〔原 著〕
!書幣墜甥綿糞劉1.言)
シロネズミ副腎の出生後発育について
第 1 報
皮 質 緒 :東京女子医科大学解剖学教室(主任 久保田くら教授) 円 乗. エン ジSウ 幸・小 野 藁 子 コウ オ ノ シゲ コ小島桂子・小林清子
コ ジマ ケイ. コ コ バヤシ キヨ コ 言(受付昭和33年7月31H)
副腎皮質の発生については1Brunn, Inaba, Kohn, Wies,el, Rabl, Poll, Roud, Soulie, Aichel,:Kolmer等によって精密に研究されて居 るが,出生後の副腎皮質の変化について研究した ものは非常に少い。 Wiese1は人類にわいては出生後は皮質細胞に 著変なしと云い,Kawamura.は同じく人類にお いて出生後1年の聞に著明なLipoid呼野の減少 及び網状帯細胞の変性を認めた。Thormasは最内 層細胞(恐らく.二戸層)の変性及び著明な充卑を 認めて居る。きらにKem一人副腎皮質は出生後 充血期 (Hyperqemis/ches Stadium)変性期 (Stadium der Vollentwickelte Degeneration)髄 質被膜形成期(Periode der Markcaps,elbildung)第4期(Viertes Stadium)(被膜7肖失期)の4時 期を経て完成されると云った。即出生直後は充血 期で副腎皮質は球状三三状帯網状帯の3層を区別 し最内層に毛細管充血著明で,第2の時期は変性 期で網状帯細胞の変性著しく,出生旧約ユ年を経 れば髄質被膜形成期に入り網状帯細胞の変性益々 増強して,変性細胞と結合織によって髄質との境 界に赤色線を認るめようになる。この結合織嚢は 普通は消失し,.皮質と髄質は互に直接触するよう になるが,.時にはこの被膜が長く残存すると云づ ている。以上の研究は総て入材料についてである が,シロネズミについては∫ackso鷺, EngstrO熱 等の研究がある。しかしいつれも皮質を構成する 各層細胞の微細な原形質構造の変化迄言及してい ない。そこで著者等は副腎研究の一蔀として皮質 細胞の出生後の発育に伴う変化特に網状帯の態度 について研究した。 M料及び研究方法 研究材料としては出生直後/週出生後2週,出生後1 月,出生後2月,出生後3月を経過したシmネズミ,並 びに成熟期シロネズミ(シnネ’ズミは出生後約4月で 成熟期に達す.るう.の副腎をクnuホフレム深麻酔の下に 捌出し,直ちにLevi氏子, Zenlccr−Formol,Regaud 二二,Kolster氏三等で固定したD 固定した材料に総てアルコール脱ホ後キシn一ルを .通じてパラフィンに包埋し...4∼5μの連続切片に作成 し,鉄弓マトキシリン(Heidenhain),Kull氏アニリンフ クシン・アウラソチア染色,ヘマトキシリγ(耳ansen) エオジン染色等を行って検査した。 自家既見 シロネズミの副腎皮質の構造は個体によって多 少の相違はあるが大体において出生後の各時期に よって以下のべる様な著明な相違がある。皮質細 胞の詳細な細胞学的の構造は人副腎皮:質細胞の研 究におい:て:詳述したからここでは大要だけに止め
Ko ENJO,一・’ rhigeko ONO, Keiko KOJIMA & Kiygko KOBAYASHI (Dept. of Anatoimy, Tokyo
Wom6n’s .Medica! C611ege):The postn’atal.develop.m 3nt of the suprarenal g.lani ,in albino rat・.
1. ’.Supireha’1 cortex.
