを作製した上で劇場にて再公開することを目的とし ているため,1作品に対してかかるコストや作業期間を勘案すれば,大量の作品をインター ネット配信する際の最適な方法とは考えにくい。 もう一つの課題として挙げられるのが,権利情報の把握である。最適なデジタル化が成 されたとしても,著作権をはじめとした権利情報が不明な状況では公開することができな い。 以上のような背景から,本事業ではインターネット配信を前提としたデジタル化の方法 に関する調査と共に,著作権情報の把握に向けた調査を行うものである。 3. 業務内容 文化・記録映画のデジタルデータ化に関する調査と,フィルムセンターの所蔵する文化・ 記録映画の著作権情報に関する調査の2つの業務で構成する。詳細は以下のとおりである。 3-1. 文化・記録映画のデジタルデータ化に関する調査 3-1-1. 目的 過去に製作された文化・記録映画をフィルムからデジタルデータに変換し,インターネ ット配信を行うことを前提とした様々なデジタル化のワークフローの詳細について把握す ることにより,元素材の状態に応じた最適なデジタル化の方法を選択するための情報を得 ることを目的とする。 3-1-2. 内容 請負者は,当館が用意する作品群(3-1-4参照)を調査用サンプルとして用い,複数社の現 像所・ポストプロダクションにおいてデジタルデータ化のテストを行い,ワークフローの 検証レポートを作成する。
3-1-3. 方法 (1) 請負者は,複数社の現像所・ポストプロダクションに依頼し,デジタル化を実施する。 その際,色調等に関する指示を与えるため,4(4)に該当する品質の監督を行う者(以下, デジタル化作業監修者)を1名以上配した上,各現像所・ポストプロダクションからの求め に応じて作業に立ち会う。 (2) 各現像所・ポストプロダクションでは,3-1-4に挙げる対象作品群(A)(B)のそれぞれに ついて,2作品以上を対象にデジタル化を実施する。デジタル化を行う作品は,各現像所・ ポストプロダクション毎に別々のものとする。対象作品群(A)(B)のそれぞれに対しては2種 類以上のワークフローでデジタル化を実施する。画像については複数のワークフローでの 比較を必須とし,音声については複数のワークフローが望ましいが必須としない。 (3) (2)の作業を実施した各現像所・ポストプロダクションにおいて,ワークフローの比較・ 分析結果についてレポート(以下,デジタル化調査個別レポート)を作成する。デジタル 化調査個別レポートには,元素材に対するインスペクション,ワークフロー,画質比較, 作業コスト(金額,時間),元素材の状況と活用の目的を踏まえた上で各社が推奨するワ ークフロー等を記載する。 (4)ファイルフォーマットとしては,画質比較を目的としてDPX,音質比較を目的としてWAV を用いる。いずれも非圧縮のファイルフォーマットであるが,ワークフローの途中工程で は圧縮フォーマットを用いても良い。また配信用マスターデータとして,画像と音声を合 わせたProres422HQコーデックのQuickTimeも併せて作製し,各種デジタルメディア(HDD, LTO等)に格納する。その際,一般社団法人日本映画テレビ技術協会による「保存用DCP, DSMのデジタル記録票における推奨項目名と表記例」(別紙参考資料)を参考に,必要項目 を記載した記録票を添付する。 (5) 請負者は,デジタル化調査個別レポートの整理分析と合わせ,大量作品を効率的に処 理するための観点から,デジタル化作業監修者にかかる作業負荷に関する分析を記載した 調査レポート(以下,デジタル化調査総合レポート)を作成する。 3-1-4. 対象作品及び,想定されるデジタル化のワークフロー例 サンプルに用いる作品群は以下のとおりである。またそれぞれの作品群に対して想定さ れるデジタル化のワークフロー例を挙げる。 (A) 可燃性フィルムから不燃化した作品群 本作品群は,1920年代末から1930年代にかけて可燃性フィルムで製作された作品の上映 用プリントから,不燃性のフィルムを用いて複製した白黒35mmインターネガである。画像 も音声も1本のフィルムに焼き込まれており,音声についてはサイレント作品とトーキー作 品がある。デジタル化作業にあたっては,トーキー作品とサイレント作品をおよそ同数の 割合で採用すること。 1作品は,平均して8分である。
