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貿易財の生産に伴う純CO2排出量の分析─日本・中国・米国・英国の国際比較─

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Academic year: 2021

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(1)主要な研究成果. 貿易財の生産に伴う純 CO2 排出量の分析 ─日本・中国・米国・英国の国際比較─ 背 景 先進国で温暖化防止のための国内対策が本格化するにつれ、生産の海外移転に伴う国内生産からの CO2 排出 量が減少する一方で、輸入を通じた国外での CO2 排出量の増加を招いている。2009 年の COP15 に向けて、議 長国であるデンマーク政府は、貿易に関連して重点的に検討が必要な 6 つの項目のひとつとして、貿易財の生 産に伴う CO2 排出量の国際移動を取り上げるとしている。また、先進国の一部では、温暖化防止の国内対策が 不十分な国からの輸入について、国内産業の輸出競争力維持の観点から何らかの貿易政策が必要との議論も始 まっている。このように、温暖化防止、産業の輸出競争力維持の両面から関心が高まっている。. 目 的 貿易財の生産に伴う CO2 の国際移動について、日本および関連する主要国について、その規模、趨勢や特徴 などを把握する。特に、速報性のあるマクロ経済統計及び貿易統計を用いることで、BRICS(ブラジル、ロシ ア、インド、中国)諸国の台頭が顕著になった 2000 年以降の動向をみる。. 主な成果 1.マクロベースの推計(図 1) 国全体のマクロ経済ベースの推計結果から、1991 年以降の貿易財の生産に伴う CO2 排出量の純輸入を推 計した。その規模は、2005 年時点で国内排出量に対して、英国が 44 %、日本が 38 %、米国が 20 %と、顕著 な大きさである。他方で、2004 年時点で中国の国内排出量のうち 27 %は、輸出財の生産に伴って発生した ものであった。英国や米国では、製造業の衰退によって国内の排出が鈍化していても、消費活動を通じて、 中国や日本などの製造業諸国をはじめ世界全体での排出を増やしている。財貿易を通じたカーボンリーケー ジ(国内生産が海外生産や輸入に置き換わったことによる、国外での CO2 排出量の増加)の存在は従来から 指摘されていたが、その規模はたかだか国内排出量の 1 割程度と思われていたものが、グローバル化によっ て 2 ∼ 4 割近くあり、増加傾向が続いていることがわかった。 2.産業ベースの推計(図 2、3) ①エネルギー集約産業の例として、鉄鋼産業について、1990 年以降の貿易財の生産に伴う CO2 排出量を推 計した。推計の結果、日本と中国は、輸出向け国内生産からの CO2 排出が増加し(2005 年の国内排出量 に対して日本で 11.0 %、中国で 5.5 %の純輸出)、対照的に、英国と米国は、輸入によって海外での CO2 排 出が大きく増加している(2005年の国内排出量に対して英国で 38.4 %、米国で 33.4 %の純輸入)。 ②エネルギー非集約産業の例として、繊維産業について、1990 年以降の貿易財の生産に伴う CO2 排出量を 推計した。繊維の輸入に伴って海外で生産時に発生した CO2 排出量は、鉄鋼のそれに比べ、日本ではほぼ 同程度、英国では約 5 割、米国でも約 3 割に相当する。エネルギー非集約産業においても、途上国への生 産移転が進んだ産業では、先進国は財とともに多くのCO2 排出量を輸入していることがわかる。 3.政策的示唆 国際分業が進展する中では、CO2 の排出削減に関して、先進国と途上国間が、実際には互いに問題を共有 しているという事実認識が可能となる。. 今後の展開 温暖化防止の国際交渉にあたっては、排出量の動向を多様な側面から比較検討していくことが重要であり、 温暖化防止の国際交渉への影響も注視しつつ、引き続き様々な国際比較指標の検討を行っていく。 主担当者 関連報告書. 社会経済研究所 エネルギー技術政策領域 主任研究員 星野 優子 「貿易に体化した CO2 排出量─日本・中国・米国・英国の国際比較─」電力中央研究所報 告: Y08028(2009 年 3 月). 40.

(2) 1.社会・経済/エネルギー技術政策のシナリオ分析 15 10. 50%. 億 tCO2. 対国内排出量比(%). 40%. ネットの財輸入に伴うCO2排出量. 30%. 5. 20% 10%. 0 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005. 0%. -5 -1 0 -1 5. 日本. 中国. 英国. 米国. -10%. 1991 1993 1995 1997 1999. -20%. 日本 英国. -30%. 2001. 2003. 2005. 中国 米国. 1. 輸入品を生産する過程で排出されたCO2 を考慮すると、先進国は輸入を通じて、他国での排出を数億トンの 規模で増加させている(左)。それは、国内排出量との比較で見ると、米国が20%、日本が38%、英国では44 %と試算された(右)。対照的に、中国では、2004年時点での排出の27%が輸出財の生産に伴って発生したも のである。 図1 マクロベースでの貿易財の生産に伴うCO2 排出量の純輸入 −純輸入量(左図)と国内排出量に対する割合(右図)−. 対国内(鉄鋼) 排出量比. 対国内(繊維)排出量比. 50% 40%. 日本. 英国. 米国. 中国. 250%. 鉄鋼. 200%. 30%. 日本. 英国. 米国. 中国. 繊維. 150%. 20% 100%. 10%. 50%. 0%. 0%. - 10% - 20%. -50% 1990. 1992. 1994. 1996. 1998. 2000. 2002. 2004. 1990. 1992. 1994. 1996. 1998. 2000. 2002. 2004. 鉄鋼では、日本と中国は、輸出向け国内生産からのCO2 排出が誘発されている。対照的に、英国と米国は、 輸入によって海外でのCO2 排出を大きく誘発している(左図)。繊維では、先進国(日本、米国、英国)は、 国内を大きく上回る規模で海外でのCO2 排出を誘発しており、逆に中国は輸出のために多くの排出をしてい る(右図)。 図2 産業(鉄鋼・繊維)別にみた貿易財の生産に伴うCO2 排出量の純輸入 −国内排出量に対する割合−. 60. 百万tCO2. 日本. 30. 米国. 百万tCO2. 繊維輸入に伴うCO2排出量 繊維輸出に伴うCO2排出量 鉄鋼輸入に伴うCO2排出量 鉄鋼輸出に伴うCO2排出量. 40. 40 30. 20. 20. 10. 10. 繊維輸入に伴うCO2排出量 繊維輸出に伴うCO2排出量 鉄鋼輸入に伴うCO2排出量 鉄鋼輸出に伴うCO2排出量. 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004. 百万tCO2. 中国. 繊維輸入に伴うCO2排出量 繊維輸出に伴うCO2排出量 鉄鋼輸入に伴うCO2排出量 鉄鋼輸出に伴うCO2排出量. 30 20 10 0. 0. 0. 60 50. 50. 50 40. 60. 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004. 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004. 各国別に、陰線で示す鉄鋼、実線で示す繊維について、輸出入に伴うCO2 排出量の推移を示している。日本 では、鉄鋼輸入に伴うCO2 排出量が、繊維輸入に伴うCO2 排出量に匹敵する規模である。米国でも、繊維輸入 に伴うCO 2 排出量は、鉄鋼輸入に伴うCO 2 排出量の約4割弱である。中国では、繊維輸出に伴うCO 2 排出量 が、鉄鋼輸入に伴うCO2 排出量に匹敵することがわかる。 図3 日本、米国、中国における貿易財の生産に伴うCO2 排出量の輸出入. 41.

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