2 る0 1. 出生直後のシロネズミの副腎皮質(1図)出 生直後においては副腎皮質は只2層を区別できる だけである。 Engstrom も同じく出生直後にお いては球状帯束状帯の2層を区別出来るだけで網 状帯は区別出来ない。球状帯束状帯共Lipoid顯粒 を含まない暗調細胞からできていると云ってい る。これに対して∫acksonは既に3層即球状帯束 状帯,網状帯が完全に分化していると云っている。 他の諸動物においても諸学者(Kern, Thomas,
Kolmer,増井, Howard, Jaffe−Tannenberg, Wiesel等)はいつれも出生直後より副腎皮質は 3層即網状帯が分化完成されていると云ってい る。 著者等の所見によれば被膜に接する表層は球状 帯で5,6層の細胞が被膜と略平行に配列してい る。この層の細胞は扁平乃至多角形で暗調であ る。核は円形乃至楕円形で1∼3個の核小体を含 む。 核の構造は皮質全層を通じ各成熟の時期を通じ て全:く同様である。 原形:質は深層に比べて明く,通常穎粒状又は桿 状のミトコンドリアで充満されている。其の外少 数の鉄ヘマトキシリンに濃染する可染性顯粒を含 む。 核に接して他の原形質部より明暗なミトコンド リア等を含まない狭小な最があり,共の中に頼粒 状又は桿状の双中心小体がある。 此の層の細胞にはWhiteheadも認めている様 に屡々多数の有糸分裂が認められる。 深層は球状帯に比べて遙に広く10数層の細胞が 束状に配列し暗調である。この層が束側帯で細胞 は一般に浅層の球状帯細胞より大である。核の性 質は球状帯細胞と同じである。原形質内は通常可 染幽顎粒で充たされ,極めて少数のミトコンドリ アが穎粒間に存在する。 この可染性押型はミトコンドリアから作られた ものである。 束状帯細胞は出生直後のシロネズミ副腎におい ては髄質内に束状をなして進入し互に吻合して複 雑な網を作る。出生直後において副腎皮質細胞 が索をなして髄質内に進入していることはKe− rn, Jackson, Engstrom等も認めている。 束状帯浅層の球状帯に接する細胞は原形質内に 可染性頼粒の外に少数の空胞(Lipoid絶粒)を含 む。このLipoid穎粒は皮質の分泌穎粒乃至分泌 空胞に相当するもので,志望性穎粒から変化形成 されたものである(円乗論文参照)。すなわち出生
直後において棚こ頗ホルモンは1縢れりり
ある。 束状帯細胞にも球状帯細胞と同じく核に接して 双中心小体を含む量が存在する。 束平帯にも有糸分裂が認められる。 2. 出生後1週を経たシロネズミ副腎皮質(2図) 出生後1週間を経過すれば副腎皮質は出生後と 同様2層からできて居るが,束状帯細胞は最早索 を作って髄質内に進入せず髄質と皮質との境界は 成熟期動物の腎上体のように明確である。Engst一一 romも髄質と皮質の境界は約生後1週前後で明瞭 となると云い,Jack:sonは生後2∼3Hで著明な 皮質索は認められないと云っている。 髄質と皮質の境界部にKernの認めたような結 合織性の髄嚢は認められなかった。 球状帯細胞は出生直後のものと異りその深部即 束状帯に接する細胞の内には多数の可染性顯粒と 少数の空胞(Lipoid頴粒)を含む細胞も認められ る。さらに著明なる相違は球状帯浅部の細胞が多 数のLipoid四捨を含み原形質は蜂窩状を呈する事 である。すなわち生後1週の間に球状帯細胞はミ トコンドリアより盛に下染性顯粒,空胞(Lipoid 顯粒)を作り,しかも共の変化は浅層から深層に 進行するものと思はれる。 かく多:量のLipoid顯粒を含む細胞にも双中心 小体とそれを囲む最とが認められる。 出生後1週を経たシロネズミ腎上体皮質球状帯 には特に束状帯に接してWhiteheadも認めた様 に出生直後よりも屡々多数の有糸分裂か認められ る。 