<ワークフローの例> ※上記の例は,画像についてはスキャナーとテレシネの2種類の方法でデジタル化し,音声 についてはプリントフィルムを作製した後,1種類の方法のみでデジタル化する場合の例で ある。 (B) カラーネガフィルムのみ現存する作品群 本作品群は,1960年代から70年代にかけて製作された不燃性35mmカラーオリジナルネガ で,全てトーキー作品である。画像・音声ともに,オリジナルネガのみが存在し,上映用 プリント等の複製物は存在しない。 1作品は,平均して11分である。 <ワークフローの例> ※上記の例では,画像については3種類の方法でデジタル化し,音声については2種類の方 法でデジタル化する場合の例である。
3-2.フィルムセンターの所蔵する文化・記録映画の著作権情報に関する調査 3-2-1.目的 今後,ウェブ上で公開することを目的とした大量のデジタル化を行うにあたり,公開の 可否の根拠となる著作権情報について,収集状況の現状把握及び情報の補完を行うことを 目的とする。 3-2-2.内容 フィルムセンターの所蔵する文化・記録映画作品を対象に,専門機関や個人の蓄積する 情報との照合等を通じて著作権情報の検証及び収集を行う。また,今後の情報収集・更新 に向け,現状の課題を明らかにする。 3-2-3.方法 すでに著作権保護期間を終了したと見做される作品及びフィルムセンターが著作権を所 有する作品を除く,フィルムセンター所蔵の文化・記録映画約1万5,000件を対象とし, ア. 製作時の著作権者又は団体に関する情報とフィルムセンター所蔵作品データベース 登録情報との照合。 イ. 現行の著作権継承者に関する情報の収集を調査期間内において可能な限り実施する。 なお,参照する既存情報源の種類は問わないが,著作権者によって提供された情報等, 確かな一次資料であることが望ましい。 請負者は,上記のア.及びイ.の最終の調査結果一覧データに加え,調査に関する簡易レ ポート(著作権調査レポート)を提出すること。また,調査の中間報告を行うものとする。 3-2-4. 中間報告 (1) 概要 フィルムセンターが主催する講演会での口頭発表 (2) 日時・場所 平成29年1月下旬,当館で実施する(詳細は当館担当者と協議の上,決定する) 4.業務の実施体制 (1) 作業に従事する要員,業務実施体制及び作業分担を明確にすること。 (2) 請負者は,文化・記録映画の製作あるいは研究に携わる等,その利活用において必要 となる要件についての判断を成し得る経験を有することが望ましい。 (3) デジタル化の作業を実施する現像所・ポストプロダクションは,映画フィルムの取り 扱いに対する十分な経験を有することが望ましい。 (4) デジタル化作業監修者は現像所・ポストプロダクション等において,フィルムからの デジタルデータ化に関する業務経験を有することが望ましい。
5. 事業期間及び業務の進捗管理 5-1. 履行期限 事業実施期間は,請負契約締結日から平成29年2月28日(火)までとする。 履行期限までの具体的なスケジュールは別途協議の上,決定するものとする。 5-2. 進捗管理 (1) 実施計画を明確に定め,作業項目毎の工程管理を行い,作業の遅延等が生じた際は 当館担当者に報告する。 (2) 作業の進捗の確認のため,逐次当館担当者に進捗状況の報告を行うものとし,具体 的なスケジュールについては別途協議の上,決定するものとする。 6. 検収関連事項 6-1. 納入期限 平成29年2月28日(火) 6-2. 納入場所 東京国立近代美術館フィルムセンター 〒104-0031 東京都中央区京橋3-7-6 6-3. 納品物 <中間納品> ・著作権調査の中間報告(講演会用資料) <最終納品> 以下に記載した納品物を納入期限までに納品すること ・デジタル化調査個別レポート,デジタル化調査総合レポート及び著作権調査レポートに ついて,紙媒体2部,書き換え不能な光学ディスク2部 ・各現像所・ポストプロダクションで作成した各種デジタルデータを収録したデジタルメ ディア(HDDあるいはLTOなど)及び中間生成物 ・著作権調査における調査結果一覧データ(エクセルファイル等)を収録した書き換え不 能な光学ディスク2部 6-4. 検収条件 (1) 本仕様書の全ての条件,項目を満たしていること。 (2) 調査レポートは,一般に広く公開する予定である。従って分かりやすくまとめられ ており,活用しやすい体裁で作成されていること。
