226 (100) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
カタ ヤマ ヨウ コ片山洋子(昭和3
博士(医学) 乙第1264号平成4年3月13日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
Ha盈ide transpor重in為ηoραs oocytes (アフリカツメガエル卵母細胞におけるハロゲンイオン輸送) (主査)教授 宮崎 俊一 (副査)教授 高桑 雄一,笠島 武論 文 内 容 の 要 旨
目的 致死的な遺伝性疾患である嚢胞性線維症(cystic 丘brosis)の病態は,気道,膵臓,汗腺などの外分泌腺 の機能異常に基づく粘調な粘液の停滞,管腔の閉塞, 難治性の感染であり,その根本的原因は広範囲の上皮 細胞,腺細胞におけるCl一イオン透過性の減少,より具 体的にはcycHc AMP依存性C1チャンネルの先天異 常であると考えられるに至っている.今後のアプロー チとして,気道上皮細胞から分離したmRNAをアフ リカツメガエルの卵円細胞に注入して発現させたCl チャンネルを,生理学的,分子生物学的に解析するこ とが重要であるが,その為にはまず,卵母細胞自身の もつCl一輸送系の性質を調べておく必要がある.本研 究は,ラジオアイソトープを用いたイオン流の測定及 び細胞膜電位測定により,アフリカッメガエル卵母細 胞におけるCl一イオン及びその他のハロゲンイオン輸 送の性質を明らかにする目的で行った. 方法 アフリカツメガエルの卵巣を摘出し,卵母細胞 (Stage V, VI)を分離した.アイソトープ溶液中に置 いた病母細胞への細胞外からの36CI,1251,82Brの流入 (inHux)を種々の条件下で測定した.膜電位は,4M・ potassium acetateを充填した細胞内電極を用いて測 定した. 結果 1)アフリカッメガエル卵母細胞のCr透過係数は, 3.9×10-7cm/sであった.卵母細胞は気道上皮や骨格 筋に比較してCl一透過性は低い. 2)36Cl in且uxは高K+溶液による脱分極に際して constant field theoryセこ従って増加する. Cl一透過は拡 散であることを示唆する. 3)36Cl in且uxは外液のCr濃:度に直線的に依存し, 他の陰イオンの存在に影響されなかった.温度依存性 から計算した36CI innuxの活性化エネルギーは低く, 46KJ/Molであった.これらの所見は,やはりCr透過 が拡散であることを示唆する. 4)C1チャンネルのブロッカー, diphenylamine-2- carboxylateと9-anthracene carboxylateは36Cl inHuxを抑制し, Kdはそれぞれ5×10-4M,10-3Mで あった.一方,C1・HCO3対向輸送及びNa・K-Cl共輸送 のinhibitorは36Ci inHuxに影響を及ぼさなかった. 5)Dibutyryl cyclic AMPは36Cl in恥xを増強しな かった.この点に於て気道上皮細胞のClチャンネルと 異なる, 6)アイソトープ実験及び膜電位測定から求められ た・・ロゲンイオン選択性はr(3.2)>Br(1.3)>Cr (1.0)であり,気道上皮細胞のClチャンネルの選択性 と類似していた. 考察 アフリカッメガエル卵母細胞のCl一輸送は,上記2), 3),4)の実験結果からキャリヤを介する輸送ではなく, チャンネルを介する輸送であると考えられる.36Cl inHuxの初期速度より換算したClチャンネル密度は, 0.07/μm2であり,気道上皮細胞の1/10以下であると推 一830一227 定される. 結論 アフリカツメガエル卵母細胞のCl一輸送系はチャン ネルによる輸送であると結論される.Clチャンネルの プロッカーに対する感受性及びイオン選択性は気道上 皮細胞と類似しているが,卵母細胞のC1チャンネルは cyclic AMP依存性ではなく且つチャンネル数が少な いことから,気道上皮細胞のmRNA注入によって発 現させたClチャンネルを検出することは充分可能で ある.