束状帯細胞は出生直後のものと大姜なくただや やLipoid穎粒の数を増した細胞が多いようであ る。 3.出生後2週を経たシロネズミ副腎皮質(3図) 出生後3週を経れば球状帯細胞は大きくなり大 部分の細胞はLipoid穎粒(空胞)で充満されてい るσこの時期では束状帯との境界部に所々で中断 する一層の小さな紡轡形の細胞から出来た層が認 められる。此の層の細胞は比較的暗調で,原形質 内は通常ミトコンドリアで充満されているが,時 一724一には少数の可染性穎粒を含む。Engstromは生後 2週を経たシロネズミ副腎皮質束状帯と球状帯の 境界剖1に小さい暗調紡纏形の細胞から出来た層力,S 出現すると云い,Flexney−Grollmannも成熟マ ウスにおいてLipoid穎粒に乏しい同様な層の存 在を認めている。この層は一見新に現れたようで あるがEngstromの云ったように新に出現した 層ではなく出生直後の球状帯細胞が共の儘可染性 輝輝空胞等を形成することなく束状帯との境界部 に僅に残存したものと考えられる。この層には屡 々有糸及び無糸分裂が認められ,叉雄核細胞も認 められる。 即シロネズミにおいては人副腎と異り球状帯細 胞もLipoid驚異を形成し分泌を営み,人副腎に おける球状帯に相当する層は束状景との境界部に 僅に残存し,この部が胚芽層として働くものと老 えられる。元来副腎の胚芽層については私共の人 副腎皮質の研究で引用した様に球状帯とするもの
(Hett, Kユylow, B段chmann, Aschoff, Bennet等),
球状帯と束状帯との境界部とするもの(KoImer ツLandau, Hoerr等)があるが,これは検査動物の 相違によって異るものと思はれる。 束野郎細胞は生後2週を経れば球状帯に接する 浅層と髄質に近い深層では細胞の内部構造が多少 相違する。すなわち浅層の細胞の大多数は益々細 胞内にLipoid穎粒を増し,Lipoid穎粒で充満され た蜂窩状の構造を示す細胞も認められる。しかし 全体としては球状帯程Lipoid顯粒を含む細胞は 少い。深層の細胞は生後1週後のものより稽細胞 の大きさを増しただけで内部樽造は甘んど同様で 旧染外灯粒で充されている。 即この時期においては皮質は一見3層を区別し うる。即最:上層の主としてLipoid穎粒充満期に ある細胞から出来ている球状帯と比較的Lipoid 顯粒を多:量に含む束黒帯浅部と可染粉粒のみを含 む束状帯深部の3層である。この束聖算深部の細胞 は一見成熟動物における網状帯細胞を思はしめる がこれが網状帯細胞と異るのは其の原形質微細構 造より見て明かである。さきにDa−CoSta, Guiy− sseはモルモットの副腎皮質を,研究し,束状帯 を池殿と深層の2層に分け浅層はLipoid穎粒}こ 富み深層は‘Lipoid穎粒乏しい細胞から出来てい ると云っているが,私共のこの生後2週を経過し たシロネズミの副腎皮質の状態は全くこの所見と 一i致している。 束状帯深部髄質に接した部分には巌々Thoma$, K:ern等が出生後1年聞のモルモット副腎皮質で 認めたような毛細管充血が大多数の例で認められ た。 4.出生後1月を経過したシロネズミ副腎皮質 (4図)。 生後1月を経たシロネズミ副腎皮質は一見4屑 を区別できる。即浅葱の球状帯は生後2週後のも のと同様Lipoid穎粒:(空胞)で充された細胞か ら出来ていて,稀れに変性に陥った細胞を混じて いる。束聯帯との境界にはミトコンドリアに富ん だ細胞からなる所々で中絶する胚芽層がある。束 状帯においてはその浅層細胞は益々Lipo{d頼粒 を増し成熟動物同様Lipoid唾壷をもつて充満さ れた所謂Spongiozytenの巧ヲこ態となる。