7. その他 (1) 請負者は定期的に当館担当者と進捗状況について打合せを行うこと。 (2) 本事業に関わる費用一切については,すべて請負者の負担とする。 (3) 本仕様書に定めのない事項がある場合,又は疑義が生じた場合は,当館担当者と協議 し,その指示に従うこと。 (4) 本事業の実施に伴い発生した著作権は,当館に帰属させるものとする。ただし著作権 情報の調査結果一覧については別途協議する。 (5) 本事業の実施にあたり入手した個人情報については,善良なる管理者の注意をもって 取り扱うこと。
推奨項目名 推奨表記例 1 会社名 製作社名(作品の権利者)と発注元社名(プロダクションなど)の併記が望ましい。 <製作社名/発注元社名> 2 タイトル <作品名> 3 作品時間 秒数まで記載が望ましい。 <○時間○分○秒> 4 タイプ・バージョン DSM、保存用DCPなどの表示。 <DSM ・ ・DCP など> 5 作業日 当該メデイアが作成された年月日。 <○年○月○日> 6 公開日 作品の公開日(放送日)。 <○年○月○日> 7 フレームレート タイムコードがある場合はドロップ、ノンドロップを併記する。 <・24.00fps ・23.98fps ・29.97fps ・59.94fps ・DF ・NDF など> 8 ファイルサイズ 当該メディアに収録されている総データ量 <・○TB ・○GB ・○MB>
9 ファイルシステム LTOの場合 HDDの場合 <・LTO-6/LTFS ・LTO-6/TAR など> <・exFAT ・NTFS ・MacOS ・Linux など>
10 ファイル形式 DSMの場合 <・DPX(10bit Log) ・TIFF(16bit Linear) ・ProRes HQ(8bit Linear) など>
保存用DCPの場合 <・JPEG2000 ・Interop ・SMPTE など>
11 暗号化 保存用DCPの場合のみ表記 DSMの場合は不要 <・暗号化あり ・暗号化なし>
12 カラースペース /色温度/ガンマ
制作時の視環境を表記。
<・BT.709(Rec.709) ・DCI P3 ・DCI X'Y'Z' ・BT.2020 など / ・D65(6500K) ・D93 (9300K) など / ・2.2 ・2.4 ・2.6 など > 13 解像度 画素数と呼称(2Kなど)の併記が望ましい。 <・1998×1080 (2K) ・2048×1080(2K)、・3840×2160(4K) ・4096×2160(4K) ・1920×1080(HD) など> 14 上映画郭 比率と呼称(ビスタなど)の併記が望ましい。 <・1.85:1 (ビスタ) ・2.35:1(シネスコ) / ・1.66:1(ヨーロッパビスタ) ・16:9(HD) など> 15 音声フォーマット 音声同梱の場合の表記例。 <・2ch ・5.1ch ・7.1ch ・ドルビーアトモス など> 16 音声ファイル形式 音声同梱の場合の表記例 サンプリング周波数、ビット数の併記が望ましい。
<・wav(48kHz 16bit) ・wav(96kHz 24bit) など>
17 ファイル名 ファイル名およびフォルダ階層をできるだけ詳細に記述。 18 備考 その他の記載項目例 ・同梱ファイルの情報(例:LUT、字幕データ、白素材の有無など) ・巻別、巻つなぎ編集済などの情報 ・ソース情報(例:D2テープからのHDアップコンバートなど) 19 作業担当社連絡先 当該メディアを作成したポスプロの連絡先。 <・会社名 ・住所 ・電話番号 など>