可染激雷 粒は極めて少数散在し,ミトコンドリアも少数認 められるだけである。 さらに生後2週迄は主として可染性顧粒に富む 細胞から出来ていた東園帯深部の細胞にもLipoid 顯粒を含むものが出現する。これを見ても生後2 週後において可染性顯粒に富む細胞のみから出来 ていた束状景深部は一見成熟期動物の網状細胞の 様であるが,重層の細胞が直ちにL五poid自酌を 形成する点から見ても網状帯でないことは明であ る。 このLipo遍顯粒を含む細胞は次第に髄質に接 する深層細胞に迄及び,一:方浅層と深層との境界 部(大体髄質よりやや距つた束状帯深層%の部 分)にある細胞は少数のLipoid頼粒の間に翻転 的多数のミトコンドリアが認められる。この細胞 は一度Lipoid顯粒を形成し分泌を行った細胞で 再び原形質内にミトコンドリアが出現したものと 思、はれる。ミトコンドリアのあるものは其の先端 が球形に肥厚している。その他少数の可染性命粒 を含む細胞も認められる6 すなわち再び可染性穎粒が形成されるように思 はれる。すなわち出生直後には総て可染陵墓粒で 充された細胞のみから出来ていた束状帯は次第に 浅部に存在する細胞からLipoid頴粒を形成し, ついには髄質に接する細胞迄Lipoid頴粒を形成 し分泌を行うものと思はれる。共の後束状帯深部 のある細胞には再びミトコンドリアが現はれ,可 染性顯粒の形成を行う。この時期においてはこの 一 725 一
4 層に比較的屡々有糸分裂が認められ,叉充血した 血管も認められ,此処に新たな機能の発現を思は しめる。又此の層には時に少数の変性細胞も認め られ,分泌機能を終った細胞のあるものは再びミ トコンドリアが出現せず変性死滅するものと考え られる。 5.出生後2月を経過したシロネズミ副腎皮質( 5図)。 生後2月を経れば皮質はほぼ成熟期動物のそれ と同様3層(球状帯,東状帯,網状帯)を区別で きる。野幌層は球状帯で生後1月後のものと同 じく5∼6層のLipoid野営充満期にある細胞の みから出来次に一層のミトコンドリアに富む細胞 から出来た胚芽層がっつく。束状帯は最も広範囲
で総てLipoid顯粒で充満されたSpongiozyten
から出来ている。髄質に接する最内層の細胞は拡 大せる血管の存在によって内状の配列を乱し,原 形質内には多数の糸状叉は桿状のミトコンドリア と少数の可染性穎粒,Lipoid頼粒を含む。叉此 層には少数の変性細胞が存在する。この層が成熟 動物における網状帯に相当するものである。而し て此の層は生後1月後に束状帯の下1/3の部に現は れた細胞の変化(分泌機能の反復)が次第に深部 即髄質に向って進行したものである。即生後1月 後に皮質の下1/3の部分に出現した狭い暗調細胞か ら出来た層は網状帯の原基であると考えられる。 網状帯はKolmer, Jaffe−Tannenberg, B ennet等も云ったごとく胚芽層で作られた細胞が次第に 内:方に移動した最古層で少数の細胞は此処で変性 死滅するが,大多数の細胞は再びミトコンドリア が出現し機能を反復すべく準備して居るものと思 はれる。すなわちこの点から見て該層はGersch− Gro11mann も云ったように皮質ホルモン分泌の 予備層と考えられる。私共のシPネズミにおける 所見によれば生後1月後に初めて出現し約2月の後 に完成するものであって,Jaffe−Tannenberg, Bachmann, Jackson, Wiesel, K:ern, Thomas等
の云った様に出生直後から存在しない。 6.出生後3月を経過したシロネズミ副腎皮質と 成熟期シロネズミ副腎皮質(6図)及び成熟期に 到る変遷について。 生後3月を経過したシロネズミの副腎皮質は全 く成熟期のものと同様な構造を示す。即ちシnネ ズミは生後4月で成熟期に達するが,副腎皮質は それに:先立ち約2月後には早々成熟期の状態とな る。 成熟期動物の副腎皮質は人副腎皮質同様球状帯 束状帯網状帯の3層目区別できる。 球状帯は被膜に接する6∼10層のLipoid頼粒 充満期にある細胞から出来ている。Lipoid掌骨 の間には少数のミトコンドリア,可児性穎粒が存 在する。此の層は出生直後には主としてミトコン ドリアのみを含む細胞から出来ていたのであるが 生後1週を経れば細胞内に多数のLipoid顯粒を 形成し2週目後には全くLipoid平野充満期の細胞 のみとなり成熟期に到ったものである。球状帯細 胞がLipoid穎粒を含む事はEngstrom, Flexney− Gro11mannが同じくシnネズミで認め, Roafが 家兎において,Brunnが犬,馬等で認めている。 二丁層は動物の種類によって著しい相違が認めら れる。 球状帯最:深部即球状帯と束下帯との聞には所々 で下野する1層の小暗調紡置形の細胞がある。こ の層の細胞は総てミトコンドリア充満期にあり, 有二丁無糸分裂が認められる。三層は生後2週後 に初めて認められるが,これは決して階層ではな く生直後における幼若なミトコンドリアに富む細 胞が胚芽層として残存したものである。 束黒帯は数層の索状に配列した細胞から出来て いて,総てLipoid下肥で充満されたSpongioz− ytenから出来ている。 束状帯は出生直後においては引染性顯粒で充た された細胞から出来ている。此層のLipoid顯粒 形成は大部分生後2週後に始り管状帯残部の細胞 は多数の:Lipoid顯粒を含むに到るも未だSpon− giozytenは稀である。ついでこのLipoid野冊形 成は速に深層に向って進行し,生後約1月を経れ ば髄質に接する細胞までLipoid顯粒を含む。 この時期になると先にLipoid頼粒で充満され た細胞となった束状帯の深部1/3の部に在る細胞に は再びミトコンドリアが出現し,其れと同時に此 の部分に塵々多数の有糸分裂が認められ,又所々 に充血した血管もあり,此の部に新たな機能が発 現しつつある様に思はれる。 此層が網状帯の原基であって,この変化は次第 に髄質に接する細胞に迄及び,既に生後2月後に おいては髄質に接する最内層の細胞は束状帯細胞 とは異り,暗調で原形質内にミトコンドリア及び 一 726 一
てこれをGuiysseはCorpus siderophilusと云 っている。)を含むsiderophile Ze1工enとなる。
しかして三層に存在するSinusoidによって細胞
の配列は索状の配列を乱し網状を呈する。 即網状帯はJackson, Bachman, K:olmer等が
認めたように出生直後には存在せず著者等の所見 では生後1月後に出生直後の原始束尼削細胞が洋 帆性穎粒よりLipoid絶粒を作り分泌を行い,引 続きミトコンドリアが出現した細胞からできた 層であって,少数の変性細胞こそ混じているが
Landau, Ko正mer, Bennet, Jaff−Tannenberg等の 云ったように単なる変性層ではなく,既に私共が 人副腎の研究において予想した様に又Ger5ch」 Grollmanも云った様に皮質の予備層であると考 えられる。(此の点から考えて私共は実験的に1 例の副腎を劉出して検査したが他側副腎の著明 な代償性肥大が現はれる前に網状帯細胞に多数 のLipoid頼粒形成を認めた(未発表)又色々の実験 的研究に際して多数の学者(Grollmann, Emery− Atwe11,深井, Schenk, Flexney−Grollman等) もこの層が最も変化を蒙り易いと云っている。こ の点は網状帯が単なる変性層でないことを示す良 い証であって,色々の条件下に即皮質ホルモンを 過剰に要求する時はこの層は増殖して機能を営 み,皮質ホルモンの過剰な時は変性するものと考 えられ,皮質ホルモン分泌の予備層と考えられ る。 総 括 シVネズミの副腎皮質について出生後から成熟 期に到る皮質の変遷を研究し次の成績をえた。 1. 出生直後のシロネズミの副腎皮質は球状帯束 状帯の2層を区別するだけで網状帯は未だ分化し ていない。球状帯はミトコンドリアに富む細胞か ら出来ていて,束悟性は可染畔引粒で充満された 細胞から出来この層の細胞は索を作って髄質内に 進入している。 この事はJackson, Engstromも認めている。 2. 出生後1週を経れば髄質と皮質との境界は明 瞭となる。この事はEngstromの所見と一致す る。Jacksonは2∼3日で,著明になると云って いる。Kernの云う被膜は認められなかった。 3. 出生後2週を経れば束状帯浅部の細胞もLip− oid顯粒を形成するが束状帯下部の細胞は尚可染 2つの異る層よりなるごとく見える。このことは Da−Costa, Guiyseeがモルモットで認め各束状帯 三層深層と呼んでいる。球状帯細胞は益々Lipoid 頼粒を形成し出生直後のミトコンドリアのみを含 む小,暗調の細胞は束状帯との境界部に胚芽層と して残存している。この層についてはEngstom, Flexney−Grollmann も認めているが彼等は何れ も新に出現した層と云っているが内部の微細構造 から残存したものと思はれる。 4.出生後1月を経れば東伊野細胞のLipoid顯 粒形成は益々進み髄質に接する細胞までLipoid 顯粒で充満される。この時期において束状帯の深 部%の部に存在する細胞は分泌を終り後再び細胞 内にミトコンドリアが出現し暗調な層をなす。こ の層は其の後次第に深部髄質に接する細胞に迄及 ぶ。この層は通常再びLipoid穎粒を作る事なく ミトコンドリアに富む暗調細胞のまま残存する。 これが網状帯であって生後1月の後に初めて形成 される。 5. 出生旧約2月を経れば,Hpoid頼三野満期の 細胞から出来た球状帯,狭い胚芽層,Spongiozyten が索状に配列した最も広範囲の束状帯,暗調な細 胞よりなる網状帯の層となり皮質が完成される。 6.以上の所見から網状帯は出生直後から存在す るものでなく胚芽層で出来た細胞が次第に内層に 向って分化し形成された皮質の最古層ではあるが 単なる変性層ではなく皮質ホルモン分泌の予備層 と考えられる。 :交 献
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附図説明 附図は総て千代日ヨアクmマーユ・油浸接物鏡90,n. A.1.25及びHuygens接眼鏡15を用い,鏡机と同 高の作業机上でAbbe氏描写器を用いて描写した。 1図:出生直後のシPネズミ副腎皮質。Z−F固定,鉄 ヘマ1・キシリン染色。 2図:出生後1週を経過したシmネズミ副腎皮質。 Levi氏液固定,鉄ヘマトキシリン染色。 3図.:出生後2週を経過したシ・ネズミ副腎皮質。 Leui氏液固定,鉄ヘマトキシリン染色。 4図:出生後1月を経過したシロネズミ副腎皮質。 Z−F固定,鉄ヘマトキシリン染色。 5図:出生後2月を経過したシ・ネズミ副腎皮質。 Z−F固定,鉄ペマトキシリン染色。 6図:成熟期シネズミ副腎及質。 Z−F信望鉄ヘマトキシリン染色。 一728一
1図 出生直後副腎皮質
蟻灘熱
講難難
3図出生後2週
’ンぞ .、 @ ., Yへ^・・CM4 )・轡、 /溢
ポ ハや ・・タ勧
一 729 一一2図 出生後1週
機雛蜜
4図 出生後3週一1ヵ月
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